有価証券報告書-第81期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/30 15:01
【資料】
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【項目】
148項目
(1) 経営成績等の状況の概要
前連結会計年度より当社及び3月決算であった連結対象会社は決算日を3月31日から12月31日に変更いたしました。この変更に伴い、当社とすべての連結対象会社の決算日が統一され、前連結会計年度においては、当社及び3月決算であった連結対象会社は4月1日から12月31日までの9ヶ月間、12月決算である連結対象会社は1月1日から12月31日までの12ヶ月間を連結対象期間としております。
① 財政状態及び経営成績の状況
セグメントの名称2021年12月期(調整後)
2021年12月期
2022年12月期(調整後)
前期比較
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
化粧品事業189,08284.0217,74280.9234,96981.317,2267.9
コスメタリー事業34,35115.349,18518.352,23418.13,0486.2
その他1,5490.72,0640.81,9330.7△130△6.3
売上高計224,983100.0268,992100.0289,136100.020,1447.5

区分2021年12月期(調整後)
2021年12月期
2022年12月期(調整後)
前期比較
金額
(百万円)
売上比
(%)
金額
(百万円)
売上比
(%)
金額
(百万円)
売上比
(%)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
営業利益18,8528.415,6725.822,1207.76,44841.1
経常利益22,3719.922,0508.228,3949.86,34328.8
親会社株主に帰属する
当期純利益
13,3415.911,1354.118,7716.57,63768.6

※前期比較(調整後増減)は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を遡及適用したと仮定して前年同一期間(2021年1月1日から2021年12月31日)と比較した増減であります。
当期(2022年1月1日から2022年12月31日まで)における日本経済は、ウィズコロナへの移行が進められ、経済社会活動が正常化しつつあり、景気の緩やかな回復基調が続きました。
当社グループが主に事業展開しているアジア・米国においては、中国では新型コロナウイルス感染症拡大によるロックダウンおよびその後のゼロコロナ政策にともなう移動制限の影響を受けました。2022年12月にゼロコロナ政策が大幅に緩和されましたが、新型コロナウイルスの感染急拡大により経済活動は大幅に減速しております。それ以外のアジア各国では着実に持ち直しの動きがみられます。米国においては、急速に進行するインフレや金利上昇が逆風となり、前年からは景気減速いたしましたが、底堅い雇用環境が個人消費を下支えいたしました。
日本の化粧品市場においては、行動制限の緩和による消費活動の再開により、回復基調にあります。
アジアの化粧品市場においては、中国では、ロックダウンの解除後、中国本土および海南島を中心としたトラベルリテールでの需要が回復傾向にあります。それ以外のアジア各国についても、着実に回復しております。米国の化粧品市場は、底堅い個人消費に支えられ順調に成長しております。
このような市場環境の中、当社グループは中長期ビジョン「VISION2026」を推進しており、「世界で存在感のある企業への進化」を目指しております。2022年度からは「PHASEⅡ:世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」の段階に入り、基本戦略の下、グローバルな事業展開の促進、事業領域および顧客層の拡大、デジタルコミュニケーションの強化、成長を支える経営基盤の構築に取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ39,581百万円増加し359,600百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ18,499百万円増加し、84,251百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ21,081百万円増加し、275,349百万円となりました。
b. 経営成績
当期における当社グループの業績については、中国での断続的なロックダウンの影響に加え、韓国において減収となりましたが、日本の百貨店・専門店チャネルにおけるハイプレステージ、欧米を中心に展開する「タルト」が実績を牽引したことにより、売上高は調整後前期比7.5%増の289,136百万円(為替の影響を除くと2.7%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の割合は43.6%となりました。
利益については、増収に加え、原価率の低減および販管費の抑制によって増加し、営業利益は22,120百万円(調整後前期比41.1%増)、経常利益は為替差益の大幅な増加により28,394百万円(同28.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18,771百万円(同68.6%増)となりました。
1) 化粧品事業
化粧品事業においては、ハイプレステージにおいて、「コスメデコルテ」や「アルビオン」が日本で引き続き好調に推移しましたが、中国(トラベルリテール事業を除く)や韓国では苦戦いたしました。それ以外のブランドでは、「ジルスチュアート」、「アディクション」が、日本のメイクアップ市場の需要回復に伴い業績が伸長いたしました。欧米で展開する「タルト」は、SNSでのプロモーションが功を奏し、主力商品や新商品の売上を伸ばしました。プレステージの主力ブランド、「雪肌精」は下期から回復基調にあります。これらの結果、売上高は234,969百万円(調整後前期比7.9%増)、営業利益は25,407百万円(同28.5%増)となりました。
2) コスメタリー事業
コスメタリー事業においては、コーセーコスメポート㈱のヘアケアブランド「ビオリス」が苦戦した一方、同社の「クリアターン」に加え、メイクアップブランドの「ヴィセ」、ヘアケアブランドの「スティーブンノル ニューヨーク」などが好調に推移した結果、売上高は52,234百万円(調整後前期比6.2%増)、営業利益は1,101百万円(同182.0%増)となりました。
3) その他
その他の事業は、ホテルやゴルフ場向けアメニティ製品の販売やOEM生産の受注が減少した結果、売上高は1,933百万円(調整後前期比6.3%減)となりました。営業利益は売上原価率が低下したことにより1,067百万円(同36.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より12,187百万円増加し94,063百万円(前期比14.9%増)となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、20,261百万円の収入となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益27,867百万円、非資金費用である減価償却費9,743百万円、棚卸資産の増加3,008百万円、売上債権の増加7,444百万円、退職給付に係る資産の増加3,757百万円、その他の資産の減少1,700百万円、仕入債務の増加2,082百万円及び法人税等の支払い5,646百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,311百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出4,250百万円及び無形固定資産の取得による支出2,852百万円、定期預金の払戻による純収入1,662百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、7,313百万円の支出となりました。主な要因は配当金の支払額7,416百万円等であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)調整後前年同期比(%)
化粧品事業15886.4
コスメタリー事業3493.2
その他1100.4
合計19487.6

(注) 1.金額は製造会社販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.「調整後前年同期比」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較であります。
b. 受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)調整後前年同期比(%)
化粧品事業234,969107.9
コスメタリー事業52,234106.2
その他1,93393.7
合計289,136107.5

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「調整後前年同期比」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は下記のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。なお、本表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りには過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。
当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計上の見積り及び見積りに用いた重要な仮定は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1) 財政状態
当連結会計年度末の流動比率は361.8%、当座比率は250.1%であり、前連結会計年度末に比べそれぞれ5.7ポイント、2.7ポイントの減少となりました。主な理由は下記のとおりであります。
資産は、前連結会計年度末に比べ39,581百万円の増加となりました。現金及び預金の増加11,253百万円、受取手形及び売掛金の増加8,240百万円、商品及び製品の増加2,791百万円、原材料及び貯蔵品の増加1,999百万円、リース資産の増加7,596百万円、投資有価証券の増加2,444百万円、退職給付に係る資産の増加4,826百万円、建物及び構築物の減少1,775百万円、機械装置及び運搬具の減少1,218百万円、工具、器具及び備品の減少894百万円等によるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ18,499百万円の増加となりました。電子記録債務の増加2,055百万円、未払金の増加2,416百万円、未払法人税等の増加1,319百万円、未払費用の増加596百万円、短期借入金の増加761百万円、繰延税金負債の増加3,041百万円等によるものであります。
なお、有利子負債残高は10,178百万円、デット・エクイティ・レシオは0.04倍となりました。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、289,136百万円(調整後前期比7.5%増、20,144百万円増)となりました。
これをセグメントごとに分析すると、当社グループの主力事業である化粧品事業及びコスメタリー事業の売上高がそれぞれ234,969百万円(同7.9%増、17,226百万円増)、52,234百万円(同6.2%増、3,048百万円増)となりました。その他の事業の売上高は1,933百万円(同6.3%減、130百万円減)となりました。
(営業費用)
当連結会計年度の売上原価は、83,620百万円(調整後前期比3.1%増、2,527百万円増)となりました。
販売費及び一般管理費は、183,395百万円(同6.5%増、11,168百万円増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高比率は0.6ポイント減少いたしました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外損益は、6,273百万円の利益(調整後前期比1.6%減、104百万円減)となりました。当連結会計年度は為替差益4,306百万円(同2.3%増、98百万円増)を計上しております。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は、526百万円の損失(調整後前期比51.0%減、548百万円減)となりました。固定資産処分損266百万円を特別損失に計上しております。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より12,187百万円増加し94,063百万円(前年同期比14.9%増)となりました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
当社グループは「VISION 2026」実現に向け、生産設備の新設及び更新、新規市場進出のための投資、デジタルトランスフォーメーション推進への投資などを実施してまいります。それぞれの投資のタイミングにつきましては、資金残高及び資金調達のバランスを検証し、優先順位をつけて実施してまいります。
自己資金による事業運営、設備投資、株式投資、配当などを行っておりますが、金融機関とは28,000百万円のコミットメントラインを締結しており、事業運営上必要な投資などへの資金につきましては、外部調達も可能となっております。
当社グループの財務状況、安定した業績については、金融機関及び金融市場からの評価は高く、自己資金が不足した場合においても外部調達は可能と判断しております。
利益配分につきましては安定配当を基本としておりますが、今後の事業拡大のための内部資金の確保に配慮しつつ、財政状態、業績、配当性向などを勘案し、配当金額を決定しております。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
化粧品市場においては、国内外におけるEコマース売上規模の拡大、交通インフラの発展や、経済成長に伴う所得水準の上昇により、中国をはじめトラベルリテール事業の売上も好調に推移いたしました。
今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による消費マインドや、雇用・所得環境の悪化の改善、経済回復時期も不透明なため、市場変化に対するタイムリーな対応の成否が、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが想定されます。
c. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。
今後の資金使途につきましては、内部留保により財務体質の強化を図る一方、設備投資やM&Aに取り組むことで将来のキャッシュ・フローの創出につなげ、資本効率の向上を図ってまいります。また、一時的な余剰資金の運用につきましても、安全性を第一に考慮し運用商品の選定を行ってまいります。
d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高営業利益率、総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の向上を重要な経営指標としております。総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の前連結会計年度、当連結会計年度推移と「VISION 2026」でのそれぞれの目標に対する進捗については、以下のとおりです。
前連結会計年度(調整後)
前連結会計年度
当連結会計年度「VISION 2026」
総資産事業利益率(ROA)6.1%5.2%6.7%18%以上
自己資本当期純利益率(ROE)5.8%5.1%7.5%15%以上
売上高営業利益率8.4%5.8%7.7%16%以上


当連結会計年度は全て(調整後)前連結会計年度を上回りました。その要因は、経営成績が前連結会計年度を上回ったことによります。当連結会計年度における各重要な経営指標につきましては、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況で述べたとおりであります。
(注) 総資産事業利益率=(営業利益+受取利息・配当金)/総資産(期首期末平均)×100
自己資本当期純利益率=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)×100
e. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 財政状態
(化粧品事業)
セグメント資産は、現金及び預金の増加5,003百万円、売掛金及び受取手形の増加8,479百万円、棚卸資産の増加4,599百万円、有形固定資産の増加4,450百万円、無形固定資産の減少146百万円等により、前連結会計年度末に比べ27,124百万円増加の243,672百万円となりました。
(コスメタリー事業)
セグメント資産は、現金及び預金の減少108百万円、棚卸資産の増加974百万円、有形固定資産の増加22百万円等により、前連結会計年度末に比べ771百万円増加の43,911百万円となりました。
(その他)
セグメント資産は、現金及び預金の減少188百万円、売掛金及び受取手形の減少226百万円等により、前連結会計年度末に比べ771百万円減少の3,747百万円となりました。
2) 経営成績
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績につきましては、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b. 経営成績で述べたとおりであります。