有価証券報告書-第17期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
内閣府が発表しました平成29年10~12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%であり、平成29年7~9月期に引続き、我が国の景気動向はプラス基調であると言えます。
ただし、北朝鮮問題の緊迫化などの地政学リスクや、米国での政治動向など、海外には不透明な材料が多く、問題が深刻化した場合には世界経済に悪影響を与え、ひいては日本経済の減速を招く可能性があります。
日本国内の情報セキュリティ業界の動向について、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)が発表しました「2016年度情報セキュリティ市場調査報告書」によれば、国内情報セキュリティ市場の規模は2014年度から2017年度までの3か年において、年率5.1%で成長していると推定されており、2017年度は9,795億円になる見込みです。
また、中小企業に係る情報セキュリティ関連法案の動向について、平成29年5月30日に「改正個人情報保護法」が全面施行されたことにより、個人情報保護法上の義務を負う個人情報取扱事業者(注1)の定義が拡大し、取り扱う個人情報が5,000人分以下の小規模事業者についても、本法が適用されることとなりました。そのため、中小企業はこれまで以上に、情報セキュリティ対策を始めとする内部統制の強化を求められるようになりました。
一方で、中小企業における情報セキュリティに関する問題意識について、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表しました「2016年度中小企業における情報セキュリティ対策の実態調査」によれば、自社の情報セキュリティ対策を向上させるための必要な取組みとして、49.5%の企業は「従業員への情報セキュリティ意識向上」を挙げています。そして、「情報セキュリティ対策技術の習得・向上、対策ツールの利用・啓発」が必要だと考えている企業は、27.8%となっております。つまり、多くの企業において、情報セキュリティ対策に取り組む上で、情報セキュリティ製品の導入よりも、従業員の情報セキュリティ意識の向上が重要視されているということが伺えます。
当社は、前事業年度より、OA機器販売会社の新規開拓を重要な経営課題と位置付け、当事業年度において、九州・四国地域を中心にOA機器販売会社の開拓を進めてまいりました。その結果、取組みに一定の成果が現れ、売上高の増加に寄与いたしました。
また、製品面では、中小企業の内部統制強化に対処するための情報セキュリティ対策製品として、当事業年度において、「SecureAce(注2)」及び「AAM-2000(注3)」の販売を開始しました。
販売費及び一般管理費は、業務の効率化や経費削減に努めた結果、前年同期と比べ35,039千円減少し、営業損益及び経常損益の改善に貢献したものの黒字化には至りませんでした。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ72,079千円増加し、1,008,619千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ25,950千円増加し、590,901千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ46,128千円増加し、417,718千円となりました。
b.経営成績
当事業年度の売上高は678,613千円となり、前年同期と比べ68,944千円の増加となりました。営業損失は15,908千円(前年同期は営業損失110,712千円)、経常損失は10,819千円(前年同期は経常損失112,417千円)、当期純利益は13,978千円(前年同期は当期純損失357,685千円)となりました。
(注)1.改正個人情報保護法上で定義されている「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等をその事業活動に利用している事業者等のことであります。現実には、ほとんどの事業者がこの定義に該当すると考えられます。
2.当社は、平成29年6月9日に、「①マルウェア対策」「②業務ログ管理」「③早期データ回復」の3つの機能をオールインワンで統合した製品として、SecureAceの販売を開始しました。
3.AAM-2000は、UTM等では対応出来ない、ハッキングを目的とした悪意のある第三者の外部からのインターネット接続やWi-Fiを踏み台にした不正な接続、許可されていない私物のPC等を検知してブロックする装置であります。当社は、平成30年3月5日に当該製品の販売を開始しました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べ79,880千円増加し、840,831千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、44,578千円の獲得(前年同期は110,369千円の支出)となりました。主な要因として、税引前当期純利益14,750千円、前受金が29,290千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、7,024千円の獲得(前年同期は221,257千円の支出)となりました。主な要因として、保険積立金解約による収入15,457千円及び保険積立金の積立による支出7,111千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、28,277千円の獲得(前年同期は3,872千円の支出)となりました。これは、ストックオプションの行使による収入32,150千円及び割賦債務の返済による支出3,872千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
b.受注実績
当社は受注実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績について、当社は単一セグメントとしておりますが、製商品及びサービス別分類ごとに示すと、下表のとおりであります。
(注)1.アンチマルウェア及び業務管理関連製品に係る保守サービスの売上であります。
2.PC業務管理サーバー製品に係る保守サービスの売上であります。
3.Webデータベース関連商品に係る保守サービスの売上であります。
4.Webデータベース関連商品に係る付随サービス(商品設置支援等)の売上であります。
5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
6.前事業年度において、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の業績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りのもつ不確実性により、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、IFRS(国際財務報告基準)の適用につきましては、国内外の情勢を考慮の上、適切に対応していく方針であります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末における資産合計の額は、前事業年度末に比べ72,079千円増加し、1,008,619千円となりました。これは主に、新株予約権行使による資金流入及び税金還付等により、現金及び預金が79,880千円、売上高の増加により売掛金が13,258千円増加した一方で、その他流動資産が23,698千円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計の額は、前事業年度末に比べ25,950千円増加し、590,901千円となりました。これは主に、仕入の増加により買掛金が3,327千円、未払金が4,241千円、売上高の増加により前受金及び長期前受金が合わせて29,290千円、その他流動負債が11,872千円増加した一方で、役員退職慰労引当金が26,650千円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当事業年度末における純資産合計の額は、前事業年度末に比べ46,128千円増加し、417,718千円となりました。これは、新株予約権行使により資本金及び資本準備金が合わせて32,150千円、利益剰余金が13,978千円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
売上高につきましては、前事業年度に比べ68,944千円増加し、678,613千円となりました。これは、製品売上高が47,145千円、保守売上高及びその他の売上高がそれぞれ9,435千円、9,004千円増加したことが主な要因であります。
(売上総利益)
売上原価につきましては、前事業年度に比べ9,179千円増加いたしました。主に、売上高の増加に伴う原価率の改善により、当事業年度の売上総利益は364,014千円となり、前事業年度に比べ59,765千円増加しました。
(営業損失)
販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度に比べ35,039千円減少し、379,922千円となりました。これは、役員報酬が20,731千円、役員退職慰労金制度の廃止により役員退職慰労引当金繰入額が3,795千円減少したのに加え、前事業年度における固定資産の減損損失計上により減価償却費が5,985千円減少したことが主な要因であります。
この結果、当事業年度の営業損失は15,908千円(前事業年度は営業損失110,712千円)となりました。
(経常損失)
営業外収益につきましては、前事業年度に比べ5,955千円増加し、6,482千円となりました。これは、有価証券利息6,013千円を計上したことが主な要因であります。
この結果、当事業年度の経常損失は10,819千円(前事業年度は経常損失112,417千円)となりました。
(当期純利益)
当期純利益につきましては、前事業年度に比べ371,664千円増加し、13,978千円となりました。これは、特別利益として、退任した役員による役員退職慰労金の返上により役員退職慰労引当金戻入額を26,650千円計上したことが主な要因であります。
3)キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ79,880千円増加し、840,831千円となりました。
これは、営業活動によるキャッシュ・フローが44,578千円、財務活動によるキャッシュ・フローが28,277千円のそれぞれ獲得となったことが主な要因であります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、情報セキュリティ製品の開発・販売を事業として営んでいるため、業績については、情報セキュリティ市場の動向及び関連の法制度等の影響を受けております。
市場動向については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している通り、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)によれば、国内情報セキュリティ市場の規模は2014年度から2017年度までの3か年において、年率5.1%で成長していると推定されており、2017年度は9,795億円になる見込みです。今後も情報セキュリティ市場は、爆発的な規模拡大は望めないものの、堅調に成長していくと考えられます。
法制度については、同じく「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している通り、平成29年5月30日に「改正個人情報保護法」が全面施行されたことにより、個人情報保護法上の義務を負う個人情報取扱事業者(注1)の定義が拡大し、取り扱う個人情報が5,000人分以下の小規模事業者についても、本法が適用されることとなりました。そのため、中小企業はこれまで以上に、情報セキュリティ対策をはじめとする内部統制を求められるようになりました。このような法改正を背景に、当社の事業領域である中小企業における情報セキュリティ対策のニーズは強まると考えられます。
また、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が予想以上の速さで進行する中、企業は、成長を維持するために、情報通信技術(ICT)の活用等により労働生産性を向上させる必要に迫られております。そのような状況において、政府が平成29年3月に提出した「働き方改革実行計画」では、柔軟で多様な働き方の整備を推進するとともに多様な働き方の一つとして、優秀な人材を獲得し、継続して働いてもらう土台としてテレワーク(注2)を挙げており、大企業だけでなく、中小事業者の中でも働き方の多様化に取り組む企業は増加していくものと想定されます。
更に、前述の通り、平成29年5月に「改正個人情報保護法」が全面施行されたことにより、テレワーク等の多様な働き方を導入し実践するためにも、経営者は、これまで以上に、場所や時間を問わない労働環境下において、情報漏洩対策等の情報管理を強化しつつ、労働生産性の向上を求められるようになりました。それに加えて、大企業から中小規模事業者に至るまで、これらの課題の解決策に対するニーズの裾野は非常に広いものと思われます。
当社は、マルウェア対策に代表される狭義のセキュリティだけでなく、情報管理全般においてセキュアな環境を提供する製品を開発、販売しておりますが、翌事業年度以降、最終ユーザーが、セキュアな環境で管理された情報を経営資源として「活用する」、すなわち、「情報活用の視点」を当社のマーケティングや製品開発に加え、「セキュリティ+α」を強く意識した方針を掲げてまいります。
こうした情報活用の視点を加えるためには、最終ユーザーのニーズを今まで以上に的確につかむ必要があり、最終ユーザーとのより直接的なコミュニケーションが可能となる新たな販売経路、販売形態等も検討して参ります。
当社は、前事業年度において110,712千円の営業損失、当事業年度において15,908千円の営業損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。当社は、これらの事象等を解消するために、以下の事項に取り組んでまいります。
1)販路を拡大するための対策
大手通信機器メーカーへの新製品の供給や手薄だった九州・四国におけるOA機器販売会社の新規開拓等の施策に一定の成果が見られ、当社の当事業年度における売上高は回復基調にあります。また、当事業年度において、株式会社№1との共同企画商品として、「WALLIOR NWS-2T500SS及びClub One Systems NR-C500A(注3)」の販売を開始いたしました。翌事業年度においても、引き続き、取引先との新たな取り組みを展開するほか、OA機器販売会社の新規開拓を推進していくと共に、より規模の大きな中小企業を最終ユーザーとする代理店との契約を進めて参ります。
2)新販路の獲得
当社ホームページを全面的に刷新し、Webインバウンド・マーケティングからのリード(見込み顧客)獲得を目指すとともに、既存の販売店とも新たな協力体制を築きます。
3)新製品の開発
当事業年度以降、過去に販売した製品の保守期間の終了に伴う既存顧客のリプレイス需要が大きく増加することが見込まれており、当社は、既存顧客による製品の再購入を確実なものとするため、主力製品であるEX AntiMalwareシリーズの新製品として、EX AntiMalware v7の開発を進めてまいりました。当事業年度末までに製品開発がほぼ終了し、翌事業年度より販売を開始いたします。製品保守期間が終了する既存顧客については、タイムリーに対応できるよう販売会社との連携を強めて需要を取り込みます。
また、当社は、前事業年度において、従業員の勤務実態の把握や情報漏洩対策に有効な「PasoLog Server(注4)」の販売を開始し、当事業年度において、勤務実態把握の機能を含めた総合的な中小企業の情報管理の強化に対処するための製品として、「SecureAce(注5)」及び「AAM-2000(注6)」の販売を開始しました。
翌事業年度においては、働き方改革対応と情報管理強化へのニーズが一層高まる中、当社は、上記製品でそれらの需要の取込みを図ってまいります。そのために、既存の販売網に対する導入支援や教育を積極的に行なっていくことで製品の拡販を実施してまいります。
翌事業年度以降の新製品開発の方向性として、当社は、「情報の保護・管理から活用へ」、「セキュリティ+α」という視点から、働き方改革及び情報管理強化等のテーマに対応する新製品の開発に取り組んでまいります。
働き方改革に関連した「+α」としては、PasoLogの機能を拡張し、テレワークに必要と思われる様々な機能(ビデオ会議、チャット、勤怠管理、位置情報把握機能等)を付加する一方で、クラウドでの提供も検討して参ります。
4)新規事業開発における施策
IT企業として、第4次産業革命に対応するために、当社は、中小規模事業者向けのセキュリティソリューション事業に限らず、新規事業を積極的に推進する方針を掲げております。
特に、当社の情報トラッキング技術(追跡・監視・異常値発見)は、第4次産業革命のもとで、幅広い分野に応用することが可能であると考えられます。その中でも、特に注力すべき戦略分野を見定め、新規事業を推進していく予定であります。
新規事業を推進するための資金の確保につきましては、多様な資金調達手段の検討も予定してまいります。
5)組織体制の強化
当社は、持続的な成長を実現するためには、顧客に対して、より先進的な情報活用ソリューションを提供し、より高い顧客満足度を追求する必要があると考えております。そのため、新製品の開発を担う人材、また営業面での新規開拓に注力する人材等、各々の分野で活躍できる人材の育成に努めて更なる成長を図ってまいります。
当事業年度において、当社は、新たな人事評価制度の導入・運営を開始しました。翌事業年度以降において、当社は、組織の再編成及び人材の採用・育成を積極的に行うことで、新規事業の推進力及び新製品の開発能力を高めてまいります。
6)情報管理や内部管理体制の強化
当社は、個人情報を含む顧客情報の管理体制の強化を行うために、当事業年度において、プライバシーマークを取得いたしました。当社は、今後も、情報管理や内部管理体制の強化に努めてまいります。
当社は、当事業年度末において、840,831千円の現金及び預金残高があり、また、当該事象又は状況を解消、改善するために以上の対応策を講じていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(注)1.改正個人情報保護法上で定義されている「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等をその事業活動に利用している事業者等のことであります。現実には、ほとんどの事業者がこの定義に該当すると考えられます。
2.一般社団法人日本テレワークによれば、テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことであります。また、テレワークは自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つに分けられます。企業は、テレワークを導入することで、従業員の勤務実態の把握や情報漏洩の対策等の課題に対処する必要性が生じます。
3.WALLIOR NWS-2T500SS及びClub One Systems NR-C500Aは、当社と株式№1との共同企画商品であり、詳細は、平成29年9月28日に適時開示しました「当社と株式会社№1社の共同企画商品「WALLIOR NWS-2T500SS」販売開始に関するお知らせ」及び、平成29年11月17日に適時開示しました「当社と株式会社№1の共同企画新シリーズ商品販売開始に関するお知らせ」をご参照ください。
4.PasoLog Serverは、従業員の各PCにインストールしたプログラムが収集した操作ログを簡単に集計・分析した内容をブラウザで確認できる製品であります。企業は、本製品を導入することで、個人情報のみならず、企業内情報資産(人事情報、財務情報、顧客情報、経営情報など)を漏洩から防ぐとともに、万が一インシデントが発生した場合の責任所在を解析することが可能になります。
5.当社は、平成29年6月9日に、「①マルウェア対策」「②業務ログ管理」「③早期データ回復」の3つの機能をオールインワンで統合した製品として、SecureAceの販売を開始しました。
6.「AAM-2000」は、UTM等では対応出来ない、ハッキングを目的とした悪意のある第三者の外部からのインターネット接続やWi-Fiを踏み台にした不正な接続、許可されていない私物のPC等を検知してブロックする装置であります。当社は、平成30年3月5日に当該製品の販売を開始しました。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、仕入部材の購入費及びソフトウェアのロイヤリティ等の支払費用、販売費及び一般管理費等の経費であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金のほか多様な調達手段を検討してまいります。
なお、当事業年度末における借入金である有利子負債の残高は40,000千円、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は840,831千円となっております。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
内閣府が発表しました平成29年10~12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%であり、平成29年7~9月期に引続き、我が国の景気動向はプラス基調であると言えます。
ただし、北朝鮮問題の緊迫化などの地政学リスクや、米国での政治動向など、海外には不透明な材料が多く、問題が深刻化した場合には世界経済に悪影響を与え、ひいては日本経済の減速を招く可能性があります。
日本国内の情報セキュリティ業界の動向について、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)が発表しました「2016年度情報セキュリティ市場調査報告書」によれば、国内情報セキュリティ市場の規模は2014年度から2017年度までの3か年において、年率5.1%で成長していると推定されており、2017年度は9,795億円になる見込みです。
また、中小企業に係る情報セキュリティ関連法案の動向について、平成29年5月30日に「改正個人情報保護法」が全面施行されたことにより、個人情報保護法上の義務を負う個人情報取扱事業者(注1)の定義が拡大し、取り扱う個人情報が5,000人分以下の小規模事業者についても、本法が適用されることとなりました。そのため、中小企業はこれまで以上に、情報セキュリティ対策を始めとする内部統制の強化を求められるようになりました。
一方で、中小企業における情報セキュリティに関する問題意識について、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表しました「2016年度中小企業における情報セキュリティ対策の実態調査」によれば、自社の情報セキュリティ対策を向上させるための必要な取組みとして、49.5%の企業は「従業員への情報セキュリティ意識向上」を挙げています。そして、「情報セキュリティ対策技術の習得・向上、対策ツールの利用・啓発」が必要だと考えている企業は、27.8%となっております。つまり、多くの企業において、情報セキュリティ対策に取り組む上で、情報セキュリティ製品の導入よりも、従業員の情報セキュリティ意識の向上が重要視されているということが伺えます。
当社は、前事業年度より、OA機器販売会社の新規開拓を重要な経営課題と位置付け、当事業年度において、九州・四国地域を中心にOA機器販売会社の開拓を進めてまいりました。その結果、取組みに一定の成果が現れ、売上高の増加に寄与いたしました。
また、製品面では、中小企業の内部統制強化に対処するための情報セキュリティ対策製品として、当事業年度において、「SecureAce(注2)」及び「AAM-2000(注3)」の販売を開始しました。
販売費及び一般管理費は、業務の効率化や経費削減に努めた結果、前年同期と比べ35,039千円減少し、営業損益及び経常損益の改善に貢献したものの黒字化には至りませんでした。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ72,079千円増加し、1,008,619千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ25,950千円増加し、590,901千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ46,128千円増加し、417,718千円となりました。
b.経営成績
当事業年度の売上高は678,613千円となり、前年同期と比べ68,944千円の増加となりました。営業損失は15,908千円(前年同期は営業損失110,712千円)、経常損失は10,819千円(前年同期は経常損失112,417千円)、当期純利益は13,978千円(前年同期は当期純損失357,685千円)となりました。
(注)1.改正個人情報保護法上で定義されている「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等をその事業活動に利用している事業者等のことであります。現実には、ほとんどの事業者がこの定義に該当すると考えられます。
2.当社は、平成29年6月9日に、「①マルウェア対策」「②業務ログ管理」「③早期データ回復」の3つの機能をオールインワンで統合した製品として、SecureAceの販売を開始しました。
3.AAM-2000は、UTM等では対応出来ない、ハッキングを目的とした悪意のある第三者の外部からのインターネット接続やWi-Fiを踏み台にした不正な接続、許可されていない私物のPC等を検知してブロックする装置であります。当社は、平成30年3月5日に当該製品の販売を開始しました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べ79,880千円増加し、840,831千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、44,578千円の獲得(前年同期は110,369千円の支出)となりました。主な要因として、税引前当期純利益14,750千円、前受金が29,290千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、7,024千円の獲得(前年同期は221,257千円の支出)となりました。主な要因として、保険積立金解約による収入15,457千円及び保険積立金の積立による支出7,111千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、28,277千円の獲得(前年同期は3,872千円の支出)となりました。これは、ストックオプションの行使による収入32,150千円及び割賦債務の返済による支出3,872千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
b.受注実績
当社は受注実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績について、当社は単一セグメントとしておりますが、製商品及びサービス別分類ごとに示すと、下表のとおりであります。
製商品及びサービス別分類の名称 | 販売額 (千円) | 占有率 | 増減額 (千円) | 増減率 | |
製品売上高 | 499,203 | 73.6% | 47,145 | 10.4% | |
アンチマルウェア及び業務管理関連 | 418,415 | 61.7% | 63,958 | 18.0% | |
業務管理サーバー | 80,788 | 11.9% | △16,812 | △17.2% | |
商品売上高 | 3,360 | 0.5 | 3,360 | - | |
Webデータベース関連 | 3,360 | 0.5 | 3,360 | - | |
保守売上高 | 150,847 | 22.2% | 9,435 | 6.7% | |
アンチマルウェア及び業務管理関連 (注1) | 86,721 | 12.8% | 374 | 0.4% | |
業務管理サーバー(注2) | 19,270 | 2.8% | 15,961 | 482.4% | |
Webデータベース関連(注3) | 44,856 | 6.6% | △6,900 | △13.3% | |
その他の売上高 | 25,202 | 3.7% | 9,004 | 55.6% | |
Webデータベース関連(注4) | 9,020 | 1.3% | 8,248 | 1,068.6% | |
その他 | 16,181 | 2.4% | 755 | 4.9% | |
売上高合計 | 678,613 | 100.0% | 68,944 | 11.3% |
(注)1.アンチマルウェア及び業務管理関連製品に係る保守サービスの売上であります。
2.PC業務管理サーバー製品に係る保守サービスの売上であります。
3.Webデータベース関連商品に係る保守サービスの売上であります。
4.Webデータベース関連商品に係る付随サービス(商品設置支援等)の売上であります。
相手先 | 前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | ||
販売額(千円) | 割合(%) | 販売額(千円) | 割合(%) | |
サクサテクノ株式会社 | - | - | 80,711 | 11.9 |
5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
6.前事業年度において、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の業績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りのもつ不確実性により、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、IFRS(国際財務報告基準)の適用につきましては、国内外の情勢を考慮の上、適切に対応していく方針であります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末における資産合計の額は、前事業年度末に比べ72,079千円増加し、1,008,619千円となりました。これは主に、新株予約権行使による資金流入及び税金還付等により、現金及び預金が79,880千円、売上高の増加により売掛金が13,258千円増加した一方で、その他流動資産が23,698千円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計の額は、前事業年度末に比べ25,950千円増加し、590,901千円となりました。これは主に、仕入の増加により買掛金が3,327千円、未払金が4,241千円、売上高の増加により前受金及び長期前受金が合わせて29,290千円、その他流動負債が11,872千円増加した一方で、役員退職慰労引当金が26,650千円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当事業年度末における純資産合計の額は、前事業年度末に比べ46,128千円増加し、417,718千円となりました。これは、新株予約権行使により資本金及び資本準備金が合わせて32,150千円、利益剰余金が13,978千円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
売上高につきましては、前事業年度に比べ68,944千円増加し、678,613千円となりました。これは、製品売上高が47,145千円、保守売上高及びその他の売上高がそれぞれ9,435千円、9,004千円増加したことが主な要因であります。
(売上総利益)
売上原価につきましては、前事業年度に比べ9,179千円増加いたしました。主に、売上高の増加に伴う原価率の改善により、当事業年度の売上総利益は364,014千円となり、前事業年度に比べ59,765千円増加しました。
(営業損失)
販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度に比べ35,039千円減少し、379,922千円となりました。これは、役員報酬が20,731千円、役員退職慰労金制度の廃止により役員退職慰労引当金繰入額が3,795千円減少したのに加え、前事業年度における固定資産の減損損失計上により減価償却費が5,985千円減少したことが主な要因であります。
この結果、当事業年度の営業損失は15,908千円(前事業年度は営業損失110,712千円)となりました。
(経常損失)
営業外収益につきましては、前事業年度に比べ5,955千円増加し、6,482千円となりました。これは、有価証券利息6,013千円を計上したことが主な要因であります。
この結果、当事業年度の経常損失は10,819千円(前事業年度は経常損失112,417千円)となりました。
(当期純利益)
当期純利益につきましては、前事業年度に比べ371,664千円増加し、13,978千円となりました。これは、特別利益として、退任した役員による役員退職慰労金の返上により役員退職慰労引当金戻入額を26,650千円計上したことが主な要因であります。
3)キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ79,880千円増加し、840,831千円となりました。
これは、営業活動によるキャッシュ・フローが44,578千円、財務活動によるキャッシュ・フローが28,277千円のそれぞれ獲得となったことが主な要因であります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、情報セキュリティ製品の開発・販売を事業として営んでいるため、業績については、情報セキュリティ市場の動向及び関連の法制度等の影響を受けております。
市場動向については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している通り、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)によれば、国内情報セキュリティ市場の規模は2014年度から2017年度までの3か年において、年率5.1%で成長していると推定されており、2017年度は9,795億円になる見込みです。今後も情報セキュリティ市場は、爆発的な規模拡大は望めないものの、堅調に成長していくと考えられます。
法制度については、同じく「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している通り、平成29年5月30日に「改正個人情報保護法」が全面施行されたことにより、個人情報保護法上の義務を負う個人情報取扱事業者(注1)の定義が拡大し、取り扱う個人情報が5,000人分以下の小規模事業者についても、本法が適用されることとなりました。そのため、中小企業はこれまで以上に、情報セキュリティ対策をはじめとする内部統制を求められるようになりました。このような法改正を背景に、当社の事業領域である中小企業における情報セキュリティ対策のニーズは強まると考えられます。
また、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が予想以上の速さで進行する中、企業は、成長を維持するために、情報通信技術(ICT)の活用等により労働生産性を向上させる必要に迫られております。そのような状況において、政府が平成29年3月に提出した「働き方改革実行計画」では、柔軟で多様な働き方の整備を推進するとともに多様な働き方の一つとして、優秀な人材を獲得し、継続して働いてもらう土台としてテレワーク(注2)を挙げており、大企業だけでなく、中小事業者の中でも働き方の多様化に取り組む企業は増加していくものと想定されます。
更に、前述の通り、平成29年5月に「改正個人情報保護法」が全面施行されたことにより、テレワーク等の多様な働き方を導入し実践するためにも、経営者は、これまで以上に、場所や時間を問わない労働環境下において、情報漏洩対策等の情報管理を強化しつつ、労働生産性の向上を求められるようになりました。それに加えて、大企業から中小規模事業者に至るまで、これらの課題の解決策に対するニーズの裾野は非常に広いものと思われます。
当社は、マルウェア対策に代表される狭義のセキュリティだけでなく、情報管理全般においてセキュアな環境を提供する製品を開発、販売しておりますが、翌事業年度以降、最終ユーザーが、セキュアな環境で管理された情報を経営資源として「活用する」、すなわち、「情報活用の視点」を当社のマーケティングや製品開発に加え、「セキュリティ+α」を強く意識した方針を掲げてまいります。
こうした情報活用の視点を加えるためには、最終ユーザーのニーズを今まで以上に的確につかむ必要があり、最終ユーザーとのより直接的なコミュニケーションが可能となる新たな販売経路、販売形態等も検討して参ります。
当社は、前事業年度において110,712千円の営業損失、当事業年度において15,908千円の営業損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。当社は、これらの事象等を解消するために、以下の事項に取り組んでまいります。
1)販路を拡大するための対策
大手通信機器メーカーへの新製品の供給や手薄だった九州・四国におけるOA機器販売会社の新規開拓等の施策に一定の成果が見られ、当社の当事業年度における売上高は回復基調にあります。また、当事業年度において、株式会社№1との共同企画商品として、「WALLIOR NWS-2T500SS及びClub One Systems NR-C500A(注3)」の販売を開始いたしました。翌事業年度においても、引き続き、取引先との新たな取り組みを展開するほか、OA機器販売会社の新規開拓を推進していくと共に、より規模の大きな中小企業を最終ユーザーとする代理店との契約を進めて参ります。
2)新販路の獲得
当社ホームページを全面的に刷新し、Webインバウンド・マーケティングからのリード(見込み顧客)獲得を目指すとともに、既存の販売店とも新たな協力体制を築きます。
3)新製品の開発
当事業年度以降、過去に販売した製品の保守期間の終了に伴う既存顧客のリプレイス需要が大きく増加することが見込まれており、当社は、既存顧客による製品の再購入を確実なものとするため、主力製品であるEX AntiMalwareシリーズの新製品として、EX AntiMalware v7の開発を進めてまいりました。当事業年度末までに製品開発がほぼ終了し、翌事業年度より販売を開始いたします。製品保守期間が終了する既存顧客については、タイムリーに対応できるよう販売会社との連携を強めて需要を取り込みます。
また、当社は、前事業年度において、従業員の勤務実態の把握や情報漏洩対策に有効な「PasoLog Server(注4)」の販売を開始し、当事業年度において、勤務実態把握の機能を含めた総合的な中小企業の情報管理の強化に対処するための製品として、「SecureAce(注5)」及び「AAM-2000(注6)」の販売を開始しました。
翌事業年度においては、働き方改革対応と情報管理強化へのニーズが一層高まる中、当社は、上記製品でそれらの需要の取込みを図ってまいります。そのために、既存の販売網に対する導入支援や教育を積極的に行なっていくことで製品の拡販を実施してまいります。
翌事業年度以降の新製品開発の方向性として、当社は、「情報の保護・管理から活用へ」、「セキュリティ+α」という視点から、働き方改革及び情報管理強化等のテーマに対応する新製品の開発に取り組んでまいります。
働き方改革に関連した「+α」としては、PasoLogの機能を拡張し、テレワークに必要と思われる様々な機能(ビデオ会議、チャット、勤怠管理、位置情報把握機能等)を付加する一方で、クラウドでの提供も検討して参ります。
4)新規事業開発における施策
IT企業として、第4次産業革命に対応するために、当社は、中小規模事業者向けのセキュリティソリューション事業に限らず、新規事業を積極的に推進する方針を掲げております。
特に、当社の情報トラッキング技術(追跡・監視・異常値発見)は、第4次産業革命のもとで、幅広い分野に応用することが可能であると考えられます。その中でも、特に注力すべき戦略分野を見定め、新規事業を推進していく予定であります。
新規事業を推進するための資金の確保につきましては、多様な資金調達手段の検討も予定してまいります。
5)組織体制の強化
当社は、持続的な成長を実現するためには、顧客に対して、より先進的な情報活用ソリューションを提供し、より高い顧客満足度を追求する必要があると考えております。そのため、新製品の開発を担う人材、また営業面での新規開拓に注力する人材等、各々の分野で活躍できる人材の育成に努めて更なる成長を図ってまいります。
当事業年度において、当社は、新たな人事評価制度の導入・運営を開始しました。翌事業年度以降において、当社は、組織の再編成及び人材の採用・育成を積極的に行うことで、新規事業の推進力及び新製品の開発能力を高めてまいります。
6)情報管理や内部管理体制の強化
当社は、個人情報を含む顧客情報の管理体制の強化を行うために、当事業年度において、プライバシーマークを取得いたしました。当社は、今後も、情報管理や内部管理体制の強化に努めてまいります。
当社は、当事業年度末において、840,831千円の現金及び預金残高があり、また、当該事象又は状況を解消、改善するために以上の対応策を講じていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(注)1.改正個人情報保護法上で定義されている「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等をその事業活動に利用している事業者等のことであります。現実には、ほとんどの事業者がこの定義に該当すると考えられます。
2.一般社団法人日本テレワークによれば、テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことであります。また、テレワークは自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つに分けられます。企業は、テレワークを導入することで、従業員の勤務実態の把握や情報漏洩の対策等の課題に対処する必要性が生じます。
3.WALLIOR NWS-2T500SS及びClub One Systems NR-C500Aは、当社と株式№1との共同企画商品であり、詳細は、平成29年9月28日に適時開示しました「当社と株式会社№1社の共同企画商品「WALLIOR NWS-2T500SS」販売開始に関するお知らせ」及び、平成29年11月17日に適時開示しました「当社と株式会社№1の共同企画新シリーズ商品販売開始に関するお知らせ」をご参照ください。
4.PasoLog Serverは、従業員の各PCにインストールしたプログラムが収集した操作ログを簡単に集計・分析した内容をブラウザで確認できる製品であります。企業は、本製品を導入することで、個人情報のみならず、企業内情報資産(人事情報、財務情報、顧客情報、経営情報など)を漏洩から防ぐとともに、万が一インシデントが発生した場合の責任所在を解析することが可能になります。
5.当社は、平成29年6月9日に、「①マルウェア対策」「②業務ログ管理」「③早期データ回復」の3つの機能をオールインワンで統合した製品として、SecureAceの販売を開始しました。
6.「AAM-2000」は、UTM等では対応出来ない、ハッキングを目的とした悪意のある第三者の外部からのインターネット接続やWi-Fiを踏み台にした不正な接続、許可されていない私物のPC等を検知してブロックする装置であります。当社は、平成30年3月5日に当該製品の販売を開始しました。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、仕入部材の購入費及びソフトウェアのロイヤリティ等の支払費用、販売費及び一般管理費等の経費であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金のほか多様な調達手段を検討してまいります。
なお、当事業年度末における借入金である有利子負債の残高は40,000千円、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は840,831千円となっております。