有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/06/28 15:00
【資料】
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【項目】
97項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第7期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当事業年度におけるわが国の経済は、国内民間消費の改善基調の持続や輸出の持ち直しによって緩やかな回復基調が見られました。不動産市場においては、首都圏中古マンションの成約件数が過去最高を更新するなど、当社事業と関連する市場環境は堅調に推移しました。
このような環境のもと、当社は、cowcamo(カウカモ)事業、シェアードワークプレイス事業ともに、事業の成長に向け、採用の拡大やシステム開発への投資などの施策に取り組んでまいりました。
また当事業年度は、事業の選択と集中を進めるため、関連会社株式を売却して、関係会社株式売却益85,744千円を計上しております。
この結果、当事業年度の売上高は531,013千円(前年同期比53.1%増)、営業損失は485,698千円(前年同期は営業損失105,119千円)、経常損失は486,813千円(前年同期は経常損失91,201千円)、当期純損失は401,721千円(前年同期は当期純利益27,435千円)となりました。
当事業年度末の総資産は、975,812千円となり、前事業年度末と比較して477,662千円の増加となりました。これは、主に現金及び預金や販売不動産が増加したこと等により、流動資産が306,910千円増加したこと及び主に建物の購入や自社利用ソフトウエアの開発等により、固定資産が170,751千円増加したことによるものです。
当事業年度末の負債合計は、529,166千円となり、前事業年度末と比較して252,071千円の増加となりました。これは、主に1年内返済予定の長期借入金や未払金が増加したこと等により、流動負債が152,035千円増加及び主に長期借入金等の増加により、固定負債が100,035千円増加したことによるものです。
当事業年度末の純資産合計は、446,646千円となり、前事業年度末と比較して225,591千円の増加となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
a.cowcamo(カウカモ)事業
当セグメントにおきましては、リノベーション・中古住宅のオンライン流通プラットフォーム「cowcamo」の運営を通じて、リノベーション・中古住宅の販売を行っております。当事業に係る外部環境は、新築マンション価格の高止まりを受けた中古マンション流通の拡大およびリノベーションに対する顧客認知の高まりにより、リノベーションマンション流通市場は拡大基調にあります。このような環境のもと、事業のさらなる成長に向け、プロダクトの機能改善やオンラインを中心とした広告活動、物件案内を行う営業人員の採用・教育に積極的に取り組んでまいりました。
この結果、売上高は、382,959千円(前年同期比146.0%増 )、セグメント損失は129,289千円(前年同期はセグメント損失21,770千円)となりました。
b.シェアードワークプレイス事業
当セグメントにおきましては、主にオフィス設計を中心とした設計・空間プロデュースの受託事業ならびにコワーキングスペースの運営事業から構成されております。当事業に係る外部環境は、都心部におけるオフィス需要の拡大や働き方の多様化により、オフィス設計、コワーキングスペースいずれも需要の拡大がみられました。
しかしながら、当期においては受託事業から直営のコワーキングスペースの新規開設に人的リソースを振り分けた結果、シェアードワークプレイス事業の売上高は148,053千円(前年同期比22.6%減)、セグメント利益は10,391千円(前年同期比82.5%減)と減収減益となりました。
第8期第3四半期累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国の経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善に伴い個人消費に持ち直しの動きが見られ、総じて緩やかな景気回復基調が続いております。一方で、米国の通商政策に端を発する貿易摩擦や地政学的リスク、相次ぐ自然災害等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
不動産市場においては、首都圏中古マンションの成約価格が上昇を続けており、当社事業と関連する市場環境は堅調に推移しました。
このような経済環境のもと、当社は、主力事業であるcowcamo(カウカモ)事業のサービス改善及び組織体制の強化による事業規模拡大、システム開発への投資などの施策を中心に取り組んでまいりました。この結果、当第3四半期累計期間の売上高は1,085,826千円、営業利益は11,487千円、経常利益は6,832千円、四半期純利益は6,315千円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
a. cowcamo(カウカモ)事業
当セグメントにおきましては、主にリノベーション住宅のオンライン流通プラットフォームcowcamoの運営を通じて、リノベーション住宅の販売を行っております。当事業に係る外部環境は、新築マンション価格の高止まりを受けた中古マンション流通の拡大及びリノベーションに対する顧客認知の高まりにより、リノベーションマンション流通市場は拡大基調にあります。
このような環境のもと、事業のさらなる成長に向け、プロダクトの機能改善やオンラインを中心とした広告活動、物件案内を行う営業人員の教育、業務システムの開発などに取り組んでまいりました。また、前年度に仕入れた販売用不動産の引き渡しが第1四半期会計期間及び当第3四半期会計期間に完了しております。
この結果、売上高は924,932千円、セグメント利益は250,730千円となりました。
b. シェアードワークプレイス事業
当セグメントにおきましては、主にオフィス設計を中心とした設計・空間プロデュースの受託事業並びにコワーキングスペース・ワークプレイスレンタルサービスの運営事業から構成されております。当事業に係る外部環境は、都心部におけるオフィス需要の拡大や働き方の多様化により需要の拡大がみられました。
このような環境のもと、当社は、2018年9月にワークプレイスレンタルサービスの拠点となるスタートアップ向けデザインオフィスHEYSHA松濤(東京都渋谷区)、2019年3月にHEYSHA北参道(東京都渋谷区)、2018年10月に直営店として2店舗目となるコワーキングスペースco-ba jinnan(東京都渋谷区)を新規に開設いたしました。
この結果、売上高は160,893千円、セグメント利益は16,019千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第7期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物は304,302千円と前事業年度末に比べ300千円の減少となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は618,340千円(前事業年度は81,457千円の支出)となりました。
これは主として、未払金の増加100,100千円、減価償却費24,933千円があった一方で、税引前当期純損失401,069千円、たな卸資産の増加183,150千円、関係会社株式売却益85,744千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は135,110千円(前事業年度は77,454千円の獲得)となりました。
これは主として、関係会社株式売却による収入95,600千円、定期預金の払戻による収入53,000千円があった一方で、定期預金の預入による支出76,000千円、有形固定資産の取得による支出68,055千円、敷金及び保証金の差入による支出50,572千円、無形固定資産の取得による支出43,683千円、投資有価証券の取得による支出39,920千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は753,149千円(前事業年度は28,254千円の獲得)となりました。
これは主として、株式の発行による収入541,912千円、長期借入れによる収入208,190千円、新株予約権付社債の発行による収入144,540千円があった一方で、長期借入金の返済による支出76,254千円、自己株式の取得による支出100,440千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社は主に、インターネット上において、リノベーション・中古住宅の売主と買主のマッチングを実現するプラットフォーム「cowcamo」の運営(cowcamo(カウカモ)事業)、スタートアップ企業等の「チャレンジする人・組織」を主要顧客として働く場を提供する「co-ba (コーバ)」の運営、主にオフィス移転を検討するクライアント企業に対して、仲介、設計等のコンサルティングをワンストップで提供するオフィスソリューションサービス(シェアードワークプレイス事業)を行っております。提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b.販売実績
第7期事業年度及び第8期第3四半期累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称第7期事業年度
(自 2017年8月1日
至 2018年7月31日)
第8期第3四半期累計期間
(自 2018年8月1日
至 2019年4月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
cowcamo(カウカモ)事業382,959246.0924,932
シェアードワークプレイス事業148,05377.4160,893
合計531,013153.11,085,826

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2事業年度の主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。また、第8期第3四半期累計期間の主要な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
第6期事業年度第7期事業年度第8期
第3四半期累計期間
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
個人(不動産購入者)----205,62818.9%

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
② 財政状態の分析
第7期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
(資産の部)
当事業年度末の総資産は、975,812千円となり、前事業年度末と比較して477,662千円の増加となりました。これは流動資産が306,910千円増加したこと及び固定資産が170,751千円増加したことによるものです。
流動資産は主に現金及び預金が25,699千円増加したこと、販売用不動産が184,019千円増加したこと、前払費用が24,853千円増加したこと等により増加となりました。固定資産は、主に建物の購入等により有形固定資産が60,507千円増加したこと、自社利用ソフトウエアの開発により無形固定資産が29,341千円増加したこと、及び敷金及び保証金が増加したこと等により投資その他の資産が80,903千円増加したことにより増加となりました。
(負債の部)
当事業年度末の負債合計は、529,166千円となり、前事業年度末と比較して252,071千円の増加となりました。これは流動負債が152,035千円増加及び固定負債が100,035千円増加したことによるものです。
流動負債は主に1年内返済予定の長期借入金が34,299千円増加したこと及び未払金が103,770千円増加したこと等により増加となりました。固定負債は長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含まない)が97,635千円増加したこと等により増加となりました。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産合計は、446,646千円となり、前事業年度末と比較して225,591千円の増加となりました。これは資本金の額の減少等により資本金が5,400千円減少したこと、増資等により資本剰余金が697,926千円増加したこと及び当期純損失等の計上により利益剰余金が401,697千円減少したこと等によるものです。
第8期第3四半期累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
(資産の部)
当第3四半期会計期間末の資産合計は878,731千円となり、前事業年度末と比較して97,081千円の減少となりました。これは主に、保有目的の変更による有形固定資産からの振替があったものの、前年度に仕入れた販売用不動産の引き渡しが第1四半期会計期間及び当第3四半期会計期間に完了したことにより販売用不動産が127,881千円減少し、流動資産が99,398千円減少、co-ba jinnan・HEYSHA松濤、北参道の開設があったものの、一部の有形固定資産を販売用不動産に振り替えたことにより有形固定資産が47,526千円減少、無形固定資産が39,765千円増加、投資その他の資産が10,078千円増加したこと等によるものです。
(負債の部)
当第3四半期会計期間末の負債合計は416,969千円となり、前事業年度末と比較して112,196千円の減少となりました。これは主に、賞与引当金が32,440千円増加したものの、未払金が85,165千円減少、長期借入金が104,791千円減少したこと等によるものです。
(純資産の部)
当第3四半期会計期間末の純資産合計は461,761千円となり、前事業年度末と比較して15,115千円の増加となりました。これは主に、四半期純利益6,315千円の計上により利益剰余金が6,315千円増加、自己株式の処分により資本剰余金が4,708千円増加、自己株式が4,092千円減少したことによるものです。
③ 経営成績の分析
第7期事業年度(自 2017年8月1日 至 2018年7月31日)
(売上高)
当事業年度の売上高は、531,013千円(前年同期比53.1%増)となりました。これは主に、当社cowcamo(カウカモ)事業が堅調に成長したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、92,816千円(前年同期比7.0%増)となりました。これは主に、シェアードワークプレイス事業における設計案件の人件費原価によるものであります。この結果、売上総利益は438,197千円(前年同期比68.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、923,895千円(前年同期比152.9%増)となりました。これは主に、事業の拡大に伴う人員の増加による給与等の支払いが増大したこと、cowcamo(カウカモ)事業におけるWebマーケティングを中心とした広告宣伝等の先行投資を行ったことによるものであります。この結果、営業損失は485,698千円(前年同期は営業損失105,119千円)となりました。
(経常損失)
当事業年度において営業外収益が11,008千円、営業外費用が12,124千円発生しております。この結果、経常損失は486,813千円(前年同期は経常損失91,201千円)となりました。
(当期純損失)
当事業年度において関係会社株式売却による特別利益85,744千円が発生しております。この結果、当期純損失は401,721千円(前年同期は当期純利益27,435千円)となりました。
第8期第3四半期累計期間(自 2018年8月1日 至 2019年4月30日)
(売上高)
当第3四半期累計期間の売上高は、1,085,826千円となりました。これは主に、当社cowcamo(カウカモ)事業が堅調に成長したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間の売上原価は、352,478千円となりました。これは主に、cowcamo(カウカモ)事業における販売用不動産の引き渡しに伴う仕入原価及びシェアードワークプレイス事業における設計案件の人件費原価によるものであります。この結果、売上総利益は733,348千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、721,860千円となりました。これは主に、事業の拡大に伴う人員の増加による給与等、cowcamo(カウカモ)事業におけるWebマーケティングを中心とした広告宣伝等によるものであります。この結果、営業利益は11,487千円となりました。
(経常利益)
当第3四半期累計期間において営業外収益が791千円、営業外費用が5,446千円発生しております。この結果、経常利益は6,832千円となりました。
(四半期純利益)
当第3四半期累計期間において法人税等合計517千円を計上した結果、四半期純利益は6,315千円となりました。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものには、cowcamo(カウカモ)事業及びシェアードワークプレイス事業における人件費、外注費、広告宣伝費等があります。運転資金は、主として内部資金及び借入により調達しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は304,302千円であり、当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。