四半期報告書-第33期第1四半期(令和4年1月1日-令和4年3月31日)

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2022/05/13 15:31
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37項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及びテクノロジーに立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の生活の質と健康の向上に大きく貢献することをミッションとし、バイオ医薬品及び創薬に関する日本屈指の国際的なリーディング企業になることをビジョンに掲げています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは創薬及び初期開発パイプラインを引き続き拡充し、独自のStaR®(Stabilized Receptor)及び関連技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォームを強化しました。
当社グループのビジネスモデルは、(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進、(2)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動の推進、(3)実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結、という価値創造のための3つの重点分野に注力するものです。さらに当社グループは、戦略的成長として、企業買収など収益創出につながるチャンスの模索、新規テクノロジーへの投資と技術提携、GPCR以外への創薬ターゲット拡大、及び後期臨床開発段階のアセットの日本市場向け導入に注力しています。
当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループのプログラムの合計20品目以上が創薬段階、複数の自社開発及び提携プログラム(注)1、2が前臨床及び臨床試験段階にあります。
(注)1 臨床試験:統合失調症を対象としたHTL0016878、2型糖尿病(T2DM)/肥満を対象としたPF-07081532、炎症性腸疾患を対象としたPF-07054894、拒食症を対象としたPF-07258669、神経疾患を対象としたTMP301。前臨床試験:神経疾患を対象としたM1作動薬、神経疾患を対象としたM1/M4デュアル作動薬、炎症性腸疾患を対象としたGPR35作動薬、神経疾患を対象としたCGRP拮抗薬、がんを対象としたKY1051、神経疾患を対象としたGPR52作動薬、がんを対象としたEP4拮抗薬、炎症性腸疾患を対象としたEP4作動薬、アトピー性皮膚炎を対象としたH4拮抗薬。
(注)2 複数の固形がんを対象としたimaradenant(AZD4635)について、導出先であるアストラゼネカ社は、2021年第3四半期に臨床パイプラインから削除しています。
<大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進>大手グローバル製薬企業との提携については、順調に進捗しました。研究開発の継続性と生産性を確保するため、当社グループの研究開発活動の中心である英国において政府が行った規制緩和にもかかわらず、当社グループは、COVID-19に関する感染予防措置を継続しています。全ての研究開発活動は効率良く進められています。
<革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動の推進>革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動でも引き続き進展がありました。
Verily Life Sciences LLC-免疫疾患関連の新規ターゲット同定と新薬候補創出を目的とした戦略的提携
2022年1月6日、当社グループは、Alphabet傘下のプレシジョン・ヘルス企業であるVerily Life Sciences LLC(以下「Verily社」)と戦略的研究開発提携を締結したことを発表しました。本研究開発提携では、Verily社の持つ免疫プロファイリング能力と、当社グループの持つGPCR構造ベース創薬技術を集約します。本提携の目的は以下の通りです。
・特に免疫疾患、消化器疾患、がん免疫疾患、及びその他の免疫防御性あるいは免疫病原性疾患における、免疫細胞内でのGPCRの機能解明
・創薬ターゲットとして有望なGPCRの抽出、優先順位付け及び検証
・これらのGPCRに作用する新薬候補の創出と開発
Verily社独自のImmune Profilerは、Verily社の研究所で行われる免疫細胞の精密な表現型の分析と、それらの膨大なデータを処理する高度なコンピュータ技術を組み合わせた、未だ十分に解明されていない免疫機能の全体像を解き明かす、次世代の免疫解析プラットフォームです。本プラットフォームは、免疫機能を調節し、疾患を改善する可能性のある創薬ターゲットとして有望なGPCRの特定に利用されます。今後本提携では、当社グループが有する世界最先端のStaR®技術と構造ベース創薬に関する専門知識を活用して、創薬ターゲットとして有望なGPCRの優先順位を明確化し、さらなる開発または導出のためのリード化合物の創出を目指します。
<実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結>当社グループは、パイプラインへの重要な投資を継続し、複数の創薬候補品の初期開発段階のプログラムで進捗がありました。
<2022年3月31日以降の当社グループのビジネスハイライト>Weatherden Limited-アジャイル開発の導入とトランスレーショナル・メディシン機能の強化
2022年4月26日、当社グループは、先駆的な臨床開発コンサルティンググループであるWeatherden Limited(以下、「Weatherden社」)と戦略的提携を締結したことを発表しました。本提携により、当社グループの世界最先端のGPCR構造ベース創薬(SBDD)プラットフォーム及び専門知識と、Weatherden社のトランスレーショナル・メディシン及び医薬品開発の専門知識を活用し、業界最高レベルの創薬・開発チームに支えられたアジャイル開発モデルの構築を目指します。その目的は、複数のプログラムの優先順位付けと開発の加速により、迅速にフェーズ1b/2a試験での臨床コンセプトを実証(POCの取得)することにあります。臨床コンセプトの実証は、大規模なグローバルでのライセンス契約の締結を推進し、当社グループの企業価値を長期的に高めるための重要な転換点です。当社グループは、Weatherden社の豊富な経験、科学的専門知識、データに基づくアプローチに加え、医薬品アセットの評価・開発の商業化についての重点的な取り組みを活かし、パイプライン強化のために、より明確に選択と集中を進める体制と技術的専門知識を融合します。当社グループは以下により、意思決定と価値創出の最適化を目指します。
・新しい効率的な創薬・開発方法を創出すること
・世界をリードする科学技術の、患者さまの生活を一変させる治療薬への変換を加速すること
・厳選した自社開発プログラムを臨床試験段階に進めることにより、提携の機会を最大化すること
当社グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績
2022年3月31日現在、当社グループの従業員数は197人(2021年12月31日時点比1名減)です。
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益1,119百万円(前年同四半期比88百万円減少)、営業損失2,206百万円(前年同四半期は1,238百万円の損失)、税引前四半期損失2,497百万円(前年同四半期は1,054百万円の損失)、四半期損失2,070百万円(前年同四半期は1,153百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 2022年1月1日
至 2022年3月31日)
前第1四半期連結累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年3月31日)
増減
売上収益1,1191,207△88
売上原価△288△226△62
研究開発費△1,804△1,207△597
販売費及び一般管理費△1,354△975△379
営業費用合計△3,446△2,408△1,038
その他の収益及びその他の費用121△37158
営業損失(△)△2,206△1,238△968
金融収益及び金融費用△7166△137
持分法による投資損益△220△88△132
持分法で会計処理されている投資の減損損失戻入益-206△206
税引前四半期損失(△)△2,497△1,054△1,443
四半期損失(△)△2,070△1,153△917
代替業績評価指標
(コア営業損益)
営業損失(△)△2,206△1,238△968
調整額
有形固定資産の減価償却費1391345
無形資産の償却費1831803
株式報酬費用111167△56
構造改革費用533-533
減損損失-74△74
コア営業損失(△)△1,240△683△557
USD:JPY(期中平均為替レート)116.19106.0910.10
GBP:JPY(期中平均為替レート)155.87146.329.55

(注) コア営業損益は営業損益(IFRS)+重要な非現金支出費用+重要な一時的支出費用で定義され、事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を表しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています。
(売上収益)
(単位:百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 2022年1月1日
至 2022年3月31日)
前第1四半期連結累計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年3月31日)
増減
契約一時金及びマイルストン収入121422△301
ロイヤリティ収入747585162
その他25120051
合計1,1191,207△88

当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ88百万円減少し、1,119百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同四半期比301百万円減少し、121百万円となりました。契約一時金及びマイルストン収入は、あらかじめ定められた成果を達成できるかどうか、あるいは新規提携契約が締結できるかどうかによって、四半期毎に変動する可能性があります。当第1四半期連結累計期間のマイルストン収入の減少は、主に、前年同四半期に2件のマイルストンを達成した一方、当第1四半期連結累計期間には1件のマイルストンを達成したこと、前受収益から売上収益への振替額が減少したことによるものです。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比162百万円増加し、747百万円となりました。当社グループのロイヤリティに関する収益は導出先であるNovartis International AG(以下「ノバルティス社」)(注)によるウルティブロ® ブリーズヘラー®、シーブリ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®の売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
(営業費用)
売上原価
当第1四半期連結累計期間の売上原価は、前年同四半期比62百万円増加し、288百万円となりました。売上原価は、顧客に向けた研究開発受託サービスに関する内部コストから構成されています。主な増加の要因は、研究開発活動を行っている契約数が増加したことによるものです。
研究開発費
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前年同四半期比597百万円増加し、1,804百万円となりました。これは主に、当社グループが独自で行う創薬及び初期開発への投資の増加、及び医薬品の開発を加速させるための構造改革費用によるものです。
当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の99%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、前年同四半期比379百万円増加し、1,354百万円となりました。これは主に、医薬品の開発を加速させるための構造改革費用によるものです。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、2,206百万円の損失(前年同四半期は1,238百万円の損失)となりました。営業損失が増加した主な要因は、上述の営業費用の増加によるものです。
金融収益及び金融費用
当第1四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期比137百万円悪化し、71百万円の費用超過となりました。これは主に、社債に対する償却原価の費用増加、及び条件付対価評価益の減少によるものです。
持分法による投資損益
当第1四半期連結累計期間の持分法による投資損益は、前年同四半期比132百万円悪化し、220百万円の損失となりました。これは、関連会社であるMiNA (Holdings) Limitedにおける研究開発費の増加によるものです。
持分法で会計処理されている投資の減損損失戻入益
前第1四半期連結累計期間の持分法で会計処理されている投資の減損損失戻入益は、206百万円でした。これは、2021年4月に譲渡した当社グループの関連会社であるJITSUBO株式会社の公正価値が増加したことによるものです。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、2,070百万円の損失(前年同四半期は1,153百万円の損失)となりました。これは主に、上述の営業損失が増加したこと等によるものです。
(代替業績評価指標:コア営業損益)
コア営業損益は、中核事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を示すために、重要な非現金支出費用及び一時的な費用を調整した代替的な業績評価指標です。
当第1四半期連結累計期間のコア営業損益は、1,240百万円の損失(前年同四半期は683百万円の損失)となりました。コア営業損失が557百万円増加した主な要因は、当社グループが独自で行う創薬及び初期開発への投資を計画的に優先したことによるものです。当第1四半期連結累計期間のコア営業損益に関する調整額は、有形固定資産の減価償却費139百万円(前年同四半期比5百万円増加)、無形資産の償却費183百万円(前年同四半期比3百万円増加)、株式報酬費用111百万円(前年同四半期比56百万円減少)となりました。構造改革費用533百万円(うち158百万円は構造改革に係る株式報酬費用の加速償却による影響)は2022年2月1日に発表した執行体制の変更に伴う費用となります。また前第1四半期連結累計期間において、株式会社そーせいのオラビ®錠の収益が低下したことにより無形資産74百万円を減損しております。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,131百万円減少し、95,854百万円となりました。これは主に、ポンド高により当社連結子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.が保有する資産の円換算額が増加した一方で、営業活動による支出が上回ったことにより現金及び現金同等物が減少したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ222百万円減少し、39,295百万円となりました。これは主に、賞与の支給により賞与引当金が減少、及び繰延税金負債が減少した一方で、社債の償却原価計上による増加、営業債務及びその他の債務の増加、及び円安ドル高による企業結合による条件付対価の増加によるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ909百万円減少し、56,559百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の為替換算差額が1,156百万円となった一方で、四半期損失2,070百万円を計上したことによるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ61.6%、30.8%及び59.0%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,023百万円減少し、当第1四半期連結会計期間末は59,064百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,591百万円の支出となりました。これは主に、営業に関する支出が売上収益を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは90百万円の支出となりました。これは有形固定資産の取得による支出90百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは46百万円の支出となりました。これは主に、リース負債の返済による支出46百万円によるものです。
(現金及び現金同等物の為替変動による影響)
当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の為替変動による影響は704百万円の増加となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ597百万円増加し、1,804百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。