有価証券報告書-第109期(令和2年12月1日-令和3年11月30日)

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2022/02/28 10:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度より、連結子会社であった株式会社キユーソー流通システムの株式を一部譲渡し持分法適用関連会社へ移行しました。これにより、売上高1,404億23百万円、営業利益28億37百万円の減少影響が生じています。
当連結会計年度における当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限や国際的な穀物相場高騰の影響など先行き不透明な状況が続きました。
売上高については、海外で新型コロナウイルス感染症の収束から外食需要の回復がみられ受注が増加しましたが、物流事業の持分法適用関連会社への移行の影響により減収となりました。営業利益については、海外の売上増加など増益要因はあったものの、主原料高騰の影響や物流事業の持分法適用関連会社への移行の影響により減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別損失の減少により増益となりました。
当連結会計年度の連結業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
当連結会計年度
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
増減(金額)増減(比率)[参考]
前連結会計年度
(遡及後)
売上高531,103407,039△124,064△23.4%390,680
営業利益28,30327,972△331△1.2%25,466
経常利益28,98929,6987092.4%26,812
親会社株主に帰属する
当期純利益
11,59118,0146,42355.4%11,591

※当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理を行っており、前連結会計年度に係る各数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させています。
※前連結会計年度(遡及後)は、物流事業を除いた遡及適用後の数値を記載しています。
◇ セグメント別の状況
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。
・国内の「調理・調味料」「サラダ・惣菜」「タマゴ」は「市販用」「業務用」へ再編
・「調理・調味料」に含まれていた海外部分を分離し、「海外」を新設
・「物流」は持分法適用関連会社へ移行
以下は前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
[売上高の内訳](単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
当連結会計年度
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
増減(金額)増減(比率)
市販用168,031172,6784,6472.8%
業務用145,035149,7924,7573.3%
海外47,16353,3836,22013.2%
フルーツ ソリューション16,47316,8784052.5%
ファインケミカル7,9428,77082810.4%
物流140,423△140,423
共通6,0345,536△498△8.3%
合 計531,103407,039△124,064△23.4%

[営業利益の内訳](単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2019年12月1日
至 2020年11月30日)
当連結会計年度
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
増減(金額)増減(比率)
市販用15,82417,1951,3718.7%
業務用7,7876,292△1,495△19.2%
海外4,9477,2292,28246.1%
フルーツ ソリューション56171915828.2%
ファインケミカル1,1561,075△81△7.0%
物流2,837△2,837
共通1,3291,328△1△0.1%
全社費用△6,141△5,868273
合 計28,30327,972△331△1.2%

<市販用>・新型コロナウイルス感染症拡大による内食需要の高まりを受け、主力商品を中心に売上高が伸長したことにより増収
・売上増加や売上総利益率の改善に努めたことなどにより増益
<業務用>・タマゴ商品の販売価格が鶏卵相場の高騰影響により上昇し増収
・新型コロナウイルス感染症拡大による需要減少とアイテム精鋭化の終売影響等により減益
<海外>・前年度実施した北米タマゴ事業譲渡の影響があったが、中国を中心に新型コロナウイルス感染症からの回復がみられ増収
・各エリアにおける売上拡大や付加価値の高いドレッシングの販売が堅調に推移したことから増益
<フルーツ ソリューション>・家庭用ジャム・スプレッドは前年の巣ごもり需要の反動があったが、食品メーカー向けの新規受注などにより増収増益
<ファインケミカル>・通信販売が好調に推移し増収となったが、原料販売の不振や生産操業度低下により減益
<共通>・食品メーカー向け製造機械の売上減少により減収減益
◇ 財政状態の状況
・総資産は、3,810億3百万円と前期末比732億73百万円減少
主に受取手形及び売掛金の減少169億8百万円、建物及び構築物の減少162億34百万円、機械装置及び運搬具の減少189億92百万円、土地の減少226億54百万円、投資有価証券の増加165億19百万円によるものです。
・負債は、1,117億2百万円と前期末比552億18百万円減少
主に支払手形及び買掛金の減少138億13百万円、長期借入金の減少355億5百万円によるものです。
・純資産は、2,693億1百万円と前期末比180億55百万円減少
主に利益剰余金の減少76億90百万円、自己株式の減少100億27百万円、非支配株主持分の減少239億52百万円によるものです。
また、2021年1月に連結子会社であった株式会社キユーソー流通システムの株式の一部譲渡により、当連結会計年度から持分法適用関連会社へ移行したことで、総資産1,052億64百万円、負債622億41百万円が減少しています。
②キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の残高は、667億3百万円と前期末比9億26百万円増加となりました。
各キャッシュ・フローの状況は、下記のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が288億60百万円、減価償却費が153億36百万円、法人税等の支払いが73億83百万円となったことなどから385億33百万円の収入(前期は349億55百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が77億43百万円、無形固定資産の取得による支出が38億42百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が88億1百万円となったことなどから202億77百万円の支出(前期は260億39百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが56億65百万円、自己株式の取得による支出が100億4百万円となったことなどから187億1百万円の支出(前期は5百万円の収入)となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりです。
2017年
11月期
2018年
11月期
2019年
11月期
2020年
11月期
2021年
11月期
自己資本比率(%)54.253.953.052.864.5
時価ベースの自己資本比率(%)101.693.978.368.584.2
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)2.21.51.52.31.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)75.8122.5144.7103.7159.0

(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としています。
※キャッシュ・フローおよび利払いは、それぞれ連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を使用しています。
③ 生産、受注および販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度(百万円)
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
前年同期比(%)
市販用109,580103.1
業務用97,003108.2
海外34,812103.9
フルーツ ソリューション11,56197.9
ファインケミカル3,89996.0
共通1,89540.2
合計258,752103.5

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度(百万円)
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
前年同期比(%)
市販用14,105110.3
業務用17,672108.3
海外2,453114.5
フルーツ ソリューション1,318104.0
ファインケミカル10096.2
共通3,29396.9
合計38,94481.4

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c.受注実績
主要製品以外の一部の製品について受注生産を行うほかは、すべて見込み生産のため記載を省略しています。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度(百万円)
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
前年同期比(%)
市販用172,678102.8
業務用149,792103.3
海外53,383113.2
フルーツ ソリューション16,878102.5
ファインケミカル8,770110.4
共通5,53691.7
合計407,03976.6

(注)1.外部顧客に対する売上高を記載しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告金額および報告期間における収益・費用の報告金額に影響する見積り、判断および仮定を必要としています。過去の実績や状況を踏まえ合理的と考えられるさまざまな要因に基づき、継続的に見積り、判断および仮定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
(1) 固定資産の減損処理
保有する固定資産について、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分(会社別、事業別かつ事業所別)を単位としてグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しています。減損損失を認識するかどうかの判定および使用価値の算定に際して用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報に基づき、合理的な仮定を置いて計算しています。
将来の市場環境の変化などにより、見積り額と実態に乖離が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症拡大による影響につきましては、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(2) 貸倒引当金の計上基準
貸倒引当金については、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については過年度実績率を基礎とした将来の貸倒予測率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
(3) 投資有価証券の減損処理
投資有価証券の評価方法については、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しています。保有する有価証券につき、時価のあるものは株式市場の価格変動リスクを負っていること、時価のないものは投資先の業績状況等が悪化する可能性があること等から、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損処理を行っています。
この基準に伴い、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現状の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。
(4) 繰延税金資産の回収可能性の評価
繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.財政状態および経営成績の分析
当連結会計年度における財政状態および経営成績の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
b.資金の財源および資金の流動性
(1) キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(2) 資金の需要
さらなる企業価値の向上を図るための設備投資、事業投資、債務の返済および運転資金などの資金需要に備え、資金調達および流動性の確保に努めています。
(3) 資金の調達
必要な資金は内部資金より充当し、不足が生じた場合は銀行借入および社債発行により調達しています。
(4) 資金の流動性
複数の金融機関との当座貸越契約を設定しています。また、当社および国内連結子会社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。
c.目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、2021年度からの4年間を対象とする中期経営計画を策定し、最終年度である2024年11月期において、「ROE(自己資本利益率) 8%以上」「営業利益率 7.5%」「海外売上高伸長率(現地通貨ベース) (年率)10%以上」を目標として掲げています。
中期経営計画の初年度にあたる当連結会計年度におきましては、ROE(自己資本利益率)が7.4%、営業利益率が6.9%、海外売上高伸長率(現地通貨ベース)は前年比18.5%の増加となりました。
◇経営指標
2021年11月期2024年11月期目標
ROE(自己資本利益率)7.4%8%以上
営業利益率6.9%7.5%
海外売上高伸長率(現地通貨ベース)(前年比)18.5%(年率)10%以上

(注)海外売上高伸長率は前年の北米タマゴ事業の業績を除いて算出しています。