有価証券報告書-第18期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善する中で、景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、米中貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱問題、中国経済の減速など世界経済の不確実性が高まっており、先行きは不透明な状況にあります。
当社グループの顧客が属する医薬品業界では、世界人口の増加と新興国の所得水準の向上を背景として市場は成長しておりますが、特許切れによる後発薬の台頭、新薬開発の長期化等により製薬企業の収益性は厳しさを増しております。一方で、潤沢な資金を持つ大手製薬企業は、新たな収益源を求めて有望なパイプラインには積極的に投資する等、M&Aによる業界再編が活発な状況にあります。このような状況を背景に、製薬企業では新薬開発を迅速かつ効率的に実施するために、臨床試験等の開発業務を外部のCRO(開発業務受託機関)へ委託するケースが増えており、当社グループがターゲットとしている前臨床試験におきましても製薬企業の外部委託は拡大傾向にあります。
このような状況のもと、当社グループはマウスの肝臓の70%以上がヒトの肝細胞に置き換えられたヒト肝細胞キメラマウス(当社製品名:PXBマウス)を用いた受託試験サービスを提供しており、世界の大手製薬企業が研究開発拠点を置く米国を中心とした海外市場の拡大に注力してまいりました。
現在の主力である肝炎試験(薬効評価)においては、製薬企業での抗B型肝炎薬の開発状況に進展が窺え、特に海外市場で引き合いが活発となってきており、受注高は前年下期からの好調を維持し、売上高は前年同期を大きく上回りました。また、多くの新薬が対象となることから当社グループの成長分野として位置付けるDMPK/Tox試験(薬物動態関連試験、安全性試験)においては、新世代の医薬品として注目されているバイオ医薬分野でPXBマウスを利用した試験が増加しており、売上高及び受注高は前年同期を上回りました。一方、損益面ではPXBマウスの海外生産拠点として設備投資を行っている子会社のKMT Hepatech,Inc.で多額の先行費用が発生したことや新たな疾患モデルマウスの作製を目的とした南カリフォルニア大学との共同研究を開始したことにより研究開発費が大幅に増加し、営業赤字となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高1,228,363千円(前年同期比36.1%増)、営業損失311,934千円(前年同期は営業損失268,618千円)、経常損失279,684千円(前年同期は経常損失267,227千円)、親会社株主に帰属する当期純損失297,499千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失270,791千円)となりました。
なお、当社グループは「PXBマウス事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ276,248千円減少し、656,689千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は159,534千円(前連結会計年度は187,197千円の支出)となりました。これは主に前受金の増加49,196千円、未払金の増加39,580千円があった一方で、税金等調整前当期純損失295,150千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は64,625千円(前連結会計年度は451,611千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出63,819千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は64,743千円(前連結会計年度は62,995千円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出56,004千円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 生産高(千円) | 前年同期比(%) | |
| PXBマウス事業 | 352,092 | 88.6 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |||
| 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) | |
| PXBマウス事業 | 1,254,403 | 107.9 | 405,944 | 110.7 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.外貨建て取引の受注高につきましては、受注時の為替レートにより、また、受注残高につきましては、当事業年度末の為替レートによりそれぞれ換算しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
| PXBマウス事業 | 1,228,363 | 136.1 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| Gilead Sciences,Inc. | 126,010 | 14.0 | 134,250 | 10.9 |
| 国立大学法人広島大学 | 102,513 | 11.4 | 82,010 | 6.7 |
| Hoffmann-La Roche Ltd. | 95,612 | 10.6 | 60,235 | 4.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたりましては、過去の実績や現在の状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、海外市場において主力である抗肝炎ウイルス薬の開発が進展していることに伴い、売上高は前連結会計年度と比較して325,997千円増加の1,228,363千円となりました。また、販売費及び一般管理費については、子会社であるKMT Hepatech,Inc.の生産準備に伴う費用の取り込み並びにのれんの償却の発生、人件費の増加等により、前連結会計年度と比較して388,927千円増加し1,163,279千円となりました。この結果、営業損失は311,934千円、経常損失は279,684千円、親会社株主に帰属する当期純損失は297,499千円となりました。
・当社グループの資本の財源及び資本の流動性
当社グループの主な資金需要は、事業に係る運転資金の他、PXBマウスの生産設備、受託試験及び研究開発のための実験機器等の設備投資資金であります。運転資金につきましては内部資金を活用し、設備投資資金につきましては、投資規模により資金調達コストを勘案の上、内部資金の活用の他、金融機関からの借入金、リースによる調達によっております。
当社グループは、今後も北米でのPXBマウス生産のための設備投資をはじめ、継続して設備投資を実施していく方針でありますが、資金につきましては内部資金の活用に加えて、必要に応じて財務基盤の健全性を担保しながら金融機関からの借入等による資金調達を行っていく方針であります。
・経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの事業は、PXBマウスを用いた受託試験サービスを中心に展開してまいりました。「PXBマウス」は抗肝炎ウイルス薬の薬効評価ツールとして市場から高い評価を得ており、肝炎分野の受託試験サービスは、現在の売上構成の過半を占めております。しかしながら、今後、優れた抗肝炎薬が上市された場合、市場が収束すると予想されることから、当社グループでは、ほぼ全ての医薬候補が対象となり、より大きな市場であるDMPK/Tox分野でのPXBマウスの普及に努めております。同分野での普及のためには、学術データとして実績が求められることから、当社グループでは、国内外の製薬企業、大学並びに研究機関と、同分野でのPXBマウスの有用性についての共同研究を進めており、今後も、PXBマウスの有用性検証、用途開発及び新たな疾患モデルの開発等を進め、DMPK/Tox分野での認知度向上に努めております。また、当社製品の普及のため、従来の受託試験サービスに加えて、PXBマウス及びPXB-cells等の製品販売を国内外で拡大していく計画であります。
当社グループでは、分野別の売上高を重要な経営指標として位置づけております。
| 分野別 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 売上高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 肝炎分野 | 730,300 | 145.3 |
| DMPK/Tox・その他 | 498,062 | 124.5 |