有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/09/11 15:00
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144項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第58期連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善に支えられ緩やかな回復基調が続いたものの、国内では地震、台風などの自然災害による個人消費の一時的な落ち込み、海外では米中貿易摩擦など政治・経済動向に不透明感が増してまいりました。
ホテル業界におきましては、2018年の訪日外国人が8.7%増の3,119万人(日本政府観光局(JNTO)による)と、今後も増加し好影響を及ぼすものと考えられます。一方で、地域によっては新設ホテルの増加が著しく供給過多の状況が出てまいりました。
このような環境下、宿泊部門ではLINEによる情報発信も加えて、高いリピート利用が望める当社公式サイト「宿泊ネット」の販売拡大や、連泊プラン販売による低稼働日の底上げ、インバウンドの積極的な集客活動に取り組んでまいりましたが、競争激化もあり比較可能ベースでの売上がわずかに前期を下回りました。
飲食部門においては、「北海道味めぐり」などの催事、季節や記念日に合わせた商品開発に注力いたしました。朝食においては、旅の気分を味わっていただけるように、郷土の料理コーナーを設けるなどいたしました。また、飲食売上の30%を占めるレストランカードのポイントを「宿泊ネット」のポイントへ移行できるようにし、お客様の利便性を向上させました。
なお、2018年1月に営業終了をした「高松ワシントンホテルプラザ」が通期に影響し減収要因となりましたが、2017年11月に開業した「R&Bホテル新大阪北口」の通期稼動が増収要因となっています。
新規出店としては、2018年5月に「R&Bホテル博多駅前第2」、2019年3月に「R&Bホテル京都四条河原町」を開業いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産の合計は、25,131,971千円(前連結会計年度末22,391,373千円)と、2,740,598千円増加いたしました。うち流動資産は、4,644,745千円(同4,821,490千円)と、176,745千円減少いたしました。これは、主に未収法人税等が減少したことによるものであります。
固定資産は、20,487,225千円(同17,569,882千円)と、2,917,343千円増加いたしました。これは、主にR&Bホテルの新規出店によるものであります。
当連結会計年度末における負債の合計は、13,402,354千円(前連結会計年度末12,280,483千円)と、1,121,870千円増加いたしました。うち流動負債は、4,989,565千円(同4,008,402千円)と、981,162千円増加いたしました。これは、主に短期借入金の増加によるものであります。
固定負債は、8,412,788千円(同8,272,080千円)と、140,708千円増加いたしました。これは、主に資産除去債務の増加によるものであります。
当連結会計年度末における純資産の合計は、11,729,617千円(前連結会計年度末10,110,889千円)と、1,618,727千円増加いたしました。これは、主に剰余金の配当による減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は21,410,636千円(前連結会計年度比0.0%減)、営業利益は2,988,521千円(同5.4%減)、経常利益は支払利息147,492千円を営業外費用に計上したことなどにより、2,836,551千円(同5.8%減)、売上高営業利益率は、14.0%(前期比0.8%ポイント減少)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券評価損115,128千円、減損損失30,204千円を特別損失に計上したことや、法人税等合計987,116千円を計上し、1,704,146千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,912,908千円)となりました。
当連結会計年度の事業部門別の売上高及び営業利益は次のとおりであります。
事業部門の名称売上高営業利益
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)前年同期比(%)
ワシントンホテルプラザ事業11,064,16194.8953,50281.8
R&Bホテル事業8,544,448109.82,057,894103.4
名古屋国際ホテル事業1,768,04591.7△22,875△1,208.3
その他(※1)33,98091.0
合計21,410,636100.02,988,52194.6

(※1) 管理部門(本社)の収入(出店用地として所有した物件に施工開始まで入居されているテナントからの賃料収
入と、宿泊ネット加盟店からの販売手数料収入)及び営業損益であります。経費は本社費として適切に按分し
ております。
第59期第1四半期連結累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年6月30日)
当第1四半期連結累計期間(2019年4月1日から2019年6月30日まで)における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調が続いているものの、米中貿易摩擦、日韓関係の悪化など海外情勢の不確実性は高まっており、先行きは不透明な状況が続いております。
ホテル業界においては、今後も人件費・原材料費といったコストの上昇や、消費増税が国内需要に及ぼす影響に留意する必要はあるものの、訪日外国人の増加、東京オリンピック・パラリンピックの開催など好影響となる要素も多くあります。
このような環境下、当社は新規出店として、2019年6月に「R&Bホテル名古屋新幹線口」を開業いたしました。また、競争力向上のため、飛騨高山ワシントンホテルプラザに大浴場を設置いたしました。
販売面においては、最大の販売チャネルとなっている当社公式サイト「宿泊ネット」について、その使い勝手を向上させるためポイント交換単位を引き下げたほか、宿泊予約比較サイト(トラベルコ等)へ掲載し露出を増やすことにより、販売室数の増加を図りました。さらに、国内外のリアルエージェント経由の販売を増やすためプロジェクトチームを発足し、営業体制を強化いたしました。これらの施策に加え4月・5月の10連休の影響もあり、比較可能ベースでの売上は前年同四半期を上回りました。
また、経費面においては、人手不足による清掃費の上昇、並びに販売手数料などの運営コストが増加いたしました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当第1四半期連結会計期間末における資産の合計は、25,854,871千円(前連結会計年度末25,131,971千円)と、722,900千円増加いたしました。うち流動資産は、4,116,535千円(同4,644,745千円)と、528,209千円減少いたしました。これは、主に現金及び預金が減少したことによるものであります。
固定資産は、21,738,335千円(同20,487,225千円)と、1,251,109千円増加いたしました。これは、主にR&Bホテルの新規出店によるものであります。
当第1四半期連結会計期間末における負債の合計は、13,783,025千円(前連結会計年度末13,402,354千円)と、380,671千円増加いたしました。うち流動負債は、4,696,421千円(同4,989,565千円)と、293,143千円減少いたしました。これは、主に未払金で168,890千円、未払法人税等で227,121千円減少したことによります。
固定負債は、9,086,603千円(同8,412,788千円)と、673,815千円増加いたしました。これは、主に長期借入金で446,049千円、資産除去債務で249,088千円の増加によるものであります。
当第1四半期連結会計期間末における純資産の合計は、12,071,845千円(前連結会計年度末11,729,617千円)と、342,228千円増加いたしました。これは、主に剰余金の配当による減少があったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
b.経営成績
当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は5,506,802千円、営業利益は801,772千円、経常利益は支払利息など26,315千円を営業外費用に計上したことなどにより、787,792千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は法人税等281,576千円を計上し、505,431千円となりました。
また、当社グループは売上高営業利益率を重要な経営指標としており、当第1四半期連結累計期間の売上高営業利益率は14.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
第58期連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,109,981千円(前連結会計年度末3,117,346千円)となり、7,364千円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは,2,926,214千円の収入となりました。これは主に、法人税等920,476千円の支払があったものの、税金等調整前当期純利益2,691,262千円に加え、減価償却費510,346千円、支払利息147,492千円、投資有価証券評価損115,128千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、3,815,011千円の支出となりました。これは主に、新規ホテル開業に向けた投資を実施したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、881,432千円の収入となりました。これは主に、配当金151,427千円の支払があったものの、短期借入れによる1,000,000千円の収入があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
地域別販売実績は次のとおりであります。2019年3月期において九州地域の売上は、「R&Bホテル博多駅前第2」の開業により増加しておりますが、四国地域の売上は、「高松ワシントンホテルプラザ」の営業終了に伴い減少しております。また東海・北陸地域の売上は競合店の影響により減少しております。
期別
地域
2018年3月期2019年3月期
金額(千円)比率(%)金額(千円)比率(%)

北海道469,9452.2464,9412.2
東北602,5382.8626,5242.9
関東・甲信越4,557,92521.34,678,69421.9
東海・北陸5,209,41024.34,899,73022.9
近畿4,470,25620.94,471,73620.9
中国2,260,53010.62,316,25910.8
四国832,1723.9459,7702.1
九州3,014,54414.13,492,98016.3
合計21,417,323100.021,410,636100.0

(注) 1.上記販売金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の記載については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、その結果を資産・負債及び収益・費用の数値に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第58期連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
経営成績等の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におきまして当社グループは、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、ホテル業界は、訪日外国人の増加が今後も好影響を及ぼすものと考えられますが、地域によっては新設ホテルの増加が著しく供給過多の状況が出てきております。このような状況下、競争力を向上させていくことが課題であると認識しており、R&Bホテルブランドを中心とした新規出店のほか、年数が経過したワシントンホテルプラザのリニューアルを順次行い、競争力を強化していく計画であります。
宿泊においては、高いリピート利用が望める当社公式サイト「宿泊ネット」の販売拡大や、連泊プラン販売による低稼働日の底上げ、インバウンドの積極的な集客活動に取り組んできました。今後も高いリピート利用の維持に向けて継続的に取り組んでいきます。また、AIレベニューマネジメントのツールを導入し、需要に応じた適正価格での提供精度を高め、稼動・単価の向上に努めていきます。
朝食においては、旅の気分を味わっていただけるように、郷土の料理コーナーを設けるなどいたしました。また、飲食売上の30%を占めるレストランカードのポイントを「宿泊ネット」のポイントへ移行できるようにし、お客様の利便性を向上させました。引き続き、お客様の声と向き合い、改善を図っていきます。
当社グループの重要な経営指標としている売上高営業利益率は、R&Bホテルの新規開業に伴う開業費用、減価償却費の増加及び燃料単価上昇に伴う光熱費の増加もあり14.0%(前期比0.8%ポイント減少)となりましたが、新規出店を含めた、売上高の拡大及び生産性の向上により営業利益率の成長を見込みます。
第59期第1四半期連結累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年6月30日)
経営成績等の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当第1四半期連結累計期間においては、原材料費の値上げや慢性的な人材不足を背景に人件費が増加しました。これらのコスト増加を吸収しつつ収益力を維持・拡大させていくために収益性の高いR&Bホテルブランドを中心に新規出店及び既存ホテルのリニューアルを積極的に行い、ホテル価値向上を目指して集客力を高めてまいります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.財務政策
当社グループの所要資金調達は、大きく分けて設備投資資金及び運転資金の調達となっております。基本的には連結の「営業活動によるキャッシュ・フロー」を中心としながらも、多額の設備資金については、長期借入金等により資金調達を行ってまいりました。当連結会計年度末において、短期借入金は1,020,200千円、1年内返済予定の長期借入金は935,791千円、長期借入金は5,675,761千円であります。
将来に関する事項として、新設ホテルの建設や既存事業所の大規模リニューアルの予定がございます。その調達資金については、銀行からの借入及び株式発行による収入を予定しております。なお当該事項は届出書提出日現在において判断したものでございます。
今後の所要資金につきましても、多額な設備投資以外は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を基本に行い、また、子会社につきましては、当社を通じての資金調達を原則とする予定であります。