有価証券報告書-第102期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
2019年11月25日に行われたゾンネボード製薬㈱との企業結合に係る暫定的な会計処理について第2四半期連結会計期間に確定したため、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いて前連結会計年度との比較・分析を行っています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるグローバル経済情勢は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響により、先行きに不透明さが残る厳しいものとなりました。アメリカやヨーロッパでは、停滞した経済活動は徐々に再開を果たしたものの、COVID-19の再拡大が重石となり、景気回復の動きは鈍いものとなりました。中国では経済活動の大幅な縮小が生じた後、景気の回復基調が持続しました。わが国の経済については、緊急事態宣言の解除後、経済活動の再開と主に国外の需要回復に伴い、景気持ち直しの動きが見られました。
当社グループは、2018年1月から運用を開始した第6次中期経営計画において、事業ポートフォリオの組み換え・最適化による成長を志向してきました。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT機器)に加え、モビリティ(自動車・輸送機器)、医療機器、サステナブル資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指してまいりました。
当連結会計年度は第6次中期経営計画の最終年度となりましたが、主にIT機器市場における事業環境の変化に備えて収益力強化策を実行するなど、収益性の改善に取り組んだ一方で、医療機器市場やサステナブル資材市場において企業買収による事業拠点の拡張や製品群の拡充を果たしました。
当連結会計年度の業績につきましては、COVID-19の影響により一部の製品需要は減少したものの、ディバイス事業のIT機器向けの製品需要は年初の想定を大きく上回り、産業資材事業のモビリティ向けの製品需要はCOVID-19の影響による低迷から下半期に入り回復基調に転じました。上半期は収益力強化策に関連する一時的な費用が発生したものの、その効果や製品需要の増加の影響、安定的な需要継続による生産効率性の向上などにより、通期の営業利益は大幅に改善しました。
これらの結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は1,800億6百万円(前期比3.4%増)、利益面では営業利益は72億90百万円(前期は162億53百万円の営業損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は70億69百万円(前期は171億83百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材
産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ、家電製品などに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブル資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当連結会計年度においては、加飾分野のモビリティ向けの製品需要がCOVID-19の影響による大幅な減少から、下半期に入り回復基調に転じました。また、サステナブル資材である蒸着紙の分野で企業買収による事業拠点の拡張を実現しました。製品需要の増加の影響に加え、収益力強化策の効果などにより、営業利益は黒字に転じました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は488億58百万円(前期比5.6%増)となり、セグメント利益(営業利益)は8億69百万円(前期は72億78百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
ディバイス
ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、産業用端末(物流関連)、モビリティなどに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当連結会計年度においては、主力のスマートフォンおよびタブレット向けの製品需要は年初の想定を大幅に上回り、ゲーム機や産業用端末向けの製品需要は堅調に推移しました。上半期は収益力強化策に関連する一時的な費用が発生したものの、その効果や製品需要の増加の影響、安定的な需要継続による生産効率性の向上などにより、通期の営業利益は大幅に改善しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は1,027億8百万円(前期比6.8%増)となり、セグメント利益(営業利益)は101億31百万円(前期は117億69百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患向けを中心に幅広い分野で使われる低侵襲治療用の手術機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けの開発製造受託(CDMO)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。
当連結会計年度においては、COVID-19の影響により、自社ブランド品の医療用電極やフェースシールドなどの個人用防護具の需要が増加し、CDMOの待機的手術向けの製品需要の減少を吸収しました。また、商業施設向けなどのビジネスメディアの製品需要はCOVID-19の影響により減少した後、緩やかに持ち直しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は205億68百万円(前期比14.6%減)となり、セグメント利益(営業利益)は9億89百万円(前期比7.7%増)となりました。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーション事業は、出版印刷やアートソリューションなど高精細で高品位な色調再現が活かせる分野に注力しているほか、商業印刷やセールスプロモーション関連のサービスを提供しています。
当連結会計年度においては、COVID-19の影響により、商業印刷の製品需要が減少しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は62億33百万円(前期比10.3%減)となり、セグメント損失(営業損失)は3億77百万円(前期は54億63百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
当連結会計年度末における総資産は1,997億26百万円となり、前連結会計年度末(2019年12月期末)に比べ129億63百万円増加しました。
流動資産は926億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ142億49百万円増加しました。主な要因は、現金及び現金同等物が75億67百万円、営業債権及びその他の債権が34億36百万円、棚卸資産が40億19百万円増加したこと等によるものです。
非流動資産は1,071億円となり、前連結会計年度末に比べ12億86百万円減少しました。主な要因は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動および売却等により、その他の金融資産が27億60百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は1,176億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億84百万円増加しました。
流動負債は842億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ101億83百万円増加しました。主な要因は、営業債務及びその他の債務が49億2百万円、未払法人所得税等が17億70百万円、その他の流動負債が23億99百万円増加したこと等によるものです。
非流動負債は333億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ42億98百万円減少しました。主な要因は、社債及び借入金が53億67百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における資本は820億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ70億78百万円増加しました。主な要因は、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動額の減少等により、その他の資本の構成要素が26億41百万円減少した一方、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却および親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により、利益剰余金が96億15百万円増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ75億67百万円増加し、250億67百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は146億83百万円(前期比797.2%増)となりました。これは税引前利益70億51百万円の計上に対して、主に営業債権及びその他の債権の増加額として24億44百万円、棚卸資産の増加額として27億60百万円計上した一方、減価償却費及び償却費として84億30百万円、営業債務及びその他の債務の増加額として21億29百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は13億94百万円(前期比71.8%減)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入として61億10百万円計上した一方、有形固定資産の取得による支出として52億97百万円、子会社又はその他の事業の取得による支出として31億52百万円計上したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は59億97百万円(前期は36億80百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入れによる収入として118億64百万円計上した一方、短期借入金の返済による支出として151億90百万円、長期借入金の返済による支出として24億10百万円、親会社の所有者への配当金の支払として17億46百万円計上したこと等によるものです。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 金額は、販売価格によっています。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上高は、前連結会計年度に比べ3.4%増加し1,800億6百万円となりました。このうち、海外売上高は1,544億12百万円であり、連結売上高に占める割合は85.8%です。海外売上高は主として産業資材、ディバイスおよびメディカルテクノロジーによるものです。また、売上原価は前連結会計年度に比べ4.5%減少の1,431億95百万円、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ6.1%減少の259億88百万円となりました。売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費及び償却費は前連結会計年度に比べ16.3%減少の84億30百万円となりました。その他の収益費用については、前連結会計年度は固定資産売却益などを主としたその他の収益を62億円計上する一方で、減損損失などを主としたその他の費用を189億17百万円計上したのに対して、当連結会計年度では負ののれん発生益を主としたその他の収益を17億25百万円計上する一方で、事業構造改善費用を主としたその他の費用を52億14百万円計上しました。
これらの結果、営業利益は72億90百万円(前期は162億53百万円の営業損失)となりました。
なお、セグメント別の経営成績につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
金融収益費用については、前連結会計年度は為替差益などを主とした金融収益を10億56百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を14億37百万円計上したのに対して、当連結会計年度では受取配当金などを主とした金融収益を8億91百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を11億30百万円計上しました。
その結果、税引前利益は70億51百万円(前期は166億34百万円の税引前損失)となりました。
法人所得税費用は、前連結会計年度では588百万円計上したのに対して、当連結会計年度では税効果会計の適用などの影響から18百万円のマイナスを計上しました。
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は70億69百万円(前期は171億83百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。また、基本的1株当たり当期利益は141円50銭(前期は344円27銭の基本的1株当たり当期損失)となりました。
財政状態の分析につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
② 資本の財源および資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの主な資金需要は、事業上必要な運転資金や設備投資、M&Aによる投資です。これらの資金需要については調達規模や調達市場環境に応じて自己資金および金融機関からの借入や社債の発行等により対応します。また、金融コストの最小化と資金効率の向上のため、日本国内のグループ会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、当社への資金フローの集約により一元的な管理を行っています。
③ 経営方針・経営戦略等または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、2018年1月から運用を開始した第6次中期経営計画において、事業ポートフォリオの組み換え・最適化による成長を志向してきました。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT機器)に加え、モビリティ(自動車・輸送機器)、医療機器、サステナブル資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指してまいりました。
この間、医療機器市場およびサステナブル資材市場において積極的なM&A戦略により事業拠点の拡張や製品群の拡充を実現し、またモビリティ市場向けにはフィルムタッチセンサーの供給を開始するなど、成長戦略を推進した重点市場において事業基盤の進展がありました。一方、IT機器市場においては、製品需要の大きな季節性変動や、技術トレンドの移行などによる製品需要の減少に対し、収益性・効率性の改善および維持に努めました。
なお、第6次中期経営計画の中期ビジョン(定量的内容)については、IT機器の市場環境を考慮し、2020年2月に取り下げました。
なお、第6次中期経営計画の最終年度である2020年12月期の連結業績は、売上高は1,800億6百万円、営業利益は72億90百万円、ROEは9.0%、営業活動によるキャッシュ・フローは146億83百万円となりました。
2021年1月から運用を開始した第7次中期経営計画では、これまでに獲得・構築したグローバルベースの事業基盤を最大限に活用し、シナジーの最大化による成長基盤の確立を目指します。医療機器、モビリティ、サステナブル資材などの市場においては、社会課題の解決に資する製品群・サービスの拡充による成長を目指します。IT機器市場においては製品需要の減少局面を迎えますが、収益性・効率性を追求します。
第7次中期経営計画の骨子は以下のとおりです。
1.中期ビジョン(定性的内容)
「グローバルシナジーの最大化による成長基盤の確立」
2.中期ビジョン(定量的内容)
2023年12月期に目指す主要な連結業績のビジョンは以下のとおりです。
※ 上記ビジョンについては有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(4)重要な会計上の判断および見積りを伴う判断」に記載しています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるグローバル経済情勢は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響により、先行きに不透明さが残る厳しいものとなりました。アメリカやヨーロッパでは、停滞した経済活動は徐々に再開を果たしたものの、COVID-19の再拡大が重石となり、景気回復の動きは鈍いものとなりました。中国では経済活動の大幅な縮小が生じた後、景気の回復基調が持続しました。わが国の経済については、緊急事態宣言の解除後、経済活動の再開と主に国外の需要回復に伴い、景気持ち直しの動きが見られました。
当社グループは、2018年1月から運用を開始した第6次中期経営計画において、事業ポートフォリオの組み換え・最適化による成長を志向してきました。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT機器)に加え、モビリティ(自動車・輸送機器)、医療機器、サステナブル資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指してまいりました。
当連結会計年度は第6次中期経営計画の最終年度となりましたが、主にIT機器市場における事業環境の変化に備えて収益力強化策を実行するなど、収益性の改善に取り組んだ一方で、医療機器市場やサステナブル資材市場において企業買収による事業拠点の拡張や製品群の拡充を果たしました。
当連結会計年度の業績につきましては、COVID-19の影響により一部の製品需要は減少したものの、ディバイス事業のIT機器向けの製品需要は年初の想定を大きく上回り、産業資材事業のモビリティ向けの製品需要はCOVID-19の影響による低迷から下半期に入り回復基調に転じました。上半期は収益力強化策に関連する一時的な費用が発生したものの、その効果や製品需要の増加の影響、安定的な需要継続による生産効率性の向上などにより、通期の営業利益は大幅に改善しました。
これらの結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は1,800億6百万円(前期比3.4%増)、利益面では営業利益は72億90百万円(前期は162億53百万円の営業損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は70億69百万円(前期は171億83百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材
産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ、家電製品などに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブル資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当連結会計年度においては、加飾分野のモビリティ向けの製品需要がCOVID-19の影響による大幅な減少から、下半期に入り回復基調に転じました。また、サステナブル資材である蒸着紙の分野で企業買収による事業拠点の拡張を実現しました。製品需要の増加の影響に加え、収益力強化策の効果などにより、営業利益は黒字に転じました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は488億58百万円(前期比5.6%増)となり、セグメント利益(営業利益)は8億69百万円(前期は72億78百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
ディバイス
ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、産業用端末(物流関連)、モビリティなどに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当連結会計年度においては、主力のスマートフォンおよびタブレット向けの製品需要は年初の想定を大幅に上回り、ゲーム機や産業用端末向けの製品需要は堅調に推移しました。上半期は収益力強化策に関連する一時的な費用が発生したものの、その効果や製品需要の増加の影響、安定的な需要継続による生産効率性の向上などにより、通期の営業利益は大幅に改善しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は1,027億8百万円(前期比6.8%増)となり、セグメント利益(営業利益)は101億31百万円(前期は117億69百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患向けを中心に幅広い分野で使われる低侵襲治療用の手術機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けの開発製造受託(CDMO)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。
当連結会計年度においては、COVID-19の影響により、自社ブランド品の医療用電極やフェースシールドなどの個人用防護具の需要が増加し、CDMOの待機的手術向けの製品需要の減少を吸収しました。また、商業施設向けなどのビジネスメディアの製品需要はCOVID-19の影響により減少した後、緩やかに持ち直しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は205億68百万円(前期比14.6%減)となり、セグメント利益(営業利益)は9億89百万円(前期比7.7%増)となりました。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーション事業は、出版印刷やアートソリューションなど高精細で高品位な色調再現が活かせる分野に注力しているほか、商業印刷やセールスプロモーション関連のサービスを提供しています。
当連結会計年度においては、COVID-19の影響により、商業印刷の製品需要が減少しました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は62億33百万円(前期比10.3%減)となり、セグメント損失(営業損失)は3億77百万円(前期は54億63百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
当連結会計年度末における総資産は1,997億26百万円となり、前連結会計年度末(2019年12月期末)に比べ129億63百万円増加しました。
流動資産は926億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ142億49百万円増加しました。主な要因は、現金及び現金同等物が75億67百万円、営業債権及びその他の債権が34億36百万円、棚卸資産が40億19百万円増加したこと等によるものです。
非流動資産は1,071億円となり、前連結会計年度末に比べ12億86百万円減少しました。主な要因は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動および売却等により、その他の金融資産が27億60百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は1,176億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億84百万円増加しました。
流動負債は842億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ101億83百万円増加しました。主な要因は、営業債務及びその他の債務が49億2百万円、未払法人所得税等が17億70百万円、その他の流動負債が23億99百万円増加したこと等によるものです。
非流動負債は333億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ42億98百万円減少しました。主な要因は、社債及び借入金が53億67百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における資本は820億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ70億78百万円増加しました。主な要因は、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動額の減少等により、その他の資本の構成要素が26億41百万円減少した一方、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却および親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により、利益剰余金が96億15百万円増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ75億67百万円増加し、250億67百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は146億83百万円(前期比797.2%増)となりました。これは税引前利益70億51百万円の計上に対して、主に営業債権及びその他の債権の増加額として24億44百万円、棚卸資産の増加額として27億60百万円計上した一方、減価償却費及び償却費として84億30百万円、営業債務及びその他の債務の増加額として21億29百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は13億94百万円(前期比71.8%減)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入として61億10百万円計上した一方、有形固定資産の取得による支出として52億97百万円、子会社又はその他の事業の取得による支出として31億52百万円計上したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は59億97百万円(前期は36億80百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入れによる収入として118億64百万円計上した一方、短期借入金の返済による支出として151億90百万円、長期借入金の返済による支出として24億10百万円、親会社の所有者への配当金の支払として17億46百万円計上したこと等によるものです。
③ 生産、受注および販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 産業資材 | 48,491 | 5.3 |
| ディバイス | 105,901 | 20.5 |
| メディカルテクノロジー | 20,735 | △13.6 |
| 情報コミュニケーション | 6,170 | △13.3 |
| その他 | 1,729 | 300.1 |
| 合計 | 183,026 | 10.6 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 金額は、販売価格によっています。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 産業資材 | 51,009 | 11.5 | 7,160 | 66.9 |
| ディバイス | 108,807 | 20.2 | 22,907 | 36.3 |
| メディカルテクノロジー | 18,682 | △32.2 | 6,749 | △20.7 |
| 情報コミュニケーション | 6,159 | △10.3 | 639 | △8.5 |
| その他 | 1,635 | 206.2 | 0 | △90.4 |
| 合計 | 186,294 | 8.8 | 37,457 | 23.5 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 産業資材 | 48,858 | 5.6 |
| ディバイス | 102,708 | 6.8 |
| メディカルテクノロジー | 20,568 | △14.6 |
| 情報コミュニケーション | 6,233 | △10.3 |
| その他 | 1,636 | 207.2 |
| 合計 | 180,006 | 3.4 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| APPLE OPERATIONS LIMITEDおよびそのグループ会社 | 74,200 | 42.6 | 79,357 | 44.1 |
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上高は、前連結会計年度に比べ3.4%増加し1,800億6百万円となりました。このうち、海外売上高は1,544億12百万円であり、連結売上高に占める割合は85.8%です。海外売上高は主として産業資材、ディバイスおよびメディカルテクノロジーによるものです。また、売上原価は前連結会計年度に比べ4.5%減少の1,431億95百万円、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ6.1%減少の259億88百万円となりました。売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費及び償却費は前連結会計年度に比べ16.3%減少の84億30百万円となりました。その他の収益費用については、前連結会計年度は固定資産売却益などを主としたその他の収益を62億円計上する一方で、減損損失などを主としたその他の費用を189億17百万円計上したのに対して、当連結会計年度では負ののれん発生益を主としたその他の収益を17億25百万円計上する一方で、事業構造改善費用を主としたその他の費用を52億14百万円計上しました。
これらの結果、営業利益は72億90百万円(前期は162億53百万円の営業損失)となりました。
なお、セグメント別の経営成績につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
金融収益費用については、前連結会計年度は為替差益などを主とした金融収益を10億56百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を14億37百万円計上したのに対して、当連結会計年度では受取配当金などを主とした金融収益を8億91百万円計上する一方で、支払利息などを主とした金融費用を11億30百万円計上しました。
その結果、税引前利益は70億51百万円(前期は166億34百万円の税引前損失)となりました。
法人所得税費用は、前連結会計年度では588百万円計上したのに対して、当連結会計年度では税効果会計の適用などの影響から18百万円のマイナスを計上しました。
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は70億69百万円(前期は171億83百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。また、基本的1株当たり当期利益は141円50銭(前期は344円27銭の基本的1株当たり当期損失)となりました。
財政状態の分析につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
② 資本の財源および資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの主な資金需要は、事業上必要な運転資金や設備投資、M&Aによる投資です。これらの資金需要については調達規模や調達市場環境に応じて自己資金および金融機関からの借入や社債の発行等により対応します。また、金融コストの最小化と資金効率の向上のため、日本国内のグループ会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、当社への資金フローの集約により一元的な管理を行っています。
③ 経営方針・経営戦略等または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、2018年1月から運用を開始した第6次中期経営計画において、事業ポートフォリオの組み換え・最適化による成長を志向してきました。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT機器)に加え、モビリティ(自動車・輸送機器)、医療機器、サステナブル資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指してまいりました。
この間、医療機器市場およびサステナブル資材市場において積極的なM&A戦略により事業拠点の拡張や製品群の拡充を実現し、またモビリティ市場向けにはフィルムタッチセンサーの供給を開始するなど、成長戦略を推進した重点市場において事業基盤の進展がありました。一方、IT機器市場においては、製品需要の大きな季節性変動や、技術トレンドの移行などによる製品需要の減少に対し、収益性・効率性の改善および維持に努めました。
なお、第6次中期経営計画の中期ビジョン(定量的内容)については、IT機器の市場環境を考慮し、2020年2月に取り下げました。
なお、第6次中期経営計画の最終年度である2020年12月期の連結業績は、売上高は1,800億6百万円、営業利益は72億90百万円、ROEは9.0%、営業活動によるキャッシュ・フローは146億83百万円となりました。
2021年1月から運用を開始した第7次中期経営計画では、これまでに獲得・構築したグローバルベースの事業基盤を最大限に活用し、シナジーの最大化による成長基盤の確立を目指します。医療機器、モビリティ、サステナブル資材などの市場においては、社会課題の解決に資する製品群・サービスの拡充による成長を目指します。IT機器市場においては製品需要の減少局面を迎えますが、収益性・効率性を追求します。
第7次中期経営計画の骨子は以下のとおりです。
1.中期ビジョン(定性的内容)
「グローバルシナジーの最大化による成長基盤の確立」
2.中期ビジョン(定量的内容)
2023年12月期に目指す主要な連結業績のビジョンは以下のとおりです。
| ROE | 9%以上 |
| 営業キャッシュ・フロー (3年間累計) | 435億円 |
| 売上高 | 1,950億円 |
| 営業利益 | 120億円 |
※ 上記ビジョンについては有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(4)重要な会計上の判断および見積りを伴う判断」に記載しています。