四半期報告書-第32期第1四半期(令和3年1月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及びテクノロジーに立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の生活の質と健康の向上に大きく貢献することをミッションとし、バイオ医薬品及び創薬に関する日本屈指の国際的なリーディング企業になることをビジョンに掲げています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは創薬及び初期開発パイプラインを引き続き拡充し、独自のStaR®(Stabilized Receptor)及び関連技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォームを強化しました。
当社グループのビジネスモデルは、(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進、(2)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動の推進、(3)実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結、という価値創造のための3つの重点分野に注力するものです。
当第1四半期連結累計期間末現在、当社グループのプログラムの合計20品目以上が創薬段階、13品目が前臨床試験中、複数の自社開発及び提携プログラム(注)1、2が臨床試験中です。
(注)1 複数の固形がんを対象としたAZD4635、神経疾患を対象としたHTL0016878、神経疾患を対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、神経疾患を対象としたHTL009936、2型糖尿病(T2DM)/肥満を対象としたPF-07081532、炎症性腸疾患を対象としたPF-07054894、神経疾患を対象としたTMP301及び内分泌障害を対象としたHTL0030310。
(注)2 日本でのDLB患者様を対象としたHTL0018318の第Ⅱ相臨床試験は中止を決定しました。当社グループは、実施中の毒性所見の分析・調査活動の結果を待って、医薬品医療機器総合機構(PMDA)へHTL0018318(あるいは別の新規M1作動薬候補)の新たな治験届を将来再提出する可能性があります。
大手グローバル製薬企業との新規及び既存の提携の推進
大手グローバル製薬企業との提携については、順調に進捗し、COVID-19の状況の影響により置かれた状況下で、研究開発の継続性を確保するための施策を講じました。特に武田薬品工業株式会社及びGenentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)との提携において、当社グループの業務上、これらの研究開発に関する提携が優先されており、効率良く進められています。
他の導出プログラムは、AstraZeneca UK Limited、Pfizer Inc.、AbbVie, Inc.(以下「アッヴィ社」)等の提携先により進められており、進捗はしていますが、世界的なCOVID-19の状況の影響で、多少の遅延が生じています。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの共同投資による研究開発の進展
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの共同投資でも引き続き大きな進展がありました。
2021年1月12日、当社グループは、英国の創薬企業であるPharmEnable Limited(以下「PharmEnable社」)と、両社のテクノロジーを応用し、神経疾患でこれまで創薬困難だったGタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)に対する、新薬創出を目的とした技術提携契約を締結したことを発表しました。本提携により、GPCRの完全な構造解析を可能にし、詳細な構造的知見を見いだせる能力及び技術的な扱いやすさで定評のある当社グループのGPCR構造ベース創薬プラットフォームと、人工知能(AI)・医薬品化学に基づくPharmEnable社独自の先進テクノロジー(ChemUniverse及びChemSeek)を融合することができます。これにより、非常に特異性の高い新規リード化合物を特定し、さらなる開発を進めることが可能となります。PharmEnable社のアプローチとの融合により、従来のスクリーニング方法と比較してより特異性が高い三次元(3D)構造の医薬品候補化合物を見出すことができ、これまでのアプローチでは創薬困難だったペプチド作動性GPCRなどをターゲットとすることが可能になります。ペプチド作動性GPCRの天然アゴニストリガンドは大きく複雑なペプチドであり、特に神経疾患の治療薬開発に適した特性を持つ低分子で阻害することは、多くの場合これまで非常に困難でした。本契約に基づき、両社は創薬及び開発プログラムの実施と費用負担を共同で行い、その結果得られる全ての製品を共同所有します。
2021年2月1日、当社グループは、イオンチャネルを専門とするCRO及び創薬企業である英国のMetrion Biosciences Limited(以下「Metrion社」)と、当社グループの世界有数のSBDD技術とプラットフォームを、イオンチャネルに初めて応用するための新規技術提携契約を締結したことを発表しました。本提携は、GPCRに対する創薬と同じく、イオンチャネルに対する創薬にも当社グループのSBDD技術が応用できる可能性を示し、この分野でのリーダーとしての地位を確立することを目的としています。最初のステップとして、当社グループとMetrion社はそれぞれの専門的知見を組み合わせ、神経疾患に関連する一つのイオンチャネルに対し、新規かつ特異性の高いリード化合物の特定を目指します。Metrion社は、選定されたイオンチャネルの知的財産、ノウハウ、及びスクリーニングモデルを提供します。当社グループは、選定されたイオンチャネルに対して特定された全ての分子に対して、独占的なグローバルでの権利を有します。
2021年2月16日、当社グループは、Centessa Pharmaceuticals Limited(以下「Centessa社」)が、複数の有望な新薬プログラムを集約させたバイオ医薬品企業として設立されたと公表したことを開示しました。設立に関連して、Centessa社は、未上場バイオ企業10社(以下「Centessa社子会社」)を統合し、Centessa社の経営陣の下、それぞれのプログラムの開発を引き続き進めます。Centessa社は、ライフサイエンス専門のベンチャーキャピタルであるMedicxi社によって設立され、バイオ業界における優良な投資家グループからの250百万米ドルのシリーズAの資金調達を、募集額を上回る申し込みをもって完了しました。Centessa社は、ベストインクラスまたはファーストインクラスとなる可能性があるプログラムを集約することで規模を獲得しつつも、個々のプログラムは専門チームが進めることで、従来の開発プロセスを再構築・加速化する研究開発モデルを採用しています。Centessa社は、この独自の運営体制により、既存の製薬企業が構造上抱えている、一部の非効率的な研究開発を改善することを目指しています。Centessa社子会社の各チームは、それぞれ一つのプログラムまたは一つの生物学的経路に特化した研究開発を、大きな裁量権をもつその領域の専門家の指揮の下、進めていきます。子会社の各チームが、構造ベース創薬などの独自の機能を用い、優れたサイエンスの推進に特化して注力することで、Centessa社はインパクトのある医薬品を開発し、患者様に提供することが可能になります。2019年2月、当社グループとMedicxi社によって設立されたOrexia Limited及びInexia Limitedからなる新会社Orexia Therapeutics Limited(以下「Orexia社」)は、Centessa社に統合されました。 Orexia社は、構造ベース創薬を用いて、経口及び経鼻投与によるオレキシン受容体作動薬を開発しています。これらの作動薬はナルコレプシー1型の治療を目指しており、オレキシン産生ニューロンの脱落の基礎病理、及び日中の過剰な眠気を特徴とする他の神経障害に直接作用する可能性があります。当社グループは、引き続きOrexia社に研究開発受託サービスを提供しており、Orexia社に対する当社グループの保有株式は持分に見合ったCentessa社に対する保有株式に転換されています。
提携につながる新規候補物質創出のために当社グループ独自で行う創薬及び初期開発
当社グループは、パイプラインへの重要な投資を継続し、複数の創薬候補品の初期開発段階のプログラムで進捗がありました。当社グループが実施している第Ⅰ相臨床試験(HTL0030310)は順調に進んでおり、現在、初期段階の提携交渉の対象となっています。しかしながら、世界的なCOVID-19の状況の影響で、この臨床試験の完了に多少の遅延が生じています。
2021年1月5日、当社グループは、ムスカリン作動薬プログラムのグローバルな研究開発権・販売権が当社グループに返還されることとなったことを発表しました。本プログラムに関する権利は、2016年4月にAllergan Pharmaceuticals International Limited(以下「アラガン社」)が取得していましたが、2020年5月、アラガン社はアッヴィ社によって買収されています。このグローバルでの権利を返還するという決定は、アッヴィ社のパイプラインに関するビジネス上の判断に基づくものであり、本提携プログラムに関連したいかなる有効性、安全性、またはその他のデータに基づき行われたものではありません。このような背景から、アッヴィ社は、本提携プログラムの下で開発中の全ての候補薬、当社グループからアラガン社に許諾した関連する全ての知的財産、及び提携において収集した全ての臨床・前臨床データの権利を、当社グループに返還すると通知しました。当社グループは、本プログラムのさらなる開発と再提携に向けた戦略決定のため、徹底的な検討を行っています。提携に向けたムスカリンプログラムの進捗に関する戦略の詳細は、本年のしかるべき時期にご報告する計画です。
旧当社100%子会社に関する活動
当社グループは、株式会社アクティバスファーマ(以下「アクティバス社」)により当初創製された品目について、マイルストンを受領しました。
2021年3月11日、当社グループは、Formosa Pharmaceuticals, Inc.(以下「Formosa社」)が、米国においてAPP13007について370名の白内障手術後の眼内炎及び疼痛患者を対象とした無作為化第Ⅲ相臨床試験を開始したことを発表しました(ClinicalTrials.gov 認識番号: NCT04739709)。APP13007は、ステロイドのナノ粒子製剤であり、術後眼炎疼痛治療薬として開発が進められています。今回の進捗により、当社グループはFormosa社より2.5百万米ドルのマイルストンを受領しました。APP13007は、当社の100%子会社であったアクティバス社が、デザイン・研究開発を行っていました。2017年8月、当社は、アクティバス社の全株式を、医薬品原薬製造に強みを持つ台湾証券取引所上場企業Formosa Laboratories, Inc.の100%子会社であるFormosa社へ譲渡いたしました。本譲渡は、当社グループの成長戦略の中心が、GPCRをターゲットとした独自のStaR®技術並びにSBDD技術から生み出される新薬のデザイン・研究開発へと移行したことによるものです。
2021年3月31日以降の当社グループのビジネスハイライト
2021年4月21日、Centessa社は、Centessa Pharmaceuticals plc.の米国預託株式(以下「本件ADS」)の新規株式公開に関する登録届出書(Form S-1)を米国証券取引委員会「以下「SEC」」に提出しました。Centessa社は、本件ADSの募集の完了に先立ち、Centessa Pharmaceuticals Limitedを公開有限責任会社として再登記し、名称をCentessa Pharmaceuticals LimitedからCentessa Pharmaceuticals plc.に変更する予定です。予定される募集金額の総額は最大100百万米ドルです。募集する本件ADSの数量及び価格は未定です。本株式公開に関連して、本件ADSはNASDAQ Global Marketに上場される予定であり、ティッカーシンボルは「CNTA」となる予定です。本募集の完了日は未定であり、特にSECからの承認が得られること、マーケット環境が適切であることを条件としています。
当社グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績
2021年3月31日現在、当社グループの従業員数は193人(2020年12月31日時点比3名増)です。
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益1,207百万円(前年同四半期比45百万円増加)、営業損失1,238百万円(前年同四半期は445百万円の損失)、税引前四半期損失1,054百万円(前年同四半期は500百万円の損失)、四半期損失1,153百万円(前年同四半期は746百万円の損失)となりました。
※1.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は、純額で表示しております。
2.「現金利益又は損失(△)」は営業利益に有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費、株式報酬費用及び減損損失を加算した金額を表示しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています
(売上収益)
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ45百万円増加し、1,207百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比34百万円減少し、585百万円となりました。その大半は導出先であるNovartis International AG(以下「ノバルティス社」)(注)によるウルティブロ® ブリーズヘラー®、シーブリ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®の売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
当第1四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同四半期比189百万円増加し、422百万円となりました。マイルストン収入及び契約一時金は、あらかじめ定められた成果を達成できるかどうか、あるいは新規提携契約が締結できるかどうかによって、四半期毎に変動する可能性があります。当第1四半期連結累計期間のマイルストン収入の増加は、(1)前年同四半期に1件の1.5百万米ドルのマイルストンを達成した一方、当第1四半期連結累計期間にはジェネンテック社にStaR®タンパク質を提供したことに関連した2件の計4.0百万米ドルのマイルストンを達成したこと(そのうち2.1百万米ドルを認識)、(2)アッヴィ社との間で過去に前受した収益に係る追加の進展が当第1四半期連結累計期間にみられたことにより、前受収益から売上収益への振替額が増加したことによるものです。
(営業費用)
売上原価に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の売上原価に係る現金支出は、前年同四半期比9百万円増加し、184百万円となりました。売上原価に係る現金支出は、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費並びに研究施設の消耗品費等で構成されています。
研究開発費に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比545百万円増加し、1,102百万円となりました。これは主に、当第1四半期連結累計期間においてMetrion Biosciences Limited、PharmEnable Limited及びCaptor Therapeutics SAとの新たな共同研究への支出、事業拡大のための研究開発人員の強化、ポンド高の影響、及び前第1四半期連結累計期間において外部委託企業との開発費用の負担を見直したことによる費用減少があったことによるものです。
当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の98%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比204百万円増加し、641百万円となりました。これは主に当第1四半期連結累計期間において人件費が増加したこと、及び前第1四半期連結累計期間において株価の減少に伴い株式報酬費用に係る英国の社会保険料が減少したことによるものです。
非現金支出費用
当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費、株式報酬費用及び減損損失で構成されています。当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比98百万円増加し、555百万円となりました。当第1四半期連結累計期間の有形固定資産の減価償却費は134百万円(前年同四半期比8百万円増加)、無形資産の償却費は180百万円(前年同四半期比34百万円減少)、株式報酬費用は167百万円(前年同四半期比50百万円増加)となりました。また当第1四半期連結累計期間において、株式会社そーせいのオラビ®錠の収益が低下したことにより無形資産74百万円を減損しております。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、1,238百万円の損失(前年同四半期は445百万円の損失)となりました。これは主に、営業費用の増加が売上収益の増加を上回ったことによるものです。
(金融収益及び金融費用)
当第1四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期比59百万円改善し、66百万円の収益超過となりました。これは主に、2020年7月に発行した社債の利息により金融費用が増加した一方で、2017年に全株式を売却した株式会社アクティバスファーマに関する条件付対価評価益が増加したことによるものです。
(持分法で会計処理されている投資の減損損失戻入益)
当第1四半期連結累計期間の持分法で会計処理されている投資の減損損失戻入益は、206百万円となりました。これは、2021年4月に譲渡した当社グループの関連会社であるJITSUBO株式会社の公正価値が増加したことによるものです。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、1,153百万円の損失(前年同四半期は746百万円の損失)となりました。これは主に、上述の営業損失が増加したことによるものです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,908百万円増加し、79,373百万円となりました。これは主に、ポンド高により当社連結子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.が保有する資産の円換算額が増加したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ272百万円増加し、24,356百万円となりました。これは主に、営業負債が支払により減少した一方で、ポンド高により当社連結子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.が計上する繰延税金負債の円換算額が増加したことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,636百万円増加し、55,017百万円となりました。これは主に、四半期損失の計上1,153百万円及び在外営業活動体の為替換算差額の増加3,007百万円によるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ50.9%、21.2%及び69.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ388百万円増加し、当第1四半期連結会計期間末は40,396百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは890百万円の支出となりました。これは主に、営業に関する支出が売上収益を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは62百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出60百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは197百万円の収入となりました。これは主に、新株発行による収入240百万円によるものです。
(現金及び現金同等物の為替変動による影響)
当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の為替変動による影響は1,143百万円の増加となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ539百万円増加し、1,207百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及びテクノロジーに立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の生活の質と健康の向上に大きく貢献することをミッションとし、バイオ医薬品及び創薬に関する日本屈指の国際的なリーディング企業になることをビジョンに掲げています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは創薬及び初期開発パイプラインを引き続き拡充し、独自のStaR®(Stabilized Receptor)及び関連技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォームを強化しました。
当社グループのビジネスモデルは、(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進、(2)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動の推進、(3)実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結、という価値創造のための3つの重点分野に注力するものです。
当第1四半期連結累計期間末現在、当社グループのプログラムの合計20品目以上が創薬段階、13品目が前臨床試験中、複数の自社開発及び提携プログラム(注)1、2が臨床試験中です。
(注)1 複数の固形がんを対象としたAZD4635、神経疾患を対象としたHTL0016878、神経疾患を対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、神経疾患を対象としたHTL009936、2型糖尿病(T2DM)/肥満を対象としたPF-07081532、炎症性腸疾患を対象としたPF-07054894、神経疾患を対象としたTMP301及び内分泌障害を対象としたHTL0030310。
(注)2 日本でのDLB患者様を対象としたHTL0018318の第Ⅱ相臨床試験は中止を決定しました。当社グループは、実施中の毒性所見の分析・調査活動の結果を待って、医薬品医療機器総合機構(PMDA)へHTL0018318(あるいは別の新規M1作動薬候補)の新たな治験届を将来再提出する可能性があります。
大手グローバル製薬企業との新規及び既存の提携の推進
大手グローバル製薬企業との提携については、順調に進捗し、COVID-19の状況の影響により置かれた状況下で、研究開発の継続性を確保するための施策を講じました。特に武田薬品工業株式会社及びGenentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)との提携において、当社グループの業務上、これらの研究開発に関する提携が優先されており、効率良く進められています。
他の導出プログラムは、AstraZeneca UK Limited、Pfizer Inc.、AbbVie, Inc.(以下「アッヴィ社」)等の提携先により進められており、進捗はしていますが、世界的なCOVID-19の状況の影響で、多少の遅延が生じています。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの共同投資による研究開発の進展
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの共同投資でも引き続き大きな進展がありました。
2021年1月12日、当社グループは、英国の創薬企業であるPharmEnable Limited(以下「PharmEnable社」)と、両社のテクノロジーを応用し、神経疾患でこれまで創薬困難だったGタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)に対する、新薬創出を目的とした技術提携契約を締結したことを発表しました。本提携により、GPCRの完全な構造解析を可能にし、詳細な構造的知見を見いだせる能力及び技術的な扱いやすさで定評のある当社グループのGPCR構造ベース創薬プラットフォームと、人工知能(AI)・医薬品化学に基づくPharmEnable社独自の先進テクノロジー(ChemUniverse及びChemSeek)を融合することができます。これにより、非常に特異性の高い新規リード化合物を特定し、さらなる開発を進めることが可能となります。PharmEnable社のアプローチとの融合により、従来のスクリーニング方法と比較してより特異性が高い三次元(3D)構造の医薬品候補化合物を見出すことができ、これまでのアプローチでは創薬困難だったペプチド作動性GPCRなどをターゲットとすることが可能になります。ペプチド作動性GPCRの天然アゴニストリガンドは大きく複雑なペプチドであり、特に神経疾患の治療薬開発に適した特性を持つ低分子で阻害することは、多くの場合これまで非常に困難でした。本契約に基づき、両社は創薬及び開発プログラムの実施と費用負担を共同で行い、その結果得られる全ての製品を共同所有します。
2021年2月1日、当社グループは、イオンチャネルを専門とするCRO及び創薬企業である英国のMetrion Biosciences Limited(以下「Metrion社」)と、当社グループの世界有数のSBDD技術とプラットフォームを、イオンチャネルに初めて応用するための新規技術提携契約を締結したことを発表しました。本提携は、GPCRに対する創薬と同じく、イオンチャネルに対する創薬にも当社グループのSBDD技術が応用できる可能性を示し、この分野でのリーダーとしての地位を確立することを目的としています。最初のステップとして、当社グループとMetrion社はそれぞれの専門的知見を組み合わせ、神経疾患に関連する一つのイオンチャネルに対し、新規かつ特異性の高いリード化合物の特定を目指します。Metrion社は、選定されたイオンチャネルの知的財産、ノウハウ、及びスクリーニングモデルを提供します。当社グループは、選定されたイオンチャネルに対して特定された全ての分子に対して、独占的なグローバルでの権利を有します。
2021年2月16日、当社グループは、Centessa Pharmaceuticals Limited(以下「Centessa社」)が、複数の有望な新薬プログラムを集約させたバイオ医薬品企業として設立されたと公表したことを開示しました。設立に関連して、Centessa社は、未上場バイオ企業10社(以下「Centessa社子会社」)を統合し、Centessa社の経営陣の下、それぞれのプログラムの開発を引き続き進めます。Centessa社は、ライフサイエンス専門のベンチャーキャピタルであるMedicxi社によって設立され、バイオ業界における優良な投資家グループからの250百万米ドルのシリーズAの資金調達を、募集額を上回る申し込みをもって完了しました。Centessa社は、ベストインクラスまたはファーストインクラスとなる可能性があるプログラムを集約することで規模を獲得しつつも、個々のプログラムは専門チームが進めることで、従来の開発プロセスを再構築・加速化する研究開発モデルを採用しています。Centessa社は、この独自の運営体制により、既存の製薬企業が構造上抱えている、一部の非効率的な研究開発を改善することを目指しています。Centessa社子会社の各チームは、それぞれ一つのプログラムまたは一つの生物学的経路に特化した研究開発を、大きな裁量権をもつその領域の専門家の指揮の下、進めていきます。子会社の各チームが、構造ベース創薬などの独自の機能を用い、優れたサイエンスの推進に特化して注力することで、Centessa社はインパクトのある医薬品を開発し、患者様に提供することが可能になります。2019年2月、当社グループとMedicxi社によって設立されたOrexia Limited及びInexia Limitedからなる新会社Orexia Therapeutics Limited(以下「Orexia社」)は、Centessa社に統合されました。 Orexia社は、構造ベース創薬を用いて、経口及び経鼻投与によるオレキシン受容体作動薬を開発しています。これらの作動薬はナルコレプシー1型の治療を目指しており、オレキシン産生ニューロンの脱落の基礎病理、及び日中の過剰な眠気を特徴とする他の神経障害に直接作用する可能性があります。当社グループは、引き続きOrexia社に研究開発受託サービスを提供しており、Orexia社に対する当社グループの保有株式は持分に見合ったCentessa社に対する保有株式に転換されています。
提携につながる新規候補物質創出のために当社グループ独自で行う創薬及び初期開発
当社グループは、パイプラインへの重要な投資を継続し、複数の創薬候補品の初期開発段階のプログラムで進捗がありました。当社グループが実施している第Ⅰ相臨床試験(HTL0030310)は順調に進んでおり、現在、初期段階の提携交渉の対象となっています。しかしながら、世界的なCOVID-19の状況の影響で、この臨床試験の完了に多少の遅延が生じています。
2021年1月5日、当社グループは、ムスカリン作動薬プログラムのグローバルな研究開発権・販売権が当社グループに返還されることとなったことを発表しました。本プログラムに関する権利は、2016年4月にAllergan Pharmaceuticals International Limited(以下「アラガン社」)が取得していましたが、2020年5月、アラガン社はアッヴィ社によって買収されています。このグローバルでの権利を返還するという決定は、アッヴィ社のパイプラインに関するビジネス上の判断に基づくものであり、本提携プログラムに関連したいかなる有効性、安全性、またはその他のデータに基づき行われたものではありません。このような背景から、アッヴィ社は、本提携プログラムの下で開発中の全ての候補薬、当社グループからアラガン社に許諾した関連する全ての知的財産、及び提携において収集した全ての臨床・前臨床データの権利を、当社グループに返還すると通知しました。当社グループは、本プログラムのさらなる開発と再提携に向けた戦略決定のため、徹底的な検討を行っています。提携に向けたムスカリンプログラムの進捗に関する戦略の詳細は、本年のしかるべき時期にご報告する計画です。
旧当社100%子会社に関する活動
当社グループは、株式会社アクティバスファーマ(以下「アクティバス社」)により当初創製された品目について、マイルストンを受領しました。
2021年3月11日、当社グループは、Formosa Pharmaceuticals, Inc.(以下「Formosa社」)が、米国においてAPP13007について370名の白内障手術後の眼内炎及び疼痛患者を対象とした無作為化第Ⅲ相臨床試験を開始したことを発表しました(ClinicalTrials.gov 認識番号: NCT04739709)。APP13007は、ステロイドのナノ粒子製剤であり、術後眼炎疼痛治療薬として開発が進められています。今回の進捗により、当社グループはFormosa社より2.5百万米ドルのマイルストンを受領しました。APP13007は、当社の100%子会社であったアクティバス社が、デザイン・研究開発を行っていました。2017年8月、当社は、アクティバス社の全株式を、医薬品原薬製造に強みを持つ台湾証券取引所上場企業Formosa Laboratories, Inc.の100%子会社であるFormosa社へ譲渡いたしました。本譲渡は、当社グループの成長戦略の中心が、GPCRをターゲットとした独自のStaR®技術並びにSBDD技術から生み出される新薬のデザイン・研究開発へと移行したことによるものです。
2021年3月31日以降の当社グループのビジネスハイライト
2021年4月21日、Centessa社は、Centessa Pharmaceuticals plc.の米国預託株式(以下「本件ADS」)の新規株式公開に関する登録届出書(Form S-1)を米国証券取引委員会「以下「SEC」」に提出しました。Centessa社は、本件ADSの募集の完了に先立ち、Centessa Pharmaceuticals Limitedを公開有限責任会社として再登記し、名称をCentessa Pharmaceuticals LimitedからCentessa Pharmaceuticals plc.に変更する予定です。予定される募集金額の総額は最大100百万米ドルです。募集する本件ADSの数量及び価格は未定です。本株式公開に関連して、本件ADSはNASDAQ Global Marketに上場される予定であり、ティッカーシンボルは「CNTA」となる予定です。本募集の完了日は未定であり、特にSECからの承認が得られること、マーケット環境が適切であることを条件としています。
当社グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績
2021年3月31日現在、当社グループの従業員数は193人(2020年12月31日時点比3名増)です。
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益1,207百万円(前年同四半期比45百万円増加)、営業損失1,238百万円(前年同四半期は445百万円の損失)、税引前四半期損失1,054百万円(前年同四半期は500百万円の損失)、四半期損失1,153百万円(前年同四半期は746百万円の損失)となりました。
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2021年1月1日 至 2021年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2020年1月1日 至 2020年3月31日) | 増減 | |
売上収益 | 1,207 | 1,162 | 45 |
売上原価に係る現金支出 | △184 | △175 | △9 |
研究開発費に係る現金支出 | △1,102 | △557 | △545 |
販売費及び一般管理費に係る現金支出 | △641 | △437 | △204 |
その他の収益及びその他の費用 (※1) | 37 | 19 | 18 |
現金利益又は損失(△) (※2) | △683 | 12 | △695 |
非現金支出費用 | △555 | △457 | △98 |
営業損失(△) | △1,238 | △445 | △793 |
金融収益及び金融費用 (※1) | 66 | 7 | 59 |
持分法投資損益 | △88 | △62 | △26 |
持分法で会計処理されている投資の減損損失戻入益 | 206 | - | 206 |
税引前四半期損失(△) | △1,054 | △500 | △554 |
四半期損失(△) | △1,153 | △746 | △407 |
※1.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は、純額で表示しております。
2.「現金利益又は損失(△)」は営業利益に有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費、株式報酬費用及び減損損失を加算した金額を表示しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています
(売上収益)
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2021年1月1日 至 2021年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2020年1月1日 至 2020年3月31日) | 増減 | |
ロイヤリティ収入 | 585 | 619 | △34 |
マイルストン収入及び契約一時金 | 422 | 233 | 189 |
その他 | 200 | 310 | △110 |
合計 | 1,207 | 1,162 | 45 |
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ45百万円増加し、1,207百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比34百万円減少し、585百万円となりました。その大半は導出先であるNovartis International AG(以下「ノバルティス社」)(注)によるウルティブロ® ブリーズヘラー®、シーブリ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®の売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
当第1四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同四半期比189百万円増加し、422百万円となりました。マイルストン収入及び契約一時金は、あらかじめ定められた成果を達成できるかどうか、あるいは新規提携契約が締結できるかどうかによって、四半期毎に変動する可能性があります。当第1四半期連結累計期間のマイルストン収入の増加は、(1)前年同四半期に1件の1.5百万米ドルのマイルストンを達成した一方、当第1四半期連結累計期間にはジェネンテック社にStaR®タンパク質を提供したことに関連した2件の計4.0百万米ドルのマイルストンを達成したこと(そのうち2.1百万米ドルを認識)、(2)アッヴィ社との間で過去に前受した収益に係る追加の進展が当第1四半期連結累計期間にみられたことにより、前受収益から売上収益への振替額が増加したことによるものです。
(営業費用)
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2021年1月1日 至 2021年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2020年1月1日 至 2020年3月31日) | 増減 | |
売上原価に係る現金支出 | 184 | 175 | 9 |
研究開発費に係る現金支出 | 1,102 | 557 | 545 |
販売費及び一般管理費に係る現金支出 | 641 | 437 | 204 |
非現金支出費用 | 555 | 457 | 98 |
売上原価 | 42 | - | 42 |
研究開発費 | 105 | 111 | △6 |
販売費及び一般管理費 | 334 | 346 | △12 |
その他の費用 | 74 | - | 74 |
売上原価に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の売上原価に係る現金支出は、前年同四半期比9百万円増加し、184百万円となりました。売上原価に係る現金支出は、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費並びに研究施設の消耗品費等で構成されています。
研究開発費に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比545百万円増加し、1,102百万円となりました。これは主に、当第1四半期連結累計期間においてMetrion Biosciences Limited、PharmEnable Limited及びCaptor Therapeutics SAとの新たな共同研究への支出、事業拡大のための研究開発人員の強化、ポンド高の影響、及び前第1四半期連結累計期間において外部委託企業との開発費用の負担を見直したことによる費用減少があったことによるものです。
当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の98%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比204百万円増加し、641百万円となりました。これは主に当第1四半期連結累計期間において人件費が増加したこと、及び前第1四半期連結累計期間において株価の減少に伴い株式報酬費用に係る英国の社会保険料が減少したことによるものです。
非現金支出費用
当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費、株式報酬費用及び減損損失で構成されています。当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比98百万円増加し、555百万円となりました。当第1四半期連結累計期間の有形固定資産の減価償却費は134百万円(前年同四半期比8百万円増加)、無形資産の償却費は180百万円(前年同四半期比34百万円減少)、株式報酬費用は167百万円(前年同四半期比50百万円増加)となりました。また当第1四半期連結累計期間において、株式会社そーせいのオラビ®錠の収益が低下したことにより無形資産74百万円を減損しております。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、1,238百万円の損失(前年同四半期は445百万円の損失)となりました。これは主に、営業費用の増加が売上収益の増加を上回ったことによるものです。
(金融収益及び金融費用)
当第1四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期比59百万円改善し、66百万円の収益超過となりました。これは主に、2020年7月に発行した社債の利息により金融費用が増加した一方で、2017年に全株式を売却した株式会社アクティバスファーマに関する条件付対価評価益が増加したことによるものです。
(持分法で会計処理されている投資の減損損失戻入益)
当第1四半期連結累計期間の持分法で会計処理されている投資の減損損失戻入益は、206百万円となりました。これは、2021年4月に譲渡した当社グループの関連会社であるJITSUBO株式会社の公正価値が増加したことによるものです。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、1,153百万円の損失(前年同四半期は746百万円の損失)となりました。これは主に、上述の営業損失が増加したことによるものです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,908百万円増加し、79,373百万円となりました。これは主に、ポンド高により当社連結子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.が保有する資産の円換算額が増加したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ272百万円増加し、24,356百万円となりました。これは主に、営業負債が支払により減少した一方で、ポンド高により当社連結子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.が計上する繰延税金負債の円換算額が増加したことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,636百万円増加し、55,017百万円となりました。これは主に、四半期損失の計上1,153百万円及び在外営業活動体の為替換算差額の増加3,007百万円によるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ50.9%、21.2%及び69.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ388百万円増加し、当第1四半期連結会計期間末は40,396百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは890百万円の支出となりました。これは主に、営業に関する支出が売上収益を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは62百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出60百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは197百万円の収入となりました。これは主に、新株発行による収入240百万円によるものです。
(現金及び現金同等物の為替変動による影響)
当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の為替変動による影響は1,143百万円の増加となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ539百万円増加し、1,207百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。