四半期報告書-第30期第1四半期(平成31年1月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、臨床開発ステージへ移行した製品を有するバイオ医薬品企業であり、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする高度に革新的な医薬品の研究開発を通じ、日本屈指の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることをビジョンに掲げています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォーム及び自社開発パイプラインを引き続き拡充しました。
(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携、(2)革新的な製薬企業、バイオ医薬品企業及びベンチャーキャピタルファンドとの研究開発活動における新規及び既存の提携、(3)当社独自で開発、という当社グループの均衡の取れたビジネスモデル全ての分野で進展がありました。
当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループは15品目が創薬段階にあり、6品目が前臨床試験中、8品目(注)が臨床試験中です。
(注) 喘息を対象としたQVM149、複数の固形がんを対象としたAZD4635、レビー小体型認知症(DLB)を対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)進行性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象としたAZD4635、アルツハイマー病(AD)の神経行動学的症状を対象としたHTL0016878、ADを対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、神経障害を対象としたHTL0014242及び内分泌障害を対象としたHTL0030310。
大手グローバル製薬企業と提携した品目の中では、当社グループが最初に提携を行ったプログラムが第Ⅱ相臨床試験開始を目指しており、それによって、重要なマイルストンを達成しました。
2019年1月7日、当社グループは、AstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)との提携によって開発中の次世代がん免疫療法が、同社より、AZD4635の開発でマイルストンを達成したことが通知されたと発表しました。この結果、当社グループはAstraZeneca社より15百万米ドルのマイルストンを受領しました。これまでの臨床試験では、AZD4635の単剤及びデュルバルマブとの併用時の最大耐薬量が決定されています。この試験は、複数の固形がんを対象としたAZD4635による治療の可能性について、探索が行われる段階にまで順調に進捗しています。その結果、AstraZeneca社は第Ⅱ相臨床試験開始を目指しており、それによって、マイルストンを受領しました。
2019年3月22日、当社グループは、慢性閉塞性肺疾患(以下「COPD」)治療薬「ウルティブロ®ブリーズへラー®」及び「シーブリ®ブリーズへラー®」の中国での販売が開始されたと発表しました。2005年4月、当社グループとVectura Group PLC(以下「Vectura社」)は、グリコピロニウムに関する特定の用途及び製剤の知的財産権に関する独占的ライセンスをNovartis international AG(以下「Novartis 社」)に許諾しており、グローバルでの販売からのロイヤリティ収入を受領する権利を有しています。両剤は、中国において、Novartis社が支配権を有する子会社であるBeijing Novartis Pharma Co., Ltd.及びSandoz (China) Pharmaceutical Co., Ltd.からのライセンス契約に基づき、Zhejiang Hisun Pharmaceutical Co., Ltd.のグループ会社であるHuizheng (Shanghai) Technology Co., Ltd.により販売されます。本件にともなう当社グループの2019年12月期連結業績に与える影響は軽微であると見込んでいます。
革新的な製薬企業、バイオ医薬品企業及びベンチャーキャピタルファンドとの提携でも引き続き大きな進展があり、オレキシン受容体作動薬プログラムに関するベンチャーキャピタルファンドとの新たな研究開発における提携を発表しました。
2019年2月4日、当社グループは、重要なアセットに特化した企業の資金提供を専門とするベンチャーキャピタルファンドであるMedicxi社と、ストラクチャードファイナンス契約を締結したことを発表しました。当契約により、GPCRであるオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーターが原因となる神経系疾患に対する新規治療法の開発を目指すOrexia Limited(以下「Orexia社」)及びInexia Limited(以下「Inexia社」)の独立系二社が設立されました。Medicxi社は、両社に対し合計で最大40百万ユーロの投資を行います。本契約の条件に基づき、Orexia社とInexia社は、当社グループによって設計及び開発されたデュアルOX1/OX2作動薬を含む一連のオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーター及び類縁薬に関する特定の知的財産権及びノウハウ・開発力活用等の権利を取得しました。Orexia社は経口薬の開発、Inexia社はOptinose US, Inc.のExhalation Delivery Systemを活用した鼻腔内投与薬の開発に重点的に取り組みます。当社グループは両社の株式を保有し、研究開発に対する支払い、及び事前に設定された開発マイルストンの達成時に追加の支払いを受領します。神経系疾患分野での幅広い経験を含む、当社グループのプラットフォーム技術、創薬及び開発における専門性を活用することで、Medicxi社の支援による本資金提供により、経口または鼻腔内投与のためのリード化合物のさらなる開発を推し進め、臨床開発ステージ、さらにはPOCへの移行が期待できます。ターゲットとなる具体的な適応症はプログラムが進展する中で決定され、希少な睡眠障害であるナルコレプシーが含まれます。
当社グループの独自開発については、パイプラインへの必要な投資を継続し、複数の候補品の臨床試験入り及び製品の発売を行いました。
2019年1月31日、当社グループは、当社グループの100%子会社である株式会社そーせい(以下「そーせい」)が製造販売承認を取得した口腔咽頭カンジダ症治療薬「オラビ®錠口腔用 50mg」(以下「オラビ®」)について、販売提携先である富士フイルム富山化学株式会社(以下「富士フイルム富山化学」)が2019年2月4日より発売すると発表しました。オラビ®の国内販売については、富士フイルム富山化学へ独占販売権を付与しております。そーせいは、富士フイルム富山化学から製品の販売収入及び販売目標達成時にマイルストンを別途受領できる権利を持っています。
2019年2月20日、当社グループは、クッシング病を含む内分泌疾患治療を対象とする新規低分子HTL0030310の自社開発において、第Ⅰ相臨床試験を開始したことを発表しました。HTL0030310はSSTR5(ソマトスタチン5)受容体に対する強力で選択的な作動薬です。当社グループ独自のGPCRの構造解析技術を駆使したSBDDにより設計された化合物であり、臨床試験入りした当社グループの医薬品候補薬としては6番目になります。HTL0030310の臨床試験デザインは、健康成人男女を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照、単回皮下投与用量漸増試験です。
他の当社グループ保有の研究開発品目も順調に進捗しました。
2019年3月31日現在、当社グループの従業員数は161人(2018年12月31日時点比8人減少)です。
当社グループは、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、前連結会計年度は2018年4月1日から2018年12月31日までの9か月間となり、以下、当第1四半期連結累計期間の業績に関しては、前年同四半期(2018年4月1日から2018年6月30日まで)との比較により記載しています。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益3,136百万円(前年同四半期比2,301百万円増加)、営業利益1,061百万円(前年同四半期は1,783百万円の損失)、税引前四半期利益929百万円(前年同四半期は1,943百万円の損失)、四半期利益1,018百万円(前年同四半期は1,568百万円の損失)となりました。
※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は、純額で表示しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しております。
(売上収益)
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ2,301百万円増加し、3,136百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間のマイルストンに関する収益は、前年同四半期比2,156百万円増加し、2,257百万円となりました。この増加は主に、AstraZeneca社から15百万米ドルのマイルストンに関する収益を受領したことによるものです。前年同四半期には新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益はありませんでした。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比50百万円減少し、576百万円となりました。その大半は導出先であるNovartis社(注)1によるウルティブロ及びシーブリの売上に関連するものです。
2019年4月24日のNovartis社の発表によると、両剤の2019年第1四半期(2019年1月から2019年3月)の売上は135百万米ドル(前年同四半期比9百万米ドル減少)となりました。Novartis社による2019年第1四半期の製品別の売上は以下のとおりです:
・ 「ウルティブロ」(売上104百万米ドル、前年同四半期比7%増(注)2)LAMA/LABAの配合剤であるウルティブロは当四半期において、FLAME及びSUNSET臨床試験の結果、並びにCOPDの診断・ケア・予防に関する世界的な指針となる2019年版GOLDレポートに後押しされ、売上は継続的な伸びとなりました。
・ 「シーブリ」(売上31百万米ドル、前年同四半期比10%減(注)2)LAMAの単剤であるシーブリの当四半期の売上は、欧州での競争及びウルティブロへの資源配分のために減少しました。
(注)1 グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社及び共同開発パートナーであるVectura社からNovartis社に導出しています。これらの製品は米国において、Utibron™ Neohaler®、Seebri™ Neohaler®の製品名で異なる用量・用法で販売されています。Sunovion Pharmaceuticals Inc.(以下「サノビオン社」)は、2016年12月21日に米国における販売権を取得しています。サノビオン社は2017年10月にSeebri™ Neohaler®の販売を開始しています。「シーブリ®ブリーズヘラー®」 「ウルティブロ®ブリーズヘラー®」 「Utibron™ Neohaler®」「Seebri™ Neohaler®」はNovartis社の登録商標です。
(注)2 為替変動の影響を除いた数値です。
ウルティブロは長時間作用性β2刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。2019年3月にはウルティブロ及びシーブリの中国での販売がNovartis社により開始されました。さらに、Novartis社は2019年第1四半期決算説明資料で、当社が導出した医薬品であるグリコピロニウム臭化物を含む、喘息治療を追加適応としたLAMA/LABA/吸入コルチコステロイド(ICS)3剤を配合したQVM149の開発プログラムの状況を再確認しました。QVM149の第Ⅲ相臨床試験のうちPALLADIUM、IRIDIUM及びARGON試験は2019年第3四半期に完了する予定です。QUARTZ試験は2019年第1四半期に完了しており、データは2019年第3四半期に公表予定です。QVM149の喘息治療の追加適応を2020年に取得するため、2019年下期に承認申請が行われる予定です。なお、当社はQVM149の発売後は、販売高に応じた一定率のロイヤリティを受領できることになっています。
(営業費用)
売上原価
当第1四半期連結累計期間の売上原価は、213百万円となりました。売上原価には、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費及び研究施設の減価償却費並びに消耗品費等の直接経費、及びオラビ®販売に係る直接経費を計上しております。
研究開発費
当第1四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比890百万円減少し、936百万円となりました。これは主に、DLB患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験(MATILDA)の自主的な中断に関するもの及び自社開発プログラムへの投資をより焦点を絞って行ったことによるものです。当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の94%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比49百万円増加し、557百万円となりました。これは主に、全般的なコスト管理を強化した一方、当社株価上昇に伴い株式報酬費用に係る英国での社会保険料が増加したことによるものです。
非現金支出費用
当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比30百万円増加し、372百万円となりました。当第1四半期連結累計期間の有形固定資産の減価償却費は103百万円(前年同四半期比66百万円増加)、無形資産の償却費は238百万円(前年同四半期比8百万円増加)、株式報酬費用は31百万円(前年同四半期比44百万円減少)となりました。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、1,061百万円の利益(前年同四半期は1,783百万円の損失)となりました。これは主に、上述の売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
(金融収益及び金融費用)
当第1四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期比16百万円悪化し、64百万円の費用超過となりました。これは主に、企業結合による条件付対価に係る費用の戻入れがあった一方で、為替差損益が悪化したことによるものです。なお、企業結合による条件付対価はHeptares社の取得にかかる追加の取得対価です。Heptares社の取得日時点での最大追加支払対価は220百万米ドルとなっており、現時点で68百万米ドルが支払われています。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、1,018百万円の利益(前年同四半期は1,568百万円の損失)となりました。これは主に、上述の売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,858百万円増加し、61,845百万円となりました。これは主に、IFRS第16号の適用により当第1四半期連結会計期間の期首に使用権資産として新たに有形固定資産に1,730百万円認識されたこと、及びMedicxi社との提携に伴う株式の取得及びSosei RMF1投資事業有限責任組合による投資によりその他の金融資産が562百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ806百万円増加し、18,213百万円となりました。これは主に、有利子負債が、返済により767百万円減少した一方、IFRS第16号の適用によりリース債務として新たに当第1四半期連結会計期間の期首に1,817百万円認識されたことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,052百万円増加し、43,632百万円となりました。これは主に、四半期利益の計上1,018百万円及び在外営業活動体の為替換算差額956百万円です。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ29.9%、13.0%及び70.5%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ255百万円減少し、当第1四半期連結会計年度末は18,505百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは359百万円の収入となりました。これは主に、営業債務516百万円の減少によりキャッシュ・フローが減少した一方、AstraZeneca UK Limitedからのマイルストン収入等により税引前四半期利益929百万円が計上されキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは211百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出131百万円及びSosei RMF1投資事業有限責任組合による投資有価証券の取得による支出100百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは447百万円の支出となりました。これは主に、有限責任組合員からの払込による収入495百万円によりキャッシュ・フローが増加した一方、有利子負債の返済767百万円、条件付対価の決済による支出252百万円によりキャッシュ・フローが減少したことによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ831百万円減少し、1,024百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、臨床開発ステージへ移行した製品を有するバイオ医薬品企業であり、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする高度に革新的な医薬品の研究開発を通じ、日本屈指の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることをビジョンに掲げています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォーム及び自社開発パイプラインを引き続き拡充しました。
(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携、(2)革新的な製薬企業、バイオ医薬品企業及びベンチャーキャピタルファンドとの研究開発活動における新規及び既存の提携、(3)当社独自で開発、という当社グループの均衡の取れたビジネスモデル全ての分野で進展がありました。
当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループは15品目が創薬段階にあり、6品目が前臨床試験中、8品目(注)が臨床試験中です。
(注) 喘息を対象としたQVM149、複数の固形がんを対象としたAZD4635、レビー小体型認知症(DLB)を対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)進行性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象としたAZD4635、アルツハイマー病(AD)の神経行動学的症状を対象としたHTL0016878、ADを対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、神経障害を対象としたHTL0014242及び内分泌障害を対象としたHTL0030310。
大手グローバル製薬企業と提携した品目の中では、当社グループが最初に提携を行ったプログラムが第Ⅱ相臨床試験開始を目指しており、それによって、重要なマイルストンを達成しました。
2019年1月7日、当社グループは、AstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)との提携によって開発中の次世代がん免疫療法が、同社より、AZD4635の開発でマイルストンを達成したことが通知されたと発表しました。この結果、当社グループはAstraZeneca社より15百万米ドルのマイルストンを受領しました。これまでの臨床試験では、AZD4635の単剤及びデュルバルマブとの併用時の最大耐薬量が決定されています。この試験は、複数の固形がんを対象としたAZD4635による治療の可能性について、探索が行われる段階にまで順調に進捗しています。その結果、AstraZeneca社は第Ⅱ相臨床試験開始を目指しており、それによって、マイルストンを受領しました。
2019年3月22日、当社グループは、慢性閉塞性肺疾患(以下「COPD」)治療薬「ウルティブロ®ブリーズへラー®」及び「シーブリ®ブリーズへラー®」の中国での販売が開始されたと発表しました。2005年4月、当社グループとVectura Group PLC(以下「Vectura社」)は、グリコピロニウムに関する特定の用途及び製剤の知的財産権に関する独占的ライセンスをNovartis international AG(以下「Novartis 社」)に許諾しており、グローバルでの販売からのロイヤリティ収入を受領する権利を有しています。両剤は、中国において、Novartis社が支配権を有する子会社であるBeijing Novartis Pharma Co., Ltd.及びSandoz (China) Pharmaceutical Co., Ltd.からのライセンス契約に基づき、Zhejiang Hisun Pharmaceutical Co., Ltd.のグループ会社であるHuizheng (Shanghai) Technology Co., Ltd.により販売されます。本件にともなう当社グループの2019年12月期連結業績に与える影響は軽微であると見込んでいます。
革新的な製薬企業、バイオ医薬品企業及びベンチャーキャピタルファンドとの提携でも引き続き大きな進展があり、オレキシン受容体作動薬プログラムに関するベンチャーキャピタルファンドとの新たな研究開発における提携を発表しました。
2019年2月4日、当社グループは、重要なアセットに特化した企業の資金提供を専門とするベンチャーキャピタルファンドであるMedicxi社と、ストラクチャードファイナンス契約を締結したことを発表しました。当契約により、GPCRであるオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーターが原因となる神経系疾患に対する新規治療法の開発を目指すOrexia Limited(以下「Orexia社」)及びInexia Limited(以下「Inexia社」)の独立系二社が設立されました。Medicxi社は、両社に対し合計で最大40百万ユーロの投資を行います。本契約の条件に基づき、Orexia社とInexia社は、当社グループによって設計及び開発されたデュアルOX1/OX2作動薬を含む一連のオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーター及び類縁薬に関する特定の知的財産権及びノウハウ・開発力活用等の権利を取得しました。Orexia社は経口薬の開発、Inexia社はOptinose US, Inc.のExhalation Delivery Systemを活用した鼻腔内投与薬の開発に重点的に取り組みます。当社グループは両社の株式を保有し、研究開発に対する支払い、及び事前に設定された開発マイルストンの達成時に追加の支払いを受領します。神経系疾患分野での幅広い経験を含む、当社グループのプラットフォーム技術、創薬及び開発における専門性を活用することで、Medicxi社の支援による本資金提供により、経口または鼻腔内投与のためのリード化合物のさらなる開発を推し進め、臨床開発ステージ、さらにはPOCへの移行が期待できます。ターゲットとなる具体的な適応症はプログラムが進展する中で決定され、希少な睡眠障害であるナルコレプシーが含まれます。
当社グループの独自開発については、パイプラインへの必要な投資を継続し、複数の候補品の臨床試験入り及び製品の発売を行いました。
2019年1月31日、当社グループは、当社グループの100%子会社である株式会社そーせい(以下「そーせい」)が製造販売承認を取得した口腔咽頭カンジダ症治療薬「オラビ®錠口腔用 50mg」(以下「オラビ®」)について、販売提携先である富士フイルム富山化学株式会社(以下「富士フイルム富山化学」)が2019年2月4日より発売すると発表しました。オラビ®の国内販売については、富士フイルム富山化学へ独占販売権を付与しております。そーせいは、富士フイルム富山化学から製品の販売収入及び販売目標達成時にマイルストンを別途受領できる権利を持っています。
2019年2月20日、当社グループは、クッシング病を含む内分泌疾患治療を対象とする新規低分子HTL0030310の自社開発において、第Ⅰ相臨床試験を開始したことを発表しました。HTL0030310はSSTR5(ソマトスタチン5)受容体に対する強力で選択的な作動薬です。当社グループ独自のGPCRの構造解析技術を駆使したSBDDにより設計された化合物であり、臨床試験入りした当社グループの医薬品候補薬としては6番目になります。HTL0030310の臨床試験デザインは、健康成人男女を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照、単回皮下投与用量漸増試験です。
他の当社グループ保有の研究開発品目も順調に進捗しました。
2019年3月31日現在、当社グループの従業員数は161人(2018年12月31日時点比8人減少)です。
当社グループは、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、前連結会計年度は2018年4月1日から2018年12月31日までの9か月間となり、以下、当第1四半期連結累計期間の業績に関しては、前年同四半期(2018年4月1日から2018年6月30日まで)との比較により記載しています。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益3,136百万円(前年同四半期比2,301百万円増加)、営業利益1,061百万円(前年同四半期は1,783百万円の損失)、税引前四半期利益929百万円(前年同四半期は1,943百万円の損失)、四半期利益1,018百万円(前年同四半期は1,568百万円の損失)となりました。
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2019年1月1日 至 2019年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2018年4月1日 至 2018年6月30日) | 前年同四半期比 | |
売上収益 | 3,136 | 835 | 2,301 |
売上原価 | △213 | - | △213 |
研究開発費 | △1,024 | △1,855 | 831 |
販売費及び一般管理費 | △841 | △821 | △20 |
その他の収益及びその他の費用 (※2) | 3 | 58 | △55 |
営業利益又は損失(△) | 1,061 | △1,783 | 2,844 |
金融収益及び金融費用 (※2) | △64 | △48 | △16 |
持分法投資損益 | △68 | △112 | 44 |
税引前四半期利益又は損失(△) | 929 | △1,943 | 2,872 |
四半期利益又は損失(△) | 1,018 | △1,568 | 2,586 |
※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は、純額で表示しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しております。
(売上収益)
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2019年1月1日 至 2019年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2018年4月1日 至 2018年6月30日) | 前年同四半期比 | |
マイルストン収入及び契約一時金 | 2,257 | 101 | 2,156 |
ロイヤリティ収入 | 576 | 626 | △50 |
医薬品販売 | 65 | - | 65 |
その他 | 238 | 108 | 130 |
合計 | 3,136 | 835 | 2,301 |
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ2,301百万円増加し、3,136百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間のマイルストンに関する収益は、前年同四半期比2,156百万円増加し、2,257百万円となりました。この増加は主に、AstraZeneca社から15百万米ドルのマイルストンに関する収益を受領したことによるものです。前年同四半期には新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益はありませんでした。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比50百万円減少し、576百万円となりました。その大半は導出先であるNovartis社(注)1によるウルティブロ及びシーブリの売上に関連するものです。
2019年4月24日のNovartis社の発表によると、両剤の2019年第1四半期(2019年1月から2019年3月)の売上は135百万米ドル(前年同四半期比9百万米ドル減少)となりました。Novartis社による2019年第1四半期の製品別の売上は以下のとおりです:
・ 「ウルティブロ」(売上104百万米ドル、前年同四半期比7%増(注)2)LAMA/LABAの配合剤であるウルティブロは当四半期において、FLAME及びSUNSET臨床試験の結果、並びにCOPDの診断・ケア・予防に関する世界的な指針となる2019年版GOLDレポートに後押しされ、売上は継続的な伸びとなりました。
・ 「シーブリ」(売上31百万米ドル、前年同四半期比10%減(注)2)LAMAの単剤であるシーブリの当四半期の売上は、欧州での競争及びウルティブロへの資源配分のために減少しました。
(注)1 グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社及び共同開発パートナーであるVectura社からNovartis社に導出しています。これらの製品は米国において、Utibron™ Neohaler®、Seebri™ Neohaler®の製品名で異なる用量・用法で販売されています。Sunovion Pharmaceuticals Inc.(以下「サノビオン社」)は、2016年12月21日に米国における販売権を取得しています。サノビオン社は2017年10月にSeebri™ Neohaler®の販売を開始しています。「シーブリ®ブリーズヘラー®」 「ウルティブロ®ブリーズヘラー®」 「Utibron™ Neohaler®」「Seebri™ Neohaler®」はNovartis社の登録商標です。
(注)2 為替変動の影響を除いた数値です。
ウルティブロは長時間作用性β2刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。2019年3月にはウルティブロ及びシーブリの中国での販売がNovartis社により開始されました。さらに、Novartis社は2019年第1四半期決算説明資料で、当社が導出した医薬品であるグリコピロニウム臭化物を含む、喘息治療を追加適応としたLAMA/LABA/吸入コルチコステロイド(ICS)3剤を配合したQVM149の開発プログラムの状況を再確認しました。QVM149の第Ⅲ相臨床試験のうちPALLADIUM、IRIDIUM及びARGON試験は2019年第3四半期に完了する予定です。QUARTZ試験は2019年第1四半期に完了しており、データは2019年第3四半期に公表予定です。QVM149の喘息治療の追加適応を2020年に取得するため、2019年下期に承認申請が行われる予定です。なお、当社はQVM149の発売後は、販売高に応じた一定率のロイヤリティを受領できることになっています。
(営業費用)
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2019年1月1日 至 2019年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2018年4月1日 至 2018年6月30日) | 前年同四半期比 | |
売上原価 | 213 | - | 213 |
研究開発費 | 1,024 | 1,855 | △831 |
現金支出 | 936 | 1,826 | △890 |
非現金支出費用 | 88 | 29 | 59 |
販売費及び一般管理費 | 841 | 821 | 20 |
現金支出 | 557 | 508 | 49 |
非現金支出費用 | 284 | 313 | △29 |
売上原価
当第1四半期連結累計期間の売上原価は、213百万円となりました。売上原価には、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費及び研究施設の減価償却費並びに消耗品費等の直接経費、及びオラビ®販売に係る直接経費を計上しております。
研究開発費
当第1四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比890百万円減少し、936百万円となりました。これは主に、DLB患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験(MATILDA)の自主的な中断に関するもの及び自社開発プログラムへの投資をより焦点を絞って行ったことによるものです。当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の94%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比49百万円増加し、557百万円となりました。これは主に、全般的なコスト管理を強化した一方、当社株価上昇に伴い株式報酬費用に係る英国での社会保険料が増加したことによるものです。
非現金支出費用
当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比30百万円増加し、372百万円となりました。当第1四半期連結累計期間の有形固定資産の減価償却費は103百万円(前年同四半期比66百万円増加)、無形資産の償却費は238百万円(前年同四半期比8百万円増加)、株式報酬費用は31百万円(前年同四半期比44百万円減少)となりました。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、1,061百万円の利益(前年同四半期は1,783百万円の損失)となりました。これは主に、上述の売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
(金融収益及び金融費用)
当第1四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期比16百万円悪化し、64百万円の費用超過となりました。これは主に、企業結合による条件付対価に係る費用の戻入れがあった一方で、為替差損益が悪化したことによるものです。なお、企業結合による条件付対価はHeptares社の取得にかかる追加の取得対価です。Heptares社の取得日時点での最大追加支払対価は220百万米ドルとなっており、現時点で68百万米ドルが支払われています。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、1,018百万円の利益(前年同四半期は1,568百万円の損失)となりました。これは主に、上述の売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,858百万円増加し、61,845百万円となりました。これは主に、IFRS第16号の適用により当第1四半期連結会計期間の期首に使用権資産として新たに有形固定資産に1,730百万円認識されたこと、及びMedicxi社との提携に伴う株式の取得及びSosei RMF1投資事業有限責任組合による投資によりその他の金融資産が562百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ806百万円増加し、18,213百万円となりました。これは主に、有利子負債が、返済により767百万円減少した一方、IFRS第16号の適用によりリース債務として新たに当第1四半期連結会計期間の期首に1,817百万円認識されたことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,052百万円増加し、43,632百万円となりました。これは主に、四半期利益の計上1,018百万円及び在外営業活動体の為替換算差額956百万円です。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ29.9%、13.0%及び70.5%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ255百万円減少し、当第1四半期連結会計年度末は18,505百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは359百万円の収入となりました。これは主に、営業債務516百万円の減少によりキャッシュ・フローが減少した一方、AstraZeneca UK Limitedからのマイルストン収入等により税引前四半期利益929百万円が計上されキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは211百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出131百万円及びSosei RMF1投資事業有限責任組合による投資有価証券の取得による支出100百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは447百万円の支出となりました。これは主に、有限責任組合員からの払込による収入495百万円によりキャッシュ・フローが増加した一方、有利子負債の返済767百万円、条件付対価の決済による支出252百万円によりキャッシュ・フローが減少したことによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ831百万円減少し、1,024百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。