有価証券報告書-第76期(2023/01/01-2023/12/31)

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2024/03/28 13:44
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当期におけるわが国の一般経済環境は、新型コロナウイルスの5類感染症への移行により経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、個人消費につきましては実質賃金の伸び悩みもあり力強さを欠くものとなりました。
当業界におきましては、物価高の影響によりお客様の生活防衛意識が高まり、節約志向が強まる中で販売競争が激化するとともに、主原料の小麦粉や卵、油脂などの原材料価格の上昇もあり、厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業におきましては、行動制限の撤廃による人流の回復やインバウンドの増加により来店客数が増加し、おにぎりやサンドイッチ、焼きたてパンなどの需要が増加しました。
このような情勢下にありまして、当社グループは、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格製品や複数個入りで値頃感のある製品を充実する一方で、女性製品開発担当者による高付加価値製品の開発に取り組むなど、変化するお客様のニーズに対応した価格帯に隙のない製品対応を推進してまいりました。また、輸入小麦の政府売渡価格が、2022年10月期は緊急措置により据置きとなり、2023年4月期には激変緩和措置により上昇幅が抑制されました。これを踏まえ、当社は2023年7月1日出荷分から、一部の食パン、菓子パンの価格改定を実施しましたが、価格改定幅を抑えることができるとともに、改定と同時に2極化・3極化戦略によって、これらを下支えする製品を準備して価格帯に隙のない製品対応を推進したこともあり、業績は好調に推移しました。
また、当社は、2023年3月31日付けで、㈱神戸屋から包装パン事業の子会社㈱YKベーキングカンパニーの発行済株式全部を譲り受け、当第4四半期から当社の連結子会社といたしました。同社は、新経営体制のもとでヤマザキの技術を最大限活用した製品の品質改善や新製品開発に取り組むとともに、収益改善に取り組んでまいりました。
デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて、日次管理・週次管理・時間管理の経営手法のもと、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携し、女性製品開発担当者による魅力ある商品開発を推進するなど、日々の仕事の精度向上につとめ業績回復に取り組んでまいりました。
新型コロナウイルスへの対応といたしまして、当社グループは、緊急事態においてパン、和菓子、洋菓子ならびに調理パン・米飯類を緊急食糧として社会に提供するという新しいヤマザキの精神に従い、製品の安定供給を確保するため、全従業員に対して検温を実施し、37.2℃以上の発熱がある者を自宅待機とし、また発熱がない場合でも新型コロナウイルス独特の自覚症状がある者も自宅待機とし、この自宅待機者数とPCR検査陽性者数を日々管理するとともに、工場・事業所内の感染防止対策として、炭酸ガス濃度測定器によって、常時職場内の換気をしながら炭酸ガス濃度を700ppm以下に保つなど、社会的使命の達成に全力を挙げて取り組んでまいりました。
当期の連結業績につきましては、売上高は1兆1,755億62百万円(対前期比109.2%)、営業利益は419億62百万円(対前期比190.5%)、経常利益は455億26百万円(対前期比174.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は301億68百万円(対前期比243.9%)となりました。山崎製パン㈱単体の菓子パンを中心に業績が好調に推移し、連結子会社の業績が改善したことに加え、㈱YKベーキングカンパニーを新規連結したことに伴う売上増や負ののれん発生益を特別利益に計上したこともあり、大幅な増収増益を達成することができました。
前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
比較増減
金額(百万円)金額(百万円)前年
同期差
(百万円)
前年
同期比
(%)
売 上 高1,077,0091,175,56298,553109.2
営 業 利 益22,03241,96219,929190.5
経 常 利 益26,12745,52619,398174.2
親会社株主に帰属する当期純利益12,36830,16817,800243.9


セグメント別の業績は次のとおりであります。
[食品事業]
a 食パン部門(売上高1,085億69百万円、対前連結会計年度比108.2%)
食パンは、7月にルヴァン種を活用し品質を向上させた主力の「ロイヤルブレッド」が好調に推移するとともに、「モーニングスター」や「スイートブレッド」などの低価格食パンが伸長しました。さらに、主力製品のハーフサイズ食パンの取扱店数の拡大やサンドイッチ用食パンの回復もあり、前期の売上を上回りました。
b 菓子パン部門(売上高4,333億62百万円、対前連結会計年度比114.0%)
菓子パンは、「コッペパン」や「まるごとソーセージ」などの主力菓子パンが大きく伸長するとともに、ヤマザキ菓子パンや「ドーナツステーション」などの低価格製品が伸長しました。また、1月の規格改定により入数を変更し1個当たりを充実させた薄皮シリーズが好調に推移するとともに、生クリーム入りの生地とフィリングを使用した新製品「生ドーナツ」シリーズや惣菜パンの「たっぷり満足」シリーズが売上に寄与するなど、前期の売上を大きく上回りました。
c 和菓子部門(売上高737億93百万円、対前連結会計年度比104.2%)
和菓子は、主力の串団子や饅頭、大福が堅調に推移するとともに、チルド製品の「クリームたっぷり生どら焼」や和洋折衷の新製品「やわらか生大福」が売上に寄与するなど、前期の売上を上回りました。
d 洋菓子部門(売上高1,519億18百万円、対前連結会計年度比104.8%) 洋菓子は、主力の2個入り生ケーキや大きなシューシリーズが好調に推移するとともに、「5つに切ったロールケーキ」の寄与もありスイスロールが伸長し、前期の売上を上回りました。
e 調理パン・米飯類部門(売上高1,529億62百万円、対前連結会計年度比105.7%) 調理パン・米飯類は、おにぎりやサンドイッチが好調に推移するとともに、大徳食品㈱において麺の品質向上により調理麺の売上が拡大したこともあり、前期の売上を上回りました。
f 製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,731億56百万円、対前連結会計年度比107.5%) 製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「ホームパイ」や㈱東ハトの「ポテコ」、ヤマザキビスケット㈱の「チップスター」が好調に推移し、前期の売上を上回りました。
以上の結果、食品事業の売上高は1兆937億62百万円(対前連結会計年度比109.1%)、営業利益は407億4百万円(対前連結会計年度比182.3%)となりました。
[食品事業 前期比較]
前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
前年
同期差
(百万円)
前年
同期比
(%)
金額(百万円)金額(百万円)
売 上 高1,002,1481,093,76291,614109.1
営 業 利 益22,32640,70418,378182.3

[流通事業]
デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して、「ランチパック 大盛り」シリーズやデイリーホット商品など、女性製品開発担当者による魅力ある商品の開発を推進し、お客様に喜ばれるヤマザキ独自のコンビニエンスストアチェーンをめざしました。また、松戸・杉並ドミナントプロジェクトにより、デイリーホットを中心に品質の向上と収益改善に取り組むとともに、既存店舗の改装によりヤマザキらしい店づくりを推進し、競争力の強化をはかりました。
この結果、チェーン全店売上高は前期を上回るとともに、営業総収入は直営店舗数の増加もあり増収となりました。
当期末の店舗数は、「デイリーヤマザキ」1,006店(23店減)、「ニューヤマザキデイリーストア」298店(11店減)、「ヤマザキデイリーストアー」11店(増減なし)、総店舗数1,315店(34店減)となりました。
以上の結果、流通事業の売上高は679億52百万円(対前連結会計年度比110.2%)、営業損失は17億89百万円(前連結会計年度は31億1百万円の営業損失)となりました。
[流通事業 前期比較]
前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
前年
同期差
(百万円)
前年
同期比
(%)
金額(百万円)金額(百万円)
売 上 高61,65767,9526,295110.2
営 業 利 益△3,101△1,7891,311

[その他事業]
その他事業につきましては、売上高は138億47百万円(対前連結会計年度比104.9%)、営業利益は26億82百万円(対前連結会計年度比110.5%)となりました。
[その他事業 前期比較]
前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
前年
同期差
(百万円)
前年
同期比
(%)
金額(百万円)金額(百万円)
売 上 高13,20313,847644104.9
営 業 利 益2,4272,682254110.5


②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は8,020億35百万円で、前連結会計年度末に比べ440億4百万円増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は3,559億2百万円で、前連結会計年度末に比べ57億69百万円増加しました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,461億32百万円で、前連結会計年度末に比べ382億35百万円増加しました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,295億82百万円となり、前連結会計年度に対しては100億22百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益458億21百万円に加え、減価償却費403億18百万円などにより736億89百万円のプラスとなりました。前連結会計年度に対しては209億16百万円収入が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより456億59百万円のマイナスとなり、前連結会計年度に対しては36億74百万円支出が増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済、自己株式の取得、配当金の支払などにより188億34百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度に対しては78億61百万円支出が減少しました。
前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
増 減
金額(百万円)金額(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー52,77373,68920,916
投資活動によるキャッシュ・フロー△41,984△45,659△3,674
財務活動によるキャッシュ・フロー△26,695△18,8347,861
現金及び現金同等物に係る換算差額1,970827△1,143
現金及び現金同等物の増減額
(△は減少)
△13,93610,02223,959
現金及び現金同等物の期首残高133,495119,559△13,936
現金及び現金同等物の期末残高119,559129,58210,022

④生産、受注及び販売の状況
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
前年
同期差
(百万円)
前年
同期比
(%)
金額(百万円)金額(百万円)
食品事業913,1571,009,08695,928110.5
その他事業10311815115.1
合計913,2611,009,20595,943110.5


b 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
前年
同期差
(百万円)
前年
同期比
(%)
金額(百万円)金額(百万円)
食品事業34,71439,4864,772113.7
流通事業41,53145,1953,663108.8
合計76,24584,6818,436111.1

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
c 受注状況
当社グループの食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先からの日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残はありません。
d 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント
の名称
区分前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
比較増減
金額(百万円)金額(百万円)前年
同期差
(百万円)
前年
同期比
(%)
食品事業食パン100,347108,5698,222108.2
菓子パン380,206433,36253,155114.0
和菓子70,79373,7933,000104.2
洋菓子144,994151,9186,924104.8
調理パン・
米飯類
144,720152,9628,241105.7
製菓・米菓・
その他商品類
161,086173,15612,070107.5
食品事業計1,002,1481,093,76291,614109.1
流通事業61,65767,9526,295110.2
その他事業13,20313,847644104.9
合計1,077,0091,175,56298,553109.2

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a 貸倒引当金
当社グループは、貸倒懸念債権等特定の債権について個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
b 投資有価証券の減損処理
当社グループは、投資有価証券を所有しておりますが、その価値が50%以上下落した場合及び2ヶ年以上継続して30%から50%下落している場合は、減損処理を実施しております。将来の市況悪化や投資先の業績不振等によっては、更に減損処理が必要となる可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行なっておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。
d 退職給付費用及び債務
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は優良社債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づき決定しております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グル-プの当連結会計年度の経営成績は、売上高は1兆1,755億62百万円(前連結会計年度比9.2%増) で、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略により、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格帯製品や値頃感のある製品の品揃えを充実する一方で、女性製品開発担当者による高付加価値製品の開発に取り組みました。また2023年7月1日出荷分から、一部の食パン、菓子パンの価格改定を実施しましたが、価格帯に隙の無い製品対応をはかった事で、菓子パンを中心に好調に推移し、前連結会計年度を上回りました。営業利益は419億62百万円(前連結会計年度比 90.5%増)、経常利益は455億26百万円(前連結会計年度比74.2%増) で、増収に加え人件費率、販売コストのダウンもあり、営業利益、経常利益ともに増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、301億68百万円(前連結会計年度比143.9%増)で、㈱YKベーキングカンパニーを連結した事に伴う負ののれん発生益の計上もあり、前連結会計年度を大きく上回りました。
当社グループは、引き続き「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によってお客様のニーズに対応した価格帯に隙の無い製品対応をはかり、新しい価値の創造と新しい需要の創造に取り組んでまいります。
また、小売事業においては、小売事業業績改善プロジェクトにおける具体的な取り組みや、戦略製品・戦略商品開発チ-ムと連携した女性製品開発担当者による商品開発など、日次管理・週次管理・時間管理を推進して、日々の仕事の精度向上につとめ、業績の向上をめざします。
今後も当社グル-プは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、財政基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組み、連結経常利益率4%以上、連結ROE7%以上を達成すべく全力を挙げて取り組んでまいります。
a 売上高
売上高を事業の種類別に見ますと、食品事業は主力製品の品質の向上と2極化・3極化戦略によって、低価格帯製品や値頃感のある製品を充実する一方で、女性製品開発担当者による高付加価値製品の開発に取り組んだ事もあり、食パン・菓子パン部門が好調に推移しました。和菓子部門は主力の串団子や大福などが伸長し、洋菓子部門は主力の2個入生ケーキやスイスロールが伸長しました。フレッシュベーカリーの小売事業やコンビニエンスストア向け製品が主要販路の調理パン・米飯類部門も、人流の回復により伸長しました。製菓・米菓・その他商品類部門も一部の子会社で既存の主力製品が伸長した事もあり、食品事業全体では1兆937億62百万円(前連結会計年度比9.1%増) で前期を上回りました。流通事業はデイリ-ヤマザキで、ヤマザキの技術を活用した魅力ある商品の開発とヤマザキらしい店づくりに加え、直営店舗数の増加もあり、679億52百万円(前連結会計年度比10.2%増)、その他事業は138億47百万円(前連結会計年度比4.9%増) でした。
なお、売上高の詳細については、「第2 事業の状況」「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載の通りです。
b 営業利益
売上総利益率は、原材料費率や光熱費等の増加もあり、32.2%で前連結会計年度を0.3%上回りました。
販売費及び一般管理費は3,370億84百万円、売上高に対する比率は28.6%で、人件費率や運搬費率等の販売コストの減少もあり、前連結会計年度を1.3%下回りました。
以上の結果、営業利益は419億62百万円(前連結会計年度比90.5%増)となりました。
セグメント別では、食品事業の営業利益は増収と人件費率の減少もあり、407億4百万円(前連結会計年度比82.3%増)、流通事業はロイヤリティ収入の増や値入率の改善、ロス率の低減等もあり、営業損失は 17億89百万円(前連結会計年度は31億1百万円の営業損失)と縮小、その他事業の営業利益は増収により26億82百万円(前連結会計年度比10.5%増)でした。
c 経常利益
営業外収益面で、外貨建貸付金に係る為替差益の減少はありましたが、経常利益は455億26百万円(前連結会計年度比74.2%増) となりました。なお、目標とする経営指標の連結売上高経常利益率4%以上に対し、当連結会計年度は3.9%でしたが、前連結会計年度に対しては1.5%上回りました。
d 親会社株主に帰属する当期純利益
㈱YKベーキングカンパニー連結に伴う負ののれんの計上もあり、税金等調整前当期純利益は458億21百万円(前連結会計年度比97.3%増) 、親会社株主に帰属する当期純利益は301億68百万円で、前連結会計年度に対し143.9%の増益となりました。当連結会計年度の1株当たり当期純利益は146円19銭で、前連結会計年度に比べ87円9銭増加しました。なお、目標とする経営指標の連結ROEの7%以上に対し、当連結会計年度は7.9%で、前連結会計年度に対しては4.4%上回りました。
③財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は8,020億35百万円で、前連結会計年度末に対し440億4百万円増加しました。主な要因は、流動資産が3,147億87百万円で、売掛金の増加等により234億66百万円増加したことと、固定資産が4,872億47百万円で、有形固定資産が152億円増加し、投資有価証券が147億3百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し205億37百万円増加したことによるものです。
負債は3,559億2百万円で、退職給付に係る負債の減少はありましたが、買掛金や未払金の増加等により、前連結会計年度末に対し57億69百万円増加しました。
純資産は4,461億32百万円で、自己株式の取得による減少はありましたが、利益剰余金が255億78百万円、その他有価証券評価差額金が82億73百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に対し382億35百万円増加しました。なお、自己資本比率は49.9%で前連結会計年度に比べ1.9%の増、1株当たり純資産は1,942円85銭で前連結会計年度に比べ199円43銭の増となりました。
前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
前期差
金額(百万円)金額(百万円)
流 動 資 産291,321314,78723,466
固 定 資 産466,709487,24720,537
資 産 合 計758,031802,03544,004
負 債 合 計350,133355,9025,769
純 資 産 合 計407,897446,13238,235
負 債 純 資 産 合 計758,031802,03544,004

④資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度末の借入金残高は722億99百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループは将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
また、当社グループは、第1に、手元流動性を極力最小限に抑える。第2に営業活動によるキャッシュ・フローは会社の維持発展に必要な設備投資に充当する。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。第3に余剰資金は金利負担の軽減をはかるため適宜借入金の返済に充当する。以上の3項目を目標にしてキャッシュ・フローの有効活用に努めます。株主還元につきましては、株主の皆様への安定配当を継続することを基本方針とし、連結配当性向30%を目標にしております。なお、当期の連結配当性向は17.1%であります。
⑤当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。