有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/12/26 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
106項目
(1)経営成績等の状況と概要
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
第49期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内の企業業績が好調を維持すると共に、国内消費は緩やかに拡大をいたしました。その一方で米中による貿易摩擦や輸出減少、人手不足など、国内景気の先行きに対する不透明感が強まってきております。
建設市場においては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会関連施設及び大規模再開発事業が佳境に入ると共に、インバウンドや国内旅行の増加によるホテル等の建設、改装が進んでおり、当社グループにおいては旺盛な建設現場事務所向けレンタル需要を取り込み、順調に業績を伸ばしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高19,975百万円、営業利益616百万円、経常利益475百万円、親会社に帰属する当期純利益369百万円となりました。なお、前連結会計年度比は、2017年1月1日付で当社が事業持株会社となる連結決算を開始しており、比較数値である2017年12月期の主要な子会社実績が6ヶ月間の計数であるため記載しておりません。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(レンタル関連事業)
レンタル関連事業では、建設現場事務所向けの事務備品レンタルのほか、建設現場向けの新たなICTサービスが堅調に推移すると共に、法人向けのパソコンレンタルが増加いたしました。
この結果、当連結会計年度に属するセグメント売上高は13,605百万円となりました。またセグメント利益は、524百万円となりました。
(スペースデザイン事業)
スペースデザイン事業では、ブランディングの強化により会社の認知度が向上したことや、マンションモデルルームの企画から施工、撤収までのワンストップサービスを手がける会社としての技術力が評価されたものの、マンション開発市場において、契約率が前年を割り込む厳しい市況となり、新規でのマンションモデルルームの開設件数は増加せず、業績は振るいませんでした。
この結果、当連結会計年度に属するセグメント売上高は3,908百万円となりました。またセグメント利益は75百万円となりました。
(物販事業)
物販事業では、引き続き日本郵政グループ及び官公庁からの受注が売上に貢献することができました。
この結果、当連結会計年度に属するセグメント売上高は2,461百万円、セグメント利益は15百万円となりました。
第50期第3四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
当第3四半期連結累計期間(2019年1月1日~2019年9月30日)におけるわが国経済は、米中間の貿易摩擦など先行きの不透明感から、特に製造業において投資や生産が手控えられるなど一部に停滞感は現れてはいるものの、緩やかな回復基調で推移いたしました。こうした中、当社グループ(当社及び連結子会社)は、中期経営計画“Next Stage 20”に基づき、事業基盤の拡充と経営基盤の強化に努めてまいりました。前者においては、民間を中心とした設備投資需要や今後開催を控える国内メガイベント関連需要を背景に、拡大するレンタル需要に対応すべくレンタル資産を拡充してまいりました。また後者においては、人的リソースの適正配置を行うとともに協力会社との連携を強化し活動してまいりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は16,126百万円、営業利益は1,016百万円、経常利益は994百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は752百万円となりました。
セグメント別の概要は次のとおりであります。
(レンタル関連事業)
レンタル関連事業におきましては、建設現場向け市場において、既存の受注現場である首都圏の再開発工事や東京オリンピック・パラリンピック関連施設工事が佳境を迎えており、旺盛なレンタル需要に支えられ業績が拡大いたしました。またICTサービスや再生可能エネルギーを活用した商品の拡販施策も効果が出始めてまいりました。イベント向け市場においては、東京オリンピック・パラリンピックに向けたテストイベントや本大会開催期間中の会場施設向けFF&Eレンタルなど、注力しているメガイベントに対して積極的な営業活動を進めてまいりました。さらに今夏に行われた参議院議員選挙や、10月の消費税増税を控えた自治体からの外部業務委託の増加がレンタル需要を喚起し、売上並びに利益の向上に貢献いたしました。
この結果、当事業のセグメント売上高は10,774百万円となりました。また、セグメント利益は872百万円となりました。
(スペースデザイン事業)
スペースデザイン事業におきましては、各デベロッパーが用地取得価額の高騰などを背景にオフィスビルやホテル建設にシフトしており、大都市圏を中心にマンション販売戸数が低迷するなど市場環境は悪化傾向にあります。このような市場環境の中、既存のマンション市場に対してはレンタルサービスに加え、棟外モデルルームの設計・建築提案を行い、ワンストップサービスを積極的に実施してまいりました。また、新たな市場を開拓すべくデザイン力を活かしたホテル市場への提案活動を開始するなど、サービス提供範囲の拡大に努めてまいりました。
この結果、当事業のセグメント売上高は3,323百万円となりました。また、セグメント利益は129百万円となりました。
(物販事業)
物販事業におきましては、各官公庁や民間企業に対し得意分野であるオフィス什器を中心に、付随する商品や発生する業務の包括的な提案を実施してまいりました。また、東京オリンピック・パラリンピック関連施設へのFF&E販売に向けて、積極的な営業活動を進めてまいりました。
この結果、当事業のセグメント売上高は2,027百万円となりました。また、セグメント利益は14百万円となりました。
② 財政状態の状況
第49期連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(資産の部)
当連結会計年度末における当社グループの総資産は現金及び預金等の流動資産が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ107百万円減の13,891百万円(前連結会計年度末比0.8%減)となりました。
(流動資産)
流動資産は前連結会計年度末に比べ113百万円減少の6,372百万円となりました。
主な内訳は、現金及び預金が477百万円、電子記録債権が78百万円減少したこと等によるものと受取手形及び売掛金が116百万円、未収入金が206百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
固定資産は前連結会計年度末に比べ6百万円増加の7,518百万円となりました。
主な内訳は建物及び構築物が75百万円、土地が76百万円減少したこと等によるものと、賃貸用備品が143百万円、繰延税金資産が12百万円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ444百万円減少の11,566百万円(前連結会計年度末比3.7%減)となりました。
(流動負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べ957百万円増加の8,151百万円となりました。主な内訳は、支払手形及び買掛金が321百万円、電子記録債務が282百万円、短期借入金が200百万円、1年内返済予定の長期借入金が125百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
固定負債は前連結会計年度末に比べ1,401百万円減少の3,414百万円となりました。主な内訳は、社債が140百万円、長期借入金が994百万円、リース債務が238百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産の部)
純資産は前連結会計年度末に比べ337百万円増加の2,324百万円(前連結会計年度末比17.0%増)となりました。主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が369百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が15百万円、退職給付に係る調整累計額17百万円減少したこと等によるものであります。また、ROEは17.2%(前年同期は10.9%)となりました。
第50期第3四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて516百万円減少し、13,374百万円となりました。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,177百万円減少し、5,194百万円となりました。これは主に前払費用が239百万円、未収入金が303百万円増加した一方で現金及び預金が1,423百万円減少したこと等によるものです。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べて661百万円増加し、8,179百万円となりました。これは主に賃貸用備品が380百万円増加したこと等によるものです。
(負債の部)
負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,298百万円減少し、10,268百万円となりました。
(流動負債) 流動負債は、前連結会計年度末に比べて578百万円減少し、7,573百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が765百万円減少した一方で短期借入金が300百万円増加したこと等によるものです。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べて720百万円減少し、2,694百万円となりました。これは主に長期借入金が411百万円、リース債務が184百万円、退職給付に係る負債が84百万円減少したこと等によるものです。
(純資産の部)
純資産は、前連結会計年度末に比べて782百万円増加し、3,106百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が752百万円増加したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
第49期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ447百万円減少の1,583百万円(22.0%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は1,920百万円(前連結会計年度は821百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益の計上が491百万円、非資金支出費用である減価償却費1,172百万円、仕入債務の増加額603百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は993百万円(前連結会計年度は848百万円の使用)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得による支出1,116百万円、有形及び無形固定資産の売却による収入120百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,374百万円(前連結会計年度は831百万円の獲得)となりました。これは長期借入金の返済による支出868百万円、短期借入金の純増加額200百万円、リース債務の返済による支出387百万円、社債の償還による支出318百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c. 販売実績
第49期連結会計年度及び第50期第3四半期連結累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第49期連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第50期第3四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年9月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
レンタル関連事業13,605,115-(注) 310,774,453
スペースデザイン事業3,908,596-(注) 33,323,979
物販事業2,461,342-(注) 32,027,703
合計19,975,053-(注) 316,126,136

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しております。
3.なお、前年同期比との比較は、主要な子会社5社が2017年7月1日付で連結決算を開始しており、比較数値である2017年12月期の主要な子会社の実績が6ヶ月間の計数であるため記載しておりません。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま
す。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、連結決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、第49期の前連結会計年度との実績比較は、主要な子会社5社が2017年7月1日付で連結決算を開始しており、比較数値である2017年12月期の主要な子会社実績が6ヶ月間の計数であるため記載しておりません。
第49期連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、19,975百万円となりました。主な内容といたしましては、首都圏の建設現場向けレンタル需要が前期に引き続き順調に推移したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、12,628百万円となりました。これは主に売上拡大に伴う仕入高の増加によるものであります。この結果、売上総利益は、7,346百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、6,730百万円となりました。これは、主に役員報酬、給料、地代家賃等の計上によるものであります。この結果、営業利益は616百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益はスワップ差益10百万円、その他42百万円等により69百万円となり、営業外費用は支払利息89百万円、コミットメントライン契約締結の手数料50百万円等により210百万円となりました。この結果、経常利益は475百万円となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益として固定資産売却益34百万円、特別損失として固定資産売却損10百万円、固定資産除却損8百万円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は491百万円となりました。
また、法人税等合計を122百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は369百万円となりました。
第50期第3四半期連結累計期間(自 2019年1月1日 至 2019年9月30日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間における売上高は、16,126百万円となりました。主な内容としては、首都圏の建設現場向けレンタル需要が好調に推移したこと、G20大阪サミット、ラグビーワールドカップ日本大会、即位の礼等のイベント向けレンタル売上が増加したこと等によるものです。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、9,953百万円となりました。これは主にイベント事業に伴う外注費等の増加によるものであります。この結果、売上総利益は、6,172百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、5,155百万円となりました。これは、主に売上増に伴う事務委託費の増加、windows10への入替に伴う社内インフラ設備費用の計上によるものであります。この結果、営業利益は1,016百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益はスワップ差益5百万円、その他19百万円等により33百万円となり、営業外費用は支払利息48百万円等により55百万円となりました。この結果、経常利益は994百万円となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する四半期純利益)
特別利益として固定資産売却益25百万円、退職給付制度改定益17百万円、特別損失として固定資産除却損7百万円等を計上した結果、税金等調整前四半期純利益は1,030百万円となりました。
また、法人税等合計を277百万円計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は752百万円となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループの目標とする経営指標である売上高営業利益率4.6%以上、EBITDA24億円以上、ROE10%以上に対して、当連結会計年度における売上高営業利益率は3.1%、EBITDAは17.8億円、ROEは17.2%となりました。引き続き企業価値を高め、持続的な成長を図ります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金のうち主なものは、賃貸備品を毎期一定量購入するための投資資金や、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの資金需要に対して、自己資金、金融機関からの借入金により充当することとしております。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は6,103百万円となっており、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,583百万円となっております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努めてまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を実現するため、経営者は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題について適切に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するための経営者の方針として、外部企業とのアライアンスを積極的に推進し、スピーディーなリソース確保及び事業補完を目指して取り組んでまいります。また必要な人材を安定的に確保するため企業のブランド力の強化を図ると共に、管理職への女性登用や海外人材の受け入れなどのダイバーシティ経営の促進等、次世代を担う経営幹部の育成のために人材基盤の強化を推進してまいります。
一方、レンタル業の事業特性として、購入した商品は原価費用が一定期間発生するために購入資金を回収するまでに一定期間を要します。安定的な企業活動を行うため、適切な運転資金の確保と過度に有利子負債に依存しない健全な財務体質にすべくバランスシートをマネジメントしてまいります。