訂正有価証券報告書-第93期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/07/18 15:38
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部企業における収益や雇用環境の改善を背景に、引き続き緩やかな回復基調が継続しました。その一方で、米中間の貿易摩擦の激化や中国経済の減速への懸念、英国のEU離脱問題を含む欧州の政情不安など、世界経済の不確実性は高まっており、先行き不透明な状況で推移しました。
繊維業界においては、消費者の節約志向・生活防衛意識は依然として根強く、これらに加え酷暑や暖冬などの天候不順の影響もあり、個人消費は引き続き力強さに欠ける状況が続いております。また、インバウンド需要にも減少が見られるなど、企業間競争は一段と激化しており、厳しい環境にあります。
このような状況において当社グループは、2018年度から2020年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2020』をスタートさせました。
『ATSUGI VISION 2020』では、「更なる利益率の向上」に重点を置き、「企画・開発と営業戦略の融合」、「繊維事業におけるバランスの改革」、「製造原価の低減」、「女性の美と快適に「健康」をプラス」、「生産性の向上」の5つの課題を掲げ、これまで当社グループが培ってきた強みを活かしながら、新たな施策により次の時代を見据えた事業構造への転換を図り、強固な事業基盤の構築を目指しております。
当期においては、販売では主力ブランドの拡販や新規ルートの開拓、生産工場では更なる原価低減に注力してまいりましたが、インバウンド需要の減少や天候不順などの影響を受け売上が計画を大きく下回ったことにより、生産計画の大幅な下方修正を余儀なくされ、グループ全体の収支に悪影響を与えた他、たな卸資産の評価損や除却損などにも繋がり、営業利益、経常利益は前期と比べて大幅に悪化いたしました。また、構造改革に伴う特別損失の計上等の影響により、親会社株主に帰属する当期純利益も大幅な損失となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は21,870百万円(前年同期比8.7%減)、営業損失は903百万円(前年同期は849百万円の利益)、経常損失は726百万円(前年同期は832百万円の利益)、また、構造改革に伴い固定資産の減損損失等を特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は3,078百万円(前年同期は579百万円の利益)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
[繊維事業]
レッグウエア分野は厚手を中心としたプレーンタイツなどの季節商品が伸び悩み、プレーンストッキングなどのベーシック商品も苦戦するなど、全般的に厳しく、同分野の売上高は17,540百万円(前年同期比10.7%減)となりました。
インナーウエア分野はスポーツインナー関連が順調に推移したほか、主力のショーツも好調に推移し、同分野の売上高は3,125百万円(前年同期比1.3%増)となりました。
これらの結果、繊維事業の売上高は20,666百万円(前年同期比9.1%減)、営業損失は1,370百万円(前年同期は355百万円の利益)となりました。
[不動産事業]
保有資産の有効活用を進めておりますが、当事業の売上高は583百万円(前年同期比10.8%減)、営業利益は410百万円(前年同期比9.7%減)となりました。
[その他]
その他の事業につきましては、介護用品の販売が堅調に推移した他、太陽光発電による売電も年間を通じて順調に推移しました。これらの結果、当事業の売上高は620百万円(前年同期比8.3%増)、営業利益は56百万円(前年同期比45.9%増)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は50,778百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,063百万円減少いたしました。主な増減内容は、当社の今後の構造改革の取り組みに伴い、本社および物流センターを移管・集約し最適な配置をすることを計画していることから、当該土地・建物等について減損処理を行ったこと、一部生産拠点の統合・閉鎖の決定に伴う土地・建物等の減損処理および国内生産工場全体において今後使用見込みがなくなった余剰生産設備等の減損処理を行ったこと等による有形固定資産の減少2,846百万円、投資有価証券の減少2,077百万円および現金及び預金の減少1,138百万円等によるものであります。
負債の部は6,763百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,151百万円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債の減少678百万円、仕入債務の減少560百万円および通貨オプションの減少467百万円等によるものであります。
純資産の部は44,015百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,911百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失3,078百万円の計上による減少や、前期決算に係る配当金481百万円による減少、土地再評価差額金の取崩による増加375百万円、その他の包括利益累計額の減少1,719百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)対前年同期比(%)
繊維事業11,69191.1
合計11,69191.1

(注)1.セグメント間取引については、内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.金額は、製造原価によっております。
b.受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)対前年同期比(%)
繊維事業20,66690.9
不動産事業58389.2
その他620108.3
合計21,87091.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱しまむら2,71311.32,65012.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④キャッシュ・フローの状況
科目前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー1,110324△786
投資活動によるキャッシュ・フロー△403△979△575
財務活動によるキャッシュ・フロー△752△494258
現金及び現金同等物に係る換算差額66△54△121
現金及び現金同等物の増減額20△1,203△1,224
現金及び現金同等物の期末残高8,4427,238△1,203

[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失3,214百万円の計上はありましたが、減損損失2,475百万円、減価償却費979百万円等により、差引324百万円の収入(前年同期は1,110百万円の収入)となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得914百万円等により、979百万円の支出(前年同期は403百万円の支出)となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払い479百万円等により、494百万円の支出(前年同期は752百万円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,203百万円減少し、7,238百万円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの経営に影響を与える大きな要因の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク」をご参照下さい。
当社グループにおける資金需要は、製品製造のための原材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備新設、維持改修等に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としております。また、当社は現時点で借入金はありませんが、取引金融機関との間で上限を30億円とする貸出コミットメント契約を締結し、緊急時の資金調達に備えております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
『ATSUGI VISION 2020』の初年度である2019年3月期通期の当社グループの業績は年間を通して主力であるレッグウエア商品の販売が苦戦し、特に最盛期である秋冬期におきましても、インバウンド需要の減少をはじめ主力ブランドの販売低迷や、ソックス・インナーウエアも販売拡大が不十分となり、売上・利益ともに計画を下回りました。
さらに、たな卸資産の評価損や廃棄処分による売上原価の増加、本社の土地・建物の有効活用のための再開発や販売規模に見合った生産規模とするための特別損失の計上により、大幅な赤字となりました。
これらの状況を踏まえて、当社グループは、2018年度から2020年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2020』の数値目標および課題への取り組みを見直し、連結売上高230億円、連結営業利益12億円、連結営業利益率5.2%を数値目標としております。