四半期報告書-第18期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

【提出】
2018/11/14 15:02
【資料】
PDFをみる
【項目】
24項目
(1)業績の状況
内閣府が2018年9月に発表した2018年4~6月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比+0.7%(年率換算+3.0%)であり、我が国の経済には盛り返しの兆しが見えています。
一方で、先行きの景気動向にリスクも残っております。北朝鮮問題や中東情勢の緊迫化などの地政学リスクや、米中貿易戦争による影響など、海外には不透明な材料が多く、問題が深刻化した場合には世界経済に悪影響を与え、ひいては日本経済の減速を招く可能性があります。
日本国内の情報セキュリティ業界の動向について、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)が発表しました「国内情報セキュリティ市場2017年度調査報告(速報値)」によれば、国内情報セキュリティ市場の規模は2015年度から2018年度までの3ヶ年において、年率約5%で成長していると推定されており、2018年度は1兆455億円になる見込みです。市場全体としては、緩やかに成長しております。
当社は、当期において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識し、当該事象又は状況を解消、改善するための施策(注)を遂行しております。その中でも、「業績の早期黒字化」及び「新経営陣のもとで戦略を策定し、それを着実に実行する組織を作ること」を最優先課題として、施策を実行してまいりました。
このような環境のもと、当社における当第2四半期累計期間の売上高は386,636千円となり、前年同期と比べ43,469千円の増加となりました。売上増及び効率化による販売費及び一般管理費の減少が営業損益及び経営損益の改善に奏功し、営業損益及び経常損益における黒字化を達成することができました。この結果、営業利益は14,675千円(前年同期は営業損失16,226千円)、経常利益は17,479千円(前年同期は経常損失11,878千円)となりました。四半期純利益は22,915千円(前年同期比179.8%増加)となりました。
(注)施策の詳細及び進捗は、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)事業上及び財務上の対処すべき課題」をご参照ください。
(2)財政状態の分析
①資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当第2四半期会計期間末における資産合計の額は、前事業年度末に比べ36,564千円増加し、1,045,183千円となりました。これは主に、現金及び預金が55,468千円減少したことに対して、受取手形及び売掛金が6,722千円、有形固定資産及び投資その他の資産が合わせて81,707千円増加したことによるものであります。
(負債)
当第2四半期会計期間末における負債合計の額は、前事業年度末に比べ13,720千円増加し、604,621千円となりました。これは主に、役員退職慰労引当金が15,150千円減少した一方で、長期前受金及びその他固定負債が合わせて26,087千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計の額は、前事業年度末に比べ22,843千円増加し、440,562千円となりました。これは主に、利益剰余金が22,915千円増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当第2四半期累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の四半期末残高は、前年同四半期に比べ11,165千円減少し、785,363千円となりました。当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における営業活動の結果、獲得した資金は6,651千円(前年同期は11,563千円の収入)となりました。主な収入要因としては、税引前四半期純利益25,434千円に加えて、前受金の増加13,029千円がありました。主な支出要因としては、役員退職慰労引当金の減少15,150千円、売上債権の増加6,722千円、未払金の減少5,919千円がありました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における投資活動の結果、60,111千円の支出(前年同期は6,051千円の収入)となりました。主な支出要因としては、有形固定資産の取得による支出5,157千円、敷金及び保証金の差入による支出75,311千円がありました。主な収入要因としては、預り保証金の受入による収入23,444千円がありました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における財務活動の結果、2,007千円の支出(前年同期は17,963千円の収入)となりました。主な支出要因としては、割賦債務の返済による支出1,936千円がありました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は2018年6月22日開催の定時株主総会の決議をもって、新経営体制(注1)に移行しました。新経営体制のもと、当社は、事業規模の拡大及び企業価値の向上を図るために、6つの施策の実行に努めてまいりました。その結果、当第2四半期累計期間において、営業利益は14,675千円となり、営業損益における黒字化を達成することができました。
ただし、2019年3月期の通期業績予想がまだ不透明であることに加え、2017年3月期において110,712千円の営業損失、2018年3月期において15,908千円の営業損失を計上しているため、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
しかしながら、2018年9月末において、当社は、785,363千円の現金及び預金残高があり、さらに、上記の方針に基づいて、当該事象又は状況を解消、改善するために6つの施策を講じていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当社は、優先すべき経営課題は、2つであると考えております。
一つは、業績の早期黒字化であります。もう一つは、組織体制の強化に努めるとともに、組織全体の連帯感や経営への参画意識を高め、戦略策定能力及び戦略実行能力の高い組織を作り上げることであります。
そのため、当第2四半期累計期間において、当社は6つの施策のうち、業績の早期黒字化及び組織作りに係わるものに優先的に取り組みました。その他の施策(新製品の開発及び新規事業開発における施策)についても、できるだけ速やかに着手してまいります。
なお、6つの施策及びその進捗状況は、下記のとおりであります。
①販路を拡大するための対策
大手通信機器メーカーへの新製品の供給や手薄だった九州・四国におけるOA機器販売会社の新規開拓等の施策に一定の成果が見られ、当社の前事業年度における売上高は回復基調を示しております。また、前事業年度において、株式会社№1との共同企画商品として、「WALLIOR NWS-2T500SS」及び「Club One Systems NR-C500A(注2)」の販売を開始いたしました。当事業年度においても、引き続き、取引先との新たな取り組みを展開するほか、OA機器販売会社の新規開拓を推進していくと共に、より規模の大きな中小企業を最終ユーザーとする代理店との契約を進めてまいります。
当第2四半期累計期間において、新規の販売代理店が増加し、当社のターゲット顧客層もSMB(注3)から中堅企業へと広がりを見せております。
②新販路の獲得
当社ホームページを全面的に刷新し、Webインバウンド・マーケティングからのリード(見込み顧客)獲得を目指すとともに、既存の販売店とも新たな協力体制を築きます。
当第2四半期累計期間において、当社は企業ホームページを刷新したことにより、Webインバウンド・マーケティングを確立しつつあります。
③新製品の開発
前事業年度より、過去に販売した製品の保守期間の終了に伴う既存顧客のリプレイス需要が大きく増加することが見込まれており、当社は、既存顧客による製品の再購入を確実なものとするため、主力製品であるEX AntiMalwareシリーズの新製品として、EX AntiMalware v7(注4)の開発を進めてまいりましたが、2018年5月より販売を開始いたしました。
製品保守期間が終了する既存顧客については、タイムリーに対応できるよう販売会社との連携を強めて需要を取り込みます。
また、当社は、2017年3月期において、従業員の勤務実態の把握や情報漏洩対策に有効な「PasoLog Server(注5)」の販売を開始し、2018年3月期において、勤務実態把握の機能を含めた総合的な中小企業の情報管理の強化に対処するための製品として、「SecureAce(注6)」及び「AAM-2000(注7)」の販売を開始しました。
当事業年度においては、働き方改革対応と情報管理強化へのニーズが一層高まる中、当社は、上記製品でそれらの需要の取込みを図ってまいります。そのために、既存の販売網に対する導入支援や教育を積極的に行っていくことで製品の拡販を実施してまいります。
当事業年度以降の新製品開発の方向性として、当社は、「情報の保護・管理から活用へ」、「セキュリティ+α」という視点から、働き方改革及び情報管理強化等のテーマに対応する新製品の開発に取り組んでまいります。
働き方改革に関連した「+α」としては、PasoLogの機能を拡張し、テレワークに必要と思われる様々な機能(ビデオ会議、チャット、勤怠管理、位置情報把握機能等)を付加する一方で、クラウドでの提供も検討してまいります。
④新規事業開発における施策
IT企業として、第4次産業革命に対応するために、当社は、中小規模事業者向けのセキュリティソリューション事業に限らず、新規事業を積極的に推進する方針を掲げております。
特に、当社の情報トラッキング技術(追跡・監視・異常値発見)は、第4次産業革命のもとで、幅広い分野に応用することが可能であると考えられます。その中でも、特に注力すべき戦略分野を見定め、新規事業を推進していく予定であります。
新規事業を推進するための資金の確保につきましては、多様な資金調達手段の検討も予定してまいります。
⑤組織体制の強化
当社は、持続的な成長を実現するためには、顧客に対して、より先進的な情報活用ソリューションを提供し、より高い顧客満足度を追求する必要があると考えております。そのため、新製品の開発を担う人材、また営業面での新規開拓に注力する人材等、各々の分野で活躍できる人材の育成に努めて更なる成長を図ってまいります。
前事業年度において、当社は、新たな人事評価制度の導入・運営を開始しました。当事業年度より、当社は、組織の再編成及び人材の採用・育成を積極的に行うことで、新規事業の推進力及び新製品の開発能力を高めてまいります。
当第2四半期累計期間において、当社は人事制度の見直しを実施するとともに、新株予約権(注8)の発行を決定いたしました。
⑥情報管理や内部管理体制の強化
当社は、個人情報を含む顧客情報の管理体制の強化を行うために、前事業年度において、プライバシーマークを取得いたしました。当社は、今後も、情報管理や内部管理体制の強化に努めてまいります。
当第2四半期累計期間において、当社は社内システムの再構築及び新システムの導入、業務プロセスの効率化を推進いたしました。
(注)1.当社の新経営体制に関する詳細は、2018年6月22日に開示しました「定時株主総会における決議及び新役員体制に関するお知らせ」をご参照ください。
2.WALLIOR NWS-2T500SS及びClub One Systems NR-C500Aは、当社と株式№1との共同企画商品であり、詳細は、2017年9月28日に適時開示しました「当社と株式会社№1社の共同企画商品「WALLIOR NWS2T500SS」販売開始に関するお知らせ」及び、2017年11月17日に適時開示しました「当社と株式会社№1の共同企画新シリーズ商品販売開始に関するお知らせ」をご参照ください。
3.SMBとは、Small to Medium Businessの省略表記であり、一般的に300人以下の中小企業を指します。
4.「EX AntiMalware v7」の詳細については、2018年5月9日に当社が開示しました「エンドポイントマルウェア対策「EX AntiMalware v7」を販売開始」(https://www.fuva-brain.co.jp/news/n474/)をご参照ください。
5.PasoLog Serverは、従業員の各PCにインストールしたプログラムが収集した操作ログを簡単に集計・分析した内容をブラウザで確認できる製品であります。企業は、本製品を導入することで、個人情報のみならず、企業内情報資産(人事情報、財務情報、顧客情報、経営情報など)を漏洩から防ぐとともに、万が一インシデントが発生した場合の責任所在を解析することが可能になります。
6.当社は、2017年6月9日に、「①マルウェア対策」「②業務ログ管理」「③早期データ回復」の3つの機能をオールインワンで統合した製品として、SecureAceの販売を開始しました。
7.「AAM-2000」は、UTM等では対応出来ない、ハッキングを目的とした悪意のある第三者の外部からのインターネット接続やWi-Fiを踏み台にした不正な接続、許可されていない私物のPC等を検知してブロックする装置であります。当社は、2018年3月5日に当該製品の販売を開始しました。
8.新株予約権発行の詳細については、2018年9月14日に同日開示しました「ストック・オプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ」及び「募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ」をご参照ください。
(4)研究開発活動
当第2四半期累計期間の研究開発費の総額は1,664千円であります。
当第2四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はございません。