有価証券報告書-第41期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 15:31
【資料】
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【項目】
103項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2020年4月1日~2021年3月31日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化した後、持ち直していましたが、緊急事態宣言の再発令を受け、年度末にかけて再び弱い動きとなりました。
当社の主要顧客である機電系大手製造業各社においては、構造的なエンジニア不足の環境は変わらないものの、エンジニアの採用に対して慎重な姿勢が継続しております。
このような環境の中、当社のエンジニア派遣サービスは、減少傾向にあった派遣エンジニアの需要は2020年末に底を打ったものの、当事業年度の稼働人員数は前年度に比べ減少いたしました。また、エンジニア紹介サービスは、顧客が年間を通してエンジニア採用に慎重であったため、当事業年度の成約数が減少いたしました。この結果、当事業年度の売上高は前期に比べ減少いたしました。
費用につきましては、当社の新たな収益源と位置づけておりますエンジニア紹介サービス「コグナビ 転職」「コグナビ 転職IT」の認知向上を目指したテレビCM等を2020年4月、5月と2021年3月に実施いたしました。一方、就業していない技術社員の数が増加したため、新規採用のための人材募集費を抑制したことにより、販売費及び一般管理費は前期に比べ減少いたしました。
また、2019年10月にサービス開始した企業内エンジニア配置最適化サービス「コグナビ タレントマネジメント」におきましては、事業開始時に想定していなかった新型コロナウイルス感染症が発生し、感染拡大防止のために人の移動や接触を制限する状況が1年以上続いた結果、顧客企業への直接訪問が制限され、採用企業数が当初の想定を下回ったことから、減損損失(301百万円)として特別損失を計上いたしました。
なお、今年度受給いたしました雇用調整助成金につきましては、売上原価に計上される就業していない技術社員の人件費の補填に充てております。
以上の結果、当事業年度の売上高は27,728百万円(前年同期比13.7%減)、営業利益は2,349百万円(同42.4%減)、経常利益は2,275百万円(同39.4%減)、当期純利益は1,344百万円(同37.0%減)となりました。
なお、当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(資産)
当事業年度末における流動資産は18,101百万円となり、前事業年度末に比べ4,485百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が4,949百万円増加したことによるものであります。固定資産は2,791百万円となり、前事業年度末に比べ650百万円の減少となりました。これは、主にソフトウエアが825百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は20,893百万円となり、前事業年度末に比べ3,834百万円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は8,823百万円となり、前事業年度末に比べ4,606百万円増加いたしました。これは、主に短期借入金が5,000百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は8,823百万円となり、前事業年度末に比べ4,606百万円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は12,070百万円となり、前事業年度末に比べ771百万円減少しました。これは、自己株式を910百万円取得したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は57.8%(前事業年度末は75.3%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ5,129百万円増加し14,478百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,695百万円(前年同期は2,893百万円の獲得)となりました。
これは主に、税引前当期純利益1,974百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は373百万円(前年同期は895百万円の使用)となりました。
これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出481百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,806百万円(前年同期は2,359百万円の使用)となりました。
これは主に、短期借入れによる収入5,000百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、エンジニア派遣を中心とするサービスを提供しているため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は、エンジニア派遣を中心とするサービスを提供しているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントでありますが、エンジニア派遣とエンジニア紹介・その他の2つのサービスがあります。当事業年度における販売実績は、次のとおりです。
名称当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
販売高(百万円)前年同期比(%)
エンジニア派遣27,62786.4
エンジニア紹介・その他10181.0
合 計27,72886.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、販売実績の総販
売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
当社の当事業年度の経営環境としては、構造的にエンジニア人材不足ではあるものの、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡がり、日本国内においても感染拡大防止が最優先となるなど、経済活動が大きく影響を受ける状況となりました。
このような環境のもと、当社は、2020年7月にITエンジニア人材紹介サービス「コグナビ 転職IT」を立ち上げました。
さらに、当事業年度に入ってコロナウイルス感染症の拡大を背景とした景気の悪化から、顧客が派遣エンジニアの採用に慎重となったことから、当社在籍技術社員稼働率の低下として表れるようになりました。この結果、稼働していない技術社員の給与等の負担から売上原価の原価率が上昇いたしました。技術社員稼働率が低下したことで、当社の2021年3月末時点の稼働技術社員数は3,616名(前年度末比668名減少)となりました。一方、稼働技術社員の時間当たり契約単価は同時点で3,783円(同144円増)と堅調に推移いたしました。
他方、当事業年度において当社は将来へ向けた戦略的打ち手として「コグナビ」ブランド認知度向上を目指したテレビCM等のプロモーションに経費を投下いたしました。
また当社は、当事業年度に新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、顧客企業への直接訪問が制限され、採用企業数が当初の想定を下回った、企業内エンジニア配置最適化サービス「コグナビ タレントマネジメント」のソフトウエアについて、減損損失(301百万円)として特別損失を計上いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は27,728百万円(前年同期比13.7%減)、営業利益は2,349百万円(同42.4%減)、経常利益は2,275百万円(同39.4%減)、当期純利益は1,344百万円(同37.0%減)となりました。
なお、当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの業績の記載は行っておりません。
また、財政状態及びキャッシュ・フローの分析については、(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
前記 2「事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金・設備資金については、主に自己資金により充当しております。当事業年度末の現金及び現金同等物は14,478百万円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。
また、不測の事態に備えた資金の流動性を確保する手段として、取引金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しております。
今後の重要な資本的支出としては、第3「設備の状況」3「設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、基幹系情報システム(ERP)等の、ソフトウエア開発投資を予定しており、その調達源については、自己資金を予定しております。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営課題として、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による景気の落ち込みからの回復への対応が挙げられます。当社は、2021年3月期の売上高・利益が前事業年度に減少したことから、2022年3月期には次のような打ち手を実施いたします。
ワクチン接種による経済活動の活性化に伴うエンジニア需要の回復に合わせ、エンジニア派遣サービスでは、まず新型コロナウイルス感染症拡大の影響で増加した就業していない技術社員の稼働に優先して取り組み、稼働技術社員数の増加を目指します。また、理工系新卒学生の採用を積極的に行うとともに、就業していない技術社員が減少した時期に合わせ、技術社員の新規採用に着手する方針です。
さらに、経済活動の活性化に合わせ、エンジニア紹介サービスなど当社が提供する各種「コグナビ」サービスの本格的な成長を目指してまいります。
なお、当社の中長期的経営課題とそれらへの取組状況につきましては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますので、ご参照ください。