有価証券報告書-第19期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢が改善し景気は緩やかな回復基調にありましたが、年明け以降の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、経済環境は急速に悪化しており、先行きは極めて不透明な状況となりました。
当社グループの顧客が属する医薬品業界では、世界人口の増加と新興国の所得水準の向上を背景として市場は成長しておりますが、特許切れによる後発薬の台頭、新薬開発の長期化等により製薬企業の収益性は厳しさを増しております。一方で、潤沢な資金を持つ大手製薬企業は、新たな収益源を求めて有望なパイプラインには積極的に投資する等、M&Aによる業界再編が活発な状況にあります。このような状況を背景に、製薬企業では新薬開発を迅速かつ効率的に実施するために、臨床試験等の開発業務を外部のCRO(開発業務受託機関)へ委託するケースが増えており、当社グループがターゲットとしている前臨床試験におきましても製薬企業の外部委託は拡大傾向にあります。
このような状況のもと、当社グループはマウスの肝臓の70%以上がヒトの肝細胞に置き換えられたヒト肝細胞キメラマウス(当社製品名:PXBマウス)を用いた受託試験サービスを提供しており、世界の大手製薬企業が研究開発拠点を置く米国を中心とした海外市場の拡大に注力してまいりました。
薬効薬理分野においては、抗B型肝炎薬の開発目的として国内外から安定して受注を計上しておりますが、一部海外製薬企業において開発薬の停滞があったことに加えて、当期に予定していた大型の受託試験が顧客都合により翌期に持ち越しとなる等、売上高は伸び悩み、前年同期を下回りました。一方、当社グループの成長分野として位置付けてきた安全性等分野では、PXBマウスのニーズが見込める核酸医薬品をはじめとしたバイオ医薬品開発に注力している海外製薬企業に対して、営業活動を強化したことが実を結び、継続して受注を獲得することができました。海外売上高は大きく伸長するとともに、売上高全体においても薬効薬理分野の落ち込みをカバーして過去最高を更新いたしました。しかしながら、損益面では子会社であるKMT Hepatech,Inc.においてPXBマウス生産が始まったものの、新設備の建設遅延が影響したこともあり収益への貢献までには至らず、営業赤字が継続いたしました。また、事業計画の見直しにより、のれん及び固定資産を対象に減損損失を計上いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高1,310,861千円(前年同期比6.7%増)、営業損失146,637千円(前年同期は営業損失311,934千円)、経常損失125,346千円(前年同期は経常損失279,684千円)、親会社株主に帰属する当期純損失415,715千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失297,499千円)となりました。
なお、当社グループは「PXBマウス事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,118,740千円増加し、1,775,429千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は12,617千円(前連結会計年度は159,534千円の支出)となりました。これは主に減損損失292,122千円、減価償却費53,291千円、売掛金の減少30,903千円、前受金の増加28,834千円があった一方で、税金等調整前当期純損失417,578千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は15,754千円(前連結会計年度は64,625千円の支出)となりました。これは主に子会社であるKMT Hepatech,Inc.株式の取得価格修正による収入14,594千円があった一方で、有形固定資産の取得による支出30,626千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は1,146,053千円(前連結会計年度は64,743千円の支出)となりました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の発行による収入1,000,000千円、短期借入金の増加200,000千円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 生産高(千円) | 前年同期比(%) | |
| PXBマウス事業 | 472,363 | 134.2 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) | |
| PXBマウス事業 | 1,287,137 | 102.6 | 370,849 | 91.4 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.外貨建て取引の受注高につきましては、受注時の為替レートにより、また、受注残高につきましては、当事業年度末の為替レートによりそれぞれ換算しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
| PXBマウス事業 | 1,310,861 | 106.7 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| F.Hoffmann-La Roche Ltd. | 60,235 | 4.9 | 234,880 | 17.9 |
| Gilead Sciences,Inc. | 134,250 | 10.9 | 229,911 | 17.5 |
| Alnylam Pharmaceuticals Inc. | 53,041 | 4.3 | 170,920 | 13.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、これまで、売上構成の過半を占めていた薬効薬理分野は、抗B型肝炎ウイルス薬の開発遅滞の影響を受けて低調に推移したものの、当社が戦略的市場と位置付ける安全性等分野において、バイオ医薬品開発におけるPXBマウスの有用性が市場から認知されつつあり伸長したことにより当連結会計年度の売上高は1,310,861千円と過去最高となりました。一方、利益については、北米におけるPXBマウスの供給拠点として生産体制の構築を進めているカナダ子会社KMT Hepatech,Inc.が、計画から遅延しており収益化に至っていないことから営業損失146,637千円、経常損失125,346千円となりました。また、当該子会社の将来の収益計画を精査した結果、収益性が著しく低下しているとして、のれん及び固定資産を減損損失として特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失415,715千円ととなりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループでは在宅勤務、シフト勤務等の対応を行いましたが、営業活動及び生産活動に大きな支障はなく、当連結会計度の業績への影響は軽微であります。
財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,257,308千円となり、前連結会計年度末に比べ1,122,306千円増加いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の発行により現金及び預金が1,118,740千円増加したことによるものです。また固定資産は527,016千円となり、前連結会計年度末に比べ243,279千円減少いたしました。これは主に一部在外子会社においてIFRS第16号「リース」の適用に伴い、使用権資産が39,083千円増加したものの、減損損失の計上等によりのれんが283,666千円減少したことによるものです。この結果、資産合計は2,784,325千円となり、前連結会計年度末に比べ879,026千円増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は534,917千円となり、前連結会計年度に比べ230,534千円増加いたしました。これは主に短期借入金が200,000千円増加したことによるものです。また固定負債は1,087,562千円となり、前連結会計年度末に比べ1,029,302千円増加いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の発行1,000,000千円によるものです。この結果、負債合計は1,622,480千円となり、前連結会計年度末に比べ1,259,837千円増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,161,844千円となり、前連結会計年度に比べ380,811千円減少いたしました。これは主に為替換算調整勘定が23,205千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が415,715千円減少したことによるものです。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループの事業は、PXBマウスを用いた受託試験サービスとPXB-cellsの販売を中心に展開しておりますが、とりわけ、PXBマウス、PXB-cellsは薬効薬理分野における抗肝炎ウイルス薬の薬効評価ツールとして、国内外におけるC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスの基礎研究、医薬品開発に貢献してまいりました。肝炎分野の受託試験サービスは、当連結会計年度でも売上構成の4割を占めておりますが、今後、優れた抗肝炎ウイルス薬が上市された場合、市場が収束すると予想されることから、当社グループでは、ほぼ全ての医薬候補物質が対象となり、より大きな市場である安全性等分野でのPXBマウス、PXB-cellsの普及に努めております。
したがって、当社グループでは、分野別の売上高を重要な経営指標として位置づけております。
当連結会計年度の分野別売上高は下記のとおりであります。
| 分野別 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 売上高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 薬効薬理分野 | 521,947 | 71.5 |
| 安全性等分野 | 788,913 | 158.4 |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析・検討)
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ1,118,740千円増加の1,775,429千円となりました。これは主に、営業活動により12,617千円及び投資活動により15,754千円の資金をそれぞれ使用たものの、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入1,000,000千円及び短期借入金が200,000千円増加したことによるものです。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの主な資金需要は、PXBマウス、PXB-cellsの生産ならびに受託試験にかかる製造費、コンソーシアム活動や南カリフォルニア大学との共同研究を含めた研究開発費、専門学会でのブース展示を含めた国内外での営業宣伝活動費、これらグループの活動を支える間接部門に係る運転資金の他、生産、受託試験及び研究開発のための設備・機器への投資とこれらの設備・機器の運転・維持、ならびに実験機器等消耗品の購買資金であります。これらのうち、運転資金につきましては内部資金を活用し、設備投資資金につきましては、投資規模により資金調達コストを勘案の上、内部資金の活用の他、金融機関からの借入金、リースによる調達によっております。
当社グループは、北米での当社製品の供給体制強化のため、内部資金を活用し、カナダ子会社へのPXBマウス生産の設備投資を計画しておりますが、さらなる事業発展を目指して、コンソーシアム活動を中とした北米でのプロモーション、業務提携先CROとの関係強化とアプリケーション開発により売上を伸ばす目的と併せて、PXBマウス供給能力の拡大を目的とした資金調達(第21回新株予約権証券及び第1回無担保転換社債型新株予約権付社債)を行いました。今後につきましては、上記調達した資金に加えて内部資金を活用してまいりますが、必要に応じて財務基盤の健全性を担保しながら金融機関からの借入等による資金調達も行っていく方針であります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、主に前述の資金調達等により前連結会計年度末に比べ1,118,740千円増加し、1,775,429千円となりました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表の作成にあたり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記情報」に記載しております。