有価証券報告書-第92期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部企業における収益や雇用環境の改善が継続するなど、全体として緩やかな回復基調となりました。その一方で、米国政権の政策運営や東アジア地域における地政学リスクの顕在化などにより世界経済の不確実性は高まっており、先行き不透明な状況で推移しました。
繊維業界においては、インバウンド需要による消費の下支えが見られましたが、先行き不透明感による消費者の節約志向・生活防衛意識は依然として根強く、個人消費は引き続き力強さに欠ける状況が続き、企業間競争が一段と激化するなど、厳しい環境にあります。
このような状況において当社グループは、2015年度から2017年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2017』の最終年度にあたり、基本戦略として定めた「製造原価の低減」、「強いアツギブランドの構築」、「営業戦略の強化」、「海外販売の拡大」、「人事戦略の強化」の5つの課題への取り組みを更に推し進めながら、原料加工から最終製品までを一貫生産し販売する専業メーカーとしての特性を活かし、価格を上回る価値ある商品の企画開発と、グループ全社を挙げて効率性アップに取り組み、収益改善に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は23,963百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は849百万円(前年同期比18.4%減)、経常利益は832百万円(前年同期比24.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は579百万円(前年同期比14.1%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[繊維事業]
レッグウエア分野は厚手のプレーンタイツなどの季節商品やリブソックスなどが好調に推移したほか、プレーンストッキングを中心としたベーシック商品が堅調に推移したことにより、トレンド性の高い商品の伸び悩みをカバーし、同分野の売上高は19,652百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
インナーウエア分野はスポーツインナー関連が順調に推移したほか、主力のブラジャーおよびショーツも好調に推移し、同分野の売上高は3,084百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
これらの結果、繊維事業の売上高は22,736百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益は355百万円(前年同期比33.9%減)となりました。
[不動産事業]
保有資産の有効活用などにより、当事業の売上高は654百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益は455百万円(前年同期比4.7%減)となりました。
[その他]
その他の事業につきましては、介護用品は市場環境の変化などにより厳しい状況が続いております。一方で、太陽光発電による売電が年間を通じて順調に推移しました。これらの結果、当事業の売上高は572百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は38百万円(前年同期比56.7%増)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は58,152百万円となり、前連結会計年度末に比べ988百万円増加いたしました。主な増減内容は、投資有価証券の増加1,120百万円等によるものであります。
負債の部は9,225百万円となり、前連結会計年度末に比べ254百万円増加いたしました。これは主に、仕入債務の増加287百万円、繰延税金負債の増加279百万円および未払法人税等の減少310百万円等によるものであります。
純資産の部は48,926百万円となり、前連結会計年度末に比べ734百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を579百万円計上しましたが、前期決算に係る配当金487百万円による減少や、市場買付等による自己株式の取得による減少268百万円、その他の包括利益累計額の増加909百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.金額は、製造原価によっております。
b.受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益869百万円の計上と、減価償却費1,036百万円等がありましたが、法人税等の支払い490百万円、売上債権の増加372百万円等により、差引1,110百万円の収入(前年同期は1,894百万円の収入)となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得815百万円、投資有価証券の売却298百万円等により、403百万円の支出(前年同期は181百万円の支出)となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払い483百万円、自己株式の市場買付等268百万円により、752百万円の支出(前年同期は741百万円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ20百万円増加し、8,442百万円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの経営に影響を与える大きな要因の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク」をご参照下さい。
当社グループのにおける資金需要は、製品製造のための原材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備新設、維持改修等に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としております。また、当社は現時点で借入金はありませんが、取引金融機関との間で上限を30億円とする貸出コミットメント契約を締結し、緊急時の資金調達に備えております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画の最終年度にあたり、売上においては、厚手のタイツにおけるインバウンド需要の取り込みや、ドラッグストア、コンビニエンスストア、ECなど一部の販売ルートの拡大、インナーウエアにおけるスポーツ関連商品の伸長など一定の成果も得られましたが、全体としては、変化の激しい国内販売ルートへの対応に苦戦し、また、中国を含めた海外販売の拡大において進捗が遅れるなど、当初の目標として掲げた連結売上高250億円には届きませんでした。
一方で営業利益においては、技術支援体制の強化による生産工場における生産性の改善、原料・資材費の削減、製品単価のアップなどが寄与し、当初の目標として掲げた連結営業利益7.5億円を達成し、一定の収益を確保することができました。
このように、一定の成果が得られた分野もありますが、その一方で、更なる製造原価の低減、変化の激しい国内流通業界を見据えた企画・開発および営業戦略の強化、海外販売の拡大には引き続き課題を残す結果となり、安定した収益基盤の構築は依然として道半ばとなっております。
前中期経営計画の結果を踏まえて、当社グループは、2018年度からスタートする新中期経営計画『ATSUGI VISION 2020』において、連結売上高250億円、連結営業利益15億円、連結営業利益率6%を数値目標としております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部企業における収益や雇用環境の改善が継続するなど、全体として緩やかな回復基調となりました。その一方で、米国政権の政策運営や東アジア地域における地政学リスクの顕在化などにより世界経済の不確実性は高まっており、先行き不透明な状況で推移しました。
繊維業界においては、インバウンド需要による消費の下支えが見られましたが、先行き不透明感による消費者の節約志向・生活防衛意識は依然として根強く、個人消費は引き続き力強さに欠ける状況が続き、企業間競争が一段と激化するなど、厳しい環境にあります。
このような状況において当社グループは、2015年度から2017年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2017』の最終年度にあたり、基本戦略として定めた「製造原価の低減」、「強いアツギブランドの構築」、「営業戦略の強化」、「海外販売の拡大」、「人事戦略の強化」の5つの課題への取り組みを更に推し進めながら、原料加工から最終製品までを一貫生産し販売する専業メーカーとしての特性を活かし、価格を上回る価値ある商品の企画開発と、グループ全社を挙げて効率性アップに取り組み、収益改善に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は23,963百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は849百万円(前年同期比18.4%減)、経常利益は832百万円(前年同期比24.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は579百万円(前年同期比14.1%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[繊維事業]
レッグウエア分野は厚手のプレーンタイツなどの季節商品やリブソックスなどが好調に推移したほか、プレーンストッキングを中心としたベーシック商品が堅調に推移したことにより、トレンド性の高い商品の伸び悩みをカバーし、同分野の売上高は19,652百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
インナーウエア分野はスポーツインナー関連が順調に推移したほか、主力のブラジャーおよびショーツも好調に推移し、同分野の売上高は3,084百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
これらの結果、繊維事業の売上高は22,736百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益は355百万円(前年同期比33.9%減)となりました。
[不動産事業]
保有資産の有効活用などにより、当事業の売上高は654百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益は455百万円(前年同期比4.7%減)となりました。
[その他]
その他の事業につきましては、介護用品は市場環境の変化などにより厳しい状況が続いております。一方で、太陽光発電による売電が年間を通じて順調に推移しました。これらの結果、当事業の売上高は572百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は38百万円(前年同期比56.7%増)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は58,152百万円となり、前連結会計年度末に比べ988百万円増加いたしました。主な増減内容は、投資有価証券の増加1,120百万円等によるものであります。
負債の部は9,225百万円となり、前連結会計年度末に比べ254百万円増加いたしました。これは主に、仕入債務の増加287百万円、繰延税金負債の増加279百万円および未払法人税等の減少310百万円等によるものであります。
純資産の部は48,926百万円となり、前連結会計年度末に比べ734百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を579百万円計上しましたが、前期決算に係る配当金487百万円による減少や、市場買付等による自己株式の取得による減少268百万円、その他の包括利益累計額の増加909百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 対前年同期比(%) |
繊維事業 | 12,827 | 102.9 |
合計 | 12,827 | 102.9 |
(注)1.セグメント間取引については、内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.金額は、製造原価によっております。
b.受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 対前年同期比(%) |
繊維事業 | 22,736 | 103.1 |
不動産事業 | 654 | 99.5 |
その他 | 572 | 101.5 |
合計 | 23,963 | 102.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
㈱しまむら | 3,039 | 13.1 | 2,713 | 11.3 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④キャッシュ・フローの状況
科目 | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減(百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,894 | 1,110 | △783 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △181 | △403 | △222 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △741 | △752 | △11 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △93 | 66 | 159 |
現金及び現金同等物の増減額 | 878 | 20 | △857 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 8,421 | 8,442 | 20 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益869百万円の計上と、減価償却費1,036百万円等がありましたが、法人税等の支払い490百万円、売上債権の増加372百万円等により、差引1,110百万円の収入(前年同期は1,894百万円の収入)となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得815百万円、投資有価証券の売却298百万円等により、403百万円の支出(前年同期は181百万円の支出)となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払い483百万円、自己株式の市場買付等268百万円により、752百万円の支出(前年同期は741百万円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ20百万円増加し、8,442百万円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの経営に影響を与える大きな要因の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク」をご参照下さい。
当社グループのにおける資金需要は、製品製造のための原材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備新設、維持改修等に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としております。また、当社は現時点で借入金はありませんが、取引金融機関との間で上限を30億円とする貸出コミットメント契約を締結し、緊急時の資金調達に備えております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画の最終年度にあたり、売上においては、厚手のタイツにおけるインバウンド需要の取り込みや、ドラッグストア、コンビニエンスストア、ECなど一部の販売ルートの拡大、インナーウエアにおけるスポーツ関連商品の伸長など一定の成果も得られましたが、全体としては、変化の激しい国内販売ルートへの対応に苦戦し、また、中国を含めた海外販売の拡大において進捗が遅れるなど、当初の目標として掲げた連結売上高250億円には届きませんでした。
一方で営業利益においては、技術支援体制の強化による生産工場における生産性の改善、原料・資材費の削減、製品単価のアップなどが寄与し、当初の目標として掲げた連結営業利益7.5億円を達成し、一定の収益を確保することができました。
このように、一定の成果が得られた分野もありますが、その一方で、更なる製造原価の低減、変化の激しい国内流通業界を見据えた企画・開発および営業戦略の強化、海外販売の拡大には引き続き課題を残す結果となり、安定した収益基盤の構築は依然として道半ばとなっております。
前中期経営計画の結果を踏まえて、当社グループは、2018年度からスタートする新中期経営計画『ATSUGI VISION 2020』において、連結売上高250億円、連結営業利益15億円、連結営業利益率6%を数値目標としております。