四半期報告書-第101期第2四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

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2019/08/07 9:40
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
なお、2018年5月18日に行われたHeart Sync, Inc.との企業結合、2018年6月25日に行われたSequel Special Products, LLCおよびRSS Design, LLCとの企業結合について当第2四半期連結会計期間に確定したため、財政状態の状況については、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いて前連結会計年度末との比較・分析を行っています。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。
(1) 財政状態および経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるグローバル経済情勢は、保護主義的な経済政策やこれに伴う通商摩擦などにより先行きに不透明感が広がり、一部地域において弱さが見られたものの、全体としては緩やかに回復しました。アメリカでは個人消費や設備投資の増加などにより景気の回復が継続し、欧州では一部に弱さが見られるものの緩やかに回復しました。中国では景気は緩やかに減速し、その他のアジア新興国では景気の回復は弱いものとなりました。わが国の経済は、足元では輸出や生産の一部に弱さが見られるものの、景気は緩やかな回復を続けています。
現在、当社グループは事業ポートフォリオの組み換え・最適化による成長を骨子とする第6次中期経営計画(3カ年)を運用しています。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)に加え、モビリティ(自動車)、医療機器、サステナブルパッケージ資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指しています。当第2四半期連結累計期間の業績は、メディカルテクノロジー事業が堅調に推移したものの、ディバイス事業や産業資材事業では製品需要が想定を下回り、生産部門の稼働が低下しました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は731億円(前年同四半期比0.8%増)、利益面ではEBITDAは10億80百万円のマイナス(前年同四半期は1億32百万円のプラス)、営業損失は58億29百万円(前年同四半期は44億76百万円の営業損失)、経常損失は63億87百万円(前年同四半期は59億54百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は75億69百万円(前年同四半期は67億54百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
(注) EBITDAは、営業利益+減価償却費+のれん償却額としています。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材
産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ(自動車)、家電製品、スマートフォンなどに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブルパッケージ資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当第2四半期連結累計期間においては、中国向け需要の減速などにより国内工場の稼働率が低下したほか、一部の海外工場では品質コストの削減に課題が残りました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は235億54百万円(前年同四半期比0.9%増)となり、EBITDAは9億54百万円(前年同四半期比57.7%減)、セグメント損失(営業損失)は9億59百万円(前年同四半期は4億2百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
ディバイス
ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、産業用機器、モビリティ(自動車)に幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当第2四半期連結累計期間においては、スマートフォンの製品需要は当初想定を下回り、生産部門の稼働が低下、事業収益を圧迫しました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は334億66百万円(前年同四半期比4.5%増)となり、EBITDAは20億23百万円のマイナス(前年同四半期は15億98百万円のマイナス)、セグメント損失(営業損失)は35億7百万円(前年同四半期は30億86百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患分野で使われる手術用器具や医療用ウェアラブルセンサーなどを主力製品としており、現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けの受託製造事業(製品設計~開発~製造の一連の工程を手がける事業)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。
当第2四半期連結累計期間においては、主力の受託製造分野を中心に製品需要は堅調に推移しました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は122億85百万円(前年同四半期比23.0%増)となり、EBITDAは12億63百万円(前年同四半期比56.7%増)、セグメント利益(営業利益)は2億72百万円(前年同四半期は24百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーション事業は、出版印刷やアートソリューションなど高精細で高品位な色調再現が活かせる分野に注力しているほか、商業印刷やセールスプロモーション関連のサービスを提供しています。
当第2四半期連結累計期間においては、売上高は2019年1月の事業再編の影響により前年同四半期比で減少しました。また、当第2四半期連結会計期間においては季節要因により需要が減少し、事業収益を圧迫しました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は36億1百万円(前年同四半期比48.5%減)となり、EBITDAは65百万円のマイナス(前年同四半期は1億21百万円のマイナス)、セグメント損失(営業損失)は1億33百万円(前年同四半期は2億45百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当第2四半期連結会計期間末における総資産は1,786億69百万円となり、前連結会計年度末(2018年12月期末)に比べ239億27百万円減少しました。
流動資産は703億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ255億10百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金が50億13百万円、受取手形及び売掛金が119億64百万円、商品及び製品が20億11百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は1,083億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億83百万円増加しました。主な要因は、商標権が1億97百万円、のれんが14億35百万円、顧客関係資産が5億73百万円減少した一方、「第4 経理の状況 1四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更等)」に記載のとおり、当社グループのIFRS適用子会社が第1四半期連結会計期間の期首からIFRS第16号「リース」を適用したことに伴い有形固定資産のその他が15億79百万円増加したこと、および投資有価証券が38億99百万円増加したこと等によるものです。
当第2四半期連結会計期間末における負債は967億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ155億61百万円減少しました。
流動負債は650億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ176億93百万円減少しました。主な要因は、短期借入金が151億24百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が239億56百万円、電子記録債務が27億83百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は316億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億31百万円増加しました。主な要因は、有形固定資産のその他と同様に、当社グループのIFRS適用子会社がIFRS第16号「リース」を適用したことに伴いその他に含まれるリース負債が14億22百万円増加したこと等によるものです。
当第2四半期連結会計期間末における純資産は819億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億65百万円減少しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ50億13百万円減少し、117億43百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は137億29百万円(前年同四半期比40.8%減)となりました。これは主に減価償却費として39億46百万円、売上債権の減少額として115億96百万円、たな卸資産の減少額として27億8百万円計上した一方、税金等調整前四半期純損失として67億55百万円、仕入債務の減少額として264億46百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は44億91百万円(前年同四半期比54.6%減)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得として42億2百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は133億98百万円(前年同四半期比34.1%減)となりました。これは主に短期借入金の純増額として151億53百万円計上したこと等によるものです。
(3) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
株式会社の支配に関する基本方針
Ⅰ. 基本方針の内容
上場会社・公開会社である当社の株式は、自由な取引が認められ、当社は、会社の支配権の移転を伴うような大規模な株式の買付提案またはこれに類似する行為に応じるか否かの判断は、最終的には、株主のみなさまのご意思に基づき行われるべきものであると考えています。従いまして、大規模な株式の買付提案であっても、当社グループの企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
当社では、企業価値や株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるためには、企業理念体系(Nissha Philosophy)を礎とし、未来志向型の企業として常に価値ある製品・サービスを提供することを通じて社会に貢献することが必要不可欠であると考えています。より具体的には、世界に広がる多様な人材能力と情熱を結集し、継続的にコア技術の拡充を図ること、グローバルベースで市場のニーズを捉え、他社にはできないものづくりを通じて付加価値の高い製品・サービスを提供すること、そして人々の豊かな社会を実現することが、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益の確保・向上につながるものと考えています。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、このような基本的な考え方を十分に理解し、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を中・長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えています。
従いまして、上記のような基本的な考え方を十分に理解せず、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資さない不適切な当社株式の大規模な買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えています。
Ⅱ. 基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、創業以来培ってきた印刷技術にさまざまな技術要素を融合させながら常にコア技術の拡充を図り、製品と対象市場の多様化、グローバル市場への進出などを通じて事業領域の拡大を実現してきました。当社グループでは3年の単位で中期経営計画を運用していますが、その基本戦略は事業領域の進化・拡大による事業ポートフォリオの最適化です。
現在、当社グループは第6次中期経営計画を運用しています。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)に加え、自動車、医療機器、高機能パッケージ資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指しています。
当社は創業以来、経営者の強いリーダーシップのもと、経営環境の変化に的確に対応した戦略を実践してきました。当社はこのリーダーシップとともにコーポレートガバナンスを強化することにより、迅速かつ果断な意思決定が促進され、同時に経営の透明性、公正性を確保することができると考え、コーポレートガバナンスを重要な経営課題と認識しています。
当社は、執行役員制度を導入し、取締役会が担うべき戦略策定および経営監視機能と、執行役員が担うべき業務執行機能との分化を図っています。また、取締役会のダイバーシティーを推進し、現在の取締役会は、独立性の高い社外取締役4名を含む取締役9名(社外取締役比率44.4%、女性比率11.1%、外国人比率11.1%)で構成されています。社外取締役は他社での企業経営の経験や製造業での事業経営の経験、コーポレートガバナンス、金融経済全般、法務・コンプライアンスに関する高い見識などから有益な指摘、意見を述べ、取締役会の議論は活性化しています。また、2015年10月には、当社はコーポレートガバナンス基本方針を制定しました。当社はその基本方針に基づき、社外取締役が過半数を占めかつ委員長を務める指名・報酬委員会を設置し、社外取締役の知見を活用することで役員の選任や報酬に関して客観性と公正性の確保を図るとともに、取締役会の実効性評価を年1回実施し、取締役会の機能のさらなる向上に努めています。
当社は、以上の取り組みを継続して実行することによって、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益の確保・向上を実現できるものと考えています。
Ⅲ. 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、2019年3月22日開催の第100期定時株主総会終結の時をもって、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)を廃止していますが、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主のみなさまが適切に判断するために、必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主のみなさまの検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法およびその他関係法令を踏まえながら、適切な措置を講じてまいります。
Ⅳ. 上記の取り組みについての取締役会の判断
上記ⅡおよびⅢの取り組みは、基本方針に従い、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるための施策です。
従いまして、当社取締役会は、上記ⅡおよびⅢの取り組みは、いずれも、基本方針に沿うものであり、株主のみなさまの共同の利益の確保・向上に資するものであり、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は18億19百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。