有価証券報告書-第34期(2024/01/01-2024/12/31)

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2025/03/31 14:57
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経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、為替変動や物価高等の影響が続く状況ではあったものの、コロナ禍からの経済活動の正常化が進む中で雇用・所得環境の改善の動きが見られる等、緩やかな回復基調となりました。一方、海外においては、米国経済は堅調に推移しているものの、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、中国経済の成長鈍化等の下振れリスクを抱え、先行き不透明な状況で推移いたしました。また、外食産業におきましては、経済活動の正常化による人流の回復やインバウンド需要の増加により好調に推移しておりますが、原材料価格や人件費の高騰に加えて、継続的な物価上昇による消費者の節約志向が強まる等、経営環境の回復は緩やかなものに留まっております。
このような状況下、当社グループは、2023年から2027年をターゲットとした「中期経営計画」に基づき、既存事業の深化と今後を見据えた新業態・新事業の開発、育成、成長に引き続き取り組んだ結果、当連結会計年度における売上高は46,126百万円(前期比19.2%増)、営業利益は2,545百万円(前期比13.9%増)となりました。また、為替予約の時価評価による為替差益等の計上により、経常利益は3,444百万円(前期比30.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、国内及び海外店舗に関する閉店店舗の固定資産除却損及び店舗整理損失並びに不採算店舗に関する固定資産の減損などの損失の計上などにより、1,849百万円(前期比81.1%増)となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは、従来は飲食事業の単一セグメントでありましたが、当連結会計年度に新たにリゾート事業を開始したことにより、当連結会計年度より報告セグメントの区分を「飲食事業」と「リゾート事業」の2区分に変更しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<飲食事業>「築地銀だこ」事業においては、今期パートナーシップ契約を締結したロサンゼルス・ドジャースの3年連続地区優勝を祝し、10月1日より全国の築地銀だこ店舗(該当商品取扱店舗のみ、一部店舗を除く)にて地区優勝記念キャンペーンを実施し、さらにドジャースのワールドシリーズ優勝を記念し、11月1日より全国の築地銀だこ店舗(該当商品取扱店舗のみ、一部店舗を除く)にて、『ワールドシリーズ優勝おめでとう!キャンペーン』を実施し、ドジャースファミリーとして日米双方での話題作りと新たなファン獲得に努めました。また通常の販売促進活動では、11月18日より全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて、“ぜったいお得な”『秋の回数券』を販売し、11月22日よりイオングループが実施する『イオン ブラックフライデー』企画として、イオンモール及びイオンに出店する築地銀だこ・銀のあん店舗(対象店舗のみ)では、「特別価格の回数券」を販売したほか、11月25日から29日での5日間、毎年大好評の“食べ放題(限定店舗のみ)”を、昨年より実施店舗を拡大して実施しました。また、12月4日から12月8日までの5日間、全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて、皆様に1年間の感謝を込めた『年末大感謝祭』を開催し、12月9日より相手に贈ると自分ももらえるLINEギフトキャンペーンを実施いたしました。商品関連では、10月18日より全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて、『とろたま明太』を、また全国の築地銀だこのクロワッサンたい焼取扱店舗(一部店舗を除く)にて、クロワッサンたい焼『塩栗(しおぐり)』を期間限定で発売いたしました。また、11月18日より全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて、お客様からのリクエストNO.1の人気商品⦅プレミアム明太シリーズ⦆『焦がし醤油 もちチーズ明太』を発売したほか、11月28日より全国の築地銀だこのたい焼取扱店舗(一部店舗を除く)にて、クロワッサンたい焼『安納芋あん』を期間限定で発売いたしました。コラボレーション企画としては、11月15日より全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて、TVアニメ『呪術廻戦』2期「懐玉・玉折 / 渋谷事変」とのコラボレーションを実施し、12月20日より後半戦の「渋谷事変」コラボレーションがスタートいたしました。こうした積極的な販売促進の取り組みにより、当連結会計年度における既存店売上高前年比は105.3%となりました。なお出店については、1月に「イーアスつくば店」、6月に「小倉競馬場店」、10月に「西鉄久留米店」、11月に「イオンモール高岡西館店」、「福田屋ショッピングプラザ宇都宮店」及び「リコパ東大和店」、12月に「THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA店」をオープンいたしました。
酒場事業を展開する株式会社オールウェイズにおいては、通常の販売促進や商品開発・メニュー改定等に加え、人流の回復やインバウンド需要の増加もあり、各業態ともに引き続き好調に推移いたしました。また、5月21日から23日までと28日から30日までの計6日間、全国の銀だこ酒場業態店舗(銀だこハイボール酒場、銀だこ酒場、銀だこハイボール横丁等の一部店舗を除く)限定で『銀だこハイボール酒場 創業15周年記念祭』を開催したほか、昨年に引き続き、8月14日から9月10日までの期間、全国の銀だこハイボール酒場(一部店舗を除く 62店舗)にて、株式会社Cygamesが開発・運営するスマートフォン向けゲーム、アニメRPG『プリンセスコネクト!Re:Dive』とのコラボレーションを実施いたしました。さらに、2019年の「おでん屋たけし 池袋西口店」のオープンから今年で“5周年”を迎えた『おでん屋たけし』の開業5周年を記念した夏の感謝祭を開催いたしました。なお出店については、酒場事業の中でも特に利益率の高い「銀だこハイボール酒場」・「おでん屋たけし」の新規出店に注力し、1月に「銀だこハイボール酒場 成田駅前店」、2月に「銀だこハイボール酒場 豊洲千客万来店」、「銀だこハイボール横丁 新宿中央東口店」、「おでん屋たけし 中目黒店」、3月に「銀だこハイボール酒場 広島流川店」、「銀だこハイボール横丁 新宿歌舞伎町靖国通り店」、「おでん屋たけし 麻布十番店」、4月に「銀だこハイボール酒場 戸田公園店」及び「池袋西口店」、「おでん屋たけし 船橋駅南口店」、5月に「銀だこハイボール酒場 熊本三年坂店」及び「エキア竹ノ塚店」、6月に「銀だこハイボール酒場 富山駅前店」、「おでん屋たけし 新宿西口店」及び「松山大街道店」、7月に「銀だこハイボール酒場 大宮西口タワー店」、8月に「銀だこハイボール酒場 広島立町店」及び「王子駅前店」、10月に「おでん屋たけし なんばウォーク店」及び「名古屋栄町店」、11月に「銀だこハイボール酒場 高知店」、「おでん屋たけし 中洲店」及び「仙台国分町店」、12月に「銀だこハイボール酒場 上野御徒町店」、「TXアベニュー八潮店」、「名駅西口店」、「新横浜店ぐるめストリート店」及び「津駅前店」をそれぞれオープンいたしました。また、株式会社ファンインターナショナルが京都と大阪で展開し、日本の食文化として人気の高い“すき焼き”をリーズナブルに楽しめると海外のお客様を中心にSNSで大人気のお店となっている「大衆すき焼 北斗」の東京1号店として「銀座コリドー店」を4月に、10月に「新宿東口店」をオープンしたほか、5月に「ごっつい」としては久々の出店となる「新橋烏森店」、11月に「神楽坂店」をオープンいたしました。さらに「日本再生酒場 中野店」を9月にオープンいたしました。なお、7月に名古屋市内において「昇家」5店舗、「李昇 本館」、「ホルモンショウヤ」の計7店舗の焼肉店を展開している株式会社ショウエイの全株式を取得し、子会社化いたしました。
主食事業を展開する株式会社ホットランドネクステージにおいては、「東京油組総本店<油そば>」をはじめとした既存業態が引き続き好調に推移いたしました。なお出店については、2月に「東京油組総本店<油そば>小倉組」、「鶏そば炭や 新橋店」、3月に「十割そば 囲炉裏 つくば店」、4月に「東京油組総本店<油そば>イオンモール太田組」、「十割そば 囲炉裏 豊洲千客万来店」、5月に「東京油組総本店<油そば>浦和組」、6月に「東京油組総本店<油そば>富山組」及び「香椎組」、7月に「東京油組総本店<油そば>ドーチカ組」、8月に「鶏そば炭や 立川若葉町店」、「野郎めし 吉祥寺店」、「東京油組総本店<油そば>神戸元町組」、「十割そば 囲炉裏 甲府湯村店」、9月に「東京油組総本店<油そば>栄組」、10月に「東京油組総本店<油そば>久留米組」及び「新小岩組」、11月に「東京油組総本店<油そば>学芸大組」、12月に「東京油組総本店<油そば>船橋組」をオープンいたしました。
製販事業においては、冷凍たこ焼の大手コンビニエンスストア向け卸販売のほか、アイスクリーム製品の販路が拡大し好調に推移いたしました。また冷凍たこ焼については、引き続き海外販路の開拓に積極的に取り組んでおり、今後の需要増加を見越して、群馬県桐生市の冷凍たこ焼工場の隣地に冷凍設備倉庫を新設することを決定いたしました。
海外事業においては、今季日本人選手の活躍が期待され、全世界から注目を浴び盛り上がっている米国のプロ野球球団ロサンゼルス・ドジャースと協力し、米国時間3月24日にドジャースのホーム球場である『ドジャー・スタジアム』内に“築地銀だこ”をオープンし、創業以来人気No.1の“ぜったいうまい!! たこ焼”「Original(ソース)」に加え、ドジャー・スタジアムでしか味わえない『限定たこ焼』として「Cheese & Salsa(チーズ&サルサ)」、「Cheese & Guacamole(チーズ&ワカモレ)」、「Tempura & Sweet soy sauce(天ぷら&スウィート ソイソース)」を加えた計4種類のたこ焼を発売したほか、ロサンゼルス・ドジャースと複数年のパートナーシップ契約を締結いたしました。また、今後の米国国内での冷凍たこ焼の卸販売等を目的とし、カリフォルニア州をはじめとした米国本土各地及びハワイ州において、日本食や日本酒等とともに“築地銀だこの冷凍たこ焼”のプロモーションを目的とした様々なイベントに参加いたしました。米国内における商社機能を担うHERO USA, Inc.はラスベガスの大手カジノであるウィン・ラスベガスや、カリブ海を拠点とする大手クルーズ会社であるロイヤル・カリビアン・インターナショナルなどのリーディングカンパニーに食包材を納品し、新たな商機を得ております。アセアンではインドネシアに1店舗、フランチャイズによる出店をいたしました。また6月にはベトナム、11月にはフィリピンでのエリアフランチャイズ契約を締結いたしました。香港では外部環境の変化が顕在化し、経済全体に負の影響が及んでおります。当社グループにおいてもコロナ禍以来厳しい状態でありましたが、当連結会計年度においては各事業が黒字に転じております。引き続き商機を吟味しつつ出店してまいります。
観光地に店舗を多く有する株式会社ファンインターナショナルの運営店舗は、人流の回復やインバウンド需要の増加等により引き続き堅調に推移いたしました。なお出店については、4月に「串焼き満天 六角編」、11月に「北斗 四条烏丸店」を京都市内にオープンしたほか、京都四条烏丸駅近で天ぷら居酒屋の先駆けとして12年営業してきた「天ぷら海鮮 米福」を移転し、8月8日に「天ぷら寿司海鮮 米福」四条烏丸本店としてグランドオープンいたしました。
さらに“タイムスリップしたような昭和レトロの懐かしさ”を感じていただき、新たな“純喫茶ファン”にも楽しんでいただける、老若男女が様々なシーンで気軽に立ち寄りゆっくりと寛げる『純喫茶 ロビンソン』を5月に群馬県桐生市にオープンいたしました。
この結果、飲食事業における当社グループの当連結会計年度末の店舗数につきましては、出店71店舗(国内65店舗・海外6店舗)、退店37店舗(国内21店舗・海外16店舗)により、767店舗(国内689店舗・海外78店舗)となりました(業態変更による出退店は含んでおりません)。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は46,242百万円(前期比19.5%増)、セグメント利益は2,610百万円(前期比16.8%増)となりました。
<リゾート事業>今期より新たに取り組んでいるリゾート事業は、自然に囲まれた群馬県桐生市水沼エリアにて、2023年9月に開業した群馬県産の食材をはじめ様々な焼肉BBQメニューを取り揃えた全天候型「スミテラス 焼肉BBQ」、新鮮野菜やこだわりの卵料理・パンケーキなどお楽しみいただける「シカモアカフェテラス」に加え、新たな飲食施設としてこだわりの十割そばを存分に味わえる蕎麦専門店「十割そば 囲炉裏」をオープンしたほか、本格フィンランド式サウナ、コテージ・グランピングなどの宿泊施設を完備し、日帰り・宿泊など様々なシーンでご利用いただける、滞在型アウトドアレジャー施設「サウナの森 水沼ヴィレッジ(現 駅の天然温泉&サウナの森 水沼ヴィレッジ)」として4月23日にオープンいたしました。なお、当施設のサウナは、サウナ初心者からサウナ愛好家(サウナー)まで楽しめるよう工夫を凝らしており、貸切(プライベート)サウナは国内では珍しいエストニア「HUUM」社の薪ストーブを使用したフィンランド式サウナで、本格的なロウリュを体験・お楽しみいただけます。パブリックサウナ(水着着用・男女混合)は、グランピングテント宿泊者様や日帰りのお客様もお楽しみいただけるサウナで、国産の薪ストーブを使用し、同じく本格的なサウナをお楽しみいただけるほか、全てのサウナに「天然地下水の水風呂」を完備しており、自然の中での外気浴と合わせ、室内では体験できない“贅沢な癒し”を実感していただける施設となっております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は123百万円、セグメント損失は21百万円となりました。なお、リゾート事業は当連結会計年度より開始した事業であるため、前期比を記載しておりません。
店舗数の推移は、以下のとおりであります。
(店舗数の推移)
<飲食事業>
区分ブランド前連結会計年度当連結会計年度
国内築地銀だこ426419
銀だこハイボール酒場等6985
油そば(東京油組総本店)3850
おでん屋たけし1827
野郎めし1616
日本再生酒場・もつやき処い志井1415
銀のあん1010
大釜屋99
ごっつい79
米福66
満天56
昇家05
囲炉裏04
日本橋からり44
北斗14
コールドストーン53
鶏そば炭や13
その他1514
小計644689
海外築地銀だこ5954
銀カレー1510
銀のあん75
銀だこハイボール酒場11
その他68
小計8878
合計732767

<リゾート事業>
区分ブランド前連結会計年度当連結会計年度
国内水沼ヴィレッジ01
合計01

(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は848百万円増加し、3,577百万
円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は3,953百万円(前期は2,938百万円の増加)であります。この増加は主に税金等調整前当期純利益2,670百万円、減価償却費1,448百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は3,761百万円(前期は2,684百万円の減少)であります。この減少は主に有形固定資産の取得による支出が2,864百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は645百万円(前期は740百万円の減少)であります。この増加は主に長期借入れによる収入が2,792百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が1,467百万円、リース債務の返済による支出が371百万円あったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
飲食事業19,740,222121.1
リゾート事業34,058-
合計19,774,280121.4

(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.リゾート事業は当連結会計年度より開始した事業であるため、前年同期比を記載しておりません。
(2)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごと及び契約形態ごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称契約形態販売高(千円)前年同期比(%)
飲食事業国内直営26,435,533115.7
FC5,984,515113.9
PC8,109,611111.3
その他2,413,958260.9
小計42,943,619118.3
海外直営2,410,428125.6
FC61,21171.8
その他587,082149.9
小計3,058,721127.7
飲食事業合計46,002,341118.8
リゾート事業国内直営123,955-
リゾート事業合計123,955-
合計46,126,297119.2

(注)リゾート事業は当連結会計年度より開始した事業であるため、前年同期比を記載しておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成におきましては、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りが必要とされます。当該見積りにあたりましては、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループが採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、財政状態及び経営成績に特に重要な影響を与える会計方針と見積りは、以下のとおりと考えております。なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」記載されております。
① 固定資産の減損処理の測定基準
当社グループは、店舗、工場及び賃貸物件など多くの固定資産を有しております。これら固定資産につきまして減損の認識が必要とされた場合の回収可能価額は、「固定資産の減損に係る会計基準」等に従い合理的に算定しておりますが、前提が異なることとなった場合には、将来追加で減損処理が発生する可能性があります。
② 繰延税金資産の計上基準
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金を有しております。これらにかかる繰延税金資産の計上にあたりましては、「税効果会計に係る会計基準」等に従い回収可能性を判断しており、将来の課税所得見積りは、その実現可能性について十分な検討を行い、必要に応じて評価性引当額を計上しております。しかし、将来の経営環境の変化などにより回収可能見込額が変動した場合には、繰延税金資産の取崩又は追加計上が発生する可能性があります。
(2) 財政状態に関する分析
資産、負債および純資産の状況は下記のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して4,805百万円増加し28,519百万円となりました。その主な要因は、現金預金が865百万円、売掛金が327百万円、有形固定資産が1,479百万円、投資その他の資産が1,080百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して3,018百万円増加し15,975百万円となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が755百万円、長期借入金が1,434百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して1,786百万円増加し、12,543百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,849百万円を計上したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、本報告書の「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要(1)経営成績」に記載しておりますが、その主な要因は次のとおりです。
①「築地銀だこ」事業: 既存店売上高前年比105.3%
・「鬼滅の刃」、「呪術廻戦」等のコラボキャンペーンにより好調な売上
②酒場事業:『銀だこハイボール酒場 創業15周年記念祭』、『おでん屋たけし』の開業5周年を記念した夏の感謝祭を開催。銀だこハイボール酒場、おでん屋たけし、その他の業態で31店舗出店。「昇家」等7店舗を展開する株式会社ショウエイの株式取得。
③製販事業:冷凍たこ焼の大手コンビニエンスストア向け売上堅調。アイスクリーム製品の卸販売の販路拡大。
④海外事業:ロサンゼルス・ドジャースと複数年のパートナーシップ契約を締結し、『ドジャー・スタジアム』内に「築地銀だこ」をオープン。ベトナム、フィリピンでのエリアフランチャイズ契約を締結。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は下記のとおりとなりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は46,126百万円となり、前連結会計年度に比べ19.2%の増加となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は2,545百万円となり、前連結会計年度に比べ13.9%の増加となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は3,444百万円となり、前連結会計年度に比べ30.7%の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,849百万円となり、前連結会計年度に比べ81.1%の増加となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況についての分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は848百万円増加し、3,577百万
円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は3,953百万円(前期は2,938百万円の増加)であります。この増加は主に税金等調整前当期純利益2,670百万円、減価償却費1,448百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は3,761百万円(前期は2,684百万円の減少)であります。この減少は主に有形固定資産の取得による支出が2,864百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は645百万円(前期は740百万円の減少)であります。この増加は主に長期借入れによる収入が2,792百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が1,467百万円、リース債務の返済による支出が371百万円あったことによるものであります。
(5)キャッシュ・フローの状況についての分析に基づく資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの事業活動における運転資金の需要の主なものは、生産に必要な運転資金(原材料・人件費及び外注費)、従業員給与等の販売費及び一般管理費があります。また、設備資金需要としましては、海外子会社を含む新規店舗の出店及び既存店舗の改装およびМ&A等があります。
これらの事業活動に必要な資金は、内部資金の活用を基本としておりますが、必要に応じて資本市場からの資金調達及び金融機関からの借入による資金調達も行っております。十分な手元流動性資金と金融機関の借入枠を有しているため、今後の運転資金及び投資資金需要にも十分対処できる状況であります。
(6)経営戦略の現状と見通し
外食市場におきましては、消費者の低価格志向・節約志向・中食需要の拡大等により大変厳しい環境となっておりますが、今後もコンビニや中食各社を含めた企業間競争の激化などもあり、厳しい状況は続くことが想定されます。
このような状況下、当社グループは、「築地銀だこ」及び「銀だこハイボール酒場」を中心に、海外展開やM&Aを積極的に推進し、業容を拡大してまいりました。
昨今の新型コロナウイルスの影響に加え、原材料費や水道光熱費の高騰といった厳しい外部環境の変化にも対応しながら、「築地銀だこ」及び「銀だこハイボール酒場」の店舗展開、M&A、さらには株式会社オールウェイズ、株式会社ホットランドネクステージ、株式会社ファンインターナショナルなどの子会社を中心とした新業態の開発や海外展開を進めてまいりましたが、事業環境や業績の変化を踏まえ、1,000億円規模の外食グループを目指すべく、今後の当社グループの成長加速及び事業拡大並びに、より強固な経営基盤の構築を実現するための経営体制として持株会社体制へ移行することが最適であると判断いたしました。
新体制への移行を通じて、当社は持株会社としてグループの持続的成長と企業価値向上のため、事業戦略及び財務戦略並びにブランド戦略の立案や、グループの資本効率やリスク管理及び人的資本の強化、グループ各社の経営執行に対する支援と監督機能を担い、グループ全体の事業拡大と収益改善に向けた取り組みを行ってまいります。
また、グループ各社においては、独立した企業としての責任の下で事業構造改革と成長戦略の実現に向けた取り組みを自立的に展開することを目標とし、企業価値の向上と資本効率の向上に向けた取り組みを行ってまいります。
① 組織体制
2025年4月1日付で、当社の商号を「株式会社ホットランドホールディングス」に変更し、持株会社化いたします。さらに、以下の体制に再編することで、経営の機動性を高め、事業成長を加速させるとともに、経営資源の有効活用を図ります。
・「株式会社ホットランド東日本」(新設)
○東日本エリアにおける「築地銀だこ」の店舗運営及びグループ所有高収益ブランドの事業展開
・「株式会社ホットランド西日本」(株式会社ホットランド大阪から商号変更)
○西日本エリアにおける「築地銀だこ」の店舗運営及びグループ所有高収益ブランドの事業展開
・「株式会社ホットランドフーズ」(新設)
○製造販売事業
この組織体制により、経営の機動性を高め、事業成長の加速と経営資源の有効活用を実現してまいります。さらに、事業展開の強化を図り、企業価値の向上に取り組んでまいります。
② 「築地銀だこ」事業
(運営会社:株式会社ホットランド東日本・株式会社ホットランド西日本・株式会社ホットランドホールディングス)
・国内事業展開
○全国の「築地銀だこ」事業を東日本・西日本に分割し、より効率的な運営体制を確立
○グループ所有の高収益ブランド(銀だこハイボール酒場、おでん屋たけし、東京油組総本店<油そば>など)の積極展開
・海外FC展開
○アジア・アセアン・中東・ヨーロッパにおけるFC展開の加速
③ 酒場事業
(運営会社:株式会社オールウェイズ・株式会社ショウエイ)
・首都圏におけるドミナント展開及び地方FC出店
○銀だこハイボール酒場、おでん屋たけしの店舗拡大
・焼肉業態の多店舗展開(日本再生酒場、もつやき処い志井、昇家、李昇など)
・新業態の開発及びM&Aの推進
④ 主食事業
(運営会社:株式会社ホットランドネクステージ・有限会社よし平)
・主食事業の拡大
○野郎めし、日本橋からり、東京油組総本店<油そば>、鶏そば炭やなどの小型店舗の出店拡大
・リゾート事業の確立
○サウナの森水沼ヴィレッジを成功事例とし、新たな成長モデルを構築
・「厚切りとんかつ よし平」の多店舗展開
・新業態の開発及びM&Aの推進
⑤ ファンインターナショナル事業
(運営会社:株式会社ファンインターナショナル)
・「高付加価値型」の業態開発と展開
・インバウンドや国内観光客をターゲットとした業態の構築と展開
・店舗内外装の「キット化」への取組み
・海外での「日本スタイル」のパッケージ化
⑥ 海外事業
(運営会社:Gindaco USA, Inc.・Japan Taste Marketing, Inc.・HERO USA, Inc.)
・米国市場での展開を加速
○ドジャー・スタジアムに「築地銀だこ」店舗を出店し、世界の“GINDACO”へ
○ラーメンなどの和食業態の展開及びM&Aの推進
○日本食イベントの開催を通じた市場拡大
○冷凍銀だこの販路拡大
○モーリタニア工場産マダコ、イカ、日本産食材加工食品などの全米展開
⑦ 製販事業
(運営会社:株式会社ホットランドフーズ)
・冷凍たこ焼などの桐生工場の生産拡大及び海外輸出の強化
・コールドストーンの自動販売機展開
・冷凍商品の新規開発
2025年12月期につきましては、原材料価格の高騰、円安の進行、人件費や光熱費等の上昇なども踏まえながら、上記の施策を行うことにより成長を目指してまいります。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
当連結会計年度における我が国経済は、為替変動や物価高等の影響が続く状況ではあったものの、コロナ禍からの経済活動の正常化が進む中で雇用・所得環境の改善の動きが見られる等、緩やかな回復基調となりました。一方、海外においては、米国経済は堅調に推移しているものの、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、中国経済の成長鈍化等の下振れリスクを抱え、先行き不透明な状況で推移いたしました。また、外食産業におきましては、経済活動の正常化による人流の回復やインバウンド需要の増加により好調に推移しておりますが、原材料価格や人件費の高騰に加えて、継続的な物価上昇による消費者の節約志向が強まる等、経営環境の回復は緩やかなものに留まっております。当社はこのような時代だからこそ「企業個性」を磨き、さらに強く発揮することが最も重要であると考えております。
当社は、創業以来、挑戦と失敗を繰り返し、その失敗から学び、成長を遂げてまいりました。その中で培った個性が「自由な発想力」、「行動力」、「スピード感」、「現場力」、そして、何よりも大切にしているものは「人を想う心」です。これらの「企業個性」には、時代や環境の変化への「対応力」があると信じております。「人を想う心」を持った人材を育て上げ、日本の良き「共食」文化を世界に広げてまいります。
また、世界のマーケットでは、「和食」は日本の重要輸出品目であり、健康食としての和食ブームは今後もますます拡大していくことと考えております。
当社グループの店舗へのお客様の支持を獲得し続けていくために、当社グループは本来食事の持つ「おいしさ」、「あたたかさ」、「楽しさ」を大切にし、安全で美味しい商品を提供し続けてまいります。