有価証券報告書-第12期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 16:00
【資料】
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【項目】
100項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
a.資産
当事業年度末における資産合計は2,397,645千円となり、前事業年度末に比べ252,020千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が151,367千円、建物(純額)が40,114千円減少したものの、敷金が356,902千円、売掛金が40,058千円、前払費用が24,207千円増加したことによるものです。
b.負債
当事業年度末における負債合計は1,402,289千円となり、前事業年度末に比べ604,133千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が254,934千円、前受収益が231,694千円、1年内返済予定の長期借入金が76,346千円、未払金が58,029千円増加したことによるものです。
c.純資産
当事業年度末における純資産合計は995,356千円となり、前事業年度末に比べ352,113千円減少いたしました。これは主に、当期純損失の計上356,911千円があったことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境や企業収益の改善が続き、全体として緩やかな回復基調にありました。一方で、米中の貿易摩擦による景気減速懸念に加えて、新型コロナウイルス感染症が急激な勢いで世界中に拡大しており、先行き不透明な状況が強まっております。
当社が属するHRテクノロジー(注)市場では、政府による「働き方改革」の推進を背景に、クラウドやデータ解析など先端のIT関連技術を活用した人事関連業務の効率化・先進化への取り組みが進んでおります。ミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望2019年度版」によれば、HRTechクラウド市場の規模は2019年度の349億円から2024年度には1,700億円に達する見通しで、今後も高い成長が期待される市場として注目が高まっております。
このような環境の下、当社は、将来のさらなる事業成長に向けて、組織体制の強化のための人材採用や、当社サービスの認知度向上を加速させるためのマーケティング活動に注力してまいりました。その結果、当社クラウド人材マネジメントシステム『カオナビ』は堅調に成長を続け、2020年3月末時点で利用企業数は1,789社(前期末比496社増加)となりました。
また、プロダクトの機能強化にも注力し、社員のコンディションや組織の状態変化を察知できる「PULSE SURVEY(パルスサーベイ)」や、カオナビに蓄積された従業員のさまざまなデータを集計し、グラフを簡単に作成・共有できる「DASH BOARD(ダッシュボード)」をリリースしてまいりました。さらに、当事業年度に実施した顧客向けのセミナーや勉強会などユーザー会の実施回数は100回を超え、延べ参加社数は1,400社を超えるなど、顧客価値のさらなる向上を目指したカスタマーサクセスの強化にも努めてまいりました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は売上高2,624,792千円(前事業年度比55.3%増)、営業損失277,649千円(前事業年度は営業損失73,396千円)、経常損失279,803千円(前事業年度は経常損失92,270千円)、当期純損失356,911千円(前事業年度は当期純損失96,077千円)となりました。
なお、当社の事業セグメントはクラウド人材マネジメントシステム事業の単一セグメントですので、セグメント別の記載は省略しております。
(注)HRテクノロジー
HR(Human Resource)とテクノロジーを組み合わせた概念で、人事領域におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます。
③ キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ151,367千円減少し、1,634,775千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は52,701千円となりました。これは主に、前受収益の増加額231,694千円、非資金的支出費用である減損損失の計上72,348千円等による資金の増加があったものの、税引前当期純損失の計上352,151千円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は429,641千円となりました。これは主に、敷金の差入による支出393,780千円、投資有価証券の取得による支出20,600千円等による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は330,975千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出58,720千円等による資金の減少があったものの、長期借入れによる収入390,000千円等による資金の増加があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
販売実績は、次のとおりであります。
当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
2,624,792155.3

(注)1.当社はクラウド人材マネジメントシステム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績の分析
a.売上高
当事業年度における売上高は2,624,792千円(前事業年度比934,630千円の増加)となりました。これは主に、マーケティング活動の強化による新規顧客開拓に努めた結果、クラウド人材マネジメントシステム事業が順調に成長したことによるものであります。なお、当事業年度末の『カオナビ』の利用企業社数は1,789社であり、前事業年度末比で496社増加しております。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は652,444千円(前事業年度比70,224千円の増加)となりました。これは主に、労務費及び外注費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,972,348千円(前事業年度比864,406千円の増加)となりました。なお、当事業年度の売上総利益率は75.1%(前事業年度は65.6%)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業損益
当事業年度における販売費及び一般管理費は2,249,997千円(前事業年度比1,068,659千円の増加)となりました。これは主に、人員拡大に伴い給与の支払いが増加したこと、広告宣伝等のマーケティング活動の強化を実施したことによるものであります。この結果、営業損失は277,649千円(前事業年度は営業損失73,396千円)となりました。なお、当事業年度末の従業員数は154名であり、前事業年度末比で43名増加しております。
d.経常損益
当事業年度において営業外収益が163千円、営業外費用が2,317千円発生しております。この結果、経常損失は279,803千円(前事業年度は経常損失92,270千円)となりました。
e.当期純損益
当事業年度において、法人税、住民税及び事業税が4,760千円発生しております。この結果、当期純損失は356,911千円(前事業年度は当期純損失96,077千円)となりました。
③ 財政状態の分析
当事業年度における財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
新型コロナウイルス感染症に関しまして、社会経済活動の停滞に伴う受注減少や解約増加により、売上高成長が鈍化する等、短期的に経営成績へ影響を及ぼす可能性がありますが、柔軟にコストコントロールを行うことで、安定的な事業・財務運営に取り組む方針であります。
その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、外注費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は本社移転に伴う敷金の差入等によるものであります。
運転資金は自己資金を基本としており、投資資金は自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金残高は462,656千円となっております。また、当事業年度末の現金及び現金同等物は1,634,775千円であり、流動性を確保しております。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針
当社は、「シンプルな仕組みで世の中をちょっと前へ。」というミッションのもと、「マネジメントが変わる新たなプラットフォームを。」というビジョンの実現を目指して事業を展開しております。これは、日本企業を取り巻く労働環境が大きく変化し人事課題が多様化する中、人材マネジメントに役立つ当社サービスによって、導入企業の「働き方改革」推進と競争力強化に貢献していきたいと考えております。
当社がこのビジョンの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。