半期報告書-第35期(2024/01/01-2024/12/31)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、テクノロジーに立脚したバイオ医薬品企業であり、日本及び世界中のアンメットニーズにお応えし、患者さまの生活の質を向上させる新しいスペシャリティ医薬品をお届けすることを目指しています。医薬品の研究(創薬)から開発、さらには販売までを中核事業として手掛けています。創薬・トランスレーショナルメディシン、前臨床及び初期臨床開発は英国を拠点とする100%子会社のNxera Pharma UK Limited(旧Heptares Therapeutics Ltd.)が、日本及び韓国における臨床開発・販売は、将来的にはその他のAPAC(中国除く)への拡大を視野に、日本を拠点とする100%子会社のネクセラファーマジャパン株式会社(旧イドルシアファーマシューティカルズジャパン株式会社)と、韓国を拠点とするNxera Pharma Korea Co., Ltd.(旧Idorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.、以下「NPK」)が主にその役割を担っています。
創薬においては、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする新規の低分子、ペプチド並びに抗体医薬品など、重要なアンメットメディカルニーズに応える革新的な新薬の創製に注力しています。独自のGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームにより、GPCRをターゲットとする新薬の設計における世界的リーダーとなり、神経疾患、消化器疾患、免疫疾患、炎症性疾患などの重要な治療領域をターゲットとした、自社開発あるいは提携中のプログラムを含めファーストインクラスあるいはベストインクラスとなり得る30品目を超える幅広いパイプラインを有しています。
後期開発・販売においては、日本及びAPAC(中国除く)でピヴラッツ®(脳血管攣縮治療薬として日本では2022年に発売済、韓国では承認取得済、2025年に上市見込み)及びダリドレキサント(日本では2023年に不眠症治療薬として申請済)のライセンスと、Idorsia Pharmaceuticals Ltdが保有する第Ⅲ相臨床開発段階にあるCenerimod(自己免疫疾患)、Lucerastat(ファブリー病)の同地域でのライセンスの独占的オプション権を保有しています。
また上記に加えて、Novartis International AG(以下「ノバルティス社」)の呼吸器疾患製品シーブリ® ブリーズヘラー®、ウルティブロ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®のグローバルでの販売からのロイヤリティ収入を受領しています。ロイヤリティ収入は、当社グループの重要かつ安定的な資本の源泉となっています。
2024年4月1日、社名をそーせいグループ株式会社からネクセラファーマ株式会社に変更したことに伴い、「NxWave™」プラットフォーム、保有するパイプライン及び創薬・開発・商業化の能力を活用し、自社開発及び外部から取得した候補化合物を日本及び世界の患者さまに複数の治療オプションとして提供することを目指し、戦略をさらに進化させ、ブラッシュアップしました。この戦略では、以下の3つを戦略的な柱としました。
① 日本の患者さまに向けて、革新的な医薬品をお届けする
スリムでアジャイルかつ拡大可能なビジネスモデルを活用し、日本における幅広い臨床開発・商業化事業をテコに、規模が大きく成長している日本市場の患者さまに新薬をお届けするとともに、他のAPAC市場に進出するための基盤を構築する。
② 創薬デザインで創出した価値の高いプログラムを推進
患者さまの人生を変える可能性のある新薬の幅広いパイプラインを自社で、あるいは提携先と推進・強化し、日本及び世界中でアンメットメディカルニーズが高く急成長している治療領域をターゲットとした価値創造の機会を創出する。
③ 最先端のサイエンスとテクノロジーを活用
社内のイノベーションと提携を通じて、「NxWave™」プラットフォームの優位性を維持・強化 - 自社あるいは提携による開発のための新規プログラムの特定・選定を加速する。
これら3つの柱における2024年中間期の進捗状況は以下の通りです。
① 日本の患者さまに向けて、革新的な医薬品をお届けする
当社グループの目標の一つは、最先端のサイエンスを応用し、患者さまに向けて、革新的な医薬品をお届けする日本のリーディングバイオ企業になることです。日本の医薬品市場は米国、中国に次ぐ第3位の規模を誇り、高齢化が進んでおり、国民皆保険制度を採用しています。この戦略目標の下、当社グループは以下の3つを優先して取り組んでいます。
・ 日本及びAPACにおける自社プログラムの開発・商業化
・ 日本及びAPACにおける導入品の後期臨床開発・商業化
・ 日本及びAPACでの権利を保持しつつ、グローバルでの商業化のための初期臨床POCを有する候補品についての提携
当社グループの戦略目標達成のための日本・APAC事業の強化を見据え、2024年は、ピヴラッツ®の売上高(薬価ベース)は160億円以上を見込み、ダリドレキサントの日本での承認取得と販売開始、日本とAPAC(中国を除く)市場向けの1品目以上の後期開発品の取得若しくは導入を目標に掲げています。
2024年4月15日、当社は、当社グループのNPKが、ピヴラッツ®点滴静注液150mg(一般名:クラゾセンタンナトリウム)について、Handok Inc.(以下「Handok社」)と独占的販売契約を締結したことを発表しました。本契約に基づき、NPKは合意された価格でHandok社に製品を提供し、Handok社は韓国におけるピヴラッツ®のプロモーション、マーケティング、販売、流通を独占的に行います。当社は、契約締結時にHandok社から一時金を受領しており、さらに販売マイルストンに加え、製品供給による売上を計上する権利を有します。
② 創薬デザインで創出した価値の高いプログラムを推進
当社グループは、成功のための戦略として、「NxWave™」プラットフォームを活用して、自社で開発した個別の候補化合物やプログラム、あるいは提携先が選定したターゲットに対する候補化合物の創薬・開発に関して、世界的なバイオ医薬品企業と提携を行ってきました。当社グループは、これらの提携の多くで、代謝性疾患や精神神経疾患など、医薬品市場で最も急成長している領域の開発プログラムに対する経済的権利を有しています。
この戦略目標におけるこのような実績は、当社グループのアプローチが業界で受け入れられていることの重要な証拠となるものであり、これまでに提携先からの契約一時金とマイルストンにより10億ドル近い収益を生み出しており、さらなるマイルストンの達成によって重要な継続的収益となる可能性があります。
同時に、当社グループは、社内の研究開発体制をプログラム重視型モデルに転換し、質の高い候補化合物の臨床開発段階への移行を加速させることを重要な目標としています。これは、日本及びAPACでの一部の適応症において、自社で開発から販売まで行う機会と収益可能性の高い導出案件を創出することを目的としています。
提携プログラム
2024年3月11日、当社グループは、Boehringer Ingelheim International GmbH(以下「ベーリンガーインゲルハイム社」)と新規グローバル提携及びライセンスの独占的オプション契約を締結したことを発表しました。当社グループが創出したファーストインクラスの治療薬候補であるGPR52受容体作動薬ポートフォリオの開発及び商業化を両社共通の目的としています。GPR52受容体作動薬は統合失調症の陽性症状、陰性症状及び認知機能障害を同時に改善し、患者さまの予後を向上できることが期待されています。
当社グループは、契約一時金として25百万ユーロ、オプション行使料として60百万ユーロをベーリンガーインゲルハイム社から受領する権利を有しています。また、開発、申請・承認、販売の目標達成に応じ、最大670百万ユーロのマイルストンを受領する権利に加えて、段階的ロイヤリティを受領する権利を有しています。本契約一時金は2024年3月に一括で受領していますが、その大半を2024年に、残りを2025年に売上として計上する予定です。当社グループの収益は、IFRSの収益認識に関する会計基準に基づき、履行義務の充足に応じて認識しています。
ファーストインクラスのGPR52受容体作動薬であるNXE0048149で現在実施中の第Ⅰ相臨床試験と第Ⅰb相臨床試験などの必要なデータが揃った後、本契約に基づきベーリンガーインゲルハイム社は当社グループのGPR52作動薬ポートフォリオのライセンスに関する独占的オプション権を保有することになります。2025年中に予定されている本オプション権行使まで、当社グループはこれらの臨床試験を引き続き主導し管理していきます。ライセンスの対象となるポートフォリオには、NXE0048149に加え、複数の異なるバックアップ化合物が含まれます。
2024年4月16日、当社グループは、提携先であるNeurocrine Biosciences Inc.(以下「ニューロクライン社」)から、NBI-1117568の長期前臨床毒性試験の成功を通知されたことを発表しました。NBI-1117568は経口投与可能なムスカリンM4受容体作動薬で、統合失調症及びその他の神経精神疾患治療薬候補として第Ⅱ相臨床試験を実施中です。このたびの長期前臨床毒性試験の成功に伴い、今後実施される臨床試験において、安全に長期投与を行うための米国食品医薬品局(以下「FDA」)の要件を満たしました。この安全性に係る重要な進捗達成により、当社グループはニューロクライン社から15百万米ドルのマイルストンを受領しています。なお、本マイルストンは全額、2024年12月期中間期の売上として計上しています。
ニューロクライン社と2021年に締結した提携契約のもと、主要な神経疾患の治療薬開発を目指して、サブタイプ選択的ムスカリンM4、M1及びM1/M4デュアル受容体作動薬の広範な新薬ポートフォリオを当社グループは創出してきました。NBI-1117568は、そのポートフォリオの中で最も開発が進んでいる候補品です。これらの候補品は、さまざまな神経疾患や神経精神疾患の治療薬となることが期待されており、以下の品目が含まれます。
NBI-1117568(M4作動薬) 第Ⅱ相臨床試験実施中。試験結果は2024年第3四半期発表予定
NBI-1117570(M1/M4デュアル作動薬)第Ⅰ相臨床試験実施中
NBI-1117569(M4-preferring作動薬)第Ⅰ相臨床試験実施中
NBI-1117567(M1-preferring作動薬)第Ⅰ相臨床試験実施中
2024年5月9日、当社グループは、ニューロクライン社が、NBI-1117567の安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を評価する、健常成人を対象とした第Ⅰ相臨床試験を開始したことを発表しました。NBI-1117567は、当社が見出したムスカリンM1受容体作動薬(M1-preferring agonist)であり、神経・精神疾患の認知症状に対する経口治療薬となることが期待されています。
2024年5月30日、当社グループは、当社グループが設計し、協業先であるCentessa Pharmaceuticals Limited(以下「Centessa社」)が開発中の新規オレキシン2受容体(OX2R)作動薬ORX750に関するライセンス契約に基づき、Centessa社から4.6百万米ドルのマイルストンを受領することを発表し、当該マイルストンを2024年6月までに受領しております。本マイルストンは、ORX750について、FDAに新薬臨床試験開始申請(IND)が受理され、第Ⅰ相臨床試験が開始されたことに伴うものです。ORX750は、ナルコレプシー1型(NT1)におけるオレキシン産生ニューロンの脱落の基礎病理に直接作用するよう設計された選択的経口OX2R作動薬です。また、ORX750はナルコレプシー2型(NT2)、特発性過眠症、その他のオレキシン値の減少を伴わない睡眠・覚醒障害にも応用できる可能性を持っています。
2024年6月27日、当社グループは、AbbVie Inc.(以下「アッヴィ社」)との神経疾患における複数のターゲットを対象とした創薬提携において研究段階における重要なマイルストンを達成したことを発表しました。この成果により、当社は10百万米ドルを受領することになります。当社とアッヴィ社は、当社の「NxWave™」プラットフォームを活用し、神経疾患に関するGPCRをターゲットとした新薬の研究開発と商品化を目指し、2022年に本創薬提携及びライセンスのオプション契約を締結しています。本契約に基づき、当社は、最大40百万米ドルの初期開発マイルストンを受領する権利を有しており、さらにオプション行使や開発・販売の目標達成に応じ、最大12億米ドルのマイルストンに加えて、グローバルでの販売高に応じた段階的ロイヤリティを受領する権利を有しています。
自社開発プログラム
2024年3月21日、当社グループは、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬候補であるEP4受容体作動薬(NXE0033744)の第Ⅰ相臨床試験で、最初の被験者への投与を行ったことを発表しました。IBDは世界中で数百万人を超える患者さまがおり、いまだ大きなアンメットニーズが存在する疾患です。
NXE0033744は、選択性が高く、消化管で局所作用するプロスタグランジンEP4受容体作動薬です。有害事象を回避するために全身への影響を最小限に抑えながら、損傷した粘膜上皮の治癒を促進し、腸管の炎症亢進を抑制することで治療効果を発揮するように特別に設計されています。このアプローチは、完全寛解を促進し、長期的な臨床結果も良好となることが広く認められています。NXE0033744は、症状を十分にコントロールできていないIBDの患者さまの大きなアンメットニーズを満たすことを目標としています。なお、現在のIBD治療薬の寛解率は通常25%未満であり、安全性プロファイルを理由に慎重なモニタリングが必要とされています。
本第Ⅰ相臨床試験は、NXE0033744の安全性や薬物動態に加え、薬力学的バイオマーカーへの影響を評価する、無作為化二重盲検単回及び反復投与量漸増試験です。健常成人に加えクローン病患者も対象とし、バイオマーカー評価による作用機序の検証も行います。本試験は英国で実施され、最初のデータリードアウトは2025年になる予定です。
2024年3月21日、当社グループは、IBDに対する新規治療薬候補として開発中の、ファーストインクラスの治療薬となる可能性のある選択的経口GPR35受容体作動薬NXE0027477(GSK4381406)について、GlaxoSmithKline plc.(以下「GSK社」)からの全権利再取得を完了したことを発表しました。GPR35受容体はIBDと遺伝学的な関連性が検証済みのオーファンGPCRの一つです。
NXE0027477は「NxWave™」プラットフォームを用いて設計され、2020年にGSK社にライセンスされました。以来、当社グループとGSK社による共同開発プログラムを通じて得られた基礎研究や前臨床試験及び安全性試験の結果により、潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群(IBS)などの消化器疾患において、GPR35受容体作動薬がバリア機能を改善し内臓痛の改善に効果がある可能性が示唆されました。また、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、2023年半ばにNXE0027477の第Ⅰ相臨床試験実施を承認しました。
GSK社によるプログラムの優先順位の変更を受け、当社グループは、一時金を支払うことなく、NXE0027477の所有権、当社グループからGSK社に許諾した関連するすべての知的財産、及び提携から生み出されたすべての前臨床データの権利を再取得しました。当社グループは、本品目の今後の開発に向けて、自社開発や外部提携を含め最善の戦略を決定する予定です。
③ 最先端のサイエンスとテクノロジーを活用
合理性の高い構造ベース創薬アプローチでGPCR構造を解明することができる当社グループの能力とリーダーシップは、業界全体で認知されています。それにより、30品目を超える新薬候補とプログラムを創出しており、グローバルバイオ医薬品企業との提携あるいは社内で開発が進められています。
この強力かつ世界をリードするプラットフォームにより、当社グループの幅広いパイプラインに、新規ターゲットや候補化合物を前例のないレベルで追加することが可能になります。当社グループは、産学界のグローバルテクノロジーリーダーとの協業に加え、AI(人工知能)や機械学習の幅広い応用などの絶え間ない社内イノベーションを通じて、プラットフォームの強化に注力しています。現在、Verily Life Sciences LLC、Kallyope Inc.、ペプチドリーム株式会社、PharmEnable Limited、PrecisionLife Limited(以下「PrecisionLife社」)などと技術提携を行っています。
2024年5月30日、当社グループと、AIを活用したプレシジョンメディシン(精密医療)を目指すPrecisionLife社は、新規創薬ターゲットの同定を目的とした戦略的研究開発提携の対象を自己免疫疾患へ拡大したことを発表しました。これは、当社グループとPrecisionLife社が2022年に締結した共同研究開発契約における最新の進捗です。本提携では、自己免疫疾患において新規創薬ターゲットを同定したのち、PrecisionLife社が持つバイオマーカーにより患者さまを層別化し、各サブグループに適した治療薬の開発を行います。
PrecisionLife社は、疾患リスクや予防効果に関連する生物学的特徴の組み合わせを発見しています。この組み合わせは、治療薬に効果がある患者さまを特定するためのバイオマーカーや、疾患の誘発因子に関する生物学的知見を提供し、当社グループが既存及び新規の創薬ターゲットがどの患者群に効果的かをより正確に特定する手助けとなる可能性があります。
旧当社100%子会社に関する活動
当社は、当社の100%子会社であった株式会社アクティバスファーマ(以下「アクティバス社」)により当初創製された品目について、マイルストンを受領しました。
2024年3月6日、当社は、Formosa Pharmaceuticals, Inc.(以下「Formosa社」)が、クロベタゾールプロピオン酸エステル点眼液0.05%(APP13007)について、FDAより、術後眼炎疼痛治療薬として承認を取得したことを発表しました。今回の進捗により、当社グループはFormosa社より2024年4月に2.5百万米ドルのマイルストンを受領しています。APP13007は、アクティバス社が、デザイン・研究開発を行い、2017年8月、当社は、アクティバス社の全株式を、医薬品原薬製造に強みを持つ台湾証券取引所上場企業Formosa Laboratories, Inc.の100%子会社であるFormosa社へ譲渡しました。APP13007は、アクティバス社がステロイドに独自の特許ナノ粉砕化技術を応用したナノ化製剤であり、術後眼炎及び疼痛治療薬として開発を行いました。譲渡後は、Formosa社がAPP13007を継続して開発を進め、今般、FDAより承認を取得しました。
その他のビジネスハイライト
2024年4月1日、当社は、2024年3月27日に開催された第34回定時株主総会での承認を得て、社名を「ネクセラファーマ株式会社」に変更しました。新社名は「日本から世界にイノベーションを届け、日本発の国際的なリーディングバイオ企業となる」というビジョンと「最先端のテクノロジーにより、画期的な医薬品をいち早く届ける」というミッションのもと、次の時代をリードしていく決意を表現しています。同時に、子会社の旧Heptares Therapeutics Ltd.、旧イドルシアファーマシューティカルズジャパン株式会社、旧Idorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.もすべて新ブランド「ネクセラファーマ」のもと、それぞれ、Nxera Pharma UK Limited、ネクセラファーマジャパン株式会社(以下「NPJ」)、Nxera Pharma Korea Co., Ltd.に社名を変更しました。
当社グループの当中間連結会計期間の経営成績
2024年6月30日現在、当社グループの従業員数は360人(2023年12月31日時点比10名増)です。
当中間連結会計期間の業績は、売上収益12,720百万円(前年同期比10,574百万円増加)、コア営業利益1,176百万円(前年同期は2,720百万円の損失)、営業損失3,654百万円(前年同期は4,168百万円の損失)、税引前中間損失3,158百万円(前年同期は3,760百万円の損失)、中間損失4,703百万円(前年同期は2,060百万円の損失)となりました。
(注)1 コア営業損益は営業損益(IFRS)+重要な非現金支出費用+重要な一時的支出費用で定義され、事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を表しております。
2 構造改革に係る株式報酬費用の加速償却による影響額は構造改革費用に含まれております。
3 売上原価調整額は、2023年7月の企業結合により取得した棚卸資産のうち、当中間連結会計期間に販売した棚卸資産の売上原価に対応する非現金支出費用です。
4 統合関連費用は、ITシステムの統合及び企業ブランド再構築を含む一時的支出費用です。
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています。
(売上収益)
(注) 第4 経理の状況 10.売上収益(4) 契約残高 ②契約負債に含まれている前受収益より振り替えたものになります。
当中間連結会計期間の売上収益は、前年同期に比べ10,574百万円増加し、12,720百万円となりました。
当中間連結会計期間の医薬品販売に関する収益は、前年同期比5,329百万円増加し、5,393百万円となりました。これは主に、昨年7月にNPJを連結範囲に含めたことにより、ピヴラッツ®の販売額が加わったことによるものです。
当中間連結会計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同期比5,597百万円増加し、6,264百万円となりました。契約一時金及びマイルストン収入は、契約一時金収入、マイルストン収入及び前受収益振替額で構成されています。契約一時金及びマイルストン収入は、新規提携契約が締結できるかどうか、あるいはあらかじめ定められた成果(マイルストン)を達成できるかどうかによって、会計期間ごとに変動する可能性があります。一部の契約において、研究開発受託収益は、契約一時金又はマイルストン収入の一部に含まれ、前受収益として受領しております。前受収益振替額は、当中間連結会計期間に研究開発受託業務を行ったことにより前受収益から売上収益に振り替えられた金額です。
当中間連結会計期間の契約一時金及びマイルストン収入の増加は、前中間連結会計期間において、新規の提携契約、及びマイルストンの達成がなかったことに対し、当中間連結会計期間においては新規提携契約による契約一時金が1件、及びマイルストンの達成が4件あったことによります。
当中間連結会計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同期比221百万円減少し、1,031百万円となりました。当社グループのロイヤリティに関する収益は導出先であるノバルティス社(注)によるウルティブロ® ブリーズヘラー®、シーブリ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®の売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura Ltd.からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
(営業費用)
売上原価
当中間連結会計期間の売上原価は、前年同期比3,267百万円増加し、3,492百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響額を除く売上原価は、前年同期比911百万円増加し、1,136百万円となりました。これは主に、2024年3月に開始されたベーリンガーインゲルハイム社との臨床段階での提携に関連する費用が発生したことによるものです。NPJを連結範囲に含めたことによるピヴラッツ®の売上原価を2,356百万円計上しております。
研究開発費
当中間連結会計期間の研究開発費は、前年同期比1,448百万円増加し、5,487百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く研究開発費は、前年同期比635百万円増加し、4,674百万円となりました。これは主に、研究開発体制の強化に伴う支出の増加、及び円安の影響によるものです。NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる研究開発費を813百万円計上しております。
当中間連結会計期間においては、研究開発費全体の85%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費
当中間連結会計期間の販売費及び一般管理費は、前年同期比5,451百万円増加し、8,022百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く販売費及び一般管理費は、前年同期比711百万円増加し、3,282百万円となりました。これは主に、サプライチェーンマネジメントを含む組織力強化のための人件費及び委託費の増加、及びITシステム統合費用、並びに「ネクセラファーマ」ブランドでのグループ統一のための費用発生によるものです。NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる無形資産の償却費を含む販売費及び一般管理費を4,740百万円計上しております。
その他の収益及びその他の費用
当中間連結会計期間のその他の収益及びその他の費用の純額は、前年同期比106百万円増加し、627百万円の収益となりました。これは主に、当中間連結会計期間において英国における研究開発税額控除が増加したことによります。
(営業損益)
上記の結果、当中間連結会計期間の営業損益は、3,654百万円の損失(前年同期は4,168百万円の損失)となりました。
金融収益及び金融費用
当中間連結会計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同期比88百万円増加し、496百万円の収益となりました。これは主に、英国において金利が大幅に上昇したことに伴い、預金利息が増加したことによるものです。
(税引前中間損益)
上記の結果、当中間連結会計期間の税引前中間損益は、3,158百万円の損失(前年同期は3,760百万円の損失)となりました。
法人所得税費用
当中間連結会計期間の法人所得税費用は1,545百万円(前年同期は△1,700百万円)となりました。法人所得税費用に関しましては、グループ会社各社ごとに見積実効税率を適用しております。
(中間損益)
上記の結果、当中間連結会計期間の中間損益は、4,703百万円の損失(前年同期は2,060百万円の損失)となりました。
(代替業績評価指標:コア営業損益)
コア営業損益は、中核事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を示すために、重要な非現金支出費用及び一時的な費用を調整した代替的な業績評価指標です。
当中間連結会計期間のコア営業損益は、1,176百万円の利益(前年同期は2,720百万円の損失)となりました。
コア営業損益はIFRSの営業損益に対して以下の調整を行い算出しております。
・ 有形固定資産の減価償却費804百万円(前年同期比510百万円増加、うちNPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる増加額405百万円)
・ 無形資産の償却費1,183百万円(前年同期比776百万円増加、うちNPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる増加額713百万円)
・ 株式報酬費用633百万円(前年同期比305百万円増加)
・ 構造改革費用28百万円(前年同期比25百万円減少)
うち0百万円(前年同期26百万円)は構造改革に係る株式報酬費用の加速償却の影響によるものです。
構造改革費用は子会社の執行体制の変更及び組織再編に伴う費用となります。
・ 売上原価調整額1,619百万円(前年同期発生なし)
売上原価調整額は2023年7月の企業結合により取得した棚卸資産の販売時に、売上原価に計上されるものです。当該棚卸資産が全て払い出された以後の調整は不要となります。
・ 統合関連費用563百万円(前年同期発生なし)
統合関連費用は、グループ統合推進のための一時的支出費用であり、システム統合費用や「ネクセラファーマ」ブランドのもとでのブランド再構築費用を含んでいます。
・ 企業買収関連費用(専門家アドバイザリー費用含む)当中間連結会計期間発生なし(前年同期366百万円)
(2) 財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ714百万円減少し、156,484百万円となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響により資産価値が増加した一方で、債務の支払い及び借入金の返済等をしたことによるものです。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ2,884百万円減少し、87,504百万円となりました。これは主に、借入金の返済をしたことによるものです。
(資本)
当中間連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,170百万円増加し、68,980百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の為替換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が6,242百万円増加した一方で、中間損失4,703百万円を計上したことによるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ32.6%、45.4%及び44.1%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,919百万円増加し、50,984百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,511百万円の収入となりました。これは主に、売上に関する現金収入が営業に関する現金支出を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは434百万円の収入となりました。これは主に、Formosa Pharmaceuticals, Inc.からの開発マイルストン受領による条件付対価の決済による収入によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは3,498百万円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出によるものです。
(現金及び現金同等物の為替変動による影響)
当中間連結会計期間の現金及び現金同等物の為替変動による影響は3,472百万円の増加となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費は、前中間連結会計期間に比べ1,448百万円増加し、5,487百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、テクノロジーに立脚したバイオ医薬品企業であり、日本及び世界中のアンメットニーズにお応えし、患者さまの生活の質を向上させる新しいスペシャリティ医薬品をお届けすることを目指しています。医薬品の研究(創薬)から開発、さらには販売までを中核事業として手掛けています。創薬・トランスレーショナルメディシン、前臨床及び初期臨床開発は英国を拠点とする100%子会社のNxera Pharma UK Limited(旧Heptares Therapeutics Ltd.)が、日本及び韓国における臨床開発・販売は、将来的にはその他のAPAC(中国除く)への拡大を視野に、日本を拠点とする100%子会社のネクセラファーマジャパン株式会社(旧イドルシアファーマシューティカルズジャパン株式会社)と、韓国を拠点とするNxera Pharma Korea Co., Ltd.(旧Idorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.、以下「NPK」)が主にその役割を担っています。
創薬においては、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする新規の低分子、ペプチド並びに抗体医薬品など、重要なアンメットメディカルニーズに応える革新的な新薬の創製に注力しています。独自のGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームにより、GPCRをターゲットとする新薬の設計における世界的リーダーとなり、神経疾患、消化器疾患、免疫疾患、炎症性疾患などの重要な治療領域をターゲットとした、自社開発あるいは提携中のプログラムを含めファーストインクラスあるいはベストインクラスとなり得る30品目を超える幅広いパイプラインを有しています。
後期開発・販売においては、日本及びAPAC(中国除く)でピヴラッツ®(脳血管攣縮治療薬として日本では2022年に発売済、韓国では承認取得済、2025年に上市見込み)及びダリドレキサント(日本では2023年に不眠症治療薬として申請済)のライセンスと、Idorsia Pharmaceuticals Ltdが保有する第Ⅲ相臨床開発段階にあるCenerimod(自己免疫疾患)、Lucerastat(ファブリー病)の同地域でのライセンスの独占的オプション権を保有しています。
また上記に加えて、Novartis International AG(以下「ノバルティス社」)の呼吸器疾患製品シーブリ® ブリーズヘラー®、ウルティブロ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®のグローバルでの販売からのロイヤリティ収入を受領しています。ロイヤリティ収入は、当社グループの重要かつ安定的な資本の源泉となっています。
2024年4月1日、社名をそーせいグループ株式会社からネクセラファーマ株式会社に変更したことに伴い、「NxWave™」プラットフォーム、保有するパイプライン及び創薬・開発・商業化の能力を活用し、自社開発及び外部から取得した候補化合物を日本及び世界の患者さまに複数の治療オプションとして提供することを目指し、戦略をさらに進化させ、ブラッシュアップしました。この戦略では、以下の3つを戦略的な柱としました。
① 日本の患者さまに向けて、革新的な医薬品をお届けする
スリムでアジャイルかつ拡大可能なビジネスモデルを活用し、日本における幅広い臨床開発・商業化事業をテコに、規模が大きく成長している日本市場の患者さまに新薬をお届けするとともに、他のAPAC市場に進出するための基盤を構築する。
② 創薬デザインで創出した価値の高いプログラムを推進
患者さまの人生を変える可能性のある新薬の幅広いパイプラインを自社で、あるいは提携先と推進・強化し、日本及び世界中でアンメットメディカルニーズが高く急成長している治療領域をターゲットとした価値創造の機会を創出する。
③ 最先端のサイエンスとテクノロジーを活用
社内のイノベーションと提携を通じて、「NxWave™」プラットフォームの優位性を維持・強化 - 自社あるいは提携による開発のための新規プログラムの特定・選定を加速する。
これら3つの柱における2024年中間期の進捗状況は以下の通りです。
① 日本の患者さまに向けて、革新的な医薬品をお届けする
当社グループの目標の一つは、最先端のサイエンスを応用し、患者さまに向けて、革新的な医薬品をお届けする日本のリーディングバイオ企業になることです。日本の医薬品市場は米国、中国に次ぐ第3位の規模を誇り、高齢化が進んでおり、国民皆保険制度を採用しています。この戦略目標の下、当社グループは以下の3つを優先して取り組んでいます。
・ 日本及びAPACにおける自社プログラムの開発・商業化
・ 日本及びAPACにおける導入品の後期臨床開発・商業化
・ 日本及びAPACでの権利を保持しつつ、グローバルでの商業化のための初期臨床POCを有する候補品についての提携
当社グループの戦略目標達成のための日本・APAC事業の強化を見据え、2024年は、ピヴラッツ®の売上高(薬価ベース)は160億円以上を見込み、ダリドレキサントの日本での承認取得と販売開始、日本とAPAC(中国を除く)市場向けの1品目以上の後期開発品の取得若しくは導入を目標に掲げています。
2024年4月15日、当社は、当社グループのNPKが、ピヴラッツ®点滴静注液150mg(一般名:クラゾセンタンナトリウム)について、Handok Inc.(以下「Handok社」)と独占的販売契約を締結したことを発表しました。本契約に基づき、NPKは合意された価格でHandok社に製品を提供し、Handok社は韓国におけるピヴラッツ®のプロモーション、マーケティング、販売、流通を独占的に行います。当社は、契約締結時にHandok社から一時金を受領しており、さらに販売マイルストンに加え、製品供給による売上を計上する権利を有します。
② 創薬デザインで創出した価値の高いプログラムを推進
当社グループは、成功のための戦略として、「NxWave™」プラットフォームを活用して、自社で開発した個別の候補化合物やプログラム、あるいは提携先が選定したターゲットに対する候補化合物の創薬・開発に関して、世界的なバイオ医薬品企業と提携を行ってきました。当社グループは、これらの提携の多くで、代謝性疾患や精神神経疾患など、医薬品市場で最も急成長している領域の開発プログラムに対する経済的権利を有しています。
この戦略目標におけるこのような実績は、当社グループのアプローチが業界で受け入れられていることの重要な証拠となるものであり、これまでに提携先からの契約一時金とマイルストンにより10億ドル近い収益を生み出しており、さらなるマイルストンの達成によって重要な継続的収益となる可能性があります。
同時に、当社グループは、社内の研究開発体制をプログラム重視型モデルに転換し、質の高い候補化合物の臨床開発段階への移行を加速させることを重要な目標としています。これは、日本及びAPACでの一部の適応症において、自社で開発から販売まで行う機会と収益可能性の高い導出案件を創出することを目的としています。
提携プログラム
2024年3月11日、当社グループは、Boehringer Ingelheim International GmbH(以下「ベーリンガーインゲルハイム社」)と新規グローバル提携及びライセンスの独占的オプション契約を締結したことを発表しました。当社グループが創出したファーストインクラスの治療薬候補であるGPR52受容体作動薬ポートフォリオの開発及び商業化を両社共通の目的としています。GPR52受容体作動薬は統合失調症の陽性症状、陰性症状及び認知機能障害を同時に改善し、患者さまの予後を向上できることが期待されています。
当社グループは、契約一時金として25百万ユーロ、オプション行使料として60百万ユーロをベーリンガーインゲルハイム社から受領する権利を有しています。また、開発、申請・承認、販売の目標達成に応じ、最大670百万ユーロのマイルストンを受領する権利に加えて、段階的ロイヤリティを受領する権利を有しています。本契約一時金は2024年3月に一括で受領していますが、その大半を2024年に、残りを2025年に売上として計上する予定です。当社グループの収益は、IFRSの収益認識に関する会計基準に基づき、履行義務の充足に応じて認識しています。
ファーストインクラスのGPR52受容体作動薬であるNXE0048149で現在実施中の第Ⅰ相臨床試験と第Ⅰb相臨床試験などの必要なデータが揃った後、本契約に基づきベーリンガーインゲルハイム社は当社グループのGPR52作動薬ポートフォリオのライセンスに関する独占的オプション権を保有することになります。2025年中に予定されている本オプション権行使まで、当社グループはこれらの臨床試験を引き続き主導し管理していきます。ライセンスの対象となるポートフォリオには、NXE0048149に加え、複数の異なるバックアップ化合物が含まれます。
2024年4月16日、当社グループは、提携先であるNeurocrine Biosciences Inc.(以下「ニューロクライン社」)から、NBI-1117568の長期前臨床毒性試験の成功を通知されたことを発表しました。NBI-1117568は経口投与可能なムスカリンM4受容体作動薬で、統合失調症及びその他の神経精神疾患治療薬候補として第Ⅱ相臨床試験を実施中です。このたびの長期前臨床毒性試験の成功に伴い、今後実施される臨床試験において、安全に長期投与を行うための米国食品医薬品局(以下「FDA」)の要件を満たしました。この安全性に係る重要な進捗達成により、当社グループはニューロクライン社から15百万米ドルのマイルストンを受領しています。なお、本マイルストンは全額、2024年12月期中間期の売上として計上しています。
ニューロクライン社と2021年に締結した提携契約のもと、主要な神経疾患の治療薬開発を目指して、サブタイプ選択的ムスカリンM4、M1及びM1/M4デュアル受容体作動薬の広範な新薬ポートフォリオを当社グループは創出してきました。NBI-1117568は、そのポートフォリオの中で最も開発が進んでいる候補品です。これらの候補品は、さまざまな神経疾患や神経精神疾患の治療薬となることが期待されており、以下の品目が含まれます。
NBI-1117568(M4作動薬) 第Ⅱ相臨床試験実施中。試験結果は2024年第3四半期発表予定
NBI-1117570(M1/M4デュアル作動薬)第Ⅰ相臨床試験実施中
NBI-1117569(M4-preferring作動薬)第Ⅰ相臨床試験実施中
NBI-1117567(M1-preferring作動薬)第Ⅰ相臨床試験実施中
2024年5月9日、当社グループは、ニューロクライン社が、NBI-1117567の安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を評価する、健常成人を対象とした第Ⅰ相臨床試験を開始したことを発表しました。NBI-1117567は、当社が見出したムスカリンM1受容体作動薬(M1-preferring agonist)であり、神経・精神疾患の認知症状に対する経口治療薬となることが期待されています。
2024年5月30日、当社グループは、当社グループが設計し、協業先であるCentessa Pharmaceuticals Limited(以下「Centessa社」)が開発中の新規オレキシン2受容体(OX2R)作動薬ORX750に関するライセンス契約に基づき、Centessa社から4.6百万米ドルのマイルストンを受領することを発表し、当該マイルストンを2024年6月までに受領しております。本マイルストンは、ORX750について、FDAに新薬臨床試験開始申請(IND)が受理され、第Ⅰ相臨床試験が開始されたことに伴うものです。ORX750は、ナルコレプシー1型(NT1)におけるオレキシン産生ニューロンの脱落の基礎病理に直接作用するよう設計された選択的経口OX2R作動薬です。また、ORX750はナルコレプシー2型(NT2)、特発性過眠症、その他のオレキシン値の減少を伴わない睡眠・覚醒障害にも応用できる可能性を持っています。
2024年6月27日、当社グループは、AbbVie Inc.(以下「アッヴィ社」)との神経疾患における複数のターゲットを対象とした創薬提携において研究段階における重要なマイルストンを達成したことを発表しました。この成果により、当社は10百万米ドルを受領することになります。当社とアッヴィ社は、当社の「NxWave™」プラットフォームを活用し、神経疾患に関するGPCRをターゲットとした新薬の研究開発と商品化を目指し、2022年に本創薬提携及びライセンスのオプション契約を締結しています。本契約に基づき、当社は、最大40百万米ドルの初期開発マイルストンを受領する権利を有しており、さらにオプション行使や開発・販売の目標達成に応じ、最大12億米ドルのマイルストンに加えて、グローバルでの販売高に応じた段階的ロイヤリティを受領する権利を有しています。
自社開発プログラム
2024年3月21日、当社グループは、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬候補であるEP4受容体作動薬(NXE0033744)の第Ⅰ相臨床試験で、最初の被験者への投与を行ったことを発表しました。IBDは世界中で数百万人を超える患者さまがおり、いまだ大きなアンメットニーズが存在する疾患です。
NXE0033744は、選択性が高く、消化管で局所作用するプロスタグランジンEP4受容体作動薬です。有害事象を回避するために全身への影響を最小限に抑えながら、損傷した粘膜上皮の治癒を促進し、腸管の炎症亢進を抑制することで治療効果を発揮するように特別に設計されています。このアプローチは、完全寛解を促進し、長期的な臨床結果も良好となることが広く認められています。NXE0033744は、症状を十分にコントロールできていないIBDの患者さまの大きなアンメットニーズを満たすことを目標としています。なお、現在のIBD治療薬の寛解率は通常25%未満であり、安全性プロファイルを理由に慎重なモニタリングが必要とされています。
本第Ⅰ相臨床試験は、NXE0033744の安全性や薬物動態に加え、薬力学的バイオマーカーへの影響を評価する、無作為化二重盲検単回及び反復投与量漸増試験です。健常成人に加えクローン病患者も対象とし、バイオマーカー評価による作用機序の検証も行います。本試験は英国で実施され、最初のデータリードアウトは2025年になる予定です。
2024年3月21日、当社グループは、IBDに対する新規治療薬候補として開発中の、ファーストインクラスの治療薬となる可能性のある選択的経口GPR35受容体作動薬NXE0027477(GSK4381406)について、GlaxoSmithKline plc.(以下「GSK社」)からの全権利再取得を完了したことを発表しました。GPR35受容体はIBDと遺伝学的な関連性が検証済みのオーファンGPCRの一つです。
NXE0027477は「NxWave™」プラットフォームを用いて設計され、2020年にGSK社にライセンスされました。以来、当社グループとGSK社による共同開発プログラムを通じて得られた基礎研究や前臨床試験及び安全性試験の結果により、潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群(IBS)などの消化器疾患において、GPR35受容体作動薬がバリア機能を改善し内臓痛の改善に効果がある可能性が示唆されました。また、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、2023年半ばにNXE0027477の第Ⅰ相臨床試験実施を承認しました。
GSK社によるプログラムの優先順位の変更を受け、当社グループは、一時金を支払うことなく、NXE0027477の所有権、当社グループからGSK社に許諾した関連するすべての知的財産、及び提携から生み出されたすべての前臨床データの権利を再取得しました。当社グループは、本品目の今後の開発に向けて、自社開発や外部提携を含め最善の戦略を決定する予定です。
③ 最先端のサイエンスとテクノロジーを活用
合理性の高い構造ベース創薬アプローチでGPCR構造を解明することができる当社グループの能力とリーダーシップは、業界全体で認知されています。それにより、30品目を超える新薬候補とプログラムを創出しており、グローバルバイオ医薬品企業との提携あるいは社内で開発が進められています。
この強力かつ世界をリードするプラットフォームにより、当社グループの幅広いパイプラインに、新規ターゲットや候補化合物を前例のないレベルで追加することが可能になります。当社グループは、産学界のグローバルテクノロジーリーダーとの協業に加え、AI(人工知能)や機械学習の幅広い応用などの絶え間ない社内イノベーションを通じて、プラットフォームの強化に注力しています。現在、Verily Life Sciences LLC、Kallyope Inc.、ペプチドリーム株式会社、PharmEnable Limited、PrecisionLife Limited(以下「PrecisionLife社」)などと技術提携を行っています。
2024年5月30日、当社グループと、AIを活用したプレシジョンメディシン(精密医療)を目指すPrecisionLife社は、新規創薬ターゲットの同定を目的とした戦略的研究開発提携の対象を自己免疫疾患へ拡大したことを発表しました。これは、当社グループとPrecisionLife社が2022年に締結した共同研究開発契約における最新の進捗です。本提携では、自己免疫疾患において新規創薬ターゲットを同定したのち、PrecisionLife社が持つバイオマーカーにより患者さまを層別化し、各サブグループに適した治療薬の開発を行います。
PrecisionLife社は、疾患リスクや予防効果に関連する生物学的特徴の組み合わせを発見しています。この組み合わせは、治療薬に効果がある患者さまを特定するためのバイオマーカーや、疾患の誘発因子に関する生物学的知見を提供し、当社グループが既存及び新規の創薬ターゲットがどの患者群に効果的かをより正確に特定する手助けとなる可能性があります。
旧当社100%子会社に関する活動
当社は、当社の100%子会社であった株式会社アクティバスファーマ(以下「アクティバス社」)により当初創製された品目について、マイルストンを受領しました。
2024年3月6日、当社は、Formosa Pharmaceuticals, Inc.(以下「Formosa社」)が、クロベタゾールプロピオン酸エステル点眼液0.05%(APP13007)について、FDAより、術後眼炎疼痛治療薬として承認を取得したことを発表しました。今回の進捗により、当社グループはFormosa社より2024年4月に2.5百万米ドルのマイルストンを受領しています。APP13007は、アクティバス社が、デザイン・研究開発を行い、2017年8月、当社は、アクティバス社の全株式を、医薬品原薬製造に強みを持つ台湾証券取引所上場企業Formosa Laboratories, Inc.の100%子会社であるFormosa社へ譲渡しました。APP13007は、アクティバス社がステロイドに独自の特許ナノ粉砕化技術を応用したナノ化製剤であり、術後眼炎及び疼痛治療薬として開発を行いました。譲渡後は、Formosa社がAPP13007を継続して開発を進め、今般、FDAより承認を取得しました。
その他のビジネスハイライト
2024年4月1日、当社は、2024年3月27日に開催された第34回定時株主総会での承認を得て、社名を「ネクセラファーマ株式会社」に変更しました。新社名は「日本から世界にイノベーションを届け、日本発の国際的なリーディングバイオ企業となる」というビジョンと「最先端のテクノロジーにより、画期的な医薬品をいち早く届ける」というミッションのもと、次の時代をリードしていく決意を表現しています。同時に、子会社の旧Heptares Therapeutics Ltd.、旧イドルシアファーマシューティカルズジャパン株式会社、旧Idorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.もすべて新ブランド「ネクセラファーマ」のもと、それぞれ、Nxera Pharma UK Limited、ネクセラファーマジャパン株式会社(以下「NPJ」)、Nxera Pharma Korea Co., Ltd.に社名を変更しました。
当社グループの当中間連結会計期間の経営成績
2024年6月30日現在、当社グループの従業員数は360人(2023年12月31日時点比10名増)です。
当中間連結会計期間の業績は、売上収益12,720百万円(前年同期比10,574百万円増加)、コア営業利益1,176百万円(前年同期は2,720百万円の損失)、営業損失3,654百万円(前年同期は4,168百万円の損失)、税引前中間損失3,158百万円(前年同期は3,760百万円の損失)、中間損失4,703百万円(前年同期は2,060百万円の損失)となりました。
(単位:百万円) | |||
当中間連結会計期間 (自 2024年1月1日 至 2024年6月30日) | 前中間連結会計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年6月30日) | 増減 | |
売上収益 | 12,720 | 2,146 | 10,574 |
売上原価 | △3,492 | △225 | △3,267 |
研究開発費 | △5,487 | △4,039 | △1,448 |
販売費及び一般管理費 | △8,022 | △2,571 | △5,451 |
営業費用合計 | △17,001 | △6,835 | △10,166 |
その他の収益及びその他の費用 | 627 | 521 | 106 |
営業損失(△) | △3,654 | △4,168 | 514 |
金融収益及び金融費用 | 496 | 408 | 88 |
税引前中間損失(△) | △3,158 | △3,760 | 602 |
法人所得税費用 | △1,545 | 1,700 | △3,245 |
中間損失(△) | △4,703 | △2,060 | △2,643 |
代替業績評価指標 | |||
(コア営業損益)(注)1 | |||
営業損失(△) | △3,654 | △4,168 | 514 |
調整額 | |||
有形固定資産の減価償却費 | 804 | 294 | 510 |
無形資産の償却費 | 1,183 | 407 | 776 |
株式報酬費用 (注)2 | 633 | 328 | 305 |
構造改革費用 (注)2 | 28 | 53 | △25 |
売上原価調整額 (注)3 | 1,619 | - | 1,619 |
統合関連費用 (注)4 | 563 | - | 563 |
企業買収関連費用 | - | 366 | △366 |
コア営業利益又は損失(△) | 1,176 | △2,720 | 3,896 |
USD:JPY(期中平均為替レート) | 152.12 | 134.82 | 17.30 |
GBP:JPY(期中平均為替レート) | 192.42 | 166.29 | 26.13 |
(注)1 コア営業損益は営業損益(IFRS)+重要な非現金支出費用+重要な一時的支出費用で定義され、事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を表しております。
2 構造改革に係る株式報酬費用の加速償却による影響額は構造改革費用に含まれております。
3 売上原価調整額は、2023年7月の企業結合により取得した棚卸資産のうち、当中間連結会計期間に販売した棚卸資産の売上原価に対応する非現金支出費用です。
4 統合関連費用は、ITシステムの統合及び企業ブランド再構築を含む一時的支出費用です。
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています。
(売上収益)
(単位:百万円) | |||
当中間連結会計期間 (自 2024年1月1日 至 2024年6月30日) | 前中間連結会計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年6月30日) | 増減 | |
医薬品販売 | 5,393 | 64 | 5,329 |
契約一時金及びマイルストン収入 | 6,264 | 667 | 5,597 |
マイルストン収入(条件達成時認識額) | 3,438 | - | 3,438 |
前受収益振替額 (注) | 1,434 | 667 | 767 |
契約一時金収入(契約開始時認識額) | 1,392 | - | 1,392 |
ロイヤリティ収入 | 1,031 | 1,252 | △221 |
その他 | 32 | 163 | △131 |
合計 | 12,720 | 2,146 | 10,574 |
(注) 第4 経理の状況 10.売上収益(4) 契約残高 ②契約負債に含まれている前受収益より振り替えたものになります。
当中間連結会計期間の売上収益は、前年同期に比べ10,574百万円増加し、12,720百万円となりました。
当中間連結会計期間の医薬品販売に関する収益は、前年同期比5,329百万円増加し、5,393百万円となりました。これは主に、昨年7月にNPJを連結範囲に含めたことにより、ピヴラッツ®の販売額が加わったことによるものです。
当中間連結会計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同期比5,597百万円増加し、6,264百万円となりました。契約一時金及びマイルストン収入は、契約一時金収入、マイルストン収入及び前受収益振替額で構成されています。契約一時金及びマイルストン収入は、新規提携契約が締結できるかどうか、あるいはあらかじめ定められた成果(マイルストン)を達成できるかどうかによって、会計期間ごとに変動する可能性があります。一部の契約において、研究開発受託収益は、契約一時金又はマイルストン収入の一部に含まれ、前受収益として受領しております。前受収益振替額は、当中間連結会計期間に研究開発受託業務を行ったことにより前受収益から売上収益に振り替えられた金額です。
当中間連結会計期間の契約一時金及びマイルストン収入の増加は、前中間連結会計期間において、新規の提携契約、及びマイルストンの達成がなかったことに対し、当中間連結会計期間においては新規提携契約による契約一時金が1件、及びマイルストンの達成が4件あったことによります。
当中間連結会計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同期比221百万円減少し、1,031百万円となりました。当社グループのロイヤリティに関する収益は導出先であるノバルティス社(注)によるウルティブロ® ブリーズヘラー®、シーブリ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®の売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura Ltd.からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
(営業費用)
売上原価
当中間連結会計期間の売上原価は、前年同期比3,267百万円増加し、3,492百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響額を除く売上原価は、前年同期比911百万円増加し、1,136百万円となりました。これは主に、2024年3月に開始されたベーリンガーインゲルハイム社との臨床段階での提携に関連する費用が発生したことによるものです。NPJを連結範囲に含めたことによるピヴラッツ®の売上原価を2,356百万円計上しております。
研究開発費
当中間連結会計期間の研究開発費は、前年同期比1,448百万円増加し、5,487百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く研究開発費は、前年同期比635百万円増加し、4,674百万円となりました。これは主に、研究開発体制の強化に伴う支出の増加、及び円安の影響によるものです。NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる研究開発費を813百万円計上しております。
当中間連結会計期間においては、研究開発費全体の85%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費
当中間連結会計期間の販売費及び一般管理費は、前年同期比5,451百万円増加し、8,022百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く販売費及び一般管理費は、前年同期比711百万円増加し、3,282百万円となりました。これは主に、サプライチェーンマネジメントを含む組織力強化のための人件費及び委託費の増加、及びITシステム統合費用、並びに「ネクセラファーマ」ブランドでのグループ統一のための費用発生によるものです。NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる無形資産の償却費を含む販売費及び一般管理費を4,740百万円計上しております。
その他の収益及びその他の費用
当中間連結会計期間のその他の収益及びその他の費用の純額は、前年同期比106百万円増加し、627百万円の収益となりました。これは主に、当中間連結会計期間において英国における研究開発税額控除が増加したことによります。
(営業損益)
上記の結果、当中間連結会計期間の営業損益は、3,654百万円の損失(前年同期は4,168百万円の損失)となりました。
金融収益及び金融費用
当中間連結会計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同期比88百万円増加し、496百万円の収益となりました。これは主に、英国において金利が大幅に上昇したことに伴い、預金利息が増加したことによるものです。
(税引前中間損益)
上記の結果、当中間連結会計期間の税引前中間損益は、3,158百万円の損失(前年同期は3,760百万円の損失)となりました。
法人所得税費用
当中間連結会計期間の法人所得税費用は1,545百万円(前年同期は△1,700百万円)となりました。法人所得税費用に関しましては、グループ会社各社ごとに見積実効税率を適用しております。
(中間損益)
上記の結果、当中間連結会計期間の中間損益は、4,703百万円の損失(前年同期は2,060百万円の損失)となりました。
(代替業績評価指標:コア営業損益)
コア営業損益は、中核事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を示すために、重要な非現金支出費用及び一時的な費用を調整した代替的な業績評価指標です。
当中間連結会計期間のコア営業損益は、1,176百万円の利益(前年同期は2,720百万円の損失)となりました。
コア営業損益はIFRSの営業損益に対して以下の調整を行い算出しております。
・ 有形固定資産の減価償却費804百万円(前年同期比510百万円増加、うちNPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる増加額405百万円)
・ 無形資産の償却費1,183百万円(前年同期比776百万円増加、うちNPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる増加額713百万円)
・ 株式報酬費用633百万円(前年同期比305百万円増加)
・ 構造改革費用28百万円(前年同期比25百万円減少)
うち0百万円(前年同期26百万円)は構造改革に係る株式報酬費用の加速償却の影響によるものです。
構造改革費用は子会社の執行体制の変更及び組織再編に伴う費用となります。
・ 売上原価調整額1,619百万円(前年同期発生なし)
売上原価調整額は2023年7月の企業結合により取得した棚卸資産の販売時に、売上原価に計上されるものです。当該棚卸資産が全て払い出された以後の調整は不要となります。
・ 統合関連費用563百万円(前年同期発生なし)
統合関連費用は、グループ統合推進のための一時的支出費用であり、システム統合費用や「ネクセラファーマ」ブランドのもとでのブランド再構築費用を含んでいます。
・ 企業買収関連費用(専門家アドバイザリー費用含む)当中間連結会計期間発生なし(前年同期366百万円)
(2) 財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ714百万円減少し、156,484百万円となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響により資産価値が増加した一方で、債務の支払い及び借入金の返済等をしたことによるものです。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ2,884百万円減少し、87,504百万円となりました。これは主に、借入金の返済をしたことによるものです。
(資本)
当中間連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ2,170百万円増加し、68,980百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の為替換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が6,242百万円増加した一方で、中間損失4,703百万円を計上したことによるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ32.6%、45.4%及び44.1%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,919百万円増加し、50,984百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,511百万円の収入となりました。これは主に、売上に関する現金収入が営業に関する現金支出を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは434百万円の収入となりました。これは主に、Formosa Pharmaceuticals, Inc.からの開発マイルストン受領による条件付対価の決済による収入によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは3,498百万円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出によるものです。
(現金及び現金同等物の為替変動による影響)
当中間連結会計期間の現金及び現金同等物の為替変動による影響は3,472百万円の増加となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費は、前中間連結会計期間に比べ1,448百万円増加し、5,487百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。