四半期報告書-第102期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

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2020/08/07 9:34
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
なお、当社グループは、前連結会計年度末よりIFRSに準拠した連結財務諸表を開示しており、前第2四半期連結累計期間の数値もIFRSベースに組み替えて比較・分析を行っています。
また、2019年11月25日に行われたゾンネボード製薬㈱との企業結合について当第2四半期連結会計期間に確定したため、財政状態については、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いて前連結会計年度末との比較・分析を行っています。
(1) 財政状態および経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるグローバル経済情勢は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の影響により景気は減速したのち、持ち直しに向かう動きが見られました。アメリカやヨーロッパでは休業・移動制限・入国制限措置などにより経済活動が抑制され、景気は極めて厳しい状況になりましたが、徐々に再開に向かいました。中国では経済活動の大幅な縮小が生じた後、回復基調に転じました。わが国の経済については、景気が下押しされ厳しい状況となり緊急事態宣言の解除後も回復の足取りは限定的となっています。
現在、当社グループは事業ポートフォリオの組み換え・最適化による成長を骨子とする第6次中期経営計画(3カ年)を運用しています。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)に加え、モビリティ(自動車・輸送機器)、医療機器、サステナブルパッケージ資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指しています。当第2四半期連結累計期間においては、COVID-19の影響により、産業資材事業のモビリティ向けの製品需要やメディカルテクノロジー事業の待機的手術の機器やビジネスメディアの製品需要が減少したものの、ディバイス事業のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)やゲーム機、産業用端末(物流関連)向けの製品需要が堅調に推移しました。収益力強化策にかかわる一時費用などを計上した一方で、ディバイス事業の製品需要の増加の影響やコスト改善の効果などにより、営業損失は想定よりも大幅に縮小しました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は771億64百万円(前年同四半期比3.7%増)、利益面では営業損失は12億42百万円(前年同四半期は63億51百万円の営業損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は2億45百万円(前年同四半期は67億99百万円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材
産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ(自動車・輸送機器)、家電製品、スマートフォンなどに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブルパッケージ資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当第2四半期連結累計期間においては、COVID-19の影響により、加飾分野のモビリティ向けの製品需要が減少したことに加え、蒸着紙の北米市場における商業向けなどの製品需要が低迷しました。収益力強化策の一時費用を計上した一方で、製品ミックスや工場の生産性向上などにより、営業損失は想定よりも縮小しました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は224億13百万円(前年同四半期比3.7%減)となり、セグメント損失(営業損失)は7億27百万円(前年同四半期は13億75百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
ディバイス
ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、産業用端末(物流関連)、モビリティ(自動車・輸送機器)などに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当第2四半期連結累計期間においては、COVID-19の影響により、主力のスマートフォンおよびタブレット向けに加えて、ゲーム機や産業用端末(物流関連)向けの製品需要が堅調に推移しました。収益力強化策などの一時費用を計上した一方で、製品需要の増加の影響やコスト改善の効果などにより、営業損益は黒字に転じました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は405億90百万円(前年同四半期比15.0%増)となり、セグメント利益(営業利益)は11億16百万円(前年同四半期は45億56百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患向けを中心に幅広い分野で使われる低侵襲の手術用機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けの受託製造事業(製品設計~開発~製造の一連の工程を手がける事業)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。
当第2四半期連結累計期間においては、COVID-19の影響により、医療用電極やフェースシールドなどの製品需要が増加した一方で、待機的手術向けの製品需要が減少しました。また、商業施設向けなどのビジネスメディアの製品需要は減少しました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は102億86百万円(前年同四半期比16.3%減)となり、セグメント利益(営業利益)は3億60百万円(前年同四半期比46.4%減)となりました。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーション事業は、出版印刷やアートソリューションなど高精細で高品位な色調再現が活かせる分野に注力しているほか、商業印刷やセールスプロモーション関連のサービスを提供しています。
当第2四半期連結累計期間においては、COVID-19の影響により、商業印刷の製品需要が減少しました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は31億48百万円(前年同四半期比6.3%減)となり、セグメント損失(営業損失)は98百万円(前年同四半期は5億15百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
当第2四半期連結会計期間末における総資産は1,834億20百万円となり、前連結会計年度末(2019年12月期末)に比べ33億42百万円減少しました。
流動資産は843億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ59億30百万円増加しました。主な要因は、現金及び現金同等物が65億21百万円、棚卸資産が46億49百万円増加した一方で、営業債権及びその他の債権が38億11百万円減少したこと等によるものです。
非流動資産は991億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ92億72百万円減少しました。主な要因は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動および売却等により、その他の金融資産が69億36百万円減少したこと等によるものです。
当第2四半期連結会計期間末における負債は1,108億円となり、前連結会計年度末に比べ9億59百万円減少しました。
流動負債は819億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ78億77百万円増加しました。主な要因は、営業債務及びその他の債務が55億22百万円減少した一方、社債及び借入金が113億59百万円増加したこと等によるものです。
非流動負債は288億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ88億37百万円減少しました。主な要因は、社債及び借入金が54億31百万円、繰延税金負債が24億25百万円減少したこと等によるものです。
当第2四半期連結会計期間末における資本は726億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億83百万円減少しました。主な要因は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却等により、利益剰余金が30億2百万円増加した一方、その他の包括利益を通じて測定する金融資産の公正価値の純変動額の減少等により、その他の資本の構成要素が54億37百万円減少したこと等によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ65億21百万円増加し、240億20百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は13億33百万円(前年同四半期は135億29百万円の使用)となりました。これは税引前四半期損失11億51百万円の計上に対して、主に営業債務及びその他の債務の減少額として58億50百万円計上した一方、減価償却費及び償却費として41億50百万円、営業債権及びその他の債権の減少額として58億51百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は9億72百万円(前年同四半期は39億58百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得として34億14百万円、子会社の取得として11億18百万円支出した一方、投資有価証券の売却による収入として61億9百万円を計上したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は41億2百万円(前年同四半期比67.6%減)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出として51億21百万円、親会社の所有者への配当金の支払として9億95百万円計上した一方、短期借入れによる収入として117億77百万円計上したこと等によるものです。

(3) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
株式会社の支配に関する基本方針
Ⅰ. 基本方針の内容
上場会社・公開会社である当社の株式は、自由な取引が認められ、当社は、会社の支配権の移転を伴うような大規模な株式の買付提案またはこれに類似する行為に応じるか否かの判断は、最終的には、株主のみなさまのご意思に基づき行われるべきものであると考えています。従いまして、大規模な株式の買付提案であっても、当社グループの企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
当社では、企業価値や株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるためには、企業理念体系(Nissha Philosophy)を礎とし、未来志向型の企業として常に価値ある製品・サービスを提供することを通じて社会に貢献することが必要不可欠であると考えています。より具体的には、世界に広がる多様な人材能力と情熱を結集し、継続的にコア技術の拡充を図ること、グローバルベースで市場のニーズを捉え、他社にはできないものづくりを通じて付加価値の高い製品・サービスを提供すること、そして人々の豊かな社会を実現することが、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益の確保・向上につながるものと考えています。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、このような基本的な考え方を十分に理解し、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を中・長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えています。
従いまして、上記のような基本的な考え方を十分に理解せず、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資さない不適切な当社株式の大規模な買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えています。
Ⅱ. 基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、創業以来培ってきた印刷技術にさまざまな技術要素を融合させながら常にコア技術の拡充を図り、製品と対象市場の多様化、グローバル市場への進出などを通じて事業領域の拡大を実現してきました。当社グループでは3年の単位で中期経営計画を運用していますが、その基本戦略は事業領域の進化・拡大による事業ポートフォリオの最適化です。
現在、当社グループは第6次中期経営計画を運用しています。主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)に加え、モビリティ(自動車・輸送機器)、医療機器、サステナブルパッケージ資材を重点市場と定め、バランスの取れた事業基盤の構築を図り、グローバルベースの成長戦略の実践による企業価値の向上を目指しています。
当社は創業以来、経営者の強いリーダーシップのもと、経営環境の変化に的確に対応した戦略を実践してきました。当社はこのリーダーシップとともにコーポレートガバナンスを強化することにより、迅速かつ果断な意思決定が促進され、同時に経営の透明性、公正性を確保することができると考え、コーポレートガバナンスを重要な経営課題と認識しています。
当社は、執行役員制度を導入し、取締役会が担うべき戦略策定および経営監視機能と、執行役員が担うべき業務執行機能との分化を図っています。また、取締役会のダイバーシティーを推進し、現在の取締役会は、独立性の高い社外取締役4名を含む取締役9名(社外取締役比率44.4%、女性比率11.1%、外国人比率11.1%)で構成されています。社外取締役は他社での企業経営の経験や製造業での事業経営の経験、コーポレートガバナンス、金融経済全般、法務・コンプライアンスに関する高い見識などから有益な指摘、意見を述べ、取締役会の議論は活性化しています。また、2015年10月には、当社はコーポレートガバナンス基本方針を制定しました。当社はその基本方針に基づき、社外取締役が過半数を占めかつ委員長を務める指名・報酬委員会を設置し、社外取締役の知見を活用することで役員の選任や報酬に関して客観性と公正性の確保を図るとともに、取締役会の実効性評価を年1回実施し、取締役会の機能のさらなる向上に努めています。
当社は、以上の取り組みを継続して実行することによって、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益の確保・向上を実現できるものと考えています。
Ⅲ. 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、2019年3月22日開催の第100期定時株主総会終結の時をもって、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)を廃止していますが、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主のみなさまが適切に判断するために、必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主のみなさまの検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法およびその他関係法令を踏まえながら、適切な措置を講じます。
Ⅳ. 上記の取り組みについての取締役会の判断
上記ⅡおよびⅢの取り組みは、基本方針に従い、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるための施策です。
従いまして、当社取締役会は、上記ⅡおよびⅢの取り組みは、いずれも、基本方針に沿うものであり、株主のみなさまの共同の利益の確保・向上に資するものであり、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は13億78百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。