訂正有価証券報告書-第11期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/10/10 16:00
【資料】
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【項目】
99項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
a.資産
当事業年度末における資産合計は2,145,625千円となり、前事業年度末に比べ1,263,590千円増加いたしました。これは主に、新株の発行に伴い現金及び預金が1,199,180千円増加したことによるものです。
b.負債
当事業年度末における負債合計は798,156千円となり、前事業年度末に比べ210,049千円増加いたしました。これは主に、前受収益が219,720千円増加したことによるものです。
c.純資産
当事業年度末における純資産合計は1,347,469千円となり、前事業年度末に比べ1,053,541千円増加いたしました。これは主に、新株の発行に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ574,809千円増加したことや、当期純損失の計上96,077千円があったことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境や企業収益の改善が続き、全体として緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米中の通商問題の動向、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等により、依然として日本経済の先行きは不透明な状況が続いております。
当社が属するHRテクノロジー市場は、2019年4月の働き方改革関連法施行に向けた市場の流れ等を受け拡大傾向にあります。ミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望2018年度版」によれば、国内HRTech市場の規模は2017年度の179億円から2023年度には1,020億円に達する見通しで、年平均成長率33.6%と非常に高い成長が見込まれております。
このような環境の下、当社は「シンプルな仕組みで世の中をちょっと前へ。」というミッションのもと、「マネジメントが変わる新たなプラットフォームを。」というビジョンを掲げ、企業の人材情報をクラウド上で一元管理する『カオナビ』の提供を通じた事業展開を行っております。
当社は、ユーザー同士の共創や交流の場「カオナビのWA」を創設し、営業拠点の新設(大阪・名古屋)を行うなど、営業・サポート体制の基盤強化に努めてまいりました。また、適性検査「SPI3」や性格診断「エニアグラム」の『カオナビ』上でのサービス提供に加え、人事データの抽出・分析が素早く行える「SHEET GARAGE」機能をリリースするなど、サービス機能の強化にも努めてまいりました。
さらに、将来を見据え、組織体制強化のための人材採用や、顧客基盤の拡大に向けたマーケティング等の先行投資を積極的に実施しました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は売上高1,690,162千円(前事業年度比77.5%増)、営業損失73,396千円(前事業年度は営業損失244,215千円)、経常損失92,270千円(前事業年度は経常損失249,725千円)、当期純損失96,077千円(前事業年度は当期純損失282,968千円)となりました。
なお、当社の事業セグメントはクラウド人材マネジメントシステム事業の単一セグメントですので、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,199,180千円増加し、1,786,143千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は174,681千円となりました。主な内訳は、前受収益の増加額219,720千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は44,862千円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出46,090千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は1,069,360千円となりました。主な内訳は、株式の発行による収入1,142,017千円、長期借入金の返済による支出68,120千円等であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
販売実績は、次のとおりであります。
当事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
1,690,162177.5

(注)1.当社はクラウド人材マネジメントシステム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績の分析
a.売上高
当事業年度における売上高は1,690,162千円(前事業年度比737,745千円の増加)となりました。これは主に、マーケティング活動の強化による新規顧客開拓に努めた結果、クラウド人材マネジメントシステム事業が順調に成長したことによるものであります。なお、当事業年度末の『カオナビ』の利用企業社数は1,293社であり、前事業年度末比で439社増加しております。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は582,221千円(前事業年度比177,571千円の増加)となりました。これは主に、労務費、経費及び外注費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,107,941千円(前事業年度比560,174千円の増加)となりました。なお、当事業年度の売上総利益率は65.6%(前事業年度は57.5%)となりました。
c.販売管理費及び一般管理費、営業損益
当事業年度における販売費及び一般管理費は1,181,338千円(前事業年度比389,355千円の増加)となりました。これは主に、人員拡大に伴い給与の支払いが増加したこと、広告宣伝等のマーケティング活動の強化を実施したことによるものであります。この結果、営業損失は73,396千円(前事業年度は営業損失244,215千円)となりました。なお、当事業年度末の従業員数は111名であり、前事業年度末比で30名増加しております。
d.経常損益
当事業年度において営業外収益が1,034千円、営業外費用が19,908千円発生しております。この結果、経常損失は92,270千円(前事業年度は経常損失249,725千円)となりました。
e.当期純損益
当事業年度において、法人税、住民税及び事業税が3,807千円発生しております。この結果、当期純損失は96,077千円(前事業年度は当期純損失282,968千円)となりました。
③ 財政状態の分析
当事業年度における財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、外注費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は本社移転に伴う敷金の差入等によるものであります。
運転資金は自己資金を基本としており、投資資金は自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金残高は131,376千円となっております。また、当事業年度末の現金及び現金同等物は1,786,143千円であり、流動性を確保しております。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針
当社は、「シンプルな仕組みで世の中をちょっと前へ。」というミッションのもと、「マネジメントが変わる新たなプラットフームを。」というビジョンの実現を目指して事業を展開しております。これは、日本企業を取り巻く労働環境が大きく変化し人事課題が多様化する中、人材マネジメントに役立つ当社サービスによって、導入企業の「働き方改革」推進と競争力強化に貢献していきたいと考えております。
当社がこのビジョンの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。