四半期報告書-第72期第2四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

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2019/08/09 9:31
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31項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2019年1月1日~2019年6月30日)におけるわが国経済は、輸出や生産の弱さが続き景気の停滞感が強まりました。4月1日に新元号が公表され、令和効果や10連休の消費押上げ効果がありましたものの、個人消費は総じて力強さを欠きました。
当業界におきましては、お客様の節約志向が続き販売競争が激化する中で、人手不足を背景とした人件費や物流費の増加に加え、原材料価格の上昇やエネルギーコストの増加もあり、収益が圧迫される厳しい経営環境となりました。
また、近年、製パン業界全般に拡大した「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示について、昨年10月、消費者庁表示対策課より日本パン公正取引協議会に対し、景品表示法違反の被疑事件として情報提供がありました。日本パン工業会並びに日本パン公正取引協議会の会長会社である当社は、本年1月から、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示が製パン業界に拡大した経緯を徹底的に調査するとともに、その強調表示の科学的根拠について徹底した分析を行いました。その結果、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示は、「イーストフード、乳化剤不使用」表示のあるパン類があたかも食品安全面、健康面で優位性があるかのような誤認をお客様に与え、イーストフード、乳化剤を使用している食パンや菓子パンに問題があるかのような誤認を生み出し、お客様の不信感を生み出していることが判明いたしました。また、徹底した調査と分析の結果、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示は、科学的根拠の上に立ったものではないことが明らかになりました。当社は、日本パン工業会、日本パン公正取引協議会の中で会員企業と協議しましたが、業界内の見解の一致を得ることができなかったため、3月末にホームページを立ち上げ、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示はお客様に誤認を与える不適切な表示であるとする見解とその科学的根拠を明らかにしました。また、その後の業界内での協議の結果、6月には日本パン工業会で「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示を自粛する自主基準が決議され、7月には日本パン公正取引協議会においても同様の自主基準が決議されました。このような努力の結果、4月度の当社の食パン、菓子パンの売上は着実に回復いたしました。5月度は若干低迷いたしましたが、6月度は改めて回復傾向となりました。製パン業界の自主基準により、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示は、7月末までにはほぼ自粛が徹底される見通しであります。
当社グループは、「厳撰100品」を中心とした主力製品の品質向上と消費期限の延長に積極的に取り組みました。また、消費の二極化に対応して、高品質・高付加価値製品を開発する一方で、値頃感のある製品を投入するなど、営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、売上確保をめざしました。
コンビニエンスストア業界では、人手不足により加盟店オーナーの負担が増大し24時間営業問題に発展し、大手チェーンが相次いで新規出店を見直し、加盟店支援を強化しました。また、食品ロス削減をめぐる社会的な要請が強まったこともあり、一部に日配品の発注抑制の動きもありました。
デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、「DY・Yショップ製品施策・営業戦略小委員会」を定期的に開催し、デイリーヤマザキの商品本部が生産各部門と一体となって商品開発を推進するとともに、「首都圏リージョン小委員会」を通じてデイリーヤマザキ一店一店の課題に取り組み、売上向上と収益改善をめざしました。また、6月からは「週次商品施策・営業戦略小委員会」をヤマザキパン生産本部、営業本部、デイリーヤマザキ合同で毎週開催し、デイリーヤマザキ事業の日々の仕事の中から問題・課題を把握し、その問題・課題に取り組む生産部門、営業部門のあるべき姿の追求を行い、お客様が求める高品質・高付加価値・高単価の特撰商品を迅速に提供する取組みを開始しました。
当第2四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は5,240億41百万円(対前年同期比99.0%)、営業利益は134億62百万円(対前年同期比89.9%)、経常利益は147億83百万円(対前年同期比93.7%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は78億48百万円(対前年同期比90.1%)となり、主力のパン類の売上が伸び悩む中で人件費やエネルギーコストの増加もあり、減益となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
セグメントの名称区分金額(百万円)前年同四半期比(%)
食品事業食パン50,37698.4
菓子パン180,48298.5
和菓子34,049101.0
洋菓子66,997100.1
調理パン・米飯類79,615100.3
製菓・米菓・その他商品類80,77099.7
食品事業計492,29299.4
流通事業26,09191.3
その他事業5,657106.7
合計524,04199.0

<食品事業>食品事業の主要製品別の売上状況は次のとおりであります。
①食パン部門(売上高503億76百万円、対前年同期比98.4%)
食パンは、「イーストフード、乳化剤不使用」表示の影響を受け、ヤマザキパンの製品からのお客様離れが生じたこともあり第1四半期の売上は低迷しましたが、3月末にホームページを立ち上げ、ヤマザキパンの科学的根拠に立った見解と「イーストフード、乳化剤不使用」表示は科学的根拠の上に立たない不適切な表示であることを明らかにしたこともあり第2四半期の売上は回復傾向となりました。主力の「ロイヤルブレッド」や「新食感宣言ルヴァン」が伸長するとともに、3月にルヴァン種を活用してリニューアルした「ふんわり食パン」の寄与もあり、6月は前年同期の売上を確保できました。
②菓子パン部門(売上高1,804億82百万円、対前年同期比98.5%)
菓子パンは、食パンと同様、添加物表示によってお客様の不信感が生じたこともあり昨年の下半期から売上は低迷しました。高級シリーズなどの主力製品を中心にルヴァン種を活用した品質向上を推進し、科学的根拠の上に立った消費期限の延長に積極的に取り組み、3月以降第2四半期の売上は回復傾向となりました。さらに、6月にはSNSを活用して菓子パンの売上上位品の品質訴求や食べ方提案を発信し、主力の菓子パンの売上は回復しました。しかしながら、菓子パン部門全体の売上は、米国子会社の売上減少もあり前年同期を下回りました。
③和菓子部門(売上高340億49百万円、対前年同期比101.0%)
和菓子は、農林水産省と厚生労働省が作成し公表した消費期限設定に関するガイドラインに従って科学的根拠をもった消費期限の延長を実施しました。昨年、消費期限を延長した大福、まんじゅう、どら焼などが好調に推移したことに加え、際物製品や「北海道チーズ蒸しケーキ」など蒸しパンの消費期限を延長して取扱拡大をはかり、順調な売上となりました。
④洋菓子部門(売上高669億97百万円、対前年同期比100.1%)
洋菓子は、和菓子と同様の趣旨で生ケーキやスナックケーキの消費期限の延長を行いました。主力の2個入り生ケーキや「まるごとバナナ」などのチルドケーキが好調に推移するとともに、コンビニエンスストア向け製品対応を強化したチーズケーキ、シュークリーム、スナックケーキが大きく寄与し、山崎製パン㈱の洋菓子は好調に推移しましたが、㈱不二家の洋菓子チェーンの店舗減少もあり、洋菓子部門全体の売上は前年同期並みに止まりました。
⑤調理パン・米飯類部門(売上高796億15百万円、対前年同期比100.3%)
調理パン・米飯類は、和紙包装のハンバーガーの伸長もあり調理パンが順調に推移しました。米飯類は、おにぎりが好調でしたがコンビニエンスストア向けの麺や惣菜の伸び悩みがありました。調理パン・米飯類部門全体の売上は、前年同期を上回りました。
⑥製菓・米菓・その他商品類部門(売上高807億70百万円、対前年同期比99.7%)
製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「ホームパイ」や㈱東ハトの「ポテコ」が好調でしたが、ヤマザキビスケット㈱のビスケット、クラッカーの新ブランドの不振もあり、売上は前年同期を下回りました。
以上の結果、食品事業の売上高は4,922億92百万円(対前年同期比99.4%)、営業利益は133億65百万円(対前年同期比91.3%)となりました。
<流通事業>デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、直営店の減少もあり、営業総収入は260億91百万円(対前年同期比91.3%)となり、営業損失は10億43百万円(前年同期は7億97百万円の営業損失)となりました。
<その他事業>その他事業につきましては、売上高は56億57百万円(対前年同期比106.7%)、営業利益は8億75百万円(対前年同期比73.3%)となりました。
(2) 財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は7,193億21百万円で、前連結会計年度末に対して95億57百万円減少しました。流動資産は2,491億97百万円で、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に対して74億11百万円減少しました。固定資産は4,701億23百万円で、有形固定資産の減価償却が進んだこと等もあり、前連結会計年度末に対して21億45百万円減少しました。負債合計は3,708億46百万円で、支払手形及び買掛金等の支払債務の減少や借入金の返済により、前連結会計年度末に対して154億77百万円減少しました。純資産は3,484億74百万円で、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に対して59億20百万円増加しました。
この結果、自己資本比率は44.37%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益131億39百万円に加え、減価償却費175億40百万円などにより353億82百万円のプラスとなりました。前年同期に対しては64億20百万円収入が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより194億1百万円のマイナスとなりましたが、前年同期に対しては27億73百万円支出が減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済、配当金の支払などにより123億48百万円のマイナスとなりましたが、前年同期に対しては47億25百万円支出が減少しました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結会計期間末残高は1,100億25百万円となり、前連結会計年度末残高に対しては36億2百万円の増加となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は39億82百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備
① 当第2四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設の計画の主なものは次のとおりであります。
会社名事業所名
(所在地)
セグメント
の名称
設備の内容投資予定額資金
調達
方法
着手年月完了予定
年月
完成後の
増加能力
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
提出会社松戸工場
松戸第二工場
(千葉県松戸市)
食品事業菓子パン生産設備295-自己資金2019年8月2019年9月生産能力
180百万円/月
横浜第二工場
(横浜市都筑区)
食品事業食パン生産設備280-自己資金2019年12月2019年12月生産能力
520百万円/月
安城冷生地事業所
(愛知県安城市)
食品事業冷凍食品生産設備250-自己資金2019年9月2019年10月生産能力
250百万円/月
㈱盛岡デリカ本社
(岩手県紫波郡
矢巾町)
食品事業炊飯生産設備80061自己資金2019年6月2020年4月生産能力
25%増

(注) 本明細は、消費税等を除いて表示しております。
② 前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設について、当第2四半期連結累計期間に完了したものは次のとおりであります。
会社名事業所名
(所在地)
セグメントの名称設備の内容金額
(百万円)
完了年月
提出会社京都工場(京都府宇治市)食品事業菓子パン生産設備5522019年6月
松戸工場(千葉県松戸市)食品事業受変電設備3002019年1月
伊勢崎工場(群馬県伊勢崎市)食品事業調理食品生産設備2322019年6月

(注) 本明細は、消費税等を除いて表示しております。