有価証券報告書-第135期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景に当初は緩やかな回復基調にありましたものの、期後半は米中貿易摩擦の長期化により製造業を中心に景気は悪化し、消費税率引き上げの影響も加わり、大変厳しい状況で推移いたしました。世界経済においても、中国経済の成長が鈍化した結果、各国経済も低水準で推移しております。また、期末にかけては新型コロナウイルスの感染拡大により、先行きは一段と不透明感が増しており、景気後退の長期化が懸念されます。
当社グループを取り巻く事業環境は、主要な供給先であります自動車業界では、増税後の国内自動車生産は減少傾向で推移するとともに、中国の生産台数も前年割れが続く等、厳しい状況で推移しております。もう一つの柱であります鉄鋼業界でも、海外メーカーとの競争激化により事業環境は厳しさを増しております。
このような状況のなか、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
売上高は1,190億28百万円(前年同期比7.9%減)となりました。事業の種類別セグメント毎の売上高は、前期に比べ薬品事業が5.9%、装置事業が19.7%、加工事業が1.8%、その他が10.5%の減収とすべての事業セグメントにおいて減収で推移しております。また、地域別セグメントは、国内が8.7%、アジアが11.0%の減収、欧米が19.0%の増収で推移しております。
営業利益は126億1百万円(前年同期比26.0%減)と売上減少に伴う減益に加え、加工事業において大型設備投資に関連した償却費が利益押し下げ要因となり、大幅な減益で推移いたしました。経常利益は157億23百万円(前年同期比21.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は94億49百万円(前年同期比17.3%減)となりました。
海外業績の換算による損益計算書に与える影響額は、売上高10億95百万円程度の減収、営業利益で44百万円程度の減益となっております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
薬品事業
外部顧客に対する売上高は448億54百万円(前年同期比5.9%減)となり、営業利益は75億46百万円(前年同期比12.1%減)となりました。当事業部門は、金属等の表面に耐食性、耐摩耗性、潤滑性等機能性向上を目的とする化成皮膜を施し、素材の付加価値を高める薬剤等を中心に製造・販売しております。国内の金属表面処理剤は、消費税増税や自然災害等の影響により顧客の自動車生産台数が減少したこともあり、減収で推移いたしました。また、海外需要も引き続き低調で、タイや中国をはじめアジア各国で減収となる等、薬品事業全体としては、減収減益で推移いたしました。
装置事業
外部顧客に対する売上高は244億97百万円(前年同期比19.7%減)となり、営業利益は5億95百万円(前年同期比47.1%減)となりました。当事業部門は、輸送機器業界を中心に前処理設備及び塗装設備や粉体塗装設備等を製造・販売しております。タイやインドネシアで受注が増加した一方、前期、国内及び中国において大型の設備物件の売上計上があった影響もあり、減収で推移いたしました。利益面では中国における受注環境の厳しさから利益率は低下し、装置事業全体としては、減収減益で推移いたしました。
加工事業
外部顧客に対する売上高は451億99百万円(前年同期比1.8%減)となり、営業利益は73億23百万円(前年同期比12.3%減)となりました。当事業部門は、熱処理加工、防錆加工、めっき処理等の表面処理の加工サービスを提供しております。国内外の加工処理需要は自動車部品、建機油圧向けともに低調であったことから減収で推移いたしました。利益面では米国、タイの不振や、大型設備投資に関連した償却費が利益押し下げ要因となっており、加工事業全体としては減収減益で推移いたしました。
その他
外部顧客に対する売上高は44億77百万円(前年同期比10.5%減)となり、営業利益は11億23百万円の赤字(前年同期は2億37百万円の黒字)となりました。当事業部門は、ビルメンテナンス事業、運送事業、太陽光発電事業、新規事業等を営んでおります。韓国向けの商品販売において、韓国経済の低迷により取引先の経営環境が悪化し、債権回収に懸念が生じたことにより引当金を計上したため、減収減益で推移いたしました。
当社グループでは、2020年3月期から2022年3月期の3ヵ年を期間とする第三次中期経営計画を、当連結会計年度よりスタートいたしました。第三次中期経営計画では、「グローバル競争に打ち勝つ成長戦略」、「グループ経営の最適化」、「ガバナンス改革」の推進を基本方針とし、最終年度である2022年3月期の目標として、売上高1,335億円、営業利益190億円、経常利益220億円、総資産経常利益率8%以上、自己資本利益率(ROE)8%以上を設定しております。当社グループを取り巻く事業環境は、自動車産業の海外シフト、グローバル競争の激化等によって厳しさを増しており、目標の達成と持続的成長を実現するために、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。
第三次中期経営計画の初年度である2020年3月期は、米中通商問題に端を発した中国経済の減速、更には、年度終盤における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等により、全てのセグメントにおいて、対前期比で減収減益となり、総資産経常利益率は7.2%と前期に比べて2.0ポイント減少、自己資本利益率(ROE)は6.7%と前期に比べて1.5ポイント減少と、いずれも目標水準を下回る結果となりました。
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による景気後退が懸念される等、先行きが不透明な状況にありますが、企業体質の強化と持続的な企業価値向上に、継続的に取り組んでまいります。なお、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しております。
生産、受注及び販売の状況は次のとおりであります。
当社グループは主として販売計画に基づいた見込生産及び短納期での受注生産によっております。そのため、生産実績及び受注実績は販売実績と重要な相違がないため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 薬品事業 | 44,854 | △5.9 |
| 装置事業 | 24,497 | △19.7 |
| 加工事業 | 45,199 | △1.8 |
| 報告セグメント 計 | 114,551 | △7.8 |
| その他 | 4,477 | △10.5 |
| 合計 | 119,028 | △7.9 |
(注) 1 金額には消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 財政状態
(資産の部)
資産合計は、前連結会計年度末と比較し20億44百万円減少し2,167億73百万円となりました。主な増減といたしましては、流動資産では現金及び預金が49億21百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が41億63百万円減少いたしました。固定資産では有形固定資産が15億円増加した一方で、投資有価証券の時価の減少等により投資その他の資産が30億73百万円減少いたしました。
(負債の部)
負債合計は、前連結会計年度末と比較し62億32百万円減少し458億26百万円となりました。主な増減といたしましては、流動負債では支払手形及び買掛金が40億83百万円、固定負債では繰延税金負債が13億36百万円減少いたしました。
(純資産の部)
非支配株主持分を含めた純資産合計は、前連結会計年度末と比較し41億88百万円増加し1,709億47百万円となりました。主な増減といたしましては、利益剰余金が68億円、非支配株主持分が14億11百万円、自己株式が18億20百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が21億74百万円減少いたしました。
以上の結果、自己資本比率は66.1%と前連結会計年度末と比較し1.9ポイント増加するとともに、1株当たり純資産は1,203円34銭と35円88銭増加いたしました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
薬品事業
総資産合計は前連結会計年度末に比べ28億59百万円減少し543億52百万円となりました。流動資産は5億74百万円減少し390億70百万円となりました。有形固定資産は7億21百万円増加し144億7百万円となりました。無形固定資産は1百万円増加し5億31百万円となりました。投資その他の資産は30億7百万円減少し3億42百万円となりました。
装置事業
総資産合計は前連結会計年度末に比べ16億86百万円減少し197億13百万円となりました。流動資産は18億42百万円減少し177億66百万円となりました。有形固定資産は1億84百万円増加し9億57百万円となりました。無形固定資産は6百万円増加し26百万円となりました。投資その他の資産は35百万円減少し9億63百万円となりました。
加工事業
総資産合計は前連結会計年度末に比べ10億1百万円減少し773億56百万円となりました。流動資産は3億3百万円減少し370億7百万円となりました。有形固定資産は11億円増加し336億13百万円となりました。無形固定資産は1億98百万円増加し17億36百万円となりました。投資その他の資産は19億95百万円減少し49億99百万円となりました。
その他
総資産合計は前連結会計年度末に比べ2億44百万円増加し42億91百万円となりました。流動資産は2億95百万円増加し28億53百万円となりました。有形固定資産は20百万円減少し10億6百万円となりました。無形固定資産は2百万円減少し7百万円となりました。投資その他の資産は27百万円減少し4億24百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、期首と比較し27億81百万円増加し、565億7百万円となりました。なお、当連結会計年度では、現金及び現金同等物に係る換算差額により1億9百万円増加しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前期同期に比べ2億22百万円収入が増加し175億14百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益155億60百万円、減価償却費65億16百万円、売上債権の減少額40億56百万円、仕入債務の減少額39億92百万円、法人税等の支払額51億3百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前期同期に比べ15億66百万円支出が減少し87億32百万円の支出となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出91億71百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前期同期に比べ4億46百万円支出が増加し61億9百万円の支出となりました。主な支出は、配当金の支払額27億4百万円、自己株式の取得による支出18億24百万円であります。
(キャッシュ・フロー関連指標)
| 前連結会計年度 (2019年3月31日) | 当連結会計年度 (2020年3月31日) | |
| 自己資本比率 | 64.2% | 66.1% |
| 時価ベースの自己資本比率 | 76.0% | 61.5% |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 14.4% | 10.6% |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 241.8倍 | 452.0倍 |
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、加工処理費用、商品の仕入、販売費及び一般管理費、法人税等の支払、配当金の支払、運転資金及び設備投資資金等であります。
当連結会計年度は、有形固定資産の取得で91億71百万円、法人税等の支払額で51億3百万円、配当金の支払で27億4百万円等の資金需要がありました。また、現金及び預金同等物の期末残高は、期首に比べ27億81百万円増加いたしました。有利子負債は当連結会計年度は6億42百万円減少しております。
基本的に運転資金については、期限が一年以内の短期借入金で、通常各々の会社で運転資金として使用する現地の通貨で調達しております。設備投資資金については、原則として自己資金を利用しておりますが、一部では借入金によるものがあります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その適用においては、過去の実績等を勘案して将来の見積りを計上することが必要とされる場合があります。特に連結財務諸表に重要な影響を与える見積りを必要とする項目は以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (追加情報)」に記載しております。
①完成工事高
完成工事高の計上は工事完了まで一定期間を要し、かつ成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準対象工事につきましては将来の発生原価を合理的に見積っておりますが、経済状況の変動・原材料価格の変動等の要因によりその見積り額が変動した場合は工事損益に影響を及ぼす可能性があります。
②貸倒引当金
売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財政状態が悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
③有形固定資産
償却資産に関しては、一般に公正妥当と認められる減価償却方法に基づき実施しております。また、固定資産の減損に係る会計基準に従い、減損損失の認識と測定を実施しておりますが、資産の市場価格の見積りや将来キャッシュ・フローの見積りは、合理的な仮定や予測に基づいて算出するため、当社グループによる見積りより悪化した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
③投資有価証券
当社グループは金融機関及び販売、仕入に係る取引先等の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損損失を計上しております。なお、将来の市況悪化や投資先の業績不振等、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収が不能となる状況が発生した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
⑤退職給付に係る負債
従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、期待収益率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等が含まれます。当社及び一部の連結子会社が加入する年金制度においては、割引率は安全性の高い長期債券をもとに算出しています。期待収益率は、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を勘案し計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来の費用及び計上される債務に影響を及ぼします。