四半期報告書-第31期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

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2020/08/13 15:44
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文中の将来に関する事項は、四半期報告書提出日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及びテクノロジーに立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の生活の質と健康の向上に大きく貢献することをミッションとし、バイオ医薬品及び創薬に関する日本屈指の国際的なリーディング企業になることをビジョンに掲げています。
当第2四半期連結累計期間において、当社グループは創薬及び初期開発パイプラインを引き続き拡充し、独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォームを強化しました。
当社グループのビジネスモデルは、(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進、(2)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動における新規提携の創出及び既存の提携の推進、(3)実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結、という価値創造のための3つの重点分野に注力しています。
2020年3月25日、当社は第30回定時株主総会を開催しました。当日は当社代表執行役会長兼社長CEOである田村眞一から、世界有数のプラットフォーム、創薬及び初期開発における能力を活用し、提携プログラムを推進、強化するという次世代の成長戦略の実行にさらに力を入れていくことを説明しました。グループの戦略の概要は以下の通りです。
1.最先端のサイエンス及びテクノロジーに立脚した創薬ビジネスの構築
・世界をリードするサイエンスとテクノロジー、特にStaR® Gタンパク質共役受容体「以下(GPCR)」技術及びSBDDプラットフォームを有するHeptares Therapeutics Ltd.を、2015年に買収したことがこの目標の基礎となっています。
・このテクノロジー及びプラットフォームは、グループの創薬への取り組みの中核をなし、これらを融合させることで、GPCRを標的とした医薬品設計における世界有数のアプローチの1つを確立することが可能となりました。
・当社グループは、GPCR及びその他の膜タンパク質を標的とする創薬における、未開拓の重要な機会を引き続き追求し、創薬困難な標的を含む価値の高いプログラムに注力していきます。
2.価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業のための複数の新薬候補化合物の創製
・サイエンス及びテクノロジーに立脚したアプローチにより、当社グループは、過去10年間で24品目以上の前臨床候補物質を創出し、そのうち7品目は臨床試験入りしています。この高い創薬能力は、非常に効率的なアプローチによるもので、製薬業界の標準よりも1年から2年早く前臨床候補物質を創製することができます。
・これらの前臨床候補物質の多くは、Pfizer Inc.(以下「Pfizer社」)、Allergan Pharmaceuticals International Limited(以下「Allergan社」)、AstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)、武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)、Genentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)さらに最近のAbbVie, Inc.(以下「アッヴィ社」)との提携を含む、当社グループの価値の高い提携の基礎となっています。
・グループはこの創薬及び初期開発の戦略を継続し、毎年少なくとも2件の新規の価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業を実現することを目指します。
3.価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業からの利益をGPCR創薬及びSBDDのリーダーシップを強化させるために必要なテクノロジーに投資
・テクノロジーが現状にとどまることはなく、当社グループの目標は、イノベーションと生産性を高める非常に魅力的なソリューションを提供し、製薬企業にとっての創薬パートナーとして選ばれる存在になることです。
・当社グループは、提携及びベンチャーとの協業から得られた利益を、中核テクノロジーが継続的に刷新・強化できるよう投資しており、これまでに以下の取り組みを行っています。
-スイスのG7 Therapeutics AGの買収
-ドイツを拠点とする革新的なDNAコード化化合物ライブラリ技術を保有する企業、及びAI(人工知能)に関するアプローチについてのケンブリッジ大学との協業
-ノーベル賞を受賞しているクライオ電子顕微鏡に関するテクノロジー等への積極的な投資
・当社グループは、最先端のサイエンスとテクノロジーを維持し、革新的な創薬におけるリーダーシップを強化するために、より新しいテクノロジー、ツール及びプラットフォームを利用可能にするための導入または提携を行っていく所存です。
当第2四半期連結累計期間末現在、当社グループのプログラムの20品目以上が創薬段階、13品目が前臨床試験中、複数の自社開発及び提携プログラム(注)1、2が臨床試験中です。
(注)1 前立腺がんを対象としたAZD4635(併用療法)、複数の固形がんを対象としたAZD4635、アルツハイマー病(AD)の神経行動学的症状を対象としたHTL0016878、ADを対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、2型糖尿病(T2DM)/肥満を対象としたPF-0781532、神経障害を対象としたHTL0014242及び内分泌障害を対象としたHTL0030310。
(注)2 日本でのDLB患者様を対象としたHTL0018318の第Ⅱ相臨床試験は中止を決定しました。当社グループは、実施中の調査活動の結果を待って、医薬品医療機器総合機構(PMDA)へHTL0018318(あるいは別の新規M1作動薬候補)の新たな治験届を将来再提出する予定です。
当社グループのCOVID-19への対応
2020年3月11日、世界保健機構(WHO)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック宣言を発表しました。当社グループは、COVID-19の流行とその当社グループの事業活動に与える影響を注視しています。グローバルなライフサイエンス業界で事業を展開する当社グループは、全てのステークホルダー及び社会の健康と安全を確保するための重要な役割を担っています。当社グループが優先すべきことは従業員、地域社会の皆様及び臨床試験中の患者様、被験者様、治験実施者の皆様の健康です。当社グループは、COVID-19の流行への対応として、以下のようないくつかの措置を講じています。
・ COVID-19の蔓延を押さえるため、従業員及び当社グループが事業活動を行う地域社会にとって安全な職場環境を確保する方針及び活動の実施。これには、多くの従業員の在宅勤務の実施が含まれるが、当社グループにとって不可欠な従業員、とりわけ研究施設に従事する研究者は、最適な輪番制により、またCOVID-19の流行に対する英国政府の安全衛生規制措置に従い業務を実施。また、英国の研究開発施設において、不可欠な従業員に対する週次でのSARS-CoV-2コロナウイルス(COVID-19の原因ウイルス)の検査を導入。
・ 英国の地元のホスピスへの個人用保護具の寄付。
・ SARS-CoV-2コロナウイルスを標的とする治療薬創出に関する世界的な研究活動に、独自のSBDDプラットフォームとその技術の応用とCOVID-19に関する新たな社内の研究開発プログラムの開始。全ての研究成果はCOVID-19及び将来の変異株による感染症の治療法開発に携わる世界の研究コミュニティが自由に利用可能。
2020年4月14日、当社グループは、COVID-19に関する新たな研究開発プログラムに構造ベース創薬の専門知識を応用することを発表しました。この新たな研究開発プログラムは、治療薬開発の重要な標的とされているSARS-CoV-2 MProプロテアーゼ(Nsp5)の活性を阻害する新規化合物を特定するためのものです。Mproプロテアーゼは、ウイルスゲノムから翻訳されるポリタンパク質を12の非構造タンパク質(Nsp4-Nsp16)に切断し、そのうちのいくつかはウイルスの複製に重要な役割を果たすことが分かっています。当社グループは、構造的及び生物物理学的分析、計算化学、医薬品化学といった多くの専門分野にわたるチームを結成しました。当チームは、SARS-CoV-2コロナウイルスだけでなく、予見される将来の変異ウイルスに対する新規阻害剤となる化合物の精密な設計に、SBDD及び最先端の技術に関する豊富な経験を応用します。プログラムによって得られる全ての研究成果は、COVID-19危機に対する解決策の調査を行う世界の研究コミュニティが自由に利用可能となります。さらに、当社グループは、当プログラムをサポートいただける業界パートナーとの協業体制構築とともに、医薬品及びバイオ医薬品業界による世界的な取り組みの一環として、COVID-19の新規治療法の取り組みの他の分野においても独自の専門知識を提供することを目指しています。なお、この大切な非営利研究活動への投資による、当社グループの財務諸表への重大な影響はありません。当社グループがこのプロジェクトに取り組む目的は、業界全体の協力を通じて、世界中の患者様の福祉に長期的に貢献することです。
複数の大手グローバル製薬企業との提携における進捗
大手グローバル製薬企業との提携については、順調に進捗し、COVID-19の状況の影響により置かれた状況下で、研究開発の継続性を確保するための施策を講じました。特に武田薬品及びジェネンテック社との提携において、当社グループの業務上、これらの研究開発に関する提携が優先されており、効率良く進められています。
他の導出プログラムは、AstraZeneca社、Pfizer社、アッヴィ社等の提携先により進められており、進捗はしていますが、世界的なCOVID-19の状況の影響で、多少の遅延が生じる可能性が想定されます。
2020年5月1日、当社グループは、ノバルティス社が、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(以下「CHMP」)によりコントロール不良な喘息の成人患者の維持療法としてエナジア® ブリーズヘラー®(QVM149;インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物およびフランカルボン酸モメタゾン「IND/GLY/MF」)が欧州連合における承認を勧告されたことについて公表したと発表しました。
2020年6月5日、当社グループは、ノバルティス社が、第Ⅲb相臨床試験(ARGON試験)の全ての結果がRespiratory Medicineにオンライン掲載されたと公表したと発表しました。第Ⅲb相非盲検臨床試験(ARGON試験)において、単一吸入器により定用量投与可能な1日1回投与の高用量および中用量のエナジア® ブリーズヘラー®が、2つの異なる吸入器による1日2回投与の高用量サルメテロールキシナホ酸塩/フルチカゾンプロピオン酸エステル(以下「Sal/Flu」)と1日1回投与のチオトロピウム(以下「Tio」)の併用療法によるコントロール不良な喘息患者に対して生活の質の向上に対する非劣性が示されました。副次的解析の中で、高用量1日1回投与のIND/GLY/MFは高用量Sal/Flu+Tioと比較して、呼吸機能、喘息コントロール、健康状態の改善、および中程度の増悪の低下が認められました。
2020年6月25日、当社グループは、研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ社と独占的創薬提携およびライセンス契約のオプションに関する契約を締結したことを発表しました。この契約により、アッヴィ社が選定したGPCRターゲットに作用する新規医薬品の研究開発と商品化を目指します。この提携により当初は炎症性疾患および自己免疫疾患を標的とする新規低分子の創薬に注力します。当社グループは独自のStaR®技術およびGPCRに重点を置いたSBDD技術を応用し候補品を見出して、その治験許可申請のための前臨床試験までの研究開発費を負担します。アッヴィ社は、プログラムの導入及びグローバルな開発・販売を行うことができる独占的オプションを有しています。本契約の条件に基づき、当社グループは、契約一時金と初期マイルストン合計で最大32百万米ドルを受領する権利を有しており、さらに、オプション、開発・販売の達成に応じた、最大377百万米ドルのマイルストンに加えて、グローバルでの販売高に応じた段階的ロイヤリティを受領する権利を有しています。また、アッヴィ社は合計で最大4種までターゲットを拡大できるオプションを有しており、総額1,000百万米ドルを超える取引額となる可能性があります。
2020年6月29日、当社グループは、戦略的提携先であるノバルティス社の日本法人であるノバルティス ファーマ株式会社が、世界に先駆けて喘息治療剤「エナジアTM吸入用カプセル中用量、高用量」(以下「エナジア」)(注)3の製造販売承認を取得したと公表したことを発表しました。2005年の開発およびライセンス契約の条件に基づき、この成果により、当社グループは2020年第3四半期に1.25百万米ドルのキャッシュマイルストンを受領します。「エナジア」は、長時間作用性β2刺激剤(以下「LABA」)のインダカテロール酢酸塩、長時間作用性抗コリン剤(以下「LAMA」)のグリコピロニウム臭化物、吸入ステロイド剤(以下「ICS」)のモメタゾンフランカルボン酸エステル(IND/GLY/MF)のLABA/LAMA/ICS配合剤で、専用の吸入器「ブリーズヘラー®」による1日1回投与で気管支拡張作用および抗炎症作用を発揮します。中用量および高用量の2用量品があり、その規格はともにインダカテロールは150μg、グリコピロニウムは50μgを含有し、モメタゾンフランカルボン酸エステルはそれぞれ80μgおよび160μgを含有します。また、吸入器にブリーズヘラー用センサーを組み合わせた新たなデジタルデバイスが日本で初めて医師を通じて提供されます。本センサーはスマートフォンとの連動による、日々の服薬の記録や服薬リマインダー機能を備えています。また、患者さまと医師のコミュニケーションを支援し、コントロール不十分な喘息の長期管理に貢献します。
(注)3 効能又は効果:気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入β2刺激剤および長時間作用性吸入抗コリン剤の併用が必要な場合)。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携における進展
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携でも引き続き大きな進展がありました。
2020年1月14日、当社グループは、スピンオフ企業であるOrexia Limited(以下、「Orexia社」)及びInexia Limited(以下、「Inexia 社」) による科学的な著しい進展により、40 百万ユーロのコミットメントの下で、ベンチャーキャピタルであるMedicxi社から次なる資金提供が実行されたことを発表しました。当社グループ及び重要なアセットに特化した企業への資金提供を専門とするMedicxi社は、GPCRであるオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーターを基礎とする、ナルコレプシーを含む神経系疾患に対する新規治療法の開発を目指し、2019 年にOrexia社とInexia社を設立しました。
2020年5月7日、当社グループは、当社のスピンオフ企業であるOrexia社およびInexia社と連携して開発中のオレキシン受容体作動薬プログラムでさらなる進展があったことを発表しました。当社グループは、独自のStaR®技術と構造ベース創薬アプローチにより、アゴニストと結合したオレキシン受容体OX2の構造解析、さらに低分子化合物の結合部位特定に成功しました。受容体の構造に関するこれまでにないより優れた知見は、神経系疾患を標的とする新規分子の創薬と開発の最適化に極めて有益となります。Orexia社とInexia社は、Medicxi社による40百万ユーロのコミットメントの下で資金提供を受けています。
提携につながる新規候補物質創出のために当社グループ独自で行う創薬及び初期開発
当社グループは、パイプラインへの重要な投資を継続し、複数の創薬候補品の初期開発段階のプログラムで進捗がありました。当社グループが実施している2つの第Ⅰ相臨床試験(HTL0014242及びHTL0030310)は順調に進んでおり、現在、複数の提携交渉の対象となっています。しかしながら、世界的なCOVID-19の状況の影響で、これらの臨床試験の完了に多少の遅延が生じる可能性が想定されます。
2020年3月20日、当社グループは、GPCRを標的とする新規ペプチド医薬品の創製における構造ベースアプローチの可能性を明らかにする、影響力のある新たな論文を発表しました。「Gタンパク質共役受容体を標的とする治療用ペプチドの進歩」(Davenport、その他)というタイトルの論文が、科学的権威ある学術誌、Nature Reviews Drug Discovery誌に掲載されました。
この論文は、当社グループ独自のStaR®プラットフォームやクライオ電子顕微鏡を含む、最先端の構造ベース技術を活用した新しい創薬に関する戦略に焦点を当てており、これらの手法は、正確に計画設計された目標活性と、より優れた薬物仕様(薬物動態及び薬力学的)の特性を備えた、選択的な新規ペプチドを創製するために利用されています。このようなペプチドには、作動薬、拮抗薬、特定のダウンストリームシグナル伝達経路を活性化するように設計されたペプチド(バイアスドリガンド)、及び2つの異なる GPCR を活性化するデュアル作動薬が含まれます。
疾患に関与するGPCRを標的とした、適確に計画設計された新規ペプチド医薬品の創製は、当社グループに多様な提携の機会を提供することになります。
2020年6月30日以降の当社グループのビジネスハイライト
2020年7月7日、当社グループは、ノバルティス社が、過去1年以内に1回以上喘息症状の増悪を経験しており、LABA/高用量のICSの併用維持療法で喘息症状が適切にコントロールされなかった成人患者の維持療法としてエナジア® ブリーズヘラー®が欧州委員会(以下「EC」)により承認されたと公表したことを発表しました。1日1回吸入のエナジア® ブリーズヘラー®は、欧州連合(以下「EU」)で初めてのLABA/LAMA/ICSの三剤固定用量配合剤になります。吸入確認、服薬リマインダー、治療上の決定をより良くサポートする客観的データへのアクセスを提供するセンサーおよびアプリを備えたオプションのデジタルデバイスも承認に含まれます。ECによる承認は、3,000人を超える喘息の被験者を対象とした第Ⅲ相IRIDIUM試験において、1日1回吸入のエナジア® ブリーズヘラー®が1日1回吸入のアテキュラ® ブリーズヘラー®(IND/MF)と比較して、LABA/ICS標準治療でコントロール不十分な喘息患者に対し、呼吸機能について統計的有意な改善を示した有効性および安全性データに基づいています。このECの決定は、EU加盟国全27ヵ国および英国、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインに適用されます。2005年の開発およびライセンス契約の条件に基づき、この成果により、当社グループは5百万米ドルのマイルストンを受領することになります。当社グループは、EUおよび承認されたその他の市場におけるエナジア® ブリーズヘラー®の将来の販売高に応じたロイヤリティを受領する権利を有しています。
2020年7月10日、当社グループは、ノバルティス社が、第Ⅲ相臨床試験(IRIDIUM試験)結果が査読のある著名な学術誌、The Lancet Respiratory Medicine誌に掲載されたと公表したことを発表しました。ノバルティス社は2019年10月にトップライン結果を公表しています。LABA/ICSによる治療でコントロール不良な喘息患者を対象としたIRIDIUM試験において、1日1回投与の高用量および中用量のエナジア® ブリーズヘラー®(IND/GLY/MF)が、1日1回投与のQMF149(以下「IND/MF」)と比較して、呼吸機能が統計的に有意な改善を示し、主要評価項目を達成しました。重要な副次的評価項目は、IND/GLY/MFのIND/MFに対する喘息管理質問票7(ACQ-7)のスコアの改善でした。いずれの群も臨床的に意味のある改善を示しましたが、本副次的評価項目は達成されませんでした。二次解析では、高用量IND/GLY/MFは高用量Sal/Fluと比較して呼吸機能の改善、ならびに中等度から重度および重度の喘息増悪率の臨床的意義のある低下を示しました。IRIDIUM試験におけるIND/GLY/MFおよびIND/MFにおける有害事象(以下「AE」)と重篤な有害事象(以下「SAE」)の発生率は投与群間で同程度でした。最も多く報告されたAEとSAEは喘息症状の増悪でした。エナジア® ブリーズヘラー®は欧州連合、日本およびカナダで承認されています。その他の国でもQVM149の承認審査が進められています。
2020年7月16日、当社グループは、海外募集による新株式(以下「本新株式」)の発行及び2025年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行(以下、本新株式の発行と併せて「本海外募集」)に関し、同日払込み(手取り金総額209億円)が完了したことを発表しました。当社グループは、本海外募集による手取り金を以下の使途に充当する予定です。
1.手取り金の大半を以下の戦略的成長投資に充当
・長期的な収益成長を確保するための転機となる可能性を持った企業買収
・当社グループが有する創薬プラットフォームを補完・拡充する新規技術への投資
・当社グループの創薬及び初期開発の新規ターゲットへの拡大
・国内市場向けの後期臨床開発段階にあるアセットの導入
2.残りの資金を既存の研究開発活動及び運転資金などの内部成長投資に充当
当社グループの当第2四半期連結累計期間の経営成績
2020年6月30日現在、当社グループの従業員数は170人(2019年12月31日時点比7名増)です。
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上収益2,516百万円(前年同四半期比2,540百万円減少)、営業損失1,136百万円(前年同四半期は731百万円の利益)、税引前四半期損失1,270百万円(前年同四半期は292百万円の利益)、四半期損失2,117百万円(前年同四半期は395百万円の利益)となりました。
(単位:百万円)
当第2四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年6月30日)
前第2四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
前年同四半期比
売上収益2,5165,056△2,540
売上原価に係る現金支出△304△37571
研究開発費に係る現金支出△1,500△1,862362
販売費及び一般管理費に係る現金支出△925△1,239314
その他の収益及びその他の費用 (※2)321616
現金利益又は損失(△) (※3)△1811,596△1,777
非現金支出費用△955△865△90
営業利益又は損失(△)△1,136731△1,867
金融収益及び金融費用 (※2)46△385431
持分法投資損益△180△54△126
税引前四半期利益又は損失(△)△1,270292△1,562
四半期利益又は損失(△)△2,117395△2,512

※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は、純額で表示しております。
※3.「現金利益又は損失(△)」は営業利益又は損失(△)に有形固定資産の減価償却費及び無形資産の償却費並びに株式報酬費用を加算した金額を表示しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています
(売上収益)
(単位:百万円)
当第2四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年6月30日)
前第2四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
前年同四半期比
ロイヤリティ収入1,2191,20118
マイルストン収入及び契約一時金7533,173△2,420
医薬品販売-135△135
その他544547△3
合計2,5165,056△2,540

当第2四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ2,540百万円減少し、2,516百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比18百万円増加し、1,219百万円となりました。その大半は導出先であるNovartis社(注)によるウルティブロ及びシーブリの売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®およびブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
ノバルティス社は当社グループが導出した医薬品であるグリコピロニウム臭化物を含むLAMA/LABA/ICS三剤を配合したエナジア® ブリーズヘラー®(QVM149)が、2020年6月に日本で、7月にEUで承認されたと発表しました。なお、当社グループはエナジア® ブリーズヘラー®の販売高に応じてロイヤリティを受領できることになっています。
当第2四半期連結累計期間のマイルストン収入及び契約一時金は、前年同四半期比2,420百万円減少し、753百万円となりました。マイルストン収入は、あらかじめ定められた成果を達成できるかどうかによって、四半期毎に変動する可能性があります。この減少は主に、当第2四半期連結累計期間に研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストン収入がなかった一方、前年同四半期にはAstraZeneca社から15百万米ドルのマイルストン収入を受領したことによるものです。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストン収入」に分類しています。
(営業費用)
(単位:百万円)
当第2四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年6月30日)
前第2四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年6月30日)
前年同四半期比
売上原価に係る現金支出304375△71
研究開発費に係る現金支出1,5001,862△362
販売費及び一般管理費に係る現金支出9251,239△314
非現金支出費用95586590
売上原価291811
研究開発費19017614
販売費及び一般管理費73667165

売上原価に係る現金支出
当第2四半期連結累計期間の売上原価に係る現金支出は、前年同四半期比71百万円減少し、304百万円となりました。これは主に、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費及び研究施設の消耗品費等の直接経費を計上した一方、オラビ®販売に係る直接経費が減少したことによるものです。
研究開発費に係る現金支出
当第2四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比362百万円減少し、1,500百万円となりました。これは主に、COVID-19の影響によるプロジェクト活動の減少及び外部委託企業との開発費用の負担を見直したことによるものです。研究開発費全体の95%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費に係る現金支出
当第2四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比314百万円減少し、925百万円となりました。これは主に、株価の変動に伴い株式報酬費用に係る英国での社会保険料が減少したことによるものです。
非現金支出費用
非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用で構成されています。当第2四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比90百万円増加し、955百万円となりました。有形固定資産の減価償却費は255百万円(前年同四半期比32百万円増加)、無形資産の償却費は413百万円(前年同四半期比58百万円減少)、株式報酬費用は287百万円(前年同四半期比116百万円増加)となりました。2019年度にリストリクテッド・ストック・ユニット(RSU)制度を開始しております。2020年4月においてRSUを追加発行したことにより株式報酬費用は増加しております。
(営業損益)
当第2四半期連結累計期間の営業損益は、1,136百万円の損失(前年同四半期は731百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少によるものです。
(金融収益及び金融費用)
当第2四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期は385百万円の費用超過であったものの431百万円改善し、46百万円の収益超過となりました。これは主に、英ポンドに対してドル高となったことに伴う為替差損益の改善及び2019年12月に借入金を繰上返済したことで支払利息が減少したことによるものです。
(四半期損益)
当第2四半期連結累計期間の四半期損益は、2,117百万円の損失(前年同四半期は395百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少によるものです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5,602百万円減少し、51,078百万円となりました。これは主に、円高により当社連結子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.が保有する英ポンド建資産の評価の減少及び2020年6月にそーせいCVC株式会社株式の売却に伴うSosei RMF1投資事業有限責任組合の連結除外の結果その他の金融資産が減少したことによるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,463百万円減少し、10,139百万円となりました。これは主に、Sosei RMF1投資事業有限責任組合の連結除外によりその他の金融負債が減少したことによるものです。
(資本)
当第2四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ4,139百万円減少し、40,939百万円となりました。これは主に、四半期損失の計上2,117百万円及び在外営業活動体の為替換算差額の減少2,508百万円によるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ30.1%、3.2%及び80.2%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ13百万円減少し、当第2四半期連結会計期間末は15,362百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,057百万円の収入となりました。これは主に、法人所得税の還付1,126百万円によりキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは387百万円の支出となりました。これは主に、Sosei RMF1投資事業有限責任組合の投資有価証券の売却による収入238百万円があった一方、そーせいCVC株式会社及びSosei RMF1投資事業有限責任組合の支配喪失に伴う現金及び現金同等物の減少577百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは148百万円の支出となりました。これは主に、条件付対価の決済による支出159百万円によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費は、前第2四半期連結累計期間に比べ348百万円減少し、1,690百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。