有価証券報告書-第68期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が継続し、設備投資の増加や個人消費の持ち直しが見られ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、米国の政策動向や地政学的リスクの懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「つぎつぎと、次のこと。」(2016年3月期~2018年3月期)に基づき、「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値の向上」を基本方針として諸施策を実施してまいりました。
当連結会計年度において、受注部門では平成29年12月に国際チャート株式会社(コード番号3956、JASDAQ)の普通株式を公開買付けにより発行済株式総数の51.33%を取得して連結子会社とし、ラベル紙や検針紙等の事業分野のシェア拡大に取り組みました。また前期M&Aにより連結子会社となったシール印刷などを営む株式会社八光社の業績も順調に推移しており今期フルに寄与いたしました。データプリントサービスをはじめとした印刷製本関連事業の生産体制の最適化・効率化を図り、業容の拡大に取り組みました。製品販売部門ではTVやラジオ番組で当社製品が紹介されるなど、メディア・広告媒体を通じてノートなどの自社製品の認知度向上に取り組みました。また新商品の開発、ネット販売の強化や新たなブランド構築のための活動を積極的に行うとともに、北米やアジアでの販路開拓を進めました。平成30年3月にはITOYA OF America,LTD. が保有する高級筆記具ブランド「TACCIA」の事業を譲り受けました。製造面では従来の技術を活用して付箋や御朱印帳を開発するなど、生産性の向上と製品の拡充に努めました。
この結果、当社グループにおける当連結会計年度の売上高は、前年同期比3.1%増の596億3百万円となりました。利益面では販売費及び一般管理費が増加しましたが売上高の増加により、営業利益は25億95百万円(前年同期比0.5%増)、経常利益は営業外収益の増加、営業外費用の減少もあり29億61百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
また、特別利益は補助金収入77百万円、投資有価証券売却益17百万円など合計で95百万円を計上し、特別損失は減損損失1億45百万円、固定資産処分損38百万円、投資有価証券評価損30百万円など合計で2億25百万円を計上いたしました。この結果、法人税等税負担調整後の親会社株主に帰属する当期純利益は16億69百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[印刷製本関連事業]
図書館ソリューション部門は各種図書館の業務委託及び指定管理事業の受注や蔵書管理システムの拡販に取り組みましたが、図書製本の減少が続き依然厳しい状況で推移いたしました。手帳部門は年玉手帳、市販手帳、生徒手帳や見本帳などの受注拡大を図るとともに、オンデマンド、AR(拡張現実)を活用した商品の提案に取り組みました。データプリントサービス部門は引き続き民間企業からのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業の強化や物流等を中心としたラベル事業の受注拡大に取り組みましたが、大口ユーザーの受託物件の移設に伴う費用がかさんだこともあり採算性は低下いたしました。
この結果、当事業の売上高は292億65百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は4億97百万円(前年同期比28.8%減)となりました。
[ステーショナリー関連事業]
ノートは「ロジカル・エアーノート」や方眼ノートシリーズ「ロジカル・シンクノート」のラインアップを拡充するとともに、学習帳「ロジカル・科目別ノート」を新発売するなど拡販に努め売上高は堅調に推移いたしました。またメディアなどを通じノートの認知度向上に取り組みました。紙型収納用品「ライフスタイルツール」シリーズについてはカバン型収納ボックス「収納カバン」などが加わり好評を得ております。一方でアルバムなどの写真関連商品、OA用品・消耗品、電子文具などの売上高は減少いたしました。
この結果、当事業の売上高は124億3百万円(前年同期比6.0%減)、営業利益は8億9百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
[環境・オフィス関連事業]
シュレッダは官公庁、金融機関、民間企業などからの受注拡大や新規販路の開拓に取り組むとともに、出張細断サービスを提供している大型シュレッダ搭載のエコポリスバンの販売にも注力いたしました。オフィス家具は横浜にショールームを新規開設するなど拠点の拡充を図りネットとリアルの融合効果で業績は順調に推移いたしましたが、家庭用木製家具の販売は低迷いたしました。
この結果、当事業の売上高は70億55百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は5億54百万円(前年同期比27.4%増)となりました。
[デジタルガジェット関連事業]
量販店やネット通販向けにPC関連商品、スマホ・タブレット関連商品・ゲーム機関連商品、FAXリボン、ホームセキュリティ関連商品などの販売が順調に推移いたしました。特に「小型無線静音5ボタントラックボール」などの静音マウスシリーズや静音キーボードなどの新商品が好評でした。また家庭用SDセンサー防犯カメラ、ワイヤレストークなどの商品が人気で売上高は好調に推移いたしました。
この結果、当事業の売上高は52億82百万円(前年同期比14.5%増)、営業利益は4億46百万円(前年同期比41.0%増)となりました。
[ベビー・メディカル関連事業]
チャイルドシートは新規販路での販売が軌道に乗りましたが、既存の量販店向けの販売が減少したため売上高は減少いたしました。一方、採算面は経費削減の効果があり改善いたしました。メディカル部門は病院向けカルテワゴン、点滴スタンドに加え補助ポールや消毒関連用品の拡販に努め堅調に推移いたしました。
この結果、当事業の売上高は14億54百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は21百万円(前年同期比24.6%増)となりました。
[発電関連事業]
太陽光発電及び連結子会社の松江バイオマス発電株式会社が営む木質バイオマス発電であり、概ね計画通り稼働いたしました。木質バイオマス発電においては定期点検費用や材料費などが増加いたしました。
この結果、当事業の売上高は15億31百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は1億99百万円(前年同期比17.4%減)となりました。
[その他]
その他は連結子会社のウーマンスタッフ株式会社が営む人材派遣業、日本通信紙株式会社が営むアウトソーシング事業、兵庫ナカバヤシ株式会社が営む野菜プラント事業及びにんにくファーム事業であり、売上高は26億9百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は1億72百万円(前年同期比3.6%減)となりました。
財政状態の分析は、次のとおりであります。
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて19億31百万円増加し、277億81百万円となりました。これは受取手形及び売掛金が7億84百万円、現金及び預金が6億51百万円、原材料及び貯蔵品が1億99百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて12億17百万円増加し、277億11百万円となりました。これは建設仮勘定が3億69百万円減少しましたが、投資有価証券が5億35百万円、土地が3億97百万円、機械装置及び運搬具が3億93百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて31億49百万円増加し、554億93百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて2億71百万円増加し、196億27百万円となりました。これは短期借入金が9億2百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が6億75百万円、未払金が2億6百万円、電子記録債務(流動負債の「その他」)が1億29百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて7億62百万円増加し、111億86百万円となりました。これは長期未払金(固定負債の「その他」)が3億40百万円減少しましたが、退職給付に係る負債が5億31百万円、長期借入金が2億89百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて10億34百万円増加し、308億13百万円となりました。
[純資産]
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて21億15百万円増加し、246億79百万円となりました。これは繰延ヘッジ損益が49百万円減少しましたが、利益剰余金が11億48百万円、その他有価証券評価差額金が2億80百万円、退職給付に係る調整累計額が90百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、自己資本比率は41.2%となり、前連結会計年度末に比べて0.3ポイント上昇いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、 28億87百万円の収入があり、前連結会計年度より1億87百万円の収入増加となりました。退職給付に係る負債の減少額が1億5百万円となり、前連結会計年度に比べ10億68百万円減少したことが、収入増加の要因となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、9億97百万円の支出があり、前連結会計年度より11億38百万円の支出減少となりました。有形固定資産の取得による支出が10億62百万円となり、前連結会計年度に比べ6億61百万円減少したことが、支出減少の要因となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、 11億62百万円の支出があり、前連結会計年度より3億63百万円の支出減少となりました。長期借入れによる収入が44億23百万円となり、前連結会計年度に比べ13億48百万円増加したことが、支出減少の要因となりました。
これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末より7億23百万円増加し、67億94百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注生産を行っている事業は印刷製本関連事業であり、主なものは図書製本、手帳及びデータプリントサービス等の紙製品であります。一方、ステーショナリー関連事業、環境・オフィス関連事業、デジタルガジェット関連事業、ベビー・メディカル関連事業、発電関連事業及びその他は、見込み生産であり、受注生産の割合が僅少である事業、または、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まない事業のため、記載は省略しております。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度における相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先のみであるため、記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、特に以下の重要な会計方針が当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
・営業債権
営業債権は、貸借対照表日以前の売上から生じた債務者に対する正当な債権であり、貸借対照表日後に出荷したもの、委託又は試用販売のために出荷したもの等に係る債権は含めておりません。また、貸借対照表日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適正な引当金を計上しております。しかし顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
・棚卸資産
棚卸資産は、正味売却価額が帳簿価額よりも低下しているときには、帳簿価額を正味売却価額まで切下げております。貸借対照表日現在の棚卸資産で、貸借対照表計上額に比べ現在までにその時価が著しく下落しているものはありません。実際の将来需要又は市場状況が当社グループ経営陣の見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
・繰延税金資産
繰延税金資産に関して将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
・退職給付費用
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。数理計算上の基礎率や計算方法は、当社の状況から見て適切なものであると考えておりますが、割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼします。
・有価証券及び金融商品
流動資産及び投資その他の資産に計上している有価証券は、当社の保有目的に基づき売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社・関連会社株式及びその他有価証券に適切に分類し、会計処理しております。
また、金融商品の時価の算定方法及び重要な仮定は、合理的であると判断しております。
・無形固定資産
無形固定資産として計上している社内利用のソフトウエア費用は、将来の収益獲得又は費用削減が確実なものであると判断しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
10ページ 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、生産性向上を図るために機械設備等の継続的な投資が必要となります。その資金につきましては、借入金及び自己資金で賄っております。収益力の強化、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮及び資産の効率化・有効活用に取り組み、有利子負債の圧縮を図ってまいります。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
当社グループは2016年3月期から2018年3月期までの中期経営計画(「つぎつぎと、次のこと。」)に基づき、「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値の向上」を基本方針とした諸施策に取り組んでまいりました。「収益力の強化」につきましては、ブランドイメージ確立に向け、若年層を中心とした認知度強化を図る一方、ライフスタイルツールなど高付加価値商品の発売なども企業イメージ向上に寄与いたしました。グループ会社間の生産協力体制も整備され稼働率や原価面で収益力の強化につながりました。「成長力の推進」につきましては、新規事業としてシール・ラベル事業への本格参入、製本工場とにんにく生産の二刀流などの事業が進展いたしました。M&Aを積極的に取り組んだ結果、リーベックス㈱・㈲マルヨシ民芸家具・㈱八光社・国際チャート㈱がグループ入りいたしました。また、海外事業のさらなる推進も図ります。「株主価値の向上」につきましては、機動的な資本政策として、自己株式の購入や消却を実施し、2017年10月には株式併合(2株から1株へ)及び単元株式数の変更(1000株から100株へ)を行いました。その結果、株主数の増加につながりました。
中期数値目標(連結)の達成状況につきましては、売上高は目標600億円に対して596億3百万円(達成率99.3%)、経常利益は30億円の目標に対して29億61百万円(達成率98.7%)、経常利益率は5%の目標に対して4.97%(達成率99.4%)、ROEは8%の目標に対して7.5%(達成率93.8%)となりました。諸施策実施の効果により、売上高、経常利益、経常利益率につきましては概ね中期経営計画の目標数値を達成いたしました。ROEにつきましては若干目標数値を下回りました。
なお、2019年3月より新たな中期経営計画(「総・想・創」)がスタートいたします。2021年3月期の中期数値目標達成に向けてグループ全体で全力で取り組んでまいる所存であります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が継続し、設備投資の増加や個人消費の持ち直しが見られ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、米国の政策動向や地政学的リスクの懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「つぎつぎと、次のこと。」(2016年3月期~2018年3月期)に基づき、「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値の向上」を基本方針として諸施策を実施してまいりました。
当連結会計年度において、受注部門では平成29年12月に国際チャート株式会社(コード番号3956、JASDAQ)の普通株式を公開買付けにより発行済株式総数の51.33%を取得して連結子会社とし、ラベル紙や検針紙等の事業分野のシェア拡大に取り組みました。また前期M&Aにより連結子会社となったシール印刷などを営む株式会社八光社の業績も順調に推移しており今期フルに寄与いたしました。データプリントサービスをはじめとした印刷製本関連事業の生産体制の最適化・効率化を図り、業容の拡大に取り組みました。製品販売部門ではTVやラジオ番組で当社製品が紹介されるなど、メディア・広告媒体を通じてノートなどの自社製品の認知度向上に取り組みました。また新商品の開発、ネット販売の強化や新たなブランド構築のための活動を積極的に行うとともに、北米やアジアでの販路開拓を進めました。平成30年3月にはITOYA OF America,LTD. が保有する高級筆記具ブランド「TACCIA」の事業を譲り受けました。製造面では従来の技術を活用して付箋や御朱印帳を開発するなど、生産性の向上と製品の拡充に努めました。
この結果、当社グループにおける当連結会計年度の売上高は、前年同期比3.1%増の596億3百万円となりました。利益面では販売費及び一般管理費が増加しましたが売上高の増加により、営業利益は25億95百万円(前年同期比0.5%増)、経常利益は営業外収益の増加、営業外費用の減少もあり29億61百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
また、特別利益は補助金収入77百万円、投資有価証券売却益17百万円など合計で95百万円を計上し、特別損失は減損損失1億45百万円、固定資産処分損38百万円、投資有価証券評価損30百万円など合計で2億25百万円を計上いたしました。この結果、法人税等税負担調整後の親会社株主に帰属する当期純利益は16億69百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[印刷製本関連事業]
図書館ソリューション部門は各種図書館の業務委託及び指定管理事業の受注や蔵書管理システムの拡販に取り組みましたが、図書製本の減少が続き依然厳しい状況で推移いたしました。手帳部門は年玉手帳、市販手帳、生徒手帳や見本帳などの受注拡大を図るとともに、オンデマンド、AR(拡張現実)を活用した商品の提案に取り組みました。データプリントサービス部門は引き続き民間企業からのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業の強化や物流等を中心としたラベル事業の受注拡大に取り組みましたが、大口ユーザーの受託物件の移設に伴う費用がかさんだこともあり採算性は低下いたしました。
この結果、当事業の売上高は292億65百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は4億97百万円(前年同期比28.8%減)となりました。
[ステーショナリー関連事業]
ノートは「ロジカル・エアーノート」や方眼ノートシリーズ「ロジカル・シンクノート」のラインアップを拡充するとともに、学習帳「ロジカル・科目別ノート」を新発売するなど拡販に努め売上高は堅調に推移いたしました。またメディアなどを通じノートの認知度向上に取り組みました。紙型収納用品「ライフスタイルツール」シリーズについてはカバン型収納ボックス「収納カバン」などが加わり好評を得ております。一方でアルバムなどの写真関連商品、OA用品・消耗品、電子文具などの売上高は減少いたしました。
この結果、当事業の売上高は124億3百万円(前年同期比6.0%減)、営業利益は8億9百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
[環境・オフィス関連事業]
シュレッダは官公庁、金融機関、民間企業などからの受注拡大や新規販路の開拓に取り組むとともに、出張細断サービスを提供している大型シュレッダ搭載のエコポリスバンの販売にも注力いたしました。オフィス家具は横浜にショールームを新規開設するなど拠点の拡充を図りネットとリアルの融合効果で業績は順調に推移いたしましたが、家庭用木製家具の販売は低迷いたしました。
この結果、当事業の売上高は70億55百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は5億54百万円(前年同期比27.4%増)となりました。
[デジタルガジェット関連事業]
量販店やネット通販向けにPC関連商品、スマホ・タブレット関連商品・ゲーム機関連商品、FAXリボン、ホームセキュリティ関連商品などの販売が順調に推移いたしました。特に「小型無線静音5ボタントラックボール」などの静音マウスシリーズや静音キーボードなどの新商品が好評でした。また家庭用SDセンサー防犯カメラ、ワイヤレストークなどの商品が人気で売上高は好調に推移いたしました。
この結果、当事業の売上高は52億82百万円(前年同期比14.5%増)、営業利益は4億46百万円(前年同期比41.0%増)となりました。
[ベビー・メディカル関連事業]
チャイルドシートは新規販路での販売が軌道に乗りましたが、既存の量販店向けの販売が減少したため売上高は減少いたしました。一方、採算面は経費削減の効果があり改善いたしました。メディカル部門は病院向けカルテワゴン、点滴スタンドに加え補助ポールや消毒関連用品の拡販に努め堅調に推移いたしました。
この結果、当事業の売上高は14億54百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は21百万円(前年同期比24.6%増)となりました。
[発電関連事業]
太陽光発電及び連結子会社の松江バイオマス発電株式会社が営む木質バイオマス発電であり、概ね計画通り稼働いたしました。木質バイオマス発電においては定期点検費用や材料費などが増加いたしました。
この結果、当事業の売上高は15億31百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は1億99百万円(前年同期比17.4%減)となりました。
[その他]
その他は連結子会社のウーマンスタッフ株式会社が営む人材派遣業、日本通信紙株式会社が営むアウトソーシング事業、兵庫ナカバヤシ株式会社が営む野菜プラント事業及びにんにくファーム事業であり、売上高は26億9百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は1億72百万円(前年同期比3.6%減)となりました。
財政状態の分析は、次のとおりであります。
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて19億31百万円増加し、277億81百万円となりました。これは受取手形及び売掛金が7億84百万円、現金及び預金が6億51百万円、原材料及び貯蔵品が1億99百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて12億17百万円増加し、277億11百万円となりました。これは建設仮勘定が3億69百万円減少しましたが、投資有価証券が5億35百万円、土地が3億97百万円、機械装置及び運搬具が3億93百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて31億49百万円増加し、554億93百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて2億71百万円増加し、196億27百万円となりました。これは短期借入金が9億2百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が6億75百万円、未払金が2億6百万円、電子記録債務(流動負債の「その他」)が1億29百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて7億62百万円増加し、111億86百万円となりました。これは長期未払金(固定負債の「その他」)が3億40百万円減少しましたが、退職給付に係る負債が5億31百万円、長期借入金が2億89百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて10億34百万円増加し、308億13百万円となりました。
[純資産]
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて21億15百万円増加し、246億79百万円となりました。これは繰延ヘッジ損益が49百万円減少しましたが、利益剰余金が11億48百万円、その他有価証券評価差額金が2億80百万円、退職給付に係る調整累計額が90百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、自己資本比率は41.2%となり、前連結会計年度末に比べて0.3ポイント上昇いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、 28億87百万円の収入があり、前連結会計年度より1億87百万円の収入増加となりました。退職給付に係る負債の減少額が1億5百万円となり、前連結会計年度に比べ10億68百万円減少したことが、収入増加の要因となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、9億97百万円の支出があり、前連結会計年度より11億38百万円の支出減少となりました。有形固定資産の取得による支出が10億62百万円となり、前連結会計年度に比べ6億61百万円減少したことが、支出減少の要因となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、 11億62百万円の支出があり、前連結会計年度より3億63百万円の支出減少となりました。長期借入れによる収入が44億23百万円となり、前連結会計年度に比べ13億48百万円増加したことが、支出減少の要因となりました。
これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末より7億23百万円増加し、67億94百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
印刷製本関連事業 | 21,252 | 106.9 |
ステーショナリー関連事業 | 6,909 | 101.4 |
環境・オフィス関連事業 | 2,467 | 110.7 |
デジタルガジェット関連事業 | 88 | 124.6 |
ベビー・メディカル関連事業 | 898 | 101.1 |
発電関連事業 | 1,531 | 104.5 |
その他 | 971 | 86.9 |
合計 | 34,118 | 105.1 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注生産を行っている事業は印刷製本関連事業であり、主なものは図書製本、手帳及びデータプリントサービス等の紙製品であります。一方、ステーショナリー関連事業、環境・オフィス関連事業、デジタルガジェット関連事業、ベビー・メディカル関連事業、発電関連事業及びその他は、見込み生産であり、受注生産の割合が僅少である事業、または、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まない事業のため、記載は省略しております。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
印刷製本関連事業 | 33,112 | 119.7 | 2,573 | 104.3 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
印刷製本関連事業 | 29,265 | 106.5 |
ステーショナリー関連事業 | 12,403 | 94.0 |
環境・オフィス関連事業 | 7,055 | 100.2 |
デジタルガジェット関連事業 | 5,282 | 114.5 |
ベビー・メディカル関連事業 | 1,454 | 97.1 |
発電関連事業 | 1,531 | 104.5 |
その他 | 2,609 | 102.2 |
合計 | 59,603 | 103.1 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度における相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先のみであるため、記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、特に以下の重要な会計方針が当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
・営業債権
営業債権は、貸借対照表日以前の売上から生じた債務者に対する正当な債権であり、貸借対照表日後に出荷したもの、委託又は試用販売のために出荷したもの等に係る債権は含めておりません。また、貸借対照表日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適正な引当金を計上しております。しかし顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
・棚卸資産
棚卸資産は、正味売却価額が帳簿価額よりも低下しているときには、帳簿価額を正味売却価額まで切下げております。貸借対照表日現在の棚卸資産で、貸借対照表計上額に比べ現在までにその時価が著しく下落しているものはありません。実際の将来需要又は市場状況が当社グループ経営陣の見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
・繰延税金資産
繰延税金資産に関して将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
・退職給付費用
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。数理計算上の基礎率や計算方法は、当社の状況から見て適切なものであると考えておりますが、割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼします。
・有価証券及び金融商品
流動資産及び投資その他の資産に計上している有価証券は、当社の保有目的に基づき売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社・関連会社株式及びその他有価証券に適切に分類し、会計処理しております。
また、金融商品の時価の算定方法及び重要な仮定は、合理的であると判断しております。
・無形固定資産
無形固定資産として計上している社内利用のソフトウエア費用は、将来の収益獲得又は費用削減が確実なものであると判断しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
10ページ 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、生産性向上を図るために機械設備等の継続的な投資が必要となります。その資金につきましては、借入金及び自己資金で賄っております。収益力の強化、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮及び資産の効率化・有効活用に取り組み、有利子負債の圧縮を図ってまいります。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
当社グループは2016年3月期から2018年3月期までの中期経営計画(「つぎつぎと、次のこと。」)に基づき、「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値の向上」を基本方針とした諸施策に取り組んでまいりました。「収益力の強化」につきましては、ブランドイメージ確立に向け、若年層を中心とした認知度強化を図る一方、ライフスタイルツールなど高付加価値商品の発売なども企業イメージ向上に寄与いたしました。グループ会社間の生産協力体制も整備され稼働率や原価面で収益力の強化につながりました。「成長力の推進」につきましては、新規事業としてシール・ラベル事業への本格参入、製本工場とにんにく生産の二刀流などの事業が進展いたしました。M&Aを積極的に取り組んだ結果、リーベックス㈱・㈲マルヨシ民芸家具・㈱八光社・国際チャート㈱がグループ入りいたしました。また、海外事業のさらなる推進も図ります。「株主価値の向上」につきましては、機動的な資本政策として、自己株式の購入や消却を実施し、2017年10月には株式併合(2株から1株へ)及び単元株式数の変更(1000株から100株へ)を行いました。その結果、株主数の増加につながりました。
中期数値目標(連結)の達成状況につきましては、売上高は目標600億円に対して596億3百万円(達成率99.3%)、経常利益は30億円の目標に対して29億61百万円(達成率98.7%)、経常利益率は5%の目標に対して4.97%(達成率99.4%)、ROEは8%の目標に対して7.5%(達成率93.8%)となりました。諸施策実施の効果により、売上高、経常利益、経常利益率につきましては概ね中期経営計画の目標数値を達成いたしました。ROEにつきましては若干目標数値を下回りました。
なお、2019年3月より新たな中期経営計画(「総・想・創」)がスタートいたします。2021年3月期の中期数値目標達成に向けてグループ全体で全力で取り組んでまいる所存であります。