有価証券報告書-第20期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 15:09
【資料】
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【項目】
105項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社は当事業年度において、対処すべき課題として①販路の拡大、②収益構造における製品構成の多様化、③新製品及び新規事業の開発の3つを掲げ、課題対処とさらなる企業価値向上に向けた技術開発部門の人員の増員及び積極的な製品開発活動に注力いたしました。①販路の拡大及び②収益構造における製品構成の多様化については、新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワークの導入・推進の拡大に伴い、テレワーク中の業務の見える化を目的として当社の働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud」への問い合わせが急増し、導入実績も2021年3月31日現在で1,300社超となりました。しかし、一部既存販売代理店における同社グループの組織再編に伴い当社製商品の販売が減少する動きが発生いたしました。一方で、上記新規販売代理店群の着実な販売実績増を実現し、前事業年度に続く売上高の過去最高を更新いたしました。
この結果、後記「③生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」のとおり、「アンチマルウェア及び業務管理関連」製品売上高が前事業年度と比べ103,739千円増加いたしましたが、「業務管理サーバー」製品売上高及び「Webデータベース関連」商品売上高が前事業年度と比べ51,990千円、12,499千円とそれぞれ減少いたしました。保守売上高については、「アンチマルウェア及び業務管理関連、業務管理サーバー」製品に係る保守売上高が前事業年度と比べ2,359千円増加しましたが、「Webデータベース関連」商品に係る保守サービスが前事業年度と比べ2,561千円減少いたしました。その他の売上高については、「Webデータベース関連」において役務提供等の増加により前事業年度と比べ3,936千円増加した一方、前事業年度における受託開発プロジェクト等の特殊案件がなく、その他売上高合計では3,235千円の減少となりました。売上高合計は1,083,319千円(前事業年度比3.4%増)と前事業年度に続き過去最高を更新いたしましたが、成長に向けた技術開発部門の計画的な増員及び積極的な製品開発活動に伴い販売費及び一般管理費が増加し、営業損益については、営業損失101,433千円(前事業年度は営業損失59,005千円)となり、経常損益については、2020年1月に今後の研究・開発及びM&Aを含む資本業務提携に向けた資金調達のため、第三者割当により発行した第11回新株予約権の全てが行使されたことによる株式交付費20,106千円の計上により、経常損失119,708千円(前事業年度は経常損失63,994千円)となりました。当期純損益については、投資有価証券売却益22,651千円の特別利益を計上いたしましたが、固定資産の減損損失73,711千円の特別損失を計上し、当期純損失174,208千円(前事業年度は当期純損失68,588千円)となりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ867,943千円増加し、2,032,626千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ29,144千円増加し、799,525千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ838,798千円増加し、1,233,101千円となりました。
b.経営成績
当事業年度の売上高は1,083,319千円となり、前事業年度と比べ35,811千円(3.4%)の増加となりました。営業損益、経常損益及び当期純損益については、営業損失101,433千円(前事業年度は営業損失59,005千円)、経常損失119,708千円(前事業年度は経常損失63,994千円)、当期純損失174,208千円(前事業年度は当期純損失68,588千円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べ906,691千円増加し、1,529,598千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、79,684千円の支出(前事業年度は11,941千円の獲得)となりました。主な要因は、税引前当期純損失170,561千円を計上した一方、減価償却費及び減損損失をそれぞれ18,429千円、73,711千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、6,844千円の支出(前事業年度は135,747千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得及び投資有価証券の取得並びに保険積立金の積立により、それぞれ3,691千円、24,028千円、2,683千円支出した一方、投資有価証券の売却及び保険積立金の解約により、それぞれ22,651千円、1,301千円獲得したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、993,108千円の獲得(前事業年度は9,909千円の獲得)となりました。主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入993,227千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
b.受注実績
当社は受注実績が販売実績とほぼ同額となるため、記載は省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績について、当社は単一セグメントとしておりますが、製商品及びサービス別分類ごとに示すと、下表のとおりであります。
製商品及びサービス別分類の名称販売額
(千円)
占有率増減額
(千円)
増減率
製品売上高825,03476.2%51,7486.7%
アンチマルウェア及び業務管理関連690,97363.8%103,73917.7%
業務管理サーバー134,06012.4%△51,990△27.9%
商品売上高14,9701.4%△12,499△45.5%
Webデータベース関連14,9701.4%△12,499△45.5%
保守売上高193,34317.8%△202△0.1%
アンチマルウェア及び業務管理関連、業務管理サーバー(注1)137,71512.7%2,3591.7%
Webデータベース関連(注2)55,6275.1%△2,561△4.4%
その他の売上高49,9714.6%△3,235△6.1%
Webデータベース関連(注3)25,2242.3%3,93618.5%
その他24,7462.3%△7,172△22.5%
売上高合計1,083,319100.0%35,8113.4%

(注)1.アンチマルウェア及び業務管理関連製品、業務管理サーバー製品に係る保守サービスの売上高であります。
2.Webデータベース関連商品に係る保守サービスの売上高であります。
3.Webデータベース関連商品に係る付随サービス(役務提供等)の売上高であります。
相手先前事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
販売額(千円)割合(%)販売額(千円)割合(%)
株式会社No.1157,77815.1--

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
5.当事業年度において、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
財政状態
(資産合計)
当事業年度末における資産合計の額は、前事業年度末に比べ867,943千円増加し、2,032,626千円となりました。これは主に、当社が第三者割当により発行した第11回新株予約権の全てが当事業年度において行使され、1,013,334千円の資金調達が完了したことにより現金及び預金が906,691千円増加した一方、有形固定資産及び無形固定資産(建物、工具、器具及び備品、ソフトウェア)を合計73,711千円減損処理したことによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計の額は、前事業年度末に比べ29,144千円増加し、799,525千円となりました。これは主に、製品売上高増加に伴う前受金及び長期前受金がそれぞれ8,511千円、14,254千円増加したことによるものであります。
(純資産合計)
当事業年度末における純資産合計の額は、前事業年度末に比べ838,798千円増加し、1,233,101千円となりました。これは主に、第11回新株予約権の全てが行使されたことにより資本金及び資本準備金がそれぞれ512,751千円増加した一方、繰越利益剰余金が174,208千円減少したことによるものであります。
経営成績
(売上高)
売上高につきましては、前事業年度に比べ35,811千円(3.4%)増加し、1,083,319千円となり、前事業年度に続き過去最高を更新しました。主な要因は、「アンチマルウェア及び業務管理関連」製品売上高が103,739千円(前事業年度比17.7%)増加した一方、「業務管理サーバー」製品売上高及び「Webデータベース関連」商品売上高がそれぞれ51,990千円、12,499千円減少したことによるものであります。
(売上総利益)
売上総利益につきましては、前事業年度に比べ27,626千円(5.0%)増加し、572,267千円となりました。売上原価につきましては、前事業年度に比べ8,184千円増加いたしましたが売上高に対する売上原価率は低下いたしました。主な要因は、原価率が高い「Webデータベース関連」商品売上高が減少したことによるものであります。
(営業利益)
営業利益につきましては、前事業年度の営業損失59,005千円に対して、当事業年度は営業損失101,433千円となりました。販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度に比べ70,054千円(11.6%)増加し、673,700千円となりました。主な要因は、売上高増加に伴う売上総利益の増加はあるものの、企業価値向上に向けた技術開発部門の計画的な増員及び製品の開発活動のスピード化に伴う関連経費等が増加したことによるものであります。
(経常利益)
経常利益につきましては、前事業年度の経常損失63,994千円に対して、当事業年度は経常損失119,708千円となりました。主な要因は、第11回新株予約権の全てが行使されたことによる株式交付費20,106千円を計上したことによるものであります。
(当期純利益)
当期純利益につきましては、前事業年度の当期純損失68,588千円に対して、当期純損失174,208千円となりました。主な要因は、特別利益として投資有価証券売却益22,651千円を計上した一方、特別損失として固定資産の減損損失73,711千円を計上したことによるものであります。
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社は、「情報の活用」及び「セキュリティ+α」の事業方針と、営業拠点及び隣接地域への積極的な販路拡大を見据えた面開拓の営業戦略のもと、さらなる企業価値向上に取り組んでおります。
上記「(1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」に記載のとおり、前事業年度から引き続き、情報セキュリティ製品にあたる「アンチマルウェア及び業務管理関連」製品売上高が全体売上高において高い占有率であり、また、販路においても、なお一部の販売代理店に依存している状態にあると認識しております。
当社は、上記状況の改善に向けて、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、対処すべき課題として①販路の拡大、②収益構造における製品構成の多様化を認識し、また、新たな収益源の獲得に向けては、③新製品及び新規事業の開発を課題として認識し、各施策に取り組んでまいりました。
①販路の拡大については、当事業年度において、一部既存販売代理店における同社グループの組織再編に伴い当社製商品の販売が減少する動きが発生いたしましたが、新規販売代理店群の着実な販売実績増を実現し、前事業年度に続く売上高の過去最高を更新いたしました。働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud」の販売については、当社からユーザー企業への直接販売に加え、新たに「Eye“247”Work Smart Cloud」の取り扱いを希望いただいたSIer他従前と異なる業態事業者の販売代理店を獲得しております。当事業年度において取り扱いを開始した「Cato Cloud」についても、当社からユーザー企業への直接販売及び従前のOA機器販売会社とは異なるSIer等の新たな販売代理店群との取引契約も伸びており、従前販売網に依存しない販路の拡大について体制強化を進めております。
②収益構造における製品構成の多様化については、働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud」の販売実績が増加するも、前事業年度に比べ「業務管理サーバー」製品群全体では販売が減少する結果となりました。また、「Webデータベース関連」商品についても前事業年度に比べ販売減少となり、収益構造における製品種別構成の多様化については、不十分な状態と認識しております。翌事業年度においては、引き続き働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud」の販売増加を目指しつつ、「Webデータベース関連」商品については、CTCとの緊密な連携を強化し、顧客企業へのネットワークセキュリティソリューション提供を強化してまいります。また、「Cato Cloud」の国内販売における有力SIer企業との販売代理店契約を実現し、今後の販売増加を目指してまいります。上記各施策により、現況の改善に努めてまいります。
③新製品及び新規事業の開発については、働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud」を、真に働き方改革に資する製品への向上を目指し、DEA社との資本業務提携及び同社共同代表者椎名氏を当社顧問に迎え、同社と同氏の有するエンターテイメント及びブロックチェーン技術の知見を当社知見と融合し、働き方改革支援製品「Eye“247”Work Smart Cloud」の機能向上に取り組んでまいります。
また、2021年4月23日付で、5G、IoT、AI 領域に精通するエンジニア人材を有するGHI社を完全子会社化いたしました。当社の事業領域の拡大と、GHI社を通して産業・社会分野の基盤となり得る5Gやその先のBeyond 5G(6G) に関する先端情報を収集することも可能となり、当社の今後進出する新たな領域の検討に向けて、有力な情報源としての価値も高いものになると考えております。
当社は今後も、新製品及び新規事業の開発に向けて、新技術の獲得及び新規事業の開発に向けた業務提携並びにM&A等の資本提携等、手段・方法を限定することなく、取り組んでまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「2事業等のリスク ※新型コロナウイルス感染症の当社に対する影響について」をご参照ください。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」のとおり、当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ906,691千円増加し、1,529,598千円となりました。
これは、営業活動によるキャッシュ・フローが79,684千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが6,844千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが993,108千円の獲得となったことが主な要因であります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、仕入部材の購入費及びソフトウェアのロイヤリティ等の支払費用、販売費及び一般管理費等の経費であります。
当社は、事業運営上必要な資金の流動性とその源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金のほか多様な調達手段を検討してまいります。当事業年度において、第11回新株予約権の全てが行使され、1,013,334千円の資金調達を完了しております。資本金及び資本準備金については、それぞれ512,751千円増加しております。
当事業年度末における借入金である有利子負債の残高は50,000千円となります。
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,529,598千円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表のその作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の業績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りのもつ不確実性により、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社は特に以下の会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定が重要であると考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 注記事項(追加情報)」に記載しております。
a.繰延税金資産
繰延税金資産は、定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断において、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は、その時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合には、回収が不確実な部分の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産は、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。資産計上したサーバー等のハードウェアやサービスの提供に用いるソフトウェア等について、事業環境の悪化や開発コストの増加等で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合に、固定資産の減損処理を行う可能性があります。
c.投資の減損
当社は、業務提携並びに業務提携を視野にいれた経営戦略として、非公開会社の株式を保有しております。非公開会社の株式については、当該会社の財政状態の悪化により実質価格が取得原価に比べて著しく下落した場合には回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、減損処理を行なうこととしております。
そのため、投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に回収不能額が生じた場合は、減損処理が必要となる可能性があります。