有価証券報告書-第94期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国の保護主義的な通商政策による貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)からの離脱問題等の影響が懸念される中で、米国経済が牽引役となり、成長のペースは鈍化したものの、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。米国では良好な雇用情勢を背景に減税効果もあり、個人消費や設備投資が堅調に推移し、景気は緩やかな拡大を続けました。中国では自動車販売を中心とした個人消費の低迷や設備投資の伸び悩み等により、景気は減速傾向で推移しました。一方、わが国経済は、堅調な企業収益を背景に、雇用・所得環境は改善が持続し、個人消費は持ち直しの動きが見られる等、緩やかな回復基調で推移しました。
当社グループを取り巻く環境について、非鉄金属相場は、亜鉛・鉛・銅価格は第2四半期より下落したものの、2019年に入り上昇に転じました。一方、インジウム価格は当期初より下落基調で推移しました。また、為替相場は概ね安定して推移しました。
機能材料事業においては、世界的なスマートフォン市場の縮小により、キャリア付極薄銅箔や電子材料用金属粉の需要は減少しましたが、排ガス浄化触媒の需要は堅調に推移しました。
このような状況の下、当社グループは2024年のありたい姿である「機能材料、金属、自動車部品の3事業を核に、成長商品・事業を継続的に創出し、価値を拡大し続けている会社」を実現するため、「16中計」の3年目となる2018年度は、中計の仕上げの年として、また、次期中計の準備期間として、各事業セグメントにおいて「13中計の収穫」「既存事業の基盤強化」「将来への布石作り」の重点施策に取り組みました。
具体的には、キャリア付極薄銅箔の生産体制の増強、四輪車向け排ガス浄化触媒の生産体制の確立と収益貢献、リサイクル事業の強化、チリのカセロネス銅鉱山の安定操業および効率生産可能な体制構築に向けた支援、自動車部品の収益改善のためのコスト低減等の諸施策を実施してまいりました。また、2019年度からの利益貢献を予定している神岡水力発電設備の大規模更新工事を完了しております。
この結果、売上高は、前連結会計年度に比べて215億円(4.1%)減少の4,977億円となりました。営業利益は、非鉄金属相場や為替相場の変動に伴うたな卸資産の在庫影響(以下「在庫要因」)により悪化し、加えて機能材料部門において主要製品の販売量が減少したこと等により、前連結会計年度に比べて313億円(63.2%)減少の182億円となりました。
経常利益は、持分法による投資損失21億円等を計上したものの、前期に計上したカセロネス銅鉱山の減損損失の影響がなくなったこと等から、前連結会計年度に比べて65億円(58.0%)増加の177億円となりました。
特別損益においては、固定資産除却損17億円等を特別損失に計上しました。加えて、税金費用および非支配株主に帰属する当期純利益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度に比べて53億円改善の46億円の利益となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況
①機能材料セグメント
[電池材料]
ハイブリッド車、電気自動車等の環境対応車の市場が好調に推移したことにより、水素吸蔵合金等の販売量は増加しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。
[排ガス浄化触媒]
主力の二輪車向け排ガス浄化触媒は、アジア諸国における環境規制強化等により需要が堅調であったものの、下半期に入りインドにおける需要が低調になったことから販売量は減少しました。四輪車向け排ガス浄化触媒は、生産体制を確立し新規受注を獲得したこと等から販売量は増加しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。
[機能粉]
電子材料用金属粉は、電装化の進む自動車やIoT向けの需要は増加したものの、スマートフォン向けの需要が低調であったこと等から販売量は減少しました。高純度酸化タンタルは、主要顧客の生産調整の長期化等により販売量は減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
[銅箔]
キャリア付極薄銅箔は、パッケージ基板向けの需要は堅調であったものの、スマートフォンのマザーボード向けの需要が低調であったことから販売量は減少しました。プリント配線板用電解銅箔は、スマートフォン向けの需要が低調であったこと等から販売量は減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
[スパッタリングターゲット]
主力のディスプレー用スパッタリングターゲットは、液晶パネルの大型化の進展により中国の需要は堅調であったものの、国内における主要顧客の生産調整等により販売量が減少しました。一方、主要原料であるインジウムの価格は、通期の平均価格が前連結会計年度に比べ上昇したこと等から、販売価格は上昇しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて微増となりました。
以上の結果、当部門の売上高は、前連結会計年度に比べて17億円(1.0%)減少の1,654億円となり、経常利益は、主要製品の販売量の減少に加え、原料価格・エネルギーコストの上昇や研究開発費の増加、インジウムの在庫要因悪化等により、前連結会計年度に比べて140億円(45.7%)減少の166億円となりました。
②金属セグメント
[亜鉛]
国内の高耐食性メッキ鋼板向けの需要は堅調に推移したものの、亜鉛メッキ鋼板向け需要は低調であったこと等から販売量は減少しました。加えて、亜鉛のLME(ロンドン金属取引所)価格は総じて下落基調で推移し、国内の亜鉛価格が下落したことから、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
[金・銀]
金・銀ともに販売量が減少したことから、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
[鉛]
国内の鉛蓄電池向け需要は、自動車補修向け取替用の需要が堅調であったものの、輸入品の増加による影響等により販売量は減少しました。加えて、鉛のLME(ロンドン金属取引所)価格は総じて下落基調で推移し、国内の鉛価格が下落したことから、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
以上の結果、当部門の売上高は、前連結会計年度に比べて198億円(10.7%)減少の1,666億円となり、経常損益は、非鉄金属相場が下落したことに加え、在庫要因により悪化したこと等から、前連結会計年度に比べて115億円悪化し60億円の損失となりました。
③自動車部品セグメント
[自動車用ドアロック]
自動車の国内市場は軽自動車の需要が堅調であったものの、中国市場は小型車向け減税措置の廃止に加え、景気の減速が懸念され低調に推移しました。主要製品であるサイドドアラッチの販売量は、中国において減少したものの、国内および東南アジアにおいて堅調であったことから増加しました。
以上の結果、当部門の売上高は、前連結会計年度に比べて19億円(1.9%)増加の1,040億円となりましたが、経常利益は、鋼材価格上昇によるコストアップ等により、前連結会計年度に比べて8億円(15.0%)減少の46億円となりました。
④関連セグメント
[各種産業プラントエンジニアリング]
国内外プラント工事の受注環境が低調であったことに加え、水力発電設備の工事進行基準による完成計上が減少したこと等から、売上高は減少しました。
ダイカスト製品等の販売量は増加したものの、各種産業プラントエンジニアリングの影響により、当部門の売上高は、前連結会計年度に比べて58億円(4.4%)減少の1,269億円となり、経常利益は、在庫要因により悪化したこと等から、前連結会計年度に比べて19億円(28.6%)減少の48億円となりました。
主要な品目等の生産実績及び受注状況の当連結会計年度の推移は、次のとおりであります。
* 亜鉛:共同製錬については当社シェア分
(2) 財政状態の状況
資産合計は、前連結会計年度末に比べ46億円増加の5,233億円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ35億円増加の3,436億円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億円増加の1,796億円となりました。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.1ポイント上昇の32.5%となりました。
なお、財政状態の詳細については、「(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析 ①財政状態の状況」に記載しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ117億円収入減少の406億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ44億円支出増加の448億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ69億円支出減少の28億円の収入となりました。
以上の結果、為替換算差額を含めた現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ8億円減少の215億円となりました。
なお、キャッシュ・フローの詳細については、「(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績及び受注状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、セグメントごとの生産実績及び受注状況を正確に把握することは困難なため、主要な品目等についてのみ「(経営成績等の状況の概要)(1) 経営成績の状況」において、各セグメントに関連付けて記載しております。
(2) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、各セグメントに含めて表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。その作成にあたっての重要な会計方針・見積りは、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
機能材料セグメントは、キャリア付極薄銅箔や電子材料用金属粉等の主要製品の販売量が減少したこと等により17億円減収の1,654億円となりました。金属セグメントは、国内の亜鉛および鉛の販売量が減少したことに加え、非鉄金属相場が下落したこと等から198億円減収の1,666億円となりました。自動車部品セグメントは、主要製品の販売量が増加したこと等から19億円増収の1,040億円となりました。関連セグメントは、ダイカスト製品等の販売量は増加したものの、各種産業プラントエンジニアリングにおける完成工事高が減少したこと等から58億円減収の1,269億円となりました。この結果、セグメント間の内部売上高又は振替高等を調整した売上高は、前連結会計年度に比べて215億円(4.1%)減少の4,977億円となりました。
なお、各セグメント及び主要製品別の分析については、「(経営成績等の状況の概要)(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② 営業利益
機能材料セグメントは、主要製品の販売量が減少したことに加え、原料価格・エネルギーコストの上昇や研究開発費の増加、インジウムの在庫要因悪化等により、前連結会計年度に比べて151億円減益の156億円となりました。
金属セグメントは、非鉄金属相場が下落したことに加え、在庫要因により悪化したこと等から、前連結会計年度に比べて142億円減益の35億円の損失となりました。
自動車部品セグメントは、鋼材価格上昇によるコストアップ等により、前連結会計年度に比べて12億円減益の40億円となりました。
関連セグメントは、ダイカスト製品等の販売量は増加したものの、各種産業プラントエンジニアリングにおける完成工事高が減少したことに加え、在庫要因により悪化したこと等から、前連結会計年度に比べて12億円減益の39億円となりました。
この結果、セグメントの調整額を加味した営業利益は、前連結会計年度に比べて313億円(63.2%)減少の182億円となりました。
③ 経常利益
営業利益は313億円減少したものの、前連結会計年度に計上したカセロネス銅鉱山の減損損失346億円の影響がなくなったことにより、持分法による投資損失が358億円改善したこと等から、営業外損益が378億円改善した結果、経常利益は、前連結会計年度に比べて65億円(58.0%)増加し177億円となりました。
なお、各セグメント別の分析については、「(経営成績等の状況の概要)(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析
① 財政状態の状況
資産合計は、受取手形及び売掛金92億円、たな卸資産18億円等の減少があったものの、流動資産のその他126億円、有形固定資産64億円等の増加により、前連結会計年度末に比べ46億円増加の5,233億円となりました。
負債合計は、デリバティブ債務52億円、支払手形及び買掛金38億円等の減少があったものの、長・短期借入金、社債及びコマーシャル・ペーパー残高84億円、設備投資にかかる債務他26億円等の増加により、前連結会計年度末に比べ35億円増加の3,436億円となりました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益46億円、連結子会社の決算期変更に伴う利益剰余金13億円、繰延ヘッジ損益27億円の増加に加え、剰余金の配当39億円、為替換算調整勘定20億円、その他有価証券評価差額金9億円の減少等があり、前連結会計年度末に比べ10億円増加の1,796億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益151億円、減価償却費279億円、売上債権の減少77億円の増加要因に対し、法人税等の支払額152億円等の減少要因を差し引いた結果、前連結会計年度に比べ117億円収入減少の406億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出344億円、短期貸付金の増加66億円等により、前連結会計年度に比べ44億円支出増加の448億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長・短期借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーの増加86億円および配当金の支払39億円等から、前連結会計年度に比べ69億円支出減少の28億円の収入となりました。
以上の結果、為替換算差額等を含めた現金及び現金同等物の当期末残高は、前連結会計年度末に比べ8億円減少の215億円となりました。
③ 財政状態及びキャッシュ・フロー指標のトレンド
(注) 自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/支払利息
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている長・短期借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーを対象としております。
支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態に関する説明については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、業績に応じた適正な利益配分を行うことを基本方針としております。
内部留保資金につきましては、市場ニーズに応える研究開発・生産体制を強化し、グローバル戦略の展開を図るために有効な投資を実行してまいります。
当連結会計年度における主な設備投資については、機能材料部門において、主要製品であるキャリア付極薄銅箔および四輪車向け排ガス浄化触媒の生産体制増強を目的とした投資を行いました。また、金属部門においては、2019年度からの利益貢献を予定している水力発電設備の大規模更新への投資を行いました。この結果、当連結会計年度における有形固定資産の取得による支出は344億円となりました。これらの投資のための所要資金は、主に自己資金を充当しております。
なお、短期流動性確保の手段として、短期社債(電子CP)発行枠400億円を確保しているほか、250億円を限度とした長期コミットメント・ライン契約を取引金融機関とシンジケーション形式により締結しております。
また、キャッシュ・マネージメント・システム等によりグループ全体の資金効率の向上に努めております。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国の保護主義的な通商政策による貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)からの離脱問題等の影響が懸念される中で、米国経済が牽引役となり、成長のペースは鈍化したものの、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。米国では良好な雇用情勢を背景に減税効果もあり、個人消費や設備投資が堅調に推移し、景気は緩やかな拡大を続けました。中国では自動車販売を中心とした個人消費の低迷や設備投資の伸び悩み等により、景気は減速傾向で推移しました。一方、わが国経済は、堅調な企業収益を背景に、雇用・所得環境は改善が持続し、個人消費は持ち直しの動きが見られる等、緩やかな回復基調で推移しました。
当社グループを取り巻く環境について、非鉄金属相場は、亜鉛・鉛・銅価格は第2四半期より下落したものの、2019年に入り上昇に転じました。一方、インジウム価格は当期初より下落基調で推移しました。また、為替相場は概ね安定して推移しました。
機能材料事業においては、世界的なスマートフォン市場の縮小により、キャリア付極薄銅箔や電子材料用金属粉の需要は減少しましたが、排ガス浄化触媒の需要は堅調に推移しました。
このような状況の下、当社グループは2024年のありたい姿である「機能材料、金属、自動車部品の3事業を核に、成長商品・事業を継続的に創出し、価値を拡大し続けている会社」を実現するため、「16中計」の3年目となる2018年度は、中計の仕上げの年として、また、次期中計の準備期間として、各事業セグメントにおいて「13中計の収穫」「既存事業の基盤強化」「将来への布石作り」の重点施策に取り組みました。
具体的には、キャリア付極薄銅箔の生産体制の増強、四輪車向け排ガス浄化触媒の生産体制の確立と収益貢献、リサイクル事業の強化、チリのカセロネス銅鉱山の安定操業および効率生産可能な体制構築に向けた支援、自動車部品の収益改善のためのコスト低減等の諸施策を実施してまいりました。また、2019年度からの利益貢献を予定している神岡水力発電設備の大規模更新工事を完了しております。
この結果、売上高は、前連結会計年度に比べて215億円(4.1%)減少の4,977億円となりました。営業利益は、非鉄金属相場や為替相場の変動に伴うたな卸資産の在庫影響(以下「在庫要因」)により悪化し、加えて機能材料部門において主要製品の販売量が減少したこと等により、前連結会計年度に比べて313億円(63.2%)減少の182億円となりました。
経常利益は、持分法による投資損失21億円等を計上したものの、前期に計上したカセロネス銅鉱山の減損損失の影響がなくなったこと等から、前連結会計年度に比べて65億円(58.0%)増加の177億円となりました。
特別損益においては、固定資産除却損17億円等を特別損失に計上しました。加えて、税金費用および非支配株主に帰属する当期純利益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度に比べて53億円改善の46億円の利益となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況
①機能材料セグメント
[電池材料]
ハイブリッド車、電気自動車等の環境対応車の市場が好調に推移したことにより、水素吸蔵合金等の販売量は増加しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。
[排ガス浄化触媒]
主力の二輪車向け排ガス浄化触媒は、アジア諸国における環境規制強化等により需要が堅調であったものの、下半期に入りインドにおける需要が低調になったことから販売量は減少しました。四輪車向け排ガス浄化触媒は、生産体制を確立し新規受注を獲得したこと等から販売量は増加しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて増加しました。
[機能粉]
電子材料用金属粉は、電装化の進む自動車やIoT向けの需要は増加したものの、スマートフォン向けの需要が低調であったこと等から販売量は減少しました。高純度酸化タンタルは、主要顧客の生産調整の長期化等により販売量は減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
[銅箔]
キャリア付極薄銅箔は、パッケージ基板向けの需要は堅調であったものの、スマートフォンのマザーボード向けの需要が低調であったことから販売量は減少しました。プリント配線板用電解銅箔は、スマートフォン向けの需要が低調であったこと等から販売量は減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
[スパッタリングターゲット]
主力のディスプレー用スパッタリングターゲットは、液晶パネルの大型化の進展により中国の需要は堅調であったものの、国内における主要顧客の生産調整等により販売量が減少しました。一方、主要原料であるインジウムの価格は、通期の平均価格が前連結会計年度に比べ上昇したこと等から、販売価格は上昇しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて微増となりました。
以上の結果、当部門の売上高は、前連結会計年度に比べて17億円(1.0%)減少の1,654億円となり、経常利益は、主要製品の販売量の減少に加え、原料価格・エネルギーコストの上昇や研究開発費の増加、インジウムの在庫要因悪化等により、前連結会計年度に比べて140億円(45.7%)減少の166億円となりました。
②金属セグメント
[亜鉛]
国内の高耐食性メッキ鋼板向けの需要は堅調に推移したものの、亜鉛メッキ鋼板向け需要は低調であったこと等から販売量は減少しました。加えて、亜鉛のLME(ロンドン金属取引所)価格は総じて下落基調で推移し、国内の亜鉛価格が下落したことから、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
[金・銀]
金・銀ともに販売量が減少したことから、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
[鉛]
国内の鉛蓄電池向け需要は、自動車補修向け取替用の需要が堅調であったものの、輸入品の増加による影響等により販売量は減少しました。加えて、鉛のLME(ロンドン金属取引所)価格は総じて下落基調で推移し、国内の鉛価格が下落したことから、売上高は前連結会計年度に比べて減少しました。
以上の結果、当部門の売上高は、前連結会計年度に比べて198億円(10.7%)減少の1,666億円となり、経常損益は、非鉄金属相場が下落したことに加え、在庫要因により悪化したこと等から、前連結会計年度に比べて115億円悪化し60億円の損失となりました。
③自動車部品セグメント
[自動車用ドアロック]
自動車の国内市場は軽自動車の需要が堅調であったものの、中国市場は小型車向け減税措置の廃止に加え、景気の減速が懸念され低調に推移しました。主要製品であるサイドドアラッチの販売量は、中国において減少したものの、国内および東南アジアにおいて堅調であったことから増加しました。
以上の結果、当部門の売上高は、前連結会計年度に比べて19億円(1.9%)増加の1,040億円となりましたが、経常利益は、鋼材価格上昇によるコストアップ等により、前連結会計年度に比べて8億円(15.0%)減少の46億円となりました。
④関連セグメント
[各種産業プラントエンジニアリング]
国内外プラント工事の受注環境が低調であったことに加え、水力発電設備の工事進行基準による完成計上が減少したこと等から、売上高は減少しました。
ダイカスト製品等の販売量は増加したものの、各種産業プラントエンジニアリングの影響により、当部門の売上高は、前連結会計年度に比べて58億円(4.4%)減少の1,269億円となり、経常利益は、在庫要因により悪化したこと等から、前連結会計年度に比べて19億円(28.6%)減少の48億円となりました。
主要な品目等の生産実績及び受注状況の当連結会計年度の推移は、次のとおりであります。
| セグメント | 品目 | 単位 | 第1 | 第2 | 第3 | 第4 | 累計 | |
| 四半期 | 四半期 | 四半期 | 四半期 | |||||
| 機能材料 | 銅箔 | 生産量 | 千t | 7 | 7 | 6 | 5 | 26 |
| 金属 | 亜鉛 | 生産量 | 千t | 53 | 49 | 49 | 58 | 210 |
| 鉛 | 生産量 | 千t | 15 | 16 | 16 | 17 | 66 | |
| 自動車部品 | 自動車部品 | 生産金額 | 億円 | 220 | 222 | 229 | 232 | 905 |
* 亜鉛:共同製錬については当社シェア分
(2) 財政状態の状況
資産合計は、前連結会計年度末に比べ46億円増加の5,233億円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ35億円増加の3,436億円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億円増加の1,796億円となりました。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.1ポイント上昇の32.5%となりました。
なお、財政状態の詳細については、「(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析 ①財政状態の状況」に記載しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ117億円収入減少の406億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ44億円支出増加の448億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ69億円支出減少の28億円の収入となりました。
以上の結果、為替換算差額を含めた現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ8億円減少の215億円となりました。
なお、キャッシュ・フローの詳細については、「(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績及び受注状況
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、セグメントごとの生産実績及び受注状況を正確に把握することは困難なため、主要な品目等についてのみ「(経営成績等の状況の概要)(1) 経営成績の状況」において、各セグメントに関連付けて記載しております。
(2) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 機能材料 | 165,474 | △1.0 |
| 金属 | 166,640 | △10.7 |
| 自動車部品 | 104,026 | 1.9 |
| 関連 | 126,904 | △4.4 |
| 調整額 | △65,345 | ― |
| 合計 | 497,701 | △4.1 |
(注) 1.セグメント間の取引については、各セグメントに含めて表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。その作成にあたっての重要な会計方針・見積りは、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
機能材料セグメントは、キャリア付極薄銅箔や電子材料用金属粉等の主要製品の販売量が減少したこと等により17億円減収の1,654億円となりました。金属セグメントは、国内の亜鉛および鉛の販売量が減少したことに加え、非鉄金属相場が下落したこと等から198億円減収の1,666億円となりました。自動車部品セグメントは、主要製品の販売量が増加したこと等から19億円増収の1,040億円となりました。関連セグメントは、ダイカスト製品等の販売量は増加したものの、各種産業プラントエンジニアリングにおける完成工事高が減少したこと等から58億円減収の1,269億円となりました。この結果、セグメント間の内部売上高又は振替高等を調整した売上高は、前連結会計年度に比べて215億円(4.1%)減少の4,977億円となりました。
なお、各セグメント及び主要製品別の分析については、「(経営成績等の状況の概要)(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② 営業利益
機能材料セグメントは、主要製品の販売量が減少したことに加え、原料価格・エネルギーコストの上昇や研究開発費の増加、インジウムの在庫要因悪化等により、前連結会計年度に比べて151億円減益の156億円となりました。
金属セグメントは、非鉄金属相場が下落したことに加え、在庫要因により悪化したこと等から、前連結会計年度に比べて142億円減益の35億円の損失となりました。
自動車部品セグメントは、鋼材価格上昇によるコストアップ等により、前連結会計年度に比べて12億円減益の40億円となりました。
関連セグメントは、ダイカスト製品等の販売量は増加したものの、各種産業プラントエンジニアリングにおける完成工事高が減少したことに加え、在庫要因により悪化したこと等から、前連結会計年度に比べて12億円減益の39億円となりました。
この結果、セグメントの調整額を加味した営業利益は、前連結会計年度に比べて313億円(63.2%)減少の182億円となりました。
③ 経常利益
営業利益は313億円減少したものの、前連結会計年度に計上したカセロネス銅鉱山の減損損失346億円の影響がなくなったことにより、持分法による投資損失が358億円改善したこと等から、営業外損益が378億円改善した結果、経常利益は、前連結会計年度に比べて65億円(58.0%)増加し177億円となりました。
なお、各セグメント別の分析については、「(経営成績等の状況の概要)(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析
① 財政状態の状況
資産合計は、受取手形及び売掛金92億円、たな卸資産18億円等の減少があったものの、流動資産のその他126億円、有形固定資産64億円等の増加により、前連結会計年度末に比べ46億円増加の5,233億円となりました。
負債合計は、デリバティブ債務52億円、支払手形及び買掛金38億円等の減少があったものの、長・短期借入金、社債及びコマーシャル・ペーパー残高84億円、設備投資にかかる債務他26億円等の増加により、前連結会計年度末に比べ35億円増加の3,436億円となりました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益46億円、連結子会社の決算期変更に伴う利益剰余金13億円、繰延ヘッジ損益27億円の増加に加え、剰余金の配当39億円、為替換算調整勘定20億円、その他有価証券評価差額金9億円の減少等があり、前連結会計年度末に比べ10億円増加の1,796億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益151億円、減価償却費279億円、売上債権の減少77億円の増加要因に対し、法人税等の支払額152億円等の減少要因を差し引いた結果、前連結会計年度に比べ117億円収入減少の406億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出344億円、短期貸付金の増加66億円等により、前連結会計年度に比べ44億円支出増加の448億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長・短期借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーの増加86億円および配当金の支払39億円等から、前連結会計年度に比べ69億円支出減少の28億円の収入となりました。
以上の結果、為替換算差額等を含めた現金及び現金同等物の当期末残高は、前連結会計年度末に比べ8億円減少の215億円となりました。
③ 財政状態及びキャッシュ・フロー指標のトレンド
| 回次 | 第90期 | 第91期 | 第92期 | 第93期 | 第94期 |
| 決算年月 | 2015年3月 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 |
| 自己資本比率(%) | 36.6 | 35.0 | 33.5 | 32.4 | 32.5 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 29.1 | 21.2 | 41.7 | 53.2 | 31.0 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債 比率(年) | 5.6 | 3.8 | 8.6 | 4.0 | 5.3 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 18.5 | 27.9 | 15.9 | 37.8 | 25.1 |
(注) 自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/支払利息
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている長・短期借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーを対象としております。
支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態に関する説明については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、業績に応じた適正な利益配分を行うことを基本方針としております。
内部留保資金につきましては、市場ニーズに応える研究開発・生産体制を強化し、グローバル戦略の展開を図るために有効な投資を実行してまいります。
当連結会計年度における主な設備投資については、機能材料部門において、主要製品であるキャリア付極薄銅箔および四輪車向け排ガス浄化触媒の生産体制増強を目的とした投資を行いました。また、金属部門においては、2019年度からの利益貢献を予定している水力発電設備の大規模更新への投資を行いました。この結果、当連結会計年度における有形固定資産の取得による支出は344億円となりました。これらの投資のための所要資金は、主に自己資金を充当しております。
なお、短期流動性確保の手段として、短期社債(電子CP)発行枠400億円を確保しているほか、250億円を限度とした長期コミットメント・ライン契約を取引金融機関とシンジケーション形式により締結しております。
また、キャッシュ・マネージメント・システム等によりグループ全体の資金効率の向上に努めております。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。