有価証券報告書-第77期(2024/01/01-2024/12/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当期におけるわが国の一般経済環境は、雇用・所得環境の改善が進み、設備投資が堅調に推移するなど景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、実質賃金の伸び悩みもあり、個人消費は力強さを欠きました。
当業界におきましては、物価上昇によりお客様の生活防衛意識が高まり、節約志向や低価格志向が強まる中で、油脂や乳製品、包材等原材料価格の高止まりに加え、人件費や物流費等の上昇もあり、厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流回復やインバウンドの増加により売上の回復が続き焼きたてパンやおにぎり等が好調に推移しましたが、人件費等のコスト上昇もあり、厳しい経営環境となりました。
このような情勢下にありまして、当社グループは、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格製品を充実する一方で、女性製品開発担当者を中心に付加価値を付けた製品開発に取り組むなど、変化するお客様のニーズに対応した隙のない製品対応を推進し、業績向上をはかりました。
前期7月にパン類の価格改定を実施し、その効果が一巡することを見据えた種蒔きの仕事として、主力の「ダブルソフト」において抜本的な品質改善につながる新しい技術を見いだし、1月にリニューアル発売しました。「ダブルソフト」の売上は伸長し、お客様の好評を得たため、この技術を広く活用し、「超芳醇」や「モーニングスター」、「スイートブレッド」、食材食パンのほか、パン類以外の饅頭、ホットケーキ、中華まん等にも活用し、売上拡大をはかりました。
また、当社グループは、科学的根拠をもった食品安全衛生管理体制の上に行う新型コロナウイルス感染防止対策を継続し製品の安定供給につとめるとともに、労働安全衛生管理体制の充実強化をはかりました。本社において労働安全衛生推進基本会議を設置し、労働安全衛生に関する問題課題を把握するとともに、その問題課題の原因を追究して対処対応する具体案を協議決定し、本社・各工場一体となって問題課題の解決をはかる体制といたしました。また、従来は、各工場の安全日誌を活用し、従業員からのチョコ停・トラブル、ヒヤリハット等を日次・週次・月次で管理し改善しておりましたが、これに加え、本社ならびに各工場における機械設備のリスクアセスメントによるリスクの排除と軽減とともに、各工場における管理・監督職による日々の安全パトロールや安全教育を行う、2本立ての労働安全衛生管理体制を整備し、業績向上対策とともに、働く職場の安全安心の実現に取り組みました。
デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて、日次管理・週次管理・時間管理の経営手法により、問題課題を正確に把握して原因を追究し対応策を推進するなど、日々の仕事の精度向上をはかりました。また、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携した女性製品開発担当者による商品開発を推進して収益の改善をはかるとともに、新規技術による冷凍生地を活用した品質向上に取り組むなど、業績向上をはかりました。
当期の連結業績につきましては、売上高は1兆2,444億88百万円(対前期比105.9%)、営業利益は518億73百万円(対前期比123.6%)、経常利益は563億5百万円(対前期比123.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は360億15百万円(対前期比119.4%)となりました。山崎製パン㈱単体の菓子パンを中心に業績が好調に推移するとともに、連結子会社の業績が改善したこともあり、増収増益を達成することができました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
[食品事業]
a 食パン部門(売上高1,140億88百万円、対前連結会計年度比105.1%)
食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」が伸長するとともに、1月に新規技術により品質を向上させた「ダブルソフト」が大きく伸長しました。さらに、「スイートブレッド」、「モーニングスター」等の低価格食パンや主力製品のハーフサイズ食パンが伸長し、前期の売上を上回りました。
b 菓子パン部門(売上高4,648億44百万円、対前連結会計年度比107.3%)
菓子パンは、「コッペパン」や「まるごとソーセージ」、「ミニスナックゴールド」等の主力菓子パンが伸長し、「ドーナツステーション」や「ずっしり」シリーズ等の低価格製品が伸長するとともに、「薄皮たまごぱん」等の惣菜製品を新たにラインアップしたミニパンの薄皮シリーズが伸長し、前期の売上を大きく上回りました。
c 和菓子部門(売上高766億27百万円、対前連結会計年度比103.8%)
和菓子は、串団子や饅頭が堅調に推移するとともに、主力の「北海道チーズ蒸しケーキ」の伸長や低価格製品の「やまざき蒸しパン」シリーズの寄与もあり蒸しパンが伸長しました。さらに、「クリームたっぷり生どら焼」などのチルド和菓子が伸長し、前期の売上を上回りました。
d 洋菓子部門(売上高1,572億51百万円、対前連結会計年度比103.5%)
洋菓子は、主力の2個入り生ケーキや「まるごとバナナ」が伸長するとともに、「イチゴスペシャル」等のスナックケーキや「5つに切ったロールケーキ」等のスイスロールが好調に推移しました。さらに、コンビニエンスストア向け製品が好調に推移し、前期の売上を上回りました。
e 調理パン・米飯類部門(売上高1,580億22百万円、対前連結会計年度比103.3%)
調理パン・米飯類は、㈱サンデリカを中心におにぎりやサンドイッチが伸長するとともに、大徳食品㈱において調理麺が好調に推移したこともあり、前期の売上を上回りました。
f 製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,826億70百万円、対前連結会計年度比105.5%)
製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「カントリーマアム」やヤマザキビスケット㈱の「チップスター」、㈱東ハトの「ポテコ」等、各社の主力品が好調に推移し、前期の売上を上回りました。
以上の結果、食品事業の売上高は1兆1,535億4百万円(対前連結会計年度比105.5%)、営業利益は497億96百万円(対前連結会計年度比122.3%)となりました。
[食品事業 前期比較]
[流通事業]
デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して、デイリーホット商品や「ランチパック 大盛り」シリーズ等、女性製品開発担当者による競争力のある商品開発を推進し、お客様に喜ばれるヤマザキ独自のコンビニエンスストアチェーンをめざしました。また、松戸・杉並ドミナントプロジェクトにおいて、デイリーホットを中心に収益の改善をはかるとともに、新規技術による冷凍生地を活用したデイリーホットの品質向上や店舗改装によるヤマザキらしい店づくりに取り組みました。この結果、当期は、チェーン全店売上高が前期を上回るとともに、営業総収入は直営店舗数の増加もあり増収となりました。
当期末の店舗数は、「デイリーヤマザキ」1,004店(2店減)、「ニューヤマザキデイリーストア」277店(21店減)、「ヤマザキデイリーストアー」9店(2店減)、総店舗数1,290店(25店減)となりました。
以上の結果、流通事業の売上高は762億円(対前連結会計年度比112.1%)、営業損失は12億35百万円(前連結会計年度は17億89百万円の営業損失)となりました。
[流通事業 前期比較]
[その他事業]
その他事業につきましては、売上高は147億83百万円(対前連結会計年度比106.8%)、営業利益は30億17百万円(対前連結会計年度比112.5%)となりました。
[その他事業 前期比較]
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は8,651億5百万円で、前連結会計年度末に比べ630億70百万円増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は4,046億18百万円で、前連結会計年度末に比べ487億15百万円増加しました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,604億86百万円で、前連結会計年度末に比べ143億54百万円増加しました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,459億39百万円となり、前連結会計年度に対しては163億57百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益556億36百万円に加え、減価償却費418億63百万円などにより739億74百万円のプラスとなりました。前連結会計年度に対しては2億85百万円収入が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより434億92百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度に対しては21億67百万円支出が減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得、借入金の返済、配当金の支払などにより150億38百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度に対しては新規借入もあり、37億95百万円支出が減少しました。
④生産、受注及び販売の状況
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
c 受注状況
当社グループの食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先からの日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残はありません。
d 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a 貸倒引当金
当社グループは、貸倒懸念債権等特定の債権について個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
b 投資有価証券の減損処理
当社グループは、投資有価証券を所有しておりますが、その価値が50%以上下落した場合及び2ヶ年以上継続して30%から50%下落している場合は、減損処理を実施しております。将来の市況悪化や投資先の業績不振等によっては、更に減損処理が必要となる可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行なっておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。
d 退職給付費用及び債務
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は優良社債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づき決定しております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グル-プの当連結会計年度の経営成績は、売上高は1兆2,444億88百万円(前連結会計年度比5.9%増) で、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格帯製品や値頃感のある製品の品揃えを強化し、隙の無い製品対応をはかった事で、菓子パンを中心に好調に推移しました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業の業績も回復傾向となり、前連結会計年度を上回りました。営業利益は518億73百万円(前連結会計年度比 23.6%増)、経常利益は563億5百万円(前連結会計年度比23.7%増) で増収に加え、人件費率や販売コストのダウンもあり、営業利益、経常利益ともに増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、360億15百万円(前連結会計年度比19.4%増)で、前連結会計年度を上回りました。
当社グループは、引き続き「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、新規技術を活用した品質の向上をはかり、2極化・3極化戦略によって、変化するお客様のニーズに対応した隙のない製品対応を推進し、新しい価値の創造と新しい需要の創造に取り組むとともに、2本立ての労働安全衛生管理体制の整備・充実強化をして働く職場の安全安心の実現に取り組み、着実な業績向上をはかってまいります。
また、デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて、日次管理・週次管理・時間管理の経営手法を徹底し、日々の仕事の精度向上をはかるとともに、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発チームと連携した女性製品開発担当者による商品開発を推進し、業績向上をめざしてまいります。
今後も当社グル-プは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、財政基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組み、連結経常利益率4%以上、連結ROE7%以上を達成すべく全力を挙げて取り組んでまいります。
a 売上高
売上高を事業の種類別に見ますと、食品事業は新規技術により品質を向上させたダブルソフトが伸長するとともに、2極化・3極化戦略によって、低価格帯製品や値頃感のある製品を充実し、隙のない製品対応をはかったことで、食パン・菓子パン部門が好調に推移しました。和菓子部門は主力の串団子や饅頭が伸長し、洋菓子部門は主力の2個入生ケーキやまるごとバナナが伸長しました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流の回復やインバウンドの増加により、焼きたてパンやおにぎり等が好調に推移しました。製菓・米菓・その他商品類部門も㈱不二家の「カントリーマアム」、ヤマザキビスケット㈱の「チップスター」、㈱東ハトの「ポテコ」などの主力製品が伸長した事もあり、食品事業全体では1兆1,535億4百万円(前連結会計年度比5.5%増) で前期を上回りました。流通事業はデイリ-ヤマザキで、競争力のある商品開発とデイリーホットの品質向上、ヤマザキらしい店づくりに加え、直営店舗数の増加もあり、762億円(前連結会計年度比12.1%増)、その他事業は147億83百万円(前連結会計年度比6.8%増) でした。
なお、売上高の詳細については、「第2 事業の状況」「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載の通りです。
b 営業利益
売上総利益率は、原材料費率の減少もあり、32.6%で前連結会計年度を0.4%上回りました。
販売費及び一般管理費は3,533億81百万円、売上高に対する比率は28.4%で、人件費率や広告販促費率等の販売コストの減少もあり、前連結会計年度を0.2%下回りました。
以上の結果、営業利益は518億73百万円(前連結会計年度比23.6%増)となりました。
セグメント別では、食品事業の営業利益は増収と人件費率の減少もあり、497億96百万円(前連結会計年度比22.3%増)、流通事業は値入率の改善やロス率の低減等もあり、営業損失は 12億35百万円(前連結会計年度は17億89百万円の営業損失)と縮小、その他事業の営業利益は増収により30億17百万円(前連結会計年度比12.5%増)でした。
c 経常利益
営業外収益面で、外貨建貸付金に係る為替差益や受取配当金の増加等により、経常利益は563億5百万円(前連結会計年度比23.7%増) となりました。なお、目標とする経営指標の連結売上高経常利益率4%以上に対し、当連結会計年度は4.5%で、前連結会計年度に対しては0.6%上回りました。
d 親会社株主に帰属する当期純利益
固定資産除売却損等の特別損失計上後の税金等調整前当期純利益は556億36百万円(前連結会計年度比21.4%増) 、親会社株主に帰属する当期純利益は360億15百万円で、前連結会計年度に対し19.4%の増益となりました。当連結会計年度の1株当たり当期純利益は178円58銭で、前連結会計年度に比べ32円39銭増加しました。なお、目標とする経営指標の連結ROEの7%以上に対し、当連結会計年度は8.9%で、前連結会計年度に対しては1%上回りました。
③財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は8,651億5百万円で、前連結会計年度末に対し630億70百万円増加しました。主な要因は、流動資産が3,414億4百万円で、現金及び預金の増加等により266億16百万円増加したことと、固定資産が5,237億1百万円で、有形固定資産が110億10百万円増加し、年金資産の運用改善等もあり、退職給付に係る資産が323億98百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し364億53百万円増加したことによるものです。
負債は4,046億18百万円で、退職給付に係る負債や長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に対し487億15百万円増加しました。
純資産は4,604億86百万円で、自己株式の取得による減少はありましたが、利益剰余金が312億33百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し143億54百万円増加しました。なお、自己資本比率は47.6%で前連結会計年度に比べ2.3%の減、1株当たり純資産は2,072円34銭で前連結会計年度に比べ129円49銭の増となりました。
④資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度末の借入金残高は926億76百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループは将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
また、当社グループは、第1に、手元流動性を極力最小限に抑える。第2に営業活動によるキャッシュ・フローは会社の維持発展に必要な設備投資に充当する。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。第3に余剰資金は金利負担の軽減をはかるため適宜借入金の返済に充当する。以上の3項目を目標にしてキャッシュ・フローの有効活用に努めます。株主還元につきましては、株主の皆様への安定配当を継続することを基本方針とし、連結配当性向30%を目標にしております。なお、当期の連結配当性向は25.2%であります。
⑤当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当期におけるわが国の一般経済環境は、雇用・所得環境の改善が進み、設備投資が堅調に推移するなど景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、実質賃金の伸び悩みもあり、個人消費は力強さを欠きました。
当業界におきましては、物価上昇によりお客様の生活防衛意識が高まり、節約志向や低価格志向が強まる中で、油脂や乳製品、包材等原材料価格の高止まりに加え、人件費や物流費等の上昇もあり、厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流回復やインバウンドの増加により売上の回復が続き焼きたてパンやおにぎり等が好調に推移しましたが、人件費等のコスト上昇もあり、厳しい経営環境となりました。
このような情勢下にありまして、当社グループは、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格製品を充実する一方で、女性製品開発担当者を中心に付加価値を付けた製品開発に取り組むなど、変化するお客様のニーズに対応した隙のない製品対応を推進し、業績向上をはかりました。
前期7月にパン類の価格改定を実施し、その効果が一巡することを見据えた種蒔きの仕事として、主力の「ダブルソフト」において抜本的な品質改善につながる新しい技術を見いだし、1月にリニューアル発売しました。「ダブルソフト」の売上は伸長し、お客様の好評を得たため、この技術を広く活用し、「超芳醇」や「モーニングスター」、「スイートブレッド」、食材食パンのほか、パン類以外の饅頭、ホットケーキ、中華まん等にも活用し、売上拡大をはかりました。
また、当社グループは、科学的根拠をもった食品安全衛生管理体制の上に行う新型コロナウイルス感染防止対策を継続し製品の安定供給につとめるとともに、労働安全衛生管理体制の充実強化をはかりました。本社において労働安全衛生推進基本会議を設置し、労働安全衛生に関する問題課題を把握するとともに、その問題課題の原因を追究して対処対応する具体案を協議決定し、本社・各工場一体となって問題課題の解決をはかる体制といたしました。また、従来は、各工場の安全日誌を活用し、従業員からのチョコ停・トラブル、ヒヤリハット等を日次・週次・月次で管理し改善しておりましたが、これに加え、本社ならびに各工場における機械設備のリスクアセスメントによるリスクの排除と軽減とともに、各工場における管理・監督職による日々の安全パトロールや安全教育を行う、2本立ての労働安全衛生管理体制を整備し、業績向上対策とともに、働く職場の安全安心の実現に取り組みました。
デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて、日次管理・週次管理・時間管理の経営手法により、問題課題を正確に把握して原因を追究し対応策を推進するなど、日々の仕事の精度向上をはかりました。また、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携した女性製品開発担当者による商品開発を推進して収益の改善をはかるとともに、新規技術による冷凍生地を活用した品質向上に取り組むなど、業績向上をはかりました。
当期の連結業績につきましては、売上高は1兆2,444億88百万円(対前期比105.9%)、営業利益は518億73百万円(対前期比123.6%)、経常利益は563億5百万円(対前期比123.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は360億15百万円(対前期比119.4%)となりました。山崎製パン㈱単体の菓子パンを中心に業績が好調に推移するとともに、連結子会社の業績が改善したこともあり、増収増益を達成することができました。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 比較増減 | ||
金額(百万円) | 金額(百万円) | 前年 同期差 (百万円) | 前年 同期比 (%) | |
売 上 高 | 1,175,562 | 1,244,488 | 68,925 | 105.9 |
営 業 利 益 | 41,962 | 51,873 | 9,911 | 123.6 |
経 常 利 益 | 45,526 | 56,305 | 10,778 | 123.7 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 30,168 | 36,015 | 5,847 | 119.4 |
セグメント別の業績は次のとおりであります。
[食品事業]
a 食パン部門(売上高1,140億88百万円、対前連結会計年度比105.1%)
食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」が伸長するとともに、1月に新規技術により品質を向上させた「ダブルソフト」が大きく伸長しました。さらに、「スイートブレッド」、「モーニングスター」等の低価格食パンや主力製品のハーフサイズ食パンが伸長し、前期の売上を上回りました。
b 菓子パン部門(売上高4,648億44百万円、対前連結会計年度比107.3%)
菓子パンは、「コッペパン」や「まるごとソーセージ」、「ミニスナックゴールド」等の主力菓子パンが伸長し、「ドーナツステーション」や「ずっしり」シリーズ等の低価格製品が伸長するとともに、「薄皮たまごぱん」等の惣菜製品を新たにラインアップしたミニパンの薄皮シリーズが伸長し、前期の売上を大きく上回りました。
c 和菓子部門(売上高766億27百万円、対前連結会計年度比103.8%)
和菓子は、串団子や饅頭が堅調に推移するとともに、主力の「北海道チーズ蒸しケーキ」の伸長や低価格製品の「やまざき蒸しパン」シリーズの寄与もあり蒸しパンが伸長しました。さらに、「クリームたっぷり生どら焼」などのチルド和菓子が伸長し、前期の売上を上回りました。
d 洋菓子部門(売上高1,572億51百万円、対前連結会計年度比103.5%)
洋菓子は、主力の2個入り生ケーキや「まるごとバナナ」が伸長するとともに、「イチゴスペシャル」等のスナックケーキや「5つに切ったロールケーキ」等のスイスロールが好調に推移しました。さらに、コンビニエンスストア向け製品が好調に推移し、前期の売上を上回りました。
e 調理パン・米飯類部門(売上高1,580億22百万円、対前連結会計年度比103.3%)
調理パン・米飯類は、㈱サンデリカを中心におにぎりやサンドイッチが伸長するとともに、大徳食品㈱において調理麺が好調に推移したこともあり、前期の売上を上回りました。
f 製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,826億70百万円、対前連結会計年度比105.5%)
製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「カントリーマアム」やヤマザキビスケット㈱の「チップスター」、㈱東ハトの「ポテコ」等、各社の主力品が好調に推移し、前期の売上を上回りました。
以上の結果、食品事業の売上高は1兆1,535億4百万円(対前連結会計年度比105.5%)、営業利益は497億96百万円(対前連結会計年度比122.3%)となりました。
[食品事業 前期比較]
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 前年 同期差 (百万円) | 前年 同期比 (%) | |
金額(百万円) | 金額(百万円) | |||
売 上 高 | 1,093,762 | 1,153,504 | 59,741 | 105.5 |
営 業 利 益 | 40,704 | 49,796 | 9,092 | 122.3 |
[流通事業]
デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携して、デイリーホット商品や「ランチパック 大盛り」シリーズ等、女性製品開発担当者による競争力のある商品開発を推進し、お客様に喜ばれるヤマザキ独自のコンビニエンスストアチェーンをめざしました。また、松戸・杉並ドミナントプロジェクトにおいて、デイリーホットを中心に収益の改善をはかるとともに、新規技術による冷凍生地を活用したデイリーホットの品質向上や店舗改装によるヤマザキらしい店づくりに取り組みました。この結果、当期は、チェーン全店売上高が前期を上回るとともに、営業総収入は直営店舗数の増加もあり増収となりました。
当期末の店舗数は、「デイリーヤマザキ」1,004店(2店減)、「ニューヤマザキデイリーストア」277店(21店減)、「ヤマザキデイリーストアー」9店(2店減)、総店舗数1,290店(25店減)となりました。
以上の結果、流通事業の売上高は762億円(対前連結会計年度比112.1%)、営業損失は12億35百万円(前連結会計年度は17億89百万円の営業損失)となりました。
[流通事業 前期比較]
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 前年 同期差 (百万円) | 前年 同期比 (%) | |
金額(百万円) | 金額(百万円) | |||
売 上 高 | 67,952 | 76,200 | 8,248 | 112.1 |
営 業 利 益 | △1,789 | △1,235 | 553 | ― |
[その他事業]
その他事業につきましては、売上高は147億83百万円(対前連結会計年度比106.8%)、営業利益は30億17百万円(対前連結会計年度比112.5%)となりました。
[その他事業 前期比較]
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 前年 同期差 (百万円) | 前年 同期比 (%) | |
金額(百万円) | 金額(百万円) | |||
売 上 高 | 13,847 | 14,783 | 935 | 106.8 |
営 業 利 益 | 2,682 | 3,017 | 335 | 112.5 |
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は8,651億5百万円で、前連結会計年度末に比べ630億70百万円増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は4,046億18百万円で、前連結会計年度末に比べ487億15百万円増加しました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,604億86百万円で、前連結会計年度末に比べ143億54百万円増加しました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,459億39百万円となり、前連結会計年度に対しては163億57百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益556億36百万円に加え、減価償却費418億63百万円などにより739億74百万円のプラスとなりました。前連結会計年度に対しては2億85百万円収入が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより434億92百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度に対しては21億67百万円支出が減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得、借入金の返済、配当金の支払などにより150億38百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度に対しては新規借入もあり、37億95百万円支出が減少しました。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 増 減 | |
金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 73,689 | 73,974 | 285 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △45,659 | △43,492 | 2,167 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △18,834 | △15,038 | 3,795 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 827 | 308 | △518 |
現金及び現金同等物の増減額 (△は減少) | 10,022 | 15,753 | 5,730 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 119,559 | 129,582 | 10,022 |
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 | ― | 604 | 604 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 129,582 | 145,939 | 16,357 |
④生産、受注及び販売の状況
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 前年 同期差 (百万円) | 前年 同期比 (%) |
金額(百万円) | 金額(百万円) | |||
食品事業 | 1,009,086 | 1,064,440 | 55,354 | 105.5 |
その他事業 | 118 | 117 | △1 | 98.5 |
合計 | 1,009,205 | 1,064,557 | 55,352 | 105.5 |
b 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 前年 同期差 (百万円) | 前年 同期比 (%) |
金額(百万円) | 金額(百万円) | |||
食品事業 | 56,674 | 55,715 | △958 | 98.3 |
流通事業 | 28,007 | 31,273 | 3,266 | 111.7 |
合計 | 84,681 | 86,989 | 2,307 | 102.7 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
c 受注状況
当社グループの食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先からの日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残はありません。
d 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント の名称 | 区分 | 前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 比較増減 | |
金額(百万円) | 金額(百万円) | 前年 同期差 (百万円) | 前年 同期比 (%) | ||
食品事業 | 食パン | 108,569 | 114,088 | 5,518 | 105.1 |
菓子パン | 433,362 | 464,844 | 31,482 | 107.3 | |
和菓子 | 73,793 | 76,627 | 2,833 | 103.8 | |
洋菓子 | 151,918 | 157,251 | 5,332 | 103.5 | |
調理パン・ 米飯類 | 152,962 | 158,022 | 5,060 | 103.3 | |
製菓・米菓・ その他商品類 | 173,156 | 182,670 | 9,514 | 105.5 | |
食品事業計 | 1,093,762 | 1,153,504 | 59,741 | 105.5 | |
流通事業 | 67,952 | 76,200 | 8,248 | 112.1 | |
その他事業 | 13,847 | 14,783 | 935 | 106.8 | |
合計 | 1,175,562 | 1,244,488 | 68,925 | 105.9 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a 貸倒引当金
当社グループは、貸倒懸念債権等特定の債権について個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
b 投資有価証券の減損処理
当社グループは、投資有価証券を所有しておりますが、その価値が50%以上下落した場合及び2ヶ年以上継続して30%から50%下落している場合は、減損処理を実施しております。将来の市況悪化や投資先の業績不振等によっては、更に減損処理が必要となる可能性があります。
c 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行なっておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。
d 退職給付費用及び債務
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は優良社債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づき決定しております。
実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グル-プの当連結会計年度の経営成績は、売上高は1兆2,444億88百万円(前連結会計年度比5.9%増) で、「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略を推進し、主力製品の品質向上をはかるとともに、2極化・3極化戦略によって低価格帯製品や値頃感のある製品の品揃えを強化し、隙の無い製品対応をはかった事で、菓子パンを中心に好調に推移しました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業の業績も回復傾向となり、前連結会計年度を上回りました。営業利益は518億73百万円(前連結会計年度比 23.6%増)、経常利益は563億5百万円(前連結会計年度比23.7%増) で増収に加え、人件費率や販売コストのダウンもあり、営業利益、経常利益ともに増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も、360億15百万円(前連結会計年度比19.4%増)で、前連結会計年度を上回りました。
当社グループは、引き続き「いのちの道」の教えに従い、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する営業・生産が一体となった部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進し、新規技術を活用した品質の向上をはかり、2極化・3極化戦略によって、変化するお客様のニーズに対応した隙のない製品対応を推進し、新しい価値の創造と新しい需要の創造に取り組むとともに、2本立ての労働安全衛生管理体制の整備・充実強化をして働く職場の安全安心の実現に取り組み、着実な業績向上をはかってまいります。
また、デイリーヤマザキやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、小売事業業績改善プロジェクトにおいて、日次管理・週次管理・時間管理の経営手法を徹底し、日々の仕事の精度向上をはかるとともに、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発チームと連携した女性製品開発担当者による商品開発を推進し、業績向上をめざしてまいります。
今後も当社グル-プは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、財政基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組み、連結経常利益率4%以上、連結ROE7%以上を達成すべく全力を挙げて取り組んでまいります。
a 売上高
売上高を事業の種類別に見ますと、食品事業は新規技術により品質を向上させたダブルソフトが伸長するとともに、2極化・3極化戦略によって、低価格帯製品や値頃感のある製品を充実し、隙のない製品対応をはかったことで、食パン・菓子パン部門が好調に推移しました。和菓子部門は主力の串団子や饅頭が伸長し、洋菓子部門は主力の2個入生ケーキやまるごとバナナが伸長しました。また、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリーの小売事業につきましては、人流の回復やインバウンドの増加により、焼きたてパンやおにぎり等が好調に推移しました。製菓・米菓・その他商品類部門も㈱不二家の「カントリーマアム」、ヤマザキビスケット㈱の「チップスター」、㈱東ハトの「ポテコ」などの主力製品が伸長した事もあり、食品事業全体では1兆1,535億4百万円(前連結会計年度比5.5%増) で前期を上回りました。流通事業はデイリ-ヤマザキで、競争力のある商品開発とデイリーホットの品質向上、ヤマザキらしい店づくりに加え、直営店舗数の増加もあり、762億円(前連結会計年度比12.1%増)、その他事業は147億83百万円(前連結会計年度比6.8%増) でした。
なお、売上高の詳細については、「第2 事業の状況」「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載の通りです。
b 営業利益
売上総利益率は、原材料費率の減少もあり、32.6%で前連結会計年度を0.4%上回りました。
販売費及び一般管理費は3,533億81百万円、売上高に対する比率は28.4%で、人件費率や広告販促費率等の販売コストの減少もあり、前連結会計年度を0.2%下回りました。
以上の結果、営業利益は518億73百万円(前連結会計年度比23.6%増)となりました。
セグメント別では、食品事業の営業利益は増収と人件費率の減少もあり、497億96百万円(前連結会計年度比22.3%増)、流通事業は値入率の改善やロス率の低減等もあり、営業損失は 12億35百万円(前連結会計年度は17億89百万円の営業損失)と縮小、その他事業の営業利益は増収により30億17百万円(前連結会計年度比12.5%増)でした。
c 経常利益
営業外収益面で、外貨建貸付金に係る為替差益や受取配当金の増加等により、経常利益は563億5百万円(前連結会計年度比23.7%増) となりました。なお、目標とする経営指標の連結売上高経常利益率4%以上に対し、当連結会計年度は4.5%で、前連結会計年度に対しては0.6%上回りました。
d 親会社株主に帰属する当期純利益
固定資産除売却損等の特別損失計上後の税金等調整前当期純利益は556億36百万円(前連結会計年度比21.4%増) 、親会社株主に帰属する当期純利益は360億15百万円で、前連結会計年度に対し19.4%の増益となりました。当連結会計年度の1株当たり当期純利益は178円58銭で、前連結会計年度に比べ32円39銭増加しました。なお、目標とする経営指標の連結ROEの7%以上に対し、当連結会計年度は8.9%で、前連結会計年度に対しては1%上回りました。
③財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は8,651億5百万円で、前連結会計年度末に対し630億70百万円増加しました。主な要因は、流動資産が3,414億4百万円で、現金及び預金の増加等により266億16百万円増加したことと、固定資産が5,237億1百万円で、有形固定資産が110億10百万円増加し、年金資産の運用改善等もあり、退職給付に係る資産が323億98百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し364億53百万円増加したことによるものです。
負債は4,046億18百万円で、退職給付に係る負債や長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に対し487億15百万円増加しました。
純資産は4,604億86百万円で、自己株式の取得による減少はありましたが、利益剰余金が312億33百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し143億54百万円増加しました。なお、自己資本比率は47.6%で前連結会計年度に比べ2.3%の減、1株当たり純資産は2,072円34銭で前連結会計年度に比べ129円49銭の増となりました。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 前期差 | |
金額(百万円) | 金額(百万円) | ||
流 動 資 産 | 314,787 | 341,404 | 26,616 |
固 定 資 産 | 487,247 | 523,701 | 36,453 |
資 産 合 計 | 802,035 | 865,105 | 63,070 |
負 債 合 計 | 355,902 | 404,618 | 48,715 |
純 資 産 合 計 | 446,132 | 460,486 | 14,354 |
負 債 純 資 産 合 計 | 802,035 | 865,105 | 63,070 |
④資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度末の借入金残高は926億76百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループは将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。
また、当社グループは、第1に、手元流動性を極力最小限に抑える。第2に営業活動によるキャッシュ・フローは会社の維持発展に必要な設備投資に充当する。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。第3に余剰資金は金利負担の軽減をはかるため適宜借入金の返済に充当する。以上の3項目を目標にしてキャッシュ・フローの有効活用に努めます。株主還元につきましては、株主の皆様への安定配当を継続することを基本方針とし、連結配当性向30%を目標にしております。なお、当期の連結配当性向は25.2%であります。
⑤当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。