有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/12 15:01
【資料】
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【項目】
80項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況
の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
a.資産
当事業年度末における資産合計は882,035千円となり、前事業年度末に比べ500,835千円増加いたしました。これは主に、新株の発行に伴い現金及び預金が336,385千円増加したことによるものです。
b.負債
当事業年度末における負債合計は588,108千円となり、前事業年度末に比べ383,803千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が116,776千円増加したことによるものです。
c.純資産
当事業年度末における純資産合計は293,927千円となり、前事業年度末に比べ117,032千円増加いたしました。これは主に、新株の発行に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ200,000千円増加したことや、当期純損失の計上282,968千円があったことによるものであります。
第11期第3四半期累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
a.資産
当第3四半期会計期間末における資産合計は838,872千円となり、前事業年度末に比べ43,163千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が103,808千円減少したことによるものです。
b.負債
当第3四半期会計期間末における負債合計は645,924千円となり、前事業年度末に比べ57,817千円増加いたしました。これは主に、前受収益が119,841千円増加したことによるものです。
c.純資産
当第3四半期会計期間末における純資産合計は192,947千円となり、前事業年度末に比べ100,980千円減少いたしました。これは主に、四半期純損失の計上102,080千円があったことによるものです。
② 経営成績の状況
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当事業年度における我が国経済は、企業業績や雇用情勢に改善傾向が見られ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。このような環境下、当社は株式会社リクルートキャリアとのHRテクノロジー領域における事業提携を締結したことに加え、組織・人事領域の先端研究を行う「カオナビHRテクノロジー総研」の設立を当社内にいたしました。また、クラウド人材マネジメントシステム『カオナビ』に関してAPI機能の提供及び人事評価や従業員アンケートのテンプレート機能の提供を開始するとともに、新規顧客の更なる獲得に向けた販売活動及び既存顧客に対する関係深耕に注力いたしました。
以上の結果、当事業年度の業績は売上高952,417千円(前事業年度比109.4%増)、営業損失244,215千円(前事業年度は営業損失211,830千円)、経常損失249,725千円(前事業年度は経常損失213,568千円)、当期純損失282,968千円(前事業年度は当期純損失207,318千円)となりました。
なお、当社の事業セグメントはクラウド人材マネジメントシステム事業の単一セグメントですので、セグメント別の記載は省略しております。
第11期第3四半期累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、設備投資や個人消費の回復により、堅調な企業業績と雇用・所得環境の改善が続き、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外経済においては、米国の保護貿易政策や金融資本市場の変動等により依然として不透明な環境が続いております。
当社が属するHRテクノロジー市場は、平成31年4月の働き方改革関連法施行に向けた市場の流れや、高水準での有効求人倍率の推移等を受け拡大傾向にあります。ミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望 2018年度版」によれば、国内HRTech市場の規模は平成29年度の179億円から平成35年度には1,020億円に達する見通しで、年平均成長率33.6%と非常に高い成長が見込まれております。
このような環境の下、当社は、クラウド人材マネジメントシステム『カオナビ』に登録されている社員データの抽出や分析が素早く行える「SHEET GARAGE」機能をリリースしました。また、首都圏以外の企業からのニーズに柔軟に応えるべく、大阪オフィスに続いて名古屋オフィスを開設するなど、サービス機能拡充への取り組みや営業の体制強化を進めております。
以上の結果、当第3四半期累計期間における当社の業績は売上高は1,188,980千円、営業損失98,805千円、経常損失101,682千円、四半期純損失102,080千円となりました。
なお、当社の事業セグメントはクラウド人材マネジメントシステム事業の単一セグメントですので、セグメント別の記載は省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ336,385千円増加し、586,963千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は75,626千円となりました。主な内訳は、税引前当期純損失254,148千円の計上、前受収益の増加額85,766千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は141,965千円となりました。主な内訳は、敷金の差入による支出127,128千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は553,976千円となりました。主な内訳は、株式の発行による収入398,600千円、長期借入れによる収入181,000千円等であります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績 該当事項はありません。
b.受注実績 該当事項はありません。
c.販売実績 販売実績は、次のとおりであります。
第10期事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
第11期第3四半期累計期間
(自 平成30年4月1日
至 平成30年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
952,417209.41,188,980

(注)1.当社はクラウド人材マネジメントシステム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績の分析
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
a.売上高
当事業年度における売上高は952,417千円(前事業年度比497,595千円の増加)となりました。これは主に、マーケティング活動の強化による新規顧客開拓に努めた結果、クラウド人材マネジメントシステム事業が順調に成長したことによるものであります。なお、当事業年度末の『カオナビ』の利用企業社数は854社であり、前事業年度末比で409社増加しております。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は404,650千円(前事業年度比282,757千円の増加)となりました。これは主に、労務費、経費及び外注費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は547,767千円(前事業年度比214,838千円の増加)となりました。
c.販売管理費及び一般管理費、営業損益
当事業年度における販売費及び一般管理費は791,983千円(前事業年度比247,224千円の増加)となりました。これは主に、人員拡大に伴い採用費や給与の支払いが増加したこと、広告宣伝等のマーケティング活動の強化を実施したことによるものであります。この結果、営業損失は244,215千円(前事業年度は営業損失211,830千円)となりました。なお、当事業年度末の従業員数は81名であり、前事業年度末比で47名増加しております。
d.経常損益
当事業年度において営業外収益が9千円、営業外費用が5,519千円発生しております。この結果、経常損失は249,725千円(前事業年度は経常損失213,568千円)となりました。
e.当期純損益
当事業年度において本社移転に伴い特別損失が4,423千円発生しております。この結果、当期純損失は282,968千円(前事業年度は当期純損失207,318千円)となりました。
第11期第3四半期累計期間(自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日)
a.売上高
当第3四半期累計期間における売上高は1,188,980千円となりました。これは主に、マーケティング活動の強化による新規顧客開拓に努めた結果、クラウド人材マネジメントシステム事業が順調に成長したことによるものであります。なお、当第3四半期会計期間末時点の『カオナビ』の利用企業数は1,194社であり、前事業年度末比で340社増加しております。
b.売上原価、売上総利益
当第3四半期累計期間における売上原価は439,336千円となりました。これは主に、労務費及び外注費等によるものであります。この結果、売上総利益は749,644千円となりました。
c.販売管理費及び一般管理費、営業損益
当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は848,449千円となりました。これは主に、人件費及び広告宣伝費等によるものであります。この結果、営業損失は98,805千円となりました。なお、当第3四半期会計期間末時点の従業員数は107名であり、前事業年度末比で26名増加しております。
d.経常損益
当第3四半期累計期間において営業外収益が1,010千円、営業外費用が3,887千円発生しております。この結果、経常損失は101,682千円となりました。
e.四半期純損益
当第3四半期累計期間の特別損益については、該当事項はありません。法人税等398千円計上した結果、四半期純損失は102,080千円となりました。
③ 財政状態の分析
第10期事業年度及び第11期第3四半期累計期間における財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、外注費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は本社移転に伴う敷金の差入等によるものであります。
運転資金は自己資金を基本としており、投資資金は自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金残高は199,496千円となっております。また、当事業年度末の現金及び現金同等物は586,963千円であり、流動性を確保しております。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針
当社は、「シンプルな仕組みで世の中をちょっと前へ。」というミッションのもと、「マネジメントが変わる新たなプラットフームを。」というビジョンの実現を目指して事業を展開しております。これは、日本企業を取り巻く労働環境が大きく変化し人事課題が多様化する中、人材マネジメントに役立つ当社サービスによって、導入企業の「働き方改革」推進と競争力強化に貢献していきたいと考えております。
当社がこのビジョンの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。