有価証券報告書-第22期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/25 14:08
【資料】
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【項目】
144項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
イ 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、物価の上昇等の影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染症の経済活動に対する制約の解消による個人消費の増加等により、緩やかな回復傾向にありました。しかしながら、為替活動による影響に加え、世界的な金融引き締めによる景気への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する在宅マッサージ業界及び訪問看護業界におきましては、少子高齢化が加速する一方で、医療機関における病床数の減少が見込まれるとともに、特別養護老人ホーム等の介護施設の待機者数は、年々増加傾向にあり、政府による地域包括ケアシステムの構築の推進活動と相俟って、在宅療養の重要性がますます高まってきております。
また、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達する2025年頃には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者、5人に1人が75歳以上の後期高齢者になるという「2025年問題」及び高齢者人口がピークに達するという「2040年問題」の到来が見込まれる環境下において、介護施設等の法人営業を強化することによるサービス利用者のさらなる増大を通じて、超高齢社会における課題解決企業として当社グループが事業を遂行していくことを実現すべく、2023年3月より新規事業であるホスピス事業を開始いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,710,030千円(前期比24.6%増)、営業利益は110,603千円(前期比647.5%増)、経常利益は126,558千円(前期比78.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は58,305千円(前期比84.6%増)となりました。
(マッサージ直営事業)
マッサージ直営事業では、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が第5類に引き下げられたことに伴い、閉鎖していた介護施設の再開が進みました。また、サービス休止中に筋麻痺や関節拘縮といった症状が進んでしまった利用者に対して、日常生活動作能力(ADL能力)の向上を目的として、従前よりも高頻度なサービス提供を提案することで、サービス提供回数の増加に取り組んでまいりました。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響が減少した結果、増収増益となりました。
以上の結果、売上高は3,525,171千円(前期比8.9%増)、セグメント利益は999,206千円(前期比29.7%増)となりました。
(マッサージフランチャイズ事業)
マッサージフランチャイズ事業は、2023年2月に当社のフランチャイズ事業がテレビ番組で紹介されたことにより、認知度が向上いたしました。また、新規事業を検討している法人への営業活動を強化したこと等で「フレアス在宅マッサージ」フランチャイズの新規加盟数が58件あり、当連結会計年度末における加盟店数は328拠点(前年同期末比9.7%増)となりました。
また、加盟店からのロイヤリティ収入等についても加盟店の施術件数増加により増加した結果、増収増益となりました。
以上の結果、売上高は889,535千円(前期比25.9%増)、セグメント利益は224,738千円(前期比4.9%増)となりました。
(施設系介護サービス事業)
施設系介護サービス事業に含まれる看護小規模多機能型居宅介護事業においては、2024年3月に看護小規模多機能新潟江南の開設により、拠点数が8拠点となりました。既存施設においては、地域の医療機関等への営業活動の強化等により、登録利用者数が増加し、売上高が増加いたしました。また、ホスピス事業においては、2023年12月にメディカルケアホーム元橋本を開設し、拠点数が3拠点となりました。事業譲受けにより2023年3月にサービスを開始したメディカルケアホーム四日市も順調に稼働しております。一方で、看護小規模多機能型居宅介護事業及びホスピス事業の新規開設のための費用が先行して発生いたしました。
以上の結果、売上高は878,613千円(前期比341.3%増)、セグメント損失は285,359千円(前連結会計年度は179,044千円の損失)となりました。
(その他の事業)
その他の事業セグメントに含まれる主な事業である訪問看護事業は、地域の医療機関及びケアマネジャーに対する影響の強化及びマッサージ直営事業拠点との共同営業を推進することで、当社グループの認知活動を推進してまいりました。2023年3月に1拠点閉鎖したことにより、当連結会計年度においては、売上高は減少しましたが、コスト抑制等によりセグメント収支は黒字に転換いたしました。
以上の結果、売上高は416,709千円(前期比5.9%減)、セグメント利益は21,287千円(前連結会計年度は883千円の損失)となりました。
ロ 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、3,269,996千円となり、前連結会計年度末に比べ527,263千円増加いたしました。これは主に、立替金が280,885千円増加したことによるものであります。
固定資産は、2,920,144千円となり、前連結会計年度末に比べ1,133,001千円増加いたしました。これは主に、リース資産が1,115,871千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は6,190,141千円となり、前連結会計年度末に比べ1,660,265千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,474,629千円となり、前連結会計年度末に比べ610,026千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が300,000千円増加したことによるものであります。
固定負債は2,948,066千円となり、前連結会計年度末に比べ1,008,899千円増加いたしました。これは主に、リース債務が1,142,055千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は4,422,696千円となり、前連結会計年度末に比べ1,618,926千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,767,444千円となり、前連結会計年度末に比べ41,338千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が33,439千円増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、1,130,815千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、172,023千円の収入(前期は233,145千円の支出)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益123,576千円を計上したこと、及び未払金の増加額40,635千円によるものであります。一方で支出の主な要因は立替金の増加額280,885千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、193,600千円の支出(前期は516,914千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出124,710千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、177,128千円の収入(前期は511,112千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入350,000千円及び短期借入れによる収入300,000千円によるものであります。一方で、主な支出の要因は長期借入金の返済による支出428,092千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績については記載しておりません。
ロ 受注実績
当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、施設系介護サービス事業における販売実績について、著しい変動がありました。この理由につきましては、看護小規模多機能型居宅介護施設及びホスピス施設の拠点数が5拠点増加したことに加え、既存施設の売上が増加したことによるものであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
マッサージ直営事業3,525,1718.9
マッサージフランチャイズ事業889,53525.9
施設系介護サービス事業878,613341.3
その他416,709△5.9
合計5,710,03024.6

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は5,710,030千円、営業利益は110,603千円、経常利益は126,558千円、当期純利益は58,305千円となりました。
また、総資産は6,190,141千円、負債合計は4,422,696千円、純資産合計は1,767,444千円となりました。
上記の他、当連結会計年度における財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、172,023千円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは、193,600千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは、177,128千円の収入となり、その結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は、1,130,815千円となりました。
上記の他、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの分析」に記載しております。
当社グループにおける資金需要は、主として運転資金及び新規出店の際の設備投資資金であります。これらの財源については、自己資金の効率的な運用に加え、金融機関からの資金調達を基本としております。なお、事業活動を円滑に実行できるよう適正な水準の資金の流動性の維持及び確保を最優先しております。当連結会計年度においては、マッサージフランチャイズ事業に係るフランチャイズのための運転資金の確保、施設系介護サービスの新規拠点開設を目的として、650,000千円を金融機関から新たに資金調達いたしました、また、施設系介護サービスの新設については、賃貸とすることで資金の流出を抑えるようにしております。その結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は3,484,236千円となっております。また、手元流動性残高として、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,130,815千円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの保険適用マッサージサービスにおいて、当社グループが訪問してサービス提供する対象の一部には介護施設が含まれておりますが、多くの介護施設では新型コロナウイルス感染拡大防止を目的として、外部者の施設への立ち入りを一時的に禁止するなどといった措置がとられるケースがあります。一方で、当社グループにおける保険適用マッサージサービスは、医業類似行為として、利用者における筋麻痺や関節拘縮といった症状に対して必要なサービスであり、東京都が公表した休止要請の対象施設一覧におきましても、「社会生活を維持するうえで必要な施設」として鍼灸・マッサージは休止要請対象外とされております。
新型コロナウイルス感染拡大による影響は不確実性が大きく、将来の予測を合理的に見積ることは困難ですが、重要な会計上の見積りについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)をご参照ください。