有価証券報告書-第101期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
※当社グループは当連結会計年度(2019年1月1日から2019年12月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるグローバル経済情勢は、全体としては緩やかに回復したものの、米中間の貿易摩擦を巡る動向や英国のEU離脱懸念などにより先行きに不透明感が広がり、そのテンポは鈍化しました。アメリカでは個人消費の増加などにより景気の回復が継続した一方で、欧州では景気の回復は弱いものとなりました。中国では景気の緩やかな減速が継続し、その他のアジア新興国では景気の回復は弱いものとなりました。わが国の経済は、足元では輸出や生産は弱含んでいるものの、全体として景気は緩やかな回復を続けています。
現在、当社グループは事業ポートフォリオの組み換え・最適化による成長を骨子とする第6次中期経営計画(3カ年)を運用しています。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)に加え、モビリティ(自動車)、医療機器、サステナブルパッケージ資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指しています。当連結会計年度においては、非事業資産となった固定資産の売却により得た資金を元手に、重点市場を対象とした企業買収を実行するなど、事業ポートフォリオの組み換えが着実に進展しました。当連結会計年度の業績は、ディバイス事業では主力のスマートフォン向けの製品需要が年初の想定を大幅に下回ったことに加え、事業環境変化に伴う収益性の低下により非金融資産の減損損失を計上しました。産業資材事業では国内工場の稼働が低下し、一部の海外工場で収益性の改善に課題が残ったことなどに伴い非金融資産の減損損失を計上しました。メディカルテクノロジー事業では製品需要は堅調に推移しました。
これらの結果、当連結会計年度の連結業績は、売上収益は1,740億35百万円(前期比14.8%減)、利益面では営業損失は162億47百万円(前期は69億54百万円の営業利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は171億79百万円(前期は45億23百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材
産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ(自動車)、家電製品、スマートフォンなどに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブルパッケージ資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当連結会計年度においては、中国向けの製品需要の減速などにより国内工場の稼働が低下し、一部の海外工場では収益性の改善に課題が残ったことなどに伴い非金融資産の減損損失を計上しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上収益は462億79百万円(前期比1.4%減)となり、セグメント損失(営業損失)は72億78百万円(前期は18百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
ディバイス
ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、産業用機器、モビリティ(自動車)などに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当連結会計年度においては、製品需要は下半期に入り拡大し事業収益は回復したものの、スマートフォン向けの製品需要は年初の想定を大幅に下回ったことに加え、事業環境変化に伴う収益性の低下により非金融資産の減損損失を計上しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上収益は961億96百万円(前期比21.7%減)となり、セグメント損失(営業損失)は117億69百万円(前期は106億31百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患向けを中心に幅広い分野で使われる低侵襲の手術用器具や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けの受託製造事業(製品設計~開発~製造の一連の工程を手がける事業)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。
当連結会計年度においては、企業買収などの成長戦略に関連した一時費用が発生したものの、主力の受託製造分野を中心に製品需要は堅調に推移しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上収益は240億77百万円(前期比7.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は9億18百万円(前期比24.5%増)となりました。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーション事業は、出版印刷やアートソリューションなど高精細で高品位な色調再現が活かせる分野に注力しているほか、商業印刷やセールスプロモーション関連のサービスを提供しています。
当連結会計年度においては、工場の移転・統合を実施したことにより稼働が一時的に低調になったものの、関西地区に事業基盤を集約し、生産体制の合理化策を実行したことにより収益性が改善しました。加えて、工場移転・統合により非事業資産となった固定資産の売却益を計上しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上収益は69億50百万円(前期比40.5%減)となり、セグメント利益(営業利益)は54億63百万円(前期は12億37百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当連結会計年度末における総資産は1,862億5百万円となり、前連結会計年度末(2018年12月期末)に比べ286億89百万円減少しました。
流動資産は783億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ172億78百万円減少しました。主な要因は、現金及び現金同等物が8億62百万円増加した一方で、営業債権及びその他の債権が47億96百万円、棚卸資産が88億72百万円減少したこと等によるものです。
非流動資産は1,078億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ114億11百万円減少しました。主な要因は、その他の金融資産が50億44百万円増加した一方、有形固定資産が139億17百万円、無形資産が12億15百万円、使用権資産14億13百万円が減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は1,111億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ121億49百万円減少しました。
流動負債は740億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ103億20百万円減少しました。主な要因は、借入金が95億93百万円増加した一方、営業債務及びその他の債務が176億19百万円減少したこと等によるものです。
非流動負債は371億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億29百万円減少しました。主な要因は、繰延税金負債が12億70百万円増加した一方、社債及び借入金が20億75百万円、その他の金融負債が12億52百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における資本は750億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ165億39百万円減少しました。主な要因は、その他の資本の構成要素が21億52百万円増加した一方、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上等により利益剰余金が185億68百万円減少したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ7億42百万円増加し、174億99百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は16億36百万円(前期比71.5%減)となりました。これは税引前損失166億28百万円の計上に対して、主に固定資産除売却損益として42億67百万円、営業債務及びその他の債務の減少額として163億62百万円計上した一方、減価償却費及び償却費として100億67百万円、減損損失として159億17百万円、営業債権及びその他の債権の減少額として49億76百万円、棚卸資産の減少額として86億4百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は49億48百万円(前期比65.2%減)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入として60億68百万円計上した一方、有形固定資産の取得として72億26百万円、子会社又はその他の事業の取得として24億34百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は36億80百万円(前期は39億9百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の返済として104億95百万円、長期借入金の返済として34億3百万円支出した一方、短期借入れによる収入として204億84百万円計上したこと等によるものです。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 金額は、販売価格によっています。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上収益は、前連結会計年度に比べ14.8%減少し1,740億35百万円となりました。このうち、海外売上収益は1,481億94百万円であり、連結売上収益に占める割合は85.2%です。海外売上収益は主として産業資材、ディバイスおよびメディカルテクノロジーによるものです。また、売上原価は前連結会計年度に比べ9.9%減少の1,498億98百万円、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ5.1%減少の276億68百万円となりました。このうち、減価償却費及び償却費は前連結会計年度に比べ2.5%減少の100億67百万円となりました。その他の収益費用については、前連結会計年度は受取保険金などを主としたその他の収益を14億4百万円計上する一方で、固定資産除売却損などを主としたその他の費用を29億56百万円計上したのに対して、当連結会計年度では固定資産売却益を主としたその他の収益を62億円計上する一方で、減損損失を主としたその他の費用を189億17百万円計上しました。
これらの結果、営業損失は162億47百万円(前期は69億54百万円の営業利益)となりました。
なお、セグメント別の経営成績につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
金融収益費用については、前連結会計年度は受取配当金などを主とした金融収益を6億63百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を12億49百万円計上したのに対して、当連結会計年度では為替差益などを主とした金融収益を10億56百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を14億37百万円計上しました。
その結果、税引前損失は166億28百万円(前期は63億67百万円の税引前利益)となりました。
法人所得税費用は前連結会計年度に比べ72.0%減少の5億90百万円を計上しました。
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は171億79百万円(前期は45億23百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。また、基本的1株当たり当期損失は344円19銭(前期は89円79銭の基本的1株当たり当期利益)となりました。
財政状態の分析につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
② 資本の財源および資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの主な資金需要は、事業上必要な運転資金や設備投資、M&Aによる投資です。これらの資金需要については調達規模や調達市場環境に応じて自己資金および金融機関からの借入や社債の発行等により対応します。また、金融コストの最小化と資金効率の向上のため、日本国内のグループ会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、当社への資金フローの集約により一元的な管理を行っています。
③ 経営方針・経営戦略等または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、2018年1月から第6次中期経営計画(2018年度~2020年度)を運用しています。
中期ビジョン(定性的内容)として「バランス経営の完成」を掲げ、主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)に加え、モビリティ(自動車)、医療機器、サステナブルパッケージ資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指しています。
この間、積極的なM&Aの活用により、医療機器においては製品設計・開発能力の拡張、製品ラインアップの拡充を図り、サステナブルパッケージ資材では蒸着紙のシェア拡大などを実現しました。また、産業資材事業とディバイス事業の強みを融合したモビリティ事業推進ユニットを新設し、モビリティ(自動車)市場での事業展開を加速するなど、事業ポートフォリオの組み換えは着実に進んでいます。
中期ビジョン(定量的内容)については、コンシューマー・エレクトロニクス(IT)における市場環境を考慮し、取り下げを決定しました。
なお、新たな中期経営計画につきましては、市場環境および事業環境の変化を勘案したうえで、2021年2月に公表する予定です。
(3) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章および第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりです。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を切り捨てて表示しています。
① 要約連結貸借対照表
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
要約連結包括利益計算書
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
当連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(連結の範囲の変更)
NCI東京㈱、Graphic Controls Acquisition Corp. (Connecticut)、RSS Acquisition Corp.、Blue Shutter Acquisition Corp.、Graphic Controls Acquisition Corp. (Michigan)は新たに設立したことにより、Sequel Special Products, LLCおよびRSS Design, LLCは持分を取得したことにより、それぞれ当連結会計年度より連結の範囲に含めています。
なお、前連結会計年度末において連結子会社であったBio Lead-Lok B,Sp.z o.o.は清算手続を完了したため、当連結会計年度より連結の範囲から除外しています。
(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)
有形固定資産の減価償却方法の変更
有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法については、従来、当社および国内連結子会社は主として定率法、在外連結子会社は定額法を採用していましたが、当連結会計年度より当社および国内連結子会社は定額法に変更しています。当社グループは、当連結会計年度を初年度とする第6次中期経営計画を策定し、これまでに構築した事業基盤を最大限に活用したグローバルベースの成長戦略を実現していくにあたり、当社および国内連結子会社の有形固定資産の稼働状況を検討したところ、設備は安定的に稼働することが見込まれることから、今後は減価償却費を耐用年数期間にわたり均等に費用配分することがより適切であると判断し、定額法に変更したものです。
これにより、従来の方法と比べて、当連結会計年度の営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益はそれぞれ1,739百万円増加しています。
当連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(連結の範囲の変更)
Nissha SB Poland Sp.zo.o.は新たに設立したことにより、ゾンネボード製薬㈱は株式を取得したことにより、それぞれ当連結会計年度より連結の範囲に含めています。
なお、ナイテック印刷㈱は日本写真印刷コミュニケーションズ㈱を存続会社とする吸収合併により消滅したことにより、Vermed, Inc.はGraphic Controls Acquisition Corp.を存続会社とする吸収合併により消滅したことにより、BackStickers Holding B.V.はBack Stickers International B.V.を存続会社とする吸収合併により消滅したことにより、mui Lab㈱、NCI東京㈱、Nissha Flooring Industries Sdn. Bhd.は株式を売却したことにより、それぞれ当連結会計年度より連結の範囲から除外しています。
(会計方針の変更)
「税効果会計に係る会計基準の適用指針」の適用
「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用し、個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異について、予測可能な将来の期間に当該株式の売却等を行う意思がない場合を除き、繰延税金負債を計上する方法へ変更しています。
当該会計方針の変更は遡及適用され、前連結会計年度については遡及適用後の連結財務諸表となっています。
この結果、遡及適用を行う前と比べて、前連結会計年度における連結貸借対照表は、固定負債が683百万円減少し、株主資本が同額増加しています。
なお、この変更による前連結会計年度の連結損益計算書に与える影響はありません。
IFRS第16号「リース」の適用
当社グループのIFRS適用子会社は、当連結会計年度の期首からIFRS第16号「リース」を適用しています。これに伴い、借手のリース取引については、原則すべてのリースについて使用権資産およびリース負債を認識するとともに、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る支払利息を計上しています。
IFRS第16号「リース」の適用にあたっては、経過措置に従っており、過去にオペレーティング・リースに分類していたリースについては、当連結会計年度の期首に使用権資産とリース負債を認識しています。
本基準の適用に伴い、当連結会計年度における連結貸借対照表は、有形固定資産が1,508百万円、流動負債が181百万円、固定負債が1,386百万円それぞれ増加しています。なお、この変更による当連結会計年度の損益、連結キャッシュ・フロー計算書および1株当たり情報に与える影響は軽微です。また、当連結会計年度の期首における純資産に対する影響はありません。
(表示方法の変更)
(「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」の適用に伴う変更)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する方法に変更しました。
この結果、前連結会計年度の連結貸借対照表において、流動資産が955百万円減少し、投資その他の資産が190百万円増加しています。また、流動負債が0百万円減少し、固定負債が765百万円減少しています。
なお、同一納税主体の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺して表示しており、変更前と比べて総資産が765百万円減少しています。
(4) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「41.初度適用」をご参照下さい。
当連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
① のれん
日本基準では一定の期間で償却していますが、IFRSでは償却していません。日本基準におけるのれん償却費は1,593百万円でした。
また、のれんの減損については、日本基準では減損の兆候がある場合に減損の要否の判断を行っており、当連結会計年度において減損損失は計上しませんでした。一方でIFRSでは毎期減損テストを実施しており、当連結会計年度においては1,612百万円の減損損失を計上しました。
この差異が生じた要因はIFRSにおける減損テストでは割引後の将来キャッシュ・フローを用いる一方で、日本基準における減損テストでは減損損失を測定する前に割引前の将来キャッシュ・フローで減損損失の要否を判断するためです。
② 使用権資産およびリース負債
借手のリース取引については、日本基準ではファイナンス・リース取引に該当するものおよび従来よりIFRSを適用していた子会社における取引を除き、発生時に費用処理をしていましたが、IFRSでは原則すべてのリースについて使用権資産およびリース負債を認識するとともに、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る支払利息を計上しています。
この結果、当連結会計年度の連結財政状態計算書において、日本基準で計上していた有形固定資産が2,903百万円、無形固定資産が1百万円、流動負債が394百万円、固定負債が2,727百万円減少する一方で使用権資産を8,041百万円、リース負債(流動)を1,562百万円、リース負債(非流動)を7,926百万円計上しています。
③ 有形固定資産
日本基準では、有形固定資産の減価償却方法について、過去において主として定率法を採用していた期間がありましたが、IFRSでは当初認識時点より定額法を採用しています。
この結果、有形固定資産の減価償却累計額が5,221百万円減少しています。
④ 減損損失
当連結会計年度末において固定資産の減損テストを実施した結果、日本基準における当連結会計年度の減損損失は794百万円だった一方で、IFRSでは、有形固定資産12,927百万円、無形資産168百万円、使用権資産1,209百万円の減損損失を計上しました。
この差異が生じた要因は上記③に記載のとおり有形固定資産のIFRSにおける簿価が日本基準における簿価を上回っていることと、IFRSの減損テストでは割引後の将来キャッシュ・フローを用いる一方で日本基準の減損テストでは減損損失を測定する前に割引前の将来キャッシュ・フローで減損損失の要否を判断するためです。
また、IFRSではこの減損損失の計上に伴う税効果会計の適用により1,093百万円の繰延税金資産を計上しています。なお当該金額は繰延税金負債との相殺前の金額です。
⑤ 表示組替
日本基準において、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失に表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については金融収益、金融費用に表示し、その他の項目についてはその他の収益、その他の費用として表示しています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるグローバル経済情勢は、全体としては緩やかに回復したものの、米中間の貿易摩擦を巡る動向や英国のEU離脱懸念などにより先行きに不透明感が広がり、そのテンポは鈍化しました。アメリカでは個人消費の増加などにより景気の回復が継続した一方で、欧州では景気の回復は弱いものとなりました。中国では景気の緩やかな減速が継続し、その他のアジア新興国では景気の回復は弱いものとなりました。わが国の経済は、足元では輸出や生産は弱含んでいるものの、全体として景気は緩やかな回復を続けています。
現在、当社グループは事業ポートフォリオの組み換え・最適化による成長を骨子とする第6次中期経営計画(3カ年)を運用しています。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)に加え、モビリティ(自動車)、医療機器、サステナブルパッケージ資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指しています。当連結会計年度においては、非事業資産となった固定資産の売却により得た資金を元手に、重点市場を対象とした企業買収を実行するなど、事業ポートフォリオの組み換えが着実に進展しました。当連結会計年度の業績は、ディバイス事業では主力のスマートフォン向けの製品需要が年初の想定を大幅に下回ったことに加え、事業環境変化に伴う収益性の低下により非金融資産の減損損失を計上しました。産業資材事業では国内工場の稼働が低下し、一部の海外工場で収益性の改善に課題が残ったことなどに伴い非金融資産の減損損失を計上しました。メディカルテクノロジー事業では製品需要は堅調に推移しました。
これらの結果、当連結会計年度の連結業績は、売上収益は1,740億35百万円(前期比14.8%減)、利益面では営業損失は162億47百万円(前期は69億54百万円の営業利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は171億79百万円(前期は45億23百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材
産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ(自動車)、家電製品、スマートフォンなどに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブルパッケージ資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当連結会計年度においては、中国向けの製品需要の減速などにより国内工場の稼働が低下し、一部の海外工場では収益性の改善に課題が残ったことなどに伴い非金融資産の減損損失を計上しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上収益は462億79百万円(前期比1.4%減)となり、セグメント損失(営業損失)は72億78百万円(前期は18百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
ディバイス
ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、産業用機器、モビリティ(自動車)などに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当連結会計年度においては、製品需要は下半期に入り拡大し事業収益は回復したものの、スマートフォン向けの製品需要は年初の想定を大幅に下回ったことに加え、事業環境変化に伴う収益性の低下により非金融資産の減損損失を計上しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上収益は961億96百万円(前期比21.7%減)となり、セグメント損失(営業損失)は117億69百万円(前期は106億31百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患向けを中心に幅広い分野で使われる低侵襲の手術用器具や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けの受託製造事業(製品設計~開発~製造の一連の工程を手がける事業)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。
当連結会計年度においては、企業買収などの成長戦略に関連した一時費用が発生したものの、主力の受託製造分野を中心に製品需要は堅調に推移しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上収益は240億77百万円(前期比7.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は9億18百万円(前期比24.5%増)となりました。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーション事業は、出版印刷やアートソリューションなど高精細で高品位な色調再現が活かせる分野に注力しているほか、商業印刷やセールスプロモーション関連のサービスを提供しています。
当連結会計年度においては、工場の移転・統合を実施したことにより稼働が一時的に低調になったものの、関西地区に事業基盤を集約し、生産体制の合理化策を実行したことにより収益性が改善しました。加えて、工場移転・統合により非事業資産となった固定資産の売却益を計上しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上収益は69億50百万円(前期比40.5%減)となり、セグメント利益(営業利益)は54億63百万円(前期は12億37百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当連結会計年度末における総資産は1,862億5百万円となり、前連結会計年度末(2018年12月期末)に比べ286億89百万円減少しました。
流動資産は783億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ172億78百万円減少しました。主な要因は、現金及び現金同等物が8億62百万円増加した一方で、営業債権及びその他の債権が47億96百万円、棚卸資産が88億72百万円減少したこと等によるものです。
非流動資産は1,078億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ114億11百万円減少しました。主な要因は、その他の金融資産が50億44百万円増加した一方、有形固定資産が139億17百万円、無形資産が12億15百万円、使用権資産14億13百万円が減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は1,111億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ121億49百万円減少しました。
流動負債は740億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ103億20百万円減少しました。主な要因は、借入金が95億93百万円増加した一方、営業債務及びその他の債務が176億19百万円減少したこと等によるものです。
非流動負債は371億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億29百万円減少しました。主な要因は、繰延税金負債が12億70百万円増加した一方、社債及び借入金が20億75百万円、その他の金融負債が12億52百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における資本は750億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ165億39百万円減少しました。主な要因は、その他の資本の構成要素が21億52百万円増加した一方、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上等により利益剰余金が185億68百万円減少したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ7億42百万円増加し、174億99百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は16億36百万円(前期比71.5%減)となりました。これは税引前損失166億28百万円の計上に対して、主に固定資産除売却損益として42億67百万円、営業債務及びその他の債務の減少額として163億62百万円計上した一方、減価償却費及び償却費として100億67百万円、減損損失として159億17百万円、営業債権及びその他の債権の減少額として49億76百万円、棚卸資産の減少額として86億4百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は49億48百万円(前期比65.2%減)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入として60億68百万円計上した一方、有形固定資産の取得として72億26百万円、子会社又はその他の事業の取得として24億34百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は36億80百万円(前期は39億9百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の返済として104億95百万円、長期借入金の返済として34億3百万円支出した一方、短期借入れによる収入として204億84百万円計上したこと等によるものです。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
産業資材 | 46,048 | △4.3 |
ディバイス | 87,889 | △29.4 |
メディカルテクノロジー | 23,996 | 6.9 |
情報コミュニケーション | 7,118 | △38.1 |
その他 | 432 | △0.6 |
合計 | 165,484 | △20.1 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 金額は、販売価格によっています。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
産業資材 | 45,748 | 1.3 | 4,291 | △12.2 |
ディバイス | 90,505 | △31.5 | 16,807 | △25.3 |
メディカルテクノロジー | 27,536 | 18.6 | 8,515 | 66.9 |
情報コミュニケーション | 6,868 | △39.2 | 699 | △47.2 |
その他 | 534 | 18.1 | 4 | - |
合計 | 171,192 | △19.3 | 30,318 | △10.3 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
産業資材 | 46,279 | △1.4 |
ディバイス | 96,196 | △21.7 |
メディカルテクノロジー | 24,077 | 7.7 |
情報コミュニケーション | 6,950 | △40.5 |
その他 | 532 | 17.9 |
合計 | 174,035 | △14.8 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
APPLE OPERATIONSおよびそのグループ会社 | 100,819 | 49.4 | 74,200 | 42.6 |
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上収益は、前連結会計年度に比べ14.8%減少し1,740億35百万円となりました。このうち、海外売上収益は1,481億94百万円であり、連結売上収益に占める割合は85.2%です。海外売上収益は主として産業資材、ディバイスおよびメディカルテクノロジーによるものです。また、売上原価は前連結会計年度に比べ9.9%減少の1,498億98百万円、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ5.1%減少の276億68百万円となりました。このうち、減価償却費及び償却費は前連結会計年度に比べ2.5%減少の100億67百万円となりました。その他の収益費用については、前連結会計年度は受取保険金などを主としたその他の収益を14億4百万円計上する一方で、固定資産除売却損などを主としたその他の費用を29億56百万円計上したのに対して、当連結会計年度では固定資産売却益を主としたその他の収益を62億円計上する一方で、減損損失を主としたその他の費用を189億17百万円計上しました。
これらの結果、営業損失は162億47百万円(前期は69億54百万円の営業利益)となりました。
なお、セグメント別の経営成績につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
金融収益費用については、前連結会計年度は受取配当金などを主とした金融収益を6億63百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を12億49百万円計上したのに対して、当連結会計年度では為替差益などを主とした金融収益を10億56百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を14億37百万円計上しました。
その結果、税引前損失は166億28百万円(前期は63億67百万円の税引前利益)となりました。
法人所得税費用は前連結会計年度に比べ72.0%減少の5億90百万円を計上しました。
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は171億79百万円(前期は45億23百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。また、基本的1株当たり当期損失は344円19銭(前期は89円79銭の基本的1株当たり当期利益)となりました。
財政状態の分析につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
② 資本の財源および資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの主な資金需要は、事業上必要な運転資金や設備投資、M&Aによる投資です。これらの資金需要については調達規模や調達市場環境に応じて自己資金および金融機関からの借入や社債の発行等により対応します。また、金融コストの最小化と資金効率の向上のため、日本国内のグループ会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、当社への資金フローの集約により一元的な管理を行っています。
③ 経営方針・経営戦略等または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、2018年1月から第6次中期経営計画(2018年度~2020年度)を運用しています。
中期ビジョン(定性的内容)として「バランス経営の完成」を掲げ、主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)に加え、モビリティ(自動車)、医療機器、サステナブルパッケージ資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指しています。
この間、積極的なM&Aの活用により、医療機器においては製品設計・開発能力の拡張、製品ラインアップの拡充を図り、サステナブルパッケージ資材では蒸着紙のシェア拡大などを実現しました。また、産業資材事業とディバイス事業の強みを融合したモビリティ事業推進ユニットを新設し、モビリティ(自動車)市場での事業展開を加速するなど、事業ポートフォリオの組み換えは着実に進んでいます。
中期ビジョン(定量的内容)については、コンシューマー・エレクトロニクス(IT)における市場環境を考慮し、取り下げを決定しました。
なお、新たな中期経営計画につきましては、市場環境および事業環境の変化を勘案したうえで、2021年2月に公表する予定です。
(3) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章および第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりです。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を切り捨てて表示しています。
① 要約連結貸借対照表
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (2018年12月31日) | 当連結会計年度 (2019年12月31日) | |
資産の部 | ||
流動資産 | 95,859 | 79,587 |
固定資産 | ||
有形固定資産 | 54,225 | 54,921 |
無形固定資産 | 36,228 | 34,486 |
投資その他の資産 | 16,284 | 21,639 |
固定資産合計 | 106,737 | 111,047 |
資産合計 | 202,596 | 190,634 |
負債の部 | ||
流動負債 | 82,709 | 73,617 |
固定負債 | 29,560 | 30,761 |
負債合計 | 112,270 | 104,378 |
純資産の部 | ||
株主資本 | 79,861 | 73,360 |
その他の包括利益累計額 | 10,347 | 12,901 |
非支配株主持分 | 118 | △6 |
純資産合計 | 90,326 | 86,255 |
負債純資産合計 | 202,596 | 190,634 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | |
売上高 | 207,404 | 173,189 |
売上原価 | 170,113 | 149,254 |
売上総利益 | 37,291 | 23,935 |
販売費及び一般管理費 | 29,210 | 28,242 |
営業利益又は営業損失(△) | 8,080 | △4,307 |
営業外収益 | 607 | 1,062 |
営業外費用 | 1,308 | 1,452 |
経常利益又は経常損失(△) | 7,380 | △4,696 |
特別利益 | 1,270 | 6,283 |
特別損失 | 2,552 | 3,801 |
税金等調整前当期純利益又は 税金等調整前当期純損失(△) | 6,097 | △2,213 |
法人税等 | 1,911 | 1,916 |
当期純利益又は当期純損失(△) | 4,186 | △4,129 |
非支配株主に帰属する当期純利益又は 非支配株主に帰属する当期純損失(△) | △131 | 1 |
親会社株主に帰属する当期純利益又は 親会社株主に帰属する当期純損失(△) | 4,318 | △4,131 |
要約連結包括利益計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | |
当期純利益又は当期純損失(△) | 4,186 | △4,129 |
その他の包括利益合計 | △5,611 | 2,522 |
包括利益 | △1,424 | △1,607 |
(内訳) | ||
親会社株主に係る包括利益 | △1,293 | △1,606 |
非支配株主に係る包括利益 | △131 | △1 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(単位:百万円) | ||||
株主資本 | その他の 包括利益累計額 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
当期首残高 | 77,856 | 15,958 | 239 | 94,054 |
会計方針の変更による累積的影響額 | 683 | 683 | ||
会計方針の変更を反映した当期首残高 | 78,540 | 15,958 | 239 | 94,738 |
当期変動額 | 1,320 | △5,611 | △121 | △4,411 |
当期末残高 | 79,861 | 10,347 | 118 | 90,326 |
当連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(単位:百万円) | ||||
株主資本 | その他の 包括利益累計額 | 非支配株主持分 | 純資産合計 | |
当期首残高 | 79,861 | 10,347 | 118 | 90,326 |
会計方針の変更による累積的影響額 | - | - | ||
会計方針の変更を反映した当期首残高 | 79,861 | 10,347 | 118 | 90,326 |
当期変動額 | △6,500 | 2,554 | △124 | △4,070 |
当期末残高 | 73,360 | 12,901 | △6 | 86,255 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 4,232 | 164 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △14,181 | △4,873 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △2,448 | 5,077 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △136 | 373 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △12,533 | 742 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 29,291 | 16,757 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 16,757 | 17,499 |
⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
(連結の範囲の変更)
NCI東京㈱、Graphic Controls Acquisition Corp. (Connecticut)、RSS Acquisition Corp.、Blue Shutter Acquisition Corp.、Graphic Controls Acquisition Corp. (Michigan)は新たに設立したことにより、Sequel Special Products, LLCおよびRSS Design, LLCは持分を取得したことにより、それぞれ当連結会計年度より連結の範囲に含めています。
なお、前連結会計年度末において連結子会社であったBio Lead-Lok B,Sp.z o.o.は清算手続を完了したため、当連結会計年度より連結の範囲から除外しています。
(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)
有形固定資産の減価償却方法の変更
有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法については、従来、当社および国内連結子会社は主として定率法、在外連結子会社は定額法を採用していましたが、当連結会計年度より当社および国内連結子会社は定額法に変更しています。当社グループは、当連結会計年度を初年度とする第6次中期経営計画を策定し、これまでに構築した事業基盤を最大限に活用したグローバルベースの成長戦略を実現していくにあたり、当社および国内連結子会社の有形固定資産の稼働状況を検討したところ、設備は安定的に稼働することが見込まれることから、今後は減価償却費を耐用年数期間にわたり均等に費用配分することがより適切であると判断し、定額法に変更したものです。
これにより、従来の方法と比べて、当連結会計年度の営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益はそれぞれ1,739百万円増加しています。
当連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(連結の範囲の変更)
Nissha SB Poland Sp.zo.o.は新たに設立したことにより、ゾンネボード製薬㈱は株式を取得したことにより、それぞれ当連結会計年度より連結の範囲に含めています。
なお、ナイテック印刷㈱は日本写真印刷コミュニケーションズ㈱を存続会社とする吸収合併により消滅したことにより、Vermed, Inc.はGraphic Controls Acquisition Corp.を存続会社とする吸収合併により消滅したことにより、BackStickers Holding B.V.はBack Stickers International B.V.を存続会社とする吸収合併により消滅したことにより、mui Lab㈱、NCI東京㈱、Nissha Flooring Industries Sdn. Bhd.は株式を売却したことにより、それぞれ当連結会計年度より連結の範囲から除外しています。
(会計方針の変更)
「税効果会計に係る会計基準の適用指針」の適用
「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用し、個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異について、予測可能な将来の期間に当該株式の売却等を行う意思がない場合を除き、繰延税金負債を計上する方法へ変更しています。
当該会計方針の変更は遡及適用され、前連結会計年度については遡及適用後の連結財務諸表となっています。
この結果、遡及適用を行う前と比べて、前連結会計年度における連結貸借対照表は、固定負債が683百万円減少し、株主資本が同額増加しています。
なお、この変更による前連結会計年度の連結損益計算書に与える影響はありません。
IFRS第16号「リース」の適用
当社グループのIFRS適用子会社は、当連結会計年度の期首からIFRS第16号「リース」を適用しています。これに伴い、借手のリース取引については、原則すべてのリースについて使用権資産およびリース負債を認識するとともに、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る支払利息を計上しています。
IFRS第16号「リース」の適用にあたっては、経過措置に従っており、過去にオペレーティング・リースに分類していたリースについては、当連結会計年度の期首に使用権資産とリース負債を認識しています。
本基準の適用に伴い、当連結会計年度における連結貸借対照表は、有形固定資産が1,508百万円、流動負債が181百万円、固定負債が1,386百万円それぞれ増加しています。なお、この変更による当連結会計年度の損益、連結キャッシュ・フロー計算書および1株当たり情報に与える影響は軽微です。また、当連結会計年度の期首における純資産に対する影響はありません。
(表示方法の変更)
(「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」の適用に伴う変更)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する方法に変更しました。
この結果、前連結会計年度の連結貸借対照表において、流動資産が955百万円減少し、投資その他の資産が190百万円増加しています。また、流動負債が0百万円減少し、固定負債が765百万円減少しています。
なお、同一納税主体の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺して表示しており、変更前と比べて総資産が765百万円減少しています。
(4) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
前連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「41.初度適用」をご参照下さい。
当連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
① のれん
日本基準では一定の期間で償却していますが、IFRSでは償却していません。日本基準におけるのれん償却費は1,593百万円でした。
また、のれんの減損については、日本基準では減損の兆候がある場合に減損の要否の判断を行っており、当連結会計年度において減損損失は計上しませんでした。一方でIFRSでは毎期減損テストを実施しており、当連結会計年度においては1,612百万円の減損損失を計上しました。
この差異が生じた要因はIFRSにおける減損テストでは割引後の将来キャッシュ・フローを用いる一方で、日本基準における減損テストでは減損損失を測定する前に割引前の将来キャッシュ・フローで減損損失の要否を判断するためです。
② 使用権資産およびリース負債
借手のリース取引については、日本基準ではファイナンス・リース取引に該当するものおよび従来よりIFRSを適用していた子会社における取引を除き、発生時に費用処理をしていましたが、IFRSでは原則すべてのリースについて使用権資産およびリース負債を認識するとともに、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る支払利息を計上しています。
この結果、当連結会計年度の連結財政状態計算書において、日本基準で計上していた有形固定資産が2,903百万円、無形固定資産が1百万円、流動負債が394百万円、固定負債が2,727百万円減少する一方で使用権資産を8,041百万円、リース負債(流動)を1,562百万円、リース負債(非流動)を7,926百万円計上しています。
③ 有形固定資産
日本基準では、有形固定資産の減価償却方法について、過去において主として定率法を採用していた期間がありましたが、IFRSでは当初認識時点より定額法を採用しています。
この結果、有形固定資産の減価償却累計額が5,221百万円減少しています。
④ 減損損失
当連結会計年度末において固定資産の減損テストを実施した結果、日本基準における当連結会計年度の減損損失は794百万円だった一方で、IFRSでは、有形固定資産12,927百万円、無形資産168百万円、使用権資産1,209百万円の減損損失を計上しました。
この差異が生じた要因は上記③に記載のとおり有形固定資産のIFRSにおける簿価が日本基準における簿価を上回っていることと、IFRSの減損テストでは割引後の将来キャッシュ・フローを用いる一方で日本基準の減損テストでは減損損失を測定する前に割引前の将来キャッシュ・フローで減損損失の要否を判断するためです。
また、IFRSではこの減損損失の計上に伴う税効果会計の適用により1,093百万円の繰延税金資産を計上しています。なお当該金額は繰延税金負債との相殺前の金額です。
⑤ 表示組替
日本基準において、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失に表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については金融収益、金融費用に表示し、その他の項目についてはその他の収益、その他の費用として表示しています。