有価証券報告書-第98期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 14:31
【資料】
PDFをみる
【項目】
147項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴う行動制限の解除により社会・経済活動の正常化が進み、緩やかな回復傾向が見られました。その一方で、不安定な国際情勢や、外国為替相場の円安基調等による資源・エネルギー価格の高騰、これらを背景とした物価上昇等、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
繊維業界においては、社会・経済活動の正常化に伴い外出機会が増加したことや、入国制限緩和によりインバウンド需要が回復基調で推移したこと等により、市況の好転が見られるものの、物価上昇の長期化による消費者の生活防衛意識や節約志向は根強く、予断を許さない状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までを実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2024』を改訂いたしました。改訂後の計画では、「顧客視点に立脚した価値創りへのシフト」、「ブランド力強化による市場ポジションの明確化」、「企業風土改革による強い組織力の実現」、「従前発想から脱却したビジネスモデルの実現」の4つの新たな課題を掲げて、それぞれの課題に対する戦略を推進しております。あわせて、企業ブランド強化策の一環として、「肌と心がよろこぶ、今と未来へ。」をパーパスに、「肌心地から、感動を生み出す フィールウェアのアツギへ。」をビジョンに制定し、グループ一丸となってこれらを実現するための取り組みを進めております。
当連結会計年度は、人流の回復による経済活動の正常化が進んだことにより、売上高は前連結会計年度を上回る水準で推移いたしました。利益面においては、商品価格の一部見直しを実施したことや、生産機能を中国工場へ集約し生産体制の最適化を図ったことによる製造原価の低減効果により改善傾向にありますが、円安の進行、原燃料価格や物流費の高止まりなどの要因により、営業利益の黒字回復には至りませんでした。また、改訂後の『ATSUGI VISION 2024』において掲げた政策保有株式の縮減方針に則り、政策保有株式の売却を進めたことによる投資有価証券売却益643百万円、中国の連結子会社における固定資産の譲渡等による固定資産売却益1,329百万円を特別利益に計上いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は21,209百万円(前年同期比3.4%増)、営業損失は425百万円(前年同期は2,131百万円の損失)、経常損失は51百万円(前年同期は1,583百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,331百万円(前年同期は1,215百万円の損失)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
[繊維事業]
レッグウェア分野は、行動制限の緩和による人流の回復や、商品価格を適切な価格に見直したことが寄与し、同分野の売上高は11,365百万円(前年同期比3.2%増)となりました。
インナーウェア分野は、消費者の生活防衛意識の高まりなどから全般的に厳しかったものの、紳士インナーウェアが堅調に推移したことにより、同分野の売上高は8,638百万円(前年同期比4.8%増)となりました。
これらの結果、当事業の売上高は20,004百万円(前年同期比3.9%増)、営業損失は821百万円(前年同期は2,474百万円の損失)となりました。
[不動産事業]
保有資産の有効活用を進めており、当事業の売上高は580百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は422百万円(前年同期比8.8%増)となりました。
[その他]
その他の事業につきましては、太陽光発電による売電は太陽光発電所のケーブル盗難被害により発電量が減少しましたが、現在は盗難被害から復旧しております。また、介護用品の販売も苦戦しました。これらの結果、当事業の売上高は624百万円(前年同期比10.6%減)、営業利益は60百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は42,014百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,325百万円増加いたしました。これは主に、棚卸資産の増加891百万円、有形固定資産の増加794百万円、流動資産のその他の増加506百万円、無形固定資産の増加331百万円、現金及び預金の減少917百万円及び投資その他の資産の減少222百万円等によるものであります。
負債の部は8,572百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,183百万円減少いたしました。これは主に、流動負債のその他の減少661百万円、支払手形及び買掛金の減少523百万円、長期借入金の減少470百万円及び繰延税金負債の増加525百万円等によるものであります。
純資産の部は33,441百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,508百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,331百万円の計上による利益剰余金の増加及びその他の包括利益累計額の増加1,168百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)対前年同期比(%)
繊維事業8,036117.2
合計8,036117.2

(注)1.セグメント間取引については、内部振替前の数値によっております。
2.金額は、製造原価によっております。
b.受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)対前年同期比(%)
繊維事業20,004103.9
不動産事業580106.6
その他62489.4
合計21,209103.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
㈱しまむら5,50926.95,94128.0

④キャッシュ・フローの状況
科目前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー△1,356△1,34412
投資活動によるキャッシュ・フロー760456△303
財務活動によるキャッシュ・フロー△471△472△0
現金及び現金同等物に係る換算差額316460144
現金及び現金同等物の増減額△751△899△147
現金及び現金同等物の期末残高4,7493,850△899

[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,909百万円等による増加、有形固定資産売却損益939百万円、棚卸資産の増加765百万円、投資有価証券売却益643百万円、仕入債務の減少609百万円等による減少及び法人税等の支払額427百万円等により、1,344百万円の支出となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入1,760百万円、有形固定資産の売却による収入586百万円、無形固定資産の売却による収入276百万円、有形固定資産の取得による支出1,280百万円、無形固定資産の取得による支出873百万円等により、456百万円の収入となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出470百万円等により472百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ899百万円減少し、3,850百万円となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等の詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
当社グループの経営に影響を与える大きな要因の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループにおける資金需要は、製品製造のための原材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備新設、維持改修等に係る投資であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて、金融機関からの借り入れによる調達を行っております。また、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金調達に関し、低コストかつ安定的な資金の確保を基本に、財務状況や金融環境に応じ、最適と思われる調達手段を選択しております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までの3年間を実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2024』を策定し、「顧客視点に立脚した価値創りへのシフト」、「ブランド力強化による市場ポジションの明確化」、「企業風土改革による強い組織力の実現」、「従前発想から脱却したビジネスモデルの実現」の4つの新たな課題を掲げて、それぞれの課題に対する戦略を推進しております。
しかしながら、付加価値の最大化を目的に取り組んでいるD2C事業確立・強化、中国市場販売の拡大、ヘルスケア商品の強化等において『ATSUGI VISION 2024』の最終年度である2025年3月期での計画数値の達成は困難と判断し、修正することといたしました。目標とする財務指標は以下のとおりです。
2024年度
当初目標修正目標
連結売上高255億円240億円
連結営業利益12億円5億円
連結営業利益率4.5%2.1%
当期利益13億円16億円
ROE4%5%
ROIC3%1%