有価証券報告書-第89期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善などにより緩やかな回復基調が継続しましたが、一方、米国の通商政策や中国経済の回復の遅れ、人手不足に伴う人件費の上昇や物価の上昇が企業の経営環境に影響を与えております。また、中東情勢の緊迫化、物価上昇による消費者マインドの冷え込み、金利の上昇、為替相場の変動などによる景気下振れの懸念があり、先行き不透明な状況が続いております。
化学業界におきましては、半導体市況の回復に伴い、半導体市場向け製品の販売は堅調である一方、石油化学製品を中心に、中国の同国内の需要を上回る生産とそれに伴う輸出拡大の影響が長期化し、厳しい状況が続きました。加えて、2026年2月末に米国・イスラエルとイランとの軍事衝突が発生し、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことによって原料価格の急騰および原料調達不安の問題が生じました。当期の業績への影響は僅かであったものの、次期の業績への影響については予断を許さない状況にあります。
このような経営環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、土木建築用薬剤等で減収となったものの、電子情報産業用の微細加工用樹脂等の増収でカバーし、ほぼ前期並(11百万円増収)の53,625百万円となりました。
損益面につきましては、連結子会社である東邦化学(上海)有限公司は、加圧反応設備増設に向けた建屋補強工事のため一部の設備の稼働を一時休止したことから、営業利益は前期比減益となりました。また、連結子会社である懐集東邦化学有限公司は、原料の相場価格下落により在庫評価損が発生したことから、営業利益は前期比減益となりました。一方、当社単体の営業利益は、売上構成の変化等に伴う利益率の改善により前期比増益となりました。連結営業利益は前期比272百万円増益の2,088百万円となり、6期ぶりに20億円台に回復しました。経常利益は前期比178百万円増益の1,931百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等合計の増加を主因として前期比16百万円減益の1,527百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(界面活性剤)
香粧原料は、海外での販売は伸長したものの国内での販売が振るわず減収となりました。プラスチック用添加剤は、帯電防止剤等の販売が伸長し増収となりました。土木建築用薬剤は、コンクリート用関連薬剤が国内外ともに低調で減収となりました。農薬助剤は、主に国内向けの販売が伸長し増収となりました。繊維助剤は、主に海外での販売が減少し減収となりました。紙パルプ用薬剤は、サイズ剤や消泡剤等の販売が減少し減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比847百万円、3.2%減収の25,460百万円となり、セグメント利益は、売上構成の変化等に伴う利益率の改善により前期比54百万円増益の791百万円となりました。
(樹脂)
石油樹脂は、大口ユーザー向け販売がやや回復し増収となりました。合成樹脂は、土木関連用等の販売が減少し減収となりました。樹脂エマルションは、金属表面処理剤やフロアーポリッシュ用の販売が振るわず減収となりました。アクリレートは、海外ではやや増収となったものの国内での販売が減少し、若干の減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比12百万円、0.3%増収の4,831百万円となり、セグメント利益は、前期比4百万円増益の98百万円となりました。
(化成品)
合成ゴム・ABS樹脂用ロジン系乳化重合剤は、中国での販売がやや回復し増収となりました。石油添加剤は、国内外ともに販売が減少し減収となりました。金属加工油剤は、洗浄剤の販売が増加したものの吸塵剤等の販売が減少し、若干の減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比8百万円、0.1%減収の6,566百万円となりましたが、セグメント利益は、石油添加剤の採算改善を主因として前期比223百万円増益の302百万円となりました。
(スペシャリティーケミカル)
溶剤は、医薬品用等の販売減少により減収となりました。電子情報産業用の微細加工用樹脂は、上期は一部の設備の更新に伴う生産・販売調整があったものの、第3四半期以降は復調し、通期では期初計画どおりの増収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比790百万円、5.0%増収の16,558百万円となりました。セグメント利益は、円安進行による輸入原料の値上がり分の価格転嫁の遅れにより一時的に利益率が低下した製品があったことや、間接部門の固定費の配賦割合が高まったことも含め、固定費が増加したことから、前期比164百万円減益の789百万円となりました。
なお、上記の各セグメント利益の前年同期比の数値は、(セグメント情報等)「報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報」の表における「報告セグメント」の比較情報です。
加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメント(環境調査測定・分析業務等)の営業利益が25百万円、各セグメントに帰属しない調整額(棚卸資産の調整額等)が80百万円(前期は△58百万円)あります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、70,824百万円と前期末比2,961百万円の増加となりました。その内訳は、流動資産が1,052百万円減少の35,891百万円、固定資産が4,013百万円増加の34,933百万円です。
流動資産の主な増減要因は、現金及び預金が556百万円の減少、受取手形が696百万円の減少、売掛金が105百万円の増加、原材料及び貯蔵品が146百万円の減少、その他(流動資産)が未収入金等の増加により314百万円の増加です。
固定資産の主な増減要因は、有形固定資産が2,098百万円の増加、投資その他の資産が1,914百万円の増加です。
一方、負債合計は46,704百万円と前期末比80百万円の減少となりました。主な増減要因は、流動負債で、支払手形及び買掛金が228百万円の減少、短期借入金が611百万円の増加、1年内償還予定の社債が800百万円の減少、未払法人税等が158百万円の減少、その他(流動負債)が設備関係支払手形の増加を主因に189百万円の増加、固定負債で、長期借入金が477百万円の増加、リース債務が277百万円の減少、退職給付に係る負債が93百万円の増加です。
純資産は、24,119百万円と前期末比3,041百万円の増加となりました。主な増減要因は、利益剰余金が配当金の支払いと親会社株主に帰属する当期純利益との差額の1,107百万円の増加、その他の包括利益累計額が、その他有価証券評価差額金と為替換算調整勘定の増加により1,934百万円の増加です。
その結果、自己資本比率は33.9%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により4,400百万円の増加、投資活動により4,598百万円の減少、財務活動により421百万円の減少となり、その結果、前連結会計年度末に比べ556百万円減少し、当連結会計年度末には5,148百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは4,400百万円の収入(前期比1,103百万円の収入増)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益2,076百万円、減価償却費2,805百万円、売上債権の減少額700百万円、棚卸資産の減少額283百万円等であり、支出の主な要因は、投資有価証券売却益240百万円、仕入債務の減少額294百万円、法人税等の支払額722百万円等であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは4,598百万円の支出(前期比2,048百万円の支出増)となりました。収入の主な要因は、投資有価証券の売却による収入309百万円等であり、支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出4,391百万円、投資有価証券の取得による支出348百万円等であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは421百万円の支出(前期比1,440百万円の支出減)となりました。収入の主な要因は、短期借入金の純増額810百万円、長期借入金の純増額260百万円等であり、支出の主な要因は、社債の純減額800百万円、リース債務の返済による支出271百万円、配当金の支払額420百万円等であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
受注生産は、行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況について)
売上高は、土木建築用薬剤等で減収となったものの、電子情報産業用の微細加工用樹脂等の増収でカバーし、前期比11百万円増収の53,625百万円となりました。
セグメント別の売上構成は、界面活性剤47.5%(前期は49.1%)、樹脂9.0%(同9.0%)、化成品12.2%(同12.3%)、スペシャリティーケミカル30.9%(同29.4%)、その他0.4%(同0.2%)となっております。
売上総利益は、売上構成の変化や採算改善への取り組み等によって売上高総利益率が16.0%と前期比0.8%改善したことにより、前期比410百万円増益の8,585百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、運賃や倉敷料等の増加により138百万円増加しました。その結果、営業利益は前期比272百万円増益の2,088百万円となりました。
営業外損益は、支払利息等により156百万円のマイナス(前期は62百万円のマイナス)となり、経常利益は前期比178百万円増益の1,931百万円となりました。特別損益は、投資有価証券売却益等により145百万円のプラス(前期は218百万円のプラス)となり、税金等調整前当期純利益は前期比104百万円増益の2,076百万円となりましたが、法人税等合計が前期比124百万円増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比16百万円減益の1,527百万円となりました。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について)
外部要因として、お取引先の業界の景況と原材料価格の動向、内部要因として東邦化学(上海)有限公司の業績の動向が挙げられます。
当社のお取引先は、幅広い業界に亘っており、各業界の景況並びにそこでのお取引先の業績の状況が販売実績に影響します。当連結会計年度は、セメント・コンクリート市場の低迷に伴って土木建築用薬剤の販売が減少するなど、前期比減収となった分野があった一方、半導体市況の回復に伴って電子情報産業用の微細加工用樹脂が伸長するなど、前期比増収となった分野もあり、連結売上高はほぼ前期並となりました。
東邦化学(上海)有限公司につきましては、2022年3月期はコロナ禍や中国国務院の生産停止指示による約3ヵ月間の生産停止、2023年3月期は上海市のロックダウンや近接する他社の爆発火災事故の影響、2024年3月期は安全規制対応工事による生産の一時停止といった大きなマイナス要因が発生しましたが、2025年3月期から2026年3月期にかけては大きなトラブルがなく、上海拠点の2社(同社と東邦化貿易(上海)有限公司)合計では、2期連続で4億円前後の営業利益を計上しました。
その他、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業運営に必要な資本の財源及び流動性については、自己資金のほか借入金等の有利子負債を活用し、全体のバランスをみながら安定的に確保することを基本方針としております。このうち有利子負債の調達に関しましては、短期運転資金については、短期借入金、受取手形割引等により、設備投資資金や長期運転資金については、長期借入金や社債及びリースにより、資金調達をしております。
今後の重要な資本的支出の予定は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画」に記載のとおりですが、その資金調達に関しましても、上記方針に則り調達を実施する予定です。
なお、当連結会計年度末における借入金・社債・リース債務を含む有利子負債の残高は28,583百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,148百万円となっております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが4,400百万円のプラスとなりました。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローが4,598百万円のマイナスとなりましたので、フリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は198百万円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは421百万円のマイナスとなりました。その結果、現金及び現金同等物は556百万円の減少となっております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注1)
・自己資本比率:自己資本÷総資産
・時価ベース自己資本比率:株式時価総額÷総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷支払利息
(注2)
・各指標は、連結ベースの財務数値より算出しております。
・株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
・キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
・有利子負債は連結貸借対照表に計上されている社債・借入金の合計額を対象としております。
・支払利息は連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について)
当社グループは、2026年3月期を初年度とする「TOHO Step Up Plan 2027」(以下「中計」という。)において、売上高、営業利益、売上高営業利益率、純資産額、自己資本比率、自己資本利益率(ROE)、1株当たり配当額の7つの指標を数値目標としております。
各指標の2028年3月期の目標値(中計で掲げた目標値)と2026年3月期の実績は下記のとおりです。
当連結会計年度は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、売上高は略前期並みにとどまり、営業利益は15.0%の増益となりました。その結果、売上高営業利益率は3.9%となり、前期比0.5%改善いたしました。純資産額は、利益剰余金の増加に加え、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定が増加したことがプラス要因となり、前期末比3,041百万円増加いたしました。自己資本比率は、純資産額の増加に伴い前期末比3.0%改善いたしました。ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比1.0%の減益になったことに加え、純資産額の増加を主因として、前期比0.9%低下の6.8%となりました。1株当たり配当額は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比減益であったものの、株主の皆さまへの収益還元を重視し、前期比2円増配の22円配当といたしました。
2026年度は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖による原料価格急騰と原料調達不安というかつて例のないほどの厳しい環境でのスタートとなりました。中計に掲げた課題への取り組みに加え、2026年度は、この難局を乗り切るための対策に全力を注ぐ必要があります。製品売価への速やかな価格転嫁や原料調達ルートの確保、中国の子会社のフル活用等、取り得る対策全てに全力で臨み、マイナス影響を最小限に抑え、2027年度には中計に掲げた数値目標を達成できるよう、総力を挙げて取り組んでまいります。(中計の重要課題は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)対処すべき課題」に記載しております。)
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために、実際の結果は異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社の財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
a.棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の評価基準及び評価方法として移動平均法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。
当社グループの保有する棚卸資産は、経済環境の影響を受けて価格が大きく変動する傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、棚卸資産の簿価を切り下げ、売上原価を増加させることになります。
b.投資有価証券
当社グループは、投資有価証券の期末における時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当社グループの規定に基づき回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能額が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
c.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒の損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。一般債権の貸倒実績率については、過去3期の貸倒実績に基づき算出しております。顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合等、追加引当が必要となる可能性があります。
d.退職給付費用
当社グループは、退職給付費用及び債務について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び死亡率などがあります。それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されております。退職給付費用及び債務の計算に影響を与える最も重要な前提条件は、割引率です。当連結会計年度の退職給付費用の計算に適用した割引率は2.1%です。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の利回りなどを考慮して決定しています。
なお、一部の連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり簡便法を採用しております。
退職給付費用及び債務の計算の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合や、前提条件自体が変更になった場合、退職給付債務及び将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
e.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を十分に検討し、回収可能と判断した額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより、当連結会計年度末における将来減算一時差異等のうち、将来の税金負担額を軽減することができる範囲内で繰延税金資産を計上しております。課税所得の見積りは、取締役会の承認を得た事業計画を基礎としております。
事業計画における主要な仮定は、原料価格、製品の販売数量及び販売価格であります。当該仮定に変動が生じ、課税所得の見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。また、税制や税率が変更された場合、繰延税金資産の回収可能性の評価に影響が及ぶ可能性があります。
f.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについて、帳簿価格を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損損失を判定するに当たりましては、販売・生産拠点を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候を判定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、経営環境の変化による収益性の変動等により、想定していた投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合、減損処理を実施し、減損損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善などにより緩やかな回復基調が継続しましたが、一方、米国の通商政策や中国経済の回復の遅れ、人手不足に伴う人件費の上昇や物価の上昇が企業の経営環境に影響を与えております。また、中東情勢の緊迫化、物価上昇による消費者マインドの冷え込み、金利の上昇、為替相場の変動などによる景気下振れの懸念があり、先行き不透明な状況が続いております。
化学業界におきましては、半導体市況の回復に伴い、半導体市場向け製品の販売は堅調である一方、石油化学製品を中心に、中国の同国内の需要を上回る生産とそれに伴う輸出拡大の影響が長期化し、厳しい状況が続きました。加えて、2026年2月末に米国・イスラエルとイランとの軍事衝突が発生し、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことによって原料価格の急騰および原料調達不安の問題が生じました。当期の業績への影響は僅かであったものの、次期の業績への影響については予断を許さない状況にあります。
このような経営環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、土木建築用薬剤等で減収となったものの、電子情報産業用の微細加工用樹脂等の増収でカバーし、ほぼ前期並(11百万円増収)の53,625百万円となりました。
損益面につきましては、連結子会社である東邦化学(上海)有限公司は、加圧反応設備増設に向けた建屋補強工事のため一部の設備の稼働を一時休止したことから、営業利益は前期比減益となりました。また、連結子会社である懐集東邦化学有限公司は、原料の相場価格下落により在庫評価損が発生したことから、営業利益は前期比減益となりました。一方、当社単体の営業利益は、売上構成の変化等に伴う利益率の改善により前期比増益となりました。連結営業利益は前期比272百万円増益の2,088百万円となり、6期ぶりに20億円台に回復しました。経常利益は前期比178百万円増益の1,931百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等合計の増加を主因として前期比16百万円減益の1,527百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
| (金額:百万円、率:%) | ||||||||
| セグメント | 売上高 | 営業利益 | ||||||
| 2025年 3月期 | 2026年 3月期 | 2025年 3月期 | 2026年 3月期 | |||||
| 増減率 | 利益率 | 利益率 | ||||||
| 界面活性剤 | 26,307 | 25,460 | △3.2 | 737 | 2.8 | 791 | 3.1 | |
| 樹脂 | 4,818 | 4,831 | 0.3 | 93 | 2.0 | 98 | 2.0 | |
| 化成品 | 6,574 | 6,566 | △0.1 | 79 | 1.2 | 302 | 4.6 | |
| スペシャリティーケミカル | 15,768 | 16,558 | 5.0 | 954 | 6.1 | 789 | 4.8 | |
| 報告セグメント小計 | 53,469 | 53,416 | △0.1 | 1,864 | ― | 1,982 | ― | |
| その他 | 261 | 327 | 25.4 | 9 | 3.7 | 25 | 7.8 | |
| 調整額 | △116 | △119 | 2.0 | △58 | ― | 80 | ― | |
| 合計 | 53,613 | 53,625 | 0.0 | 1,815 | 3.4 | 2,088 | 3.9 | |
(界面活性剤)
香粧原料は、海外での販売は伸長したものの国内での販売が振るわず減収となりました。プラスチック用添加剤は、帯電防止剤等の販売が伸長し増収となりました。土木建築用薬剤は、コンクリート用関連薬剤が国内外ともに低調で減収となりました。農薬助剤は、主に国内向けの販売が伸長し増収となりました。繊維助剤は、主に海外での販売が減少し減収となりました。紙パルプ用薬剤は、サイズ剤や消泡剤等の販売が減少し減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比847百万円、3.2%減収の25,460百万円となり、セグメント利益は、売上構成の変化等に伴う利益率の改善により前期比54百万円増益の791百万円となりました。
(樹脂)
石油樹脂は、大口ユーザー向け販売がやや回復し増収となりました。合成樹脂は、土木関連用等の販売が減少し減収となりました。樹脂エマルションは、金属表面処理剤やフロアーポリッシュ用の販売が振るわず減収となりました。アクリレートは、海外ではやや増収となったものの国内での販売が減少し、若干の減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比12百万円、0.3%増収の4,831百万円となり、セグメント利益は、前期比4百万円増益の98百万円となりました。
(化成品)
合成ゴム・ABS樹脂用ロジン系乳化重合剤は、中国での販売がやや回復し増収となりました。石油添加剤は、国内外ともに販売が減少し減収となりました。金属加工油剤は、洗浄剤の販売が増加したものの吸塵剤等の販売が減少し、若干の減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比8百万円、0.1%減収の6,566百万円となりましたが、セグメント利益は、石油添加剤の採算改善を主因として前期比223百万円増益の302百万円となりました。
(スペシャリティーケミカル)
溶剤は、医薬品用等の販売減少により減収となりました。電子情報産業用の微細加工用樹脂は、上期は一部の設備の更新に伴う生産・販売調整があったものの、第3四半期以降は復調し、通期では期初計画どおりの増収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比790百万円、5.0%増収の16,558百万円となりました。セグメント利益は、円安進行による輸入原料の値上がり分の価格転嫁の遅れにより一時的に利益率が低下した製品があったことや、間接部門の固定費の配賦割合が高まったことも含め、固定費が増加したことから、前期比164百万円減益の789百万円となりました。
なお、上記の各セグメント利益の前年同期比の数値は、(セグメント情報等)「報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報」の表における「報告セグメント」の比較情報です。
加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメント(環境調査測定・分析業務等)の営業利益が25百万円、各セグメントに帰属しない調整額(棚卸資産の調整額等)が80百万円(前期は△58百万円)あります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、70,824百万円と前期末比2,961百万円の増加となりました。その内訳は、流動資産が1,052百万円減少の35,891百万円、固定資産が4,013百万円増加の34,933百万円です。
流動資産の主な増減要因は、現金及び預金が556百万円の減少、受取手形が696百万円の減少、売掛金が105百万円の増加、原材料及び貯蔵品が146百万円の減少、その他(流動資産)が未収入金等の増加により314百万円の増加です。
固定資産の主な増減要因は、有形固定資産が2,098百万円の増加、投資その他の資産が1,914百万円の増加です。
一方、負債合計は46,704百万円と前期末比80百万円の減少となりました。主な増減要因は、流動負債で、支払手形及び買掛金が228百万円の減少、短期借入金が611百万円の増加、1年内償還予定の社債が800百万円の減少、未払法人税等が158百万円の減少、その他(流動負債)が設備関係支払手形の増加を主因に189百万円の増加、固定負債で、長期借入金が477百万円の増加、リース債務が277百万円の減少、退職給付に係る負債が93百万円の増加です。
純資産は、24,119百万円と前期末比3,041百万円の増加となりました。主な増減要因は、利益剰余金が配当金の支払いと親会社株主に帰属する当期純利益との差額の1,107百万円の増加、その他の包括利益累計額が、その他有価証券評価差額金と為替換算調整勘定の増加により1,934百万円の増加です。
その結果、自己資本比率は33.9%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により4,400百万円の増加、投資活動により4,598百万円の減少、財務活動により421百万円の減少となり、その結果、前連結会計年度末に比べ556百万円減少し、当連結会計年度末には5,148百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは4,400百万円の収入(前期比1,103百万円の収入増)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益2,076百万円、減価償却費2,805百万円、売上債権の減少額700百万円、棚卸資産の減少額283百万円等であり、支出の主な要因は、投資有価証券売却益240百万円、仕入債務の減少額294百万円、法人税等の支払額722百万円等であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは4,598百万円の支出(前期比2,048百万円の支出増)となりました。収入の主な要因は、投資有価証券の売却による収入309百万円等であり、支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出4,391百万円、投資有価証券の取得による支出348百万円等であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは421百万円の支出(前期比1,440百万円の支出減)となりました。収入の主な要因は、短期借入金の純増額810百万円、長期借入金の純増額260百万円等であり、支出の主な要因は、社債の純減額800百万円、リース債務の返済による支出271百万円、配当金の支払額420百万円等であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 界面活性剤 | 16,959 | △5.0 |
| 樹脂 | 4,042 | △6.4 |
| 化成品 | 6,136 | △3.8 |
| スペシャリティーケミカル | 14,093 | 1.6 |
| その他 | 74 | 35.1 |
| 合計 | 41,307 | △2.7 |
(注) 金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
受注生産は、行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 界面活性剤 | 25,460 | △3.2 |
| 樹脂 | 4,831 | 0.3 |
| 化成品 | 6,566 | △0.1 |
| スペシャリティーケミカル | 16,558 | 5.0 |
| その他 | 208 | 44.4 |
| 合計 | 53,625 | 0.0 |
(注) 主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況について)
売上高は、土木建築用薬剤等で減収となったものの、電子情報産業用の微細加工用樹脂等の増収でカバーし、前期比11百万円増収の53,625百万円となりました。
セグメント別の売上構成は、界面活性剤47.5%(前期は49.1%)、樹脂9.0%(同9.0%)、化成品12.2%(同12.3%)、スペシャリティーケミカル30.9%(同29.4%)、その他0.4%(同0.2%)となっております。
売上総利益は、売上構成の変化や採算改善への取り組み等によって売上高総利益率が16.0%と前期比0.8%改善したことにより、前期比410百万円増益の8,585百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、運賃や倉敷料等の増加により138百万円増加しました。その結果、営業利益は前期比272百万円増益の2,088百万円となりました。
営業外損益は、支払利息等により156百万円のマイナス(前期は62百万円のマイナス)となり、経常利益は前期比178百万円増益の1,931百万円となりました。特別損益は、投資有価証券売却益等により145百万円のプラス(前期は218百万円のプラス)となり、税金等調整前当期純利益は前期比104百万円増益の2,076百万円となりましたが、法人税等合計が前期比124百万円増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比16百万円減益の1,527百万円となりました。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について)
外部要因として、お取引先の業界の景況と原材料価格の動向、内部要因として東邦化学(上海)有限公司の業績の動向が挙げられます。
当社のお取引先は、幅広い業界に亘っており、各業界の景況並びにそこでのお取引先の業績の状況が販売実績に影響します。当連結会計年度は、セメント・コンクリート市場の低迷に伴って土木建築用薬剤の販売が減少するなど、前期比減収となった分野があった一方、半導体市況の回復に伴って電子情報産業用の微細加工用樹脂が伸長するなど、前期比増収となった分野もあり、連結売上高はほぼ前期並となりました。
東邦化学(上海)有限公司につきましては、2022年3月期はコロナ禍や中国国務院の生産停止指示による約3ヵ月間の生産停止、2023年3月期は上海市のロックダウンや近接する他社の爆発火災事故の影響、2024年3月期は安全規制対応工事による生産の一時停止といった大きなマイナス要因が発生しましたが、2025年3月期から2026年3月期にかけては大きなトラブルがなく、上海拠点の2社(同社と東邦化貿易(上海)有限公司)合計では、2期連続で4億円前後の営業利益を計上しました。
その他、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業運営に必要な資本の財源及び流動性については、自己資金のほか借入金等の有利子負債を活用し、全体のバランスをみながら安定的に確保することを基本方針としております。このうち有利子負債の調達に関しましては、短期運転資金については、短期借入金、受取手形割引等により、設備投資資金や長期運転資金については、長期借入金や社債及びリースにより、資金調達をしております。
今後の重要な資本的支出の予定は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画」に記載のとおりですが、その資金調達に関しましても、上記方針に則り調達を実施する予定です。
なお、当連結会計年度末における借入金・社債・リース債務を含む有利子負債の残高は28,583百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,148百万円となっております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが4,400百万円のプラスとなりました。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローが4,598百万円のマイナスとなりましたので、フリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は198百万円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは421百万円のマイナスとなりました。その結果、現金及び現金同等物は556百万円の減少となっております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2023年 3月期 | 2024年 3月期 | 2025年 3月期 | 2026年 3月期 | ||
| 自己資本比率 | (%) | 26.0 | 27.3 | 30.9 | 33.9 |
| 時価ベースの 自己資本比率 | (%) | 15.1 | 15.8 | 21.0 | 22.6 |
| キャッシュ・フロー 対有利子負債比率 | (年) | 16.9 | 8.3 | 8.1 | 6.2 |
| インタレスト・ カバレッジ・レシオ | (倍) | 5.4 | 10.2 | 8.4 | 10.0 |
(注1)
・自己資本比率:自己資本÷総資産
・時価ベース自己資本比率:株式時価総額÷総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷支払利息
(注2)
・各指標は、連結ベースの財務数値より算出しております。
・株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
・キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
・有利子負債は連結貸借対照表に計上されている社債・借入金の合計額を対象としております。
・支払利息は連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について)
当社グループは、2026年3月期を初年度とする「TOHO Step Up Plan 2027」(以下「中計」という。)において、売上高、営業利益、売上高営業利益率、純資産額、自己資本比率、自己資本利益率(ROE)、1株当たり配当額の7つの指標を数値目標としております。
各指標の2028年3月期の目標値(中計で掲げた目標値)と2026年3月期の実績は下記のとおりです。
| 2028年 3月期 (計画) | 2026年 3月期 (実績) | |||
| 売上高 | (百万円) | 60,000 | 53,625 | |
| 営業利益 | (百万円) | 3,000 | 2,088 | |
| 売上高営業利益率 | (%) | 5.0 | 3.9 | |
| 純資産額 | (百万円) | 23,000 | 24,119 | |
| 自己資本比率 | (%) | 32.0 | 33.9 | |
| ROE | (%) | 8.0 | 6.8 | |
| 1株当たり配当額 | (円) | 30 | 22 |
当連結会計年度は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、売上高は略前期並みにとどまり、営業利益は15.0%の増益となりました。その結果、売上高営業利益率は3.9%となり、前期比0.5%改善いたしました。純資産額は、利益剰余金の増加に加え、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定が増加したことがプラス要因となり、前期末比3,041百万円増加いたしました。自己資本比率は、純資産額の増加に伴い前期末比3.0%改善いたしました。ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比1.0%の減益になったことに加え、純資産額の増加を主因として、前期比0.9%低下の6.8%となりました。1株当たり配当額は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比減益であったものの、株主の皆さまへの収益還元を重視し、前期比2円増配の22円配当といたしました。
2026年度は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖による原料価格急騰と原料調達不安というかつて例のないほどの厳しい環境でのスタートとなりました。中計に掲げた課題への取り組みに加え、2026年度は、この難局を乗り切るための対策に全力を注ぐ必要があります。製品売価への速やかな価格転嫁や原料調達ルートの確保、中国の子会社のフル活用等、取り得る対策全てに全力で臨み、マイナス影響を最小限に抑え、2027年度には中計に掲げた数値目標を達成できるよう、総力を挙げて取り組んでまいります。(中計の重要課題は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)対処すべき課題」に記載しております。)
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために、実際の結果は異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社の財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
a.棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の評価基準及び評価方法として移動平均法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。
当社グループの保有する棚卸資産は、経済環境の影響を受けて価格が大きく変動する傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、棚卸資産の簿価を切り下げ、売上原価を増加させることになります。
b.投資有価証券
当社グループは、投資有価証券の期末における時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当社グループの規定に基づき回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能額が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
c.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒の損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。一般債権の貸倒実績率については、過去3期の貸倒実績に基づき算出しております。顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合等、追加引当が必要となる可能性があります。
d.退職給付費用
当社グループは、退職給付費用及び債務について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び死亡率などがあります。それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されております。退職給付費用及び債務の計算に影響を与える最も重要な前提条件は、割引率です。当連結会計年度の退職給付費用の計算に適用した割引率は2.1%です。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の利回りなどを考慮して決定しています。
なお、一部の連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり簡便法を採用しております。
退職給付費用及び債務の計算の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合や、前提条件自体が変更になった場合、退職給付債務及び将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
e.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を十分に検討し、回収可能と判断した額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより、当連結会計年度末における将来減算一時差異等のうち、将来の税金負担額を軽減することができる範囲内で繰延税金資産を計上しております。課税所得の見積りは、取締役会の承認を得た事業計画を基礎としております。
事業計画における主要な仮定は、原料価格、製品の販売数量及び販売価格であります。当該仮定に変動が生じ、課税所得の見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。また、税制や税率が変更された場合、繰延税金資産の回収可能性の評価に影響が及ぶ可能性があります。
f.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについて、帳簿価格を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損損失を判定するに当たりましては、販売・生産拠点を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候を判定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、経営環境の変化による収益性の変動等により、想定していた投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合、減損処理を実施し、減損損失が発生する可能性があります。