有価証券報告書-第71期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ社会・経済活動に一定の回復が見られたものの、終息時期は依然見通せず、世界各国においても先行きが不透明な状況が続いております。
このような中、当社グループは、中期経営計画「総・想・創」(そう・そう・そう)の最終年度を迎え目標達成のため、Web商談やリモートワーク、時差出勤等を活用し感染拡大防止対策を推進する一方、製品やサービスの安定供給と収益改善に努めてまいりました。
利益面では売上高は減少しましたが、利益率の高い受注や生産の内製化を進めたことで原価率が改善しました。販売費及び一般管理費は増加しましたが、営業利益および経常利益は増益となりました。
また、特別利益は固定資産売却益2億17百万円など合計で2億20百万円を計上し、特別損失は減損損失3億18百万円など合計で4億29百万円計上いたしました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は15億52百万円となりました。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は以下のとおりであります。
売上高 636億44百万円 (前年同期比2.5%減)
営業利益 25億50百万円 (前年同期比8.7%増)
経常利益 30億23百万円 (前年同期比10.5%増)
親会社株主に帰属する当期純利益 15億52百万円 (前年同期比0.6%減)
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[ビジネスプロセスソリューション事業]
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務は、現場の煩雑な作業をオールインワン・ワンストップで行える強みを生かし、官公庁から特別定額給付金の支給や医療従事者に対する支援などアウトソーシング業務を受託しました。一方、各種試験運営は実施の延期や自粛、ノベルティ制作及び容器包装関連は販売促進キャンペーンや各種イベントの中止、法人向け手帳やレジロール紙は外出自粛要請発出の影響により、各事業の受託が減少しました。図書館ソリューション業務は、製本や資料の電子化業務が順調に推移しており、また公共図書館からのアウトソーシング業務は伸長しました。
この結果、当事業の売上高は329億96百万円(前年同期比8.7%減)、営業利益は6億65百万円(前年同期比40.1%減)となりました。
[コンシューマーコミュニケーション事業]
新型コロナウイルス感染症で行動抑制が長期化し、店頭における購買活動や生活様式が大きく変化しました。このような中、飛沫飛散低減対策用品のアクリル製や段ボール製パーティション、足踏み消毒ホンプスタンドなどの製品群が引き続き好調に推移しました。また、政府が推進する「GIGAスクール構想」対応製品のタブレット保管庫やタイマー付きOAタップ、在宅勤務の定着によりヘッドセットや室内用テントなどリモートワーク関連用品、眠りに対する関心の高まりによりベッド等の寝具関連も順調に推移いたしました。
この結果、当事業の売上高は212億80百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は14億2百万円(前年同期比60.5%増)となりました。
[オフィスアプライアンス事業]
新型コロナウイルス感染症による在宅勤務者の増加に伴い、オフィスシュレッダの受注は低調でしたが、年度末に向けて好調に推移しました。一方、オフィス環境の改善と飛沫飛散低減対策を目的としたレイアウト変更の動きにより、ローパーティションが伸長しました。
今後さらなるデジタル化が進展することが想定され、シュレッダ以外の新規商材として取り扱いを開始した調光ガラス『N-Smart(エヌ・スマート)』の営業活動を積極的に展開していきます。
この結果、当事業の売上高は75億66百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益は5億68百万円(前年同期比26.4%増)となりました。
[エネルギー事業]
木質バイオマス発電は、前年度稼働が一時停止したため売上高、営業利益は減少しましたが、当期は計画通り順調に稼働いたしました。また太陽光発電も順調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は17億5百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益は2億28百万円(前年同期比29.8%増)となりました。
[その他]
野菜プラント事業及びにんにくファーム事業等であり、売上高は96百万円(前年同期比25.7%減)、営業損失は36百万円(前年同期営業損失64百万円)となりました。
財政状態の分析は、次のとおりであります。
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて13億3百万円増加し、283億15百万円となりました。これは受取手形及び売掛金が13億46百万円、電子記録債権(流動資産の「その他」)が2億4百万円、原材料及び貯蔵品が82百万円それぞれ増加しましたが、現金及び預金が3億80百万円、商品及び製品が29百万円それぞれ減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて27百万円増加し、287億97百万円となりました。これは投資有価証券が7億46百万円、建物及び構築物が6億96百万円それぞれ増加しましたが、土地が7億77百万円、建設仮勘定が5億78百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて13億31百万円増加し、571億13百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1億57百万円減少し、173億73百万円となりました。これは未払法人税等が3億59百万円、未払金が2億13百万円、賞与引当金が2億円それぞれ増加しましたが、短期借入金が5億65百万円、支払手形及び買掛金が4億49百万円それぞれ減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて4億50百万円減少し、116億93百万円となりました。これは長期借入金が2億89百万円減少したことなどによります。
[純資産]
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて19億39百万円増加し、280億46百万円となりました。これは利益剰余金が9億85百万円、その他有価証券評価差額金が4億50百万円、退職給付に係る調整累計額が2億80百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、自己資本比率は45.2%となり、前連結会計年度末に比べて2.0ポイント上昇いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
(1)キャッシュ・フロー及び流動性の状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、24億7百万円の収入(前年同期比14億70百万円収入減)となりました。主な内訳として、収入については、税金等調整前当期純利益28億13百万円、減価償却費16億23百万円、減損損失3億18百万円であり、支出については、売上債権の増加額12億3百万円、法人税等の支払額7億90百万円、仕入債務の減少額6億81百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5億18百万円の支出(前年同期比25億44百万円支出減)となりました。主な内訳として、収入については、有形固定資産の売却による収入13億83百万円、支出については、有形固定資産の取得による支出16億59百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1億34百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、22億69百万円の支出(前年同期比20億2百万円の支出増)となりました。主な内訳として、収入については、長期借入れによる収入35億25百万円、支出については、長期借入金の返済による支出39億56百万円、短期借入金の減少額11億91百万円であります。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末より3億80百万円減少し、64億26百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの配分と資本政策
営業キャッシュ・フローの配分については財務基盤の確立を目指しつつ、企業価値向上に資する投資を積極的に行うとともに、株主還元に配慮した適正配分に努めてまいります。
事業への配分については紙器包装事業、BPO事業、環境配慮型製品、防災復興関連製品の開発など収益力の高い事業や成長力のある新規事業、ニューノーマルに対応した事業への投資を安定的かつ継続的に実施してまいります。
株主還元については安定的な配当の維持並びに経営基盤の強化と今後の事業展開を勘案した上で、この両者をバランスよく回転させることを基本方針としております。連結配当性向は30%~40%を維持してまいります。
(3)資金調達の方針
資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の安全性維持を基本方針としており、主として銀行、生保からの短期及び長期借入金により資金調達を行っております。子会社については原則として外部からの資金調達を行わず、グループファイナンスを活用し、資金調達の一元化により資金の効率化及び流動性の確保を図っています。また事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応を図るため十分な現金同等物を保有しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注生産を行っている事業はビジネスプロセスソリューション事業であり、主なものは図書製本、法人向け手帳、データプリントサービス等であります。一方、コンシューマーコミュニケーション事業、オフィスアプライアンス事業、エネルギー事業及びその他は、見込み生産であり、受注生産の割合が僅少である事業、または、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まない事業のため、記載は省略しております。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度における相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先のみであるため、記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響により各種試験運営実施の延期や自粛、ノベルティ制作および容器包装関連においては販売促進キャンペーンや各種イベントの中止等は引き続き予想はされますが、飛沫飛散低減対策製品や在宅勤務による家庭での仕事環境の整備、オフィスでのフリーアドレスやリモートワークなどのオフィス環境の改善については引き続きニーズが強いものと予想されます。また官公庁や民間企業ではアウトソーシングする業務が増え、製本や資料の電子化業務や公共図書館の委託業務は伸長するものと思われます。
このように当社グループ事業への影響は、事業によってその影響や程度が異なるものの、今後ワクチンが普及していくことから概ね1年程度で回復すると見込んでおり、当社グループの業績への影響は限定的であるとの仮定のもと、以下の会計上の見積りを行っております。
なお、連結財務諸表作成時点において入手可能な情報に基づいた最善の見積りを行っているものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響は不確定要素が多く、感染状況や経済環境への影響が変化した場合には、最善の見積りを行った結果としての見積もられた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
・固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
・繰延税金資産
繰延税金資産は入手可能な証拠に基づいて将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。同様に計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
・退職給付費用
確定給付費用及び確定給付制度債務は、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき見積もっております。数理計算上の基礎率や計算方法は適切であると考えておりますが、基礎率の変動が確定給付費用及び確定給付制度債務に重要な影響を及ぼします。
なお当社及び一部の連結子会社の割引率は高格付けの社債の利回りに基づき決定しております。
・関係会社株式
時価を把握することが極めて困難と認められる関係会社株式について、関係会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく低下したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除いて、評価損を認識しております。
② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
14ページ 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
16ページ 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況をご参照ください。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
当社グループは2019年3月期から2021年3月期までの中期経営計画「総・想・創」(そう・そう・そう)に基づき、「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値向上」を基本方針とし、「ナカバヤシからの6つの約束」を目標として掲げ、その達成に向けた諸施策を実施してまいりました。
その達成状況については次のとおりです。
(1)基本方針の達成状況
◯「収益力の強化」
ブランドイメージを確立するために、若年層への認知度向上策として頑張る若者を応援する施策をCM制作、イベント協賛、アニメーション映画協賛にて継続して実施し、全世代向け認知度向上策としてスポーツイベントへの協賛やラジオCMを実施しました。また付加価値の高い製品開発に取り組み環境配慮関連、防災関連、働き方改革関連、GIGAスクール構想関連にて成果が上がっております。グループ会社間のシナジー効果も出てきており、当社、日本通信紙㈱及び国際チャート㈱の3社の資産を有効に使い繁閑の平準化も図っております。
◯「成長力の推進」
紙器包装関連事業・シールラベル事業・調光ガラス「N-Smart」・ベッド等寝具事業・図書館指定管理事業など、事業多角化を図り、工場間のシナジー効果も発揮しました。
海外販路の開拓については、大きな成果は得られませんでしたが、筆記具のTACCIAブランドや紙製品のNCLブランドを軸に中国、アジア、北米向けの展示会やWeb商談会を活用して販路開拓を実施しました。
◯「株主価値向上」
成長分野の事業への積極的な投資を実施するとともに、配当性向も30%以上を維持しました。しかしROEは8.5%の目標を掲げておりましたが、実績は6.2%に留まりました。
(2)「ナカバヤシからの6つの約束」の達成状況
◯2021年3月期の売上高660億円、経常利益6%の達成
◯2021年3月期ROE8.5%の達成
◯有利子負債20%の圧縮の達成
◯配当性向30%~40%の堅持
◯グループの再編、シナジーの創出
2018年4月に連結子会社のカグクロ株式会社が同社の子会社である有限会社マルヨシ民芸家具を吸収合併いたしました。さらに2019年1月には同じく連結子会社のカグクロ株式会社がベッドなどのネット通販を営む株式会社ビックスリーをM&Aにより100%子会社とし、商品や販路の拡充を図りました。
2019年10月には連結子会社の兵庫ナカバヤシ株式会社を吸収合併し、生産面での効率化や採算性の改善に取り組みました。
2020年4月にはパッケージ事業を営む不二工芸印刷株式会社をM&Aにより100%子会社化とし、紙器及び紙製包材のビジネス強化に取り組みました。
2020年10月には連結子会社のフランクリン・プランナー・ジャパン株式会社を吸収合併し、営業力の強化と合理化の推進に取り組みました。
◯多様な働き方の実践
ワークライフバランス促進と、育児休業を取得する方へのサポート体制が認められ、2019年に「くるみん」認証を取得いたしました。また、時間有給休暇・一斉カエルDay(定時退社日)・ジョブリターン制度・サテライトオフィス・フリーアドレス制などを導入いたしました。さらに新型コロナウイルス感染拡大に伴い在宅勤務や時差出勤などを推進し、よりよい働き方で高い成果を追求してまいりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ社会・経済活動に一定の回復が見られたものの、終息時期は依然見通せず、世界各国においても先行きが不透明な状況が続いております。
このような中、当社グループは、中期経営計画「総・想・創」(そう・そう・そう)の最終年度を迎え目標達成のため、Web商談やリモートワーク、時差出勤等を活用し感染拡大防止対策を推進する一方、製品やサービスの安定供給と収益改善に努めてまいりました。
利益面では売上高は減少しましたが、利益率の高い受注や生産の内製化を進めたことで原価率が改善しました。販売費及び一般管理費は増加しましたが、営業利益および経常利益は増益となりました。
また、特別利益は固定資産売却益2億17百万円など合計で2億20百万円を計上し、特別損失は減損損失3億18百万円など合計で4億29百万円計上いたしました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は15億52百万円となりました。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は以下のとおりであります。
売上高 636億44百万円 (前年同期比2.5%減)
営業利益 25億50百万円 (前年同期比8.7%増)
経常利益 30億23百万円 (前年同期比10.5%増)
親会社株主に帰属する当期純利益 15億52百万円 (前年同期比0.6%減)
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[ビジネスプロセスソリューション事業]
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務は、現場の煩雑な作業をオールインワン・ワンストップで行える強みを生かし、官公庁から特別定額給付金の支給や医療従事者に対する支援などアウトソーシング業務を受託しました。一方、各種試験運営は実施の延期や自粛、ノベルティ制作及び容器包装関連は販売促進キャンペーンや各種イベントの中止、法人向け手帳やレジロール紙は外出自粛要請発出の影響により、各事業の受託が減少しました。図書館ソリューション業務は、製本や資料の電子化業務が順調に推移しており、また公共図書館からのアウトソーシング業務は伸長しました。
この結果、当事業の売上高は329億96百万円(前年同期比8.7%減)、営業利益は6億65百万円(前年同期比40.1%減)となりました。
[コンシューマーコミュニケーション事業]
新型コロナウイルス感染症で行動抑制が長期化し、店頭における購買活動や生活様式が大きく変化しました。このような中、飛沫飛散低減対策用品のアクリル製や段ボール製パーティション、足踏み消毒ホンプスタンドなどの製品群が引き続き好調に推移しました。また、政府が推進する「GIGAスクール構想」対応製品のタブレット保管庫やタイマー付きOAタップ、在宅勤務の定着によりヘッドセットや室内用テントなどリモートワーク関連用品、眠りに対する関心の高まりによりベッド等の寝具関連も順調に推移いたしました。
この結果、当事業の売上高は212億80百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は14億2百万円(前年同期比60.5%増)となりました。
[オフィスアプライアンス事業]
新型コロナウイルス感染症による在宅勤務者の増加に伴い、オフィスシュレッダの受注は低調でしたが、年度末に向けて好調に推移しました。一方、オフィス環境の改善と飛沫飛散低減対策を目的としたレイアウト変更の動きにより、ローパーティションが伸長しました。
今後さらなるデジタル化が進展することが想定され、シュレッダ以外の新規商材として取り扱いを開始した調光ガラス『N-Smart(エヌ・スマート)』の営業活動を積極的に展開していきます。
この結果、当事業の売上高は75億66百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益は5億68百万円(前年同期比26.4%増)となりました。
[エネルギー事業]
木質バイオマス発電は、前年度稼働が一時停止したため売上高、営業利益は減少しましたが、当期は計画通り順調に稼働いたしました。また太陽光発電も順調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は17億5百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益は2億28百万円(前年同期比29.8%増)となりました。
[その他]
野菜プラント事業及びにんにくファーム事業等であり、売上高は96百万円(前年同期比25.7%減)、営業損失は36百万円(前年同期営業損失64百万円)となりました。
財政状態の分析は、次のとおりであります。
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて13億3百万円増加し、283億15百万円となりました。これは受取手形及び売掛金が13億46百万円、電子記録債権(流動資産の「その他」)が2億4百万円、原材料及び貯蔵品が82百万円それぞれ増加しましたが、現金及び預金が3億80百万円、商品及び製品が29百万円それぞれ減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて27百万円増加し、287億97百万円となりました。これは投資有価証券が7億46百万円、建物及び構築物が6億96百万円それぞれ増加しましたが、土地が7億77百万円、建設仮勘定が5億78百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて13億31百万円増加し、571億13百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1億57百万円減少し、173億73百万円となりました。これは未払法人税等が3億59百万円、未払金が2億13百万円、賞与引当金が2億円それぞれ増加しましたが、短期借入金が5億65百万円、支払手形及び買掛金が4億49百万円それぞれ減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて4億50百万円減少し、116億93百万円となりました。これは長期借入金が2億89百万円減少したことなどによります。
[純資産]
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて19億39百万円増加し、280億46百万円となりました。これは利益剰余金が9億85百万円、その他有価証券評価差額金が4億50百万円、退職給付に係る調整累計額が2億80百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、自己資本比率は45.2%となり、前連結会計年度末に比べて2.0ポイント上昇いたしました。
② キャッシュ・フローの状況
(1)キャッシュ・フロー及び流動性の状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、24億7百万円の収入(前年同期比14億70百万円収入減)となりました。主な内訳として、収入については、税金等調整前当期純利益28億13百万円、減価償却費16億23百万円、減損損失3億18百万円であり、支出については、売上債権の増加額12億3百万円、法人税等の支払額7億90百万円、仕入債務の減少額6億81百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5億18百万円の支出(前年同期比25億44百万円支出減)となりました。主な内訳として、収入については、有形固定資産の売却による収入13億83百万円、支出については、有形固定資産の取得による支出16億59百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1億34百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、22億69百万円の支出(前年同期比20億2百万円の支出増)となりました。主な内訳として、収入については、長期借入れによる収入35億25百万円、支出については、長期借入金の返済による支出39億56百万円、短期借入金の減少額11億91百万円であります。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末より3億80百万円減少し、64億26百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの配分と資本政策
営業キャッシュ・フローの配分については財務基盤の確立を目指しつつ、企業価値向上に資する投資を積極的に行うとともに、株主還元に配慮した適正配分に努めてまいります。
事業への配分については紙器包装事業、BPO事業、環境配慮型製品、防災復興関連製品の開発など収益力の高い事業や成長力のある新規事業、ニューノーマルに対応した事業への投資を安定的かつ継続的に実施してまいります。
株主還元については安定的な配当の維持並びに経営基盤の強化と今後の事業展開を勘案した上で、この両者をバランスよく回転させることを基本方針としております。連結配当性向は30%~40%を維持してまいります。
(3)資金調達の方針
資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の安全性維持を基本方針としており、主として銀行、生保からの短期及び長期借入金により資金調達を行っております。子会社については原則として外部からの資金調達を行わず、グループファイナンスを活用し、資金調達の一元化により資金の効率化及び流動性の確保を図っています。また事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応を図るため十分な現金同等物を保有しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| ビジネスプロセスソリューション事業 | 23,064 | 94.5 |
| コンシューマーコミュニケーション事業 | 7,162 | 106.0 |
| オフィスアプライアンス事業 | 2,214 | 92.1 |
| エネルギー事業 | 1,705 | 113.5 |
| その他 | 107 | 81.7 |
| 合計 | 34,254 | 97.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注生産を行っている事業はビジネスプロセスソリューション事業であり、主なものは図書製本、法人向け手帳、データプリントサービス等であります。一方、コンシューマーコミュニケーション事業、オフィスアプライアンス事業、エネルギー事業及びその他は、見込み生産であり、受注生産の割合が僅少である事業、または、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まない事業のため、記載は省略しております。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| ビジネスプロセスソリューション事業 | 32,658 | 87.4 | 2,962 | 78.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| ビジネスプロセスソリューション事業 | 32,996 | 91.3 |
| コンシューマーコミュニケーション事業 | 21,280 | 105.7 |
| オフィスアプライアンス事業 | 7,566 | 101.9 |
| エネルギー事業 | 1,705 | 113.5 |
| その他 | 96 | 74.3 |
| 合計 | 63,644 | 97.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度における相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先のみであるため、記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響により各種試験運営実施の延期や自粛、ノベルティ制作および容器包装関連においては販売促進キャンペーンや各種イベントの中止等は引き続き予想はされますが、飛沫飛散低減対策製品や在宅勤務による家庭での仕事環境の整備、オフィスでのフリーアドレスやリモートワークなどのオフィス環境の改善については引き続きニーズが強いものと予想されます。また官公庁や民間企業ではアウトソーシングする業務が増え、製本や資料の電子化業務や公共図書館の委託業務は伸長するものと思われます。
このように当社グループ事業への影響は、事業によってその影響や程度が異なるものの、今後ワクチンが普及していくことから概ね1年程度で回復すると見込んでおり、当社グループの業績への影響は限定的であるとの仮定のもと、以下の会計上の見積りを行っております。
なお、連結財務諸表作成時点において入手可能な情報に基づいた最善の見積りを行っているものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響は不確定要素が多く、感染状況や経済環境への影響が変化した場合には、最善の見積りを行った結果としての見積もられた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
・固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
・繰延税金資産
繰延税金資産は入手可能な証拠に基づいて将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。同様に計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
・退職給付費用
確定給付費用及び確定給付制度債務は、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき見積もっております。数理計算上の基礎率や計算方法は適切であると考えておりますが、基礎率の変動が確定給付費用及び確定給付制度債務に重要な影響を及ぼします。
なお当社及び一部の連結子会社の割引率は高格付けの社債の利回りに基づき決定しております。
・関係会社株式
時価を把握することが極めて困難と認められる関係会社株式について、関係会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく低下したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除いて、評価損を認識しております。
② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
14ページ 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
16ページ 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況をご参照ください。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
当社グループは2019年3月期から2021年3月期までの中期経営計画「総・想・創」(そう・そう・そう)に基づき、「収益力の強化」「成長力の推進」「株主価値向上」を基本方針とし、「ナカバヤシからの6つの約束」を目標として掲げ、その達成に向けた諸施策を実施してまいりました。
その達成状況については次のとおりです。
(1)基本方針の達成状況
◯「収益力の強化」
ブランドイメージを確立するために、若年層への認知度向上策として頑張る若者を応援する施策をCM制作、イベント協賛、アニメーション映画協賛にて継続して実施し、全世代向け認知度向上策としてスポーツイベントへの協賛やラジオCMを実施しました。また付加価値の高い製品開発に取り組み環境配慮関連、防災関連、働き方改革関連、GIGAスクール構想関連にて成果が上がっております。グループ会社間のシナジー効果も出てきており、当社、日本通信紙㈱及び国際チャート㈱の3社の資産を有効に使い繁閑の平準化も図っております。
◯「成長力の推進」
紙器包装関連事業・シールラベル事業・調光ガラス「N-Smart」・ベッド等寝具事業・図書館指定管理事業など、事業多角化を図り、工場間のシナジー効果も発揮しました。
海外販路の開拓については、大きな成果は得られませんでしたが、筆記具のTACCIAブランドや紙製品のNCLブランドを軸に中国、アジア、北米向けの展示会やWeb商談会を活用して販路開拓を実施しました。
◯「株主価値向上」
成長分野の事業への積極的な投資を実施するとともに、配当性向も30%以上を維持しました。しかしROEは8.5%の目標を掲げておりましたが、実績は6.2%に留まりました。
(2)「ナカバヤシからの6つの約束」の達成状況
◯2021年3月期の売上高660億円、経常利益6%の達成
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 売上高 | 64,054百万円 | 65,309百万円 | 63,644百万円 |
| 経常利益率 | 3.9% | 4.2% | 4.7% |
◯2021年3月期ROE8.5%の達成
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| ROE | 6.8% | 6.6% | 6.2% |
◯有利子負債20%の圧縮の達成
| 基準値 (2018年3月期) | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 有利子負債残高 | 13,332百万円 | 12,931百万円 | 13,306百万円 | 12,219百万円 |
| 基準値比増減額 増減率 | △401百万円 (△3.0%) | △26百万円 (△0.2%) | △1,113百万円 (△8.3%) |
◯配当性向30%~40%の堅持
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 配当性向 | 36.5% | 36.3% | 36.5% |
◯グループの再編、シナジーの創出
2018年4月に連結子会社のカグクロ株式会社が同社の子会社である有限会社マルヨシ民芸家具を吸収合併いたしました。さらに2019年1月には同じく連結子会社のカグクロ株式会社がベッドなどのネット通販を営む株式会社ビックスリーをM&Aにより100%子会社とし、商品や販路の拡充を図りました。
2019年10月には連結子会社の兵庫ナカバヤシ株式会社を吸収合併し、生産面での効率化や採算性の改善に取り組みました。
2020年4月にはパッケージ事業を営む不二工芸印刷株式会社をM&Aにより100%子会社化とし、紙器及び紙製包材のビジネス強化に取り組みました。
2020年10月には連結子会社のフランクリン・プランナー・ジャパン株式会社を吸収合併し、営業力の強化と合理化の推進に取り組みました。
◯多様な働き方の実践
ワークライフバランス促進と、育児休業を取得する方へのサポート体制が認められ、2019年に「くるみん」認証を取得いたしました。また、時間有給休暇・一斉カエルDay(定時退社日)・ジョブリターン制度・サテライトオフィス・フリーアドレス制などを導入いたしました。さらに新型コロナウイルス感染拡大に伴い在宅勤務や時差出勤などを推進し、よりよい働き方で高い成果を追求してまいりました。