四半期報告書-第31期第1四半期(令和2年1月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及びテクノロジーに立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の生活の質と健康の向上に大きく貢献することをミッションとし、バイオ医薬品及び創薬に関する日本屈指の国際的なリーディング企業になることをビジョンに掲げています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは創薬及び初期開発パイプラインを引き続き拡充し、独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォームを強化しました。
当社グループのビジネスモデルは、(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進、(2)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動における新規提携の創出及び既存の提携の推進、(3)実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結、という価値創造のための3つの重点分野に注力しています。
2020年3月25日、当社は第30回定時株主総会を開催しました。当日は当社代表執行役会長兼社長CEOである田村眞一から、世界有数のプラットフォーム、創薬及び初期開発における能力を活用し、提携プログラムを推進、強化するという次世代の成長戦略の実行にさらに力を入れていくこと説明しました。グループの戦略の概要は以下の通りです。
1.最先端のサイエンス及びテクノロジーに立脚した創薬ビジネスの構築
・世界をリードするサイエンスとテクノロジー、特にStaR® Gタンパク質共役受容体「以下(GPCR)」技術及びSBDDプラットフォームを有するHeptares Therapeutics Ltd.を、2015年に買収したことがこの目標の基礎となっています。
・このテクノロジー及びプラットフォームは、グループの創薬への取り組みの中核をなし、これらを融合させることで、GPCRを標的とした医薬品設計における世界有数のアプローチの1つを確立することが可能となりました。
・当社グループは、GPCR及びその他の膜タンパク質を標的とする創薬における、未開拓の重要な機会を引き続き追及し、創薬困難な標的を含む価値の高いプログラムに注力していきます。
2.価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業のための複数の新薬候補化合物の創製
・サイエンス及びテクノロジーに立脚したアプローチにより、当社グループは、過去10年間で25品目以上の前臨床候補物質を創出し、そのうち7品目は臨床試験入りしています。この高い創薬能力は、非常に効率的なアプローチによるもので、製薬業界の標準よりも1年から2年早く前臨床候補物質を創製することができます。
・これらの前臨床候補物質の多くは、Pfizer Inc.(以下「Pfizer社」)Allergan Pharmaceuticals International Limited(以下「Allergan社」)、AstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)、さらに最近の武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)及びGenentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)との提携を含む、当社グループの価値の高い提携の基礎となっています。
・グループはこの創薬及び初期開発の戦略を継続し、毎年2件から3件の新規の価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業を実現することを目指します。
3.価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業からの利益をGPCR創薬及びSBDDのリーダーシップを強化させるために必要なテクノロジーに投資
・テクノロジーが現状にとどまることはなく、当社グループの目標は、イノベーションと生産性を高める非常に魅力的なソリューションを提供し、製薬企業にとっての創薬パートナーとして選ばれる存在になることです。
・当社グループは、提携及びベンチャーとの協業から得られた利益を、中核テクノロジーが継続的に刷新・強化できるよう投資しており、これまでに以下の取り組みを行っています。
-スイスのG7 Therapeutics AGの買収
-ドイツを拠点とする革新的なDNAコード化化合物ライブラリ技術を保有する企業、及びAI(人工知能)に関するアプローチについてのケンブリッジ大学との協業
-ノーベル賞を受賞しているクライオ電子顕微鏡に関するテクノロジー等への積極的な投資
・当社グループは、最先端のサイエンスとテクノロジーを維持し、革新的な創薬におけるリーダーシップを強化するために、より新しいテクノロジー、ツール及びプラットフォームを利用可能にするための導入または提携を行っていく所存です。
当第1四半期連結累計期間末現在、当社グループは15品目以上が創薬段階にあり、7品目が前臨床試験中、9品目(注)1、2が臨床試験中です。
(注)1 喘息を対象としたQVM149、前立腺がんを対象としたAZD4635(併用療法)、レビー小体型認知症(以下「DLB」)を対象としたHTL0018318(自主的に中断中であり、かつ日本における第Ⅱ相臨床試験は中止を決定)、複数の固形がんを対象としたAZD4635、アルツハイマー病(AD)の神経行動学的症状を対象としたHTL0016878、ADを対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、Pfizer社により選定された新薬開発候補品(非開示)、神経障害を対象としたHTL0014242及び内分泌障害を対象としたHTL0030310。
(注)2 日本でのDLB患者様を対象としたHTL0018318の第Ⅱ相臨床試験は中止を決定しました。当社グループは、実施中の調査活動の結果を待って、医薬品医療機器総合機構(PMDA)へHTL0018318(あるいは別の新規M1作動薬候補)の新たな治験届を将来再提出する予定です。
当社グループのCOVID-19への対応
グローバルなライフサイエンス業界で事業を展開する当社グループは、全てのステークホルダー及び社会の健康と安全を確保するための重要な役割を担っています。当社グループが優先すべきことは従業員、地域社会の皆様及び臨床試験中の患者様、被験者様、治験実施者の皆様の健康です。当社グループは、COVID-19の状況への対応として、以下のようないくつかの措置を講じています。
・ COVID-19の蔓延を押さえるため、従業員及び当社グループが事業活動を行う地域社会にとって安全な職場環境を確保する方針及び活動の実施。これには、世界中のほぼ全ての従業員に対する在宅勤務の義務化が含まれるが、当社グループの研究施設に従事する研究者は、最適な輪番制により業務を実施。
・ 英国の地元のホスピスへの個人用保護具の寄付。
・ SARS-CoV-2コロナウイルス(COVID-19の原因ウイルス)を標的とする治療薬創出に関する世界的な研究活動に、独自のSBDDプラットフォームとその技術の応用とCOVID-19に関する新たな社内の研究開発プログラムの開始。全ての研究成果はCOVID-19及び将来の変異株による感染症の治療法開発に携わる世界の研究コミュニティが自由に利用可能。
複数の大手グローバル製薬企業との提携における進捗
大手グローバル製薬企業との提携については、順調に進捗し、COVID-19の状況の影響により置かれた状況下で、研究開発の継続性を確保するための施策を講じました。特に武田薬品及びジェネンテック社との提携において、当社グループの業務上、これらの研究開発に関する提携が優先されており、効率良く進められています。
他の導出プログラムは、AstraZeneca社、Pfizer社、Allergan社等の提携先により進められており、進捗はしていますが、世界的なCOVID-19の状況の影響で、多少の遅延が生じる可能性が想定されます。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携における進展
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携でも引き続き大きな進展がありました。
2020年1月14日、当社グループは、スピンオフ企業であるOrexia Limited(以下、「Orexia社」)及びInexia Limited(以下、「Inexia 社」) による科学的な著しい進展により、40 百万ユーロのコミットメントの下で、ベンチャーキャピタルであるMedicxi社から次なる資金提供が実行されたことを発表しました。当社グループ及び重要なアセットに特化した企業への資金提供を専門とするMedicxi社は、GPCRであるオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーターを基礎とする、ナルコレプシーを含む神経系疾患に対する新規治療法の開発を目指し、2019 年にOrexia社とInexia社を設立しました。
提携につながる新規候補物質創出のために当社グループ独自で行う創薬及び初期開発
当社グループは、パイプラインへの重要な投資を継続し、複数の創薬候補品の初期開発段階のプログラムで進捗がありました。当社グループが実施している2つの第Ⅰ相臨床試験(HTL0014242及びHTL0030310)は順調に進んでおり、現在、複数の提携交渉の対象となっています。しかしながら、世界的なCOVID-19の状況の影響で、これらの臨床試験の完了に多少の遅延が生じる可能性が想定されます。
2020年3月20日、当社グループは、GPCRを標的とする新規ペプチド医薬品の創製における構造ベースアプローチの可能性を明らかにする、影響力のある新たな論文を発表しました。「Gタンパク質共役受容体を標的とする治療用ペプチドの進歩」(Davenport、その他)というタイトルの論文が、科学的権威ある学術誌、Nature Reviews Drug Discovery誌に掲載されました。
この論文は、当社グループ独自のStaR®プラットフォームやクライオ電子顕微鏡を含む、最先端の構造ベース技術を活用した新しい創薬に関する戦略に焦点を当てており、これらの手法は、正確に計画設計された目標活性と、より優れた薬物仕様(薬物動態及び薬力学的)の特性を備えた、選択的な新規ペプチドを創製するために利用されています。このようなペプチドには、作動薬、拮抗薬、特定のダウンストリームシグナル伝達経路を活性化するように設計されたペプチド(バイアスドリガンド)、及び2つの異なる GPCR を活性化するデュアル作動薬が含まれます。
疾患に関与するGPCRを標的とした、適確に計画設計された新規ペプチド医薬品の創製は、当社グループに多様な提携の機会を提供することになります。
2020年3月31日以降の当社グループのビジネスハイライト
2020年4月14日、当社グループは、COVID-19に関する新たな研究開発プログラムに構造ベース創薬の専門知識を応用することを発表しました。この新たな研究開発プログラムは、治療薬開発の重要な標的とされているSARS-CoV-2 MProプロテアーゼ(Nsp5)の活性を阻害する新規化合物を特定するためのものです。Mproプロテアーゼは、ウイルスゲノムから翻訳されるポリタンパク質を12の非構造タンパク質(Nsp4-Nsp16)に切断し、そのうちのいくつかはウイルスの複製に重要な役割を果たすことが分かっています。当社グループは、構造的及び生物物理学的分析、計算化学、医薬品化学といった多くの専門分野にわたるチームを結成しました。当チームは、SARS-CoV-2コロナウイルスだけでなく、予見される将来の変異ウイルスに対する新規阻害剤となる化合物の精密な設計に、SBDD及び最先端の技術に関する豊富な経験を応用します。プログラムによって得られる全ての研究成果は、COVID-19危機に対する解決策の調査を行う世界の研究コミュニティが自由に利用可能となります。さらに、当社グループは、当プログラムをサポートいただける業界パートナーとの協業体制構築とともに、医薬品及びバイオ医薬品業界による世界的な取り組みの一環として、COVID-19の新規治療法の取り組みの他の分野においても独自の専門知識を提供することを目指しています。なお、この大切な非営利研究活動への投資による、当社グループの財務諸表への重大な影響はありません。当社グループがこのプロジェクトに取り組む目的は、業界全体の協力を通じて、世界中の患者様の福祉に長期的に貢献することです。
2020年5月1日、当社グループは、ノバルティス社が、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(以下「CHMP」)によりコントロール不良な喘息の成人患者の維持療法としてEnerzair® Breezhaler®(QVM149;インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物およびフランカルボン酸モメタゾン「IND/GLY/MF」)が欧州連合における承認を勧告されたことについて公表したと発表しました。欧州委員会(以下「EC」)はCHMPによる承認勧告を審査し、通常、約2ヵ月で医薬品承認の最終判断を行います。ECがこの勧告を受け、Enerzair® Breezhaler®を承認した場合、コントロール不良な喘息患者のための、初めての長時間作用型β2作動薬(以下「LABA」)/長時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬(以下「LAMA」)/コルチコステロイド(以下「ICS」)の三剤固定用量配合剤になります。スイス、日本、カナダを含む複数の国でもQVM149の承認申請が進められています。当社グループは、最終的なECによる承認時に5百万米ドルのマイルストンを受領し、その後販売高に応じた一桁台のロイヤリティを受領する権利を有していますが、今般のCHMPからの肯定的見解によるマイルストンの支払いは発生しません。したがって、本件が2020年12月期の連結業績に直ちに与える影響はありません。
2020年5月7日、当社グループは、当社のスピンオフ企業であるOrexia社およびInexia社と連携して開発中のオレキシン受容体作動薬プログラムでさらなる進展があったことを発表しました。当社グループは、独自のStaR®技術と構造ベース創薬アプローチにより、アゴニストと結合したオレキシン受容体OX2の構造解析、さらに低分子化合物の結合部位特定に成功しました。受容体の構造に関するこれまでにないより優れた知見は、神経系疾患を標的とする新規分子の創薬と開発の最適化に極めて有益となります。Orexia社とInexia社は、Medicxi社による40百万ユーロのコミットメントの下で資金提供を受けています。
当社グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績
2020年3月31日現在、当社グループの従業員数は163人(2019年12月31日時点比増減なし)です。
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益1,162百万円(前年同四半期比1,974百万円減少)、営業損失445百万円(前年同四半期は1,061百万円の利益)、税引前四半期損失500百万円(前年同四半期は929百万円の利益)、四半期損失746百万円(前年同四半期は1,018百万円の利益)となりました。
※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は、純額で表示しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています
(売上収益)
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ1,974百万円減少し、1,162百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比43百万円増加し、619百万円となりました。その大半は導出先であるNovartis社(注)によるウルティブロ及びシーブリの売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。
ウルティブロはLABAとLAMAの配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。さらに、ノバルティス社は2020年第1四半期決算説明資料で、当社グループが導出した医薬品であるグリコピロニウム臭化物を含むLAMA/LABA/ICS三剤を配合したQVM149の喘息を対象とした開発プログラムの状況をアップデートしました。QVM149について、引き続き2020年に承認取得を見込んでいると公表しています。QVM149の第Ⅲ/Ⅲb相臨床試験(IRIDIUM及びARGON試験)は2019年に完了しています。QVM149について、2019年5月に欧州で、2019年第3四半期に日本で承認申請が行われています。なお、当社グループはQVM149の発売後、販売高に応じたロイヤリティを受領できることになっています。
当第1四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同四半期比2,024百万円減少し、233百万円となりました。マイルストンに関する収益は、あらかじめ定められた成果を達成できるかどうかによって、四半期毎に変動する可能性があります。この減少は主に、当第1四半期連結累計期間に新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益がなかった一方、前年同四半期にはAstraZeneca社から15百万米ドルのマイルストンに関する収益を受領したことによるものです。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
(営業費用)
売上原価
当第1四半期連結累計期間の売上原価は、前年同四半期比38百万円減少し、175百万円となりました。これは主に、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費及び研究施設の消耗品費等の直接経費を計上した一方、オラビ®販売に係る直接経費が減少したことによるものです。
研究開発費に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比379百万円減少し、557百万円となりました。これは主に、COVID-19の影響によるプロジェクト活動の減少及び外部委託企業との契約終了に関する費用が想定より減少したことによるものです。当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の95%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比120百万円減少し、437百万円となりました。これは主に、株式報酬費用に係る英国での社会保険料が減少したことによるものです。
非現金支出費用
当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比85百万円増加し、457百万円となりました。当第1四半期連結累計期間の有形固定資産の減価償却費は126百万円(前年同四半期比23百万円増加)、無形資産の償却費は214百万円(前年同四半期比24百万円減少)、株式報酬費用は117百万円(前年同四半期比86百万円増加)となりました。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、445百万円の損失(前年同四半期は1,061百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少よるものです。
(金融収益及び金融費用)
当第1四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期は64百万円の費用超過であったものの71百万円改善し、7百万円の収益超過となりました。これは主に、英ポンドに対して円高となったことに伴う為替差損益の改善によるものです。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、746百万円の損失(前年同四半期は1,018百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少によるものです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,816百万円減少し、52,864百万円となりました。これは主に、円高により、当社連結子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.が保有する英ポンド建資産の評価が減少したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ963百万円減少し、10,639百万円となりました。これは主に、営業債務が減少したことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,853百万円減少し、42,225百万円となりました。これは主に、四半期損失の計上746百万円及び在外営業活動体の為替換算差額の減少2,303百万円によるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ30.9%、3.2%及び79.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ960百万円増加し、当第1四半期連結会計期間末は16,335百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,469百万円の収入となりました。これは主に、法人所得税の還付1,114百万円によりキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは198百万円の収入となりました。これは主に、Sosei RMF1投資事業有限責任組合の投資有価証券の売却による収入238百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは211百万円の支出となりました。これは主に、条件付対価の決済による支出159百万円によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ356百万円減少し、668百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、サイエンス及びテクノロジーに立脚した企業であり、創薬及び初期開発を専門としています。世界中の人々の生活の質と健康の向上に大きく貢献することをミッションとし、バイオ医薬品及び創薬に関する日本屈指の国際的なリーディング企業になることをビジョンに掲げています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは創薬及び初期開発パイプラインを引き続き拡充し、独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術、構造ベース創薬(以下「SBDD」)プラットフォームを強化しました。
当社グループのビジネスモデルは、(1)大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進、(2)革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの研究開発活動における新規提携の創出及び既存の提携の推進、(3)実績がある当社グループ独自の創薬とその候補品の初期開発成績に基づく価値の高い新規提携の締結、という価値創造のための3つの重点分野に注力しています。
2020年3月25日、当社は第30回定時株主総会を開催しました。当日は当社代表執行役会長兼社長CEOである田村眞一から、世界有数のプラットフォーム、創薬及び初期開発における能力を活用し、提携プログラムを推進、強化するという次世代の成長戦略の実行にさらに力を入れていくこと説明しました。グループの戦略の概要は以下の通りです。
1.最先端のサイエンス及びテクノロジーに立脚した創薬ビジネスの構築
・世界をリードするサイエンスとテクノロジー、特にStaR® Gタンパク質共役受容体「以下(GPCR)」技術及びSBDDプラットフォームを有するHeptares Therapeutics Ltd.を、2015年に買収したことがこの目標の基礎となっています。
・このテクノロジー及びプラットフォームは、グループの創薬への取り組みの中核をなし、これらを融合させることで、GPCRを標的とした医薬品設計における世界有数のアプローチの1つを確立することが可能となりました。
・当社グループは、GPCR及びその他の膜タンパク質を標的とする創薬における、未開拓の重要な機会を引き続き追及し、創薬困難な標的を含む価値の高いプログラムに注力していきます。
2.価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業のための複数の新薬候補化合物の創製
・サイエンス及びテクノロジーに立脚したアプローチにより、当社グループは、過去10年間で25品目以上の前臨床候補物質を創出し、そのうち7品目は臨床試験入りしています。この高い創薬能力は、非常に効率的なアプローチによるもので、製薬業界の標準よりも1年から2年早く前臨床候補物質を創製することができます。
・これらの前臨床候補物質の多くは、Pfizer Inc.(以下「Pfizer社」)Allergan Pharmaceuticals International Limited(以下「Allergan社」)、AstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)、さらに最近の武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」)及びGenentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)との提携を含む、当社グループの価値の高い提携の基礎となっています。
・グループはこの創薬及び初期開発の戦略を継続し、毎年2件から3件の新規の価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業を実現することを目指します。
3.価値の高い提携及び長期的展望を持ったベンチャーとの協業からの利益をGPCR創薬及びSBDDのリーダーシップを強化させるために必要なテクノロジーに投資
・テクノロジーが現状にとどまることはなく、当社グループの目標は、イノベーションと生産性を高める非常に魅力的なソリューションを提供し、製薬企業にとっての創薬パートナーとして選ばれる存在になることです。
・当社グループは、提携及びベンチャーとの協業から得られた利益を、中核テクノロジーが継続的に刷新・強化できるよう投資しており、これまでに以下の取り組みを行っています。
-スイスのG7 Therapeutics AGの買収
-ドイツを拠点とする革新的なDNAコード化化合物ライブラリ技術を保有する企業、及びAI(人工知能)に関するアプローチについてのケンブリッジ大学との協業
-ノーベル賞を受賞しているクライオ電子顕微鏡に関するテクノロジー等への積極的な投資
・当社グループは、最先端のサイエンスとテクノロジーを維持し、革新的な創薬におけるリーダーシップを強化するために、より新しいテクノロジー、ツール及びプラットフォームを利用可能にするための導入または提携を行っていく所存です。
当第1四半期連結累計期間末現在、当社グループは15品目以上が創薬段階にあり、7品目が前臨床試験中、9品目(注)1、2が臨床試験中です。
(注)1 喘息を対象としたQVM149、前立腺がんを対象としたAZD4635(併用療法)、レビー小体型認知症(以下「DLB」)を対象としたHTL0018318(自主的に中断中であり、かつ日本における第Ⅱ相臨床試験は中止を決定)、複数の固形がんを対象としたAZD4635、アルツハイマー病(AD)の神経行動学的症状を対象としたHTL0016878、ADを対象としたHTL0018318(自主的に中断中)、Pfizer社により選定された新薬開発候補品(非開示)、神経障害を対象としたHTL0014242及び内分泌障害を対象としたHTL0030310。
(注)2 日本でのDLB患者様を対象としたHTL0018318の第Ⅱ相臨床試験は中止を決定しました。当社グループは、実施中の調査活動の結果を待って、医薬品医療機器総合機構(PMDA)へHTL0018318(あるいは別の新規M1作動薬候補)の新たな治験届を将来再提出する予定です。
当社グループのCOVID-19への対応
グローバルなライフサイエンス業界で事業を展開する当社グループは、全てのステークホルダー及び社会の健康と安全を確保するための重要な役割を担っています。当社グループが優先すべきことは従業員、地域社会の皆様及び臨床試験中の患者様、被験者様、治験実施者の皆様の健康です。当社グループは、COVID-19の状況への対応として、以下のようないくつかの措置を講じています。
・ COVID-19の蔓延を押さえるため、従業員及び当社グループが事業活動を行う地域社会にとって安全な職場環境を確保する方針及び活動の実施。これには、世界中のほぼ全ての従業員に対する在宅勤務の義務化が含まれるが、当社グループの研究施設に従事する研究者は、最適な輪番制により業務を実施。
・ 英国の地元のホスピスへの個人用保護具の寄付。
・ SARS-CoV-2コロナウイルス(COVID-19の原因ウイルス)を標的とする治療薬創出に関する世界的な研究活動に、独自のSBDDプラットフォームとその技術の応用とCOVID-19に関する新たな社内の研究開発プログラムの開始。全ての研究成果はCOVID-19及び将来の変異株による感染症の治療法開発に携わる世界の研究コミュニティが自由に利用可能。
複数の大手グローバル製薬企業との提携における進捗
大手グローバル製薬企業との提携については、順調に進捗し、COVID-19の状況の影響により置かれた状況下で、研究開発の継続性を確保するための施策を講じました。特に武田薬品及びジェネンテック社との提携において、当社グループの業務上、これらの研究開発に関する提携が優先されており、効率良く進められています。
他の導出プログラムは、AstraZeneca社、Pfizer社、Allergan社等の提携先により進められており、進捗はしていますが、世界的なCOVID-19の状況の影響で、多少の遅延が生じる可能性が想定されます。
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携における進展
革新的なテクノロジーを有する企業及びベンチャーファンドとの提携でも引き続き大きな進展がありました。
2020年1月14日、当社グループは、スピンオフ企業であるOrexia Limited(以下、「Orexia社」)及びInexia Limited(以下、「Inexia 社」) による科学的な著しい進展により、40 百万ユーロのコミットメントの下で、ベンチャーキャピタルであるMedicxi社から次なる資金提供が実行されたことを発表しました。当社グループ及び重要なアセットに特化した企業への資金提供を専門とするMedicxi社は、GPCRであるオレキシン受容体OX1及びOX2のポジティブモジュレーターを基礎とする、ナルコレプシーを含む神経系疾患に対する新規治療法の開発を目指し、2019 年にOrexia社とInexia社を設立しました。
提携につながる新規候補物質創出のために当社グループ独自で行う創薬及び初期開発
当社グループは、パイプラインへの重要な投資を継続し、複数の創薬候補品の初期開発段階のプログラムで進捗がありました。当社グループが実施している2つの第Ⅰ相臨床試験(HTL0014242及びHTL0030310)は順調に進んでおり、現在、複数の提携交渉の対象となっています。しかしながら、世界的なCOVID-19の状況の影響で、これらの臨床試験の完了に多少の遅延が生じる可能性が想定されます。
2020年3月20日、当社グループは、GPCRを標的とする新規ペプチド医薬品の創製における構造ベースアプローチの可能性を明らかにする、影響力のある新たな論文を発表しました。「Gタンパク質共役受容体を標的とする治療用ペプチドの進歩」(Davenport、その他)というタイトルの論文が、科学的権威ある学術誌、Nature Reviews Drug Discovery誌に掲載されました。
この論文は、当社グループ独自のStaR®プラットフォームやクライオ電子顕微鏡を含む、最先端の構造ベース技術を活用した新しい創薬に関する戦略に焦点を当てており、これらの手法は、正確に計画設計された目標活性と、より優れた薬物仕様(薬物動態及び薬力学的)の特性を備えた、選択的な新規ペプチドを創製するために利用されています。このようなペプチドには、作動薬、拮抗薬、特定のダウンストリームシグナル伝達経路を活性化するように設計されたペプチド(バイアスドリガンド)、及び2つの異なる GPCR を活性化するデュアル作動薬が含まれます。
疾患に関与するGPCRを標的とした、適確に計画設計された新規ペプチド医薬品の創製は、当社グループに多様な提携の機会を提供することになります。
2020年3月31日以降の当社グループのビジネスハイライト
2020年4月14日、当社グループは、COVID-19に関する新たな研究開発プログラムに構造ベース創薬の専門知識を応用することを発表しました。この新たな研究開発プログラムは、治療薬開発の重要な標的とされているSARS-CoV-2 MProプロテアーゼ(Nsp5)の活性を阻害する新規化合物を特定するためのものです。Mproプロテアーゼは、ウイルスゲノムから翻訳されるポリタンパク質を12の非構造タンパク質(Nsp4-Nsp16)に切断し、そのうちのいくつかはウイルスの複製に重要な役割を果たすことが分かっています。当社グループは、構造的及び生物物理学的分析、計算化学、医薬品化学といった多くの専門分野にわたるチームを結成しました。当チームは、SARS-CoV-2コロナウイルスだけでなく、予見される将来の変異ウイルスに対する新規阻害剤となる化合物の精密な設計に、SBDD及び最先端の技術に関する豊富な経験を応用します。プログラムによって得られる全ての研究成果は、COVID-19危機に対する解決策の調査を行う世界の研究コミュニティが自由に利用可能となります。さらに、当社グループは、当プログラムをサポートいただける業界パートナーとの協業体制構築とともに、医薬品及びバイオ医薬品業界による世界的な取り組みの一環として、COVID-19の新規治療法の取り組みの他の分野においても独自の専門知識を提供することを目指しています。なお、この大切な非営利研究活動への投資による、当社グループの財務諸表への重大な影響はありません。当社グループがこのプロジェクトに取り組む目的は、業界全体の協力を通じて、世界中の患者様の福祉に長期的に貢献することです。
2020年5月1日、当社グループは、ノバルティス社が、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(以下「CHMP」)によりコントロール不良な喘息の成人患者の維持療法としてEnerzair® Breezhaler®(QVM149;インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物およびフランカルボン酸モメタゾン「IND/GLY/MF」)が欧州連合における承認を勧告されたことについて公表したと発表しました。欧州委員会(以下「EC」)はCHMPによる承認勧告を審査し、通常、約2ヵ月で医薬品承認の最終判断を行います。ECがこの勧告を受け、Enerzair® Breezhaler®を承認した場合、コントロール不良な喘息患者のための、初めての長時間作用型β2作動薬(以下「LABA」)/長時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬(以下「LAMA」)/コルチコステロイド(以下「ICS」)の三剤固定用量配合剤になります。スイス、日本、カナダを含む複数の国でもQVM149の承認申請が進められています。当社グループは、最終的なECによる承認時に5百万米ドルのマイルストンを受領し、その後販売高に応じた一桁台のロイヤリティを受領する権利を有していますが、今般のCHMPからの肯定的見解によるマイルストンの支払いは発生しません。したがって、本件が2020年12月期の連結業績に直ちに与える影響はありません。
2020年5月7日、当社グループは、当社のスピンオフ企業であるOrexia社およびInexia社と連携して開発中のオレキシン受容体作動薬プログラムでさらなる進展があったことを発表しました。当社グループは、独自のStaR®技術と構造ベース創薬アプローチにより、アゴニストと結合したオレキシン受容体OX2の構造解析、さらに低分子化合物の結合部位特定に成功しました。受容体の構造に関するこれまでにないより優れた知見は、神経系疾患を標的とする新規分子の創薬と開発の最適化に極めて有益となります。Orexia社とInexia社は、Medicxi社による40百万ユーロのコミットメントの下で資金提供を受けています。
当社グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績
2020年3月31日現在、当社グループの従業員数は163人(2019年12月31日時点比増減なし)です。
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益1,162百万円(前年同四半期比1,974百万円減少)、営業損失445百万円(前年同四半期は1,061百万円の利益)、税引前四半期損失500百万円(前年同四半期は929百万円の利益)、四半期損失746百万円(前年同四半期は1,018百万円の利益)となりました。
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2020年1月1日 至 2020年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2019年1月1日 至 2019年3月31日) | 前年同四半期比 | |
売上収益 | 1,162 | 3,136 | △1,974 |
売上原価 | △175 | △213 | 38 |
研究開発費 | △668 | △1,024 | 356 |
販売費及び一般管理費 | △783 | △841 | 58 |
その他の収益及びその他の費用 (※2) | 19 | 3 | 16 |
営業利益又は損失(△) | △445 | 1,061 | △1,506 |
金融収益及び金融費用 (※2) | 7 | △64 | 71 |
持分法投資損益 | △62 | △68 | 6 |
税引前四半期利益又は損失(△) | △500 | 929 | △1,429 |
四半期利益又は損失(△) | △746 | 1,018 | △1,764 |
※1.費用及び損失は△で表示しております。
※2.「その他の収益及びその他の費用」並びに「金融収益及び金融費用」は、純額で表示しております。
当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています
(売上収益)
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2020年1月1日 至 2020年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2019年1月1日 至 2019年3月31日) | 前年同四半期比 | |
ロイヤリティ収入 | 619 | 576 | 43 |
マイルストン収入及び契約一時金 | 233 | 2,257 | △2,024 |
医薬品販売 | - | 65 | △65 |
その他 | 310 | 238 | 72 |
合計 | 1,162 | 3,136 | △1,974 |
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ1,974百万円減少し、1,162百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比43百万円増加し、619百万円となりました。その大半は導出先であるNovartis社(注)によるウルティブロ及びシーブリの売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。
ウルティブロはLABAとLAMAの配合剤として引き続き欧州市場シェア1位となりました。さらに、ノバルティス社は2020年第1四半期決算説明資料で、当社グループが導出した医薬品であるグリコピロニウム臭化物を含むLAMA/LABA/ICS三剤を配合したQVM149の喘息を対象とした開発プログラムの状況をアップデートしました。QVM149について、引き続き2020年に承認取得を見込んでいると公表しています。QVM149の第Ⅲ/Ⅲb相臨床試験(IRIDIUM及びARGON試験)は2019年に完了しています。QVM149について、2019年5月に欧州で、2019年第3四半期に日本で承認申請が行われています。なお、当社グループはQVM149の発売後、販売高に応じたロイヤリティを受領できることになっています。
当第1四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同四半期比2,024百万円減少し、233百万円となりました。マイルストンに関する収益は、あらかじめ定められた成果を達成できるかどうかによって、四半期毎に変動する可能性があります。この減少は主に、当第1四半期連結累計期間に新規提携に伴う一時金及び研究開発に関する既存の提携先からの重要なマイルストンに関する収益がなかった一方、前年同四半期にはAstraZeneca社から15百万米ドルのマイルストンに関する収益を受領したことによるものです。なお、当社グループは一度に受領する金額が約5百万米ドル以上のものを「重要なマイルストンに関する収益」に分類しています。
(営業費用)
(単位:百万円) | |||
当第1四半期連結累計期間 (自 2020年1月1日 至 2020年3月31日) | 前第1四半期連結累計期間 (自 2019年1月1日 至 2019年3月31日) | 前年同四半期比 | |
売上原価 | 175 | 213 | △38 |
研究開発費 | 668 | 1,024 | △356 |
現金支出 | 557 | 936 | △379 |
非現金支出費用 | 111 | 88 | 23 |
販売費及び一般管理費 | 783 | 841 | △58 |
現金支出 | 437 | 557 | △120 |
非現金支出費用 | 346 | 284 | 62 |
売上原価
当第1四半期連結累計期間の売上原価は、前年同四半期比38百万円減少し、175百万円となりました。これは主に、契約に基づき顧客に提供される研究開発受託サービスに関する人件費及び研究施設の消耗品費等の直接経費を計上した一方、オラビ®販売に係る直接経費が減少したことによるものです。
研究開発費に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の研究開発費に係る現金支出は、前年同四半期比379百万円減少し、557百万円となりました。これは主に、COVID-19の影響によるプロジェクト活動の減少及び外部委託企業との契約終了に関する費用が想定より減少したことによるものです。当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の95%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費に係る現金支出
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費に係る現金支出は、前年同四半期比120百万円減少し、437百万円となりました。これは主に、株式報酬費用に係る英国での社会保険料が減少したことによるものです。
非現金支出費用
当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、有形固定資産の減価償却費、無形資産の償却費及び株式報酬費用です。当第1四半期連結累計期間の非現金支出費用は、前年同四半期比85百万円増加し、457百万円となりました。当第1四半期連結累計期間の有形固定資産の減価償却費は126百万円(前年同四半期比23百万円増加)、無形資産の償却費は214百万円(前年同四半期比24百万円減少)、株式報酬費用は117百万円(前年同四半期比86百万円増加)となりました。
(営業損益)
当第1四半期連結累計期間の営業損益は、445百万円の損失(前年同四半期は1,061百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少よるものです。
(金融収益及び金融費用)
当第1四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期は64百万円の費用超過であったものの71百万円改善し、7百万円の収益超過となりました。これは主に、英ポンドに対して円高となったことに伴う為替差損益の改善によるものです。
(四半期損益)
当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、746百万円の損失(前年同四半期は1,018百万円の利益)となりました。これは主に、上述の売上収益の減少によるものです。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,816百万円減少し、52,864百万円となりました。これは主に、円高により、当社連結子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.が保有する英ポンド建資産の評価が減少したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ963百万円減少し、10,639百万円となりました。これは主に、営業債務が減少したことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,853百万円減少し、42,225百万円となりました。これは主に、四半期損失の計上746百万円及び在外営業活動体の為替換算差額の減少2,303百万円によるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ30.9%、3.2%及び79.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ960百万円増加し、当第1四半期連結会計期間末は16,335百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,469百万円の収入となりました。これは主に、法人所得税の還付1,114百万円によりキャッシュ・フローが増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは198百万円の収入となりました。これは主に、Sosei RMF1投資事業有限責任組合の投資有価証券の売却による収入238百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは211百万円の支出となりました。これは主に、条件付対価の決済による支出159百万円によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ356百万円減少し、668百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。