四半期報告書-第103期第3四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/12 9:11
【資料】
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【項目】
41項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
なお、2020年1月31日に行われたAR Metallizing GmbH(2020年4月30日付でEurofoil Paper Coating GmbHより社名変更)との企業結合について、暫定的な会計処理を行っていましたが、前連結会計年度末に確定したため、前第3四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
また、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当第3四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいています。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.事業セグメント」の「(4)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
(1) 財政状態および経営成績の状況
当社グループはMissionに「人材能力とコア技術の多様性」を成長の原動力として、高い競争力を有する特徴ある製品・サービスの創出によりお客さま価値を実現し、「人々の豊かな生活」の実現に寄与することを掲げています。このMissionのもと、2030年のあるべき姿をサステナビリティビジョン(長期ビジョン)とし、バックキャストして2023年に目指すべき中期ビジョンとそこに至るための戦略を第7次中期経営計画として定めています。第7次中期経営計画では、これまでに獲得・構築したグローバルベースの事業基盤を最大限に活用し、シナジーの最大化による成長基盤の確立を目指しています。
当第3四半期連結累計期間におけるグローバル経済情勢は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が残る厳しい状況にあったものの、景気持ち直しの動きとなりました。アメリカやヨーロッパでは、原材料不足や人件費の高騰などの影響が顕在化しましたが、景気の回復は着実に進みました。中国では、景気の緩やかな回復基調が継続しました。わが国の経済については、海外経済の改善に伴う輸出の増加などにより景気の持ち直しが続いたものの、度重なるCOVID-19の感染拡大や半導体製品の不足など供給面での制約によりそのテンポは鈍化しました。
このような状況の下、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、ディバイス事業や産業資材事業では、一部で製品需要の変動があったものの、総じて堅調に推移しました。メディカルテクノロジー事業では、COVID-19により減少した製品需要の回復基調が持続しました。堅調な製品需要に支えられ、生産と販売の効率的な循環が持続し、営業利益は前年同四半期比で大幅に改善しました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は1,455億32百万円(前年同四半期比13.0%増)、利益面では営業利益は154億43百万円(前年同四半期比295.6%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は145億17百万円(前年同四半期比257.9%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材
産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ、家電製品などに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブル資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当第3四半期連結累計期間においては、下半期に入り一部で半導体製品の不足などによる調整の影響を受けたものの、総じて力強く推移し、売上高は前年同四半期比で伸長しました。これら製品需要の影響に加え、収益構造の改善などにより、営業利益は前年同四半期比で大幅に改善しました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は442億91百万円(前年同四半期比26.0%増)となり、セグメント利益(営業利益)は39億69百万円(前年同四半期比801.6%増)となりました。
ディバイス
ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でタブレット、スマートフォン、携帯ゲーム機、産業用端末(物流関連)、モビリティなどに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当第3四半期連結累計期間においては、スマートフォン向けの製品需要が下半期に入り減少局面を迎えた一方で、タブレット向けなどで力強い製品需要が継続しました。製品需要の持続による生産平準化と収益構造の改善が結実し、営業利益は前年同四半期比で大幅に拡大しました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は780億71百万円(前年同四半期比7.3%増)となり、セグメント利益(営業利益)は126億21百万円(前年同四半期比108.7%増)となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患向けを中心に幅広い分野で使われる低侵襲医療用の手術機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けの開発製造受託(CDMO)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。
当第3四半期連結累計期間においては、COVID-19の影響により減少した製品需要の回復が続き、売上高は前年同四半期比で着実に伸長しました。一方で、米国における原材料費や人件費の高騰などが収益性を圧迫し、営業利益は前年同四半期比で概ね横ばいとなりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は177億76百万円(前年同四半期比15.8%増)となり、セグメント利益(営業利益)は7億40百万円(前年同四半期比9.2%増)となりました。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は2,052億50百万円となり、前連結会計年度末(2020年12月期末)に比べ55億24百万円増加しました。
流動資産は1,001億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ75億34百万円増加しました。主な要因は、営業債権及びその他の債権が87億27百万円減少した一方で、現金及び現金同等物が140億88百万円、棚卸資産が23億80百万円増加したこと等によるものです。
非流動資産は1,050億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億9百万円減少しました。主な要因は、為替換算等の影響によりのれんが11億89百万円、使用権資産が9億83百万円増加した一方で、有形固定資産が35億27百万円、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等により、その他の金融資産が6億96百万円減少したこと等によるものです。
当第3四半期連結会計期間末における負債は1,088億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ88億31百万円減少しました。
流動負債は607億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ235億1百万円減少しました。主な要因は、営業債務及びその他の債務が90億68百万円、社債及び借入金が122億54百万円減少したこと等によるものです。
非流動負債は480億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ146億69百万円増加しました。主な要因は、社債の新規発行等により社債及び借入金が144億52百万円増加したこと等によるものです。
当第3四半期連結会計期間末における資本は964億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ143億56百万円増加しました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上等により利益剰余金が129億41百万円、為替換算等の影響によりその他の資本の構成要素が17億14百万円増加したこと等によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ140億88百万円増加し、391億55百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は180億47百万円(前年同四半期比396.3%増)となりました。これは税引前四半期利益169億3百万円の計上に対して、主に法人所得税の支払として36億51百万円計上した一方、減価償却費及び償却費として69億20百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は42億63百万円(前年同四半期は18億35百万円の獲得)となりました。これは主に有形固定資産の取得として43億56百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は18億60百万円(前年同四半期比8.2%減)となりました。これは主に長期借入れによる収入として66億96百万円、社債の発行による収入として99億45百万円計上した一方、短期借入金の返済による支出として80億13百万円、リース負債の返済による支出として14億4百万円、長期借入金の返済による支出として48億13百万円、社債の償還による支出として28億40百万円、親会社の所有者への配当金の支払として14億90百万円計上したこと等によるものです。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は21億13百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。