有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/07 15:00
【資料】
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【項目】
101項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
第23期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度のわが国経済は、アジア新興国等の景気減速の影響を受け、期の途中から輸出等一部に弱い動きがみられたものの、景気は総じて緩やかな回復基調にありました。住宅業界においては、雇用・所得環境が改善したことに加え、政府による住宅取得支援策の効果もあり、2017年の持家にかかる新設住宅着工戸数は前期比2.7%減の28万4,283戸となりました(出所:国土交通省「建築着工統計調査報告 平成29年計」)。また、2016年4月、熊本地震が発生し、特に木造家屋の被害が社会問題となり、木造住宅の耐震化は大きな関心を集めることとなりました。
当社グループはこのような経営環境のなか、登録施工店とともに木造住宅では義務化されていない高度な構造計算により安全性を確保した「耐震構法SE構法」による構造加工品の販売を積極的に推進しました。広報活動といたしましては、15年目を迎える「重量木骨の家」(注)において、富裕層への訴求と重量木骨ブランド形成のために雑誌「モダンリビング」の別冊として重量木骨の家の各パートナーの物件を特集した雑誌「ML Welcome(エムエルウェルカム)」を発刊し販売数も順調に推移しております。その結果、構造計算棟数1,620棟、SE構法出荷棟数1,577棟という結果となりました。
また、現在の住宅施策において、住宅に使われるエネルギーを減らす「ゼロエネルギー住宅」が推奨されております。当社グループは登録施工店が受注する新設住宅の一次エネルギー消費量を計算するサービスの営業活動を本格的にスタートさせました。その結果、一次エネルギー消費量計算の出荷件数は3,628棟となり、大幅に実績を伸ばすことができました。
当連結会計年度の業績は、売上高6,083百万円(前年同期比3.2%増)、売上総利益1,338百万円(同7.8%増)、営業利益184百万円(同47.7%増)、経常利益229百万円(同40.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益169百万円(同34.4%増)となり、この結果、連結ベースの営業利益率は3.0%(前年同期比0.9ポイント増加)、ROEは17.8%(前期比2.5ポイント増加)となりました。
(注) 重量木骨の家
重量木骨の家とは、SE構法を使用した住宅ブランドです。地域の気候や環境を熟知した地域密着の工務店・住宅会社に設計・施工を依頼するメリットと、第三者機関による現場検査、完成保証、長期優良住宅認定等の性能・品質・保証を併せ持つ家です。
なお、当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業の重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
第24期第3四半期連結累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続く中、政府の各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響により、その先行きは依然として不透明な状況にあります。住宅業界においては、雇用・所得環境が改善したことに加え、低水準の住宅ローン金利や政府による継続的な住宅取得支援策等の効果で、当第3四半期連結累計期間における新設住宅着工戸数は堅調に推移しました。
当第3四半期連結累計期間の主な活動としては、今後注力していく集合住宅や病院・保育園等の非住宅分野での事業展開に向けて、2018年4月に大規模木造建築セミナーを開催いたしました。また、現在の住宅施策において、住宅に使われるエネルギーを減らす「ゼロエネルギー住宅」が推奨されており、当社グループはその基本となる住宅の一次エネルギー消費量を計算するサービスを前期より本格的にスタートさせております。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は4,880百万円となりました。利益につきましては、経常利益254百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益190百万円となり、連結ベースの営業利益率は4.7%、ROEは17.5%となりました。
② 財政状態の状況
第23期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度末における当社グループの総資産は3,738百万円となり、前連結会計年度末に比べ316百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加132百万円、売掛金の増加98百万円及び投資有価証券の増加37百万円によるものです。
当連結会計年度末における負債合計は2,692百万円となり、前連結会計年度末に比べ168百万円増加いたしました。これは主に、買掛金の増加23百万円、未払法人税等の増加36百万円及び預り保証金の増加48百万円によるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は1,045百万円となり、前連結会計年度末に比べ147百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益169百万円等を計上したことによる利益剰余金の増加144百万円によるものです。
この結果、連結ベースの自己資本比率27.5%(前年同期比1.8ポイント増加)となりました。
第24期第3四半期連結累計期間(自 2018年4月1日 至 2018年12月31日)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は4,192百万円となり、前連結会計年度末に比べ454百万増加いたしました。これは主に現金及び預金が349百万円、有償支給未収入金が90百万円、商品が6百万円、無形固定資産が76百万円それぞれ増加する一方、売掛金が72百万円減少したこと等によるものです。
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は3,021百万円となり、前連結会計年度末に比べ329百万円増加いたしました。これは主に買掛金312百万円増加したことによるものです。
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は1,171百万円となり、前連結会計年度末に比べ125百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益190百万円等を計上したことによる利益剰余金135百万円増加したことに等によるものです。
この結果、連結ベースの自己資本比率27.6%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第23期連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び構造計算システム開発による投資活動、並びに財務活動を行った結果、前連結会計年度末に比べ132百万円増加し1,810百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動で得られた資金は、229百万円(前年同期は3百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益227百万円、減価償却費51百万円によるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果使用した資金は、71百万円(前年同期は31百万円の支出)となりました。これは主に、構造計算システムに係るソフトウエア等無形固定資産の取得による支出60百万円によるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果使用した資金は、25百万円(前年同期は25百万円の支出)となりました。これは配当金の支払額25百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業は開示情報としての重要性が乏しいため、生産実績のセグメント別の記載を省略しております。
なお、当社グループにおける生産は、構造計算、一次エネルギー消費量計算等であり、第23期連結会計年度及び第24期第3四半期連結累計期間の実績は次のとおりであります。
第23期連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
前年同期比(%)第24期第3四半期
連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
生産実績(千円)236,62995.3187,988

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループの事業セグメントは、木造耐震設計事業及びその他の事業でありますが、木造耐震設計事業の全セグメントに占める割合が高く、その他の事業は開示情報としての重要性が乏しいため、受注実績のセグメント別の記載を省略しております。
なお、当社グループにおける第23期連結会計年度及び第24期第3四半期連結累計期間の受注実績は、次のとおりであります。
第23期連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第24期第3四半期
連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
受注高
(千円)
受注残高
(千円)
受注実績6,006,165100.9682,47298.55,121,048979,563

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当社グループにおける第23期連結会計年度及び第24期第3四半期連結累計期間の販売実績は、次のとおりであります。
第23期連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
前年同期比(%)第24期第3四半期
連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
木造耐震設計事業(住宅分野)(千円)5,553,252104.64,355,958
木造耐震設計事業(非住宅分野)(千円)248,20284.1304,318
その他(千円)281,78197.5220,433
合計(千円)6,083,236103.24,880,711

(注)1.最近2連結会計年度及び第24期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第22期連結会計年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
第23期連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第24期第3四半期
連結累計期間
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
㈱アールシーコア1,121,97619.01,202,68619.8823,91416.9
㈱MUJI HOUSE895,47115.21,152,32818.9898,76218.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態
財政状態の概況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。
b 経営成績
経営成績の概況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。
c キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金は自己資金を基本としており、金融機関からの借入は行っておりません。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、事業環境、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努めてまいります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業の更なる拡大、新たなシステム及びサービスの開発、事業規模の拡大に合わせた人材の確保等が必要であると認識しており、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めてまいります。