有価証券報告書-第129期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における日本経済は、設備投資や輸出関連の伸びに支えられ実質GDPは4年連続のプラス成長となり、緩やかな回復基調で推移しました。所得環境は継続的な賃上げが進み改善の兆しがみられるものの、原材料価格や物流コスト高騰に伴う値上げ、不安定な為替変動による物価上昇には追いついておらず、消費者の生活防衛意識は定着してきております。
一方、世界的な政情不安に加え、米国の政権交代による政策変更や金融引き締め継続による景気下振れリスクが懸念されるなど、事業を取り巻く環境は不確実な状況が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループでは、中期経営計画「VISION 2030 stage1」の最終年度にあたり、「新たな価値の創出」「資本コスト重視の経営」「企業体質の進化」「環境に配慮した経営」の4つの基本戦略への取り組み、メディカル、エンジニアリングプラスチックスの生産基盤強化、電子部品からの撤退、スポーツクラブの構造改革などを実行しました。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は以下のとおりであります。
売上高は、プラスチックフィルムの国内需要の回復、エンジニアリングプラスチックスのOA機器向けおよび半導体関連製品の伸長、メディカルの新製品および中国向け販売の拡大により、4,231百万円の増収となりました。
アパレル事業が販売数量減少とコスト増加の影響を受け減益となったものの、機能ソリューション事業、メディカル事業の利益拡大、およびスポーツクラブの収益改善などにより、営業利益は1,144百万円の増益、経常利益は1,405百万円の増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、電子部品事業の終息・子会社譲渡に伴う事業構造改善費用を計上しましたが、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益等により1,169百万円の増益となりました。
セグメント別の概況については、次のとおりであります。


機能ソリューション事業の売上高は52,204百万円(前期比6.6%増)、営業利益は7,205百万円(前期比19.5%増)となりました。
<主要な変動要因>・プラスチックフィルムは、海外での需要停滞影響を受けましたが、国内事業は堅調に推移しました。
・エンジニアリングプラスチックスは、OA機器向けの市況回復に加え、半導体及び一般産業向けが堅調に推移しました。
・電子部品は、子会社の株式譲渡が完了し、事業終息しました。


メディカル事業の売上高は12,949百万円(前期比10.7%増)、営業利益は2,430百万円(前期比22.0%増)となりました。
<主要な変動要因>・国内は、癒着防止材、骨接合材など吸収性製品の拡販が進みました。
・中国販売は、高額医療規制の影響はあるものの、組織補強材を中心に伸長しました。


アパレル事業の売上高は60,782百万円(前期比1.1%増)となりましたが、営業利益は減産や円安による仕入コスト増などの影響を受け753百万円(前期比48.6%減)と大幅減益となりました。
<主要な変動要因>・ECルートは、新商品(アセドロン)展開やレディスインナーの差異化商品を中心に拡販が進みましたが、量販店などの実販ルートは、売り場縮小や長期化する残暑影響によりメンズインナーを中心に低迷しました。
・年初来の円安に加え、減産による原価高や人件費などのコスト影響を受けました。


ライフクリエイト事業の売上高は12,005百万円(前期比6.4%減)、営業利益は988百万円(前期比18.7%増)となりました。
<主要な変動要因>・不動産関連は、前期の遊休地再開発プロジェクト売上影響により減収となりました。
・スポーツクラブは、不採算店舗の見直しにより減収となりましたが、損益は改善しました。
② 財政状態の概況
総資産は159,677百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,293百万円減少しました。主な増加要因は、エンジニアリングプラスチックスおよびメディカルの工場増築等による建設仮勘定の増加4,227百万円であり、主な減少要因は、政策保有株式の売却等による投資有価証券の減少2,908百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少2,572百万円であります。
負債は38,694百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,808百万円減少しました。主な増加要因は、設備関係支払手形の増加940百万円であり、主な減少要因は、事業構造改善引当金の減少1,686百万円、未払法人税等の減少1,007百万円、流動負債その他の減少1,004百万円(未払消費税等)であります。
純資産は120,982百万円となり、前連結会計年度末に比べ514百万円増加しました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加6,279百万円、為替換算調整勘定の増加1,075百万円であり、主な減少要因は、配当による減少2,552百万円、自己株式の取得による減少2,379百万円、その他有価証券評価差額金の減少1,554百万円であります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
機能ソリューション事業のセグメント資産は56,410百万円となり、前連結会計年度末に比べ966百万円増加しました。主な増加要因は、エンジニアリングプラスチックス分野での工場増築等による建設仮勘定の増加等であります。
メディカル事業のセグメント資産は14,774百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,918百万円増加しました。主な増加要因は、工場増築等による建物及び構築物(純額)、建設仮勘定の増加等であります。
アパレル事業のセグメント資産は49,557百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,257百万円減少しました。主な減少要因は、インナーウエア分野での受取手形、売掛金及び契約資産の減少等であります。
ライフクリエイト事業のセグメント資産は24,503百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,473百万円減少しました。主な減少要因は、不動産関連分野で減価償却がすすんだことによる固定資産の減少等であります。
また、各報告セグメントに配分していない全社資産の調整額は14,431百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,447百万円減少しました。主な減少要因は、政策保有株式の売却による投資有価証券の減少等であります。
③ キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ276百万円減少し、10,541百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して1,163百万円増加し、11,572百万円となりました。主なキャッシュ・インの要因は税金等調整前当期純利益9,091百万円、減価償却費6,822百万円、主なキャッシュ・アウトの要因は法人税等の支払額1,977百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して7,294百万円減少し、7,485百万円の支出となりました。主なキャッシュ・インの要因は投資有価証券の売却による収入3,821百万円であり、主なキャッシュ・アウトの要因は固定資産の取得による支出10,196百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して6,163百万円増加し、5,184百万円の支出となりました。主なキャッシュ・アウトの要因は配当金の支払額2,542百万円、自己株式の取得による支出2,379百万円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記金額は、製造原価ベースで表示しており、外注生産高を含んでおります。
2.上記生産実績以外に、下記の商品仕入高があります。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当社グループは、機能ソリューション事業に含まれる機械類を除き、原則として見込生産であります。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2030年ビジョン「新しい価値を創造し『ここちよさ』を提供することで持続可能な社会の実現に貢献します」を掲げ、「変革と挑戦」をキーワードに、経済的利益と社会的利益を両立させるサステナブル経営を通じて社会貢献と当社グループの持続的成長の実現を目指す中期経営計画「VISION 2030」を2022年度より推進しております。
当連結会計年度は、2022年度~2024年度の3ヵ年を推進期間とする中期経営計画「VISION 2030 stage1」の最終年度にあたり、「新たな価値の創出」「資本コスト重視の経営」「企業体質の進化」「環境に配慮した経営」の4つの基本戦略への取り組み、メディカル、エンジニアリングプラスチックスの生産基盤強化、電子部品からの撤退、スポーツクラブの構造改革などを実行しました。
売上高は、プラスチックフィルムの国内需要の回復、エンジニアリングプラスチックスのOA機器向けおよび半導体関連製品の伸長、メディカルの新製品および中国向け販売の拡大により、4,231百万円の増収となりました。
アパレル事業が販売数量減少とコスト増加の影響を受け減益となったものの、機能ソリューション事業、メディカル事業の利益拡大、およびスポーツクラブの収益改善などにより、営業利益は1,144百万円の増益、経常利益は1,405百万円の増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、電子部品事業の終息・子会社譲渡に伴う事業構造改善費用を計上しましたが、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益等により1,169百万円の増益となりました。
一方、計画しておりました政策保有株式の売却実施等により、有利子負債の圧縮に取り組みました。
その結果、ROEは5.3%(前年同期4.4%)、GVAは△9億円(前年同期△16億円)となりました。
(VISION 2030 stage1の経営目標と進捗状況)
[財務目標]
(単位:億円、%)
※GVA(Gunze Value Added)= 税引後営業利益 + 配当金 - 期末投下資本 × WACC(加重平均資本コスト)
[非財務目標]
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。
中期経営計画「VISION 2030 stage1」では、営業キャッシュ・フローにより創出した資金と政策保有株式の売却資金を、主にプラスチックフィルム分野での「サーキュラーファクトリー計画」のほか、成長牽引事業であるメディカル分野・エンジニアリングプラスチックス分野の投資に充当するとともに、株主還元に充当いたしました。また、金利上昇への対策として、余剰資金を有利子負債の返済に充当いたしました。結果、2025年3月期の自己資本比率は74.6%、DEレシオ(負債資本倍率)は0.1倍となりました。財務健全性は高い水準で維持された一方、資本収益性の観点からは改善の余地があることから、新中期経営計画「VISION 2030 stage2」では、以下の資本政策に取り組んでまいります。
(資本政策)
DEレシオ0.3倍程度、自己資本1,000億円以上、自己資本比率60%程度を目安として、以下のキャッシュアロケーション方針および株主還元方針に基づくバランスシートコントロールに取り組み、資本収益性最大化・財務健全性維持を両立する資本の最適化を図ります。なお、当社では、この資本構成に基づく株主資本コストを7.2~8.0%、WACCを5.5~6.2%と推計しており、VISION 2030 stage2における利益目標を達成することで、資本コストを上回る資本収益性の実現が可能と考えております。
(キャッシュアロケーション方針)
原則、営業キャッシュ・フローの範囲内で更新投資および株主還元を実施し、レバレッジや低収益資産売却による創出キャッシュを活用し、成長投資を実施してまいります。
(株主還元方針)
当社は、株主の皆さまに対する安定的・継続的な利益還元を経営の重要政策と位置付けております。配当については、DOE(株主資本配当率)4.0%以上を目安に実施してまいります。加えて、企業価値の持続的向上を目指す上で、連結ROEが8%以上となるまで、還元性向100%超となる株主還元(特別配当/自己株式取得)を機動的に実施してまいります。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における日本経済は、設備投資や輸出関連の伸びに支えられ実質GDPは4年連続のプラス成長となり、緩やかな回復基調で推移しました。所得環境は継続的な賃上げが進み改善の兆しがみられるものの、原材料価格や物流コスト高騰に伴う値上げ、不安定な為替変動による物価上昇には追いついておらず、消費者の生活防衛意識は定着してきております。
一方、世界的な政情不安に加え、米国の政権交代による政策変更や金融引き締め継続による景気下振れリスクが懸念されるなど、事業を取り巻く環境は不確実な状況が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループでは、中期経営計画「VISION 2030 stage1」の最終年度にあたり、「新たな価値の創出」「資本コスト重視の経営」「企業体質の進化」「環境に配慮した経営」の4つの基本戦略への取り組み、メディカル、エンジニアリングプラスチックスの生産基盤強化、電子部品からの撤退、スポーツクラブの構造改革などを実行しました。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は以下のとおりであります。
売上高 | 137,117百万円 | (前期比 3.2%増) |
営業利益 | 7,921百万円 | (前期比 16.9%増) |
経常利益 | 8,180百万円 | (前期比 20.8%増) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 6,279百万円 | (前期比 22.9%増) |
売上高は、プラスチックフィルムの国内需要の回復、エンジニアリングプラスチックスのOA機器向けおよび半導体関連製品の伸長、メディカルの新製品および中国向け販売の拡大により、4,231百万円の増収となりました。
アパレル事業が販売数量減少とコスト増加の影響を受け減益となったものの、機能ソリューション事業、メディカル事業の利益拡大、およびスポーツクラブの収益改善などにより、営業利益は1,144百万円の増益、経常利益は1,405百万円の増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、電子部品事業の終息・子会社譲渡に伴う事業構造改善費用を計上しましたが、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益等により1,169百万円の増益となりました。
セグメント別の概況については、次のとおりであります。


機能ソリューション事業の売上高は52,204百万円(前期比6.6%増)、営業利益は7,205百万円(前期比19.5%増)となりました。
<主要な変動要因>・プラスチックフィルムは、海外での需要停滞影響を受けましたが、国内事業は堅調に推移しました。
・エンジニアリングプラスチックスは、OA機器向けの市況回復に加え、半導体及び一般産業向けが堅調に推移しました。
・電子部品は、子会社の株式譲渡が完了し、事業終息しました。


メディカル事業の売上高は12,949百万円(前期比10.7%増)、営業利益は2,430百万円(前期比22.0%増)となりました。
<主要な変動要因>・国内は、癒着防止材、骨接合材など吸収性製品の拡販が進みました。
・中国販売は、高額医療規制の影響はあるものの、組織補強材を中心に伸長しました。


アパレル事業の売上高は60,782百万円(前期比1.1%増)となりましたが、営業利益は減産や円安による仕入コスト増などの影響を受け753百万円(前期比48.6%減)と大幅減益となりました。
<主要な変動要因>・ECルートは、新商品(アセドロン)展開やレディスインナーの差異化商品を中心に拡販が進みましたが、量販店などの実販ルートは、売り場縮小や長期化する残暑影響によりメンズインナーを中心に低迷しました。
・年初来の円安に加え、減産による原価高や人件費などのコスト影響を受けました。


ライフクリエイト事業の売上高は12,005百万円(前期比6.4%減)、営業利益は988百万円(前期比18.7%増)となりました。
<主要な変動要因>・不動産関連は、前期の遊休地再開発プロジェクト売上影響により減収となりました。
・スポーツクラブは、不採算店舗の見直しにより減収となりましたが、損益は改善しました。
② 財政状態の概況
総資産は159,677百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,293百万円減少しました。主な増加要因は、エンジニアリングプラスチックスおよびメディカルの工場増築等による建設仮勘定の増加4,227百万円であり、主な減少要因は、政策保有株式の売却等による投資有価証券の減少2,908百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少2,572百万円であります。
負債は38,694百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,808百万円減少しました。主な増加要因は、設備関係支払手形の増加940百万円であり、主な減少要因は、事業構造改善引当金の減少1,686百万円、未払法人税等の減少1,007百万円、流動負債その他の減少1,004百万円(未払消費税等)であります。
純資産は120,982百万円となり、前連結会計年度末に比べ514百万円増加しました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加6,279百万円、為替換算調整勘定の増加1,075百万円であり、主な減少要因は、配当による減少2,552百万円、自己株式の取得による減少2,379百万円、その他有価証券評価差額金の減少1,554百万円であります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
機能ソリューション事業のセグメント資産は56,410百万円となり、前連結会計年度末に比べ966百万円増加しました。主な増加要因は、エンジニアリングプラスチックス分野での工場増築等による建設仮勘定の増加等であります。
メディカル事業のセグメント資産は14,774百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,918百万円増加しました。主な増加要因は、工場増築等による建物及び構築物(純額)、建設仮勘定の増加等であります。
アパレル事業のセグメント資産は49,557百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,257百万円減少しました。主な減少要因は、インナーウエア分野での受取手形、売掛金及び契約資産の減少等であります。
ライフクリエイト事業のセグメント資産は24,503百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,473百万円減少しました。主な減少要因は、不動産関連分野で減価償却がすすんだことによる固定資産の減少等であります。
また、各報告セグメントに配分していない全社資産の調整額は14,431百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,447百万円減少しました。主な減少要因は、政策保有株式の売却による投資有価証券の減少等であります。
③ キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ276百万円減少し、10,541百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して1,163百万円増加し、11,572百万円となりました。主なキャッシュ・インの要因は税金等調整前当期純利益9,091百万円、減価償却費6,822百万円、主なキャッシュ・アウトの要因は法人税等の支払額1,977百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して7,294百万円減少し、7,485百万円の支出となりました。主なキャッシュ・インの要因は投資有価証券の売却による収入3,821百万円であり、主なキャッシュ・アウトの要因は固定資産の取得による支出10,196百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して6,163百万円増加し、5,184百万円の支出となりました。主なキャッシュ・アウトの要因は配当金の支払額2,542百万円、自己株式の取得による支出2,379百万円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
機能ソリューション事業 | 39,010 | 6.5 |
メディカル事業 | 1,347 | 19.1 |
アパレル事業 | 38,144 | △1.0 |
合計 | 78,502 | 2.9 |
(注) 1.上記金額は、製造原価ベースで表示しており、外注生産高を含んでおります。
2.上記生産実績以外に、下記の商品仕入高があります。
セグメントの名称 | 仕入高(百万円) | 前期比(%) |
機能ソリューション事業 | 214 | 10.2 |
メディカル事業 | 3,220 | △4.1 |
アパレル事業 | 4,975 | △4.7 |
ライフクリエイト事業 | 2,121 | △6.2 |
合計 | 10,531 | △4.6 |
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
区分 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
機能ソリューション事業 | 1,603 | △34.9 | 1,018 | △36.4 |
合計 | 1,603 | △34.9 | 1,018 | △36.4 |
(注) 当社グループは、機能ソリューション事業に含まれる機械類を除き、原則として見込生産であります。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
機能ソリューション事業 | 52,204 | 6.6 |
メディカル事業 | 12,949 | 10.7 |
アパレル事業 | 60,782 | 1.1 |
ライフクリエイト事業 | 12,005 | △6.4 |
小計 | 137,941 | 3.2 |
内部売上控除 | △824 | 13.1 |
合計 | 137,117 | 3.2 |
(注) 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2030年ビジョン「新しい価値を創造し『ここちよさ』を提供することで持続可能な社会の実現に貢献します」を掲げ、「変革と挑戦」をキーワードに、経済的利益と社会的利益を両立させるサステナブル経営を通じて社会貢献と当社グループの持続的成長の実現を目指す中期経営計画「VISION 2030」を2022年度より推進しております。
当連結会計年度は、2022年度~2024年度の3ヵ年を推進期間とする中期経営計画「VISION 2030 stage1」の最終年度にあたり、「新たな価値の創出」「資本コスト重視の経営」「企業体質の進化」「環境に配慮した経営」の4つの基本戦略への取り組み、メディカル、エンジニアリングプラスチックスの生産基盤強化、電子部品からの撤退、スポーツクラブの構造改革などを実行しました。
売上高は、プラスチックフィルムの国内需要の回復、エンジニアリングプラスチックスのOA機器向けおよび半導体関連製品の伸長、メディカルの新製品および中国向け販売の拡大により、4,231百万円の増収となりました。
アパレル事業が販売数量減少とコスト増加の影響を受け減益となったものの、機能ソリューション事業、メディカル事業の利益拡大、およびスポーツクラブの収益改善などにより、営業利益は1,144百万円の増益、経常利益は1,405百万円の増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、電子部品事業の終息・子会社譲渡に伴う事業構造改善費用を計上しましたが、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益等により1,169百万円の増益となりました。
一方、計画しておりました政策保有株式の売却実施等により、有利子負債の圧縮に取り組みました。
その結果、ROEは5.3%(前年同期4.4%)、GVAは△9億円(前年同期△16億円)となりました。
(VISION 2030 stage1の経営目標と進捗状況)
[財務目標]
(単位:億円、%)
2021年度 (2022年3月期) 実績 | VISION 2030 stage1 | ||||
2022年度 (2023年3月期) 実績 | 2023年度 (2024年3月期) 実績 | 2024年度 (2025年3月期) 実績 | 2024年度 (2025年3月期) 目標 | ||
売上高 | 1,243 | 1,360 | 1,328 | 1,371 | 1,400 |
営業利益 | 48 | 58 | 67 | 79 | 100 |
営業利益率 | 3.9% | 4.3% | 5.1% | 5.8% | 7.1% |
ROE | 2.6% | 3.9% | 4.4% | 5.3% | 6.32%以上 |
GVA | △26 | △23 | △16 | △9 | 黒字化 |
※GVA(Gunze Value Added)= 税引後営業利益 + 配当金 - 期末投下資本 × WACC(加重平均資本コスト)
[非財務目標]
区分 | 目標指標 | 2024年度実績 | 2024年度目標 | 2030年度目標 | |
環境対応 | CO2排出量 削減率(対2013年度比) | 37.2% | 28%以上 | 35%以上 | |
エネルギー原単位削減率(対前年) | △0.2% | 1%/年以上 | |||
企業体質の進化 | 女性活躍推進 | 女性管理職比率 | 5.9% | 6% | 20%以上 |
女性社員比率 | 35% | 35% | 41% | ||
女性総合職採用比率 | 52% | 50% | 50% | ||
子育て支援 | 男性育休取得率 | 77.7% | 50% | 100% | |
組織風土づくり | エンゲージメントスコア | 62点 | 70点想定 | 70点想定 | |
働き方改革 | 年休取得率 | 14.5日 | 15.0日 | 80%(16日) |
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。
中期経営計画「VISION 2030 stage1」では、営業キャッシュ・フローにより創出した資金と政策保有株式の売却資金を、主にプラスチックフィルム分野での「サーキュラーファクトリー計画」のほか、成長牽引事業であるメディカル分野・エンジニアリングプラスチックス分野の投資に充当するとともに、株主還元に充当いたしました。また、金利上昇への対策として、余剰資金を有利子負債の返済に充当いたしました。結果、2025年3月期の自己資本比率は74.6%、DEレシオ(負債資本倍率)は0.1倍となりました。財務健全性は高い水準で維持された一方、資本収益性の観点からは改善の余地があることから、新中期経営計画「VISION 2030 stage2」では、以下の資本政策に取り組んでまいります。
(資本政策)
DEレシオ0.3倍程度、自己資本1,000億円以上、自己資本比率60%程度を目安として、以下のキャッシュアロケーション方針および株主還元方針に基づくバランスシートコントロールに取り組み、資本収益性最大化・財務健全性維持を両立する資本の最適化を図ります。なお、当社では、この資本構成に基づく株主資本コストを7.2~8.0%、WACCを5.5~6.2%と推計しており、VISION 2030 stage2における利益目標を達成することで、資本コストを上回る資本収益性の実現が可能と考えております。
(キャッシュアロケーション方針)
原則、営業キャッシュ・フローの範囲内で更新投資および株主還元を実施し、レバレッジや低収益資産売却による創出キャッシュを活用し、成長投資を実施してまいります。
(株主還元方針)
当社は、株主の皆さまに対する安定的・継続的な利益還元を経営の重要政策と位置付けております。配当については、DOE(株主資本配当率)4.0%以上を目安に実施してまいります。加えて、企業価値の持続的向上を目指す上で、連結ROEが8%以上となるまで、還元性向100%超となる株主還元(特別配当/自己株式取得)を機動的に実施してまいります。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。