有価証券報告書-第134期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その適用においては、過去の実績などを勘案して将来の見積りを計上することが必要とされる場合があります。特に連結財務諸表に重要な影響を与える見積りを必要とする項目は以下のとおりであります。
①貸倒引当金
売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財務状況が悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
②有形固定資産
償却資産に関しては、一般に公正妥当と認められる減価償却方法に基づき実施しております。また、固定資産の減損に係る会計基準に従い、減損損失の認識と測定を実施しておりますが、資産の市場価格の見積りや将来キャッシュ・フローの見積りは、合理的な仮定や予測に基づいて算出するため、当社グループによる見積りより悪化した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
③投資有価証券
当社グループは金融機関及び販売、仕入に係る取引先等の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損損失を計上しております。なお、将来の市況悪化や投資先の業績不振など、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収が不能となる状況が発生した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
④退職給付に係る負債
従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、期待収益率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率などが含まれます。当社及び一部の国内連結子会社が加入する年金制度においては、割引率は安全性の高い長期債券をもとに算出しています。期待収益率は、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を勘案し計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来の費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
(2)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績や景況感が総じて良好な水準を維持するもとで、設備投資が増加し、雇用環境の改善が続くなど堅調に推移いたしました。一方、世界経済においては、米中の貿易摩擦問題をはじめとした海外経済の不確実性の高まりなどもあり、景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループを取り巻く事業環境は、主要な供給先であります自動車業界では、国内の自動車生産は比較的堅調なものの、中国をはじめ海外においては成長が鈍化し、米中貿易摩擦問題の影響も現れ始めております。もう一つの柱であります鉄鋼業界では、中国の減速リスクには警戒が必要なものの、国内外の鋼材需要は好調に推移しております。
このような環境のもと、当社グループでは、3ヵ年の第二次中期経営計画の最終年度として、「事業基盤の強化・拡大」、「技術立社」、「企業体質の基盤強化」を三本柱に既存分野の更なる深耕、新規事業分野への積極的なチャレンジを推進してまいりました。また、お客様満足度を高める迅速で的確なサービスと高品質製品供給のために、グローバルな品質改善活動と開発体制強化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
売上高は129,207百万円と前連結会計年度(以下、前期)に比べ14,367百万円(12.5%)の増収となりました。装置事業において、期末に大型の設備工事物件を検収したことから大幅な増収となりました。事業の種類別セグメント毎の売上高は、前期に比べ薬品事業が4.5%、装置事業が50.4%、加工事業が3.4%、その他が13.3%とすべてのセグメントにおいて増収となりました。また、地域別セグメントは、国内が12.1%、アジアが15.0%、欧米が3.3%の増収となりました。
営業利益は17,023百万円と前期に比べ△960百万円(△5.3%)の減益となりました。連結子会社が増加した影響もあり、売上総利益は43,978百万円と前期に比べ780百万円(1.8%)の増益となりましたが、販売費及び一般管理費は26,955百万円と前期に比べ1,741百万円(6.9%)増加いたしました。その内訳は人件費が2.4%、経費が13.5%それぞれ増加いたしました。
経常利益は20,130百万円と前期に比べ△620百万円(△3.0%)の減益となりました。営業外の収支は3,106百万円の収入となり、前期に比べ340百万円(12.3%)増加いたしました。この結果、当連結会計年度の総資産経常利益率(ROA)は9.2%と前期に比べ0.8ポイント減少いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益は11,424百万円と前期に比べ△1,297百万円(△10.2%)の減益となりました。この結果、当連結会計年度の自己資本利益率(ROE)は8.2%と前期に比べ1.5ポイント減少いたしました。
海外業績の換算による損益計算書に与える影響額は、売上高で△316百万円程度の減収、営業利益で△54百万円程度の減益となっております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
薬品事業
外部顧客に対する売上高は47,658百万円と前期に比べ2,058百万円(4.5%)の増収となり、営業利益は8,581百万円と△883百万円(△9.3%)の減益となりました。当事業部門は、金属などの表面に耐食性、耐摩耗性、潤滑性など機能性向上を目的とする化成皮膜を施し、素材の付加価値を高める薬剤などを中心に製造・販売しております。国内では連結子会社の増加もあり増収となりましたが、海外での売上高は横ばいとなりました。収益面では原材料費の高騰や国内子会社の吸収合併による統合費用などの影響を受け、減益となりました。
装置事業
外部顧客に対する売上高は30,514百万円と前期に比べ10,222百万円(50.4%)の増収となり、営業利益は1,125百万円と269百万円(31.4%)の増益となりました。当事業部門は、輸送機器業界を中心に前処理設備及び塗装設備や粉体塗装設備などを製造・販売しております。国内では堅調に推移し増収増益となりました。一方、海外では中国で大幅に増収となりましたが、受注環境は厳しさを増しており、収益率が低下したため減益となりました。
加工事業
外部顧客に対する売上高は46,034百万円と前期に比べ1,497百万円(3.4%)の増収となり、営業利益は8,354百万円と△327百万円(△3.8%)の減益となりました。当事業部門は、熱処理加工、防錆加工、めっき処理などの表面処理の加工サービスを提供しております。国内では自動車部品における加工処理の需要増加により、防錆・熱処理加工ともに順調に推移いたしました。海外では前期後半以降、メキシコの新工場が順調に稼動しております。収益面では、米国や中国で設備改修や加工処理不具合対応などのための一時的な費用が発生したこともあり、減益となりました。
その他
外部顧客に対する売上高は5,000百万円と前期に比べ588百万円(13.3%)の増収となり、営業利益は237百万円と49百万円(26.2%)の増益となりました。当事業部門は国内を中心に、ビルメンテナンス事業、運送事業、太陽光発電事業などを営んでおります。
目標とする経営指標の達成状況は、次のとおりであります。
当社グループは、製品の付加価値向上と差別化技術の開発を柱に、総資産経常利益率(ROA)8%以上を維持しながら、連結売上高を毎年3%以上拡大させていくことを目標としており、中長期的に企業価値の向上を目指す企業でありたいと考えております。また、長期的な業績拡大を目指し、海外売上高比率50%を目標としております。このため、上記を重要な指標と位置づけております。
当連結会計年度におけるROAは9.2%、増収率12.5%、海外売上高比率43.5%であり、引き続き当該指標の改善に邁進していく所存であります。
生産、受注及び販売の状況は次のとおりであります。
当社グループは主として販売計画に基づいた見込生産及び短納期での受注生産によっております。そのため、生産実績及び受注実績は販売実績と重要な相違がないため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 薬品事業 | 47,658 | 4.5 |
| 装置事業 | 30,514 | 50.4 |
| 加工事業 | 46,034 | 3.4 |
| 報告セグメント 計 | 124,206 | 12.5 |
| その他 | 5,000 | 13.3 |
| 合計 | 129,207 | 12.5 |
(注) 1 金額には消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3) 財政状態
(資産の部)
総資産合計は前期末に比べ△1,169百万円減少し218,818百万円となりました。主な増減といたしましては、有価証券が1,611百万円、たな卸資産が1,039百万円増加いたしました。固定資産では有形固定資産1,078百万円、企業買収により発生したのれんなどにより無形固定資産が917百万円増加した一方で、投資有価証券の時価の減少などにより投資その他の資産が△4,931百万円減少いたしました。
(負債の部)
負債合計は前期末に比べ△4,673百万円減少し52,059百万円となりました。主な増減といたしましては、流動負債では支払手形及び買掛金が1,355百万円増加した一方で、前受金などにより流動負債その他が△3,590百万円減少いたしました。固定負債では繰延税金負債が△1,282百万円減少いたしました。
(純資産の部)
非支配株主持分を含めた純資産合計は前期末に比べ3,503百万円増加し166,759百万円となりました。主な増減といたしましては、利益剰余金が8,455百万円、非支配株主持分が1,399百万円増加した一方で、自己株式が△1,028百万円、その他有価証券評価差額金と為替換算調整勘定の減少などによりその他の包括利益累計額が△5,386百万円減少いたしました。
以上の結果、自己資本比率は64.2%と前期末と比較し1.3ポイント増加するとともに、1株当たり純資産は1,167円46銭と27円18銭増加いたしました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
薬品事業
総資産合計は前期末に比べ△2,226百万円減少し57,211百万円となりました。流動資産は△2,486百万円減少し39,644百万円となりました。有形固定資産は△205百万円減少し13,686百万円となりました。無形固定資産は△30百万円減少し530百万円となりました。投資その他の資産は496百万円増加し3,350百万円となりました。
装置事業
総資産合計は前期末に比べ1,444百万円増加し21,400百万円となりました。流動資産は1,298百万円増加し19,608百万円となりました。有形固定資産は△32百万円減少し773百万円となりました。無形固定資産は△2百万円減少し19百万円となりました。投資その他の資産は181百万円増加し999百万円となりました。
加工事業
総資産合計は前期末に比べ5,923百万円増加し78,358百万円となりました。流動資産は3,918百万円増加し37,311百万円となりました。有形固定資産は1,517百万円増加し32,513百万円となりました。無形固定資産は、980百万円増加し1,537百万円となりました。投資その他の資産は△492百万円減少し6,995百万円となりました。
その他
総資産合計は前期末に比べ△199百万円減少し4,046百万円となりました。流動資産は△225百万円減少し2,557百万円となりました。有形固定資産は3百万円増加し1,027百万円となりました。無形固定資産は△1百万円減少し9百万円となりました。投資その他の資産は22百万円増加し452百万円となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、期首と比較し576百万円増加し、53,726百万円となりました。なお、当連結会計年度では、現金及び現金同等物に係る換算差額により△753百万円減少しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前期に比べ1,945百万円収入が減少し17,292百万円の収入となりました。税金等調整前当期純利益は19,492百万円であり、主な調整は減価償却費5,992百万円、売上債権の増加額△1,068百万円、仕入債務の増加額1,595百万円、前受金の減少額△2,619百万円、法人税等の支払額△5,238百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前期に比べ5,559百万円支出が増加し10,299百万円の支出となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出8,823百万円、連結範囲変更を伴う子会社株式の取得による支出1,055百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前期に比べ1,622百万円支出が増加し5,663百万円の支出となりました。主な支出は、配当金の支払額2,966百万円であります。
(キャッシュ・フロー関連指標)
| 前連結会計年度 (2018年3月31日) | 当連結会計年度 (2019年3月31日) | |
| 自己資本比率 | 62.9% | 64.2% |
| 時価ベースの自己資本比率 | 95.9% | 76.0% |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 19.3% | 14.4% |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 425.0倍 | 241.8倍 |
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、加工処理費用、商品の仕入、販売費及び一般管理費、法人税等の支払、配当金の支払、運転資金及び設備投資資金などであります。
当連結会計年度は、有形固定資産の取得で8,823百万円、法人税等の支払額で5,238百万円、配当金の支払で2,966百万円などの資金需要がありました。また、現金及び預金同等物の期末残高は、期首に比べ576百万円増加いたしました。有利子負債は当連結会計年度は1,222百万円減少しております。
基本的に運転資金については、期限が一年以内の短期借入金で、通常各々の会社で運転資金として使用する現地の通貨で調達しております。設備投資資金については、原則として資本金、内部留保といった自己資金を利用しておりますが、一部では借入金によるものがあります。