有価証券報告書-第31期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及び技術に立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の生活の質と健康の向上に大きく貢献することをミッションとし、日本発の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることをビジョンに掲げています。
当連結会計期間において、当社グループは独自のStaR®技術及びSBDDプラットフォームを引き続き活用・強化しました。
また、創薬ビジネスの拡大に引き続き注力し、成長機会を十分に活用していくことが可能な状況にあります。
SBDDプラットフォームと生産性の極めて高い創薬エンジンにより、複数の有望な新薬候補物質を創出し続けており、全てのプログラムを資本効率良く早期に進展させるために、提携及び共同出資による活動の拡大を図っています。同時に、競争力を維持し、高いアンメットメディカルニーズの存在する分野における、次世代のプログラムからなる有望なパイプラインを進捗させるために、新たなテクノロジー、ツール及び能力強化のための投資を行っています。
当社グループのビジネスモデルは、(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進、(2)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動の推進、(3)実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結、という価値創造のための3つの重点分野に注力するものです。
当連結会計年度末現在、当社グループのプログラムの20品目以上が創薬段階、13品目が前臨床試験中、複数の自社開発及び提携プログラムが臨床試験中です。
大手グローバル製薬企業との提携は、引き続き順調に推移しています。当連結会計年度において、アッヴィ社、バイオヘイブン社及びGSK社と新規研究開発提携及びライセンス契約を締結しました。それに加えて、ファイザー社との多岐にわたる研究開発提携において、2019年に3品目の前臨床開発候補物質が選定され、そのうち2品目が当連結会計年度末までに臨床試験入りしました。さらに、ノバルティス社のエナジア® ブリーズヘラー®が日本、欧州連合を含む複数の国で承認・発売されました。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携でも引き続き大きな進展がありました。当社のスピンオフ企業であるOrexia Limited及びInexia Limitedと連携して開発中のオレキシン受容体作動薬プログラムで、アゴニストと結合したオレキシン受容体OX2の構造解析、さらに低分子化合物の結合部位特定に成功しました。さらに、神経疾患におけるmGlu5 NAMプログラムの臨床開発を前進させるためAditum Bio Fund 1, L.P.と新会社Tempero Bio, Inc.を設立しました。一方、将来性の確保、創薬力の強化及び従来注力してきたGPCR以外へのターゲットの拡大という方針に従い、当社グループはGPCRの分解を誘導するメカニズムを持つ新規低分子治療薬を共同で創薬・開発するためCaptor Therapeutics SAとの戦略的技術提携契約を締結しました。
当社グループ独自で行う有望な新規提携のための創薬及び初期開発については、複数の創薬候補品を初期段階の開発へと進めるために、パイプラインへの必要な投資を継続しています。当連結会計年度において、H4拮抗薬、EP4拮抗薬、GPR35作動薬の各プログラムについて前臨床候補化合物を選定しました。
また当連結会計年度は、COVID-19の世界的な流行という背景に照らし、創薬企業としての社会的投資責任を果たすべく、現在流行中のSARS-CoV-2に対する有効性が期待される治療薬の研究開発プログラムを進展させました。予見される将来の変異コロナウイルスに対する有効性も期待される治療薬の研究開発を行う本プログラムにより、抗ウイルス活性を持つ低分子の特定に成功しました。
当社グループは引き続き基盤技術、創薬及び初期段階の開発の強化を図ります。創薬及び初期開発能力を増大し、業界をリードする生産性をさらに向上させるための投資を行っています。この投資により、既存の提携プロジェクトの推進とともに、世界トップレベルのパートナーとの価値の高い新規提携の獲得に注力することで、当社グループの事業全体の成長を後押しします。同時に、コスト管理を引き続き強化し、全ての価値創造の機会に柔軟に対応してまいります。
当連結会計年度の業績は、売上収益8,842百万円(前連結会計年度比884百万円減少)、営業利益928百万円(前連結会計年度比544百万円増加)、税引前当期利益1,622百万円(前連結会計年度比1,088百万円増加)、当期利益1,479百万円(前連結会計年度比47百万円増加)となりました。
※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は純額で表示しております。
※3.「現金利益」は営業利益に有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費、株式報酬費用及び減損損失を加算した金額を表示しております。
当連結会計年度の経営成績の分析は以下のとおりです。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ884百万円減少し、8,842百万円となりました。
当連結会計年度のマイルストン収入及び契約一時金は、前連結会計年度比660百万円減少し、5,353百万円となりました。マイルストン収入及び契約一時金は、あらかじめ定められた成果を達成できるかどうか、あるいは新規提携契約が締結できるかどうかによって、四半期毎に変動する可能性があります。この減少は、新規導出契約は前連結会計年度の3件に対し、当連結会計年度は4件に増加したものの、マイルストン収入が前連結会計年度比減少したことによるものです。前連結会計年度にはアストラゼネカ社からの15百万米ドル等のいくつかの重要なマイルストン収入を計上しています。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
当連結会計年度のロイヤリティに関する収益は、前連結会計年度比138百万円増加し、2,544百万円となりました。その大半は導出先であるノバルティス社(注)によるウルティブロ及びシーブリの売上に関連するものです。エナジア® ブリーズヘラー®が日本及びEUで承認され、ノバルティス社による同製品の売上に関連するロイヤリティ収入が、当連結会計年度の第3四半期から計上されています。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
(営業費用)
・売上原価に係る現金支出
当連結会計年度の売上原価に係る現金支出は、前連結会計年度比200百万円減少し、607百万円となりました。これは主に、株式会社そーせいのオラビ®錠販売に係る直接経費が減少したことによるものです。なお、売上原価に係る現金支出は、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費並びに研究施設の消耗品費等で構成されています。
・研究開発費に係る現金支出
当連結会計年度の研究開発費に係る現金支出は、前連結会計年度比526百万円減少し、3,411百万円となりました。これは主に、COVID-19の影響によるプロジェクト活動の減少及び外部委託企業との開発費用の負担を見直したことによるものです。研究開発費全体の96%は英国における活動によるものです。
・販売費及び一般管理費に係る現金支出
当連結会計年度の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前連結会計年度比169百万円減少し、1,995百万円となりました。これは主に、株価の下落に伴い株式報酬費用に係る英国での社会保険料が減少したことによるものです。
・非現金支出費用
非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費、株式報酬費用及び減損損失で構成されています。当連結会計年度の非現金支出費用は、前連結会計年度比486百万円減少し、1,976百万円となりました。有形固定資産の減価償却費は507百万円(前連結会計年度比51百万円増加)、無形資産の償却費は843百万円(前連結会計年度比166百万円減少)、株式報酬費用は626百万円(前連結会計年度比242百万円増加)となりました。2020年4月に事後交付型株式報酬(RSU)を付与したことにより株式報酬費用が増加しました。また、前連結会計年度において株式会社そーせいのオラビ®錠の収益性の低下等により無形資産613百万円を減損しました。
(営業損益)
当連結会計年度の営業損益は、前連結会計年度比544百万円改善し、928百万円の営業利益となりました。これは主に、売上収益が減少した一方、営業費用がより大きく減少したことによるものです。
(金融収益及び金融費用)
当連結会計年度の金融収益及び金融費用の純額は、前連結会計年度比719百万円改善し、1,050百万円の収益超過となりました。これは主に、条件付対価評価益が増加したことによるものです。
(当期損益)
当連結会計年度の当期損益は、前連結会計年度比47百万円改善し、1,479百万円の利益となりました。これは主に、上述の営業利益及び金融収益が増加したことによるものです。
当連結会計年度の財政状態の分析は以下のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ19,785百万円増加し、76,465百万円となりました。これは主に、Heptares Therapeutics Ltd.において法人所得税の還付により未収法人所得税の減少、及び2020年6月にそーせいCVC株式会社株式の売却に伴うSosei RMF1投資事業有限責任組合の連結除外の結果その他の金融資産が減少した一方、2020年7月の海外募集による新株の発行及び転換社債型新株予約権付社債の発行、及び新規ライセンス契約に係る契約一時金の受領により、現金及び現金同等物が24,633百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ12,482百万円増加し、24,084百万円となりました。これは主に、2020年7月に転換社債型新株予約権付社債の発行により社債が増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ7,303百万円増加し、52,381百万円となりました。これは主に、2020年7月の海外募集による新株の発行等による増加、転換社債型新株予約権付社債の発行に伴い資本剰余金が増加したこと及び当期利益の計上によるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ52.3%、21.7%、68.5%となります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ24,633百万円増加し、当連結会計年度末は40,008百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、4,672百万円の収入となりました。これは主に、マイルストン収入、新規提携による契約一時金及びロイヤリティ収入が営業に関する支出を上回ったこと及び法人所得税の還付1,338百万円によりキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは150百万円の支出となりました。これは主に、Sosei RMF1投資事業有限責任組合が保有していた投資有価証券の売却による収入238百万円及び投資事業組合からの分配金の配当による収入295百万円があった一方、そーせいCVC株式会社及びSosei RMF1投資事業有限責任組合の支配喪失に伴う現金及び現金同等物の減少577百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは20,278百万円の収入となりました。これは主に、2020年7月の海外募集による新株の発行等による収入5,145百万円及び転換社債型新株予約権付社債の発行による収入15,902百万円によるものです。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、共同開発やライセンス契約に基づく、提携パートナー企業からのマイルストン収入及び契約一時金並びにロイヤリティ収入により運転資金を創出しています。また、持株会社である当社の新株発行、社債発行及び借入等により運転資金及び事業買収にかかる資金を調達しています。
当社の主な資金需要は継続的な候補薬の開発に関するものであり、現在保有している候補薬や将来における自社開発パイプラインの研究開発や臨床試験を進め、規制当局からの承認を得るために、研究開発活動への投資を継続していきます。
当連結会計年度において、2020年7月16日付で海外募集による新株式の発行5,055百万円及び2025年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権社債の発行16,000百万円の資金調達を行いました。
この資金は、神経疾患や消化器疾患、免疫疾患、希少疾患などの領域における当社グループの創薬・開発に補完的な役割を果たす企業もしくは技術の獲得のための投資、当社グループが有する既存の創薬・早期開発基盤の拡充に資する資産の獲得のための投資、潜在的な国内市場向けの製品導入を中心とした戦略的成長投資、新規パイプラインの研究開発、及び運転資金に充当されます。
その結果、当連結会計年度末における有利子負債は16,623百万円、現金及び現金同等物の残高は40,008百万円となりました。
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 9.金融商品 (1) 資本管理」に、資本管理に関する定量的情報を記載しております。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 仕入実績
当社グループの売上収益は、主にロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金によるものであるため、該当事項はありません。
② 受注実績
当社グループの売上収益は、主にロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金によるものであるため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当社グループの事業は医薬事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は以下のとおりです。
(注)1.医薬事業の販売実績は主に開発進捗に伴うロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金であり、仕入及び受注との関連はありません。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。なお、下記には、顧客のグループ会社の金額も含めて記載しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
なお、会計上の見積りにおけるCOVID-19の影響については、「第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、連結財務諸表注記 34.追加情報」に記載のとおりです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及び技術に立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の生活の質と健康の向上に大きく貢献することをミッションとし、日本発の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になることをビジョンに掲げています。
当連結会計期間において、当社グループは独自のStaR®技術及びSBDDプラットフォームを引き続き活用・強化しました。
また、創薬ビジネスの拡大に引き続き注力し、成長機会を十分に活用していくことが可能な状況にあります。
SBDDプラットフォームと生産性の極めて高い創薬エンジンにより、複数の有望な新薬候補物質を創出し続けており、全てのプログラムを資本効率良く早期に進展させるために、提携及び共同出資による活動の拡大を図っています。同時に、競争力を維持し、高いアンメットメディカルニーズの存在する分野における、次世代のプログラムからなる有望なパイプラインを進捗させるために、新たなテクノロジー、ツール及び能力強化のための投資を行っています。
当社グループのビジネスモデルは、(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進、(2)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動の推進、(3)実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結、という価値創造のための3つの重点分野に注力するものです。
当連結会計年度末現在、当社グループのプログラムの20品目以上が創薬段階、13品目が前臨床試験中、複数の自社開発及び提携プログラムが臨床試験中です。
大手グローバル製薬企業との提携は、引き続き順調に推移しています。当連結会計年度において、アッヴィ社、バイオヘイブン社及びGSK社と新規研究開発提携及びライセンス契約を締結しました。それに加えて、ファイザー社との多岐にわたる研究開発提携において、2019年に3品目の前臨床開発候補物質が選定され、そのうち2品目が当連結会計年度末までに臨床試験入りしました。さらに、ノバルティス社のエナジア® ブリーズヘラー®が日本、欧州連合を含む複数の国で承認・発売されました。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携でも引き続き大きな進展がありました。当社のスピンオフ企業であるOrexia Limited及びInexia Limitedと連携して開発中のオレキシン受容体作動薬プログラムで、アゴニストと結合したオレキシン受容体OX2の構造解析、さらに低分子化合物の結合部位特定に成功しました。さらに、神経疾患におけるmGlu5 NAMプログラムの臨床開発を前進させるためAditum Bio Fund 1, L.P.と新会社Tempero Bio, Inc.を設立しました。一方、将来性の確保、創薬力の強化及び従来注力してきたGPCR以外へのターゲットの拡大という方針に従い、当社グループはGPCRの分解を誘導するメカニズムを持つ新規低分子治療薬を共同で創薬・開発するためCaptor Therapeutics SAとの戦略的技術提携契約を締結しました。
当社グループ独自で行う有望な新規提携のための創薬及び初期開発については、複数の創薬候補品を初期段階の開発へと進めるために、パイプラインへの必要な投資を継続しています。当連結会計年度において、H4拮抗薬、EP4拮抗薬、GPR35作動薬の各プログラムについて前臨床候補化合物を選定しました。
また当連結会計年度は、COVID-19の世界的な流行という背景に照らし、創薬企業としての社会的投資責任を果たすべく、現在流行中のSARS-CoV-2に対する有効性が期待される治療薬の研究開発プログラムを進展させました。予見される将来の変異コロナウイルスに対する有効性も期待される治療薬の研究開発を行う本プログラムにより、抗ウイルス活性を持つ低分子の特定に成功しました。
当社グループは引き続き基盤技術、創薬及び初期段階の開発の強化を図ります。創薬及び初期開発能力を増大し、業界をリードする生産性をさらに向上させるための投資を行っています。この投資により、既存の提携プロジェクトの推進とともに、世界トップレベルのパートナーとの価値の高い新規提携の獲得に注力することで、当社グループの事業全体の成長を後押しします。同時に、コスト管理を引き続き強化し、全ての価値創造の機会に柔軟に対応してまいります。
当連結会計年度の業績は、売上収益8,842百万円(前連結会計年度比884百万円減少)、営業利益928百万円(前連結会計年度比544百万円増加)、税引前当期利益1,622百万円(前連結会計年度比1,088百万円増加)、当期利益1,479百万円(前連結会計年度比47百万円増加)となりました。
(単位:百万円) | |||
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 増減 | |
売上収益 | 8,842 | 9,726 | △884 |
売上原価に係る現金支出 | △607 | △807 | 200 |
研究開発費に係る現金支出 | △3,411 | △3,937 | 526 |
販売費及び一般管理費に係る現金支出 | △1,995 | △2,164 | 169 |
その他の収益及びその他の費用 (※2) | 75 | 28 | 47 |
現金利益(※3) | 2,904 | 2,846 | 58 |
非現金支出費用 | △1,976 | △2,462 | 486 |
営業利益 | 928 | 384 | 544 |
金融収益及び金融費用 (※2) | 1,050 | 331 | 719 |
持分法投資損益 | △356 | △181 | △175 |
税引前当期利益 | 1,622 | 534 | 1,088 |
当期利益 | 1,479 | 1,432 | 47 |
※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は純額で表示しております。
※3.「現金利益」は営業利益に有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費、株式報酬費用及び減損損失を加算した金額を表示しております。
当連結会計年度の経営成績の分析は以下のとおりです。
(売上収益)
(単位:百万円) | |||
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 増減 | |
マイルストン収入及び契約一時金 | 5,353 | 6,013 | △660 |
ロイヤリティ収入 | 2,544 | 2,406 | 138 |
医薬品販売 | - | 276 | △276 |
その他 | 945 | 1,031 | △86 |
合計 | 8,842 | 9,726 | △884 |
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ884百万円減少し、8,842百万円となりました。
当連結会計年度のマイルストン収入及び契約一時金は、前連結会計年度比660百万円減少し、5,353百万円となりました。マイルストン収入及び契約一時金は、あらかじめ定められた成果を達成できるかどうか、あるいは新規提携契約が締結できるかどうかによって、四半期毎に変動する可能性があります。この減少は、新規導出契約は前連結会計年度の3件に対し、当連結会計年度は4件に増加したものの、マイルストン収入が前連結会計年度比減少したことによるものです。前連結会計年度にはアストラゼネカ社からの15百万米ドル等のいくつかの重要なマイルストン収入を計上しています。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
当連結会計年度のロイヤリティに関する収益は、前連結会計年度比138百万円増加し、2,544百万円となりました。その大半は導出先であるノバルティス社(注)によるウルティブロ及びシーブリの売上に関連するものです。エナジア® ブリーズヘラー®が日本及びEUで承認され、ノバルティス社による同製品の売上に関連するロイヤリティ収入が、当連結会計年度の第3四半期から計上されています。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
(営業費用)
(単位:百万円) | |||
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 増減 | |
売上原価に係る現金支出 | 607 | 807 | △200 |
研究開発費に係る現金支出 | 3,411 | 3,937 | △526 |
販売費及び一般管理費に係る現金支出 | 1,995 | 2,164 | △169 |
非現金支出費用 | 1,976 | 2,462 | △486 |
売上原価 | 154 | 44 | 110 |
研究開発費 | 382 | 355 | 27 |
販売費及び一般管理費 | 1,440 | 1,450 | △10 |
その他の費用 | - | 613 | △613 |
・売上原価に係る現金支出
当連結会計年度の売上原価に係る現金支出は、前連結会計年度比200百万円減少し、607百万円となりました。これは主に、株式会社そーせいのオラビ®錠販売に係る直接経費が減少したことによるものです。なお、売上原価に係る現金支出は、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費並びに研究施設の消耗品費等で構成されています。
・研究開発費に係る現金支出
当連結会計年度の研究開発費に係る現金支出は、前連結会計年度比526百万円減少し、3,411百万円となりました。これは主に、COVID-19の影響によるプロジェクト活動の減少及び外部委託企業との開発費用の負担を見直したことによるものです。研究開発費全体の96%は英国における活動によるものです。
・販売費及び一般管理費に係る現金支出
当連結会計年度の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前連結会計年度比169百万円減少し、1,995百万円となりました。これは主に、株価の下落に伴い株式報酬費用に係る英国での社会保険料が減少したことによるものです。
・非現金支出費用
非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費、株式報酬費用及び減損損失で構成されています。当連結会計年度の非現金支出費用は、前連結会計年度比486百万円減少し、1,976百万円となりました。有形固定資産の減価償却費は507百万円(前連結会計年度比51百万円増加)、無形資産の償却費は843百万円(前連結会計年度比166百万円減少)、株式報酬費用は626百万円(前連結会計年度比242百万円増加)となりました。2020年4月に事後交付型株式報酬(RSU)を付与したことにより株式報酬費用が増加しました。また、前連結会計年度において株式会社そーせいのオラビ®錠の収益性の低下等により無形資産613百万円を減損しました。
(営業損益)
当連結会計年度の営業損益は、前連結会計年度比544百万円改善し、928百万円の営業利益となりました。これは主に、売上収益が減少した一方、営業費用がより大きく減少したことによるものです。
(金融収益及び金融費用)
当連結会計年度の金融収益及び金融費用の純額は、前連結会計年度比719百万円改善し、1,050百万円の収益超過となりました。これは主に、条件付対価評価益が増加したことによるものです。
(当期損益)
当連結会計年度の当期損益は、前連結会計年度比47百万円改善し、1,479百万円の利益となりました。これは主に、上述の営業利益及び金融収益が増加したことによるものです。
当連結会計年度の財政状態の分析は以下のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ19,785百万円増加し、76,465百万円となりました。これは主に、Heptares Therapeutics Ltd.において法人所得税の還付により未収法人所得税の減少、及び2020年6月にそーせいCVC株式会社株式の売却に伴うSosei RMF1投資事業有限責任組合の連結除外の結果その他の金融資産が減少した一方、2020年7月の海外募集による新株の発行及び転換社債型新株予約権付社債の発行、及び新規ライセンス契約に係る契約一時金の受領により、現金及び現金同等物が24,633百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ12,482百万円増加し、24,084百万円となりました。これは主に、2020年7月に転換社債型新株予約権付社債の発行により社債が増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ7,303百万円増加し、52,381百万円となりました。これは主に、2020年7月の海外募集による新株の発行等による増加、転換社債型新株予約権付社債の発行に伴い資本剰余金が増加したこと及び当期利益の計上によるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ52.3%、21.7%、68.5%となります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ24,633百万円増加し、当連結会計年度末は40,008百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、4,672百万円の収入となりました。これは主に、マイルストン収入、新規提携による契約一時金及びロイヤリティ収入が営業に関する支出を上回ったこと及び法人所得税の還付1,338百万円によりキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは150百万円の支出となりました。これは主に、Sosei RMF1投資事業有限責任組合が保有していた投資有価証券の売却による収入238百万円及び投資事業組合からの分配金の配当による収入295百万円があった一方、そーせいCVC株式会社及びSosei RMF1投資事業有限責任組合の支配喪失に伴う現金及び現金同等物の減少577百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは20,278百万円の収入となりました。これは主に、2020年7月の海外募集による新株の発行等による収入5,145百万円及び転換社債型新株予約権付社債の発行による収入15,902百万円によるものです。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、共同開発やライセンス契約に基づく、提携パートナー企業からのマイルストン収入及び契約一時金並びにロイヤリティ収入により運転資金を創出しています。また、持株会社である当社の新株発行、社債発行及び借入等により運転資金及び事業買収にかかる資金を調達しています。
当社の主な資金需要は継続的な候補薬の開発に関するものであり、現在保有している候補薬や将来における自社開発パイプラインの研究開発や臨床試験を進め、規制当局からの承認を得るために、研究開発活動への投資を継続していきます。
当連結会計年度において、2020年7月16日付で海外募集による新株式の発行5,055百万円及び2025年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権社債の発行16,000百万円の資金調達を行いました。
この資金は、神経疾患や消化器疾患、免疫疾患、希少疾患などの領域における当社グループの創薬・開発に補完的な役割を果たす企業もしくは技術の獲得のための投資、当社グループが有する既存の創薬・早期開発基盤の拡充に資する資産の獲得のための投資、潜在的な国内市場向けの製品導入を中心とした戦略的成長投資、新規パイプラインの研究開発、及び運転資金に充当されます。
その結果、当連結会計年度末における有利子負債は16,623百万円、現金及び現金同等物の残高は40,008百万円となりました。
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 9.金融商品 (1) 資本管理」に、資本管理に関する定量的情報を記載しております。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 仕入実績
当社グループの売上収益は、主にロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金によるものであるため、該当事項はありません。
② 受注実績
当社グループの売上収益は、主にロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金によるものであるため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当社グループの事業は医薬事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は以下のとおりです。
区分 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 増減率 (%) |
マイルストン収入及び契約一時金 | 5,353 | 6,013 | △11.0 |
ロイヤリティ収入 | 2,544 | 2,406 | 5.7 |
医薬品販売 | - | 276 | - |
その他 | 945 | 1,031 | △8.3 |
合計 | 8,842 | 9,726 | △9.1 |
(注)1.医薬事業の販売実績は主に開発進捗に伴うロイヤリティ収入並びにマイルストン収入及び契約一時金であり、仕入及び受注との関連はありません。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。なお、下記には、顧客のグループ会社の金額も含めて記載しております。
相手先 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
Novartis International AG | 3,215 | 36.36 | 2,644 | 27.18 |
GlaxoSmithKline plc. | 1,341 | 15.17 | - | - |
Biohaven Pharmaceutical Holding Company Ltd. | 1,089 | 12.31 | - | - |
Pfizer Inc. | 524 | 5.93 | 1,511 | 15.54 |
武田薬品工業株式会社 | 365 | 4.13 | 1,155 | 11.88 |
Genentech, Inc. | 345 | 3.90 | 1,001 | 10.30 |
AstraZeneca UK Limited | - | - | 1,616 | 16.61 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
なお、会計上の見積りにおけるCOVID-19の影響については、「第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、連結財務諸表注記 34.追加情報」に記載のとおりです。