有価証券報告書-第5期(2022/09/01-2023/08/31)

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2023/11/29 16:08
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136項目
1.経営成績等の状況の概要
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(2022年9月1日から2023年8月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナ感染症の感染抑制と経済活動の両立を目指し、行動制限の解除と併せて全国旅行支援や水際対策緩和など各種施策が実施されたことにより、社会経済活動全般に改善の動きがみられました。一方で、ウクライナ情勢等による不透明感に加え急激な円安の進行から、エネルギーコストや原材料価格の高騰による物価上昇が継続し、家計の実質所得の減少や企業のコスト負担の増加など、家計・企業を取り巻く環境は厳しいものとなりました。
このような環境のもと、当社グループは「マーケティングの未来創造企業グループ」をテーマに「ヒューマン営業支援」と「デジタル営業支援」を有機的に融合した「オムニチャネル営業支援企業」としての更なる事業リソースの充実に向けた取り組みを継続しております。具体的には、当社グループ各社が持つ専門性を継続的に高めるとともに、必要に応じて外部リソースを柔軟に活用することで、グループ全体の総合力を高めるとともに事業シナジーの最大化に取り組むことで、雇用機会や新規事業を創出し、社会課題の解決を通じた持続可能なより良い社会の実現に向けて貢献してまいります。
その実践として、「ホールセール」において、中国のサプライチェーンの正常化による生産体制の改善や春物などトレンド商品の販売が好調に推移し前年同期比で増収となった他、「インバウンド」においても、空港における各種業務及び訪日外国人に対する宿泊先や交通機関等の手配を行うランドオペレーティング業務が前年同期比で増収となりました。一方で、政府や地方公共団体が推進するワクチン接種受付コールセンターや接種会場の運営支援等、新型コロナウイルス感染拡大対策関連業務の受託が一巡し、前年同期比で減収となりました。
その他の取り組みとして、デジタル営業支援のアバターオンライン接客において、生産性向上や非対面・非接触など複数のニーズを背景に、地方自治体の受付案内業務など更なる普及拡大に努めました。
また、ステークホルダーとの「つながり」を重視する観点から、当社グループの経済的価値・社会的価値の創造のための各種取り組みを十分ご理解いただくため、当社グループ初となる「TCFD Report 2022」及び「ヒトコムレポート 統合報告書」を発行いたしました。
以上の結果により、当連結会計年度の売上高は63,980百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は4,198百万円(前年同期比26.8%減)、経常利益は4,300百万円(前年同期比25.3%減)、関係会社株式評価損を計上したことなどにより親会社株主に帰属する当期純利益は1,885百万円(前年同期比41.6%減)となりました
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産の残高は、現金及び預金の増加等により前連結会計年度末に比較して8,328百万円増加して、42,554百万円(前連結会計年度末比24.3%増)となりました。
負債の残高は、買掛金の増加等により前連結会計年度末に比較して7,163百万円増加して、23,468百万円(前連結会計年度末比43.9%増)となりました。
純資産の残高は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により前連結会計年度末に比較して1,165百万円増加して、19,085百万円(前連結会計年度末比6.5%増)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
前連結会計年度当連結会計年度対前年増減
営業活動によるキャッシュ・フロー5,3322,525△2,807
投資活動によるキャッシュ・フロー△644△5,263△4,619
財務活動によるキャッシュ・フロー△1,1555,7036,859
現金及び現金同等物の期末残高13,14916,1212,971

当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、営業活動及び財務活動による収入が投資活動による支出を上回ったため、前年度末比2,971百万円増加し、16,121百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの主な増減事由については、以下のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において営業活動による収入は2,525百万円(前連結会計年度比52.6%減)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益3,767百万円計上したことによるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において投資活動による支出は5,263百万円(前連結会計年度比717.2%増)となりました。これは、主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支払い、無形固定資産の取得による支払いを行ったことによるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動による収入は5,703百万円(前連結会計年度1,155百万円の支出)となりました。これは、主に長期借入金の返済及び配当金の支払いを行ったものの、株式会社FMG及び株式会社fmgの株式取得のために長期借入を行ったことによるものであります。

(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当社グループの行う事業は、販売業務受託を中心としたアウトソーシング事業、人材派遣事業、EC・TC支援事業、ホールセール事業、その他であり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 受注状況
生産実績の記載と同様に、受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年9月1日
至 2023年8月31日)
前年同期比(%)
アウトソーシング事業30,87788.2
人材派遣事業9,538108.7
EC・TC支援事業9,968102.3
ホールセール事業10,917116.5
61,30297.4
その他2,678219.1
合計63,98099.8

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 その他には、社会福祉サービス、富裕層向けリムジンサービス、教育研修、システム開発関連サービス及びオンライン接客サービス等が含まれます。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
セグメント別の売上高
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)構成比(%)
アウトソーシング事業30,87788.248.2
人材派遣事業9,538108.714.9
EC・TC支援事業9,968102.315.6
ホールセール事業10,917116.517.1
61,30297.495.8
その他2,678219.14.2
合計63,98099.8100.0

セグメント別の業績は、次の通りであります。
(アウトソーシング事業)
当連結会計年度においては、「インバウンド」において、空港における各種業務が増加した一方、政府や地方公共団体が推進するワクチン接種受付コールセンターや接種会場の運営支援等、新型コロナウイルス感染拡大対策関連業務の受託が一巡し減収となりました。また、「販売系営業支援」において、通信分野を中心に減収となりました。
その結果、売上高は30,877百万円(前年同期比11.8%減)、営業利益は1,370百万円(前年同期比65.4%減)となりました。
(人材派遣事業)
当連結会計年度においては、訪日外国人の入国者数の回復に合わせ、空港、ホテル等インバウンド領域、新規領域として物流分野における人材サービスの営業に注力いたしました。
その結果、売上高は9,538百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益は1,157百万円(前年同期比19.0%増)となりました。
(EC・TC支援事業)
当連結会計年度においては、特にファッションやスポーツ分野でのEC需要の拡大を背景に、蓄積したノウハウを活用して既存クライアントの業績向上や新規運営サイトの拡大に取り組みました。
その結果、売上高は9,968百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は860百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
(ホールセール事業)
当連結会計年度においては、中国におけるサプライチェーンの正常化による生産体制の回復、有力コンテンツやインフルエンサーを活用した高付加価値商品の企画や販売等の各種業務が好調に推移いたしました。
その結果、売上高は10,917百万円(前年同期比16.5%増)、営業利益は549百万円(前年同期比298.2%増)となりました。
また、当連結会計年度の売上総利益につきましては、政府や地方公共団体が推進するワクチン接種受付コールセンターや接種会場の運営支援等の新型コロナウイルス感染拡大対策関連業務の受託が一巡したこと、通信セクターにおける販売支援業務が縮小したこと等により、売上総利益額が減少し14,238百万円(前年同期比6.5%減)となりました。
(2) 販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、10,039百万円(前年同期比5.8%増)となりました。主な要因は、人件費及び広告宣伝費を中心とした増加であります。
この結果、営業利益については4,198百万円(前年同期比26.8%減)となりました。
(3) 営業外収益及び営業外費用、経常利益
営業外収益は229百万円(前年同期比112.1%増)となりました。主な要因は、違約金収入及び受取補償金の増加によるものであります。
また、営業外費用は127百万円(前年同期比44.3%増)となりました。主な要因は、貸倒引当金繰入額が減少しましたが、支払補償費が増加したことによるものであります。
この結果、経常利益については4,300百万円(前年同期比25.3%減)となりました。
(4) 特別利益及び特別損失、税金等調整前当期純利益
特別利益は4百万円(前年実績はありません)となりました。要因は、投資有価証券売却益の計上によるものであります。
また、特別損失は537百万円(前年同期比442.6%増)となりました。主な要因は、関係会社株式評価損の計上等によるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益については3,767百万円(前年同期比33.4%減)となりました。
(5) 親会社株主に帰属する当期純利益
上記の諸要因により親会社株主に帰属する当期純利益は、1,885百万円(前年同期比41.6%減)となりました。
(2) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは「マーケティングの未来創造企業へ」をテーマに、ヒューマン営業支援とデジタル営業支援を掛け合わせたオムニチャネル営業支援体制を強化するとともに、先端テクノロジーを取り入れた高付加価値なソリューション提供能力に磨きをかけることで、変化する社会の要請に対応し自らが事業創造を行い、マーケティングパートナーとしてクライアントのニーズに成果で応える「成果追求型営業支援」の実践を継続してまいります。
セグメント別の経営戦略につきましては、以下のとおりです。
(アウトソーシング事業)
アウトソーシング事業につきましては、5G需要の高まりを受け、通信・モバイル分野を中心とした業務運営事務局の運営力強化・収益改善に取り組むとともに、今後拡大が見込まれるインサイドセールスや先端テクノロジーを有するスタートアップ企業との資本・業務提携によるデジタルマーケティング分野の事業拡大を推進してまいります。 また、オムニチャネル営業支援体制を強みに、パブリックビジネスなど新たな事業領域の開拓に取り組んでまいります。
(人材派遣事業)
人材派遣事業につきましては、スタッフの確保に努めるとともに研修制度の更なる充実により、スタッフの質的、量的な充実を図り、家電分野、ストアサービス分野、物流分野を中心に展開してまいります。コロナ感染拡大の落ち着きにより徐々に回復の傾向が見られる国内ツーリズム業界においては、添乗派遣、事務派遣及びコールセンター業務への対応を強化してまいります。
(EC・TC支援事業)
EC・TC支援事業につきましては、強みであるファッション分野以外の新規領域の受託・支援拡大により、事業基盤の強化に取り組んでまいります。また、当社グループ間における事業シナジーを一層強化し、オムニチャネル営業支援体制を活かした新たな事業創造に取り組んでまいります。
(ホールセール事業)
ホールセール事業につきましては、保有ライセンスを活用した営業を強化し、新規卸売先の開拓、自社企画商品のラインナップの充実に取り組んでまいります。
(その他)
その他につきましては、システムエンジニアリングサービスを強化するとともに、グループ間でのシナジー創出に向けた取り組みを継続してまいります。
これらの取り組みにより、次年度の見通しといたしましては、売上高61,963百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益4,350百万円(前年同期比3.6%増)、経常利益4,400百万円(前年同期比2.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,477百万円(前年同期比31.3%増)を見込んでおります。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因や、当該要因への対応について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 財政状態の分析
「1.経営成績等の状況の概要 (2)財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 基本方針・資金需要の主な内容
当社グループは、「マーケティングの未来創造企業」を展望し、中長期的な高収益体制の確立・企業価値向上を図るべく、事業構造の構築を推進しております。これまでのBtoBtoCマーケティング支援を中心としたビジネスモデルの進化に加え、IT・AIを活用したBtoBマーケティング支援機能を拡充すべく、新規事業の開発およびM&Aの検討を継続的に行っております。
② 資金調達
当社グループの所要運転資金は、キャッシュ・コンバージョン・サイクルが0.5か月程度で推移していることから、手元現預金にて十分に賄うことが可能です。また、設備投資につきましてはソフトウェア開発等に限定され、営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金の範囲内で対応しております。
比較的大型のM&A実行に際しては、必要に応じ外部資金を活用しておりますが、現状は金融環境等勘案のうえ銀行借入による資金調達を中心としております。主要取引金融機関とは良好な取引関係を維持しており、また健全な財務体質を維持しておりますことから、必要な資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。
なお、当社グループの2023年8月末時点における有利子負債が10,892百万円であるのに対し、現金及び現金同等物は16,121百万円と有利子負債を上回る水準となっております。
③ 経営資源の配分・株主還元に関する考え方
手元現預金水準については厳密な目標水準は定めておりませんが、安定した運転資金の確保、及び十分なイベントリスクに対応するためには、売上高の1か月から2か月分が適正な手元現預金水準と考えております。それを超える分については、企業価値向上に資する適切な経営資源の配分に努めます。
株主還元については、連結業績・財務状況、M&A等の戦略的投資に備える内部留保などを勘案したうえで、業績拡大に応じた配当の増額を図りたいと考えております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年8月期2020年8月期2021年8月期2022年8月期2023年8月期
自己資本比率
(%)
43.942.445.249.442.0
時価ベースの自己資本比率
(%)
116.871.4105.090.558.5
キャッシュ・フロー
対有利子負債比率
(%)
244.4147.1156.477.9431.4
インタレスト・
カバレッジ・レシオ
(倍)
227.2222.3250.4498.3242.7

(注)1 各指標の算出基準は以下のとおりであります。
自己資本比率=(自己資本)÷(総資産)
時価ベースの自己資本比率=(株式時価総額)÷(総資産)
キャッシュ・フロー対有利子負債比率=(有利子負債)÷(キャッシュ・フロー)
インタレスト・カバレッジ・レシオ=(キャッシュ・フロー)÷(利払い)

2 株式時価総額は(期末株価終値)×(期末発行済株式総数(自己株式控除後))により計算しております。
3 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている有利子負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象にしております。
4 キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
5 利払いは連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。