四半期報告書-第35期第1四半期(2024/01/01-2024/03/31)

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2024/05/09 15:48
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文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当社グループは、サイエンスとテクノロジーに立脚し、医薬品の研究(創薬)から開発、さらには販売までを手掛けるバイオ医薬品企業です。創薬・トランスレーショナルメディシン、前臨床及び初期臨床開発は英国を拠点とする100%子会社のNxera Pharma UK Limited(旧Heptares Therapeutics Ltd.)が、日本及び韓国における臨床開発・販売は、将来的にはその他のAPAC(中国除く)への拡大を視野に、日本を拠点とする100%子会社のネクセラファーマジャパン株式会社(旧イドルシアファーマシューティカルズジャパン株式会社)と、韓国を拠点とするNxera Pharma Korea Co., Ltd.(旧Idorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.)が主にその役割を担っています。
創薬においては、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする新規の低分子、ペプチド並びに抗体医薬品など、重要なアンメットメディカルニーズに応える新薬の創製に注力しています。独自のGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームにより、GPCRをターゲットとする新薬の創薬における世界的リーダーとなり、神経疾患、消化器疾患、免疫疾患、炎症性疾患などの重要な治療領域において、自社開発あるいは提携中の創薬・開発プログラムを含め30品目を超える幅広いパイプラインを有しています。
後期開発・販売においては、日本及びAPAC(中国除く)でピヴラッツ®(日本では2022年に脳血管攣縮治療薬として発売済)及びダリドレキサント(日本では2023年に不眠症治療薬として申請済)のライセンスと、Idorsia Pharmaceuticals Ltdが保有する第Ⅲ相臨床開発段階にあるCenerimod(自己免疫疾患)、Lucerastat(ファブリー病)の同地域でのライセンスの独占的オプション権を保有しています。
また上記に加えて、Novartis International AG(以下「ノバルティス社」)の呼吸器疾患製品シーブリ® ブリーズヘラー®、ウルティブロ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®のグローバルでの販売からのロイヤリティ収入を受領しています。ロイヤリティ収入は、当社グループの戦略的目標達成のために必要な投資を支える資本の源泉となっています。
2023年に当社グループは、独自の創薬プラットフォーム及びパイプラインをより効果的に活用し、日本・全世界の事業を成長させるために、従来よりも進化した戦略の実行に注力しました。この戦略では、最先端のサイエンスを応用してパイプラインを創出し、患者さまの人生を変える医薬品をお届けすることを目的としており、以下の4つを戦略的な柱としました。
① 継続的な投資や社内でのイノベーションと、それを補完する優れた先進テクノロジーを持つ他社との提携を通じ、世界をリードするGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームの競争優位性を、さらに拡大・強化する。
② 研究開発体制のプログラム重視型モデルへの転換、ターゲットの機能への深い理解、トランスレーショナルメディシンへの注力を通じて迅速に臨床POCを確立することで、自社開発品の品質と投資対効果を向上させ、より収益性の高いライセンス契約の推進と、重厚な自社開発パイプライン構築を目指す。
③ グローバル製薬企業との既存の提携を前進させ、加えて価値の高い新規提携を行うことで、契約一時金、開発マイルストン、上市品の売上から得られるロイヤリティなどから、継続的な売上を確保する。また、これらの提携契約では、日本及びAPACでの候補化合物の開発及び商業化の権利保持を目指す。
④ 日本及びAPACでの臨床開発~販売体制をアジャイルかつ拡大可能な形で構築し、大きく魅力的な日本市場で、見逃されている市場の発掘に取り組む。そのため外部から開発リスクの低い承認済あるいは後期臨床開発段階の開発品を導入し、中長期的には自社品の開発によりパイプラインの拡充を図る。
① 世界をリードするGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームの拡大・強化
世界をリードするGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームの強化については、これまで行った提携を通じた取り組みを進めるとともに、新たな提携についても模索しています。当社グループは、GPCRに関する技術的優位性を強化することにより、複数のプログラムを創出し、自社開発パイプラインの強化と同時に、大手バイオ医薬品企業の創薬・開発パートナーとして選ばれ続けることを目指します。
② 生産性と付加価値、そして成功確率を高めるために、研究開発体制をプログラム重視型モデルに転換
2024年3月21日、当社グループは、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬候補であるEP4受容体作動薬(NXE0033744)の第Ⅰ相臨床試験で、最初の被験者への投与を行ったことを発表しました。IBDは世界中で数百万人を超える患者さまがおり、いまだ大きなアンメットニーズが存在する疾患です。
NXE0033744は、選択性が高く、消化管で局所作用するプロスタグランジンEP4受容体作動薬です。有害事象を回避するために全身への影響を最小限に抑えながら、損傷した粘膜上皮の治癒を促進し、腸管の炎症亢進を抑制することで治療効果を発揮するように特別に設計されています。このアプローチは、完全寛解を促進し、長期的な臨床結果も良好となることが広く認められています。NXE0033744は、症状を十分にコントロールできていないIBDの患者さまの大きなアンメットニーズを満たすことを目標としています。なお、現在のIBD治療薬の寛解率は通常25%未満であり、安全性プロファイルを理由に慎重なモニタリングが必要とされています。
本第Ⅰ相臨床試験は、NXE0033744の安全性や薬物動態に加え、薬力学的バイオマーカーへの影響を評価する、無作為化二重盲検単回及び反復投与量漸増試験です。健常成人に加えクローン病患者も対象とし、バイオマーカー評価による作用機序の検証も行います。本試験は英国で実施され、最初のデータリードアウトは2025年になる予定です。
2024年は、上記に加えて1つ以上の自社開発プログラムの臨床試験を開始するという目標を掲げており、その実現のための研究開発体制の強化に引き続き注力しています。
2024年3月21日、当社グループは、IBDに対する新規治療薬候補として開発中の、ファーストインクラスの治療薬となる可能性のある選択的経口GPR35受容体作動薬NXE0027477(GSK4381406)について、GlaxoSmithKline plc.(以下「GSK社」)からの全権利再取得を完了したことを発表しました。GPR35受容体はIBDと遺伝学的な関連性が検証済みのオーファンGPCRの一つです。
NXE0027477は当社グループ独自のGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームを用いて設計され、2020年にGSK社にライセンスされました。以来、当社グループとGSK社による共同開発プログラムを通じて得られた基礎研究や前臨床試験及び安全性試験の結果により、潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群(IBS)などの消化器疾患において、GPR35受容体作動薬がバリア機能を改善し内臓痛の改善に効果がある可能性が示唆されました。また、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、2023年半ばにNXE0027477の第Ⅰ相臨床試験実施を承認しました。
GSK社の免疫疾患領域の戦略変更、及び幹部交代に伴う本プログラムの優先順位の引き下げと現開発の打ち切りの決定を受け、当社グループは本プログラムの権利再取得の手続きを2023年後半に開始しました。このGSK社の決定は、前臨床試験や安全性試験などの科学的データに基づくものではありませんでした。2020年の契約に基づき、当社グループは、一時金を支払うことなく、NXE0027477の所有権、当社グループからGSK社に許諾した関連するすべての知的財産、及び提携から生み出されたすべての前臨床データの権利を再取得しました。当社グループは、本品目の今後の開発に向けて、自社開発や外部提携を含め最善の戦略を決定する予定です。
③ 大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進及び継続的な収益確保への取り組み
当社グループは、大手グローバル製薬企業との広範な提携を通じて、特に代謝性疾患や精神神経疾患など、世界の医薬品市場において最も有望で急成長している治療領域におけるプログラムの開発に関わっています。
2024年3月11日、当社グループは、Boehringer Ingelheim International GmbH(以下「ベーリンガーインゲルハイム社」)と新規グローバル提携及びライセンスの独占的オプション契約を締結したことを発表しました。当社グループが創出したファーストインクラスの治療薬候補であるGPR52受容体作動薬ポートフォリオの開発及び商業化を両社共通の目的としています。GPR52受容体は新規GPCRの一つで、GPR52受容体作動薬は統合失調症の陽性症状、陰性症状及び認知機能障害を同時に改善し、患者さまの予後を向上できることが期待されています。
当社グループは、契約一時金として25百万ユーロ、オプション行使料として60百万ユーロをベーリンガーインゲルハイム社から受領する権利を有しています。また、開発、申請・承認、販売の目標達成に応じ、最大670百万ユーロのマイルストンを受領する権利に加えて、段階的ロイヤリティを受領する権利を有しています。本契約一時金は2024年12月期第1四半期に一括で受領していますが、その大半を2024年に、残りを2025年に売上として計上する予定です。当社グループの収益は、IFRSの収益認識に関する会計基準に基づき、履行義務の充足に応じて認識しています。
ファーストインクラスのGPR52受容体作動薬であるNXE0048149で現在実施中の第Ⅰ相臨床試験と第Ⅰb相臨床試験などの必要なデータが揃った後、本契約に基づきベーリンガーインゲルハイム社は当社グループのGPR52作動薬ポートフォリオのライセンスに関する独占的オプション権を保有することになります。2025年中に予定されている本オプション権行使まで、当社グループはこれらの臨床試験を引き続き主導し管理していきます。ライセンスの対象となるポートフォリオには、NXE0048149に加え、当社グループのGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームを用いて設計された複数の異なるバックアップ化合物が含まれます。
④ 日本における有数の販売プラットフォームの構築
当社グループの戦略目標達成のための日本・APAC事業の強化を見据え、2024年は、ピヴラッツの売上高(薬価ベース)は160億円以上を見込み、ダリドレキサントの日本での承認取得と販売開始、日本とAPAC(中国を除く)市場向けの1品目以上の後期開発品の取得若しくは導入を目標に掲げています。
旧当社100%子会社に関する活動
当社は、当社の100%子会社であった株式会社アクティバスファーマ(以下「アクティバス社」)により当初創製された品目について、マイルストンを受領しました。
2024年3月6日、当社は、Formosa Pharmaceuticals, Inc.(以下「Formosa社」)が、クロベタゾールプロピオン酸エステル点眼液0.05%(APP13007)について、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)より、術後眼炎疼痛治療薬として承認を取得したことを発表しました。今回の進捗により、当社グループはFormosa社より2024年4月に2.5百万米ドルのマイルストンを受領しています。APP13007は、アクティバス社が、デザイン・研究開発を行い、2017年8月、当社は、アクティバス社の全株式を、医薬品原薬製造に強みを持つ台湾証券取引所上場企業Formosa Laboratories, Inc.の100%子会社であるFormosa社へ譲渡しました。APP13007は、アクティバス社がステロイドに独自の特許ナノ粉砕化技術を応用したナノ化製剤であり、術後眼炎及び疼痛治療薬として開発を行いました。譲渡後は、Formosa社がAPP13007を継続して開発を進め、今般、米国FDAより承認を取得しました。
2024年4月1日以降の当社グループのビジネスハイライト
2024年4月1日、当社は、2024年3月27日に開催された第34回定時株主総会での承認を得て、社名を「ネクセラファーマ株式会社」に変更しました。新社名は「日本から世界にイノベーションを届け、日本発の国際的なリーディングバイオ企業となる」というビジョンと「最先端のテクノロジーにより、画期的な医薬品をいち早く届ける」というミッションのもと、次の時代をリードしていく決意を表現しています。同時に、子会社の旧Heptares Therapeutics Ltd.、旧イドルシアファーマシューティカルズジャパン株式会社、旧Idorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.もすべて新ブランド「ネクセラファーマ」のもと、それぞれ、Nxera Pharma UK Limited、ネクセラファーマジャパン株式会社(以下「NPJ」)、Nxera Pharma Korea Co., Ltd.(以下「NPK」)に社名を変更しました。
2024年4月15日、当社は、当社グループのNPKが、ピヴラッツ®点滴静注液150mg(一般名:クラゾセンタンナトリウム)について、Handok Inc.(以下「Handok社」)と独占的販売契約を締結したことを発表しました。本契約に基づき、NPKは合意された価格でHandok社に製品を提供し、Handok社は韓国におけるピヴラッツ®のプロモーション、マーケティング、販売、流通を独占的に行います。当社は、契約締結時にHandok社から一時金を受領し、さらに販売マイルストンに加え、製品供給による売上を計上する権利を有します。
2024年4月16日、当社グループは、提携先であるNeurocrine Biosciences Inc.(以下「ニューロクライン社」)から、NBI-1117568の長期前臨床毒性試験の成功を通知されたことを発表しました。NBI-1117568は経口投与可能なムスカリンM4受容体作動薬で、統合失調症及びその他の神経精神疾患治療薬候補として第Ⅱ相臨床試験を実施中です。このたびの長期前臨床毒性試験の成功に伴い、今後実施される臨床試験において、安全に長期投与を行うためのFDAの要件を満たしました。この安全性に係る重要な進捗達成により、当社グループはニューロクライン社から15百万ドルのマイルストンを受領することになります。なお、本マイルストンは全額、2024年12月期第2四半期の売上として計上される見込みです。
ニューロクライン社と2021年に締結した提携契約のもと、主要な神経疾患の治療薬開発を目指して、サブタイプ選択的ムスカリンM4、M1及びM1/M4デュアル受容体作動薬の広範な新薬ポートフォリオを当社グループは創出してきました。NBI-1117568は、そのポートフォリオの中で最も開発が進んでいる候補品です。これらの候補品は、さまざまな神経疾患や神経精神疾患の治療薬となることが期待されており、以下の品目が含まれます。
NBI-1117568 (M4作動薬) 第Ⅱ相臨床試験実施中。試験結果は2024年後半発表予定
NBI-1117570 (M1/M4デュアル作動薬) 第Ⅰ相臨床試験実施中
NBI-1117569 (M4-preferring作動薬) 第Ⅰ相臨床試験実施中
NBI-1117567 (M1-preferring作動薬) 第Ⅰ相臨床試験を2024年に開始予定
当社グループの当第1四半期連結累計期間の経営成績
2024年3月31日現在、当社グループの従業員数は364人(2023年12月31日時点比14名増)です。
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上収益4,611百万円(前年同四半期比3,668百万円増加)、営業損失3,076百万円(前年同四半期は1,964百万円の損失)、税引前四半期損失2,796百万円(前年同四半期は1,863百万円の損失)、四半期損失3,281百万円(前年同四半期は1,402百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 2024年1月1日
至 2024年3月31日)
前第1四半期連結累計期間
(自 2023年1月1日
至 2023年3月31日)
増減
売上収益4,6119433,668
売上原価△1,191△92△1,099
研究開発費△3,163△1,957△1,206
販売費及び一般管理費△3,650△1,109△2,541
営業費用合計△8,004△3,158△4,846
その他の収益及びその他の費用31725166
営業損失(△)△3,076△1,964△1,112
金融収益及び金融費用280101179
税引前四半期損失(△)△2,796△1,863△933
法人所得税費用△485461△946
四半期損失(△)△3,281△1,402△1,879
代替業績評価指標
(コア営業損益)(注)1
営業損失(△)△3,076△1,964△1,112
調整額
有形固定資産の減価償却費396140256
無形資産の償却費587197390
株式報酬費用 (注)2234109125
構造改革費用 (注)22853△25
売上原価調整額 (注)3686-686
統合関連費用 (注)4214-214
コア営業損失(△)△931△1,465534
USD:JPY(期中平均為替レート)148.40132.3216.08
GBP:JPY(期中平均為替レート)188.20160.6627.54

(注)1 コア営業損益は営業損益(IFRS)+重要な非現金支出費用+重要な一時的支出費用で定義され、事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を表しております。
2 構造改革に係る株式報酬費用の加速償却による影響額は構造改革費用に含まれております。
3 売上原価調整額は、2023年7月の企業結合により取得した棚卸資産のうち、当四半期連結累計期間に販売した棚卸資産の売上原価に対応する非現金支出費用です。
4 統合関連費用は、ITシステムの統合及び企業ブランド再構築を含む一時的支出費用です。
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています。
(売上収益)
(単位:百万円)
当第1四半期連結累計期間
(自 2024年1月1日
至 2024年3月31日)
前第1四半期連結累計期間
(自 2023年1月1日
至 2023年3月31日)
増減
医薬品販売2,283-2,283
契約一時金及びマイルストン収入1,9042301,674
契約一時金収入(契約開始時認識額)1,392-1,392
マイルストン収入(条件達成時認識額)---
前受収益振替額 (注)512230282
ロイヤリティ収入394627△233
その他3086△56
合計4,6119433,668

(注) 第4 経理の状況 9.売上収益(4) 契約残高 ②契約負債に含まれている前受収益より振り替えたものになります。
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ3,668百万円増加し、4,611百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間の医薬品販売に関する収益は、前年同四半期比2,283百万円増加し、2,283百万円となりました。これは主に、昨年7月にNPJを連結範囲に含めたことにより、ピヴラッツ®の販売額が加わったことによるものです。
当第1四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同四半期比1,674百万円増加し、1,904百万円となりました。契約一時金及びマイルストン収入は、契約一時金収入、マイルストン収入及び前受収益振替額で構成されています。契約一時金及びマイルストン収入は、新規提携契約が締結できるかどうか、あるいはあらかじめ定められた成果(マイルストン)を達成できるかどうかによって、四半期ごとに変動する可能性があります。一部の契約において、研究開発受託収益は、契約一時金又はマイルストン収入の一部に含まれ、前受収益として受領しております。前受収益振替額は、当第1四半期連結累計期間に研究開発受託業務を行ったことにより前受収益から売上収益に振り替えられた金額です。
当第1四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストン収入の増加は、前第1四半期連結累計期間において、新規の提携契約、及びマイルストンの達成がなかったことに対し、当第1四半期連結累計期間においては新規提携契約による契約一時金が1件あったことによります。
当第1四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比233百万円減少し、394百万円となりました。当社グループのロイヤリティに関する収益は導出先であるノバルティス社(注)によるウルティブロ® ブリーズヘラー®、シーブリ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®の売上に関連するものです。
(注) グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura Ltd.からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。
(営業費用)
売上原価
当第1四半期連結累計期間の売上原価は、前年同四半期比1,099百万円増加し、1,191百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響額を除く売上原価は、前年同四半期比79百万円増加し、171百万円となりました。これは主に、売上原価が、研究開発受託契約に基づく収入の増加に伴い増加したことによるものです。NPJを連結範囲に含めたことによるピヴラッツ®の売上原価を1,020百万円計上しております。
研究開発費
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前年同四半期比1,206百万円増加し、3,163百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く研究開発費は、前年同四半期比792百万円増加し、2,749百万円となりました。これは主に、研究開発体制の強化に伴う支出の増加、及び円安の影響によるものです。NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる研究開発費を414百万円計上しております。
当第1四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の86%は英国における活動によるものです。
販売費及び一般管理費
当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、前年同四半期比2,541百万円増加し、3,650百万円となりました。なお、NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く販売費及び一般管理費は、前年同四半期比492百万円増加し、1,601百万円となりました。これは主に、組織力強化のための人件費及び委託費の増加、及びITシステム統合費用、並びに「ネクセラファーマ」ブランドでのグループ統一のための費用発生によるものです。NPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる無形資産の償却費を含む販売費及び一般管理費を2,049百万円計上しております。
その他の収益及びその他の費用
当第1四半期連結累計期間のその他の収益及びその他の費用の純額は、前年同四半期比66百万円増加し、317百万円の収益となりました。これは主に、当第1四半期連結累計期間において英国における研究開発税額控除が増加したことによります。
(営業損益)
上記の結果、当第1四半期連結累計期間の営業損益は、3,076百万円の損失(前年同四半期は1,964百万円の損失)となりました。
金融収益及び金融費用
当第1四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期比179百万円増加し、280百万円の収益となりました。これは主に、英国において金利が大幅に上昇したことに伴い、預金利息が増加したこと、及び為替の影響により為替差益が増加したことによるものです。
(税引前四半期損益)
上記の結果、当第1四半期連結累計期間の税引前四半期損益は、2,796百万円の損失(前年同四半期は1,863百万円の損失)となりました。
法人所得税費用
当第1四半期連結累計期間の法人所得税費用は485百万円(前年同四半期は△461百万円)となりました。法人所得税費用に関しましては、グループ会社各社ごとに見積実効税率を適用しております。
(四半期損益)
上記の結果、当第1四半期連結累計期間の四半期損益は、3,281百万円の損失(前年同四半期は1,402百万円の損失)となりました。
(代替業績評価指標:コア営業損益)
コア営業損益は、中核事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を示すために、重要な非現金支出費用及び一時的な費用を調整した代替的な業績評価指標です。
当第1四半期連結累計期間のコア営業損益は、931百万円の損失(前年同四半期は1,465百万円の損失)となりました。
コア営業損益はIFRSの営業損益に対して以下の調整を行い算出しております。
・ 有形固定資産の減価償却費396百万円(前年同四半期比256百万円増加、うちNPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる増加額202百万円)
・ 無形資産の償却費587百万円(前年同四半期比390百万円増加、うちNPJ/NPKを連結範囲に含めたことによる増加額355百万円)
・ 株式報酬費用234百万円(前年同四半期比125百万円増加)
・ 構造改革費用28百万円(前年同四半期比25百万円減少) うち0百万円(前年同四半期26百万円)は構造改革に係る株式報酬費用の加速償却の影響によるものです。
構造改革費用は子会社の執行体制の変更及び組織再編に伴う費用となります。
・ 売上原価調整額686百万円(前年同四半期発生なし)
売上原価調整額は2023年7月の企業結合により取得した棚卸資産の販売時に、売上原価に計上されるものです。当該棚卸資産が全て払い出された以後の調整は不要となります。
・ 統合関連費用214百万円(前年同四半期発生なし)
統合関連費用は、グループ統合推進のための一時的支出費用であり、システム統合費用や「ネクセラファーマ」ブランドのもとでのブランド再構築費用を含んでいます。
(2) 財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4,907百万円減少し、152,291百万円となりました。これは主に、税金の納付及び借入金の返済等により現金及び現金同等物が減少したことによるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ3,983百万円減少し、86,405百万円となりました。これは主に、税金の納付及び借入金の返済をしたことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ924百万円減少し、65,886百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の為替換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が2,125百万円増加した一方で、四半期損失3,281百万円を計上したことによるものです。
なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ30.5%、47.6%及び43.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,550百万円減少し、46,515百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは2,205百万円の支出となりました。これは主に、営業に関する現金支出と消費税の納付額が売上に関する現金収入を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは50百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは1,824百万円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出によるものです。
(現金及び現金同等物の為替変動による影響)
当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の為替変動による影響は1,529百万円の増加となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費は、前第1四半期連結累計期間に比べ1,206百万円増加し、3,163百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。