有価証券報告書-第72期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

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2019/03/28 10:27
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当連結会計年度における世界経済は、全体としては緩やかな回復が続いているものの、中国をはじめアジア新
興国等の経済の先行き、各国の政策に関する不確実性、通商問題の動向が世界経済に与える影響等依然として先行きが不透明な状況が続いております。
一方、わが国経済は企業業績や雇用環境にも改善が見られる等、全体的には緩やかな回復基調が継続しており
ます。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、日本食をはじめとしたアジア食品・食材を北米中心に
欧州、中国・東南アジア、豪州等で販売を行う「アジア食グローバル事業」、及び青果物・水産物等を国内市場を中心に中国・東南アジア等で販売を行う「農水産商社事業」を主たる事業として業績の向上に努めてまいりました。
アジア食グローバル事業におきましては、北米地域の成長に加え、北米以外の地域における事業基盤の拡充を
当社グループの成長戦略の一つとして積極的に市場開拓を進めてまいりました。農水産商社事業におきましては、主力販路である卸売市場に加え、それ以外の販路(量販店、外食・中食産業等)並びに海外販路(国産青果物の輸出、青果物の三国間貿易、中国国内における卸売事業)の拡大に取り組んでまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高1,822億20百万円(前期比5.9%増)、営業利益67億19百
万円(前期比6.2%増)、経常利益65億85百万円(前期比11.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益46億34百万円(前期比51.1%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
a.アジア食グローバル事業
アジア食グローバル事業の当連結会計年度における業績は、売上高1,251億12百万円(前期比5.6%増)、営業利益54億9百万円(前期比5.1%減)となりました。
北米地域におきましては、売上高は順調に伸長いたしましたが、期中においては米等の仕入価格が上昇したこと、及び前期より継続している人件費及びガソリン価格をはじめとした物流部門等の経費上昇により、減益となりました。なお、当第4四半期以降は、価格改定等の進展により、利益面では持ち直しつつあります。また、同地域におきましては、従前より進めている構造改革(利益率の改善と物流経費の抑制)への取り組みをより一層強化し、収益性の向上に努めてまいります。
北米以外の地域におきましては、新規顧客の開拓と既存顧客への販売が順調に伸長し、事業基盤の拡充が進んだため、増収増益となりました。
b.農水産商社事業
農水産商社事業の当連結会計年度における業績は、売上高528億86百万円(前期比6.5%増)、営業利益10億40百万円(前期比141.0%増)となりました。
売上高につきましては、海外販路向けのアボカド、小玉りんご等の販売が順調に推移したことにより、伸長いたしました。利益面におきましては、前期に苦戦した国内向けの柑橘類及びトロピカル商材が当期回復したことにより、増収増益となりました。
c.その他事業
その他事業の当連結会計年度における業績は、売上高42億21百万円(前期比5.8%増)、営業利益2億62百万円(前期比50.6%増)となりました。
国内向けシーズン商品、キャラクター商品等の販売伸長により、増収増益となりました。
(財政状態)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ7億49百万円減少し、835億87百万円となりました。主な要因は次のとおりであります。
当連結会計年度末における流動資産合計は、751億24百万円(前連結会計年度末比1億97百万円減少)となりました。流動資産の減少は、たな卸資産の増加22億39百万円があったものの、現金及び預金の減少27億83百万円があったことによるものであります。
当連結会計年度末における固定資産合計は、84億62百万円(前連結会計年度末比5億51百万円減少)となりました。固定資産の減少は、建物及び構築物(純額)の減少5億97百万円、顧客関連資産の減少3億59百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ27億66百万円減少し、318億17百万円となりました。主な要因は次のとおりであります。
当連結会計年度末における流動負債合計は、201億76百万円(前連結会計年度末比5億27百万円増加)となりました。流動負債の増加は、短期借入金の減少22億95百万円があったものの、支払手形及び買掛金の増加15億81百万円、未払法人税等の増加5億5百万円があったことによるものであります。
当連結会計年度末における固定負債合計は、116億41百万円(前連結会計年度末比32億93百万円減少)となりました。固定負債の減少は、長期借入金の減少32億61百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億16百万円増加し、517億70百万円となりました。純資産の増加は、主に利益剰余金の増加30億55百万円があったことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、285億16百万円となり、前連結会計年度末から27億70百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、55億87百万円の資金の獲得となりました。主な要因は、たな卸資産の増加27億16百万円、法人税等の支払額12億88百万円があったものの、税金等調整前当期純利益64億40百万円、仕入債務の増加18億7百万円があったことによるものです。
また、前連結会計年度と比較して資金の獲得が41億88百万円増加(前期比299.3%収入増)しておりますが、主に、たな卸資産の増減額が4億52百万円の支出増となったものの、法人税等の支払額が12億1百万円の支出減、税金等調整前当期純利益の増加10億38百万円、未払金の増減額が8億14百万円の収入増があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、12億15百万円の資金の支出となりました。主な要因は、差入保証金の差入による支出7億28百万円、無形固定資産の取得による支出3億37百万円、有形固定資産の取得による支出1億27百万円によるものです。
また、前連結会計年度と比較して資金の支出が2億73百万円減少(前期比18.3%支出減)しておりますが、主に、定期預金の純増減額が14億44百万円の収入減、差入保証金の差入による支出の増加7億1百万円となったものの、関連会社株式の取得による支出11億42百万円が当連結会計年度に発生しなかったこと、貸付けによる支出の減少6億38百万円、及び有形固定資産の取得による支出の減少5億62百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、68億43百万円の資金の支出となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出33億83百万円、短期借入金の純増減額の減少18億23百万円、配当金の支払額15億77百万円によるものです。
また、前連結会計年度と比較して資金の支出が154億41百万円増加(前連結会計年度は85億98百万円の資金の獲得)しておりますが、主に、株式の発行による収入50億92百万円、及び自己株式の売却による収入32億16百万円が当連結会計年度に発生しなかったこと、長期借入金の返済による支出の増加32億23百万円、短期借入金の純増減額の減少による支出の増加23億41百万円によるものです。
③生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高
(百万円)
前年同期比(%)
アジア食グローバル事業108,699105.0
農水産商社事業40,774108.4
その他事業3,128105.2
合計152,602105.9

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高
(百万円)
前年同期比(%)
アジア食グローバル事業125,112105.6
農水産商社事業52,886106.5
その他事業4,221105.8
合計182,220105.9

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。なお、連結財務諸表の作成にあたって採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ101億42百万円増加し、1,822億20百万円(前期比5.9%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業に関しては、新規顧客の開拓と既存顧客への拡販が進み、農水産商社事業に関しては、輸出及び三国間販売が堅調に推移したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ81億29百万円増加し、1,503億61百万円(前期比5.7%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業における期中の米等の仕入価格上昇、農水産商社事業における増収による増加によるものです。
以上の結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ20億13百万円増加し、318億58百万円(前期比6.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ16億17百万円増加し、251億39百万円(前期比6.9%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業の北米地域における人件費単価の上昇及びガソリン価格等の上昇による物流部門等経費の増加によるものです。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ3億95百万円増加し、67億19百万円(前期比6.2%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ2億14百万円増加し、3億73百万円(前期比135.5%増)となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度に比べ59百万円減少し、5億6百万円(前期比10.5%減)となりました。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ6億69百万円増加し、65億85百万円(前期比11.3%増)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ0百万円減少し、1百万円(前期比28.0%減)となりました。また、特別損失は、前連結会計年度に比べ3億69百万円減少し、1億46百万円(前期比71.6%減)となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ10億38百万円増加し、64億40百万円(前期比19.2%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ15億67百万円増加し、46億34百万円(前期比51.1%増)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループにおける資金需要の主なものは、商材等の仕入・調達費用、販売費及び一般管理費等の運転資金及び物流・システム等を整備・強化するための人材や設備への投資資金であります。
当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金について、「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉とした自己資金調達を中心に、多額の設備投資資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針であります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
③ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (8)目標とすべき経営指標」に記載しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主力事業であるアジア食グローバル事業および農水産商社事業は、今後より一層成長が見込まれる有望な市場であると確信しております。しかしながら、「2 事業等のリスク」に記載いたしましたリスク要素が顕在化した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは成長するマーケットの拡大に先んじて、事業基盤の拡充に取り組んでいく計画です。また、食文化の多様化、食の安心安全意識の向上、法的規制強化等の環境変化に対応するため、「食」のサプライチェーンの各階層においてこれまで以上に提供する機能を強化していく必要があります。このような環境下において当社グループが業容を拡大しつつ、より良い商品及びサービスを継続的に提供していくためには、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載いたしました様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。そのために、経営者として常に外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を把握し、それに対する課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。