有価証券報告書-第30期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及び技術に立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の健康と生活の質の向上に大きく寄与することをミッションとし、日本屈指の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることをビジョンに掲げています。
当連結会計年度において、当社グループは独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術、構造ベース創薬(SBDD)プラットフォームを強化し、創薬及び初期開発パイプラインを引き続き拡充しました。
当社グループ事業全般の強化の点で引き続き順調な進捗が見られ、多くの戦略機会を十分に活用していくための体制を維持することができました。
その結果、(ⅰ)大手グローバル製薬企業との既存の提携、(ⅱ)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動における新規及び既存の提携、(ⅲ)当社グループ独自で行う有望な新規提携のための創薬及び初期開発、という当社グループのビジネスモデル全ての分野で進展がありました。
当連結会計年度末現在、当社グループは15品目が創薬段階にあり、7品目が前臨床試験中、9品目が臨床試験中です。
大手グローバル製薬企業との提携は、引き続き順調に推移しています。当社グループの提携プログラムの中で最も進捗しているAstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)とのプログラムが第Ⅱ相臨床試験を開始し、それに加えて、Pfizer Inc.(以下「Pfizer社」)との多岐にわたる研究開発提携において新たに3品目の前臨床開発候補物質が選定され、そのうち1品目は当期末までに臨床試験入りしました。さらに、第3四半期において、Genentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)及び武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)の2社とそれぞれ新規戦略提携を行い、いずれも順調に進捗しています。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携でも引き続き大きな進展があり、オレキシン受容体作動薬プログラムに関するベンチャーファンドであるMedicxi社との新たな研究開発における提携を発表しました。
当社グループ独自で行う有望な新規提携のための創薬及び初期開発については、複数の創薬候補品を初期開発段階へと進めるために、パイプラインへの必要な投資を継続しています。当社グループは、クッシング病を含む内分泌疾患治療を対象とする新規低分子HTL0030310の自社開発において、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、前連結会計年度は2018年4月1日から2018年12月31日までの9か月間となり、以下、当連結会計年度の業績に関しては、前年同一期間を2018年1月1日から2018年12月31日までの12か月間と仮定した場合の暦年ベースにおける未監査の業績との比較により記載しています。
当連結会計年度の業績は、売上収益9,726百万円(前年同一期間比6,176百万円増加)、営業利益384百万円(前年同一期間は営業損失△7,931百万円)、税引前当期利益534百万円(前年同一期間は税引前当期損失△9,046百万円)、当期利益1,432百万円(前年同一期間は当期損失△6,919百万円)となりました。
※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.その他の収益及びその他の費用並びに金融収益及び金融費用は純額で表示しております。
当連結会計年度の経営成績の分析は以下のとおりです。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、前年同一期間に比べ6,176百万円増加し、9,726百万円となりました。
当連結会計年度のマイルストン及び契約一時金に関する収益は、前年同一期間比5,616百万円増加し、6,013百万円となりました。この増加は当期におけるマイルストン収入の発生及びMedicxi社、ジェネンテック社及び武田薬品との新規提携の開始によるものです。マイルストン収入にはAstraZeneca社からの15百万米ドル及びPfizer社からの合計14百万米ドルのマイルストンに加え、Novartis International AG(以下「ノバルティス社」)及び富士フイルム富山化学株式会社からのマイルストンが含まれます。前年同一期間には新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益はありませんでした。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
当期のロイヤリティに関する収益は、前年同一期間比206百万円減少し、2,406百万円となりました。その大半は導出先であるノバルティス社(※)による「ウルティブロ®ブリーズヘラー®」(以下「ウルティブロ」)及び「シーブリ®ブリーズヘラー®」(以下「シーブリ」)の売上に関連するものです。
両剤の当連結会計年度(2019年1月から2019年12月)の売上は548百万米ドル(前年同期比9%減)となりました。
(※) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura Group PLCからノバルティス社に導出しています。「シーブリ®ブリーズヘラー®」「ウルティブロ®ブリーズヘラー®」はノバルティス社の登録商標です。
ウルティブロは長時間作用性β2刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。2019年3月にはウルティブロ及びシーブリの中国での販売がノバルティス社により開始されました。2019年11月、ウルティブロは慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として中国で2019年の国家医療保険償還医薬品リスト(National Reimbursement Drug List)に収載されました。
さらに、グリコピロニウム臭化物を含むLAMA/LABA/吸入コルチコステロイド(ICS)3剤を配合したQVM149の喘息を対象とした開発プログラムについて、2019年5月に欧州で、2019年第3四半期に日本で承認申請が行われました。なお、当社グループはQVM149の発売後、販売高に応じたロイヤリティを受領できることになっています。
(営業費用)
・売上原価
当連結会計年度の売上原価は、前年同一期間比359百万円増加し、851百万円となりました。売上原価には、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費及び研究施設の減価償却費並びに消耗品費などの直接経費及び2019年2月に発売された「オラビ®錠」販売に係る直接経費を計上しております。
・研究開発費に係る現金支出
当連結会計年度の研究開発費に係る現金支出は、前年同一期間比2,550百万円減少し、3,937百万円となりました。これは主に、DLB患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験(MATILDA)の自主的な中断に関するもの及び自社開発の新薬候補物質の創薬への投資をより焦点を絞って行ったことによるものです。当連結会計年度においては、研究開発費全体の96%は英国における活動によるものです。
・販売費及び一般管理費に係る現金支出
当連結会計年度の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同一期間比315百万円減少し、2,164百万円となりました。この減少は主に、全般的なコスト管理を強化したことによるものです。
・非現金支出費用
非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当連結会計年度の非現金支出費用は、前年同一期間比92百万円増加し、1,805百万円となりました。有形固定資産の減価償却費は前年同一期間比153百万円増加の412百万円となりました。これは2018年8月に英国に開設した最先端の研究開発施設への投資及びIFRS第16号適用に伴う会計処理の変更の影響によるものです。無形資産の償却費は前年同一期間比137百万円増加の1,009百万円となりました。また、株式報酬費用は前年同一期間比198百万円減少の384百万円となりました。なお、当連結会計年度において、新たに事後交付型株式報酬(RSU)及び業績連動型株式報酬(PSU)を付与することといたしました。
(その他の収益及びその他の費用)
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、前年同一期間比275百万円悪化し、585百万円の費用超過となりました。これは主に、当連結会計年度において株式会社そーせいのオラビ®錠の収益性が低下したことによる無形資産の減損606百万円と、前年同一期間においてHeptares社買収時に評価されていたプログラムの一つが中止になったことによる無形資産の減損515百万円との差額及び補助金収入の減少によるものです。
(営業損益)
当連結会計年度の営業損益は、前年同一期間比8,315百万円改善し、384百万円の利益となりました。これは主に、売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
(金融収益及び金融費用)
当連結会計年度の金融収益及び金融費用の純額は、前年同一期間比811百万円改善し、331百万円の収益超過となりました。これは主に、前連結会計年度に、MiNA (Holdings) Limited株式追加取得に係る独占的オプション権の不行使損1,121百万円が計上されたことによるものです。
(当期損益)
当連結会計年度の当期損益は、前年同一期間比8,351百万円改善し、1,432百万円の利益となりました。これは主に、上述の売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
当連結会計年度の財政状態の分析は以下のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,307百万円減少し、56,680百万円となりました。これは主に、IFRS第16号の適用等に伴い有形固定資産1,405百万円及び営業債権及びその他の債権937百万円がそれぞれ増加した一方、シンジケートローンの繰上返済等により現金及び現金同等物3,385百万円及び減価償却等により無形資産1,368百万円がそれぞれ減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ5,805百万円減少し、11,602百万円となりました。これは主に、有利子負債がIFRS第16号の適用に伴い1,817百万円増加した一方、シンジケートローンの定期返済及び繰上返済により7,000百万円減少したこと、及び、当期に締結した新たな契約に関する前受収益(その他の非流動負債及びその他の流動負債)が1,235百万円増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ3,498百万円増加し、45,078百万円となりました。これは主に、当期利益1,432百万円、その他の包括利益935百万円の計上及び新株の発行747百万円によるものです。なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ27.1%、3.3%及び79.5%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,385百万円減少し、当連結会計年度末は15,375百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、3,441百万円の収入となりました。これは主に、営業費用を上回るマイルストン収入及び新規提携に係る契約一時金があったこと及び法人所得税の還付額886百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは246百万円の支出となりました。これは、条件付対価の決済による収入264百万円があった一方、Sosei RMF1投資事業有限責任組合による投資有価証券の取得による支出250百万円及び有形固定資産の取得による支出271百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは6,964百万円の支出となりました。これは主に、シンジケートローンの繰上返済等による長期有利子負債の返済が7,061百万円があったことによるものです。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、共同開発やライセンス契約に基づく、提携パートナー企業からのマイルストン収入及び契約一時金並びにロイヤリティ収入により運転資金を創出しています。また、持株会社である当社の新株発行及び借入れにより運転資金及び事業買収にかかる資金を調達しています。
当社の主な資金需要は継続的な候補薬の開発に関するものであり、現在保有している候補薬や将来における自社開発パイプラインの研究開発や臨床試験を進め、規制当局からの承認を得るために、研究開発活動への投資を継続していきます。
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 9.金融商品 (1) 資本管理」に、資本管理に関する定量的情報を記載しております。
(4) 生産、受注及び販売の実績
a. 仕入実績
当社グループの売上収益は、主にロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金によるものであるため、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループの売上収益は、主にロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金によるものであるため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当社グループの事業は医薬事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は以下のとおりです。
(注)1.医薬事業の販売実績は主に開発進捗に伴うロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金であり、仕入及び受注との関連はありません。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。なお、下記には、顧客のグループ会社の金額も含めて記載しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
4.当連結会計年度において、販売実績が前年同期比238.6%と著しい変動がありました。詳細につきましては、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況をご参照ください。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
(のれんの償却)
日本基準においてのれんは定額法により償却を行っていましたが、IFRSにおいてはのれんの償却は行わず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べ販売費及び一般管理費が907百万円、持分法による投資損失が22百万円減少しています。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及び技術に立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の健康と生活の質の向上に大きく寄与することをミッションとし、日本屈指の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることをビジョンに掲げています。
当連結会計年度において、当社グループは独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術、構造ベース創薬(SBDD)プラットフォームを強化し、創薬及び初期開発パイプラインを引き続き拡充しました。
当社グループ事業全般の強化の点で引き続き順調な進捗が見られ、多くの戦略機会を十分に活用していくための体制を維持することができました。
その結果、(ⅰ)大手グローバル製薬企業との既存の提携、(ⅱ)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動における新規及び既存の提携、(ⅲ)当社グループ独自で行う有望な新規提携のための創薬及び初期開発、という当社グループのビジネスモデル全ての分野で進展がありました。
当連結会計年度末現在、当社グループは15品目が創薬段階にあり、7品目が前臨床試験中、9品目が臨床試験中です。
大手グローバル製薬企業との提携は、引き続き順調に推移しています。当社グループの提携プログラムの中で最も進捗しているAstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)とのプログラムが第Ⅱ相臨床試験を開始し、それに加えて、Pfizer Inc.(以下「Pfizer社」)との多岐にわたる研究開発提携において新たに3品目の前臨床開発候補物質が選定され、そのうち1品目は当期末までに臨床試験入りしました。さらに、第3四半期において、Genentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)及び武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)の2社とそれぞれ新規戦略提携を行い、いずれも順調に進捗しています。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携でも引き続き大きな進展があり、オレキシン受容体作動薬プログラムに関するベンチャーファンドであるMedicxi社との新たな研究開発における提携を発表しました。
当社グループ独自で行う有望な新規提携のための創薬及び初期開発については、複数の創薬候補品を初期開発段階へと進めるために、パイプラインへの必要な投資を継続しています。当社グループは、クッシング病を含む内分泌疾患治療を対象とする新規低分子HTL0030310の自社開発において、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、前連結会計年度は2018年4月1日から2018年12月31日までの9か月間となり、以下、当連結会計年度の業績に関しては、前年同一期間を2018年1月1日から2018年12月31日までの12か月間と仮定した場合の暦年ベースにおける未監査の業績との比較により記載しています。
当連結会計年度の業績は、売上収益9,726百万円(前年同一期間比6,176百万円増加)、営業利益384百万円(前年同一期間は営業損失△7,931百万円)、税引前当期利益534百万円(前年同一期間は税引前当期損失△9,046百万円)、当期利益1,432百万円(前年同一期間は当期損失△6,919百万円)となりました。
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度比 | 前年同一期間比 | |||
当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2018年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前年同一期間 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | |
売上収益 | 9,726 | 2,872 | 9,726 | 3,550 |
売上原価 | △851 | △335 | △851 | △492 |
研究開発費 | △4,292 | △5,384 | △4,292 | △6,711 |
販売費及び一般管理費 | △3,614 | △2,704 | △3,614 | △3,968 |
その他の収益及びその他の費用 ※2 | △585 | △183 | △585 | △310 |
営業利益(△損失) | 384 | △5,734 | 384 | △7,931 |
金融収益及び金融費用 ※2 | 331 | △955 | 331 | △480 |
持分法投資損失 | △181 | △488 | △181 | △569 |
関連会社株式減損 | - | △66 | - | △66 |
税引前当期利益(△損失) | 534 | △7,243 | 534 | △9,046 |
当期利益(△損失) | 1,432 | △5,978 | 1,432 | △6,919 |
※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.その他の収益及びその他の費用並びに金融収益及び金融費用は純額で表示しております。
当連結会計年度の経営成績の分析は以下のとおりです。
(売上収益)
(単位:百万円) | |||
当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前年同一期間 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | 前年同一期間比 | |
マイルストン収入及び契約一時金 | 6,013 | 397 | 5,616 |
ロイヤリティ収入 | 2,406 | 2,612 | △206 |
医薬品販売 | 276 | - | 276 |
その他 | 1,031 | 541 | 490 |
合計 | 9,726 | 3,550 | 6,176 |
当連結会計年度の売上収益は、前年同一期間に比べ6,176百万円増加し、9,726百万円となりました。
当連結会計年度のマイルストン及び契約一時金に関する収益は、前年同一期間比5,616百万円増加し、6,013百万円となりました。この増加は当期におけるマイルストン収入の発生及びMedicxi社、ジェネンテック社及び武田薬品との新規提携の開始によるものです。マイルストン収入にはAstraZeneca社からの15百万米ドル及びPfizer社からの合計14百万米ドルのマイルストンに加え、Novartis International AG(以下「ノバルティス社」)及び富士フイルム富山化学株式会社からのマイルストンが含まれます。前年同一期間には新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益はありませんでした。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
当期のロイヤリティに関する収益は、前年同一期間比206百万円減少し、2,406百万円となりました。その大半は導出先であるノバルティス社(※)による「ウルティブロ®ブリーズヘラー®」(以下「ウルティブロ」)及び「シーブリ®ブリーズヘラー®」(以下「シーブリ」)の売上に関連するものです。
両剤の当連結会計年度(2019年1月から2019年12月)の売上は548百万米ドル(前年同期比9%減)となりました。
(※) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura Group PLCからノバルティス社に導出しています。「シーブリ®ブリーズヘラー®」「ウルティブロ®ブリーズヘラー®」はノバルティス社の登録商標です。
ウルティブロは長時間作用性β2刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。2019年3月にはウルティブロ及びシーブリの中国での販売がノバルティス社により開始されました。2019年11月、ウルティブロは慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として中国で2019年の国家医療保険償還医薬品リスト(National Reimbursement Drug List)に収載されました。
さらに、グリコピロニウム臭化物を含むLAMA/LABA/吸入コルチコステロイド(ICS)3剤を配合したQVM149の喘息を対象とした開発プログラムについて、2019年5月に欧州で、2019年第3四半期に日本で承認申請が行われました。なお、当社グループはQVM149の発売後、販売高に応じたロイヤリティを受領できることになっています。
(営業費用)
(単位:百万円) | |||
当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前年同一期間 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | 前年同一期間比 | |
売上原価 | 851 | 492 | 359 |
研究開発費 | 4,292 | 6,711 | △2,419 |
(内訳) 現金支出 | 3,937 | 6,487 | △2,550 |
非現金費用 | 355 | 224 | 131 |
販売費及び一般管理費 | 3,614 | 3,968 | △354 |
(内訳) 現金支出 | 2,164 | 2,479 | △315 |
非現金費用 | 1,450 | 1,489 | △39 |
・売上原価
当連結会計年度の売上原価は、前年同一期間比359百万円増加し、851百万円となりました。売上原価には、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費及び研究施設の減価償却費並びに消耗品費などの直接経費及び2019年2月に発売された「オラビ®錠」販売に係る直接経費を計上しております。
・研究開発費に係る現金支出
当連結会計年度の研究開発費に係る現金支出は、前年同一期間比2,550百万円減少し、3,937百万円となりました。これは主に、DLB患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験(MATILDA)の自主的な中断に関するもの及び自社開発の新薬候補物質の創薬への投資をより焦点を絞って行ったことによるものです。当連結会計年度においては、研究開発費全体の96%は英国における活動によるものです。
・販売費及び一般管理費に係る現金支出
当連結会計年度の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同一期間比315百万円減少し、2,164百万円となりました。この減少は主に、全般的なコスト管理を強化したことによるものです。
・非現金支出費用
非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当連結会計年度の非現金支出費用は、前年同一期間比92百万円増加し、1,805百万円となりました。有形固定資産の減価償却費は前年同一期間比153百万円増加の412百万円となりました。これは2018年8月に英国に開設した最先端の研究開発施設への投資及びIFRS第16号適用に伴う会計処理の変更の影響によるものです。無形資産の償却費は前年同一期間比137百万円増加の1,009百万円となりました。また、株式報酬費用は前年同一期間比198百万円減少の384百万円となりました。なお、当連結会計年度において、新たに事後交付型株式報酬(RSU)及び業績連動型株式報酬(PSU)を付与することといたしました。
(その他の収益及びその他の費用)
当連結会計年度のその他の収益及び費用は、前年同一期間比275百万円悪化し、585百万円の費用超過となりました。これは主に、当連結会計年度において株式会社そーせいのオラビ®錠の収益性が低下したことによる無形資産の減損606百万円と、前年同一期間においてHeptares社買収時に評価されていたプログラムの一つが中止になったことによる無形資産の減損515百万円との差額及び補助金収入の減少によるものです。
(営業損益)
当連結会計年度の営業損益は、前年同一期間比8,315百万円改善し、384百万円の利益となりました。これは主に、売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
(金融収益及び金融費用)
当連結会計年度の金融収益及び金融費用の純額は、前年同一期間比811百万円改善し、331百万円の収益超過となりました。これは主に、前連結会計年度に、MiNA (Holdings) Limited株式追加取得に係る独占的オプション権の不行使損1,121百万円が計上されたことによるものです。
(当期損益)
当連結会計年度の当期損益は、前年同一期間比8,351百万円改善し、1,432百万円の利益となりました。これは主に、上述の売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
当連結会計年度の財政状態の分析は以下のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,307百万円減少し、56,680百万円となりました。これは主に、IFRS第16号の適用等に伴い有形固定資産1,405百万円及び営業債権及びその他の債権937百万円がそれぞれ増加した一方、シンジケートローンの繰上返済等により現金及び現金同等物3,385百万円及び減価償却等により無形資産1,368百万円がそれぞれ減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ5,805百万円減少し、11,602百万円となりました。これは主に、有利子負債がIFRS第16号の適用に伴い1,817百万円増加した一方、シンジケートローンの定期返済及び繰上返済により7,000百万円減少したこと、及び、当期に締結した新たな契約に関する前受収益(その他の非流動負債及びその他の流動負債)が1,235百万円増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ3,498百万円増加し、45,078百万円となりました。これは主に、当期利益1,432百万円、その他の包括利益935百万円の計上及び新株の発行747百万円によるものです。なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ27.1%、3.3%及び79.5%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,385百万円減少し、当連結会計年度末は15,375百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、3,441百万円の収入となりました。これは主に、営業費用を上回るマイルストン収入及び新規提携に係る契約一時金があったこと及び法人所得税の還付額886百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは246百万円の支出となりました。これは、条件付対価の決済による収入264百万円があった一方、Sosei RMF1投資事業有限責任組合による投資有価証券の取得による支出250百万円及び有形固定資産の取得による支出271百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは6,964百万円の支出となりました。これは主に、シンジケートローンの繰上返済等による長期有利子負債の返済が7,061百万円があったことによるものです。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、共同開発やライセンス契約に基づく、提携パートナー企業からのマイルストン収入及び契約一時金並びにロイヤリティ収入により運転資金を創出しています。また、持株会社である当社の新株発行及び借入れにより運転資金及び事業買収にかかる資金を調達しています。
当社の主な資金需要は継続的な候補薬の開発に関するものであり、現在保有している候補薬や将来における自社開発パイプラインの研究開発や臨床試験を進め、規制当局からの承認を得るために、研究開発活動への投資を継続していきます。
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 9.金融商品 (1) 資本管理」に、資本管理に関する定量的情報を記載しております。
(4) 生産、受注及び販売の実績
a. 仕入実績
当社グループの売上収益は、主にロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金によるものであるため、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループの売上収益は、主にロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金によるものであるため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当社グループの事業は医薬事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は以下のとおりです。
区分 | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2018年12月31日) | 前年 同期比 (%) |
マイルストン収入及び契約一時金 | 6,013 | 340 | 1,668.5 |
ロイヤリティ収入 | 2,406 | 2,104 | 14.4 |
医薬品販売 | 276 | - | - |
その他 | 1,031 | 428 | 140.9 |
合計 | 9,726 | 2,872 | 238.6 |
(注)1.医薬事業の販売実績は主に開発進捗に伴うロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金であり、仕入及び受注との関連はありません。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。なお、下記には、顧客のグループ会社の金額も含めて記載しております。
相手先 | 当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2018年12月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
Novartis International AG | 2,644 | 27.18 | 2,035 | 70.9 |
AstraZeneca UK Limited | 1,616 | 16.61 | - | - |
Pfizer Inc. | 1,511 | 15.54 | - | - |
武田薬品工業株式会社 | 1,155 | 11.88 | - | - |
Genentech, Inc. | 1,001 | 10.30 | - | - |
第一三共株式会社 | 391 | 4.01 | 294 | 10.2 |
Allergan Pharmaceuticals International Limited | 231 | 2.37 | 177 | 6.2 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
4.当連結会計年度において、販売実績が前年同期比238.6%と著しい変動がありました。詳細につきましては、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況をご参照ください。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
(のれんの償却)
日本基準においてのれんは定額法により償却を行っていましたが、IFRSにおいてはのれんの償却は行わず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べ販売費及び一般管理費が907百万円、持分法による投資損失が22百万円減少しています。