有価証券報告書-第18期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
内閣府が発表した2018年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.5%(年率+1.9%)と2四半期ぶりにプラスとなりましたが、海外需要の前期比寄与度は-0.3%で3四半期連続のマイナス寄与となっており、米中による貿易戦争等の海外動向の影響が引き続き懸念される状況と言えます。また、公益社団法人日本経済研究センターが発表した民間エコノミストによる経済見通し「ESPフォーキャスト」によれば、2019年1~3月期の実質GDP成長率は前四半期(2018年10~12月期)比-0.06%で、景気のリスクとして中国景気の悪化が懸念されております。
米中の貿易戦争とそれに伴う中国景気の懸念だけでなく、米国経済の先行き懸念並びに英国のEU離脱問題の長期化等、海外には不透明な材料が多く、問題が深刻化した場合には世界経済に悪影響を与え、日本経済の減速を招く可能性があります。
日本国内の情報セキュリティ業界の動向については、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)が発表した「2017年度 国内情報セキュリティ市場調査(速報値)」によれば、国内情報セキュリティ市場の規模は2015年度から2018年度までの3カ年において、年率約5%で成長していると推定されており、IT専門調査会社IDC Japan株式会社が発表した国内情報セキュリティ市場予測によれば、国内セキュリティソフトウェア市場、国内セキュリティアプライアンス市場、国内セキュリティサービス市場において、それぞれ2017年から2022年の年間平均成長率が3.4%、2.9%、5.1%と予想されており、市場全体として、引き続き成長が見込まれております。
また、日本国内の企業を取り巻く情勢については、総務省が発表した人口推計(2018年10月確定値)によれば、生産年齢(15~64歳)人口は前年同月比51万2千人減少の7545万1千人となり、全体に占める割合が59.7%と過去最低の状況にあります。企業は、成長を維持するために、情報通信技術(ICT)の活用等により労働生産性を向上させる必要に迫られております。
そのような状況において、政府が2017年3月に提出した「働き方改革実行計画」では、柔軟で多様な働き方の整備を推進するとともに多様な働き方の1つとして、優秀な人材を獲得し、継続して働いてもらう土台としてテレワークを挙げており、大規模事業者だけでなく、中小規模事業者の中でも働き方の多様化に取り組む企業は増加していくものと想定されます。2018年6月の「働き方改革関連法案」可決・成立により、2019年4月に各法案が施行され、テレワーク等の多様な働き方を導入・実践するためにも、経営者は、これまで以上に、場所や時間を問わない労働環境下において、情報漏洩対策等の情報管理を強化しつつ、労働生産性の向上を求められるようになりました。
当社は当事業年度において、2018年6月22日開催の定時株主総会の決議をもって、新経営体制に移行いたしました。新経営体制のもと、事業方針を、マルウェア対策に代表される狭義のセキュリティ及び情報管理全般においてセキュアな環境を提供する「情報の保護・管理」の視点から、最終ユーザーが、セキュアな環境で管理された情報を経営資源として戦略的に活用する「情報の活用」及び「セキュリティ+α」を強く意識した視点へと転換いたしました。
この方針のもと、組織体制の見直し及び強化を行い、営業面においては、過年度までの特定地域への一点集中型の営業展開から、営業活動が手薄でありました地域への営業拠点の新規開設によって、営業拠点及び隣接地域への積極的な販路拡大を見据えた面開拓の営業戦略へ転換を推進しております。当社は、2016年より大阪オフィスを開設しておりましたが、面開拓の営業戦略の一環として、新潟及び福岡において新規営業拠点を開設いたしました。
上記「情報の保護・管理」から「情報の活用」及び「セキュリティ+α」への事業方針の転換並びに営業戦略活動が奏功し、加えて、持続的な成長を実現するための組織体制の見直し及び強化を行った結果、当事業年度では、後記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」のとおり、「業務管理サーバー」製品売上高及び「Webデータベース関連」商品売上高が、前事業年度と比べ54,609千円、123,190千円とそれぞれ増加し、さらに「業務管理サーバー」製品売上高の増加に伴う「業務管理サーバー」保守売上高が前事業年度と比べ16,311千円増加いたしました。その結果、売上高909,391千円(前年同期比34.0%増)となり、営業利益16,931千円(前年同期は営業損失15,908千円)、経常利益21,464千円(前年同期は経常損失10,819千円)、当期純利益は23,153千円(前年同期比65.6%増)と営業利益及び経常利益における3期ぶりの黒字化並びに当期純利益では増益を達成いたしました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ174,572千円増加し、1,183,192千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ141,477千円増加し、732,378千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ33,095千円増加し、450,814千円となりました。
b.経営成績
当事業年度の売上高は909,391千円となり、前年同期と比べ230,777千円(34.0%)の増加となりました。営業利益は16,931千円(前年同期は営業損失15,908千円)、経常利益は21,464千円(前年同期は経常損失10,819千円)、当期純利益は23,153千円(前年同期比65.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べ103,894千円減少し、736,936千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、8,754千円の獲得(前年同期比80.4%減)となりました。主な要因は、税引前当期純利益20,943千円並びに仕入債務及び前受金がそれぞれ16,097千円、111,825千円増加した一方、売上債権及び前払費用がそれぞれ42,256千円、83,598千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、127,293千円の支出(前年同期は7,024千円の獲得)となりました。主な要因は、本社移転及び新規営業所開設等により、有形固定資産の取得による支出82,160千円及び敷金の差入による支出79,291千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、14,792千円の獲得(前年同期比47.7%減)となりました。主な要因は、短期借入金10,000千円の増加及び新株予約権の発行による収入8,520千円並びに割賦債務の返済による支出3,872千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
b.受注実績
当社は受注実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績について、当社は単一セグメントとしておりますが、製商品及びサービス別分類ごとに示すと、下表のとおりであります。
(注)1.アンチマルウェア及び業務管理関連製品に係る保守サービスの売上高であります。
2.業務管理サーバー製品に係る保守サービスの売上高であります。
3.Webデータベース関連商品に係る保守サービスの売上高であります。
4.Webデータベース関連商品に係る付随サービス(商品設置支援等)の売上高であります。
5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
6.当事業年度において、サクサテクノ株式会社は損益計算書の売上高の10%以上を占めなかったため記載を省略しております。
7.前事業年度において、株式会社No.1及びネットワンシステムズ株式会社は損益計算書の売上高の10%以上を占めなかったため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の業績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りのもつ不確実性により、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、IFRS(国際財務報告基準)の適用につきましては、国内外の情勢を考慮の上、適切に対応していく方針であります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末における資産合計の額は、前事業年度末に比べ174,572千円増加し、1,183,192千円となりました。これは主に、売上高の増加により売掛金が41,358千円増加、商品売上高増加に伴う保守費用の増加により前払費用及び長期前払費用が合わせて83,587千円増加、本社移転並びに営業所の新規開設に伴い建物及び工具、器具及び備品並びに敷金がそれぞれ62,285千円、22,435千円、65,576千円増加した一方、現金及び預金が103,894千円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計の額は、前事業年度末に比べ141,477千円増加し、732,378千円となりました。これは主に、売上高増加に伴う仕入の増加により買掛金が16,097千円、保守売上高の増加により前受金及び長期前受金が合わせて111,825千円増加し、その他固定負債が23,444千円発生した一方、役員退職慰労引当金が15,150千円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当事業年度末における純資産合計の額は、前事業年度末に比べ33,095千円増加し、450,814千円となりました。これは主に、繰越利益剰余金が23,153千円増加し、新株予約権が9,798千円発生したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
売上高につきましては、前事業年度に比べ230,777千円増加し、909,391千円となりました。主な要因は、業務管理サーバー製品売上高が54,609千円増加し、製品売上高合計で80,739千円、Webデータベース関連商品売上高が123,190千円、業務管理サーバー製品売上高増に伴う業務管理サーバー保守売上高が16,311千円増加し、保守売上高合計で22,642千円及びその他の売上高が4,204千円それぞれ増加したことによるものであります。
(売上総利益)
売上総利益につきましては、前事業年度に比べ100,678千円(27.7%)増加し、464,693千円となりました。売上原価につきましては、前事業年度に比べ130,098千円増加いたしました。主な要因は、商品売上高増加に伴う商品仕入高の増加によるものであります。
(営業利益)
営業利益につきましては、前事業年度の営業損失15,908千円に対して、当事業年度は16,931千円となりました。販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度に比べ67,839千円増加し、447,762千円となりました。主な要因は、当事業年度における事業方針の転換に伴う組織体制強化による人件費関連経費等が増加したことによりますが、その他経費の削減等により売上高に占める比率は低下いたしました。
(経常利益)
経常利益につきましては、前事業年度の経常損失10,819千円に対して、当事業年度は21,464千円となりました。営業外収益及び費用につきましては、当事業年度において投資有価証券売却益及び助成金収入並びに保険解約返戻金等が発生したことにより、差引4,532千円となり、経常利益に対してプラス寄与となりました。
(当期純利益)
当期純利益につきましては、前事業年度に比べ9,174千円(65.6%)増加し、23,153千円となりました。主な要因は、上記のとおり、売上高の増加並びに販売費および一般管理費の比率低下により営業利益が16,931千円となったことによるものであります。特別利益及び特別損失につきましては、退任した役員による役員退職慰労金の返上により役員退職慰労引当金戻入額15,150千円を特別利益に計上した一方、当事業年度における本社移転費用15,671千円を特別損失に計上いたしました。
3)キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ103,894千円減少し、736,936千円となりました。
これは、営業活動によるキャッシュ・フローが8,754千円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローが127,293千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが14,792千円の獲得となったことが主な要因であります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、新経営体制のもと「情報の保護・管理」から「情報の活用」及び「セキュリティ+α」への事業方針を転換いたしましたが、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」に記載のとおり、情報セキュリティ製品にあたる「アンチマルウェア及び業務管理関連」製品売上高が全体売上高において、高い占有率であり、業績については、情報セキュリティ市場の動向及び関連の法制度等の影響が引き続き大きい状況にあると認識しております。
市場動向については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)並びにIT専門調査会社IDC Japan株式会社の発表した市場予測において、引き続き成長が見込まれております。
一方、同じく「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、国内企業を取り巻く環境では、人手不足が深刻化し、政府による「働き方改革」の推進に伴い、企業規模を問わず、多くの企業が優秀な人材の獲得と継続して働いてもらうために、「働き方改革」を迫られております。この流れを後押しする形で、第4次産業革命と呼ばれる情報通信技術(ICT)発展の加速によって、「定められた環境での就業」から、「場所や時間にとらわれない働き方」として、テレワーク等の働き方の多様化に取り組む企業が増加しております。
当社は、「情報の保護・管理」から「情報の活用」及び「セキュリティ+α」への事業方針を転換し、組織体制の見直し及び強化を行いました。営業面においては、過年度までの特定地域への一点集中型の営業展開から、営業活動が手薄であった地域への営業拠点の新規開設によって、営業拠点及び隣接地域への積極的な販路拡大を見据えた面開拓の営業戦略へ転換を推進しております。当社は、2016年より大阪オフィスを開設しておりましたが、面開拓の営業戦略の一環として、新潟及び福岡において新規営業拠点を開設いたしました。また、Webデータベース関連商品の販売・保守チームをネットワークセキュリティ事業部として独立した組織体制としたことで、一定の成果が見られ、業務管理サーバー製品及びWebデータベース関連商品の売上高が前期より大幅に増加いたしました。
業務管理サーバー製品の売上高増加から、「働き方改革」にかかる企業ニーズは高く、また、大規模事業者から中小規模事業者に至るまで、企業規模を問わず、これらの課題の解決策に対するニーズの裾野は非常に広いものと思われます。当社は、「働き方改革」需要を取り込むため、企業の働き方改革と労働生産性向上に貢献する新製品として、就業場所にとらわれずに情報機器の操作情報の収集を可能とし、働き方分析や内部不正対策、IT資産管理が行える「Eye“247”(アイ・トゥエンティフォー/セブン)」の開発及び販売について公表しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、仕入部材の購入費及びソフトウェアのロイヤリティ等の支払費用、販売費及び一般管理費等の経費であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金のほか多様な調達手段を検討してまいります。
なお、当事業年度末における借入金である有利子負債の残高は50,000千円、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は736,936千円となっております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
内閣府が発表した2018年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.5%(年率+1.9%)と2四半期ぶりにプラスとなりましたが、海外需要の前期比寄与度は-0.3%で3四半期連続のマイナス寄与となっており、米中による貿易戦争等の海外動向の影響が引き続き懸念される状況と言えます。また、公益社団法人日本経済研究センターが発表した民間エコノミストによる経済見通し「ESPフォーキャスト」によれば、2019年1~3月期の実質GDP成長率は前四半期(2018年10~12月期)比-0.06%で、景気のリスクとして中国景気の悪化が懸念されております。
米中の貿易戦争とそれに伴う中国景気の懸念だけでなく、米国経済の先行き懸念並びに英国のEU離脱問題の長期化等、海外には不透明な材料が多く、問題が深刻化した場合には世界経済に悪影響を与え、日本経済の減速を招く可能性があります。
日本国内の情報セキュリティ業界の動向については、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)が発表した「2017年度 国内情報セキュリティ市場調査(速報値)」によれば、国内情報セキュリティ市場の規模は2015年度から2018年度までの3カ年において、年率約5%で成長していると推定されており、IT専門調査会社IDC Japan株式会社が発表した国内情報セキュリティ市場予測によれば、国内セキュリティソフトウェア市場、国内セキュリティアプライアンス市場、国内セキュリティサービス市場において、それぞれ2017年から2022年の年間平均成長率が3.4%、2.9%、5.1%と予想されており、市場全体として、引き続き成長が見込まれております。
また、日本国内の企業を取り巻く情勢については、総務省が発表した人口推計(2018年10月確定値)によれば、生産年齢(15~64歳)人口は前年同月比51万2千人減少の7545万1千人となり、全体に占める割合が59.7%と過去最低の状況にあります。企業は、成長を維持するために、情報通信技術(ICT)の活用等により労働生産性を向上させる必要に迫られております。
そのような状況において、政府が2017年3月に提出した「働き方改革実行計画」では、柔軟で多様な働き方の整備を推進するとともに多様な働き方の1つとして、優秀な人材を獲得し、継続して働いてもらう土台としてテレワークを挙げており、大規模事業者だけでなく、中小規模事業者の中でも働き方の多様化に取り組む企業は増加していくものと想定されます。2018年6月の「働き方改革関連法案」可決・成立により、2019年4月に各法案が施行され、テレワーク等の多様な働き方を導入・実践するためにも、経営者は、これまで以上に、場所や時間を問わない労働環境下において、情報漏洩対策等の情報管理を強化しつつ、労働生産性の向上を求められるようになりました。
当社は当事業年度において、2018年6月22日開催の定時株主総会の決議をもって、新経営体制に移行いたしました。新経営体制のもと、事業方針を、マルウェア対策に代表される狭義のセキュリティ及び情報管理全般においてセキュアな環境を提供する「情報の保護・管理」の視点から、最終ユーザーが、セキュアな環境で管理された情報を経営資源として戦略的に活用する「情報の活用」及び「セキュリティ+α」を強く意識した視点へと転換いたしました。
この方針のもと、組織体制の見直し及び強化を行い、営業面においては、過年度までの特定地域への一点集中型の営業展開から、営業活動が手薄でありました地域への営業拠点の新規開設によって、営業拠点及び隣接地域への積極的な販路拡大を見据えた面開拓の営業戦略へ転換を推進しております。当社は、2016年より大阪オフィスを開設しておりましたが、面開拓の営業戦略の一環として、新潟及び福岡において新規営業拠点を開設いたしました。
上記「情報の保護・管理」から「情報の活用」及び「セキュリティ+α」への事業方針の転換並びに営業戦略活動が奏功し、加えて、持続的な成長を実現するための組織体制の見直し及び強化を行った結果、当事業年度では、後記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」のとおり、「業務管理サーバー」製品売上高及び「Webデータベース関連」商品売上高が、前事業年度と比べ54,609千円、123,190千円とそれぞれ増加し、さらに「業務管理サーバー」製品売上高の増加に伴う「業務管理サーバー」保守売上高が前事業年度と比べ16,311千円増加いたしました。その結果、売上高909,391千円(前年同期比34.0%増)となり、営業利益16,931千円(前年同期は営業損失15,908千円)、経常利益21,464千円(前年同期は経常損失10,819千円)、当期純利益は23,153千円(前年同期比65.6%増)と営業利益及び経常利益における3期ぶりの黒字化並びに当期純利益では増益を達成いたしました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ174,572千円増加し、1,183,192千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ141,477千円増加し、732,378千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ33,095千円増加し、450,814千円となりました。
b.経営成績
当事業年度の売上高は909,391千円となり、前年同期と比べ230,777千円(34.0%)の増加となりました。営業利益は16,931千円(前年同期は営業損失15,908千円)、経常利益は21,464千円(前年同期は経常損失10,819千円)、当期純利益は23,153千円(前年同期比65.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べ103,894千円減少し、736,936千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、8,754千円の獲得(前年同期比80.4%減)となりました。主な要因は、税引前当期純利益20,943千円並びに仕入債務及び前受金がそれぞれ16,097千円、111,825千円増加した一方、売上債権及び前払費用がそれぞれ42,256千円、83,598千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、127,293千円の支出(前年同期は7,024千円の獲得)となりました。主な要因は、本社移転及び新規営業所開設等により、有形固定資産の取得による支出82,160千円及び敷金の差入による支出79,291千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、14,792千円の獲得(前年同期比47.7%減)となりました。主な要因は、短期借入金10,000千円の増加及び新株予約権の発行による収入8,520千円並びに割賦債務の返済による支出3,872千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
b.受注実績
当社は受注実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績について、当社は単一セグメントとしておりますが、製商品及びサービス別分類ごとに示すと、下表のとおりであります。
製商品及びサービス別分類の名称 | 販売額 (千円) | 占有率 | 増減額 (千円) | 増減率 | |
製品売上高 | 579,942 | 63.8% | 80,739 | 16.2% | |
アンチマルウェア及び業務管理関連 | 444,545 | 48.9% | 26,129 | 6.2% | |
業務管理サーバー | 135,397 | 14.9% | 54,609 | 67.6% | |
商品売上高 | 126,550 | 13.9% | 123,190 | 3,666.3% | |
Webデータベース関連 | 126,550 | 13.9% | 123,190 | 3,666.3% | |
保守売上高 | 173,490 | 19.1% | 22,642 | 15.0% | |
アンチマルウェア及び業務管理関連 (注1) | 89,438 | 9.8% | 2,716 | 3.1% | |
業務管理サーバー(注2) | 35,581 | 3.9% | 16,311 | 84.6% | |
Webデータベース関連(注3) | 48,470 | 5.3% | 3,614 | 8.1% | |
その他の売上高 | 29,407 | 3.2% | 4,204 | 16.7% | |
Webデータベース関連(注4) | 13,353 | 1.5% | 4,332 | 48.0% | |
その他 | 16,053 | 1.8% | △128 | △0.8% | |
売上高合計 | 909,391 | 100.0% | 230,777 | 34.0% |
(注)1.アンチマルウェア及び業務管理関連製品に係る保守サービスの売上高であります。
2.業務管理サーバー製品に係る保守サービスの売上高であります。
3.Webデータベース関連商品に係る保守サービスの売上高であります。
4.Webデータベース関連商品に係る付随サービス(商品設置支援等)の売上高であります。
相手先 | 前事業年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
販売額(千円) | 割合(%) | 販売額(千円) | 割合(%) | |
サクサテクノ株式会社 | 80,711 | 11.9 | - | - |
株式会社No.1 | - | - | 92,088 | 10.1 |
ネットワンシステムズ株式会社 | - | - | 91,441 | 10.1 |
5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
6.当事業年度において、サクサテクノ株式会社は損益計算書の売上高の10%以上を占めなかったため記載を省略しております。
7.前事業年度において、株式会社No.1及びネットワンシステムズ株式会社は損益計算書の売上高の10%以上を占めなかったため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の業績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りのもつ不確実性により、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、IFRS(国際財務報告基準)の適用につきましては、国内外の情勢を考慮の上、適切に対応していく方針であります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末における資産合計の額は、前事業年度末に比べ174,572千円増加し、1,183,192千円となりました。これは主に、売上高の増加により売掛金が41,358千円増加、商品売上高増加に伴う保守費用の増加により前払費用及び長期前払費用が合わせて83,587千円増加、本社移転並びに営業所の新規開設に伴い建物及び工具、器具及び備品並びに敷金がそれぞれ62,285千円、22,435千円、65,576千円増加した一方、現金及び預金が103,894千円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計の額は、前事業年度末に比べ141,477千円増加し、732,378千円となりました。これは主に、売上高増加に伴う仕入の増加により買掛金が16,097千円、保守売上高の増加により前受金及び長期前受金が合わせて111,825千円増加し、その他固定負債が23,444千円発生した一方、役員退職慰労引当金が15,150千円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当事業年度末における純資産合計の額は、前事業年度末に比べ33,095千円増加し、450,814千円となりました。これは主に、繰越利益剰余金が23,153千円増加し、新株予約権が9,798千円発生したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
売上高につきましては、前事業年度に比べ230,777千円増加し、909,391千円となりました。主な要因は、業務管理サーバー製品売上高が54,609千円増加し、製品売上高合計で80,739千円、Webデータベース関連商品売上高が123,190千円、業務管理サーバー製品売上高増に伴う業務管理サーバー保守売上高が16,311千円増加し、保守売上高合計で22,642千円及びその他の売上高が4,204千円それぞれ増加したことによるものであります。
(売上総利益)
売上総利益につきましては、前事業年度に比べ100,678千円(27.7%)増加し、464,693千円となりました。売上原価につきましては、前事業年度に比べ130,098千円増加いたしました。主な要因は、商品売上高増加に伴う商品仕入高の増加によるものであります。
(営業利益)
営業利益につきましては、前事業年度の営業損失15,908千円に対して、当事業年度は16,931千円となりました。販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度に比べ67,839千円増加し、447,762千円となりました。主な要因は、当事業年度における事業方針の転換に伴う組織体制強化による人件費関連経費等が増加したことによりますが、その他経費の削減等により売上高に占める比率は低下いたしました。
(経常利益)
経常利益につきましては、前事業年度の経常損失10,819千円に対して、当事業年度は21,464千円となりました。営業外収益及び費用につきましては、当事業年度において投資有価証券売却益及び助成金収入並びに保険解約返戻金等が発生したことにより、差引4,532千円となり、経常利益に対してプラス寄与となりました。
(当期純利益)
当期純利益につきましては、前事業年度に比べ9,174千円(65.6%)増加し、23,153千円となりました。主な要因は、上記のとおり、売上高の増加並びに販売費および一般管理費の比率低下により営業利益が16,931千円となったことによるものであります。特別利益及び特別損失につきましては、退任した役員による役員退職慰労金の返上により役員退職慰労引当金戻入額15,150千円を特別利益に計上した一方、当事業年度における本社移転費用15,671千円を特別損失に計上いたしました。
3)キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ103,894千円減少し、736,936千円となりました。
これは、営業活動によるキャッシュ・フローが8,754千円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローが127,293千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが14,792千円の獲得となったことが主な要因であります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、新経営体制のもと「情報の保護・管理」から「情報の活用」及び「セキュリティ+α」への事業方針を転換いたしましたが、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」に記載のとおり、情報セキュリティ製品にあたる「アンチマルウェア及び業務管理関連」製品売上高が全体売上高において、高い占有率であり、業績については、情報セキュリティ市場の動向及び関連の法制度等の影響が引き続き大きい状況にあると認識しております。
市場動向については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)並びにIT専門調査会社IDC Japan株式会社の発表した市場予測において、引き続き成長が見込まれております。
一方、同じく「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、国内企業を取り巻く環境では、人手不足が深刻化し、政府による「働き方改革」の推進に伴い、企業規模を問わず、多くの企業が優秀な人材の獲得と継続して働いてもらうために、「働き方改革」を迫られております。この流れを後押しする形で、第4次産業革命と呼ばれる情報通信技術(ICT)発展の加速によって、「定められた環境での就業」から、「場所や時間にとらわれない働き方」として、テレワーク等の働き方の多様化に取り組む企業が増加しております。
当社は、「情報の保護・管理」から「情報の活用」及び「セキュリティ+α」への事業方針を転換し、組織体制の見直し及び強化を行いました。営業面においては、過年度までの特定地域への一点集中型の営業展開から、営業活動が手薄であった地域への営業拠点の新規開設によって、営業拠点及び隣接地域への積極的な販路拡大を見据えた面開拓の営業戦略へ転換を推進しております。当社は、2016年より大阪オフィスを開設しておりましたが、面開拓の営業戦略の一環として、新潟及び福岡において新規営業拠点を開設いたしました。また、Webデータベース関連商品の販売・保守チームをネットワークセキュリティ事業部として独立した組織体制としたことで、一定の成果が見られ、業務管理サーバー製品及びWebデータベース関連商品の売上高が前期より大幅に増加いたしました。
業務管理サーバー製品の売上高増加から、「働き方改革」にかかる企業ニーズは高く、また、大規模事業者から中小規模事業者に至るまで、企業規模を問わず、これらの課題の解決策に対するニーズの裾野は非常に広いものと思われます。当社は、「働き方改革」需要を取り込むため、企業の働き方改革と労働生産性向上に貢献する新製品として、就業場所にとらわれずに情報機器の操作情報の収集を可能とし、働き方分析や内部不正対策、IT資産管理が行える「Eye“247”(アイ・トゥエンティフォー/セブン)」の開発及び販売について公表しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、仕入部材の購入費及びソフトウェアのロイヤリティ等の支払費用、販売費及び一般管理費等の経費であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金のほか多様な調達手段を検討してまいります。
なお、当事業年度末における借入金である有利子負債の残高は50,000千円、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は736,936千円となっております。