四半期報告書-第29期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、臨床開発ステージへ移行した製品を有するバイオ製薬企業であり、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする高度に革新的な医薬品の研究開発を通じ、日本初の国際的なリーディングバイオ製薬企業になることを目指しています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術及び構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォームを引き続き拡充しました。
(1)大手グローバル製薬企業との提携、(2)革新的なバイオ製薬企業との研究開発活動における提携、(3)当社の開発品を独自で開発、という当社グループの均衡の取れたビジネスモデル全ての分野で進展がありました。
当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループは13品目が創薬段階、5品目が前臨床試験中であり、4品目(レビー小体型認知症(DLB)患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験を含む)が臨床試験中です。
大手グローバル製薬企業と提携した品目の中では、次世代がん免疫療法を目的とした候補薬AZD4635、及びアルツハイマー病の対症療法を目的とした新規候補薬HTL0018318の患者を対象にした臨床試験において、順調な進捗がみられました。
2018年4月18日、当社グループ及び提携企業であるAstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)は、AZD4635が、前臨床モデルにおいて単剤投与時及び抗PD-L1抗体との併用時に、抗腫瘍免疫性を高めることを示す新たなデータを発表しました。AZD4635は強力かつ選択性の高い拮抗作用を有する、経口投与可能な低分子アデノシンA2a受容体拮抗薬です。AZD4635は当社完全子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.(以下「Heptares社」)により創製され、2015年にAstraZeneca社にそのグローバルでの独占的権利を譲渡しました。同社によりAZD4635の臨床有用性を綿密に調査するため、現在以下の試験を実施しています:
•進行性固形がん患者を対象とした安全性、忍容性、薬物動態及び生物学的活性を評価する第Ⅰb相試験(NCT#02740985)
•上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)進行性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者を対象とした新規併用療法の安全性、忍容性及び抗腫瘍活性を評価する第Ⅰb/Ⅱ相試験(NCT#03381274)
革新的なバイオ製薬企業との共同研究開発活動でも、効果的な進展がありました。
2018年5月24日、当社グループはペプチドリーム株式会社(以下「ペプチドリーム社」)との提携について最新情報を発表しました。同社とは2017年に、炎症性疾患に重要な役割を果たすGPCRであるプロテアーゼ活性化受容体2(PAR2)を標的とする新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的提携契約を締結しましたが、安定化された受容体の精製、分離が可能な当社グループ独自のStaR®技術とペプチドリーム社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を組み合わせることにより、PAR2に対し高い親和性と選択性を有するペプチド拮抗薬を同定することが可能となりました。現在は、最も有望なリード化合物を早期に臨床開発段階へ進められるよう、本ペプチドの特性分析と最適化を鋭意行っています。契約に従い、コストを分担しながら両社は共同で創薬・開発を行い、得られた成果物を共同所有できます。
当社独自の開発品探索については、複数の候補品を臨床試験に進めるべくパイプラインへの投資を継続しました。
2018年6月18日、DLB患者を対象とした新規ムスカリンM1受容体作動薬HTL0018318の安全性、忍容性及び有効性を評価する前期第Ⅱ相試験の開始準備が整いました。予定通り、間もなく最初の治験実施施設において一人目の症例が登録されます。本前期第Ⅱ相試験は約172名のDLB患者を対象とした、無作為化二重盲検プラセボ対照用量群間比較試験です。本試験の主要評価項目はプラセボを対照としたHTL0018318の安全性及び忍容性の評価であり、副次的評価項目は12週の治療期間にわたるHTL0018318の有効性評価(認知及び神経精神症状の改善)です。本試験は2020年中頃に終了予定です。本試験の詳細は、clinicaltrials.jpをご覧ください(JapicCTI-No.183989)。
他の当社保有の研究開発品目も大変順調に進捗しました。
当社は、2018年6月4日開催の取締役会において、アンドリュー・オークリーの退任を受け、クリス・カーギルを同日付で暫定CFOに任命することを決議しました。
当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループの従業員数は158人(前年同四半期末比14人増)です。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益835百万円(前年同四半期比1,949百万円減少)、営業利益△1,783百万円(前年同四半期比2,514百万円減少)、税引前四半期利益△1,943百万円(前年同四半期比2,292百万円減少)、四半期利益△1,568百万円(前年同四半期比1,859百万円減少)、親会社の所有者に帰属する四半期利益△1,568百万円(前年同四半期比1,860百万円減少)となりました。
連結経営成績
(単位:百万円)
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しております。
(売上収益、売上総利益)
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ1,949百万円減少し、835百万円となりました。
売上区分別の状況は以下のとおりです。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比40百万円増加し、626百万円(6.8%増加)となりました。その大半は導出先であるNovartis International AG(以下「ノバルティス社」)によるウルティブロⓇブリーズヘラーⓇ(以下「ウルティブロ」)及びシーブリⓇブリーズヘラーⓇ(以下「シーブリ」)の売上に関連するものです。
2018年7月18日のノバルティス社の発表によると、両剤の2018年第2四半期(2018年4月から2018年6月)の売上は155百万米ドル(前年同四半期比20百万米ドル増加)となりました。ノバルティス社による2018年第2四半期の製品別の売上は以下のとおりです:
•「ウルティブロ」(売上116百万米ドル、前年同四半期比17百万米ドル増加、前年同四半期比11%増(※))LAMA/LABAの配合剤であるウルティブロは当四半期において、FLAME、CLAIM studyの良好な結果、並びに慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断・ケア・予防に関する世界的な指針となる2018年版GOLDレポート、さらにSUNSET studyに後押しされ、売上は二桁の伸びとなりました。
•「シーブリ」(売上39百万米ドル、前年同四半期比3百万米ドル増加、前年同四半期比2%増(※))LAMAの単剤であるシーブリの当四半期の売上は、ほぼ横ばいとなりました。
(※)を付した数値は、為替変動の影響を除いた数値です。
ウルティブロは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。さらに、ノバルティス社は2018年第2四半期決算説明資料で、QVM149の喘息治療の追加適応を2020年に取得するため、2019年に承認申請を行う予定であると公表しました。当社が導出した医薬品であるグリコピロニウム臭化物を含む呼吸器疾患治療薬が同社へさらに寄与できることが確認されました。なお、当社はQVM149の発売後、販売高に応じた一定率のロイヤリティを受領できることになっております。
グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社及び共同開発パートナーであるVectura Group PLCからノバルティス社に導出しています。これらの製品は米国において、Utibron™ NeohalerⓇ、Seebri™ NeohalerⓇの製品名で異なる用量・用法で販売されています。Sunovion Pharmaceuticals Inc.(以下「サノビオン社」)は、2016年12月21日に米国における販売権を取得しています。サノビオン社は2017年10月にSeebri™ NeohalerⓇの販売を開始しています。
「ウルティブロⓇブリーズヘラーⓇ」 「シーブリⓇブリーズヘラーⓇ」 「Utibron™ NeohalerⓇ」「Seebri™ NeohalerⓇ」はノバルティス社の登録商標です。
当第1四半期連結累計期間のマイルストンに関する収益は、前年同四半期比1,915百万円減少し、101百万円(95.0%減少)となりました。前年同四半期にはAstraZeneca社から12百万米ドル、Teva Pharmaceutical Industries Ltd.(以下「Teva社」)から5百万米ドルの重要なマイルストンを受領しましたが、当第1四半期連結累計期間には新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益がなかったことが、前年同四半期と比較したマイルストンに関する収益の減少の主たる要因です。これらの要因は、2018年5月10日の2018年3月期決算発表時の2018年12月期の連結業績予想で公表したとおりです。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
(研究開発費、販売費及び一般管理費)
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
(単位:百万円)
(研究開発費)
当第1四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比749百万円増加し、1,826百万円(69.5%増加)となりました。この増加は主に、DLB患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験に係る支出の増加及び当社独自の開発プログラムへの継続投資によるものです。当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の97.3%は英国における活動によるものです。当社グループの研究開発費に係る現金支出の見通しは、自社開発パイプラインの管理強化と研究開発費の支出予定時期を見直したことにより改善し、2018年12月までの9ヶ月間における研究開発費に係る現金支出は7,000百万円から7,600百万円(65百万米ドルから70百万米ドル)となる見込みに修正します。
(販売費及び一般管理費)
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比212百万円減少し、508百万円(29.4%減少)となりました。当社グループの一般管理費に係る現金支出の見通しは据え置き、2018年12月までの9ヶ月間における販売費及び一般管理費に係る現金支出は2,000百万円から2,500百万円(18百万米ドルから23百万米ドル)となる見込みです。
(非現金支出費用)
当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は主に、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比15百万円増加し、342百万円(4.6%増加)となりました。これは主に、Heptares社が保有する無形資産の償却が微増したことによるものです。
なお、研究開発費に含まれる非現金費用は、当第1四半期連結累計期間は29百万円(前第1四半期連結累計期間23百万円)、販売費及び一般管理費に含まれている非現金支出費用は、当第1四半期連結累計期間313百万円(前第1四半期連結累計期間304百万円)となりました。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、1,783百万円の損失(前第1四半期連結累計期間は731百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少及び研究開発費の増加によるものです。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、1,568百万円の損失(前第1四半期連結累計期間は291百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少及び研究開発費の増加によるものです。
(2) 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,972百万円減少し、65,514百万円となりました。これは主に、研究開発費等の営業キャッシュ・フローの使用による支出1,398百万円及び有利子負債の返済による支出750百万円等により現金及び現金同等物が3,239百万円減少したことによるものです。なお、流動資産の総資産に占める比率は42.8%、現金及び現金同等物の流動資産に占める比率は89.3%となりました。
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,555百万円減少し、19,045百万円となりました。これは主に、有利子負債735百万円、営業債務及びその他の債務398百万円並びに繰延税金負債370百万円の減少によるものです。
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,417百万円減少し、46,469百万円となりました。主な減少要因は、四半期損失の計上1,568百万円です。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ0.6ポイント増加し、70.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,239百万円減少し、当第1四半期連結会計年度末は25,042百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,398百万円の支出となりました。これは主に、研究開発活動等による税引前四半期損失1,943百万円の計上によりキャッシュ・フローが減少した一方、減価償却費及び償却費267百万円並びに営業債務の増加額206百万円によりキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは971百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が899百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは850百万円の支出となりました。これは主に、有利子負債の返済が750百万円があったことによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ755百万円増加し、1,855百万円となりました。詳細については、(1)経営成績の状況に記載しています。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、臨床開発ステージへ移行した製品を有するバイオ製薬企業であり、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする高度に革新的な医薬品の研究開発を通じ、日本初の国際的なリーディングバイオ製薬企業になることを目指しています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術及び構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォームを引き続き拡充しました。
(1)大手グローバル製薬企業との提携、(2)革新的なバイオ製薬企業との研究開発活動における提携、(3)当社の開発品を独自で開発、という当社グループの均衡の取れたビジネスモデル全ての分野で進展がありました。
当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループは13品目が創薬段階、5品目が前臨床試験中であり、4品目(レビー小体型認知症(DLB)患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験を含む)が臨床試験中です。
大手グローバル製薬企業と提携した品目の中では、次世代がん免疫療法を目的とした候補薬AZD4635、及びアルツハイマー病の対症療法を目的とした新規候補薬HTL0018318の患者を対象にした臨床試験において、順調な進捗がみられました。
2018年4月18日、当社グループ及び提携企業であるAstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)は、AZD4635が、前臨床モデルにおいて単剤投与時及び抗PD-L1抗体との併用時に、抗腫瘍免疫性を高めることを示す新たなデータを発表しました。AZD4635は強力かつ選択性の高い拮抗作用を有する、経口投与可能な低分子アデノシンA2a受容体拮抗薬です。AZD4635は当社完全子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.(以下「Heptares社」)により創製され、2015年にAstraZeneca社にそのグローバルでの独占的権利を譲渡しました。同社によりAZD4635の臨床有用性を綿密に調査するため、現在以下の試験を実施しています:
•進行性固形がん患者を対象とした安全性、忍容性、薬物動態及び生物学的活性を評価する第Ⅰb相試験(NCT#02740985)
•上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)進行性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者を対象とした新規併用療法の安全性、忍容性及び抗腫瘍活性を評価する第Ⅰb/Ⅱ相試験(NCT#03381274)
革新的なバイオ製薬企業との共同研究開発活動でも、効果的な進展がありました。
2018年5月24日、当社グループはペプチドリーム株式会社(以下「ペプチドリーム社」)との提携について最新情報を発表しました。同社とは2017年に、炎症性疾患に重要な役割を果たすGPCRであるプロテアーゼ活性化受容体2(PAR2)を標的とする新規治療薬の研究開発・商業化を目的とした戦略的提携契約を締結しましたが、安定化された受容体の精製、分離が可能な当社グループ独自のStaR®技術とペプチドリーム社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を組み合わせることにより、PAR2に対し高い親和性と選択性を有するペプチド拮抗薬を同定することが可能となりました。現在は、最も有望なリード化合物を早期に臨床開発段階へ進められるよう、本ペプチドの特性分析と最適化を鋭意行っています。契約に従い、コストを分担しながら両社は共同で創薬・開発を行い、得られた成果物を共同所有できます。
当社独自の開発品探索については、複数の候補品を臨床試験に進めるべくパイプラインへの投資を継続しました。
2018年6月18日、DLB患者を対象とした新規ムスカリンM1受容体作動薬HTL0018318の安全性、忍容性及び有効性を評価する前期第Ⅱ相試験の開始準備が整いました。予定通り、間もなく最初の治験実施施設において一人目の症例が登録されます。本前期第Ⅱ相試験は約172名のDLB患者を対象とした、無作為化二重盲検プラセボ対照用量群間比較試験です。本試験の主要評価項目はプラセボを対照としたHTL0018318の安全性及び忍容性の評価であり、副次的評価項目は12週の治療期間にわたるHTL0018318の有効性評価(認知及び神経精神症状の改善)です。本試験は2020年中頃に終了予定です。本試験の詳細は、clinicaltrials.jpをご覧ください(JapicCTI-No.183989)。
他の当社保有の研究開発品目も大変順調に進捗しました。
当社は、2018年6月4日開催の取締役会において、アンドリュー・オークリーの退任を受け、クリス・カーギルを同日付で暫定CFOに任命することを決議しました。
当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループの従業員数は158人(前年同四半期末比14人増)です。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益835百万円(前年同四半期比1,949百万円減少)、営業利益△1,783百万円(前年同四半期比2,514百万円減少)、税引前四半期利益△1,943百万円(前年同四半期比2,292百万円減少)、四半期利益△1,568百万円(前年同四半期比1,859百万円減少)、親会社の所有者に帰属する四半期利益△1,568百万円(前年同四半期比1,860百万円減少)となりました。
連結経営成績
(単位:百万円)
当第1四半期 連結累計期間 | 前第1四半期 連結累計期間 | 前年同期比 | |
売上収益 | 835 | 2,784 | △1,949 |
売上総利益 | 835 | 2,784 | △1,949 |
営業利益(△損失) | △1,783 | 731 | △2,514 |
四半期利益(△損失) | △1,568 | 291 | △1,859 |
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しております。
(売上収益、売上総利益)
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前第1四半期連結累計期間に比べ1,949百万円減少し、835百万円となりました。
売上区分別の状況は以下のとおりです。
(単位:百万円) |
当第1四半期 連結累計期間 | 前第1四半期 連結累計期間 | 前年同期比 | |
ロイヤリティ収入 | 626 | 586 | 40 |
マイルストン収入及び契約一時金 | 101 | 2,016 | △1,915 |
その他 | 108 | 181 | △73 |
合計 | 835 | 2,784 | △1,949 |
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比40百万円増加し、626百万円(6.8%増加)となりました。その大半は導出先であるNovartis International AG(以下「ノバルティス社」)によるウルティブロⓇブリーズヘラーⓇ(以下「ウルティブロ」)及びシーブリⓇブリーズヘラーⓇ(以下「シーブリ」)の売上に関連するものです。
2018年7月18日のノバルティス社の発表によると、両剤の2018年第2四半期(2018年4月から2018年6月)の売上は155百万米ドル(前年同四半期比20百万米ドル増加)となりました。ノバルティス社による2018年第2四半期の製品別の売上は以下のとおりです:
•「ウルティブロ」(売上116百万米ドル、前年同四半期比17百万米ドル増加、前年同四半期比11%増(※))LAMA/LABAの配合剤であるウルティブロは当四半期において、FLAME、CLAIM studyの良好な結果、並びに慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断・ケア・予防に関する世界的な指針となる2018年版GOLDレポート、さらにSUNSET studyに後押しされ、売上は二桁の伸びとなりました。
•「シーブリ」(売上39百万米ドル、前年同四半期比3百万米ドル増加、前年同四半期比2%増(※))LAMAの単剤であるシーブリの当四半期の売上は、ほぼ横ばいとなりました。
(※)を付した数値は、為替変動の影響を除いた数値です。
ウルティブロは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。さらに、ノバルティス社は2018年第2四半期決算説明資料で、QVM149の喘息治療の追加適応を2020年に取得するため、2019年に承認申請を行う予定であると公表しました。当社が導出した医薬品であるグリコピロニウム臭化物を含む呼吸器疾患治療薬が同社へさらに寄与できることが確認されました。なお、当社はQVM149の発売後、販売高に応じた一定率のロイヤリティを受領できることになっております。
グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社及び共同開発パートナーであるVectura Group PLCからノバルティス社に導出しています。これらの製品は米国において、Utibron™ NeohalerⓇ、Seebri™ NeohalerⓇの製品名で異なる用量・用法で販売されています。Sunovion Pharmaceuticals Inc.(以下「サノビオン社」)は、2016年12月21日に米国における販売権を取得しています。サノビオン社は2017年10月にSeebri™ NeohalerⓇの販売を開始しています。
「ウルティブロⓇブリーズヘラーⓇ」 「シーブリⓇブリーズヘラーⓇ」 「Utibron™ NeohalerⓇ」「Seebri™ NeohalerⓇ」はノバルティス社の登録商標です。
当第1四半期連結累計期間のマイルストンに関する収益は、前年同四半期比1,915百万円減少し、101百万円(95.0%減少)となりました。前年同四半期にはAstraZeneca社から12百万米ドル、Teva Pharmaceutical Industries Ltd.(以下「Teva社」)から5百万米ドルの重要なマイルストンを受領しましたが、当第1四半期連結累計期間には新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益がなかったことが、前年同四半期と比較したマイルストンに関する収益の減少の主たる要因です。これらの要因は、2018年5月10日の2018年3月期決算発表時の2018年12月期の連結業績予想で公表したとおりです。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
(研究開発費、販売費及び一般管理費)
研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳
(単位:百万円)
当第1四半期 連結累計期間 | 前第1四半期 連結累計期間 | 前年同期比 | |
研究開発費 | 1,855 | 1,100 | 755 |
(内訳)現金支出 | 1,826 | 1,077 | 749 |
非現金支出 | 29 | 23 | 6 |
販売費及び一般管理費 | 821 | 1,024 | △203 |
(内訳)現金支出 | 508 | 720 | △212 |
非現金支出 | 313 | 304 | 9 |
(研究開発費)
当第1四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比749百万円増加し、1,826百万円(69.5%増加)となりました。この増加は主に、DLB患者を対象とした日本における前期第Ⅱ相試験に係る支出の増加及び当社独自の開発プログラムへの継続投資によるものです。当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の97.3%は英国における活動によるものです。当社グループの研究開発費に係る現金支出の見通しは、自社開発パイプラインの管理強化と研究開発費の支出予定時期を見直したことにより改善し、2018年12月までの9ヶ月間における研究開発費に係る現金支出は7,000百万円から7,600百万円(65百万米ドルから70百万米ドル)となる見込みに修正します。
(販売費及び一般管理費)
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比212百万円減少し、508百万円(29.4%減少)となりました。当社グループの一般管理費に係る現金支出の見通しは据え置き、2018年12月までの9ヶ月間における販売費及び一般管理費に係る現金支出は2,000百万円から2,500百万円(18百万米ドルから23百万米ドル)となる見込みです。
(非現金支出費用)
当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は主に、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比15百万円増加し、342百万円(4.6%増加)となりました。これは主に、Heptares社が保有する無形資産の償却が微増したことによるものです。
なお、研究開発費に含まれる非現金費用は、当第1四半期連結累計期間は29百万円(前第1四半期連結累計期間23百万円)、販売費及び一般管理費に含まれている非現金支出費用は、当第1四半期連結累計期間313百万円(前第1四半期連結累計期間304百万円)となりました。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、1,783百万円の損失(前第1四半期連結累計期間は731百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少及び研究開発費の増加によるものです。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、1,568百万円の損失(前第1四半期連結累計期間は291百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少及び研究開発費の増加によるものです。
(2) 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,972百万円減少し、65,514百万円となりました。これは主に、研究開発費等の営業キャッシュ・フローの使用による支出1,398百万円及び有利子負債の返済による支出750百万円等により現金及び現金同等物が3,239百万円減少したことによるものです。なお、流動資産の総資産に占める比率は42.8%、現金及び現金同等物の流動資産に占める比率は89.3%となりました。
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,555百万円減少し、19,045百万円となりました。これは主に、有利子負債735百万円、営業債務及びその他の債務398百万円並びに繰延税金負債370百万円の減少によるものです。
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,417百万円減少し、46,469百万円となりました。主な減少要因は、四半期損失の計上1,568百万円です。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ0.6ポイント増加し、70.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
当第1四半期 連結累計期間 | 前第1四半期 連結累計期間 | 前年同期比 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | △1,398 | △207 | △1,191 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △971 | △5,168 | 4,197 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △850 | 4,399 | △5,249 |
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,239百万円減少し、当第1四半期連結会計年度末は25,042百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,398百万円の支出となりました。これは主に、研究開発活動等による税引前四半期損失1,943百万円の計上によりキャッシュ・フローが減少した一方、減価償却費及び償却費267百万円並びに営業債務の増加額206百万円によりキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは971百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が899百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは850百万円の支出となりました。これは主に、有利子負債の返済が750百万円があったことによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ755百万円増加し、1,855百万円となりました。詳細については、(1)経営成績の状況に記載しています。