四半期報告書-第30期第3四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/12 16:33
【資料】
PDFをみる
【項目】
13項目
文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、研究開発に重点を置くバイオ医薬品企業であり、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする高度に革新的な医薬品の創薬を通じ、日本屈指の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることをビジョンに掲げています。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループは独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォーム及び初期開発段階の自社パイプラインを引き続き拡充しました。
①大手グローバル製薬企業との既存の提携、②革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動における新規及び既存の提携、③当社グループ独自で行う提携のための新薬候補物質の探索及び初期開発、という当社グループのビジネスモデル全ての分野で進展がありました。
当第3四半期連結会計期間末現在、当社グループは15品目以上が創薬段階にあり、7品目が前臨床試験中、7品目(注)1、2が臨床試験中です。
(注)1 喘息を対象としたQVM149、複数の固形がんを対象としたAZD4635、レビー小体型認知症(以下「DLB」)を対象としたHTL0018318(自主的に中断中であり、かつ日本における第Ⅱ相臨床試験は中止を決定)、上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)進行性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象としたAZD4635、アルツハイマー病(AD)の神経行動学的症状を対象としたHTL0016878、ADを対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、神経障害を対象としたHTL0014242及び内分泌障害を対象としたHTL0030310。
(注)2 日本でのDLBを対象としたHTL0018318の第Ⅱ相臨床試験は中止を決定しました。当社グループは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)へHTL0018318(あるいは別の新規M1作動薬候補)の新たな治験届を将来再提出する予定です。
大手グローバル製薬企業と提携した品目の中では、当社グループが最初に行ったAstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)との提携によるプログラムが第Ⅱ相臨床試験を開始し、それに加えて、Pfizer Inc.(以下「Pfizer社」)との多岐にわたる研究開発提携において新たに2つの前臨床開発候補物質が選定され、それらによって、重要なマイルストンを達成しました。さらに、当第3四半期において、Genentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)及び武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)の2社とそれぞれ新規戦略提携を行いました。
2019年1月7日、当社グループは、当社グループの戦略提携パートナーであるAstraZeneca社との提携によって開発中の次世代がん免疫療法が、同社より、AZD4635の開発でマイルストンを達成したことが通知されたと発表しました。この結果、当社グループはAstraZeneca社より15百万米ドルのマイルストンを受領しました。これまでの臨床試験では、AZD4635の単剤及びデュルバルマブとの併用時の最大耐薬量が決定されています。この試験は、複数の固形がんを対象としたAZD4635による治療の可能性について、探索が行われる段階にまで順調に進捗しています。その結果、AstraZeneca社は第Ⅱ相臨床試験に移行し、それによって、マイルストンを受領しました。
2019年1月31日、当社グループは、当社グループの100%子会社である株式会社そーせい(以下「そーせい」)が製造販売承認を取得した口腔咽頭カンジダ症治療薬「オラビ®錠口腔用 50mg」(以下「オラビ®錠」)について、販売提携先である富士フイルム富山化学株式会社(以下「富士フイルム富山化学」)が2019年2月4日より発売すると発表しました。オラビ®錠の国内販売については、富士フイルム富山化学へ独占販売権を付与しております。そーせいは、富士フイルム富山化学から製品の販売収入及び販売目標達成時にマイルストンを別途受領できる権利を持っています。
2019年3月22日、当社グループは、慢性閉塞性肺疾患(以下「COPD」)治療薬「ウルティブロ®ブリーズへラー®」及び「シーブリ®ブリーズへラー®」の中国での販売が開始されたと発表しました。2005年4月、当社グループとVectura Group PLC(以下「Vectura社」)は、グリコピロニウムに関する特定の用途及び製剤の知的財産権に関する独占的ライセンスをNovartis international AG(以下「ノバルティス社」)に許諾しており、グローバルでの販売からのロイヤリティ収入を受領する権利を有しています。両剤は、中国において、ノバルティス社が支配権を有する子会社であるBeijing Novartis Pharma Co., Ltd.及びSandoz (China) Pharmaceutical Co., Ltd.からのライセンス契約に基づき、Zhejiang Hisun Pharmaceutical Co., Ltd.のグループ会社であるHuizheng (Shanghai) Technology Co., Ltd.により販売されます。本件にともなう当社グループの2019年12月期連結業績に与える影響は軽微であると見込んでいます。
2019年3月31日及び4月2日、AstraZeneca社は、米国アトランタで開催された2019年度米国がん学会(AACR)年次総会において、次世代がん免疫療法のAZD4635の臨床試験及び前臨床試験の新たなデータを発表しました。データは、AZD4635がアデノシンを媒介とした免疫抑制を阻害すること、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、単独療法もしくは抗PD-L1抗体デュルバルマブとの併用によるAZD4635の早期臨床活性が観察されたことを示しています。AstraZeneca社により発表されたポスターの演題は、「進行性固形がん患者を対象にしたアデノシン2A受容体拮抗薬AZD4635の第Ⅰa相用量漸増試験における免疫活性化の証拠」及び「アデノシン2A受容体拮抗薬AZD4635がアデノシンに媒介されるCD103+樹状細胞の免疫抑制を阻害」です。2019年4月15日、当社グループは、発表された要旨及びポスターを主な発表内容の要約とともに当社ホームページに掲載しました。
2019年5月14日、当社グループは、Pfizer社との多岐にわたるGPCRに対する創薬に関する戦略的提携が円滑に進展し、当社グループとの提携の下、Pfizer社が、未公表のGPCRに作用する新規経口低分子モジュレーターである初の前臨床開発候補品を選定したことを発表しました。その結果、当社グループはPfizer社より3百万米ドルのマイルストンを受領しました。この提携の研究段階において、重要な疾患領域においてPfizer社が選定したGPCRに対する新規候補研究プログラムで進捗があり、それによりマイルストンを達成しました。さらに定められた条件が満たされれば、追加のマイルストンの達成に応じた支払いを受領し、さらにロイヤリティを受け取れる契約となっています。
2019年5月22日、ノバルティス社は、米国ダラスで開催された2019年米国胸部学会(ATS)年次国際会議で、開発中の喘息治療配合吸入剤QVM149の第Ⅱ相臨床試験における主要成績を発表しました。これまでに行われた第Ⅱ相臨床試験の2試験(注)1において、喘息患者の肺機能改善が各々に示され、対照薬であるサルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン(標準治療薬)及びプラセボに対するQVM149の優越性が示されました。一方の試験では、QVM149は朝または夜の投与時間に関係なくプラセボに対して改善を示しました。また両試験におけるデータは、QVM149が良好な安全性及び忍容性のプロファイルを有することを示しています。
2019年5月24日、当社グループは、ノバルティス社より、QVM149について、医薬品販売承認(以下「MAA」」を欧州医薬品庁(EMA)へ申請したことが通知されたと発表しました。このMAA申請により、当社グループは、ノバルティス社より2.5百万米ドルのマイルストンを受領しました。QVM149の第Ⅲ/Ⅲb相臨床試験(IRIDIUM(注)2及びARGON(注)3試験)は2019年第3四半期に完了しています。試験結果に関する説明は (決算日後に発生した事象) をご参照下さい。
(注)1 第Ⅱ相臨床試験CQVM149B2208(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03063086)
第Ⅱ相臨床試験CQVM149B2209(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03108027)
(注)2 第Ⅲ相臨床試験CQVM149B2302(ClinicalTrials.gov識別子:NCT02571777)
(注)3 第Ⅲ相臨床試験CQVM149B2306(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03158311)
2019年6月10日、当社グループは、Pfizer社との多岐にわたる新薬創出研究提携により、2番目の新たな前臨床開発候補物質が選定されたことを発表しました。この成果により、当社グループは新たに3百万米ドルのマイルストンを受領しました。
2019年7月16日、当社グループは、ロシュ・グループ企業であるジェネンテック社と、複数ターゲットを対象にした共同研究及びライセンスに関する提携契約を締結したことを発表しました。この提携により、ジェネンテック社が選定したGPCRターゲットに作用する新規医薬品(低分子及び/またはバイオ医薬品)の開発を目指すこととなります。本契約の条件に基づき、ジェネンテック社の選定した複数のGPCRターゲットに対して、当社グループ独自のGPCRに特化した構造ベース創薬技術と、ジェネンテック社の創薬、開発及び疾患における専門知識を融合します。選定されたこれらのGPCRターゲットは、さまざまな疾患の新たな作用部位として高く期待されるものです。ジェネンテック社は、各新規ターゲットに対する新規医薬品の開発・販売に対する責任を負うとともに、これら化合物に関するグローバルでの独占的権利を有することとなります。本提携により、当社グループは、(契約一時金及び今後2~3年にわたり期待できる開発初期段階の進捗に応じた支払いの形で)26百万米ドルを受領する権利を有しています。これに加えて、あらかじめ定められた開発及び販売の目標の達成に応じて、総額1,000百万米ドルを超えるマイルストンや、本提携から生み出された製品が上市されれば販売高に応じたロイヤリティを受領する権利を有しています。
2019年8月5日、当社グループは、武田薬品と、複数ターゲットを対象にした研究開発・製品化に関する戦略的提携契約を締結したことを発表しました。この提携により、GPCRターゲットに作用する低分子及びバイオ医薬品を含む新規医薬品の研究開発・製品化を目指すこととなります。本契約の条件に基づき、武田薬品の選定した複数のGPCRターゲットに対して、当社グループ独自のGPCR構造ベース創薬技術と、武田薬品の創薬、研究開発及び疾患における高い専門知識を融合させてまいります。選定されたこれらのGPCRターゲットは、広範な疾患の新たな作用部位となるものです。この提携では、当初、良い治療薬の出現が高く望まれている消化器系疾患に注力しますが、本契約ではその他の疾患へも対象を拡大する予定です。本提携により、当社グループは、(契約一時金及び今後2~3年にわたり期待できる開発初期段階の進捗に応じた支払いの形で)最大26百万米ドルを受領する権利を有しています。これに加えて、契約期間にわたる研究開発に対する支払いに加えて、開発・販売及び販売高の目標の達成に応じて、総額1,200百万米ドルを超えるマイルストンや、本提携から生み出され、武田薬品が権利を得る製品の販売高に応じた段階的ロイヤリティを受領する権利を有しています。武田薬品は、本提携における各新規ターゲットに対する、特定の薬理学的アプローチによる医薬品の開発・販売に関して、グローバルな独占的権利を得ることとなります。
2019年8月13日、当社グループとAllergan社とのグローバルなR&Dの提携における研究開発活動の最新の状況につき報告しました。本提携は、アルツハイマー病及びその他の神経障害に対する新規ムスカリン受容体作動薬の開発を対象としたものであり、順調に成果を上げています。脳内のムスカリン受容体を標的とする選択的低分子M1、M4、及びM1/M4デュアル作動薬のポートフォリオに対する取り組みを行っているところです。新規治療薬候補になり得る複数の化合物が創製され、初期段階の開発が行われています。HTL0018318(選択的M1受容体作動薬)に関する臨床開発活動については、2018年9月に公表したサルを対象にした試験で予期しない毒性所見が見出されたことに伴う自主的中断を継続します。この毒性所見に関しましては、現在なお精査中であり、詳細な結果に関しましては、2019年末頃にお知らせする予定です。当社グループは、引き続きDLBを対象にした新規療法の開発に全力を注ぎますが、日本のDLB患者様を対象に行うことを予定していたHTL0018318の第Ⅱ相臨床試験(NCT#03592862)については、中止することを決定しました。2018年9月にHTL0018318の臨床開発の自主的中断を決定した時点で進めていた準備活動は、それ以降中断しています。当社グループでは、今後、臨床試験計画の刷新が必要になると考えており、この決定は、必要とされない臨床試験活動に伴う支出を最小限にとどめるために行ったものです。当社グループは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)へHTL0018318(あるいは別の新規M1作動薬候補)の新たな治験届を将来再提出する予定です。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携でも引き続き大きな進展があり、オレキシン受容体作動薬プログラムに関するベンチャーファンドとの新たな研究開発における提携を発表しました。
2019年2月4日、当社グループは、重要なアセットに特化した企業の資金提供を専門とするベンチャーファンドであるMedicxi社と、ストラクチャードファイナンス契約を締結したことを発表しました。当契約により、GPCRであるオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーターが原因となる神経系疾患に対する新規治療法の開発を目指すOrexia Limited(以下「Orexia社」)及びInexia Limited(以下「Inexia社」)の独立系2社が設立されました。Medicxi社は、両社に対し合計で最大40百万ユーロの投資を行います。本契約の条件に基づき、Orexia社とInexia社は、当社グループによって設計及び開発されたデュアルOX1/OX2作動薬を含む一連のオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーター及び類縁薬に関する特定の知的財産権及びノウハウ・開発力活用等の権利を取得しました。Orexia社は経口薬の開発、Inexia社はOptinose US, Inc.のExhalation Delivery Systemを活用した鼻腔内投与薬の開発に重点的に取り組みます。当社グループは両社の株式を保有し、研究開発に対する支払い、及び事前に設定された開発マイルストンの達成時に追加の支払いを受領します。神経系疾患分野での幅広い経験を含む、当社グループのプラットフォーム技術、創薬及び開発における専門性を活用することで、Medicxi社の支援による本資金提供により、経口または鼻腔内投与のためのリード化合物のさらなる開発を推し進め、臨床開発ステージ、さらにはPOCへの移行が期待できます。ターゲットとなる具体的な適応症はプログラムが進展する中で決定され、希少な睡眠障害であるナルコレプシーが含まれます。
当社グループ独自で行う提携のための新薬候補物質の探索及び初期開発については、パイプラインへの必要な投資を継続し、複数の創薬候補品の初期開発段階への進捗がありました。
2019年2月20日、当社グループは、クッシング病を含む内分泌疾患治療を対象とする新規低分子HTL0030310の自社開発において、第Ⅰ相臨床試験を開始したことを発表しました。HTL0030310はSSTR5(ソマトスタチン5)受容体に対する強力で選択的な作動薬です。当社グループ独自のGPCRの構造解析技術を駆使したSBDDにより設計された化合物であり、臨床試験入りした当社グループの医薬品候補薬としては6番目になります。HTL0030310の臨床試験デザインは、健康成人男女を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照、単回皮下投与用量漸増試験です。
他の当社グループ保有の創薬及び初期開発段階の品目も順調に進捗しました。
旧当社100%子会社に関する活動において、当社グループは、株式会社アクティバスファーマ(以下「アクティバス社」)により当初創製された品目について、マイルストンを受領しました。
2019年7月18日、当社グループは、Formosa Pharmaceuticals, Inc.(以下「Formosa社」)が開発中のAPP13007について、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)より、米国での臨床試験開始のための臨床試験実施申請(Investigational New Drug:IND)が承認されたことを発表しました。APP13007は、副腎皮質ホルモンであるクロベタゾールのナノ粒子製剤であり、術後眼炎治療薬として開発が進められています。今回の進捗により、当社グループはFormosa社より2.5百万米ドルのマイルストンを受領しました。APP13007は当初、当社の100%子会社であったアクティバス社が、デザイン・研究開発を行っていました。2017年8月、当社は、アクティバス社の全株式を、医薬品原薬(Active Pharmaceutical Ingredients:APIs)製造に強みを持つ台湾証券取引所上場企業Formosa Laboratories, Inc.の100%子会社であるFormosa社へ譲渡しました。本譲渡は、当社グループの成長戦略の中心が、GPCRをターゲットとした独自のStaR®技術並びにSBDD技術から生み出される新薬のデザイン・研究開発へと移行したことによるものです。
2019年9月30日現在、当社グループの従業員数は173人(2018年12月31日時点比4人増加)です。
当社グループは、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、前連結会計年度は2018年4月1日から2018年12月31日までの9か月間となり、以下、当第3四半期連結累計期間の業績に関しては、前年同一期間(2018年4月1日から2018年12月31日まで)との比較により記載しています。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上収益7,770百万円(前年同一期間比4,898百万円増加)、営業利益1,094百万円(前年同一期間は5,734百万円の損失)、税引前四半期利益1,142百万円(前年同一期間は7,243百万円の損失)、四半期利益1,461百万円(前年同一期間は5,978百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年9月30日)
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
前年同一期間比
売上収益7,7702,8724,898
売上原価△605△335△270
研究開発費△3,152△5,3842,232
販売費及び一般管理費△2,649△2,70455
その他の収益及びその他の費用 (※2)△270△183△87
営業利益又は損失(△)1,094△5,7346,828
金融収益及び金融費用 (※2)166△9551,121
持分法投資損益△118△488370
関連会社株式減損-△6666
税引前四半期利益又は損失(△)1,142△7,2438,385
四半期利益又は損失(△)1,461△5,9787,439

※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は、純額で表示しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています。
当第3四半期連結累計期間の経営成績及び分析は以下のとおりです。
(売上収益)
(単位:百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年9月30日)
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
前年同一期間比
マイルストン収入及び契約一時金5,0923404,752
ロイヤリティ収入1,7182,104△386
医薬品販売203-203
その他757428329
合計7,7702,8724,898

当第3四半期連結累計期間の売上収益は、前年同一期間に比べ4,898百万円増加し、7,770百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間のマイルストン及び契約一時金に関する収益は、前年同一期間比4,752百万円増加し、5,092百万円となりました。この増加は当第3四半期連結累計期間におけるマイルストン収入の発生及びMedicxi社、ジェネンテック社、武田薬品との新規提携の開始によるものです。マイルストン収入にはAstraZeneca社からの15百万米ドルのマイルストンとPfizer社、ノバルティス社及び富士フイルム富山化学からのマイルストンが含まれます。前年同一期間には新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益はありませんでした。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
当第3四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同一期間比386百万円減少し、1,718百万円となりました。その大半は導出先であるノバルティス社(注)1によるウルティブロ及びシーブリの売上に関連するものです。
2019年10月22日のノバルティス社の発表によると、両剤の2019年第3四半期(2019年7月から2019年9月)の売上は125百万米ドル(前年同四半期比19百万米ドル減少)となりました。ノバルティス社による2019年第3四半期の製品別の売上は以下のとおりです:
・ 「ウルティブロ」(売上97百万米ドル、前年同四半期比8%減(注)2)LAMA/LABAの配合剤であるウルティブロの当四半期の売上は、主に日本及び欧州での競争の激化のために減少しました。
・ 「シーブリ」(売上28百万米ドル、前年同四半期比16%減(注)2)LAMAの単剤であるシーブリの当四半期の売上は、主に欧州での競争のために減少しました。
(注)1 グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。これらの製品は米国において、Utibron™ Neohaler®、Seebri™ Neohaler®の製品名で異なる用量・用法で販売されています。Sunovion Pharmaceuticals Inc.(以下「サノビオン社」)は、2016年12月21日に米国における販売権を取得しています。サノビオン社は2017年10月にSeebri™ Neohaler®の販売を開始しています。「シーブリ®ブリーズヘラー®」 「ウルティブロ®ブリーズヘラー®」 「Utibron™ Neohaler®」「Seebri™ Neohaler®」はノバルティス社の登録商標です。
(注)2 為替変動の影響を除いた数値です。
ウルティブロは長時間作用性β2刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。2019年3月にはウルティブロ及びシーブリの中国での販売がノバルティス社により開始されました。
さらに、ノバルティス社は2019年第3四半期決算説明資料で、当社が導出した医薬品であるグリコピロニウム臭化物を含むLAMA/LABA/吸入コルチコステロイド(ICS)3剤を配合したQVM149の喘息を対象とした開発プログラムの状況をアップデートしました。QVM149の第Ⅲ/Ⅲb相臨床試験(IRIDIUM及びARGON試験)は2019年第3四半期に完了しています。QVM149 について、2019年5月に欧州で、2019年第3四半期に日本で承認申請が行われました。なお、当社はQVM149の発売後、販売高に応じたロイヤリティを受領できることになっています。
(営業費用)
(単位:百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 2019年1月1日
至 2019年9月30日)
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2018年12月31日)
前年同一期間比
売上原価605335270
研究開発費3,1525,384△2,232
現金支出2,8875,187△2,300
非現金支出費用26519768
販売費及び一般管理費2,6492,704△55
現金支出1,6321,61121
非現金支出費用1,0171,093△76

売上原価
当第3四半期連結累計期間の売上原価は、605百万円となりました。売上原価には、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費及び研究施設の減価償却費並びに消耗品費等の直接経費及び2019年2月に発売されたオラビ®錠販売に係る直接経費を計上しております。
研究開発費
当第3四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同一期間比2,300百万円減少し、2,887百万円となりました。これは主に、DLB患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験(MATILDA)の自主的な中断に関するもの及び自社開発の新薬候補物質の探索への投資をより焦点を絞って行ったことによるものです。当第3四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の96%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同一期間比21百万円増加し、1,632百万円となりました。これは主に、全般的なコスト管理を強化した一方、当社株価上昇に伴い株式報酬費用に係る英国での社会保険料が増加したによるものです。
非現金支出費用
当第3四半期連結累計期間の非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当第3四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同一期間比8百万円減少し、1,282百万円となりました。当第3四半期連結累計期間の有形固定資産の減価償却費は307百万円(前年同一期間比102百万円増加)、となりました。これは2018年8月に英国に開設した最先端の研究開発施設への投資及び基盤技術に係る無形資産の会計処理の変更の影響によるものです。また、無形資産の償却費は693百万円(前年同一期間比29百万円増加)、株式報酬費用は282百万円(前年同一期間比139百万円減少)となりました。なお、第2四半期連結会計期間において、事後交付型譲渡制限付株式及び業績連動型株式を付与することといたしました。
(営業損益)
当第3四半期連結累計期間の営業損益は、1,094百万円の利益(前年同一期間は5,734百万円の損失)となりました。これは主に、上述の売上収益の増加及び研究開発費の減少によるものです。
(金融収益及び金融費用)
当第3四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同一期間比1,121百万円改善し、166百万円の収益となりました。これは主に、前連結会計年度においてMiNA (Holdings) Limited株式取得オプションの不行使損1,121百万円を計上したことによるものです。
(四半期損益)
当第3四半期連結累計期間の四半期損益は、1,461百万円の利益(前年同一期間は5,978百万円の損失)となりました。これは主に、上述の売上収益の増加、研究開発費の減少及び金融費用の減少によるものです。
(決算日後に発生した事象)
2019年9月30日以降、以下の事象が発生しました。
2019年10月1日、ノバルティス社は、IRIDIUM試験(第Ⅲ相臨床試験)から得られた良好な試験結果を発表しました。長時間作用性β2刺激薬およびコルチコステロイド(LABA/ICS)吸入剤による治療でコントロール不良であった喘息患者において、1日1回吸入の配合吸入剤QVM149(インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物およびフランカルボン酸モメタゾン、以下IND/GLY/MF)が、QMF149(インダカテロール酢酸塩およびフランカルボン酸モメタゾン、以下IND/MF)に対し優れた呼吸機能改善効果を示しました。IRIDIUM試験の詳細な結果は、今後開催される医学学会で発表されます。上述の通り、QVM149の医薬品販売承認は、2019年5月に欧州医薬品庁に申請済みです。QVM149は、サルメテロール/フルチカゾンおよびチオトロピウムの併用を比較検討する第Ⅲb相ARGON試験も実施されました。ARGON試験の結果は、データ分析後に発表予定です。当社グループは、一定の開発および販売高の目標の達成に応じたマイルストン、およびQVM149の商業化が成功した場合の販売高に応じたロイヤリティを受領する権利を有しています。ノバルティス社によるQVM149のより広範な開発プログラムのさらなる臨床データは、欧州呼吸器学会(ERS)国際会議2019で発表されています。
2019年10月9日、当社グループは、当社提携先でありロシュ・グループ企業のジェネンテック社より、疾患におけるGPCRターゲットを特定したとの通知を受け、それにより3百万米ドルを受領したことを発表しました。本3百万米ドルの受領は、当社グループが発表しました共同研究及びライセンスに関する提携契約締結のお知らせに記載した26百万米ドルに含まれます。
2019年10月22日、ノバルティス社は2019年第3四半期決算発表資料で、QVM149について、日本において承認申請が行われたと述べました。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ335百万円増加し、59,322百万円となりました。これは主に、償却及び減損により無形資産が減少し、税金還付により未収法人所得税が減少した一方で、新規提携とマイルストンの受領により現金及び現金同等物が増加し、IFRS第16号の適用により有形固定資産が1,730百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ509百万円減少し、16,898百万円となりました。これは主に、新規提携に係る繰延収益の計上によりその他の非流動負債及びその他の流動負債が増加した一方、企業結合による条件付対価の減少、無形資産の償却による繰延税金負債の減少、定期返済による有利子負債の減少及びコスト管理の強化よる営業債務の減少があったことによるものです。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ844百万円増加し、42,424百万円となりました。これは主に、新株発行及び株式報酬費用の計上により増加したことによるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ34.9%、10.8%及び71.5%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,969百万円増加し、当第3四半期連結会計期間末は20,729百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは4,232百万円の収入となりました。これは主に、マイルストン収入及び新規提携に係る契約一時金により税引前四半期利益1,142百万円が計上されキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは215百万円の支出となりました。これは主に、条件付対価の決済による収入269百万円があった一方、Sosei RMF1投資事業有限責任組合による投資有価証券の取得による支出250百万円及び有形固定資産の取得による支出244百万円によりキャッシュ・フローが減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは2,074百万円の支出となりました。これは主に、株式の発行による収入664百万円、有限責任組合員からの払込による収入495百万円によりキャッシュ・フローが増加した一方、有利子負債の返済2,302百万円、条件付対価の決済による支出931百万円によりキャッシュ・フローが減少したことによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費は、前第3四半期連結累計期間に比べ2,232百万円減少し、3,152百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1) 経営成績の状況に記載しております。