訂正有価証券報告書-第134期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/07/06 9:36
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善や政府による各種政策効果を背景に緩やかな回復基調が続いていたものの、米中貿易摩擦による海外経済の不確実性や金融資本市場の変動リスクの懸念に加え、国内では消費税率引上げによる影響など、昨年までの景気は依然として不透明な状況で推移いたしました。さらに今年に入り、中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は世界中で蔓延しており、海外経済をさらに下振れさせる懸念や国内でも緊急事態宣言発令にともない営業活動が制限されるなど、当社グループを取り巻く経営環境は先行き不透明な状況となっております。当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症にともなう事業への影響は僅少でしたが、今後の見通しにつきましては、水産物の市況変動に注視するとともに、食品事業において海外渡航制限により原料買付や物流遅延などの影響がでてきておりますが、現段階おいて令和3年3月期の連結業績予想に修正を生じる事態までには至っておりません。
このような経済環境のなか、当社グループの事業基盤であります水産、水産加工・流通、食品の各分野におきましては、世界的な水産物需要の増大による買付競争の激化や人手不足による生産や物流コストが上昇するなか、国内での水産物取扱量は減少傾向にあり、消費者の節約志向や低価格志向も継続するなど、依然として厳しい環境下にありました。
このような情勢のもとで、当社グループは、3ヵ年経営計画「第134期中期経営計画(これからの100年に向かって)」の初年度として、「浜から食卓まで」を網羅した当社グループならではの強みを生かした営業活動に努めるとともに、事業横断による人材と組織の連携強化を図ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,179億円と前連結会計年度比108億78百万円の減少となりました。営業損益は19億10百万円の利益となり前連結会計年度比5億13百万円の減少となりました。経常損益は23億38百万円の利益となり前連結会計年度比62百万円の増加となりました。
特別損益におきましては、特別損失として74百万円計上いたしました結果、親会社株主に帰属する当期純損益は23億65百万円の利益(前年同期は26億89百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
<食品事業>すり身部門では、原料価格が上昇するなか、南米や国内生産の取扱量が増加いたしました結果、売上、営業利益ともに増加いたしました。鮮凍水産物部門では、カニは原料相場が高値で推移したことにより、業務用や外食業界向けの販売が低迷し、売上、営業利益ともに減少いたしました。一方、北方凍魚および助子は原料価格が下落し、売上は減少いたしましたが、採算重視の販売に努めました結果、営業利益は増加いたしました。加工食品部門では、養殖銀ザケの取扱量が減少したことに加え、煮魚・焼き魚の新商品開発が計画通りに進まず、売上、営業利益ともに減少いたしました。その他、昨年3月に海外子会社を株式譲渡したことにより、売上は大きく減少いたしました。
これらの結果、売上高は756億28百万円となり前連結会計年度比69億21百万円の減少となりました。セグメント損益は15億21百万円の利益となり前連結会計年度比90百万円の増加となりました。
<海洋事業>漁網・漁具資材部門では、依然として北海道沿岸において水揚げ不振による資材購買意欲減退の影響を受け漁具資材の販売は低迷いたしましたものの、官公庁向け漁具資材や海外まき網用漁具資材の販売が増加いたしました結果、売上、営業利益ともに増加いたしました。船舶・機械部門では、船体一括案件の受注や船舶用機器類の販売が順調に推移し、売上、営業利益ともに増加いたしました。養殖部門では、養殖成魚の販売が伸び悩み、売上は減少いたしましたが、配合飼料の販売が堅調に推移し、営業利益は増加いたしました。
これらの結果、売上高は189億51百万円となり前連結会計年度比1億1百万円の増加となりました。セグメント損益は6億6百万円の利益となり前連結会計年度比75百万円の増加となりました。
<機械事業>機械事業におきまして、国内では総菜加工業界・豆腐業界・水産加工業界向けから既存工場でのライン設備や移設工事、生産機器類など、海外では米国向け豆腐生産設備や春巻・餃子の成型機、製麺機など、幅広く受注が進みました。しかしながら、前連結会計年度に比べ新工場建設などの大型案件が少なく、売上、営業利益ともに大きく減少いたしました。
これらの結果、売上高は96億53百万円となり前連結会計年度比42億39百万円の減少となりました。セグメント損益は4億72百万円の利益となり前連結会計年度比6億17百万円の減少となりました。
<資材事業>資材事業におきまして、化成品部門では、住宅用部材シート、印刷用フィルムおよび包装資材の販売は堅調に推移いたしましたものの、付加価値の高い工業用粘着シートの販売が低迷し、売上、営業利益ともに減少いたしました。農畜資材では、度重なる台風の影響などにより、既存商材の販売が伸び悩み、売上、営業利益ともに減少いたしました。
これらの結果、売上高は111億14百万円となり前連結会計年度比78百万円の減少となりました。セグメント損益は3億18百万円の利益となり前連結会計年度比45百万円の減少となりました。
<バイオティックス事業>バイオティックス事業では、大手健康食品メーカー向けに「アグリマックス」や「イムバランス」の素材販売の拡販および薬局向けOEM商品の販売などが順調に推移いたしました結果、売上高は3億39百万円となり前連結会計年度比3百万円の増加となりました。セグメント損益は42百万円の利益となり前連結会計年度比3百万円の増加となりました。
<物流事業>物流事業では、九州地区における食品を中心とした運送業を展開し、不採算部門の閉鎖や業務効率の改善を図るとともに、積極的な営業活動により新規取引先への配送業務が増加いたしました結果、売上高は21億14百万円となり前連結会計年度比2億52百万円の増加となりました。セグメント損益は40百万円の利益(前年同期は4百万円のセグメント損失)となりました。
<その他>その他の事業といたしまして、不動産の賃貸、人材派遣業などを行っており、売上高は97百万円となり前連結会計年度比3百万円の増加となりました。セグメント損益は67百万円の利益となり前連結会計年度比6百万円の増加となりました。
(財政状態)
資 産
当連結会計年度における資産の部は621億52百万円となり、前連結会計年度比28億99百万円の減少となりました。これは、主として、受取手形及び売掛金の減少21億40百万円、投資有価証券の時価の下落による減少10億80百万円などによるものであります。
負 債
負債の部は466億51百万円となり、前連結会計年度比35億97百万円の減少となりました。これは、主として支払手形及び買掛金の減少24億21百万円、短期借入金の減少7億32百万円、長期借入金の減少9億74百万円、社債の増加12億18百万円、繰延税金負債の減少8億41百万円などによるものであります。
純資産
純資産の部は155億円となり、前連結会計年度比6億97百万円の増加となりました。これは、利益剰余金の増加19億76百万円、その他有価証券評価差額金の減少9億98百万円などによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、53億5百万円と前連結会計年度比68百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益22億64百万円、売上債権の減少額22億14百万円、仕入債務の減少額24億47百万円などにより、17億21百万円のプラス(前連結会計年度は39億14百万円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出7億55百万円などにより、8億65百万円のマイナス(前連結会計年度は7億64百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額△7億22百万円、長期借入れによる収入26億20百万円、長期借入金の返済による支出△36億25百万円、社債の発行による収入14億75百万円などにより、9億15百万円のマイナス(前連結会計年度は32億80百万円のマイナス)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成31年4月1日
至 令和2年3月31日)
金額(百万円)金額(百万円)前年同期比(%)
食品事業82,54975,628△8.3
海洋事業18,84918,9510.5
機械事業13,8939,653△30.5
資材事業11,19311,114△0.6
バイオティックス事業3363390.9
物流事業1,8622,11413.5
その他94973.7
合計128,778117,900△8.4

(注)1 セグメント間取引については、相殺処理しております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成31年4月1日
至 令和2年3月31日)
金額(百万円)金額(百万円)前年同期比(%)
食品事業66,91965,398△2.2
海洋事業14,27614,4681.3
機械事業8,5415,963△30.1
資材事業10,53610,256△2.6
バイオティックス事業8311942.9
その他3230△5.8
合計100,39096,238△4.1

(注)1 セグメント間取引については、相殺処理しております。
2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、繰延税金資産の回収可能性につきましても、会計基準等に従い合理的な見積りを行っておりますが、経営環境等に重要な変化が生じた場合には、財政状態や経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症による会計上の見積りへの影響については、入手可能な情報に基づき見積りを行っております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、3ヵ年経営計画「第134期中期経営計画(これからの100年に向かって)」の初年度として、人材と組織の連携強化を図るとともに、「浜から食卓まで」をカバーした当社グループならではの強みを生かしたきめ細かな営業活動に努めてまいりました。
経営成績等の分析
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、売上高につきましては、1,179億円(前連結会計年度比8.4%減)となりました。損益につきましては、営業損益は19億10百万円の利益(前連結会計年度比21.2%減)、経常損益は23億38百万円の利益(前連結会計年度比2.8%増)、親会社株主に帰属する当期純損益は23億65百万円の利益(前連結会計年度は26億89百万円の損失)となりました。
(売上高及び営業利益)
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業外損益)
営業外損益は、当連結会計年度は4億27百万円の利益(前連結会計年度は1億48百万円の損失)となりました。これは主に、営業外収益として受取配当金1億49百万円及び持分法による投資利益4億44百万円の計上があるものの、営業外費用として支払利息3億96百万円などの計上があったことによるものであります。
(特別損益)
特別損益は、当連結会計年度は74百万円の損失(前連結会計年度は48億14百万円の損失)となりました。これは主に、特別損失として固定資産除却損25百万円、投資有価証券評価損40百万円などの計上があったことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損益は、当連結会計年度は23億65百万円の利益(前連結会計年度は26億89百万円の損失)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、事業上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。必要な資金については、銀行借入またはコミットメントラインの利用によって流動性を保持しております。なお、当社グループの資金環境において新型コロナウイルスの影響による多額の資金需要は発生しておらず、かつ当連結会計年度末のコミットメントライン未実行額は146億円となっており、資金の流動性は十分に確保されております。また、投融資等の長期的な資金については設備投資・事業投資計画に基づき、市場金利動向や既存長期借入金等の返済時期を総合的に勘案し、社債および長期借入金によって流動性を保持しております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は305億6百万円となり、前連結会計年度末比3億77百万円の減少となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は53億5百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、3ヵ年経営計画「第134期中期経営計画(これからの100年に向かって)」の初年度として、「浜から食卓まで」を網羅した当社グループならではの強みを生かした営業活動に努めるとともに、事業横断による人材と組織の連携強化を図ってまいりました。各事業部門においても目標達成のための施策遂行に注力し、食品事業では鮮凍水産物部門(助子、北方凍魚)を中心に事業の選択と集中を推し進めてまいりました。海洋事業では既存事業領域の見直しと合わせ、新規事業にあたり部門を横断した営業活動を推進し、機械事業および資材事業では更なる営業基盤の強化や顧客の開拓に努めてまいりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,179億円、営業利益19億10百万円、経常利益23億38百万円、ROE15.7%となり、本中期経営計画の最終年度目標値である売上高1,300億円、営業利益21億円、経常利益23億円、ROE8%以上に近い業績を達成することができました。